新聞記事

2010年12月15日号から

平成22年版消防白書

火災警報器が威力

 平成18年6月からすべての住宅で設置が義務付けられた住宅用火災警報器(以下、火災警報器)の普及率は、今年6月時点でまだ6割弱だが、火災警報器の設置によって、死者数、損害を受けた床面積、被害額は、設置していない場合と比べて大きく減少している。このほど公表された「平成22年版消防白書」が伝えている。
20101215_03_01.jpg 火災警報器は、住宅火災の死亡原因で過半数を占める「逃げ遅れ」を防ぐため、平成16年の消防法改正で18年6月から戸建住宅や延床面積500㎡未満の共同住宅にも設置を義務化。総務省が政省令で示した設置・維持に関する基準をもとに、各市町村が実際の設置箇所や設置方法などを条例で規定しており、一定の猶予期間が設けられていた既存住宅も、来年6月までに全国の市町村で設置義務化となる。消防庁の推計によると、今年6月時点での普及率は全国で58・4%。東日本は61・7%、西日本は53・3%となっている。
 消防白書によると、住宅火災による死者数(放火自殺者等除く。以下同)は平成17年の1220人をピークに、火災警報器の義務化が始まった18年以降は4年連続で減少。21年は1023人と依然1千人を超える水準にあるものの、平成15年以降では最も少なくなっており、消防庁では火災警報器の普及が死者数の減少に役立っていると推測している。
 また、消防庁では平成19年から21年までの3年間に、失火を原因とした住宅火災約4万4千件を対象として火災警報器の設置効果を分析したところ、火災警報器を設置していない住宅と比べて、住宅火災100件あたりの死者数は7・5人から4・7人へ、損害を受けた床面積は1件あたり48・3m2から22・0m2へ、損害額は1件あたり322万2千円から175万4千円へと減少していることが確認された。
 なお、平成21年の住宅火災件数(放火除く)は1万4778件で、死者数1023人のうち逃げ遅れが原因となったのは58・9%と、依然過半数を占めている。


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