新聞記事

2010年01月25日号から

住宅版エコポイント

リフォームも最大30万円

 今国会での今年度第2次補正予算成立後にスタートする住宅版エコポイントの講習会が、去る18日、札幌市教育文化会館で行われ、国土交通省住宅局住宅生産課課長補佐の原田佳道氏がポイント数は新築・リフォームとも規模にかかわらず最大30万となることや、同時に実施する他の工事にポイントを使える即時交換が可能になることなど、今月15日に新たに発表された内容を中心に制度概要の説明を行った。講習会のポイントは次の通り。

着工時期-今年12月31日まで

1.工法を問わずトップランナー基準(住宅事業建築主の判断の基準)に適合する住宅 2.木造で次世代省エネ基準に適合する住宅―のいずれかを対象とし、昨年12月8日から今年12月31日まで着工することが条件。着工は根切り工事または基礎杭打ち工事の着手時とする。
 リフォームは窓や外壁等の改修部位が次世代省エネ基準に適合することを条件に、1.ガラス交換・内窓追加・窓自体の交換を行う窓の断熱改修 2.定められた最低使用量以上の断熱材を使う外壁・天井・屋根・床の断熱改修―の2つの改修工事を対象とする。新築とは異なり、今年1月1日から12月31日に工事着手した物件が対象。
 リフォームと同時にバリアフリー改修として手すり設置や段差解消、廊下等の拡幅を行う場合は、その内容に応じてポイントが加算される。
 新築戸建て・リフォームとも工事完了・引き渡しは今年度第2次補正予算成立後となることも条件となるが、工期が短いリフォームの場合、この点に注意したい。

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リフォームのポイント計算-窓は面積で異なる

 もらえるポイントは、規模にかかわらず新築戸建てもリフォームも1戸あたり最大30万。
 リフォームの場合、窓の断熱改修と外壁等の断熱改修、これらと同時に行うバリアフリー改修で与えられるポイントの合計数がもらえるが、窓の断熱改修は内窓追加と窓自体の交換は窓面積の大きさ、ガラス交換はガラス面積の大きさによってそれぞれ大・中・小の区分を設けポイントを設定。面積が大きいほどポイントを多くもらえる。
 外壁等の断熱改修は部位別にポイント数が定められ、外壁が10万ポイント、屋根・天井が3万ポイント、床(基礎)が5万ポイント。省エネ基準の断熱材性能区分に応じて各部位の必要使用量が定められており、例えば戸建住宅の外壁改修で高性能グラスウール16Kを使う場合は6以上、押出スチレンフォームB3種や硬質ウレタンボードを使う場合は4以上は最低使う必要がある。
 リフォームで外壁等や窓と同時に行うバリアフリー改修は、手すり設置と段差解消が5000ポイント、廊下等の拡幅が2万5000ポイント。1戸あたり5万ポイントを限度とするが、各部屋・空間ごとにポイントを加算する仕組みで、例えば浴室とトイレに1本ずつ手すりを付ければ合計1万ポイントになるが、浴室だけ手すりを2本付けても5000ポイントと計算し、1万ポイントにはならない。

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ポイントの申請と利用については、本紙試読をご請求ください。


2010年01月25日号から

工務店生態レポート

第6回 広告宣伝予算

インターネットの普及にともない、新聞のチラシや雑誌広告は効果が薄くなっているが、「広告宣伝は麻薬と同じで止めるに止められない」という声もあり、今でも会社のアピールや集客の手段としている工務店は多い。そこで今回は広告宣伝の年間予算と掲載メディアについて調査した。

200万円以内
 広告宣伝にかける予算は年間200万円ほど。そのうち雑誌広告が半分以上で、他は見学会の新聞チラシなどにあてている。ただ、出稿している住宅雑誌は昔と比べてかなり広告を出す工務店が減ってきており、当社もこのまま雑誌広告を出続けるのかどうかを考える必要があると思う」(札幌A社・年間施工棟数10棟)

 「1年で大体200万円程度は広告宣伝に使う。『ライナー』など旭川ではフリーペーパーの反応が良いので、予算の半分以上はフリーペーパーに使っている。後はチラシの制作費にあてている」(旭川F社・年間施工棟数5棟)

300万円以内
 「広告宣伝費は毎年大体250万~300万円となっている。住宅雑誌への広告出稿が大半を占めるが、最近では実験的に無料の不動産情報誌にも広告を出すことがある。できるだけ多くのユーザーの目に留まるメディアとインパクトのある広告を組み合わせていきたい」(札幌B社・年間施工棟数25棟)

 「毎年300万円を広告宣伝費として計上しており、一番多く使うのは雑誌広告で、次に新聞広告。雑誌広告は出し始めた頃、反応がゼロだったが、最近になって見たという人が増えてきたように思う。逆に新聞広告は反応が鈍ってきているようなので、サイズを小さくした」(十勝G社・年間施工棟数25棟)

売上の2%
 「当社は不動産事業もやっているが、広告宣伝予算は住宅工事だけ売り上げから2%をあてている。主に道新など一般紙の折り込みチラシのほか、OB客や新規見込み客向けに独自に作っている広報誌の制作・発送費にかけている」(道央D社・年間施工棟数30棟)

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2010年01月22日

2月2日 札幌  燃費ゼロの融雪を説明

どか雪で関心高まる

融雪に必要なエネルギーをすべて室内の暖房熱でまかなう排熱回収型融雪システム「とけまるくん」に対する特許が昨年暮れに確定し、2月から商品名を「ゆうらく」と改め、PRに力を入れはじめた。2月2日(火曜)には札幌市内で住宅関係者とエンドユーザーを対象とした説明会が開かれる。


 高齢者や妊娠中の女性にとって、除雪は重労働であるばかりか、路盤の氷結などにより転倒の危険も高くなる。ロードヒーティングによって問題を解決することは可能だが、設置費用のほか、運転のための電気・灯油などの燃料費が必要になり、エネルギーコストの上昇などにより、せっかく設置したロードヒーティングを運転しない例もあるという。
 「ゆうらく」はこういった北国特有の悩みを解決する技術開発。その仕組みは、機械換気装置と連動させ、換気によって汚染空気を屋外に排出するとき、熱だけを回収・温水に熱交換してロードヒーティングなどの融雪に利用する。


 昨年末から道内でゲリラ的に続くどか雪の影響で年明けから「ゆうらく」についての問い合わせが相次ぎ、急きょ説明会を企画したという。
 当日は採用したエンドユーザーの声や実際の融雪状況を紹介するほか、燃費がゼロで雪を融かす仕組みをわかりやすく解説する。


 会場はかでる2・7の940研修室(札幌市中央区北2条西7丁目)、時間は午後1時30分から2時間程度。
申し込み・問い合わせは総発売元の日本住環境(株)札幌支店へ(電話011・222・6330)。


2010年01月15日号から

CO2削減とこれからの家づくり

20100115_01_01.jpg 昨年9月22日、鳩山首相は国連で2020年までにCO2などの温室効果ガスを1990年比で25%削減することを目指すと発表。様々な政策を総動員して実現する考えを示した。国がCO2排出量削減へ向けて大きく動き出す中、これからの家づくりにはどういう視点・考え方が必要になるのだろうか。道立北方住宅総合研究所居住科学部主任研究員・鈴木大隆氏に話をうかがいながら、これからの家づくりの方向性を探ってみた。


◆CO2排出量の現状

20100115_01_03.jpg 化石燃料の燃焼などエネルギーを作る時に排出されるCO2を示す"エネルギー起源"で日本のCO2排出量を見てみると、2008年度は速報値で11億3800万t。ここ10年間では最も少なく、前年度比では6・7%減で2年ぶりの減少、京都議定書の基準年である1990年比では7・4%増となっている。
 7%近い減少に転じたことで、思っているほど事態は深刻ではないと思う見方もあるかもしれないが、暖冷房や給湯など住宅が直接関係する家庭部門の状況を見ると決して楽観できない。
 家庭部門から排出されるCO2は全体の15%で、前年度比は4・6%のマイナスだが、1990年比では約35%もの増加と、依然大幅に増えていることに変わりはなく、鳩山首相の言葉通りに推移させるには、すでに増加している約35%分に加え、さらに25%ものCO2を減らさなければならない。
 また、環境省によると2008年度の家庭部門の減少は「暖冬の影響」としており、省エネが進んだ結果ではない。平年並みの気象条件であれば再び増加に転じることも考えられる。

道内暖房は4割も減ったが・・・

20100115_01_05.jpg 一方、道内に目を向けてみると、家庭でのエネルギー消費量は昔と大きく変わってはいない。
 道立北方建築総合研究所(北総研)がまとめた北海道の戸建住宅の年代別・用途別運用エネルギーを見ると、一次エネルギー換算で1970年代は年間120GJを超えていたが、1980年代以降は概ね110~120GJの間で推移し、暖房エネルギー消費量は4割程度も減っている。これは北海道の産学官が、高断熱・高気密を始めとする住宅の省エネに取り組んできた成果だ。
 しかし、暖房以外のエネルギー消費量、特に照明・家電などで使用されるエネルギーが急増。さらにエアコンによる冷房やロードヒーティングなどの融雪設備を設置する住宅も増加。結果として住宅全体では省エネが進んでいないということになる。
 住宅のエネルギー消費抑制は、世代分化による世帯数の増加や延床面積の増加などの要因もあり、必ずしも技術だけで解決できる問題ではないが、CO2排出量25%削減を考える時、北海道も含め住宅にこれまで以上の省エネ化が求められてくるのは確かなことだ。

◆省エネ政策の方向

20100115_01_04.jpg それでは今後どのような省エネ政策が出てくると考えられるのか。
 先に紹介したように家庭部門のCO2排出量はすでに1990年比約35%増。全体の7・4%増を大きく上回っており、住宅では25%を上回る削減努力が必要という声が出てくるかもしれない。
 この点について、住宅省エネ基準の改定などに携わっている北総研・鈴木氏は「住宅全体のエネルギー消費量増加は、世帯数や延床面積の増加など、今の技術だけでは抑えられない要因がある。住宅でのエネルギー消費が増え続けているからといって、産業や運輸など他部門より高い削減率を課すべきと言うのは簡単だが、延床面積の増加など技術以外の要因が絡んでいるだけに、5~10年後に本当に25%を超える削減率を達成できるのかというと、かなり難しいのではないか。住宅のエネルギー消費量増加の問題は非常に複雑なだけに、慎重に考えないといけない」と話す。
 鈴木氏は家庭部門も含めて全部門一律25%のCO2削減となった時に「財源や制度設計も含めて9割以上は既存の住宅ストックに力を向けないといけない」と、既存ストックの省エネ化が重要との見方を示している。
 例えばドイツでは住宅を新築・売買・賃貸する時、オーナーは年間のエネルギー消費量が一目でわかる「エネルギーパス」の提示を今年7月から義務化した。日本でも既存ストック対策として最初に導入するとしたらそのような規制、もしくは省エネ法を強化して大規模修繕に一定の断熱改修を義務付けることが考えられるという。

エコポイントで誘導

 ただ、問題はユーザーの反応。これは新築でもリフォーム・改修でも一緒だが、現実的にユーザーが省エネにどこまでお金を出してくれるかは非常に難しい話。そこでエコポイントなどを利用することにより、それぞれのユーザーの家の事情がある中でわずかでもいいから確かな省エネを誘導することが必要になってくる。
 「目標とする省エネレベルに到達するため、階段をあと2、3段登らなければいけないとした場合、一気に2、3段駆け上がろうという政策を打ち出しても、現状では住宅会社にもユーザーにも受け入れられないだろう。まずは今年1段登ってみないことには次の1段が見えてこない。その最初の1段が住宅版エコポイントであり、住宅会社やユーザーにどう受け止められるかを見たうえで、次の政策も決まってくるのでは」と鈴木氏は語る。

◆家づくりの方向

20100115_01_02.jpg CO2排出量25%削減を前提とすると、これからの住宅は、どの程度の性能レベルが目標となるのだろうか。
 鈴木氏は「断熱・気密を進めなければいけないことは確か。そのために住宅版エコポイントも躯体断熱に的を絞ったものになっている。まず先に断熱・遮熱など建築的な省エネ対応を十分行ったうえで、省エネ設備機器の導入を考えるべき」と言い、具体的な例の一つとしてライフステージの変化に対応して必要な生活空間だけをしっかり断熱する方法もありではないかとしている。
 簡単に説明すると、それは建物本体の熱損失係数(Q値)として1・2~1・3Wをベースとし、1階部分の断熱については天井ふところに防音対策を兼ねて断熱材を充てんしておくほか、外壁部分には室内側から20~30㎜程度の断熱付加を行っておくか、子供が独立する時に行う。
 住宅の暖冷房負荷の7割は1階部分が占めているので、最初に1階の断熱性を高めておく。将来的に子供が独立して家を出て行くと、実質的に夫婦2人で1階に暮らすことになるが、その時には1階の床・壁・天井がしっかり断熱されているため、暖房負荷の3割を占める2階を暖房する必要もなくなり、暖房消費エネルギーは3割減となるという考えだ。
 同じく断熱改修においても部分改修は有力な選択肢の一つになる。
 ただ、このような省エネ手法を評価する方法が現状はない。キチンと比較・検証できるモノサシを作ることが必要になってくる。
 太陽光発電やエコキュートなどの設備導入は確かに有効な省エネ手法になるが、機械に頼った省エネはイニシャルコストや交換・更新時のユーザーの負担も大きいほか、現状では誰もが導入できるものではない。逆に熱損失を抑えるため断熱強化にかかるコストは、それらの設備機器ほどかからないし、しっかり施工すればその効果は100年以上期待できる。
 まずは断熱強化や日射遮へい、通風への配慮など住宅本体での省エネ対応をしっかり行い、そのうえで自然エネ利用・高効率設備を導入するという考え方をベースとした家づくりが、これから目指すべき方向となりそうだ。


2010年01月15日号から

北方型や基準法が改定へ

 昨年は長期優良住宅や瑕疵担保履行確保法など、法制度関連の創設・改正が例年になく多い1年だった。今年もすでに発表された住宅版エコポイントのほかに、法制度関連で様々な動きが出てきそうだ。ここではその中から代表的なものをピックアップした。

◆北方型住宅基準・改正

 北海道では北方型住宅基準等の改定を行い、今年4月から運用を開始する予定だ。
 北方型住宅は昭和63年に誕生し、平成17年には基準改正によって性能を次世代省エネ基準レベルに引き上げるとともに、設計・施工記録を作成・保管する北方型住宅サポートシステムを開発。
ここ2年はさらに断熱性・気密性を引き上げた北方型住宅ECOが国の長期優良住宅先導的モデル事業に採択されたこともあり、普及が進んでいる。
 改定内容は、現在北方型住宅会議で検討されている最中で、今月下旬に行われる第2回目の会議でほぼ決まる。長期優良住宅との整合性を図ることや、住宅性能を表示する「ラベリング制度」の創設などが検討されており、すでにサポートシステムについては昨年12月に長期優良住宅の要件の一つである住宅履歴情報の整備に対応するため、登録された住宅に共通IDの発行を開始している。

◆省エネ法・施行

 平成20年5月に改正された省エネ法によって、今年4月1日以降に建設される300㎡以上2000㎡未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出が義務付けられる。これまでは床面積2000㎡以上の住宅・建築物のみ義務づけられていたが、300㎡となると戸建てや木造アパートなども対象となる場合がある。
 省エネ措置は次世代省エネ基準などを目安に、所管行政庁が省エネ性をチェック。届け出にあたっては、1.年間暖冷房負荷による評価 2.熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数による性能規定での評価 3.各部位の断熱材の種類・厚さが省エネ基準に適合しているかどうかの仕様規定―以上のいずれかによって省エネ性を確認する。
 省エネ措置が著しく不十分な場合の罰則はないが、行政庁から勧告が行われることがある。

◆リフォーム瑕疵(かし)保険・開始

 国土交通省では、早ければ4月にもリフォームの瑕疵担保保険・事業者登録制度を開始する。
 詳細は3月末までに明らかになる見込みだが、同省諮問機関が公表した具体案によると、1.加入は任意 2.利用にあたっては保険法人に業者登録を行う 3.工事中に現場検査を行い、合格した場合のみ保険証券を発行 4.オプションで保険法人による建物の現状調査と、工事費用が適正かどうかという簡易判断の実施―などが盛り込まれている。
 保険のタイプは、戸建住宅では耐震改修を対象とした耐震改修工事タイプと、外装や水回りの改修などを対象とした個別改修タイプを予定。改修工事を行った部分に瑕疵が発生した場合、リフォーム業者に補修工事費用の8割が支払われる。保証期間は5年間で、保険料は検査料含め10~20万円程度になりそうだ。

◆確認4号物件特例・廃止

 国では4号物件この特例廃止を平成20年12月までに行う考えだったが、同19年7月の改正建築基準法施行による混乱を受け、一定の周知期間を置いたうえで平成21年度以降に実施するとした。
 平成21年度以降、いつ実施するのかについては、まだ国からの正式な発表はない。関連団体などからの見直し要望があることに加え、昨年末の緊急経済対策の中で建築確認の手続き等の改善が決まったことから、実施時期はもちろん、実施するのかどうかでさえ不透明な状態だ。

◆基準法、省エネ基準・見直し

 民主党が昨年夏に発表したマニフェストには「従来の持家政策を転換し、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する」と書かれており、「建築基準法など関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する」と明記している。
 また、昨年末に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」では、建築基準法で建築確認の手続き等を改善し、迅速な審査と申請図書の簡素化を目指すことと、省エネ判断基準の見直しが盛り込まれた。
 これらのことを考えると今年から来年にかけ建築基準法と次世代省エネ基準の改正が行われる可能性がある。
 次世代省エネ基準については、一部でうわさされている義務化はなさそう。エコポイントによって事実上の義務化を誘導し、その上で来年以降に新たな省エネ基準の登場が予想される。

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2010年01月05日号から

動き出すエコポイント

今年の住宅政策の目玉として緊急経済対策に盛り込まれた住宅版エコポイント制度の詳細が明らかになってきた。エコポイントの発行は、新築戸建てであればトップランナー基準(住宅事業建築主基準)、もしくは木造であれば次世代省エネ基準をクリア、リフォームであれば窓または外壁・屋根・天井・床いずれかの次世代省エネ基準対応断熱改修が対象となり、省エネ設備機器は対象外。断熱構造化に的を絞った制度として実施される。

高断熱構造の新築・リフォームが対象

 エコポイントは、昨年度に地上デジタル放送対応テレビとエアコン、冷蔵庫を対象とした制度として創設。性能やサイズに応じてポイントが与えられ、1点1円相当として商品券やプリペイドカード、省エネ性の高い商品などと交換可能だ。
 住宅版エコポイントは、省エネ性の高い新築住宅とリフォームにもこのポイントを与えるもので、家電版エコポイント同様に商品券などと交換できるが、家電版が最高3万9000ポイント(買替え・リサイクル含む)なのに対し、住宅版は新築で30万ポイント相当(予定)とケタが違う。そのため政府は家電版よりも交換対象を多様化する方向で検討中。
 ポイント申請期限は今後発表されるが、あらかじめ発行数が決まっているため、申請期限前であっても発行ポイントが予定した数に達した場合は、その時点で発行を終了する。
 ポイントの申請は今後都道府県ごとに設置される事務局で行うことになり、必要書類を窓口に提出または郵送する。

新築の場合
木造戸建ては次世代基準

 エコポイントをもらえる戸建住宅は、新築であれば昨年12月8日から、リフォームであれば今年1月1日から今年12月31日までに着工し、今年度補正予算成立日以降に完成・引き渡しされた住宅が対象。
 新築のポイントは30万相当となる予定で、次のいずれかの条件に適合することが必要だ。
 ①トップランナー基準に適合したすべての住宅(工法は問わない)
 ②次世代省エネ基準に適合した木造住宅
 ポイントの申請にあたっては、これらの基準に適合することを証明する書類を添付しなければならない。②の木造住宅については、次のいずれかの書類が必要。
 ①住宅性能表示制度で省エネルギー対策等級4の設計または建設住宅性能評価書
 ②長期優良住宅の認定通知書または適合証
 ③第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(断熱性能基準)
 ④フラット35S(省エネルギー性基準に該当)の適合証明書
 ⑤性能評価機関によるエコポイント対象住宅証明書
 木造以外の住宅については、第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(総合省エネ基準)またはフラット35S(20年金利引下げタイプ・省エネルギー性基準に該当)のいずれかとなる。
 これらの書類以外にも、工事施工者が社名・住所や工事期間・内容を記載し発行した工事証明書と領収書または契約書の写し、確認済証の写し、検査済証の写しまたは竣工写真などを提出する。

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リフォームの場合
外壁や窓など次世代レベルに

 一方、リフォームについては、1ヵ所の改修で1万5000ポイント相当を予定しており、例えば窓3ヵ所の改修で4万5000ポイントとなる。ただ、外壁・床・天井の断熱改修については、どのようにポイントを計算するのか現時点(12月25日現在)では未定だ。
 ポイントを申請するためには、次のいずれかの条件に適合することが必要になる。
 ①窓の断熱改修(二重サッシにするか、ガラスを複層ガラスに変更)
 ②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
 このうち、窓の断熱改修は、複層ガラスへの交換や内窓の設置、窓そのものの交換によって次世代省エネ基準に適合すること。外壁、天井または床の断熱改修は、次世代省エネ基準に適合する厚さのノンフロン断熱材を用いる。使用する断熱材は所定のJIS規格の適合認証を受けていることなどが要件となる予定だ。
 なお、手すりの設置や段差の解消、通路・出入口の拡幅などのバリアフリーリフォームもあわせて行う場合には、ポイントが加算される仕組み。
 ポイント申請時には以下の書類が必要になる。
 〈窓の断熱改修の場合〉...メーカーが発行する窓・ガラス等の性能証明書(製品型番・製造番号・サイズが記載されたもの)
 〈外壁等の断熱改修の場合〉...断熱材の納品書または施工証明書(製品型番や使用量が記載されたもの)
 これらの書類以外に工事証明書や領収書、工事現場写真なども提出することになる。

長期優良など対象の
補助金と併用は不可

 住宅版エコポイントを利用するにあたっては、他に国から補助を受けている場合、例えば北方型住宅ECOなど最大200万円の補助が受けられる長期優良住宅先導的モデル事業と、最大100万円の補助金が受けられる長期優良住宅普及促進事業などとの併用はできないことに注意しておきたい。
 厳密に言えばエコポイントは補助金と異なるが、国では同じ性格のものとして捉えており、補助金の2重取りになるとの考えだ。
 間違って長期優良住宅の補助金とエコポイントを同時に申請した場合、事前にチェックされるというものの、チェックをすり抜けて補助金とエコポイントの両方を受けた場合、最悪両方とも返還を命じられる可能性もある。
 ただし、太陽光発電や高効率給湯機(エコキュートなど)に対する補助はあわせて利用することが可能になっているほか、長期優良住宅促進税制や省エネ改修促進税制などの税制特例やフラット35など融資面での優遇措置も受けることができる。

今月から全国で講習会

 国交省では、住宅版エコポイントの講習会を今月から全都道府県で開催する。北海道・東北の日程・会場は別表の通り。
 参加希望者は電話(0120・003・605)またはFAX(0120・009・242)で開催日3日前までに申し込む。受講無料。
 また、問い合わせ窓口も開設(03・5253・8111、内線39471~39473)。住宅リフォームセンターでも相談窓口を設置している(03・3261・9358)。


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国交省住宅版エコポイントホームページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000017.html


2010年01月05日号から

札幌市内戸建住宅オーナー3,000件にアンケート

今年こそは受注競争に勝ち、活路を見出すために、やはり「顧客ニーズ」に対しピントの合った戦略が必要。

一番参考になるのは「顧客の本音」ではないだろうか。そう考えた本紙は、札幌市内で住宅を取得したばかりの3000件にアンケートを送付、ユーザー40名の率直な回答を得ました。戦略のヒントが隠れているはずです。

アンケート結果については見本紙をご請求ください。https://www.iesu.co.jp/inquiry/


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