新聞記事

2012年04月15日号から

いま、木造賃貸がおもしろい1

 「賃貸住宅がおもしろい」という声を最近ときどき耳にする。サラリーマンオーナーが急増したり、大手賃貸デベロッパーが建てまくったりと、ときに嵐もやってくる賃貸市場だが、いま、戸建てでつちかったノウハウを投入し需要を開拓する動きが徐々に見られる。

家が足りない、ファミリー向けがない
住宅問題は意外と深刻

 2011年の住宅着工を10年前(2002年)と比べると、全国では総数が27%減に対し賃貸(貸家)は17%減にとどまる。ところが北海道は、総数が33%減に対し賃貸はそれを上回る40%減。賃貸市場が好況とは、この数字からは言えない。
 北海道内の貸家をさらに調べると、こんなことがわかった。同じくこの10年間で、木造アパートは3分の1近くに大幅減少する一方、木造戸建ての賃貸は14%減にとどまり、木造の長屋(タウンハウス、あるいはメゾネット方式)は増加して何と2・5倍。いまや長屋式は、アパート2棟に対して1棟以上の比率に達している。建て方の変化は、ニーズあるいは提案の変化だ。
 統計上、北海道は14%の空き家があるはずだが、空き家がない(住宅が足りない)という地域もある。それも都市部ではなく、町村だ。町営住宅など公営住宅の所得制限が厳しくなり入居できない。あるいは町営住宅も空きがない。民間アパートがない、呼びかけてもアパート経営をやってくれない―といった事情。
 札幌など都市部では逆に、建てた先から空室になるといった深刻な問題もある。基本的には供給過剰だが、魅力は新築だけ、というのでは、次から次と建つアパートにお客をとられることは目に見えており、家賃を下げれば収益を圧迫するという悪循環。それでも満室経営を続ける例もある。
 大きく住宅問題をとらえれば、持家が買えなくなれば、ファミリー向け賃貸が必要になる。そして北海道だけでなく日本全国、ファミリー向け賃貸は圧倒的に不足している。都市部は新築/中古ともに分譲マンションがあるが、北海道ではほぼ札幌圏限定で、住宅問題は意外と深刻だ。
 町村では民間の賃貸住宅に助成制度を用意する例も出てきている。
 道北・猿払村は、新たに村内に民間アパートを新築する個人・法人に対して、建設費の一部を助成する制度を2014年度までの期間で実施する。戸数は延べ8戸程度で、助成額は村内の施工業者は建設工事費の35%(戸当たり350万円が上限)。
 またニセコ町は、2010年度からアパートの固定資産税を減免する制度を開始したが効果がなく、今年度は半年がかりで部門横断のプロジェクトをスタートさせた。どうすれば住宅を用意できるか、という課題に対応するためだ。

新築の技術力で需要開拓

 北海道には戸建住宅で技術を磨いた工務店がたくさんいる。しかし、マイホームはピークの3分の1に減少し、とくに都市圏から離れた地域は新築がなくなっている。
 しかし、住宅は戸建てだけではない。木造アパート、そして移住者などを対象とした中古住宅の改造なども、断熱・耐震化技術を応用することで事業展開できるはずだ。
 道内でいま何が起きているか、(次の面で)まとめてみた。

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