新聞記事

2011年10月25日号から

札幌版次世代住宅基準

市民・モデルハウスに来年度から補助

 札幌市は、今年3月末に最終案を取りまとめた「札幌版次世代住宅基準」について、新築で4段階、リフォームで3段階の断熱・気密性能レベルを設定し、新築は来年度から市民向けとモデルハウス向けの補助制度を開始する。
 札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として昨年から制度内容を検討。6回にわたる技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)で基準案がまとめられ、同市では今年度、普及促進に向けた支援策などの制度設計を行った後、本格的な基準運用をスタートさせる考えを示していた。
 新築の基準はベーシックレベル(Q値1・3W以下、C値1・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、1・0以下)、ハイレベル(同0・7W以下、0・7以下)、トップランナーレベル(同0・5W程度、0・5以下)という4つの性能レベルを設定。これらに適合する住宅・モデルハウスを建てる市民・住宅会社に補助を行う。
 補助額はまだ明らかになっていないが、モデルハウス向けは次世代省エネ基準からのコストアップ分が補助額となる予定。市民向けは各性能レベルに応じて補助額を変えるかどうか、これから検討するとしている。補助件数は、平成26年度まで市民向けとして279件、モデルハウス向けとして16件をそれぞれ見込んでいる。
 なお、モデルハウスについては建設する住宅会社を一般公募する予定。東区東雁来の住宅団地・ウェルピアひかりのでまとまった区画を用意し、マイホームセンターのような総合住宅展示場形式とする構想だ。

20111025_03_01.jpg

リフォームへの補助は今後の課題
 リフォームの基準はベーシックレベル(同1・4W以下、2・0超え5・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、2・0以下)、ハイレベル(同0・8W以下、2・0以下)の3段階に設定。現在すでに省エネリフォームを対象としたエコリフォーム補助制度が行われていることもあり、同基準によるリフォームへの補助は未定で、同市建築部建築企画課では今後の検討課題としている。
 このほか、基準に適合する住宅には性能レベルを表したプレートの設置や、Q値・暖房エネルギー消費量などを記載した性能保存シートの発行によるラベリング制度を導入することによって、資産価値の向上とブランド化を図る計画。
 これらの制度内容の詳細が正式に決定・公表されるのは、来年1月下旬頃になる見込みだ。
 同市では今年3月に策定した札幌市温暖化対策推進ビジョンの中期目標である「2020年にCO2排出量を1990年比で25%削減」を達成するためには、同基準の普及促進が不可欠であるとし、2020年までに新築は100%同基準に適合させる考え。その内訳はベーシックレベルが60%、スタンダードレベルが30%、ハイレベルおよびトップランナーレベルが併せて10%と想定している。


2011年10月25日号から

読者のつぶやき

◆いつまでもこんな景気は続かない
札幌市 住宅会社 部長

 数年前から対象顧客を予算に余裕のある層に限定し、競合を避けて営業したところ、昨年から今年にかけては平均単価が3,000万円台になりました。幹部は大喜びしていますが、仕掛けた自分としてはいつまでもこんな景気が続くわけないと思っていて、むしろ怖いのです。グレードを上げたのは競合対策で、当社本来の2,000万円台の顧客にもアプローチしたいのですが、そうすると新しい商品を作らねばなりません。幹部の承認が得られるかどうか・・・。

◆電気は売れるがお湯は売れない
オホーツク 工務店 社長
 太陽エネルギー利用という点では光を電気に変換するより、熱でお湯を作ったほうが効率的と言われますが、お客様の関心はやはり太陽光発電のほうが圧倒的。考えて見れば電気は売ってお金になるけれど、お湯は売れないですよね。経済的に目に見えてトクになるほうを選ぶのは、ある意味当然かもしれません。国の力の入れ方も違うみたいですし。私としては太陽熱給湯をやってみたいのですが、設置したいというお客様を見つけるまでには、まだ時間がかかりそうです。

◆家が良かったのか治療の効果か・・・
道北 工務店 社長
 シックハウスは少なくなったと言われていますが、当社のお客様の中にはアレルギーの方や化学物質に過敏な方も結構います。標準仕様でシックハウス対策にはかなり気を遣っていますが、これらのお客様には建材のパッチテストを行うなど、念には念を入れます。そのかいあってか入居後に体調が良くなったという声をよく聞くのですが、お客様は病院にも通っているので、治療の効果かもしれません。家が良かったので健康になったと言いたいところなんですが...。


2011年10月25日号から

防湿層室内側の断熱はNG?

高性能住宅Q&A 754

結露防止計算で確認
20111025_01_01.jpgQ・・・100mm以上の高断熱を目指して、外張り断熱に充てん断熱を加える場合や、リフォームで外壁の外側に断熱付加する場合があります。ところが長期優良では通らないケースがあると聞きました。どういうことですか(札幌・工務店社長)。

A・・・この問題は少々ややこしいので、図を見ながら問題がどこにあるのかを説明したいと思います。
 図1のような断熱構成があるとします。いわゆる充てんと付加の複合断熱で、充てん断熱材は高性能グラスウール16K100mm、外壁側付加断熱はフェノール/ウレタン55mm。この場合、充てん断熱と付加断熱の断熱性能はほぼ1対1なので、防湿層の位置は室内側(石こうボードの下)になります。
 では図2はどうか。充てん断熱が半分の50mm。断熱性能はほぼ2対1となり、カナダR―2000住宅マニュアルではこの場合、防湿層を断熱性能で室内側から3分の1、すなわち外壁下地の位置に置いてよいとしています。同様のケースは、外張り断熱の充てん付加断熱と、断熱改修の外張り付加があります。
 図3はどうでしょうか。付加断熱が室内側になり断熱材は充てんと同じグラスウールで45mm。断熱性能はほぼ2対1ですから、防湿層は構造体の室内側でいいことになっています。
 ところが長期優良住宅(住宅性能評価)では図2も図3もNGです。
 基本的には、防湿層を断熱層の中におくことを性能評価制度では想定していないようです。なので、もしそういう断熱構成を考えるなら、結露防止性能が充分であることを「内部結露計算シート」(住宅性能評価・表示協会事務局)によって確かめよ、ということになります。
 札幌を例に計算した方によると、断熱性能は3対1になったそうです。カナダR―2000よりもかなり安全側です。
 これを先の図2、図3に当てはめると、図2では外張り断熱材が87mm必要になり、図3では135mm。
 最後に、もう一つ大切なことですが、等級4(次世代省エネ相当・Q値=1・6W)をクリアするだけなら、防湿層は断熱材の室内側に設置することで基準をクリアするはずです。申請の手間や時間を考えても、防湿層の室内側に断熱材を配置するのは得策でないと思います。
 住宅性能評価基準が見直しになる期待もありますので、もう少し様子を見守りたいと思います。


2011年10月25日

なるほど!素敵に写せる住宅写真術 第2回 Webでの補足

【ブレボケ写真の実例】
連載記事ではわかりづらかった『失敗写真』を原寸大でご覧下さい。
※下の2点とも、画像をクリックすると別画面で拡大されて表示されます。
 
 
ピンボケ写真
111025_syashin_2150_2.jpg連載記事に掲載した『写真1』をトリミングしたもの。写っているもの全ての輪郭がぼやけている。

原寸大でクリックしてみても、フローリングの木目ははっきりしないし、なんかぼやけている。こういう失敗は、後で修正が利かない。
 
 

手ブレ写真
111025syashin_0663_2.jpg110mm相当という望遠で撮ったこと、上向きに無理な姿勢で撮ったために手ブレを起こしてしまった。シャッター速度も1/20秒と遅めだが、暗いのでこれ以上速くできなかった。少しのブレであれば、後からパソコン上で多少修正は利く。
本来は、ストロボを併用すべき事例。
 
 
 
【カメラの正しい構え方】
手ブレしにくい構え方は、さまざまなサイトで解説されていますが、比較的わかりやすいと思われるページを見付けてきましたので、リンクを貼っておきます。
 
 
アサヒカメラ.net(朝日新聞出版)
http://www.asahicamera.net/info/technique/kamae.php
※デジタル一眼レフの正しい構え方を説明
 

BPnetセカンドステージ(日経BP社)
http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/manabi/digicam_061122_2.html
※コンパクトデジタルカメラ中心に説明

 
今日から始めるデジカメ撮影術第65回(アイティメディア)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0701/25/news011.html
※コンパクトデジタルカメラの構え方が詳しく出ている。また、ブレ写真についても詳しく解説

 

【参考】 感度と手ブレ、画質との相関関係
一般的に、感度と手ブレ、画質(きれいさ)の間には深い関係があり、感度を上げると手ブレしにくくなりますが画質(きれいさ)は悪化します。

低感度(ISO200未満) 手ブレしやすい        画質◎
中感度(ISO200以上800未満) 手ブレしにくい     画質○
高感度(ISO800以上) ほぼ手ブレしない       画質△


なお、屋外では低感度でも手ブレしやすいシャッター速度になることはまずありませんが、室内は暗いので低感度ではなかなか撮れません。画質を良くすると手ブレしやすくなるので場面に応じた感度選択が重要です。

感度設定は、プロはその場で判断できますが、一般人にはなかなか判断がつきません。そこで最近のカメラに採用されている「自動感度」を選びましょう。


一方、夜や天気の悪い日の室内撮影は、感度を上げてもシャッター速度が上がらないことがありますので積極的にストロボを使った方がいいでしょう。お使いのカメラで「ストロボ強制発光」という機能があるはずですので、それをONにします。「全自動モード」「シーンモード」などの場合は、ストロボのオンオフがカメラ任せしかできない場合もありますので、その場合はモード切替を「P」に変更して下さい。


<お知らせ>
「なるほど!素敵に写せる住宅写真術」の第3回掲載は11月15日号の予定です。


2011年10月19日

なるほど!素敵に写せる住宅写真術 第1回 Webでの補足

説明書をパソコンで読む

連載記事では、カメラの選び方を書きましたが、もう一つ大事なことがあります。
それは、「説明書をよく読む」ことです。


当たり前のようですが、説明書を読むのは意外に面倒なもの。特に、カメラの場合は持ち運びできるように説明書の大きさが小さく、逆に文字などが見づらいことがあります。また、カメラをいじりながら使い方を覚えようとしても、説明書を開いたままにできないなど不便さを感じることがあります。

そこで、このページを見ている人にとっておきの情報をお知らせします。
取扱説明書は、パソコンやiPadで読むのです。


たとえば、フォーカスロックについて111025_syashin_manu.jpg説明書をパソコン画面で見るとこんな具合です。(画像をクリックすると画面いっぱいに広がります)
 

お手持ちのパソコン画面いっぱいにマニュアルを拡大することができます。

説明書はPDFという形式のファイルですが、ほとんどのパソコンにはこのPDFを読み込めるソフトが入っています。入ってない場合は、無料で使えるソフトがAdobe社からダウンロードできます。

AdobeReader(無料)をダウンロード


取扱説明書がダウンロードできる場所(2011.10.17現在)

※お手持ちのデジカメのメーカーを確認してから、下記のリンクから説明書をダウンロードします。型番は、カメラの底カバー部分などに書かれていることが多いので確認しましょう。
※メーカー名は順不同です

キヤノン
http://cweb.canon.jp/manual/digitalcamera/
※キヤノン旧製品はこちらから
http://cweb.canon.jp/manual/digitalcamera/index-old.html

ニコン
http://www.nikon-image.com/support/manual/m_pdf_select.htm#heading02

ソニー
http://www.sony.jp/ServiceArea/impdf/sc-smc-mc-8375.html

オリンパス
http://www.olympus.co.jp/jp/support/cs/man/man_compact.html

パナソニック
http://panasonic.jp/support/dsc/manual/manual_02.html

ペンタックス
http://www.pentax.jp/japan/support/download_manual.html

リコー
http://ricoh.co.jp/dc/support/manual_pdf/

 
 

※連載本文は北海道住宅新聞10月5日号をご覧下さい。
まだご購読されていない場合は、下記のボタンを押して試読紙をご請求下さい。


2011年10月15日号から

平成24年度概算要求 ゼロエネ住宅に補助

20111015_01_01.jpg "ゼロ・エネルギー住宅に補助・支援"―。このほど各省庁がまとめた平成24年度予算の概算要求で、住宅関連では国土交通省と経済産業省がゼロ・エネルギー住宅の普及推進を目的とした補助金制度の創設などを盛り込んだほか、省エネ性能の認定制度を立ち上げ、認定を受けた住宅に税制優遇を行うことも計画。環境省ではリフォームのみ対象とする〝節電リフォーム推進エコポイント制度〟を実施する考えだ。

一次エネルギーゼロに
 各省庁の来年度予算概算要求の中で、住宅関連事業の目玉となりそうなのが、ゼロ・エネルギー住宅への補助・支援だ。
 省CO2・省エネ推進を目的に、国交省では断熱性能を高められる先導的省エネ技術の導入や、再生可能エネルギーの活用による創エネ・蓄エネによって、年間の1次エネルギー消費量が正味ゼロになる住宅=ゼロ・エネルギー住宅の建設を支援する「ゼロ・エネルギー住宅推進事業」に50億円の予算を要求。
 経産省でもゼロ・エネルギー住宅・公共建築物の新築・改修事業に補助を行う「住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業」に140億円の予算を要求している。
 ゼロ・エネルギー住宅のイメージとして国交省では、躯体や設備の省エネ性能向上によってエネルギー消費量を削減し、削減後のエネルギー消費量は太陽光発電などの活用によって作られたエネルギーでまかなうことにより、年間の1次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロまたは概ねゼロになる住宅と説明。具体的には躯体の高断熱化や太陽光発電、太陽熱温水器、高効率給湯設備、高効率エアコン、蓄電池、HEMS(ヘムス)の導入などが想定されている。

長期優良補助は形変えて継続実施
 また、国交省は中小住宅会社が建設する長期優良住宅に100~120万円を補助する木のいえ整備促進事業の内容を見直し、地域ごとに原木供給元や製材工場、プレカット工場、中小工務店などの連携による木造の長期優良住宅に対して支援を行う新しい事業として実施する予定。
 このほか、長期優良住宅先導事業は予算要求を行っていないが、住宅・建築物省CO2先導事業は来年度も予算を要求しているという。
 経産省では家庭等の節電支援を強化するため、住宅用太陽光発電と家庭用燃料電池のエネファームに対する補助を継続要望しているほか、蓄電池やヘムスの導入支援も予算額未定のまま要望。いずれも今年度3次補正予算と来年度予算を一体化して取り組む考えで、住宅用太陽光の予算要求額は127億円と前年度の3割程度だが、エネファームは前年度比9億円増の96億円としている。

以下省略
※続きは試読をお申し込みください。
(伝言欄に「10月15日号から希望」とお書き添えください)
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年10月15日号から

ヘムス(HEMS)

スマートハウス研究 (その3)

 これまで2回にわたってHEMS(ヘムス)について誤解を恐れずに解説してきた。そこから、未来はすごいが現状は発展途上ということが見えてきたと思う。最終回となる今回は、スマートハウスの現状と今後の見通しについて考えたい。

東京でスマートハウス見学
 9月28~30日にかけて東京で恒例のジャパンホームショーが開催、特別企画として「スマートハウス・エコハウス・次世代照明特集」が組まれた。積水ハウスは、同社が横浜に建設した「観環居」(かんかんきょ)と呼ぶスマートハウス実験住宅で採用している技術をパネル展示したほか、ヘムスのデモンストレーションを行った。
 そこでは、消費エネルギーの「見える化」だけでなく、離れて暮らす両親の消息や町内会の電子回覧板などのコミュニティー機能、最寄り駅の電車の時刻表示など、インターネットとも融合した「家庭用ポータルサイト」とでも言うべき表示内容だった。
 しかし、同ショーではほかに目立った展示は見られなかった。急きょ横浜市内に移動してスマートハウスのモデルハウスを見に行ったが、「観環居」は平日非公開のため見学できず、住友林業が公開しているスマートハウスを見に行った。
 このスマートハウスは住宅展示場のモデルハウスとしての位置づけが重視されており、エネファームや蓄電池は稼働しない『模型』扱い。さらに、ヘムスの家電コントロールも節電のためエアコンなどの元コンセントを抜いているということで動作状況は見学できなかった。スマートハウスの実態がなかなか見えてこない。

カギ握る「最適化制御」
 月が改まって、今月4日から8日まで映像・情報通信技術の総合見本市「CEATEC(シーテック) JAPAN2011」が千葉・幕張で開かれ、初日にパナソニックの大坪文雄社長がスピーチを行った。その中で創業100周年に向けた同社の方向性の1つとして述べた内容がまさにスマートハウスと言えるものだった。
 それによると、ヒートポンプ機器などの『省エネ』、太陽光電池や燃料電池で電気を生み出す『創電』、その電力を大容量蓄電池や電気自動車のバッテリーに貯め込む『蓄電』、そしてこうした創電、蓄電の状況やタイミングを見極め、家庭内のエネルギー使用状況をモニターしながら最適な節電のアドバイスまで行うヘムスに代表される『最適化制御』、この4つを提供できるのが同社だという。それは、スマートハウスの中核技術そのものだ。
 そして今、大手ハウスメーカーや通信・家電・コンピューターメーカー、自動車会社などが束になってこの4つを融合させようとしているのがスマートハウスの現状と言える。

実用化には課題も
 しかし、もう一方ではマスコミのセンセーショナルな報道に動じる必要はないと感じた。というのも、規格の統一やシステムのコンピュータウィルス対策、蓄電池とヘムスの連携、低価格化など、実現にはいろいろ課題があるからだ。
 ここで予想されるのは、ヘムスと太陽光発電、低コスト蓄電池など現実的に実現可能な技術だけを抜き出して「○○式スマートハウス」のようなものが乱立する可能性。一時期の『健康住宅』ブームのようになり、混沌とした状況になるかも。
 こうした混乱の中でも、消費者から住宅会社への問い合わせも徐々に増えてくることが予想される。

ヘムスがお手頃に
20111015_02_01.jpg スマートハウスに必要な4要素をそれぞれ検討してみると、ヘムスが一番採用しやすいと言える。NECが既に10万円以下の機種を発表するなど、低価格化が進んでいるためだ。元は、太陽光発電状況をモニタリングする機器として始まったため歴史もあり、分電盤を専用品に変えてモニターを取り付けるというレベルなら採用しやすいと言える。
 省エネに関しては次世代省エネ基準よりも上の性能レベルが求められるが、技術的には問題ない。創電も太陽光発電については、実用化されて年数が経っているのでハードルは価格以外にはあまりないと言える。
 問題は蓄電。現状では蓄電池の単価が高く、家庭で使う1日分の電力をバックアップするのに100万円でも足りないぐらい。しかも、蓄電池の寿命は5~10年程度と言われているため、ランニングコストを考えるととても実用的とは言えない。電気自動車の活用も言われているが、電気自動車そのものが発展段階で、普及率も非常に低いために手を出すのはリスクが多い。
 スマートハウスの現状はこのように黎明期という感じだが、政府の政策次第で主流になる可能性もある。今後の動向から目が離せない。

画像
ジャパンホームショーで展示された積水ハウスのヘムス

HEMS連載の初回へ


2011年10月15日号から

読者のつぶやき

◆「モダン」「ナチュラル」? 
札幌市 工務店 社長
 ある住宅会社の営業マンに、自分が建てたい家のイメージを一生懸命説明したら「モダン系でしょうかね」と言われて一気に冷めたというお客さんがいました。理想のイメージを担当者と共有したかったお客様は、自分の要望を自社の商品や「モダン」とか「ナチュラル」といった類型で仕分けようとした営業マンにがっかりしたようで「私はモダン系住宅を建てたいわけではないのに...結局この担当者はいくら話しても分かってくれなさそうだ」と他社を選んだそうです。

◆地方は景気悪いかも
札幌市 建材販売会社 課長
 札幌は今年好調なビルダー様が多いように感じます。中には忙しくてなかなか連絡の取れない社長様もいます。一方、地方では受注が伸び悩んでいるビルダー様が多いように思います。建築確認や着工統計からすると、地方も数字上はそれほど悪くないのですが、よくお取引いただいているビルダー様は、少し発注量が落ちているようです。長期優良住宅の補助金やフラット35Sの特別優遇金利が終わったので、今後の動向はちょっと心配です。

◆エネルギーの見える化は大切
オホーツク 工務店 社長
 北海道住宅新聞でも記事に取り上げていますが、HEMS(ヘムス)を当社でも採用できないかと考えています。やはり実際に使っている電気や灯油の使用量がわかるのとわからないのとでは、お客様の省エネ意識も変わってくると思うからです。現状では毎月の請求書を見て「今月は使いすぎた」とか「意外と少なかった」などとなりますが、それは結果論。リアルタイムで電気の使用料などがわかれば、もっと節約しようという意識も高まるんじゃないでしょうか。


2011年10月11日

長期優良100万円補助 第2回募集を開始

2011年12月16日まで先着順

 国土交通省では、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し建設費の1割以内、最大100万円(地域材利用で120万円)の補助を行う「平成23年度・木のいえ整備促進事業」の第2回募集を今月11日㈫から開始、12月16日㈮(必着。東日本大震災の被災地7県除く)まで補助金交付申請を受け付ける。1社あたりの最大申請戸数は前年度第2回募集で行われた事業登録と今年度第1回募集で補助金交付決定通知を受けた住宅を含めて5戸まで。

 第2回募集は、これまで同様に補助額が最大100万円の「一般型」と、最大120万円の補助が受けられる「地域資源活用型」の2つの住宅が対象で、応募できる住宅会社や補助の対象となる住宅の要件は今年度第1回募集と同じ。

 補助を受けるにあたっては、①12月16日㈮(必着)まで同事業へのエントリー兼補助金交付(追加)申請を行う②補助金交付決定通知書受理後に着工する③施工中の現場の一般公開を行う⑤住宅完成後、引き渡しや住宅履歴情報の保管などがすべて終了した日から30日以内または来年3月16日㈮(必着)のいずれか早い日までに実績報告書を提出⑥補助金交付額確定通知書の交付⑦来年9月中に補助金支払い(予定)--という流れになる。

 ただ、エントリー兼補助金交付(追加)申請の受付は先着順とし、申請状況によっては12月16日より前に受付を停止したり、追加で募集を行うことがあるとしている。
 なお、東日本大震災の大規模被災県である青森・岩手・宮城・福島・茨城・栃木・千葉の各県に建設予定地がある場合は、来年1月20日㈮(必着)まで申請を受け付け、実績報告の締め切りも来年6月20日(水)までとなる。
 申請書類や手続きに関するマニュアルなどはホームページからダウンロード可能。
 詳しくは平成23年度木のいえ整備促進事業実施支援室(☎03・5229・7643)へ。

ホームページ・http://www.cyj-shien23.jp/


2011年10月05日号から

読者のつぶやき

◆外観はさほど変わらない
札幌市 リフォーム店 店長
20111005_01_01.jpg フルリフォームのパンフをつくっていて気がついたのですが、古い家を骨組みだけにするフルリフォームは、劇変する室内に比べ外観は意外と変わりません。施工例を見て気がついたのですが、写真でビフォー/アフターを比べたら、色が違うだけに見えるケースがとても多いのです。大がかりな増築を伴わないこと、そして屋根形状がフラット系のまま変化がないことが原因のようです。昔のリフォームは三角屋根を無落雪にして、増築して総2階にするなんてのが多かったので、ずいぶん変わったものです。

◆部屋数の少ない家
札幌市 工務店 社長
 今20~30代の住宅購入者層に話を聞くと、子どもが数人でも間仕切りできれば1部屋でいい、リビングダイニング、客間なども仕切りなし、吹き抜けや大きな窓も欲しいという開放感重視の声が多いと思います。親世代だと部屋数が少ないと納得出来ない人も多いようですが、実際のところ両親の同居もしない、客は呼ばない、子どもも多くて2人、家財道具も最小限、子育てが終わったら夫婦2人の家、が実状ですから部屋数は少ない、しかも小さな家で十分でしょうね。

◆インターネットでの反響
札幌市 工務店 社長
 最近契約が決まったお客さまは、インターネットに掲載された事例の記事がきっかけでした。突然「お願いしたい」というような電話があったので驚いたのですが、それまで大きな反響もなかったので「ネットに掲載してもこんなものかなぁ」と思っていました。掲載事例が少々特殊なものだったので、インターネット検索でダイレクトに記事がヒットしたのかもしれません。どちらにしても、決まるときはすんなり決まるものだと思いました。


2011年10月05日号から

30℃で暑くないって本当?

高性能住宅Q&A 753

床壁温度を上げない

Q...最近北海道も夏暑くて、まるで本州みたいです。ところが本州の方が『30℃でも暑くない家がある』とウソみたいな話をするのを聞きました。どうにも納得できませんし、暑ければエアコン入れればいいじゃないですか。(札幌・工務店社長)

A...このところ夏の暑さ対策の記事を立て続けに取り上げています。というのも、北海道の夏が長く暑く湿っぽくなってきているからです。そして、編集部がふた夏に渡って行ってきた日射遮へいの効果検証から、信じられない効果があると実感したので、この結果を伝えたいと思います。

あり得ないことがある

 高断熱・高気密住宅の黎明期のころ、完成住宅の見学者から「床暖房しているんですね」と質問されたことを思い出します。『冬は床が冷たくて当たり前。暖かい床は床暖房しているはず』本州から北海道へ視察に来られた方も異口同音におっしゃったものです。でも、床暖房はしていません。ちゃんと断熱しているだけなのです。
 これと同じ信じられない話が、夏の環境でもあるのかどうか。
 結論から言えば、「床暖房しているように温かい断熱床」があるように、「冷房なしでも平気な日射遮へい住宅」があります。ポイントになるのは、床・壁・天井の表面温度です。
 わかりやすいところで、冬の話からまいりましょう。断熱床は室温以上の表面温度になることはありません。それなのに暖房しているほど暖かいと感じるのは、冬に室温とほぼ同じ温度の床を歩いたことがないから錯覚するというのと、表面が20℃以上あればじゅうぶん暖かく感じるということでしょう。『あり得ないことがある』のが断熱住宅です。
 夏も同じことが起こりうると想像してみてください。

カギは屋外で日射をさえぎること

20111005_02_02.jpg なぜ家の中が暑いか。自分は室温が高いからだと思い込んでいましたが、どうやらそれは勘違いのようです。窓からの日射が周壁を加熱させていることにこれまで気がつきませんでした。室温30℃程度までなら、周壁が加熱しない限り暑くは感じないのです。

 周壁温度を抑えるためには、①断熱性を高めて屋外から室内を遮断する②通気層で外壁・屋根面の過熱を冷却し影響を少しでも減らす③窓面の外部遮へいで日射を室内に入れない―ことが必須です。必須条件が冬より1項目増えています。それが③の窓面の外部遮へいです。

 ふた夏に渡って行った日射遮へいの効果検証では、ひと夏めは南東面だけを遮へいし、南西面は軒が深いのでまあいいかと手を打ちませんでした。もちろん、南東面の遮へい効果は絶大でしたが、やはり室内が27℃以上になると暑い。そして太陽高度が下がる8月中旬から9月にかけて真夏日があると、家の中はかなり熱せられる。
 ふた夏めは南西面も遮へいしました。7月から8月上旬にかけてはひと夏めと違いが感じられなかったのですがお盆ころから明らかに違いが実感できました。室温を見ると28、29℃に達していても、暑くないのです。こんな経験は初めて。まさにあり得ないことが起きたのです。

20111005_02_01.jpg
 そして8月11日を迎えます。
 この日はお盆休みの初日。札幌は最低気温が24・9℃でほぼ熱帯夜、最高気温が34℃近くに上がった残暑厳しい1日でした。
 グラフはわが家の室内温度と気象台気温を30分おきにグラフにしたものです。室温はいつも外気温より低いのですが、この日は外出したため、窓開けによるコントロールが夕方までできず、その結果室温が30℃に達しました。
 帰宅して窓を開けると、一気に室温が下がっているのがわかります。外気温が下がると素直に室温も下がるのは室内に熱源がないから。逆に言えば、室温が下がらない家は、通風が悪いのではなく室内が日射で熱源を抱えてしまったからです。

 ウソっぽい話ですが、本当です。もう一度冬を思い出してください。床暖房していないのに床が暖かいなんて、ウソくさい話ですが、本当なのです。

断熱住宅は夏暑いって本当!?

20111005_02_03.jpg 『断熱住宅は夏暑い』は、本当っぽいけどウソです。その理由はここまで見てきたように、夏暑い理由は日射による周壁の加熱。『断熱効果で保温されるから暑い』というのは本当っぽいウソです。断熱が悪ければ天井からの照り返しも加わって住宅はさらに暑くなります。

 関東以西には『断熱住宅は夏暑い』と語る専門家もいますが、よく聴くとけっきょく断熱の効果をわかっていないですね。
 夏の暑さ対策では本州に学ぶことも多いですが、ベースは断熱にあることを忘れてはならないと思います。(本紙編集長)

写真上
日射遮へいした室内は、意外と明るい。外からの視線をさえぎる効果もある

外付けロールスクリーンのカタログ。何を使うかは設計者の腕の見せどころではないか

*関連記事*
白い布1枚で"すだれ"と同等 窓開けのじゃまにならず、明るさも
https://www.iesu.co.jp/article/2012/08/20120815-1.html

雨の日も窓を開けたい 高性能住宅Q&A752
https://www.iesu.co.jp/article/2011/09/20110925-2.html

鎌田紀彦室工大教授が論破「断熱住宅は暑さにも効果的」
https://www.iesu.co.jp/article/2012/06/20120615-1.html


2011年10月05日号から

変わるハウスメーカー地図

タマ・一条進出の影響を探る
 札幌に本州大手のタマホームと一条工務店が進出してきたのが平成20年。潜在需要の活性化を期待する声がある一方で、受注競争の激化を不安視する声も多く、その動向に多くの住宅会社が関心を寄せた。それから3年。両社の進出で札幌の業界勢力図にはどのような変化があったのか。タマホームの全道展開が加速したのを機に検証した。

8社がランク外に
 タマホームは平成20年に札幌に進出してから、苫小牧にロードサイド店の営業所を開設、一条工務店は北海道マイホームセンター札幌会場に続き南会場にも出店。その後は両社とも主立った動きは見られなかったが、9月下旬にタマホームが札幌北、旭川、帯広、函館のマイホームセンターに相次いでモデルハウス兼営業拠点をオープン。道北・道東も営業エリアとなり、道南は苫小牧から函館までカバーする体制が整った。
 それでは札幌の住宅市場は両社の進出でどうなったのか。
 平成22年の札幌市内戸建専用住宅確認済棟数上位30社のデータを、両社が札幌に進出する前の平成19年と比べてみると、残っているのは24社。8社がランク外となっており、新たにタマホームと一条工務店を含む7社がランクインしている。ランク外となった住宅会社は平成20年に経営破たんした松本建工と旧木の城たいせつを除くと、年間30~40棟クラスの住宅会社で21~30位に位置していた。逆に新しくランクインした7社はタマホームと一条工務店を除き、いずれも年間30~40棟クラスの地場住宅会社。このうち2社は創業10年未満の若い会社だ。
 このように年間30~40棟クラスの住宅会社で入れ替わりはあるものの、比較的新しい住宅会社も出てきていることを考えると、それ自体はタマホーム・一条工務店進出の影響と言い切れない。

中堅クラスが混戦模様
 一方で、年間50棟以上の上位20社の順位変動が激しい。
 特に目に付くのは、トップがかわったこと。しかもそのトップはタマホームが進出した当時、最も影響を受けるのではないかと言われていた住宅会社だ。
 また、上位20社の中でも11~20位、棟数で見れば年間50~100棟クラスの住宅会社のアップダウンが激しく、平成19年に11~20位に入っていた住宅会社10社のうち、22年には8社が入れ替わっている。同じランク内に入っていたのは僅か2社のみで、3社はトップ10内に入り、4社は21位以下にダウン、残る1社は経営破たんした。
 タマホームでは札幌市内を含め全道展開をさらに加速させる構えを見せており、このほど進出した地方都市でもどのような市場の変化が起こるか注目されるところだ。

平成19年と22年の札幌市内戸建専用住宅確認申請済棟数ランキングは、試読をご請求ください。
(伝言欄に「10月5日号から希望」とお書き添えください)
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年10月05日

ノーマ財団 福祉住宅に助成金

11月まで申し込み受付

 財団法人ノーマライゼーション住宅財団(土屋公三理事長、(株)土屋ホールディングス会長)は例年実施している「福祉住宅建築助成金」の応募を11月末まで受け付けている。
 この制度は障害者や高齢者が安心して暮らせる福祉住宅の普及を目指すもの。
 対象は福祉住宅や福祉小規模集合住宅を新築またはリフォームした建築主。助成金は、その内容が参考になる施工事例に対して審査の上、1件あたり5万円から最高30万円を支給する。
 応募方法は、設計士や施工会社、理学療法士や作業療法士など専門家のアドバイスを含め、福祉住宅として工夫・配慮した点を申請書に記載して申し込む。
 決定は来年2月、支給は3月の予定。
 問い合わせおよび応募は同財団へ(札幌市中央区大通西16丁目 ルーブル16、℡011・613・7551)。

ホームページ http://www.normalize.or.jp/


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円

内容別

月別

新着記事