新聞記事

2008年11月15日号から

タマホーム札幌進出

3日間で1011組

20081115_2_1.jpg07年度1万棟の住宅受注実績を持つタマホーム(株)が11月1日北海道に初上陸。148店舗目となる札幌西支店をレポートする。

「全部見れる」仕掛け
 建設地は手稲区新発寒5条4丁目、自動車ディーラーが3つの角にそれぞれ出店している交差点の一角という交通量の多いエリア。約800坪、モデルハウス2棟に事務所兼ショールーム棟、そして駐車場10区画ほどで出店した。
  3連休の初日、車内でタマホームのラジオコマーシャルを聞きながら取材に向かうと、青のハッピを来た営業マンに誘導された若い夫婦が数組、モデルハウスを見学中だった。
 来店客は「プランは選べるの」「テレビとラジオで見て楽しみにしていた」「値引きはできますか」など男女問わず営業マンにしきりに話しかけている様子。子供が「うわー、これ見てー」と騒いでいる横でお母さんも「こんな寝室で過ごしたいね」とニコニコしているような場面を何度も見かけた。
20081115_2_2.jpg 北海道向け新商品、本体工事価格34万8000円の「大地の家」2棟をそれぞれ見比べ、続いて案内されるトリコロールカラーのショールーム棟で、構造が分かる実物大の展示で性能や仕様面の解説を受ける。さらにバスルームや窓、キッチンやドアなどの実物を見ながら営業マンが説明。ユーザーが具体的なイメージをふくらませたところで、不動産会社3社提供による土地情報や、デザインや間取り・ローンなどをパソコンのモニターなどでシミュレーションも含めて解説する。
 少なくとも30分以上は必要なこうした一連の流れで、ユーザーはモデルハウスを一度に複数見学でき、構造や仕様、設備のチョイス、そして土地の取得や自分のニーズに合ったプランまで、目に見える形で楽しく「家づくり」ができる仕組みになっている。
 一般的に女性は構造・性能などといったハード面の解説などにはあまり関心を示さないが、モデルハウス見学直後の目に見える形での構造見学という手法をとっていることで熱心に聞き入っている女性も多かった。
連休期間中の3日間で、来場者は1011組。8割は札幌圏のユーザーだが、旭川・苫小牧・千歳など道内各地からの来場もあった。
 通常は1支店あたり約20名体制だが、オープン時接客応対は、宮城や福島など東北からの応援部隊、道内の2号店や3号店のスタッフ要員も含め36名。1人の営業マンが1日に案内できるのは最大で12組程度。ピーク時にはモデルハウス内もごった返しになり、十分な接客営業ができない状態になるほどの盛況ぶりとなった。
 すでにタマホームで家を建てたいというユーザーの声が10組程度寄せられているものの、同社はユーザーとの基本契約を結ぶには、契約内容をほぼ固めるというルールを定めているため11月6日現在の成約はゼロ。なお4日目は平日にもかかわらず21組、5日目は17組の来場も得ている。
 札幌で現地採用された営業マンもタマホームの集客力に衝撃を受けたようで、「住宅会社でこれだけの集客を実現できるのか」「大きな声で呼びかけをしたり、駆けずり回るような接客対応をしたのは初めて」「お客さんの反応がすごくいい」といった声が聞かれた。

お客様目線の営業手法
 お客様目線での接客や営業方針が徹底されていると思われる点がいくつか見られた。
 たとえば年始の2日間以外は無休で夜9時まで営業。共働きや夜型の生活を送る若い世代のニーズに応える体制を整備している。小売店などでも営業時間の延長は時代の流れとして定着しているが、閉店時間を遅くするとユーザーは、「まだ閉店まで2時間あるから遠慮なく訪問できる」という心理になり、来店しやすくなるという。
 また、訪問営業や電話掛け営業は原則行わず、雰囲気づくりが行き届いたショールームという「ホーム」で商談する方式だ。
 入口でアンケート記入と引き換えにガソリン券1000円プレゼント、モデルハウスではオリジナルブランドの家具などトータルコーディネート的提案なども好評だった。

20081115_2_3.jpg3年目には年間2000戸
 北海道進出にあたって、新商品「大地の家」を新発売。「鉄筋入りコンクリートベタ基礎」「オール4寸角柱」「軸組み&パネル」「外張り断熱」「オール電化」「24時間第1種熱交換換気」「パネルヒーターによるセントラル暖房」「スノーダクト対応」など10の付加価値などを標準装備した。
  実際に「大地の家」のモデルハウスを見学したユーザーからは「タマホームってローコストの会社だと思っていたけどなかなか良いイメージ」という声や「本州メーカーだが北海道向けの断熱仕様なので大丈夫と説明された」との声も聞かれた。
  また幅広いニーズに応えられる100通りのイージーオーダーが可能な企画住宅「賢者の住宅」も用意している。
  体制としては、北海道地区本部の丸山喜一郎本部長が、現状は北海道ブロックのブロック長と札幌西支店の支店長を兼務しているが、今後支店拡大などが行われるためそれぞれ専属の役職者が配置され、規模も拡充する予定。
  3年後には道内だけで年間2000戸の受注を達成するという目標を立てている。各支店は20名体制で年間120棟の受注を目標としているので、支店の拡大が必要になる。
  09年1月上旬には苫小牧市沼の端地区の国道沿いに出店する予定。今後も25万人から30万人の商圏に対し1支店を配置するペースで新規出店を行い、道内10店舗の出店を行う。また目標達成のために戸建て以外も視野に入れる方針。
  協力業者への説明会には道内258社の企業が参加するなど、施工体制も整備している。
  広告手法はこれまではチラシを主体としていたが、全国ネットのテレビコマーシャルやインターネットなどによる手法にシフトしつつある。
  北海道進出にあたって行われた従業員募集では、約400名近い応募者があり、道内の主だったハウスメーカー勤務経験者が揃うほどの人気となった。
  今回の北海道進出について、丸山本部長は「住宅購入をためらう人が多い停滞ムードの中で、家づくりに前向きになれる環境を作ることが大切。消費者に家づくりは楽しいことを知ってもらいたい。そうすれば北海道市場全体が活性化するはずだ」と強調する。
  今後の抱負については「住宅業はサービス業なので、ユーザーに明るく、楽しく、ためになる提案を行うということが一番難しいが一番重要。接客のスピード感や誠実さ、笑顔、分かりやすい商品を提案できるようにレベルアップしていきたい」と述べている。


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