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2011年05月25日号から
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北海道住宅新聞社
2011年05月25日号から
熱中症の危険とエアコン
続・夏場の節電と冷房
「エアコンを扇風機に替えると電力が5割削減」
5月上旬にとつぜん飛び出したこの言葉が、不幸をよばなければいいのですが...。
報道では、家庭の削減目標が15%、エアコンの設定温度を2℃上げて10%、エアコンをやめて扇風機にすれば50%―。どのメディアもそういっている印象です。
念のためインターネットで「節電」をキーワードに検索し、最初にリストされた経済産業省のホームページから、「家庭の節電対策メニュー」という掲載を見つけました。
報道とはまるで印象が違います。政府の資料には、注意書きとして「エアコンの控え過ぎによる熱中症などに気をつけて、無理のない範囲で節電しましょう。」とハッキリ書かれている上、エアコンをやめることを推奨してもいません。
数度の違いで危険高まる
【熱中症】高温度下で労働や運動をしたために起こる熱射病。脱水・けいれん・虚脱などが現れる。(大辞泉)
独立行政法人国立環境研究所のホームページには熱中症予防に関するページがあります。
それによると、熱中症の患者発生は、WBGTという指標と密接な相関関係があります。
WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、熱中症の危険は温度だけでなく、湿度と輻射熱に影響されることを意味しています。
WBGT温度と気温の関係、そして指針と注意事項を表に示しました。
本当に数度の違いが熱中症の危険を大きくするということです。WBGT温度で31度を超したら危険域です。この時の気温はおよそ35℃程度。高齢者は安静状態でも危険が高まるということです。
「冷房は使うべき。ただし冷やしすぎは遠慮してね」というのがこの夏の対策のようです。
既存住宅の節電対策は紙面またはリンクへ。
http://www.shasej.org/
2011年05月25日号から
床下のカビ対策 地盤全面に断熱材
高性能住宅Q&A 749回
Q・・・昨年、基礎断熱工法を採用して以来はじめて、お客さまから「床下がカビくさい」とクレームをちょうだいしました。今後の新築ではそのようなことがないように対策を打ちたいと思っています。いい方法がありませんか。(旭川・工務店)
A・・・昨夏の床下カビ発生の大被害を受け、研究者が動き出してくれたようです。結論から申しますと、床下地盤面全面にプラスチック系断熱材を敷き詰めること。
床下の環境は本当に微妙です。昨年もQ&Aで触れたように、北海道とは言え夏場の床下は、かなりカビが発生しやすい環境になるのです。
しかし、実際には発生する家としない家があります。おそらく微妙な違いでしょう。その違いとは、やはり床下の温度だと考えられます。
床下の温度が夏も低い理由は①地下水位が高く熱が奪われ続ける②断熱が不足して熱移動が大きい③冬場に床下を冷やしてしまった―ということが実際のところは考えられますが、多くは複合的で、事前に危険度がわかるケースは、地下水位が高い場合、山沿いや林が多くいわゆる夏も涼しい地域。それ以外は事前の危険把握は難しいと思います。
対策は土間コンあるいはベタ基礎を打つ前に断熱材を50~100㎜敷き詰めるというもので、そのコストアップはけっこうな負担になります。
ただ、熱損失の面では、基礎断熱時に床下を断熱しなかったこれまでのやり方を改める必要は出てきています。それは、基礎断熱工法の断熱性評価が厳しくなりそうである点、土の熱伝導率を厳しく見るようになった点が主な理由です。諸外国の例を見ても、スウェーデンの無暖房住宅では床下地盤面全面に壁と同レベルの断熱を敷き込んでいます。
コストアップはかなりある
費用はどのくらいでしょうか。押出スチレンフォームB3種50㎜を20坪の床下に敷き詰めたら40枚。1枚仮に2000円として8万円です。
さて、床下敷き込みの効果のほどですが、いわゆる測定データがいま手元にあるわけではないのですが、地盤全面を断熱した住宅は先の夏もカビ被害がなかったとある研究者は語っています。
危険な予感がする敷地の場合は、迷わず断熱材を敷き込んだほうがいいようです。
*「基礎断熱した床下のカビ関連記事」*
基礎断熱した床下のカビ① 高性能住宅Q&A737 ぜんそくなどには有害
https://www.iesu.co.jp/article/2010/09/20100925-2.html
基礎断熱した床下のカビ② 高性能住宅Q&A738 残念ながら決め手なし
https://www.iesu.co.jp/article/2010/10/20101015-2.html
2011年05月25日号から
ひじり野・南あいの里、MHC札幌など大型は好調
GWの集客
住宅景気を占ううえで毎年重要な指標となるのがゴールデンウィークの集客数。今年は特に東日本大震災で消費マインドの低下も懸念される中、フェアやイベントで集客を図ったニュータウンや総合住宅展示場の来場者数はどうだったのか。北海道マイホームセンター札幌会場に話を聞くとともに、去る12日に行われた北海道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で不動産市況アナリスト・外城忠昭氏が報告した道内各地の集客状況を紹介する。
マイホームセンター札幌
家族連れ中心に増加
道内外のハウスメーカー22社・23棟のモデルハウスが並ぶ道内最大規模の総合住宅展示場・北海道マイホームセンター札幌会場では、4月29日(昭和の日)から5月5日(こどもの日)までの期間中、スタンプラリーやふれあい動物園のほか、仮面ライダーショー、道内初登場のすべり台遊具・パイレーツスライダーなどのイベントを実施。天候にあまり恵まれなかったにもかかわらず、来場者数は前年比1割増と好調だった。
子供向けのイベントが中心だったこともあり、来場者は子供がいる家族連れがほとんど。特に仮面ライダーショーやふれあい動物園が人気だったと言い、東日本大震災による自粛ムードの中で安近短志向となったユーザーも取り込んだようだ。
同会場の担当者は「昨年と同じくらいの来場者を見込んで各種のイベントを用意したが、最終的には1割増と昨年を上回る来場者数となった。天気が悪かった中ではいい結果だと思う」と話す。
なお、札幌市内の他の会場については、森林公園会場と南会場が昨年並み。北会場はやや減ったが、「昨年のゴールデンウィークはオープン時期と重なって来場者数が多かったこともあり、単純に減ったわけではないと見ている」(札幌会場担当者)。
ニュータウン
客足鈍く平均20組
一方、土地・建物の分譲を行っているニュータウンはどうだったのか。道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で、多くのニュータウンを見て回った外城氏の報告をまとめると次のようになる。
●フェア・イベント内容...集客のためのイベント等は以前と比べて激減し、非常に少ない。ただ、やる気がなかったわけではなく、各住宅会社が来場者に対応するため個々に設置しているテントは増えている。イベントは移動動物園が目立ち、ふわふわ遊具もいくつかのニュータウンで用意していた。あとは屋台や縁日などで、特に変わったものはなかった。
●集客状況...イベントの減少・マンネリ化により、多くの来場者を集めたニュータウンは少なく、平均20組程度。50組来場すれば札幌圏では5本の指に入る。個別に見ると旭川に隣接する東神楽町・ひじり野ガーデン「花都心」が1000組を超えたほか、札幌の「南あいの里」が500組、「ライブヒルズ」が250組を数えた。「花都心」は24社24棟の最新モデルハウスが公開され、よさこいや太鼓演奏などの各種イベントも充実、「南あいの里」は24社28棟のモデルハウスを公開するなど新しいモデルを一ヵ所でたくさん見ることができる点が好調な要因。「ライブヒルズ」は新たに2棟のモデルが建ち、大手が集客に力を入れていることがプラスになった。
このほか千歳の「サンシャインガーデンあずさ」で200組、苫小牧の「スマイルタウン沼ノ端」で100組の集客。
●来場者の特性...やはり子育て世代が多い。ただ、これらの世代に付き添う両親は一度も見なかった。両親は子供の住宅取得に援助できなくなってきているのではないか。また、子供が産まれる前の夫婦や婚約中のカップルなど子育て予備軍の増加も目立った。
このほか、数は少ないが高齢の単身者や夫婦も目に付いた。子供が独立して定年退職した後に、憧れのマイホームに挑戦したい人や、リフォームを望んでいる人が、モデルハウスを参考にし、できれば依頼する住宅会社も見つけられたらと考えているのでは。
景品目当てや冷やかし消えて中身濃い客残る
報告の中で外城氏は「ほとんどのニュータウンは集客数が期待外れだと思っているだろうが、景品目当てや冷やかしがいなくなり、家を建てる意欲のあるユーザーが残っただけのこと。むしろ意欲の低いユーザーが消えたことで住宅会社はしっかり対応でき、フォローもしやすい。実際に現地で住宅会社の担当者と話をしている時もゴールデンウィークにモデルハウスを見に来たユーザーから契約を決めたという連絡が入るなど、短期間で受注に結び付いたケースもいくつか出ている。このゴールデンウィークの来場者は、成約率がかなり高いと考えていい」と、集客数は少なくても中身の濃いユーザーが多いことを強調している。
写真
北海道マイホームセンターでは札幌市内各会場でふれあい動物園を開催。子供たちに人気のイベントとなった(写真は北会場)
2011年05月15日号から
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2011年05月15日号から
夏場の節電と冷房
3種換気の併用が効果的
大震災の影響で夏場の電力供給に余裕がなくなり、東北、関東、中部では夏場の省エネ(今年の場合は節電)のために「冷房期間を短くする」「負荷を小さくする」ことがとても大切になっています。
この機会に北海道も含め冷房をどう減らすかを考えてみたいと思い、研究者に取材を申し込んだところ、意外な答えが返ってきました。1つは「冷房をケチるべきではない」こと、もう1つは「第3種換気との併用が省エネでかつ効果的」ということなのです。
換気量は0.5~1.0回/h程度
夏場を涼しく快適に、かつ省エネに生活するには、断熱に加え、日射遮へいと通風(自然冷却)、そして効率のよい冷房機が必要であることはいうまでもありません。
既存住宅での配慮や対策については、空気調和・衛生工学会が4月、ホームページ上に「日々の安全や衛生、健康や最低限の快適性を損なうことなく、電力不足に伴う緊急の節電対策の留意点(暫定版)」をまとめて掲載しました。
これらについては紙面の関係で後日掲載します。またホームページからpdfファイルをダウンロードできます。
(夏期の業務用ビル並びに住宅における節電対策の留意点)
さて、今回のメインテーマは冷房と換気の関係です。
というのも、多くのかたは冷房効果を上げるために換気はとめたほうがいい気がするでしょうし、換気も第3種より第1種全熱交換型がいいと聞いたことがあるのではないでしょうか。
最新の研究では、どちらも正反対の答えが出ているそうです。
取材したのは国立保健医療科学院生活環境研究部・主任研究官の田島昌樹博士。田島先生は換気と省エネルギー分野の専門家です。
戸建てとビルは違う
ビルは基本的に24時間空調で、しかも冷房負荷がピークになる午後の時間帯にルスということはあり得ません。
ところが戸建ては、昨夏のような酷暑でも冷房運転は間欠でon/offします。さらに、昼間はルスの家が多く、冷房は止まっています。
このように間欠運転、しかも部分冷房の戸建てでは、そもそも熱交換換気の省エネルギー効果は限られるのです。
このことを試算によってまとめたのがグラフです。全館連続暖冷房の場合はもうちょっと違う結果になるのですが、基本的に関東以西では暖房でさえも間欠運転になります。ですから間欠運転を前提にしたほうが現実的でしょう。
まず、年間トータルで見た場合、熱交換換気を入れなくても、一次エネルギー消費は変わらないか(Ⅱ、Ⅲ地域)、入れるとむしろ増えてしまいます(Ⅳ地域以西)。これは、熱を回収して暖冷房負荷を減らしても、換気運転にかかる電力消費負荷が増えてしまうからです。
省エネルギーの観点からは、熱交換換気を導入するメリットはほとんどありません。
冷房は暖房の1割以下
棒グラフを見てもわかるように東京などⅣ地域でも冷房のエネルギー消費は暖房より少なく、実際の使用状態になるとさらに少なくて暖房の10分の1以下、5%という例もあります。ただし、ビルでは冷房のほうが多くなります。住宅はビルといっしょに考えることができないのです。
全館連続暖冷房でも、冷房時に熱交換換気を運転するメリットはほとんどありませんから、エネルギー的には暖房時だけ運転するほうがいいことになります。
もう一度強調しますが、冷房エネルギー消費は想像よりはるかに少ないのです。
熱中症予防と冷房
酷暑となった昨年は熱中症で医療機関へ搬送された人が5万人を超え、搬送後に亡くなった方だけでおよそ170名に達しました(消防庁まとめ)。高齢者が冷房をとめた室内でなくなるケースも多く、「温度計を設置して、室温28℃を超えないようにエアコンをつけて」といったアドバイスがされていました。
今年は電力供給の減少から「冷房温度を上げて」と節電を呼びかけていますが、高齢者には「冷房を入れてください」と伝えています。通風ができるからといって冷房を止めるのはよくありません。
もう一つ付け加えたいことは、去年のような酷暑では冷房が絶対に必要、逆に今年が平年並みの暑さなら、冷房負荷は昨年の4分の1から5分の1に減るので、熱中症対策を考えても遠慮せず冷房を利用したほうがいいということです。
冷房負荷がこれほど違うのは、暖房と違って冷房は室内と屋外の温度差がさほど大きくないこと。その中で昨年の暑さは平年より5℃以上も高くなったり、40℃の日もあり、内外温度差が大きくなったことに加え、外気温が上がるとエアコンの効率が下がるためです。
エアコンの選択と効率
効率を考えると、小さなエアコンを大きな空間で運転するのがもっとも効率がよいことがわかっています。負荷の大きなところで使ったほうが効率が上がるという意味です。
日射遮へいや遮熱がしっかりしていれば、エアコンはよく効くので○畳用という目安よりもずっと広い面積で使ってだいじょうぶです。
冷房時に換気をとめる?
これは住み手の問題なので、夏の暮らしかたとしてアドバイスする時に参考にしてください。
結論は、換気回数で1・0回/h程度の換気を行うと、もっとも省エネになる一方、0・5回以下だと冷房負荷が増えます。
意外に思うかもしれませんが、室内には人体や冷蔵庫など発熱源があり、断熱化によって熱をため込む能力が高くなると、その排出にはちょっと窓を開ける、機械換気を増やすなど換気や通風を行った方が良いのです。窓全開はNGですが・・・。
写真
答えてくれた田島昌樹先生
2011年05月05日号から
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5月5日号はLED照明を特集しました。
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