新聞記事

2012年03月05日号から

SAPPORO ECO-E HOUSE 札幌版次世代住宅基準発表

上田市長「最高水準目指した」

 「北国で省エネに貢献しているという気持ちを持って頂ける制度にしていきたい」―。札幌市の上田文雄市長が先月27日に行われた定例記者会見で市独自の高断熱・高気密住宅基準となる「札幌版次世代住宅基準」を発表した。愛称は『SAPPORO ECO―E HOUSE』。新築で5段階、改修(リフォーム)で3段階の等級を設定し、新築については今年4月から市民向け補助を開始する。

暖房エネ大幅削減へ
温暖化対策推進の一環

20120305_01_03.jpg 同基準は、先導的な札幌独自の性能基準を定めることによって、高断熱・高気密住宅の普及を図り、家庭からのCO2排出量のうち特に大きな割合を占める暖房エネルギー消費の大幅な削減を目的としたもの。市では平成22年度に有識者による技術検討会議を6回開き、最終的に基準案などをまとめた後、普及促進に向けた支援策などの制度設計を行ってきた。
 また、同基準は市が1年前に策定した「札幌市温暖化対策推進ビジョン」で、中期目標である温室効果ガス削減量507万tのうち、340万tを削減する10のアクション(行動)の一つ。平成32年度まで市内の住宅ストックの6・3%が同基準に適合し、約30%が次世代省エネ基準をクリアすると仮定した場合、温室効果ガス削減量は10のアクションによる削減目標の約9%に相当する29万tとなる。

性能等級は最高で
パッシブハウス相当

 同基準の対象となるのは、戸建住宅および共同住宅で、構造は木造・鉄骨造・RC造・ブロック造。「現時点で最高水準を目指した」(上田市長)という性能等級は、新築・改修ともに熱損失係数=Q値と相当隙間面積=C値のみで規定され、新築はパッシブハウスに相当するトップランナーから、次世代省エネ基準比で暖房エネルギー消費を2割程度削減できるベーシックレベルまでの4つの等級を独自基準とし、さらに次世代省エネ基準と同水準のミニマムレベルを設定。改修はQ値0・7W以下・C値2・0㎠以下のハイレベルを筆頭に3つの等級を設定した。
 なお、今年4月から開始する市民向け補助は、トップランナー〜ベーシックレベルまでの新築戸建住宅のみ対象とし、補助額はトップランナー200万円、ハイ〜ベーシックレベル50万円の予定。
 会見では同基準の愛称が『SAPPORO ECO―E HOUSE』に決まったことに加え、同基準の適合認定を受けた住宅に交付する性能表示ラベル(金属製プレート)と認定証のデザインも発表。デザインは札幌市立大学デザイン学部によるもので、トップランナーとそれ以外でカラーリングを変えている。

省エネ住宅の
建設を文化に

20120305_01_04.jpg 会見の中で上田市長は「認定証や性能表示ラベルを交付することで、市民のみなさんにわかりやすく性能を示し、省エネ住宅の普及を推進していきたい。この基準に適合する住宅に住んでもらうことにより、省エネに貢献しているという誇りを持って暮らして頂ける制度に作り上げていこうと考えている」と、同基準の普及に向けて意欲を示したほか、普及支援について「補助は無限大にできるものではないが、私は省エネ住宅の建設が文化として確立されることを理想としている。その理想実現へ向けて必要十分な政策をとっていきたい」と語った。
 なお、同基準の詳細については、市のホームページで資料が公開されている。
   ◇   ◇
 本紙では次号(3月15日号)で札幌版次世代住宅基準の特集記事を掲載予定です。

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