新聞記事

2010年11月05日号から

道東初の燃料電池 LPガス仕様を高齢者住宅に

 北海道アストモスガス(株)(本社北見市、折葉孝社長)では、今年4月から販売開始したLPガス仕様の家庭用燃料電池「エネファーム」を北見市内の高齢者専用介護付住宅に設置した。エネファームが道東地区で設置されたのは今回が初めて。同社では年内さらに7~8件の住宅への設置も進め、冬期の運転状態を検証したうえで来年から拡販したい考えだ。
20101105_01_01.jpg 同社が販売するエネファームは東芝燃料電池システム製で、耐寒温度マイナス20℃の寒冷地対応機。燃料電池発電ユニットと220の貯湯ユニットで構成され、LPガスから取り出した水素を酸素と化学反応させることによって電気を作り、同時に発電時の熱を回収して温水を作る。給湯だけでなく、暖房にも使うことができる。
 定格出力は250~700Wで、総合エネルギー効率は83%以上と高く、CO2やNox(窒素酸化物)などの発生量も少ないなど環境性・省エネ性に優れているのが特徴。学習機能によって一日の電力需要と給湯需要を予測して運転し、バックアップ給湯機が稼働する時以外は音もほとんどしないという。
 今回設置した高齢者専用介護付住宅は、RC造の3階建て。個室の暖房が電気、調理と共有部分の暖房がガス、給湯が灯油と、3種類の熱源を使い分けていたが、同社が給湯の燃料転換としてエネファームとエコジョーズの並列設置を提案し、採用が決まった。
 エネファームは、燃料電池発電ユニットと貯湯ユニットの両方とも屋外設置。地盤を凍結深度まで掘り、砂利を敷いた後、コンクリートを打設して作った基礎の上に固定した。本体内で凍結の心配はないが、屋外に露出する配管部分は凍結防止を考え、保温措置を行ったうえでテープヒーターを巻いている。使用するLPガスはこれまで調理などで使われていたものと変わらない。

当面はリース販売

 エネファームの価格は330万円(税別)で、補助金が130万円出ても200万円かかるため、現状ではモトを取るのは難しいという。そこで今回の高齢者専用介護付住宅ではリースで設置。ガス料金も灯油価格と遜色ない専用のエコ料金体系を適用する。
 メンテナンスは2年に1回、運転4万時間または設置後10年のいずれかの時期が来るまで行われ、メンテナンス期間終了後は機器の入れ替えを提案するという。
 同社営業部の堀畑秀樹部長は「国のCO2削減政策や電気自動車の普及といった動きを先取りする形でエネファームに取り組んでいる。当面はリース販売が主流になると思うが、国とメーカーは5年後に100万円を切る価格を目指しており、高効率化もさらに進むだろう」と話している。
 問い合わせは同社(0157・36・2251、FAX0157・36・5549)へ。


※写真
建物の屋外に設置したエネファーム。右が貯湯ユニットで、左が燃料電池発電ユニット


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