見えないだけに誤解も多い
前回は1回休みましたので、少しおさらいをします。熱交換換気に期待することを次のように挙げました。
1.暖房費用の節約
2.エネルギーの節約
3.暖房負荷の低減
4.給気の加温
5.暖房機能
6.ネームバリュー
そして、熱交換効率XX%」という評価基準だけでは、これらの期待に対する答えができないことを、1と2について見てきました。今回は3から。
3.暖房負荷の低減
熱交換換気には暖房負荷(暖房費)を節約する効果があります。この点が最大のメリットの1つだと思います。計算上は温度回収率(熱交換効率)が高ければ高いほど、暖房費が節約になるという計算結果になります。
ただ、1の暖房費用の節約でも見てきたように、ザッと探しても、換気システムのほかに、台所のレンジフード、(別系統なら)トイレとフロの換気、自然換気(空気漏れ)があるので、計算上の機械の温度回収率よりも実際の節約効果は低くなります。もし計算通りの節約効果だとしたら、むしろ換気不足を疑うべきです。
4.給気の加温
寒冷地ではこれも最大のメリットの1つです。そして計算上は室温と外気温の差、例えば30度あったとして、温度回収率90%なら27℃回収。つまり給気温度は室温より3℃低いだけということになります。ところが、給気温度が高くなる方法がほかにもあるのです。それもローコストに。外気導入から熱交換素子までの配管に保温しない、または保温不足だと、そこまでの間に外気が上昇するのです。ただ、これは熱交換換気の効果ではなく、ただの暖房効果です。
5.暖房機能
4の給気加温とも似ているのですが、こちらはむしろ暖房器を補完する、または暖房器代わりに使うという位置づけです。以前から熱交換換気暖房というシステムがありますが、最近では、暖房設備費を節約するために熱交換器を設置するケースがあります。この場合は、熱交換換気システムの給気側ダクトを暖房に利用する省コストがメリットの中心です。
連載ページ
1.空気質と両立が条件
2.熱交換効率、単体では判断できず
3.見えないだけに誤解も多い
4.性能より効能で
5.省エネより暖房節減に効果
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