新聞記事

2008年12月25日号から

あらゆる成功体験を見直す 09年こそよい年に

編集長

08年は春先に木の城たいせつ、そして年末押し迫った12月15日に松本建工が経営破たんした。いずれも北海道を代表する住宅会社だったし、主義・主張の違いはあれ、住宅性能と独自の工法で成長した企業だった。
  引き金を引いたのはもちろん住宅不況である。しかし、経営の悪化には共通した原因があるのではないか。 
 木の城たいせつは、「断熱材の性能を100%引き出すための気密化」、すなわち高断熱・高気密工法が開発されるまで、最も暖かい在来工法住宅の1つだった。また松本建工が開発したFP工法は、平成に入って高断熱・高気密工法が全国に広がる中で、在来工法の工務店が取り入れやすい高断熱・高気密工法として大いに注目された。
  しかし、時代はこの2社を追い抜いたのかもしれない。
  高断熱・高気密工法の時代になって、木の城たいせつは明らかに時代遅れの工法だった。3層構造の外観デザインへの固執も時代に合わなくなっていた。
  松本建工も同様だ。高断熱・高気密が差別化になった時代から、当たり前の時代となり、FP工法は高コストがむしろ足かせとなる。
  いずれも成長を支えた独自工法への過度のこだわりが、変革を阻み経営悪化の一因となったのではないか。
  既存のあらゆる成功体験を見直し、捨て去り、新しい時代に会社と商品とサービスをフィットさせなければ、この時代は生き残れない。
  松本建工は北方型住宅先導的モデル事業推進協議会の代表事業者でもある。北海道の住宅業界はこの2社を教訓として、時代に対応しながらしぶとく生き残る力強さを身につけなければならない。
  09年こそ明るい年にしたい。その願いを込め、来年以降も厳しい市場の中で戦いを続ける各位へ向けたエールとしたい。


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