新聞記事

2009年02月05日号から

本格的な構造塾-入門と実務向けに-

20090205_3_1.jpg J建築システム(株)(札幌市・手塚純一社長、工・農博)では、大学や専門学校では専門的に学ぶことができない木造の構造計算実務を基礎から実践まで徹底指導する「jjJSchool」(トリプルJスクール)を開校。住宅会社や設計事務所はもちろん、一般消費者までオープンに門戸を広げ、住宅性能表示制度や近い将来の実施が検討されている四号物件の確認特例廃止にも対応できるよう、実務で構造計算(許容応力度計算など)あるいは構造チェックができる人材を育成する。
 ユーザーは住宅を購入する時に構造計算が行われているものと思っているが、実際に木造2階建て以下の四号物件は確認申請時に構造計算書の添付は不要であり、仕様規定と呼ばれる簡単なルールの中で構造設計が行われ、その大部分は設計者の経験と判断に任されているのが現実。その一方でユーザーに対し建物の安全性・信頼性を証明しようと構造計算を行い、その結果をユーザーに示す住宅会社も徐々に目に付くようになってきた。
 
確認の四号特例廃止などに対応
20090205_3_2.jpg 構造計算は建物の安全を維持できるかを検証すること。計算により基礎と地盤を正しく評価したり、必要とされる壁の量やバランス、部材の大きさや耐力といった断面性能を定量的にチェックする。
 しかし、構造計算の実務は、入社したゼネコンで覚える場合がほとんど。同社の手塚社長は「構造計算書の作成業務を行っている人たちの中には、手計算による設計を1回もしたことがない、現場での納まりを知らないなど、ただソフトを動かすだけの人が存在することも事実。"構造計算ソフトを使用し計算ができる=構造を理解し計算ができる"とはならない」と語る。
 一方で法規は、瑕疵保証・保険の義務化や、住宅性能表示制度が関わってくる長期優良住宅法、実施時期が検討されている四号物件の確認特例廃止など、構造計算書偽装事件以降次々に改正・施行されており、これらの対応は急務。
 トリプルJスクールは住宅・建築関連法に対応するとともに、構造計算実務を習得する場とし、構造計算のインストラクターもできる人材の育成も視野に入れて構造計算実務の徹底指導を行う考え。
 
段階的にスキル向上
 具体的には、同社オリジナル構造計算プログラム・STRDESIGNJ(富士通FIPとの共同開発)を用い、構造計算未経験者やユーザーを対象に木質構造計算やプログラムの入力を学ぶ「基本編」、実践的な構造設計ができる能力が身に付き、建材・流通関係業者の社員のスキルアップにも役立つ「実践編」、構造計算の実務・指導と確認申請に必要な書類作成まで行えるよう指導する「インストラクター編」と、レベルに応じた3つの講座を用意。段階的なスキルアップが可能となっており、それぞれ4日間、山下部長を始め年間1000棟近くの構造計算実績を有する同社のスタッフが、札幌市南区の同社社屋で少数精鋭・マンツーマンで指導。各講座とも受講後には修了証を授与する。
 昨年12月に第1回目として福井県、埼玉県、長野県より8名が受講。費用は最小限の負担で済むように考えているという。将来的には各都道府県に1~2社、良い建物を造って社会資産にしていこうという考えを持った賛同者が運営する分校を作ってネットワーク化し、同スクールを修了したインストラクターがビジネスとして構造計算実務や構造設計者の育成に携われるようにすることも考えているそうだ。
 同社の手塚社長は「これから住宅会社が生き残っていくために、構造計算、構造力学、構造計画を勉強したいというニーズは多く、第1回目の開催以降、かなりの数の問い合わせが寄せられている。事前にプログラムの操作の予習があり、受講中も復習を目的に宿題が出るなど、かなり学習密度の濃い4日間になるが、それだけ高い能力を身に付けることができる」と話している。
 問い合わせは同社本社(Tel.011・573・7779、FAX.011・573・7811、担当/門馬)へ。
 
(写真上...昨年12月に行われた第1回目のスクールの様子、写真下...スクールの受講者に授与される修了証)


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