新聞記事

2009年01月25日号から

地中熱HPなど装備

20090125_3_1.jpg ヒートポンプ・蓄熱センターが主催するローエネルギー住宅の見学が昨年12月12日、札幌市中央区で開かれ、多くの参加者が寒冷地の取り組みを見学した。
 07年末に竣工したこの住宅は、基本的にはコンクリート外断熱工法で、南面ファサード全面が3重ガラスで覆われ、熱損失係数(Q値)が0・94W/m2・Kのパッシブソーラーハウス。ここに地中熱や太陽熱、換気排熱を熱源とする暖房・給湯・融雪ヒートポンプシステムを組み合わせ、暖冷房・給湯・換気に要する年間電力消費量が20kWh/m2を下回るローエネルギー住宅として計画された。
 暖房と融雪は主に地中熱ヒートポンプ、給湯は地中熱ヒートポンプに太陽熱温水器を組み合わせ、さらに熱交換換気ユニットを通過した後の排気からもう一度熱を回収する徹底利用を試みている。
20090125_3_2.jpg また夏場はヒートポンプを使わずに循環ポンプだけを運転して地中の冷たさを利用するフリー・クーリングを実施している。
 ヒートポンプ4台(合計熱出力29kW)に対して熱交換井戸は深さ75メートルが4本で合計300メートル。この中に採熱管を2本挿入したダブルチューブ方式で地中との交換熱量増加を図っている。
 暖房面積は約200m2で1、2階とも全面床暖房。外気温度がマイナス10℃でも1日10時間前後、30℃の低温水を通水すれば全館20℃を保つことができる。ロードヒーティングは100m2を6.3kW2台で低い温水温度で連続運転。換気システムは、全長40メートルのアースチューブにより予熱・予冷された外気を、湿度70%以上で大きな調湿作用のある稚内層珪質頁岩1・5tが敷設されたピットに取り込み、調湿した後、熱交換換気ユニットに入る仕組み。また、室内の壁、天井も稚内層珪質頁岩の塗り壁材で仕上げており、高湿度域での調湿や臭気、VOC除去に寄与している。このほか、木質ペレットストーブや定格出力3kWの太陽光発電、500リットルの雨水利用タンクなどを備えている。
20090125_3_3.jpg 環境設備を監修、コミッショニングを行っている北海道大学長野克則教授は、「完成から丸1年が過ぎ、ほぼ計画通りの性能が確認された。性能的にもデザイン的にも世界的に誇れるローエネルギー住宅だ」と話している。
 
(写真上...採熱管の心臓部が集まるマンホール下部 写真中...機械室のヒートポンプ本体など。実験用の計測機器も並ぶ 写真下...屋根たる木の下に設置したフリー・クーリング用の放熱器。底部が結露水受け、横引きの配管がドレン)


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