新聞記事

2012年05月15日号から

外断熱推進会議

普及をどう進めるか 省エネ進む欧州最新事情

20120515_02_01.jpg NPO法人外断熱推進会議北海道支部が主催する北海道パッシブハウスセミナーが4月28日に札幌エルプラザで開かれ、50人ほどが住宅の省エネ化を推進するヨーロッパ(欧州)の施策を学んだ。
 解説したのは、ベルギー・ブリュッセル生まれで、ドイツで省エネコンサルタントの研修を終了し、日本でもコンサル経験があるクーラーアンドレア氏。
 ひと言で定義すると、エネルギーパスとは、「賃貸住宅の暖房燃費表示制度」、パッシブハウスとは「超高断熱住宅」の基準を指す。
 クーラー氏によると、いずれの制度、基準も、地中海沿岸の温暖地を含む欧州連合(EU)全体の推進目標として設定され、各国が住宅の燃費改善に向かっている。
 国土交通省の資料でも示されているように、日本と欧州主要国の1世帯あたりのエネルギー消費を見ると、欧州は暖房消費が多い。省CO2へ向けて各国が暖房の省エネに乗り出しており、ドイツの民間研究所が作ったパッシブハウス基準がEUのトップランナー基準として採用されたのも、こういった背景からだという。
 一方、普及が課題となる点では、日欧ともに共通している。
 クーラー氏が質疑の中で語ったのは、今ぶつかっている3つの課題。
 1つめは、断熱材を厚手化(高断熱化)することだったが、これは業界全体が慣れてきた。2つめの新エネルギーの導入については、かなりの抵抗があったものの、ヒートポンプ機器を新エネルギーに含めて良いことになり、何とかクリアした。
 今現在、最も反発があるのが熱交換換気の導入だという。EU各国では窓開け換気が今でも主流であることがその背景にある。とは言え、出荷量は倍増しているという。
 また、こうも付け加えていた。EUでは省エネ推進を市場経済の中で実現しようとしており、元が取れない省エネ化は実現できない。逆に言えば、常に実現可能なコストと投資回収の中で、省エネ化を推進するという考えで政策が進んでいる。
 集まった50名の参加者は、先進的な取り組みを進める欧州の最新情報を興味深く聞いていた。
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【写真】ドイツ在住のクーラー氏が通訳なしで最新事情を解説


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