新聞記事

2011年03月05日号から

茨城・石岡市のパッシブハウス

普及型を目指す

 ドイツ・パッシブハウス研究所が認定した日本で2棟目のパッシブハウスが先ごろ茨城県・石岡市に完成した。地元ビルダーの(株)島田材木店(島田恵一社長)が設計施工、キーアーキテクツ(株)森みわ社長が温熱環境面のコンサルティングを行った。現在、モデルハウスとして公開されている。

20110305_02_01.jpg 「茨城パッシブハウス」はパッシブハウスの暖冷房負荷基準をクリアするため、Q値で0・8W、外壁は290mm断熱。今回特徴的なのは、パッシブハウスのコンセプト通り、熱交換換気の配管に暖冷房を組み込んで暖房設備をなくし、コスト抑制に挑戦した点。
 高断熱化すればするほど建築コストが上昇するが、暖房器がいらないほどに断熱化すると暖房設備の省略によってコストが低下する。このコスト低下点がパッシブハウスのそもそもの基準であり、換気配管に組み込む暖冷房も大がかりなものは不要になる。
 今回はメーカーの協力を得て、ヒートポンプ温水暖房ユニットを採用。運転モードの最適化などを検証する。
 もう1点の特徴は、壁の断熱厚を確保するために120×240mmの平角材をタテに使用し240mm充てん+50mmの付加断熱に挑戦した点。これにより施工コストを抑制しながら木部熱橋の影響を抑える付加断熱の最適厚を試算した。
20110305_02_02.jpg パッシブハウスジャパンの代表理事も務める森さんは、「パッシブハウスの暖冷房負荷試算値と実測値に違いがあるかどうかは、鎌倉パッシブハウスで検証できた。鎌倉の例では試算より実測のほうが少ない。茨城では、次の大きなテーマとして普及型をつくるための提案をした。断熱構成では平角材の採用、暖冷房設備面では熱交換換気システムを前提として単独の暖冷房設備をなくすこと。この方法をベースに、関西や九州でも取り組むつもりだ」と語っている。
 北海道でも1棟、スタートしそうだという。

写真
茨城パッシブハウス外観はかわいらしい感じ
室内で説明する森さん(左)。参加者は全国各地から


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