新聞記事

2009年07月25日号から

全道着工25,000戸台か

全国も90万戸割れの可能性

 全国的に見ても最低の水準が続く09年の北海道の住宅着工はどうなるのか。
 本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度"、と予測した。しかし、その水準すらも下回ることが確実な情勢だ。
 1~5月の住宅着工と6月の札幌市の確認申請件数から判断して、2万7千戸台、最悪で2万5千戸割れも考えられる。
 1~5月の道内着工は、対前年比41%減。この減少ペースで行くと年計では2万3千戸だ。
 着工が急降下したのは昨年10月以降。つまり9月までは対前年比で大幅な減少が続く可能性が高い。
 9月以降、政治の安定によって未来展望に明るさが感じられたとしても、年内の仕事には結びつきにくい。
 長期優良住宅が始まった6月4日以降に確認申請が集中するという見方もあったが、札幌の6月戸建て実績を見ると、5月よりは回復したものの、対前年比では減少から抜け出していない。
 ただ、消費者の住宅取得意欲は根強く、集客自体はさほど悪くないという声も多い。問題は消費者の希望する低価格帯に供給側が応えきれていない面があること、住宅ローンの審査が通りにくいこと、将来が不安で多額の借金を背負いたくないマインド面、とも言われている。
 この結果、持家は9800戸台(2月予想と同じ)、問題は貸家と分譲、ということになる。
 貸家については、1~5月累計で44%減。フルローンに融資がつかない、入居率が低下しており地主が投資を見合わせる、不動産バブルの崩壊、というマイナス要素が目立ち、新築市場の回復には時間がかかりそう。当初予想から下ブレし、1万2千戸から1万4千戸あたりか。
 分譲もボロボロだ。現状はトータルで68%減、このうちマンションが8割減、建売が3割減。マンションは大手の破たんなどもあり、在庫の整理が進んでも新築が以前ほどの着工に戻るとは思えない。建売については、在庫のリスクから着工が減っているが、注文を補う意味もあり大幅な底割れはないと考えられる。当初予想を大幅に下回り、2500戸程度に落ちつくか。
 全国ベースでも下ブレは大きい。2月時点では最悪90万戸割れも、と予想したが、このペースで行くと80万戸台前半、場合によってはさらに下回る可能性もある。
 ただ、中部圏・関西圏・首都圏などを中心に長期優良住宅によって弾みがつくと見る向きも根強い。それによって秋から冬場の着工が伸びる可能性もある。ただしマンションの回復は思わしくない。


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