新聞記事

2011年04月25日号から

熱交換換気に興味 5(最終回)

高性能住宅Q&A 748回

省エネより暖房節減に効果
20110425_01_01.jpg前回は、換気を選ぶときは『何を一番解決したいのか』を基準に考えるべきだというところまでいきました。
 いよいよ質問=『熱交換換気に興味があるが、何を判断基準に選んだらよいか』への回答です。
1.暖房費用の節約
2.エネルギーの節約
3.暖房負荷の低減
4.給気の加温
5.暖房機能
6.ネームバリュー
 このうち、お客さま、および住宅会社が期待していることは、本当はどれでしょうか。
 多くの方は『2.エネルギーの節約』がしたい『省エネのため』とおっしゃいますが、これまでの取材経験から、本当のところは『1.暖房費用の節約』または『3.暖房負荷の低減』のケースも多いと感じます。逆に『エネルギーの節約』が目的なら、その点でもっとも有利な北海道においても困難です。とくに一次エネルギーベースでは、かなりキツイようです。
 同じく、『1.暖房費用の節約』についても、暖房熱源や電力料金メニューなどから考えてけっこうきついようです。ですので、もとが取れるかどうかもあまり軽々しく言えません。このあたりについては、機会があれば改めてまとめてみたいと思います。
 『3.暖房負荷の低減、4.給気の加温』については、しっかりした機種の選定と換気システムの設計・施工で、おおむね実現できると言っていいでしょう。
 熱交換換気を導入することで暖房負荷が減るのは確かです。ただし、まず躯体からの漏気がほとんどないこと(気密性=C値で0・3程度)、トイレやフロなどから多量の換気が屋外に直接捨てられることがないこと、換気運転の消費電力が小さいことを配慮してください。機械換気量がしっかり確保されることは当然の前提です。
 給気の加温効果も間違いなくあります。ただし、吹き出し位置は第3種の給気レジスターと同じく、慎重に計画してください。道北・道東では熱交換換気でも真冬に給気が冷たいという話を聞くことがあります。仮に加温が主目的なら、外気導入ダクトの断熱をやや弱くすることで、室温による予熱が可能になります。ただし、省エネにはなりません。
 暖房機能は、やはりヒーターがついていることがポイントになります。この点については製品開発が待たれます。
(いずれも連載3回目にも触れました)

まとめ
 熱交換換気を選ぶ基準は、まず、①何に期待するかを見極めること、次に②熱交換効率だけに着目せず、③住宅内の空気の出入り(換気)のうち何割を熱交換器に入れられるのか、④消費電力はどうか、⑤配管設計はしっかりできるかを中心に考えてください。
   *   *
 熱交換換気は決して悪いシステムではありません。ただ、過大な期待をするから、あるいは清掃しにくい製品選択と施工をしたり、住み手も清掃しないから、ときどき悲劇が起きるのです。そのことを理解した上で、採用することが必要だと思います。
(終)

連載ページ 
1.空気質と両立が条件
2.熱交換効率、単体では判断できず
3.見えないだけに誤解も多い
4.性能より効能で
5.省エネより暖房節減に効果
 
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