新聞記事

2009年12月05日号から

ソーラーデカスロン 第2位 イリノイ大学

「古い」が「新しい」。 伝統的三角屋根にソーラー

20091205_03_01.jpg イリノイ大学はシカゴの南約200kmの地にあるアーバナ市とシャンペーン市にまたがる全米トップクラスの大学。
 チームは、最高・最新の省エネ技術は未来形ではなく、現在も建つ普通の家と同じであると考え、取り組みを開始した。
 2位となった三角屋根の家は、必要エネルギーの最大4倍を生産するが、外観は伝統的なアメリカ中西部の農家と変わらない。外壁は築100年の納屋からはがした外装羽目板、屋根は南面のみ高効率のソーラーパネルという組み合わせ。室内は最新の構造用竹材を採用、最適化された窓と断熱によって暖房はヘアードライヤー1台分のエネルギーしか消費しない。
 チームは屋根全面にソーラーパネルを張るフラット屋根を選ばなかった。というのも、三角屋根の南面だけで必要な電力を十分供給することができることを証明したかったからだという。
 投入された技術は次の通り。

1 30cmのウレタン系断熱材を床・壁・天井に吹きつけ。
2 竹の集成材による門型の構造体。これは木材より強度が高く、資源の再生も早い。
3 高効率の空調型暖房と換気は小さな負荷のために最適化制御。
4 暖房・換気・空調とシステム化した温水熱交換機。
5 LED照明。
6 9・1kWの太陽光発電パネル。

 イリノイチームは、実際に住宅産業が手ごろな価格で実現できる技術を目標としてきた。坪単価が最安でなかったとしても、長期的に見た場合の省エネ性とコストの安さ、そして長期信頼性を追求し続ける。そしてこういった特徴は、狙ったマーケットのニードと要望にマッチするはずだ。
 ターゲットは、アメリカ中西部に暮らす子どものいない専門職の夫婦。世帯年収は8万ドル(およそ800万円)で土地持ち。サイオンの購入を検討するタイプの人たちに例えることができる(サイオンとはトヨタがアメリカで展開する自動車ブランドで、若者層をターゲットとしている)。彼らは自分たちをトレンドをつくるタイプと見ている。
 品質やコスト、デザイン、サスティナビリティに関心があり、家については個性の表現であり、彼らの価値観を映し出す生活の一部分と見なす。モデルハウスは歴史と環境親和性をデザイン上で表現しながら、施主を想定して設計している。
トヨタ・サイオン http://www.scion.com/
(翻訳:本紙編集部)


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