新聞記事

2010年08月05日号から

住宅エコポイントでアパマンの次世代対応加速中

 リフォームでの利用が約8割以上を占める住宅エコポイントだが、新築では戸建てよりも賃貸アパート・分譲マンションの動向が関心が集まりつつある。実際にアパート・マンションでエコポイントの対象であることを打ち出す住宅会社やデベロッパーも目に付くようになり、業界関係者からは「高断熱化が遅れていたアパマン市場の次世代省エネ基準対応が進んでいる」という声も出てきている。

木造アパート 施工業者主導で進行

 今年6月末時点での住宅エコポイント発行戸数を見ると、北海道は累計で2660戸。このうち新築15%、リフォーム85%と、リフォームでの発行が大多数。
 新築のエコポイント発行戸数が少ないのは、1.鉄骨プレハブ系の大手ハウスメーカーは、エコポイントに対応するためトップランナー基準をクリアする必要がある 2.工務店は30万円相当のエコポイントより、長期優良住宅の100万円補助を優先する傾向にある―などといったことも背景にあるようだ。
 ただ、共同住宅では少し事情が違ってくる。新築のエコポイントは1戸につき30万ポイントがもらえるため、4戸1棟のアパートなら120万ポイント、6戸1棟なら180万ポイントももらえることになる。これはオーナーにとって大きなメリット。
 特に木造アパートであれば次世代省エネ基準をクリアすれば良いので、そのコストアップ分はエコポイントで十分カバーできる。次世代省エネ基準対応によって快適性・省エネ性が向上すれば、他の物件との差別化や入居率の向上につながるという声もある。

オーナー側デメリットなし
20100805_01_01.jpg 例えば、賃貸アパートの"エコポイントキャンペーン"を現在展開している札幌のアサヒ住宅㈱では、「次世代省エネ基準対応で1戸あたり25万円のコストアップになるものの、4戸1棟だと120万ポイントもらえるので損はない。性能アップ分のコストはエコポイントの即時交換で充当できるし、居住性が良くなって、入居率が上がることになれば、オーナーに十分メリットはある」と話す。
 ただ、同社では「エコポイントを理解しているオーナーはそれほどいない」と話しており、エコポイント対応は今のところオーナーではなく、施工業者の提案で進んでいる状況だ。


※エコポイントを大々的に打ち出したアサヒ住宅の新聞折り込みチラシ

賃貸マンション
基準クリアは厳しいが都市ガス化で・・・

20100805_01_02.jpg 一方、賃貸でもRC造のマンションはどうか。
 共同住宅でも木造であれば次世代省エネ基準をクリアすればいいが、RC造となるとトップランナー基準をクリアする必要がある。
 暖房・給湯については電気熱源とする場合、ヒートポンプ機器が必須となり、ガス・灯油は潜熱回収タイプが有力な選択肢。これを好機と捉えて動いているエネルギー関連企業もある。
 北海道ガス㈱リビング営業部リビング開発グループの齊藤勉マネージャーは「営業でRCの賃貸マンションのエコポイント対応は、潜熱回収型給湯器のエコジョーズが決め手と話しており、去年はゼロだった賃貸マンションでのエコジョーズ採用は、今年これまでのところ10棟で採用または採用の計画がある。30万ポイントでは通常のガス・灯油ボイラーとの価格差を埋められないが、入居者にとっては割安な家庭用セントラルの料金体系が適用になり、追い炊き・お湯張りもできるので、ランニングコストが安くなるうえに快適も高くなる。
 オーナーにとっては資産価値が上がることにもなると説明し好評だ」と話しており、賃貸マンションでもエコポイントに対応する動きは出ているようだ。

※北海道ガスでは賃貸マンションのエコポイント対応にエコジョーズを勧めており、手応えが出てきているという

分譲マンション
次世代標準化へ

20100805_01_03.jpg 最後に分譲マンションの状況を見てみたい。
 分譲マンションもエコポイント対応の条件は、RC造の賃貸マンションと同じトップランナー基準クリアだが、道内の分譲マンションの熱源はガスセントラル(FACT)が主流となっているので、後は断熱性能を省エネ等級4にするかどうかの判断をデベロッパーがするだけと言われている。
 本紙編集部で調べたところ、現在エコポイント対応をうたっている分譲マンションは5棟。合計戸数は約310戸にのぼり、このうち2棟を施工中の日本グランデ(株)では「断熱仕様は窓を通常のペアガラスからアルゴンガス入りLow―Eペアガラスに変更して省エネ等級4に適合させ、暖房・給湯はガス高効率給湯器のエコジョーズを採用した。販売価格は若干上がっているものの、目に見えるほどではない。営業的にエコポイント対応は当然という考えで、今後エコポイントが終わったとしても、この性能・仕様を落とすことはないと思う」と言う。
 住宅エコポイントの延長・拡充が予想されるほか、特に札幌市内の物件は環境に配慮することを求めた"CASBEE札幌"への対応もあり、分譲マンションは一気に次世代対応・次世代以上へと進みそうだ。

※日本グランデが現在施工中のエコポイント対応マンション。看板にもしっかり30万円相当のポイントがもらえることをうたっている


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