新聞記事
2012年06月25日号から
再生可能エネ固定価格買取7月からスタート
住宅用太陽光は余剰電力のみ
太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電された電気を、一定期間、固定価格で買い取ることを電力会社に義務付けた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)」が、いよいよ7月1日からスタート。住宅に設置する太陽光発電や風力発電も対象となる。
この制度で買取対象になる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類。波力発電や潮流発電などその他の再生可能エネルギーは実用化された段階で対象に追加する予定だ。
対象となる再生可能エネルギーは、いずれも政府が決めた買取価格・期間で電力会社が全量買い取る。ただ、住宅用太陽光発電はこれまで通り、余剰電力のみの買い取りとなり、すでに太陽光発電の余剰電力買取制度を利用している場合、買取価格・期間はこれまで通りで変更はない。
買取価格・期間は1年ごと政府の関係委員会の意見をもとに決定。買い取りにかかる費用は再生エネ賦課金という形で消費者が負担する(東日本大震災の被災者などは減免措置あり)。
太陽光10kW未満で42円
風力20kW未満で55円
住宅用として想定されているのは太陽光発電と風力発電で、買取価格(税別)・期間は今月中旬に正式に告示が出る予定だが、最終案では太陽光発電が定格出力合計10kW未満で42円/kWh・10年10kW以上で40円・20年。エネファーム(燃料電池)やエコウィル(ガスコージェネ)、蓄電池等を併用する〝ダブル発電〟の場合は、それぞれ8円安い価格となる。風力発電は同20kW未満で55円・20年、20kW以上で22円・20年。
住宅用が想定される10kW未満の太陽光発電は、①JIS・JET(㈶電気安全環境研究所)・JET相当の海外認証機関のいずれかの認証を受けていること②余剰電力を電力会社に供給する配線構造となっていること③太陽電池モジュールのセル変換効率がシリコン単結晶および多結晶系で13・5%以上、シリコン薄膜系で7・0%以上、化合物系で8・0%以上であることが必要。同じく10kW未満の風力発電は、JIS・JSWTA(日本小型風力発電協会)・JSWTA相当の海外認証機関のいずれかの認証を受けていることが必要になる。
再生エネ買取イメージ...再生可能エネルギー固定価格買取制度のイメージ
ホームページ・http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html
2012年06月25日号から
読者のつぶやき
◆言った覚えはないのに...
関東 住宅会社 社長
先日、新商品の発表を機に地元の新聞社から取材を受け、何日か経って記事掲載紙に目を通したところ、今年の完工棟数の目標がなぜか5割増しの数字になっていました。「あれっ?」と思って取材した記者に電話したところ、確かにそう言ったとのこと。協力業者からは「本当にそんなにできるの」と言われ、知り合いの同業者からは「今年は頑張るねぇ」と冷やかされ、間違いをわかってもらうのに一苦労。ホントにそんな数字を言った覚えはないんですが。
◆蓄電池より発電機のほうがいいかも
北見市 工務店 社長
昨年の3.11以降、災害時のライフラインを気にするお客様が出てきたこともあり、私自身も停電などへの備えをどうするかを考えるようになりました。最初は蓄電池を検討しましたが、まだまだ高価。そこで目をつけたのがガソリン燃料の発電機。価格は10〜20万くらいですし、満タンにしておけば1日くらいなら何とか使えそう。音が気になるのをガマンすれば十分では。あくまで非常用であって、蓄電池のようにピークシフトなどには使えませんけどね。
2012年06月21日
【お詫び】サーバー障害によりサイトが一時停止しておりました
当サイトをいつもご利用いただき、ありがとうございます。
まずは弊社よりお詫びを申し上げなければなりません。
当社が契約しているレンタルサーバー会社で大規模な障害が起き、サイトが見られない状態が続いておりました。楽しみにしていたみなさまに、深くお詫び申し上げます。
【障害の発生】
6月20日(水)17:30頃
【サーバー会社側の対応】
大規模な障害につき、復旧を優先するためにサーバー内のデータを全てリセット(初期化)し、データがほとんどない状態になりました。6月21日午後1時過ぎにサーバー会社側からの発表があり、これに対して弊社ではローカルに保存していたバックアップデータを使って復旧作業を開始しました。復旧作業には数時間を要しました。
【障害の仮復旧】
6月21日(木)17:30頃
※障害が発生した時点から仮復旧するまでに弊社宛にメールを送られた場合、メール自体が消失している可能性が高いので、恐れ入りますが再度送り直しいただくようお願い申し上げます。
【現時点での不具合】
バックアップデータには写真データがほとんど含まれていないため、現時点では写真データが多数抜けた状態になっております。また、バックアップデータは5月2日時点のデータのため、ここ1ヶ月半ほどのデータが復旧されておりません。
【この後の対応】
写真データの復旧、5月以降の記事データ復旧作業は最長数日間かかる見込みです。みなさまには引き続きご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちください。
2012年06月15日号から
鎌田紀彦室工大教授が論破 「断熱住宅は暑さにも効果的」
NPO新住協総会@広島市
NPO新住協の総会・全国研修会が6月1日広島市で開かれ、総会後の基調講演で代表理事の室蘭工業大学鎌田紀彦教授は、北海道など寒冷地はもちろん、蒸暑地域においても「断熱」が効果的であること、『断熱するほど室内に熱がこもる』現象は事実上起きないことを試算によって確かめた。試算を元に蒸暑地域で本格的な夏場の測定を行うとともに、Q値・燃費計算ソフトQPEXに暖房燃費と同レベルの精度の冷房負荷シミュレーションを追加する。
冷房効果は高いのに、なぜ?
断熱住宅を建てている会社、または住んでいるオーナーは、断熱が冷房の効きをよくし涼しい家になることを知っている。しかし、「断熱するほど熱がこもる」と反撃されるとイマイチ反論できない。また、寒さについて北海道人が「寒さのレベルが違う」とこだわるように、九州を筆頭に蒸暑地域は「暑さのレベルが違う」と寒い地域からスタートした断熱住宅への抵抗もある。また、暑い地域は断熱より「遮熱」が有効という意見もある。
鎌田教授は基調講演の中でこれらの声の一部を認めながら、『高断熱化が冷房負荷低減に効く』ことを立証して見せた。この夏は本格的な計測を行う。
鎌田教授の講演をまとめた。
* *
室内に熱がこもる「断熱」より、熱をはね返す「遮熱」のほうが暑い地域では有効であるとするヘンな考え方がある。そこで、冷房することを前提に、断熱レベルの高低で冷房エネルギーがどのように変わるかシミュレーションした。
まず、4月から10月くらいまでの6~7ヵ月間の冷房負荷を計算した。通風なしで計算すると断熱レベルを高めれば高めるほど冷房負荷が大きくなる。一方、通風ありで計算すると高断熱化に比例して冷房負荷は小さくなる。
なぜそのような違いが出るのかを調べるために、冷房負荷の大きい九州・宮崎市を例に、7月22日、9月5日、10月13日の3日について、冷房負荷を24時間ごとに計算してみた。その結果がグラフ。
1日中冷房が必要な気温推移になる7月22日は、断熱性能が高くなるほど冷房負荷が小さくなる。断熱が冷房に効くことがわかる。
夏日程度の時期に熱がこもる
ところが9月5日になるとそれが微妙になる。外気温が30℃前後になる昼間は断熱が有利に働くが、朝晩は逆転し断熱が不利に働く。
外気温が25℃くらいまでしか上がらない10月13日は、冷房負荷が完全に逆転し、断熱性能が低いほど冷房負荷が小さくなる。すなわち断熱するほど冷房負荷が増える結果となった。
「断熱住宅は熱がこもるので暑い」、「熱がこもるので省エネにならない」という指摘は、10月13日に関しては当たっていることがわかった。
ではなぜ暑さのピークではなく夏日程度のときに冷房負荷が大きくなるのか。これは、断熱住宅は"自然温度"が高くなるので、ある意味当たり前の現象。問題は、気温25℃以下のときに通風換気をせずに冷房に頼るのが普通かどうかという点になる。
仮に通風しないなら、夏日程度の時期は断熱住宅が不利であるといわざるを得ないし、逆に通風換気(通風冷却)が普通なら、断熱住宅では熱がこもるとしても、それは実際の暮らしの場面ではほとんどないと言える。
蒸暑地でも通風が効く期間がある
商業ビルや騒音の大きい地域以外では、住宅では窓を開けて涼をとるのが普通でありそれでも涼しくならないときに冷房を使う。このことを冷房必須期間と通風有効期間という言葉でとらえ、冷房必須期間は冷房運転を前提とし、通風有効期間は窓を開けることを前提として計算すると、断熱するほど冷房負荷が低減する結果となる。通風有効期間だけを見ると、断熱性が高くても低くても冷房負荷はほとんど変わらないことがわかった。
ちなみに冷房必須期間の設定は、外気の湿気の高さに注目した計算を行っており、北海道は冷房必須期間がない地域となる。冷房必須期間と通風有効期間の設定が実態に即しているかどうかはもう少し見極める必要がある。冷房必須期間は、例えば岩手・盛岡市は7月26日~9月6日、長野・松本市が6月27日~9月10日となる(別表)。
新住協では今年、西日本で本格的な夏の暑さと冷房負荷測定を実施。試算結果を検証する。
日本は、ほぼ全域で暖房が必要になる一方、北海道を除くほぼ全域で冷房も必要になる。電力不足を契機に省エネの必要性は全国的に認められたが、その方法として「断熱」が冷房地域を中心に、まだ認められていない現実もある。断熱住宅を推進してきた北日本・東日本の基本技術と解決策が、今後本格的に西日本に広がるか。日本はこれからまた暑い夏を迎える。
上グラフ:
蒸暑地域の代表、九州・宮崎市の冷房負荷を見ると、最も暑い時期は高断熱住宅が有利なのに、日最高気温が25℃程度に下がると高断熱ほど不利になる...。なぜか
下表
冷房必須期間の試算値。北海道には冷房必須期間がない
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30℃で暑くないって本当? 高性能住宅Q&A753
https://www.iesu.co.jp/article/2011/10/20111005-2.html
2012年06月15日号から
注目のエアコン暖房②
課題は入居時の室温立ち上げ 快適性の両立忘れず
前回は5月25日号掲載。1号あいたので簡単に振り返ります。エアコン暖房に興味があるけど、心配事は熱量不足や暖気が回らないこと、そして温風暖房の不快感がないかどうかという点になると思います。家の暖房負荷に対する暖房能力については、しっかりした熱計算を行った上であれば問題ありません。ダウンドラフト対策は、手の打ちようがないので、なるべく窓の断熱性をあげておくべきでしょう。
今回は、暖房が回りきるかという点から始めます。
暖房が回りきるか
高断熱・高気密のはしりの頃、「FFストーブ1台で全室暖房」をやったことのある方なら、エアコン暖房はもっと熱が回らないだろうと見当を付けられると思います。1台のストーブをリビングに設置し、当時言われたのは、『吹き抜けを設ければ1階より2階が暑くなる、吹き抜けがないと2階が寒い』。
エアコン暖房の場合は吹き抜けがあってちょうどくらいのようです。ただし、ドアを閉めた個室は熱が回らないので、ドア上に欄間を付けるか小さな暖房器を用意する必要があるでしょう。玄関を独立させてドアを付けると、寒い玄関になるので注意が必要です。
トイレは暖房便座、ユーティリティは電気温水器などの熱源があります。ただこれらは空間を暖房するものではないので、熱量はほんのわずかです。住宅外皮の断熱性能がとても重要になってきます。
300㎜断熱+トリプルガラスの木製サッシクラスの住宅で、マイナス20℃の朝でもエアコン暖房で寒さを感じないことを体験しています。
『熱が回りやすいように』という観点から始まっているのが、エアコンの床下設置です。エアコン機器メーカーは保証対象外としているようですので、まずはその点にご注意ください。床下に設置することで、1階のフロアにムラなく熱を供給する、リターン空気を上手に設計すれば2階も暖められるというのが狙いです。
以前、このコーナーでも取り上げたように(今年2月5、15、25日号掲載)、灯油ストーブや灯油ボイラーと違い、ヒートポンプなどの熱源機は、冷え切ったコンクリート躯体のままで力任せに暖房するまでの余力はありません。なので冬場の引き渡し後は、部屋が暖まらない心配があります。ただこれは一時的な問題なので、ヒーターなどで対応すればOK。昼間暖房を切って、夜帰宅して暖房onする時に立ち上がりが遅いということはあまりないはずです。
暖房の温風が不快ではないかという心配ですが、これはほぼ大丈夫だと思います。むしろ暮らしはじめてからの温度設定が難しい可能性があります。暖房と冷房の切り替えなど、暖房専用機とは異なる特性があり、機器の特徴を使いながら知る必要があります。
断熱レベルとの関係
断熱性が高くなると、エアコンでも暖房可能。その場合、どのくらいの断熱性能が必要か、エアコンは何台必要か。
北海道ではやはりQ値1Wに近づくレベルが求められます。さらに断熱性能を高めると、エアコンはリビング1台で良くなります。暖房設備費を削って断熱にあてるという考え方が成り立つ可能性があります。
ただし、快適性の面で最も高いのは、やはり窓下に放熱器を設置する方法。その点を忘れずに、省エネと快適性の両立を考えたいですね。
2012年06月15日号から
読者のつぶやき
◆ブランド化は評判悪い?
札幌市 建材販売店 社員
地域型住宅ブランド化事業って来年もやるのでしょうか?私が知る限りでは、あまり工務店のみなさまに評判がよろしくないようです。道内でも2ケタを数えるグループが提案していますが、数が多いと審査にも時間がかかりそうな気もします。また、入会金や運営経費などを請求されるケースもありますが、「支払いたくない」と言っている工務店もいるそうです。張り切っているのは、グループの上層部の人たちなど。一部のように思えますね。
◆ネット広告はどうなのか
札幌市 公共団体 職員
今まで消費者に向けてアピールするとなると、新聞広告や雑誌広告を使っていましたが、最近はネット広告を検討するようになりました。消費者からの問い合わせも、ホームページを見てというケースも増えています。広告効果は測定しにくいのでネット広告が有効かどうかは判断しにくいのですが、活字を読む習慣が徐々に薄れてきているように思えることと、ネットという新しい分野でどんなことができるのか、一担当者として興味があるというのが理由です。
2012年06月05日号から
外野席
1001号のトップ記事は、夏の暑さ対策となりました。暑さ対策・冷房に断熱が有効であるという内容。
じつは、窓開け換気のときでも、断熱住宅は計算よりかなり有利です。ただ、日射遮へいができていないと、室内の過熱によって断熱性能の優劣など問題にならないほど暑くなってしまいます。
日射遮へいができていると、外気温が落ちるにつれて室温も低下を始めます。しかし、断熱の悪い住宅は2階の天井からの輻射熱がハンパないのです。これは経験されている方も多いのではないでしょうか。わが家の経験では、2階に熱気だまりができるものの輻射熱はかなり抑えられ、通風や冷気導入がうまくいくと下階同様に涼しくなります。
こういった現象を体感していても、これまで論理的に説明することができなかった。鎌田先生は、この問題に本気で向き合い、論点を整理したと思います。ボクは6月1日広島での講演が、今後の日本の住宅環境を変える一歩になってほしいと願います。
国や学者が何を言おうと、いい住宅、施主が支持する住宅があれば、必ずその技術は広まるはず。そう思います。
2012年06月05日号から
1000号発行のごあいさつ
1984年の創刊以来 2012年6月5日号をもちまして本紙は1000号を迎えることとなりました これも ひとえに皆様方のご支援ご鞭撻の賜物と深謝申し上げます
これを機に 社員一同いま一度初心にかえり 皆様方の御期待にお応えできますよう邁進いたす所存でございます
今後とも何卒倍旧の御高配を賜りますよう 伏してお願い申し上げます
2012年6月5日
株式会社北海道住宅新聞社
代表取締役 白井康永
社員一同
6月5日号は記念特集です。
すべてのページをダウンロードできるようにいたしました。
ぜひご覧くださいませ。
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