新聞記事

2010年02月25日号から

高性能住宅Q&A 外壁をはがしたら黒アリ

殺虫剤散布でじゅうぶん

20100225_01_01.jpgQ・・・外壁リフォームを受注し、サイディングをはがしたところ、透湿・防水シートに穴が開いて、そこにアリがいたのです。どうしたらいいですか? シロアリ駆除剤を散布するとかは考えついたのですが、健康問題もありますし。アリがシートに穴を開けたのでしょうか?


20100225_01_02.jpgA・・・物件は札幌圏で、築15年の家だそうです。質問者は木造の現場管理者として、木材の腐り具合、雨水浸入の形跡、透湿・防水シートの強度については確認を終えたそうで、シートには強度低下は見られませんでした。また木材腐朽については、出窓との取り合い部に胴縁材の腐れが見られるほかは問題ないということでした。
 そこで編集部は、発見された「アリ」について、専門家である㈱青山プリザーブに取材してみました。
 同社では、「現場を見ないことには軽々しく結論は出せない」という前提の上で、次のような見方をしています。
 ▽シロアリではないという現場管理者の見立てはまず間違っていない。
 ▽普通のアリなら、小さなトビイロケアリ以外は大きな巣を作らない。
 ▽ほんとうは殺虫剤もいらないくらい。シロアリ駆除剤は必要ないし、使ってはいけない。

20100225_01_03.jpg アリが出てくると、「アリが木を腐らせた」とか「ほかにも腐っているところがあるはず」といった不安がよぎると思います。しかし、シロアリ以外の普通のアリは、木をダメにすることはありませんし、ほかの部位が腐っている証しでもありません。
 ただ、アリは湿ったところが好きなので、アリが出てきた場所が濡れているかも、という推測はできます。それとて、最近の調査ではカラカラに乾燥した室内の部位から出てくることもあるので、断定できないのです。
 要するに、普通のアリには家を腐らせるチカラも、シートを破るチカラもないのです。こういう虫を「不快虫」と言いますが、不快なだけで人間への害は確認されていません。
   *   *
 透湿・防水シートにアリが穴を開けた疑いはかなり低いのですが、もし開けたとしたらシートが弱っているのでしょう。アリは穴あけはあまり得意ではありません。
 対処としては、アリが這い出てきた部分に市販されているハエ退治用などの殺虫剤をスプレーして(シロアリ駆除剤ではありません)、テープで穴をふさぐだけでじゅうぶん。


「クロアリ」関連記事
住宅内にクロアリが侵入する事例を最初に報告した記事
寄稿・前編 トビイロケアリ(黒アリ)が 新築住宅に侵入する事例について (株)青山プリザーブ 青山 修三
(2008年・平成20年7月15号 北海道住宅新聞)


前年記事の続報(2009年07月15日号)
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リフォームで壁をはがしたらアリ
シロアリ駆除剤を使うべきかどうか(この記事)

クロアリが出たときどうするか
状況説明より、共感と誠実な対応(2010年06月25日号)

気密性が良くてもアリが侵入
「アリの侵入は築後6ヵ月以内が多く、1年以内の侵入報告がほとんど..」(2013年5月15日号)


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