新聞記事

2010年03月15日号から

エコポイントを付加断熱に交換できるか?

「追加工事」なら可能だが線引き不明確

 今月8日から住宅版エコポイントの発行・交換申請が始まったが、ポイントの即時交換は付加断熱工事も対象になるのかどうかで混乱が起こっている。本紙の取材に対し国土交通省住宅局住宅生産課では、最初から付加断熱で新築・リフォームを計画していたのであれば対象にならないが、当初の計画にはなく、追加工事として行うのであれば対象になるとしたが、線引きは不明確で、住宅会社は慎重に対応する必要がある。
 エコポイントの発行は、戸建て新築であればトップランナー基準または次世代省エネ基準(木造のみ)をクリア、リフォームであれば床・外壁・天井・窓の各部位を次世代省エネ基準相当に改修することが条件。ポイントはあらかじめ登録された環境配慮型製品や商品券、プリペイドカードなどに交換できるほか、即時交換として追加的に行う工事の代金に充てることも可能だ。
 即時交換可能な例としては、外構・造園工事やキッチン、浴室のグレードアップ・改修などが挙げられるが、付加断熱工事も対象になるかどうかで混乱が起こっている。国交省が設置した相談窓口では対象になると答えたケースもあれば、対象にならないと答えたケースもある、ことなどが原因のようだ。

最初から付加断熱で計画していたら対象外

 即時交換はポイントの発行対象となった工事費用に充てることができないため、最初から付加断熱を前提に条件をクリアする仕様であれば、即時交換はできない。
 また、付加断熱なしで条件をクリアする場合、得られるポイントを即時交換で付加断熱工事の代金に充てることができるのかどうかとなると、 国交省住宅局住宅生産課では「ポイントの即時交換は追加的に行う工事を対象としているので、例え付加断熱なしで条件をクリアしていたとしても、最初から付加断熱を行う計画だったのであれば対象にはならない。リフォームでは工事の途中で断熱性能をグレードアップしたくなって、付加断熱を追加工事として発注するのであれば即時交換の対象となる」としている。
 つまり最初から付加断熱を計画していたのなら対象外、後から追加工事として施工することになったのであれば対象になる。
 そうなると、新築で後から付加断熱を行うのは、現実的な話ではないし、追加的工事として認められるかどうかもわからない。リフォームではまったく考えられないとは言えないが、国交省住宅生産課では「即時交換で本当に後から追加した工事なのかどうかまでは細かく調べないが、実際にそんなケースが本当にあるのか」と言う。
 このように付加断熱工事に対する即時交換の可否は、非常にわかりづらく、不透明な部分もある。慎重な対応が必要といえるだろう。

テラス窓でも混乱

 付加断熱工事の即時交換以外にも混乱が起こっていたのが、テラス窓・掃き出し窓の扱い。
 「引き戸はエコポイント対象外だが、人が出入りできるテラス窓や掃き出し窓はどうなるのかについて相談窓口に問い合わせたところ、引き戸とみなされるので対象にはならないとの回答だった。しかし、窓メーカーはエコポイント対象商品(予定)としてテラス窓や掃き出し窓の写真をホームページやパンフレットに載せている。どうなっているのか」とは、ある住宅会社の声。
 この件についても国交省住宅生産課に取材したところ、「エコポイント対象商品として認められたものであれば、テラス窓や掃き出し窓も対象になる」との回答だった。
 本紙でも相談窓口に何度か質問しているが、出るのはいつも若い女性。どこかのコールセンターの契約・派遣社員だと思うが、とても住宅関係の専門知識を持って対応しているようには感じられない。
 無用な混乱を生まないために、窓口の教育などの改善を求めたい。


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