新聞記事

2009年12月15日号から

住宅版エコポイント創設

 政府はこのほど、経済・雇用の安定化を目的として住宅版エコポイント制度の創設などを盛り込んだ緊急経済対策を閣議決定した。国会での成立は来年になるが、エコポイント制度は来年1月1日以降に着工した住宅が対象になる見込みで、住宅関連では他に高効率な太陽熱利用システムの普及支援やフラット35Sの金利引き下げ、贈与税非課税枠の拡大、省エネ基準見直し、建築確認の改善、木造住宅振興などが予定されている。

木造戸建ては次世代基準クリアが条件

 今回閣議決定された緊急経済対策は、雇用・環境・景気を3本柱とし、予算規模は国費ベースで7・2兆円。この中で政府は金融対策によって景気の下支えを行い、住宅投資の活性化によって本格的な景気回復を目指す考えだ。今年度2次補正予算に盛り込み、年明けの通常国会に提出する。
 具体的な内容についてはまだ明らかになっていないが、大きな目玉はすでにマスコミ等で報道されている住宅版エコポイント制度の創設。これは地球温暖化対策と景気対策の両立を目指し、エコ住宅の新築やリフォームに、エコポイントを与えるというもので、1千億円の予算を計上。
 エコポイントはすでに省エネ家電の購入を対象に実施されており、ポイントは様々な商品・サービスと交換可能。どのような住宅にいくらぐらいのエコポイントを与えるのかが大いに気になるが、現時点では新築の場合、1.平成22年1月1日以降に着工 2.原則として補正予算成立日以降に工事が完了して引き渡し 3.事前に住宅省エネ基準(次世代省エネ基準)または住宅事業建築主基準(トップランナー基準)への適合を性能評価機関が認定した住宅―という条件をすべて満たすこととし、住宅省エネ基準への適合は木造住宅のみ対象となる予定。ポイントは金額換算で30万円程度になりそう。
 また、太陽エネルギーの変換効率が40~60%と高い住宅向け太陽熱利用システムの設置に補助を行い、リース方式によるビジネスモデルの普及拡大も図る。
 システムとしては太陽熱給湯機を想定しており、設置からメンテナンスまで一貫したサービスを提供する事業者に対し、補助を行う考え。

贈与税非課税額を3倍以上へ

 金融・税制関係では、住宅金融支援機構の長期固定金利ローン・フラット35S(優良住宅取得支援制度)における大幅な金利引き下げを実施。 予算4千億円を計上し、平成22年12月末までに優良住宅を取得した場合、金利引き下げ幅を現行の0・3%から1・0%に拡大。住宅融資保険の保険料率引き下げも行う。
 フラット35Sは20年金利引き下げタイプであれば、現時点でフラット35の金利を2・6%(北海道銀行12月適用)とすると、借入額2千万円、返済期間30年の場合、総返済額は300万円以上少なくなる。
 また、平成22年度税制改正で、新築やリフォームのために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税額を拡大。中高齢者の預貯金を若い世代の住宅取得に回し、景気を刺激する。非課税額は、現行の610万円から2000万円程度になると見込まれる。

省エネ基準の見直しも

 法制度面では省エネ判断基準の見直しを行うとともに、建築基準法で建築確認の手続き等を改善する。このうち建築確認の手続き等の改善は、迅速な審査と申請図書の簡素化を目的に行われる。
 このほか、環境対策の一つとして"木材利用の推進"を掲げており、この中で地域材を活用した展示住宅の整備等による木造住宅の振興や、ツーバイフォー住宅の部材開発などを計画。他には太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの全量買取制度の導入も検討するとしている。

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