新聞記事

2010年06月05日号から

高性能住宅Q&A 731回 在来の気密と先張り簡略化3

安全性考え後施工も

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差し回りの先張りについては、前々回(4月25日号)で紹介しましたが、旭川など道北地域では、建て方の途中で2階の梁を落とし込む時に先張りシートを施工するのではなく、建て方が終わってから2階の床を張る前に先張りシートを後施工する工務店もよく見かけます。
 20100605_01_02.jpg先張りシートを後張りする理由は、大工の安全確保と先張りシートのちぎれ防止。梁の落とし込み時にシートを先張りする一般的な方法だと、風などで胴差しの上にシートがかぶさってしまった場合、大工がその上を歩いて足を滑らせてしまう危険性があります。特に雨や雪が降った時には、かなり足もとに注意する必要があると話す工務店さんもいるほど。
 また、海沿いの風が強い地域では、風であおられた先張りシートがちぎれてしまったり、最悪の場合、例え0・2mm厚のシートを使っていたとしても、そのままどこかに飛ばされてしまうこともあるようです。
 施工は、建て方終了後、軸組屋外側の構造用合板を張って窓も入ってから。2階の床下地合板を張る直前に、高さ50cm程度に切った防湿・気密シートを胴差回りにタッカーで留め、梁が当たる部分はY字に切込みを入れて落とし込み、梁の回りをテープ処理。
 梁との取り合いは、テープ処理だけだと将来的にテープが剥がれてくる心配もあるので、テープの上から細かくタッカーを打ったり、合板の切れ端など端材を打ち付けたりして押さえます。
 また、先張りシートのジョイント部分は柱などの木下地上で30cm程度の重ねを取ります。

通常の先張りと性能は変わらず

 この方法で施工している工務店の1社は、一般的な先張りと比べて気密性能の差はまったくないといい、気密測定で相当隙間面積=C値0.5cm2/m2を間違いなく切ることが可能とのこと。
 四角いプランで40坪程度の住宅であれば、大工は脚立を使って1~2時間程度で張り終えるので、慣れてしまえば一般的な先張りより施工もラクになります。


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