住宅用語辞典
高断熱・高気密住宅のための基礎用語辞典
建築の専門用語は一般的にわかりにくいものが多いのですが、中でも高断熱・高気密住宅を説明するために使われる用語は、断熱材の種類から熱損失などまで多岐にわたります。ここでは基礎的な用語の一部を解説します。
◇あ行
- ■オール電化住宅
- 暖房・給湯・調理のエネルギーをすべて電気でまかなう住宅。全国的に普及が進んでおり、北海道でも新築住宅で増えている。
◇か行
- ■換気(換気量、換気回数)
- 健康な生活を送るために必要な空気の入れ換えを言い、建築基準法では1時間で住宅居室内の空気を半分入れ換える0.5回(/h)以上が必要。
- ■気密性能(相当隙間面積)
- 住宅性能の重要な物差しの1つ。一般的には「相当隙間面積(C値,しーち)」で表示され、数値が小さいほど性能が高い。次世代省エネルギー基準では北海道などの基準を2.0cm2/m2と定めている。気密性能を確かめるには、室内に圧力をかける気密測定によって確認するのが一番よい。
- ■気流止め
- 住宅の断熱性能を発揮するためにとても重要な工法。断熱壁体の中に気流止めを入れることで空気の対流を防ぎ、断熱材が性能を発揮できるようになる。方法は先張りシートなどさまざま。
- ■高断熱・高気密住宅
- この言葉にはじつは定義がない。そのわりには広く当たり前に使われている。平たく言えば省エネで暖かい住宅という程度の意味なのだが、そのレベルが一番の問題である。
◇さ行
- ■シックハウス(症候群)
- 住宅内にいることで起きるめまいなどの健康障害。主に建材類に含まれる化学物質から揮発するホルムアルデヒドなどによる空気汚染が原因とされる。換気が基礎的な対策。
- ■セントラルヒーティング
- 一般的にはラジエーターを使った温水セントラルヒーティングを指す。北海道だけでなく、ヨーロッパでも定番の暖房方式。温水でラジエーターを暖め室温を制御する。熱源は灯油、電気、ガスが選べる。似た方式に電気オイルパネルヒーターがある。
◇た行
- ■第3種換気システム
- 建築基準法で定める換気方式の一つ。自然給気・機械排気方式の換気を言い、排気型ダクトセントラルシステムを指す場合が多い。ファンで室内の空気を吐き出すので、建物内がマイナス圧になり、壁の中に湿気が入りにくい。
- ■ダウンドラフト
- 冬場に窓ガラス面で発生する冷たい空気の流れ。ガラス面の断熱性が低いことなどで、まわりの空気が冷やされて起きる。窓の断熱強化や窓まわりの気密工事の徹底とともに、窓の下にパネルヒーターなどの放熱器を置くことで、ある程度防ぐことができる。
- ■断熱材
- 大きく分けて繊維系のグラスウールなどと、発泡樹脂系のポリスチレン、ウレタン、フェノールがある。外断熱などの断熱工法との関連でいろいろ言われているが、メリットもあればデメリットもあることを忘れずに。
- ■暖房費
- 断熱・気密性能が高くなると、建物の規模、断熱・気密性能、建設地域がわかれば計算によって暖房費を事前に予測することができる。電気暖房は毎月の使用量がわかるため、試算と実際の使用量をチェックできる。北海道では暖房費が光熱費全体の半分を占めるため、暖房費を節約できるととても経済的。
◇な行
- ■熱損失係数(Q値)
- 住宅の断熱性能を表す値で数値が小さいほど高性能。「きゅーち」と読む。床/壁/天井から熱がどれだけ逃げるか、換気によってどのくらいの熱が捨てられるかを計算する。次世代省エネルギー基準で北海道などⅠ地域は1.6W(/m2・K)、最近は1.0Wの家も登場している。
◇は行
- ■ヒートブリッジ(熱橋)
- 断熱した壁の中などで、熱が伝わりやすい部分をいう。熱橋があるとまわりも冷やされ、断熱性能が大きく低下する。断熱しない鉄や断熱材が入っていない部分などが熱橋の代表。木材は大きな熱橋ではない。
- ■壁内結露
- 室内の空気が断熱壁内に侵入し、そこで冷えて水滴となって断熱材などをぬらす現象。ほうっておけば木材の腐れにつながる。壁内結露を防ぐために気密化、気流止め、乾燥木材などの採用が必要になる。
- ■防湿・気密シート
- 住宅の断熱・気密性能を高めるために必要なとても重要な建材。ポリエチレンフィルムで厚さは必ず0.2mmのものを使うこと。
◇や行
- ■有害化学物質(VOC)
- 住宅内にいるだけでめまいなどの健康障害を引き起こす「シックハウス症候群」の原因となる揮発性有機化合物を指し、ホルムアルデヒドなどが有名。
◇ら行
- ■Low-Eガラス(高断熱ガラス)
- 金属膜をコーティングするなど特殊加工した断熱性能の高いガラス。「ローイー」と読む。暖房時の熱を屋外に逃がさず、太陽の光は透過させる特性を持つ。最近はペアガラスにアルゴンガスと呼ばれるガスを封入したさらに高断熱タイプも増えている。