新聞記事

2011年09月25日号から

ヘムス(HEMS)スマートハウス研究 その1

2年後にはヘムス標準化

 最近、ヘムス(HEMS)、スマートハウスという言葉を聞くようになった。大手ハウスメーカーは「ヘムス標準装備」の商品を発売したり、スマートハウスの実証実験などが動き出している。工務店の関心も一部で高まっている。ただ、正直、得体が知れないところもあり、遠くで眺めている気分の方も多いのではないか。今号から少々乱暴に「ヘムス」「スマートハウス」に迫ってみたい。
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2011年09月25日号から

雨の日も窓を開けたい

高性能住宅Q&A 752

Q...お客さまから『夏暑い。雨が降ると窓が開けられない』とグチをこぼされました。今や冬暖かい家は当たり前になりましたから、「夏はガマンして」とは言いにくく、エアコン設置をすすめるしかないのが現状です。コストを上げずに工夫する方法はありますか(札幌・住宅会社部長)

A...8月5日号1面で、夏の暑さを防ぐ方法として、外部での日射遮へいがとても重要であることをまとめました。理由は、室内の加熱を防ぐことができればエアコンのあるなしにかかわらず格段に快適になるからでした。

 今回は雨の日についてです。9月初旬に台風で紀伊半島を中心に大きな被害をもたらした時、道内も前線や台風の影響で大雨となり、しかも気温が高かったために家の中がひどく不快になったことがグチの引き金になったそうです。
 札幌では30年ぶりの洪水被害が心配されるほどでしたから、そうそうあることではないのかもしれません。ただ、夏の暴風雨は窓を開けられないのでキツイ、そもそも風がなくても雨の日に窓を開けられないという問題があることも事実です。
 もちろんエアコンを使うのも1つの方法です。ただ、ここではそれ以外の方法を考えてみます。
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 工務店・ハウスメーカーの皆さんは、雨の日、どんな家で窓が開いていて、どんな家で窓が閉まっているか注意して観察したことがありますか?
 外開き(たてすべり出し)はだいたい閉まっています。引き違いは少しだけ開けている窓もありますが、やはり閉めているケースも多いようです。あいているのは、回転窓や回転しないすべり出しタイプ。それにほとんど見かけませんが内倒しです。

 窓を開けられない理由は、言うまでもなく雨が吹き込むから。その原因は、主には窓の開閉方式ですが、軒の出やひさしも雨の吹き込みに影響があります。
 ただ、仮に軒が出ていても、少し風があれば雨は吹き込むものですし、2階建てなら1階の窓は少量であれ雨が入ります。
 回転窓や下からのすべり出しタイプは、突き出した障子が傘の役目をするため、多少の風では雨はまったく入りません。
20110925_01_02.jpg すべり出しなので開口の見付面積は小さいのですが、換気窓としては充分に機能します。ただし、外部遮へいと組み合わせるときは、障子に遮光スクリーンをつけるか、突き出し幅を考えて腕木を取り付けて遮へい部材をつるすことになります。
 この点、引き違いは突き出しがなく優れていますが、ハッキリ言って夏は雨、冬は雪が吹き込み、晴れた日しか窓が開けられません。引き違いは軒の出が相当深くないと、床を濡らします。
 外開き(たてすべり出し)は障子そのものが濡れる、強風時に障子がばたついて不安、という声を聞きます。風に弱いのです。
 すべり出し窓をうまく使うことが、設計者の腕の見せどころではないでしょうか。

補足:8月25日号に掲載した「Q&A・窓ガラスと太陽熱取得」について、追加の質問をいただきました。趣旨は、『太陽熱取得を中心に考えて、南面のガラスをペアにしようと思うがいいガラスはあるか』という内容です。
 日本板硝子にペアマルチEAという商品があります。3+12+3のLow―Eペアで、断熱性能(U値)は1・9Wと普通のLow―Eより若干劣りますが、日射熱取得率(η)は0・74できわめてよく、透明ペアに迫る性能です。ちなみに透明ペアはそれぞれ2・9W、0・79です。なお、このガラスをよく紹介しているのは室蘭工業大学鎌田紀彦教授です。
20110925_02_01.jpg
写真:すべり出し窓をうまく使いたい(エクセルシャノンのカタログから)

写真:ペアマルチEAカタログから
 
*関連記事*
白い布1枚で"すだれ"と同等 窓開けのじゃまにならず、明るさも
https://www.iesu.co.jp/article/2012/08/20120815-1.html

30℃で暑くないって本当? 高性能住宅Q&A753
https://www.iesu.co.jp/article/2011/10/20111005-2.html

鎌田紀彦室工大教授が論破「断熱住宅は暑さにも効果的」
https://www.iesu.co.jp/article/2012/06/20120615-1.html
 


2011年09月25日号から

読者のつぶやき

◆来年の受注
札幌  工務店 社長
 今年は比較的受注が良かったのと、前半が東日本大震災もあって少し遅れたため、秋口に工事が集中しています。社員も疲れのせいか、仕事のミスや段取りの遅れなどがちょくちょく見受けられます。心配なのは来年以降の受注です。現場見学会に来てくれたお客様への後日のフォローとか、今お付き合いのあるお客様への丁寧な対応ができていなくて信頼を失ったりしていないか、そして来年以降の戦略作りがおろそかになっていないか。気を引き締め直したいと思います。


◆若い社員に任せたい 
札幌  工務店 社長
 私も相当なおじさんになってしまっているので20代30代の若いオーナーさんたちとの間での父親と子のような年代差は大きく、ニーズとか、興味のある話題などに話を合わせるのはちょっと難しいというか無理という気がしています。接客や設計、商品化、施工に至るまで、できるだけ顧客に接するのは若い世代に任せ、経営や人事、トラブル対応を年配者がやるように若手社員をできるだけ責任のある立場に置き、育てていこうと思っています。



2011年09月15日号から

特集 家づくりを見直す。震災から何を学ぶか。

 3月11日の東日本大震災から半年が過ぎても、その日のことは記憶に新しいが、北海道も太平洋岸は数百年に1度の割合で巨大地震が発生していることがわかっている。また札幌も地震が少ないとは言え、約180年前の1834年に石狩川河口を震源とする震度6クラスの石狩地震が札幌近辺で発生し、最近の研究では震度7の直下型地震の可能性が指摘されている。

 今回の特集は、編集部が札幌の地震リスクを知るきっかけになった「北海道の地震」(1994、北海道大学図書刊行会)の著者である島村英紀博士に北海道の地震の危険性についてインタビュー。また、J建築システム(株)・手塚純一社長に液状化の対応について話を聞くとともに、工務店として地震の脅威にどう向き合っていくのかをテーマに札幌圏の有力地場工務店経営者による座談会を行った。始めに島村博士のインタビューを紹介する。

島村英紀博士
研究の進歩でわかった危険
20110915_01_02.jpg20110915_01_01.jpg ―札幌や旭川など道内の一部地域では「大きな地震が少ないから安心」と思っている方も多いようですが、先生から見るとどうでしょうか?
島村 北海道で地震が多い地域は2つあります。1つは、襟裳岬の南から千島列島、カムチャッカ半島あたりまで伸びる千島海溝ですが、世界で一番地震が起きるところです。北海道は日本でも有数の地震の多い地域と言えます。
 もう1つは北海道の西側です。今までは比較的安全であると思われていましたが、1993年の北海道南西沖地震によって研究が進み、道北の幌延や留萌、積丹半島沖、奥尻島、渡島半島西側などに沿って地震を起こすプレートの境が新たにできつつあることがわかってきました。北海道は西、東と大きな地震が起きる舞台に挟まれて存在していると言えます。
 北海道には、文字で書かれた歴史というものが残っていません。先住民族が文字を持たなかったため記録が残っていないのです。京都だと千年以上前から地震の記録が残っていますが、北海道は記録がないだけなのに安全だと思ってしまう。

道東に大津波の痕跡
泥炭地の多い札幌も危険
20110915_01_03.jpg ―先生の本に書かれていた、1834年の石狩地震が衝撃的でした。
島村 札幌は、有感地震(体に感じる地震)そのものが少ない地域です。東京では2週間に1度は有感地震があります。札幌だと半年か1年に1度ぐらいしかありません。そんな札幌でも19世紀半ばには大きな地震があったわけですが、その前となると記録がないのでさっぱりわかりません。
 北大の構内などで石狩地震の液状化の痕跡が見つかりました。液状化というのは震度6クラス以上でないと起きません。ですから、過去起こっていたということは、とても恐ろしいことです。
 実は函館本線の北側は泥炭地が多く、とても悪い地盤なんです。1968年の十勝沖地震の時に震度を調べたところ、鉄道の南側が震度3、北側が震度5と2段階も違っていました。
 同じように、襟裳岬から東、すなわち道東では今度の東日本大震災のような大津波が来た形跡がかなり見つかっています。アイヌの伝承の中にも残っているそうです。ただし伝承ですから正確な日付や地震の規模はわかりません。北海道は地震の歴史の空白地帯と言われています。だけど地震がなかったというわけではなくて、日本の他地域と比べてもそれ以上に地震があった地域かもしれません。
 奥尻島も北海道南西沖地震が起きるまでは地震がほとんどない地域と思われていましたし、函館も今から三十数年前には函館群発地震が約4年にわたって続きました。

日本海側にプレート
南西沖地震で明らかに
 ―地震学の進歩で何がわかりましたか?
島村 地震が演劇だとすれば、どういう舞台でどういう役者が揃うかという研究がかなり進んできました。予知は難しくても、どういう地震がどのへんで将来起きる可能性があるかということについては、ずっとわかってきました。さっき話した北海道の日本海側にプレートがあるというのも、舞台の研究ということになります。ここでは、北海道南西沖地震クラス、ひょっとするとそれよりも大きい地震が将来も起きる可能性があります。
 1940年の積丹半島沖地震は、昔はどのような性質の地震かがわかりませんでした。というのも、当時地震計は北海道全体で3つしかありませんでした。しかし、今では北海道の日本海側にできかかっている新しいプレート境界付近で起きる地震だということがわかってきています。また、1971年のサハリン南西沖地震や1983年の日本海中部地震もそのプレート境界付近で起こる地震のグループだとわかってきました。

震度3でビル被害
建基法も最新の地震学を
 ―地震学から見て、地震に強い建物や街づくりについて何か提言はありますか?
島村 特定の周波数の地震波を出し続ける地震があり、中高層ビルなどに影響があることが、ここ数年でわかってきました。東京の六本木アークヒルズビルでは2004年の中越地震(マグニチュード6・8)の時に震源から200㎞以上も離れているのにエレベーターを吊っているメインロープの一部が切れました。このときの東京は震度3に過ぎませんでした。
 一方、大きなビルなどには地震計が備えられています。しかし「企業秘密」ということで大地震の時の記録はほとんど見せてもらえません。ほんとうはこういったものがわかればずいぶん設計に生かせると思います。
 住宅や建物を作るときにはいろんな周波数の地震波が来ることを考えてほしいと思います。ただ、建築基準法やゼネコンの技術者たちは昔のままの地震学を使っています。私としてはもっと勉強してほしいと思います。

島村英紀先生
元・北大地震火山研究観測センター長。現在は武蔵野大学特任教授
海外にもたびたび渡航して海底地震計を設置し、地震研究を進めた(写真提供・島村英紀先生)
島村先生の著書・北海道の地震」が、取材のきっかけとなった衝撃の1冊


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2011年09月15日号から

読者のつぶやき

◆足場で現場がドタバタ
札幌市 リフォーム会社 社長
 今年の札幌市内は新築が好調なようですが、リフォームもそれに劣らず多くの需要があります。ただ、市内で新築・リフォーム両方の現場が多いためか、足場の手配が非常に困難。頼んで1週間以上待たされることはしょっちゅうで、それどころか足場を解体・搬出してもらうにも、頼んでから1週間かかることがあります。「工事が終わった後も足場をそのままにしておいから泥棒に狙われた」なんてことにならいかと、いらぬ心配までしてしまいます。


◆定期点検やらなくていいの?
オホーツク 工務店 社長
 当社では新築後1ヵ月、半年、1年、3年と定期点検をやっていますが、その時に他社が建てた隣家の人とちょくちょく話をする機会があります。その時にちょくちょく「ウチには点検なんてきたことがない」という声を耳にします。それも建てた会社の規模にかかわらず。おそらく、何かあったら向こうから連絡してくるだろうと考えているのかもしれませんが、こういうところから信頼って崩れていくのでは。新築の数だけ追求しても先はないと思うのですが...。


2011年09月05日号から

間取りに影響を与え始めた

料理しないキッチン

 住宅は家族のくつろぎの城であり、主婦は台所仕事や洗濯など家事負担を軽減する間取りと設備を望む。ところが、それでも家事が十分にできない実態や、そもそも「料理はしない」というホンネもあるという。家事をやりきる建前や理想と同時に、やりきれない実態やホンネもしっかりくみ取ることが、重要になってきているのではないか。

働くお母さん10年で10%増
20110905_01_01.jpg 仕事を持つ女性が25~34歳の既婚者で大きく増えている。厚生労働省の最新の統計によると、2010年の仕事を持つ女性と就職を希望する女性をあわせた労働力人口の生産年齢人口に占める比率(労働力率)は、10年前の2000年に比べ年代別の30~34歳で最も上昇している(約11ポイントアップ)。
 これを既婚者と未婚者に分けてみると、伸びのほとんどが既婚者で、30~34歳と25~29歳がともに10年前のおよそ10ポイントアップ。実際に働いている人の割合である就業率で見ても、いずれも5割を超えた。10年前と比べ、やはり10ポイント程度アップしている。
 さらに、既婚者に子どもがいる場合はどうかという視点で見ると、子どもがいる場合にも25~34歳の女性の就業率は数ポイント上がっている。
 統計上は、子育て世帯で共働きが増えているということが言える。
 また国も25歳~44歳までの女性の就業率を9年後の2020年までに73%とする目標をかかげており、共働きの増加は止まらないだろう。

夕食を調理する時間がない
 このことは家事と家計にかなりの変化をもたらすと考えられる。家事にかける時間が不足する一方、家計の中での女性の経済力強化が進むことになる。これは総じて家庭内での女性の発言力強化につながる。
 インターネットポータル・ヤフージャパンの「Yahoo!知恵袋」お料理Q&Aという掲示板サイトでは、「夜ご飯の調理時間は」という質問に対し「短くて1時間半、ほぼ毎日2時間。朝・昼・夜と1日6、7時間はキッチンに立ってる計算になる」がベストアンサーとなっている。
 ところが東京電力「TEPCOくらしのラボ」が昨年8月に東電管内の自分で調理をする20代~60代の女性2060名を対象に行った調査では、調理時間は朝食が5~20分、夕食が30分~1時間という回答が多い。
 理想は2時間だがそんな時間はとれない。となると、おかずを1品減らすか減らさず購入するかいずれかになる。
 おかずを購入するのは子育て世代だけではない。60代以降の女性が台所に立つ時間の平均は、現在20分であると語るのがフードプロデューサーで食のプロデュース会社・(株)カルナ社長の小畑友理香氏。夕食の品数を3品とすれば、そのうち2品のお総菜を購入するのは、調理時間からみて当然だという。
 東電の調査によると、外食は減っていることが明らかだが、それは必ずしも調理することを意味せず、総菜の購入、レンジで「チン」の簡単調理傾向も見て取れる。
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2011年09月05日号から

読者のつぶやき

◆なんで好調なんだろう?
オホーツク 工務店 社長
 今年の住宅市場は震災の影響で少し落ち込むかなと思っていたんですが、そんなことはなく、これまで好調に推移しています。しかし、なぜ好調なのかがわからないだけに、逆に不安になってきます。今年4月に現場見学会を開いた時は、建材等の値上がりを不安視して新築を前倒ししようとするお客様も見られましたが、今ではそんな話をするお客様もいなくなりました。好調なんだから理由はどうでもいいじゃないかという人もいますが、何となく落ち着きません。

◆造作ものの打ち合わせは大変
旭川市 建設会社 社長
 こだわりのあるお客様の満足度を高めようと、昨年くらいからキッチンやテレビ台、テーブル、収納などを造作するようになりましたが、これがけっこう大変。素材から寸法、色はもちろん、取っ手の一つに至るまで、すべてお客様に合わせて使いやすくし、気に入ってもらえるようにしなければならないので、打ち合わせにかかる時間は既製品を使う場合と比べて5倍以上に増えました。でも最後にお客様が喜んでくれれば、そんな苦労も吹っ飛んでしまいます。


◆OB客訪問が受注の決め手
札幌市 工務店 社長
 受注を獲得するために、これまでいろんなことを考えてやってきましたが、その中でも最も効果的なのがOB客訪問です。普通の現場見学会と違い、実際住まわれている生活状態の家を見ることができますし、その場に私どもは立ち会わないので、OB客に住み心地からアフター対応などまで、当社に直接聞きにくいことも聞くことができます。それだけ当社に対する信頼感も増すようで、OB客訪問に行ったお客様はまず間違いなく当社に決めてくれますね。


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