新聞記事

2009年02月15日号から

長期優良住宅/大手は対応を開始

 最大600万円の住宅ローン減税や住宅金融支援機構が開発中の50年ローンの適用などが予定されている「長期優良住宅(200年住宅)の普及の促進に関する法律」(以下、長期優良住宅法)が今年6月4日に施行となる。昨年12月末に認定基準案などが公表され、今月中旬には公布される見込み。大手ハウスメーカーの中には早くも対応商品の販売を開始したところもあり、今後、長期優良住宅への対応が進みそうだ。ここでは認定基準(案)の具体的な内容と札幌戸建確認申請済棟数で上位を占める大手の動きについてまとめた。

ローン減税最大600万

 長期優良住宅は昨年から国が実施している超長期住宅先導的モデル事業と同じ200年住宅政策の一つ。長期優良住宅法の成立にともない、先導的モデル事業は現在受け付けている平成21年度第1回募集から"長期優良住宅先導的モデル事業"と名称変更し、長期優良住宅認定基準に適合するとともに6月4日の法施行後は実際に認定を受けることが要件の一つとなった。
 長期優良住宅の認定を受けるメリットとしては、戸建住宅の場合減税措置として1.住宅ローン減税の最大控除額を600万円に拡充(一般住宅は500万円)2.住宅ローン減税との選択で、性能強化にかかった費用の10%相当額(最大100万円)を所得税から控除 3.床面積120m2までの固定資産税を5年間2分の1に軽減(一般住宅は3年間2分の1)4.不動産取得税で課税標準からの控除額を1300万円に拡充(一般住宅は1200万円)5.登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げがある。
 また、住宅金融支援機構が開発中と言われる50年住宅ローン・フラット50(仮称)が利用可能になる予定。

需要喚起の役割を期待

 この制度に対し、大手ハウスメーカー各社は税制優遇のメリットをユーザーにアピールして需要を喚起しようと、対応に向けて積極的に動き出しているところもある。
 例えば住友林業(株)は「お客様に対する税制優遇のメリットと優良な住宅ストックの形成を考え、全棟標準対応とする予定」(総務部広報グループ)で、今月6日には早くも長期優良住宅対応をうたった「My Forest[GS]」(マイフォレストGS)を発売開始。また、(株)ホーム企画センターは「住宅ローン減税の控除額は当社として最大限受けられるようにしておきたいし、それはお客様にとっても安心感につながる」(商品開発部)として全棟対応予定。このほか、詳細は検討中だが(株)土屋ホームは対応を準備中、北海道セキスイハイム(株)も対応を予定、スウェーデンハウス(株)道支社は個別に対応するとしている。
 一方、ミサワホーム北海道(株)は「まだ社内でどう対応するか、取りまとめができていない。3月頃にまとまる予定」(営業推進部)とのこと。豊栄建設(株)も対応未定だ。

耐震等級2が必須

 認定基準は大きく10項目に分類できる(左表参照)。新築木造戸建住宅について、昨年の超長期住宅先導的モデル事業基本性能基準と比べ大きく異なるのは、劣化対策と耐震性という構造に関する2項目。
 劣化対策等級は性能表示制度の等級3への適合はそのままに、床下・小屋裏の点検口設置と、床下空間の有効高さを原則330ミリ以上確保することが追加された。ただ、これらの要件はすでに標準でクリアしているケースがほとんどだろう。
 耐震性は、極めてまれに(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊等しない程度である性能表示制度の等級2、または免震建築物とするか限界耐力計算によって一定の安全性・耐久性を確認することが必要。等級2については、構造計算か仕様規定によってクリアする。
 また、躯体天井高は2650ミリ以上と規定。これは各階床表面から上階床裏面までの高さのこと。床面積は75m2以上だが、所管行政庁が独自に定めることも可能で、その場合は55m2以上。
 このほかの部分は昨年の先導的モデル事業基本性能基準と変わらず、省エネ性は省エネ基準に適合することとし、北海道であれば道南の一部を除き熱損失係数=Q値は1.6W以下。維持管理対策や住宅履歴書の作成・保存、維持保全計画の作成、景観への配慮なども必要となる。


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