新聞記事

2009年12月15日号から

ソーラーデカスロン第3位 カリフォルニアチーム

太陽の家は美しく、そして広く

 カリフォルニアチームはサンタクララ大学と名門・カリフォルニア美術大学の合同チーム。
 10項目の総合力で争うソーラーデカスロン(十種競技)で、ほとんどの項目でベスト3にランクイン、中でも建築など2項目で1位、エンジニアリングでは2位を獲得している。美しく、斬新な曲がり屋のデザイン、室内と屋外が融合した空間を作りあげた。

20091215_02_01.jpg概  要

 美しさは全体の設計と窓の使い方から来ている。南に向いたデザインは南面を最大にするほか大きく見せる効果もある。中庭は建物に取り込まれたように見えるからだ。
 「夏はドアを開いたままにできるので、約74m2にすぎない家は中庭とリヤデッキをリビングの一部に取り込み、ずっと大きく使えます」と、サンタクララ大学のチームリーダーのひとりは語る。
 曲がり屋はカリフォルニアのよく晴れた気候に最適。南向きのパッシブソーラー設計によって、実際には暖房は不要になり、最先端の太陽熱吸収チラーが冷房パネルによって冷房を行う(床暖房・天井冷房)。チラーからの排熱は太陽熱給湯システムの予熱として使う。屋根はもちろん太陽光発電パネル。

技術と特徴

・モニターシステム。携帯電話・アイフォンのソフトで動き、住宅の性能を表示し、温度と照明をどこにいても制御できる。
・雑排水の貯水池。この水で庭の地味を豊かにする。
・パッシブソーラー技術。これにより暖房熱を不要にしている。
・超高断熱窓。取り入れた技術はLow―Eガラス、ヒートミラーフィルム、クリプトン・アルゴンガス空気層。
・太陽熱吸収チラー。端末は冷風吹き出しではなく輻射型冷房。
・太陽熱給湯システム。チラーから排出される熱も予熱として利用する。
・8・1kWの太陽光発電パネル。
・中庭を家に取り込む曲がった長方形デザイン。
・室内を広く使う組み込み家具。

暖冷房技術

 快適な空間を最小限のエネルギーによって実現するための技術として、暖冷房は換気とエネルギー回収システムと連動し、効率を高める。制御系はデジタルで、住宅内だけでなく地域のエネルギー需要に対応したインテリジェントシステムとなっている。
 窓とブラインドは最も効率的に動くように自動制御されているが、もちろん手動もできる。給湯は高効率のヒートポンプを装備。
 特徴的なのは、スマートグリッドと呼ばれる技術に対応すること。例えば暖冷房と給湯は需要ピークをずらすなどの制御を行う。
 暖冷房システムはバッファタンクを持っており、これが夏は冷房・冬は暖房に使われる。バッファがあることで、ヒートポンプの運転時期を一日のうちで最も効率がよい時間帯に運転したり、電気料金が安いとき、または地域の電力網が安定する時間帯に運転することができる。バッファを持つことでいろいろな意味でピークシフトが可能になる。
(翻訳:本紙編集部)
20091215_02_02.jpg


試読・購読のお申し込みはこちら 価値のある3,150円


関連記事

powered by weblio


内容別

月別

新着記事