Q...築10年近く経過した住宅の点検におじゃまして、換気不良に気がつきました。お客さまは自宅の空気に慣れているので何も感じないようですが、においがこもり、測定するまでもなく換気不足は明らかでした。
お客さまが掃除をしてくれたらここまでひどくならなかったと思うのですが、そうでなくてもある程度の換気が確保される住宅であってほしいという気持ちもあります。
第三種のセントラル換気でこうですから...。
A...ご質問というより、課題をいただいた気分で、いろいろ調べてみました。
以前から、築年数が経つと換気量が落ちるというのは経験的にわかっていたことですし、実際に穴が詰まるほどのゴミが付着していて、掃除したらかなり回復した、という例もあります。しかし、そこで、掃除をすることでどのくらい回復するのか。これが第一の課題です。
第二に、換気量が落ちていいのかどうかという点です。ダメだというのは正しい答えですが、住み手に健康問題がなければいいのか、それともそうではないのか。
第三に、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないのか。せめて1年に1回でもやってもらえばゴミつまりをかなり防げるかもしれません。
第四に換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか、という点です。実際にはローコスト要請が強く、耐久性や掃除しやすさを犠牲にせざるを得ないとしたら、住宅会社側はどうすべきでしょうか。
そもそも、換気量はどのくらい落ちるものなのか。公式はないにしても、一例をおさえておく必要はありそうです。これが第五の課題。
(写真...排気グリルの裏側に付着したフリースのような汚れ。これがダクト内の表面にも付着している)
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札幌でセントラル換気システムの設計などコンサルティング活動を行っている(有)北欧住宅研究所・川本清司所長は、これまでの調査からだいたい次のような傾向があると言います。
4人家族で1年掃除しないと、10~13%、2年掃除しないと15~18%程度、換気量が低下する。
2人家族だと1年掃除なしで5%程度の低下。
以上は禁煙家庭の場合。喫煙者がいる場合、4人家族で1年間掃除しないと15%程度も低下します。
住宅の面積は36~45坪程度、つまり標準的な広さで、減り方の違いは家族数と喫煙者の有無で決まります。
連載ページ
1.1年で10%程度低下
2.掃除で換気量回復
3.数年後も風量維持
4.ご主人に説明する
5.耐久性が重要なワケ
6.機能と価格をしっかり選ぶ
7.まとめ