新聞記事

2010年09月05日号から

顧客とビルダーを取り持つ潤滑油に/ウーマンズ・アイ vol15

札幌・久末弘信建設 名古屋志津子さん

20100905_03_03.jpg 「結婚当時住んでいた建売住宅は間取りも水回りも収納も、使い勝手の悪い不便な家でした。だからこそ、お客様の住まいはライフスタイルに合った個性的で暮らしやすい家にしてあげたい」。久末弘信建設㈱で建築士・インテリアプランナーとして活躍する名古屋志津子さんは仕事への思いをそう語った。
 常に心がけているのは、ユーザーと会社との間で「潤滑油」的な役割を果たすこと。「建築の知識のないお客様にとって家づくりはわからないことだらけ。要望を伝えようにも、うまく言い表せないのが普通です。そこをフォローするのが専門家の役目」と話す。
 理想とする住まいの形を言葉で表現しきれない人でも、夫婦間の言葉のやりとりや服装の好み、子供との接し方などを注意深く観察していると、家族のニーズが見えてくるという。それらを踏まえた上で、優先順位に従って予算を振り分け、お客様の夢に近づける方法を探りつつ、全体のプランを練っていく。

手描きパースで自分らしく
20100905_03_02.jpg 「一般の人にはわかりにくい建築用語や法律を、かみ砕いてわかりやすく説明するのも自分の仕事」と名古屋さん。
 打ち合わせはパースを描きながら進めるが、これは「これから造ろうとする住まいを、より具体的にイメージしやすいように」という配慮から。
 家具や照明、小物など細かい部分までていねいに描き込み、マーカーで色付けしていく。お客様の目の前で短時間で仕上げるには熟練したパースの技術や建築の知識が必要なのはもちろん、家具の標準寸法や流行なども頭に入っていなくてはならない。
 「営業的な意味合いもありますが、これが『私らしさ』。大きな買い物をしていただくのに、図面だけのプレゼンテーションでは寂しい気がします」(名古屋さん)。

仕事はバランス感覚も必要
 住宅業界の男性の仕事ぶりについては「自分の専門分野・担当分野は頑張るが、それ以外のことには関わりたがらない人が多い気がする」とのこと。「お客様にとっては、いい住宅を建ててもらうことの方が大切。もう少しバランスの取れた仕事の進め方も必要では」と指摘する。
 20100905_03_01.jpgまた、古い家や賃貸住宅に長く住んでいた人は、今の住宅がどのようなものかわからないことも多い。
 「ストーブがない」「玄関が引き戸じゃない」と不思議そうな顔をする人もいるそうだが、「お客様自身、住んでいる家の性能や機能性・利便性が現在の標準的な住宅と比べてどの程度劣っているのかを自覚していない場合は、いいプランを提案しても納得しないことがあります。最新の住宅の性能・仕様といった情報をお伝えして、時代にあった住宅を知っていただくところから家づくりをスタートしてもらえるようサポートすることも私たちの大切な役目」。
 一般の人にはわからないことだらけの家づくりをフォローする専門家として、名古屋さんはそう語ってくれた。


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