新聞記事

2011年10月25日号から

防湿層室内側の断熱はNG?

高性能住宅Q&A 754

結露防止計算で確認
20111025_01_01.jpgQ・・・100mm以上の高断熱を目指して、外張り断熱に充てん断熱を加える場合や、リフォームで外壁の外側に断熱付加する場合があります。ところが長期優良では通らないケースがあると聞きました。どういうことですか(札幌・工務店社長)。

A・・・この問題は少々ややこしいので、図を見ながら問題がどこにあるのかを説明したいと思います。
 図1のような断熱構成があるとします。いわゆる充てんと付加の複合断熱で、充てん断熱材は高性能グラスウール16K100mm、外壁側付加断熱はフェノール/ウレタン55mm。この場合、充てん断熱と付加断熱の断熱性能はほぼ1対1なので、防湿層の位置は室内側(石こうボードの下)になります。
 では図2はどうか。充てん断熱が半分の50mm。断熱性能はほぼ2対1となり、カナダR―2000住宅マニュアルではこの場合、防湿層を断熱性能で室内側から3分の1、すなわち外壁下地の位置に置いてよいとしています。同様のケースは、外張り断熱の充てん付加断熱と、断熱改修の外張り付加があります。
 図3はどうでしょうか。付加断熱が室内側になり断熱材は充てんと同じグラスウールで45mm。断熱性能はほぼ2対1ですから、防湿層は構造体の室内側でいいことになっています。
 ところが長期優良住宅(住宅性能評価)では図2も図3もNGです。
 基本的には、防湿層を断熱層の中におくことを性能評価制度では想定していないようです。なので、もしそういう断熱構成を考えるなら、結露防止性能が充分であることを「内部結露計算シート」(住宅性能評価・表示協会事務局)によって確かめよ、ということになります。
 札幌を例に計算した方によると、断熱性能は3対1になったそうです。カナダR―2000よりもかなり安全側です。
 これを先の図2、図3に当てはめると、図2では外張り断熱材が87mm必要になり、図3では135mm。
 最後に、もう一つ大切なことですが、等級4(次世代省エネ相当・Q値=1・6W)をクリアするだけなら、防湿層は断熱材の室内側に設置することで基準をクリアするはずです。申請の手間や時間を考えても、防湿層の室内側に断熱材を配置するのは得策でないと思います。
 住宅性能評価基準が見直しになる期待もありますので、もう少し様子を見守りたいと思います。


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