前回(4月25日)は胴差しまわりの先張りについて、「梁との接合部を避けて後張りするより、先張りした方が良い」ことを紹介しました。今回は土台まわりについて。
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省略されることも多い胴差しまわりに比べて、土台まわりは先張りシートが施工されているケースが多いように思います。そういう意味ではあまり問題がないのですが、基礎断熱した住宅で気密性能が思ったほど上がらない場合、原因の多くは土台周りにあるとも言われます。なぜでしょうか? そしてどうしたらよいのでしょうか。
基礎天端と土台の気密化ですが、現在、大きく分けて3通りの手法があります。1.基礎打設時に布基礎と外側断熱材の間に防湿・気密シートを挟んでおき、打設後シートを立ち上げて基礎天端に被せその上に土台を乗せてさらにシートを立ち上げ、壁のシートと連続させる2.基礎打設後基礎天端にスポンジまたはゴム状の気密パッキンと防湿・気密シートが一体になった気密部材を敷き、その上に土台を乗せたあとシートを壁のシートと連続させる3. 1や2と同様の方法を使うが、防湿・気密シートではなく透湿・防水シートを使う。
要注意のポイントは、使うシートによって土台の屋外側を回すか室内側かが違うという点です。シートを土台の屋外側から土台上へ立ち上げるときは、必ず透湿・防水シートを使います。防湿・気密シートを土台の屋外側に張ると、土台との間で結露する可能性があるからです。
問題は、気密性能が意外に上がらない原因です。
基礎天端のレベルはプラスマイナス2~3mmの高い精度が必要です。床断熱の場合は多少の不陸をスペーサーで調節できますが、基礎断熱の場合はそれはできません。またパッキン材は大きな不陸を調節するほどの能力はありません。パッキン材はあくまでもヘアラインのような細い隙間を埋めるものと考えて下さい。
また、パッキン材はスポンジ状と発泡ゴム状では特徴が異なるので、その点を十分理解して使わなければなりません。スポンジ状のパッキン材は厚さ10mmが主流、20mm厚もあります。5分の1に圧縮して使うのが原則ですが、腰が弱いためすぐ圧縮できる半面、働き幅が狭すぎる場合もあります。一方、発泡ゴム状のパッキン材はパイプを二本寝かせたような中空構造の製品が多く、腰が強く弾力性があるため働き幅は広いのですが、アンカーをあまり締めすぎるとパッキンの反発力で土台がねじれる場合もあります。
基礎のレベル出しをどうするかは各社が頭を悩ましているところですが、1つはモルタル均しを行う前に高い部分を「削る」という手法、もう1つはセルフレベリングモルタルを使う方法です。高低差をパッキンで調整して、発生したすき間をウレタンで埋めるという方法もありますが、あまり新築に使うべきではないと思います。