新聞記事

2010年01月15日号から

北方型や基準法が改定へ

 昨年は長期優良住宅や瑕疵担保履行確保法など、法制度関連の創設・改正が例年になく多い1年だった。今年もすでに発表された住宅版エコポイントのほかに、法制度関連で様々な動きが出てきそうだ。ここではその中から代表的なものをピックアップした。

◆北方型住宅基準・改正

 北海道では北方型住宅基準等の改定を行い、今年4月から運用を開始する予定だ。
 北方型住宅は昭和63年に誕生し、平成17年には基準改正によって性能を次世代省エネ基準レベルに引き上げるとともに、設計・施工記録を作成・保管する北方型住宅サポートシステムを開発。
ここ2年はさらに断熱性・気密性を引き上げた北方型住宅ECOが国の長期優良住宅先導的モデル事業に採択されたこともあり、普及が進んでいる。
 改定内容は、現在北方型住宅会議で検討されている最中で、今月下旬に行われる第2回目の会議でほぼ決まる。長期優良住宅との整合性を図ることや、住宅性能を表示する「ラベリング制度」の創設などが検討されており、すでにサポートシステムについては昨年12月に長期優良住宅の要件の一つである住宅履歴情報の整備に対応するため、登録された住宅に共通IDの発行を開始している。

◆省エネ法・施行

 平成20年5月に改正された省エネ法によって、今年4月1日以降に建設される300㎡以上2000㎡未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出が義務付けられる。これまでは床面積2000㎡以上の住宅・建築物のみ義務づけられていたが、300㎡となると戸建てや木造アパートなども対象となる場合がある。
 省エネ措置は次世代省エネ基準などを目安に、所管行政庁が省エネ性をチェック。届け出にあたっては、1.年間暖冷房負荷による評価 2.熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数による性能規定での評価 3.各部位の断熱材の種類・厚さが省エネ基準に適合しているかどうかの仕様規定―以上のいずれかによって省エネ性を確認する。
 省エネ措置が著しく不十分な場合の罰則はないが、行政庁から勧告が行われることがある。

◆リフォーム瑕疵(かし)保険・開始

 国土交通省では、早ければ4月にもリフォームの瑕疵担保保険・事業者登録制度を開始する。
 詳細は3月末までに明らかになる見込みだが、同省諮問機関が公表した具体案によると、1.加入は任意 2.利用にあたっては保険法人に業者登録を行う 3.工事中に現場検査を行い、合格した場合のみ保険証券を発行 4.オプションで保険法人による建物の現状調査と、工事費用が適正かどうかという簡易判断の実施―などが盛り込まれている。
 保険のタイプは、戸建住宅では耐震改修を対象とした耐震改修工事タイプと、外装や水回りの改修などを対象とした個別改修タイプを予定。改修工事を行った部分に瑕疵が発生した場合、リフォーム業者に補修工事費用の8割が支払われる。保証期間は5年間で、保険料は検査料含め10~20万円程度になりそうだ。

◆確認4号物件特例・廃止

 国では4号物件この特例廃止を平成20年12月までに行う考えだったが、同19年7月の改正建築基準法施行による混乱を受け、一定の周知期間を置いたうえで平成21年度以降に実施するとした。
 平成21年度以降、いつ実施するのかについては、まだ国からの正式な発表はない。関連団体などからの見直し要望があることに加え、昨年末の緊急経済対策の中で建築確認の手続き等の改善が決まったことから、実施時期はもちろん、実施するのかどうかでさえ不透明な状態だ。

◆基準法、省エネ基準・見直し

 民主党が昨年夏に発表したマニフェストには「従来の持家政策を転換し、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する」と書かれており、「建築基準法など関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する」と明記している。
 また、昨年末に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」では、建築基準法で建築確認の手続き等を改善し、迅速な審査と申請図書の簡素化を目指すことと、省エネ判断基準の見直しが盛り込まれた。
 これらのことを考えると今年から来年にかけ建築基準法と次世代省エネ基準の改正が行われる可能性がある。
 次世代省エネ基準については、一部でうわさされている義務化はなさそう。エコポイントによって事実上の義務化を誘導し、その上で来年以降に新たな省エネ基準の登場が予想される。

20100115_02_01.jpg

20100115_02_02.jpg


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円


関連記事

powered by weblio


内容別

月別

新着記事