平成20年8月5日号から
人口減少社会で何を提案するか
変化はチャンスに変えられる
 昨年6月以降の住宅不況。直接の引き金は改正建築基準法の施行でしたが、そんな単純な不況でないことは誰しも感じています。住宅を購入する層が変化しており、そもそも社会の大きな変化が不況をもたらしていると考えられます。この変化の時代をどう生き抜くか。その糸口を探ってみたいと思います。
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97社、123戸に補助
北方型ECOモデル事業 1戸当たり最大200万円

会場の札幌第一合同庁舎には北方型住宅ECOモデル事業に参加する97社の関係者が集まった
 国土交通省の「超長期住宅(200年住宅)先導的モデル事業」に採択された北海道の北方型住宅ECOモデル事業の第2回協議会が、去る7月25日に札幌第一合同庁舎で開催され、国交省から示された123戸の建設戸数の配分や諸経費の使途、見学会の実施などモデル建設の際の留意事項などについて審議。建設戸数については、参加している住宅会社97社に1戸ずつ割り当てた後、残る26戸を北方型住宅の建設実績やBIS・BISE資格取得者の有無、建設要望戸数などに応じて1次募集の住宅会社に配分する形となった。
 道では北方型住宅ECOモデル事業を国交省に申請するにあたり、総建設戸数400戸、補助総額8億円で申請したが、最終的に示された事業枠は123戸、約2億5千万円と、申請時の約3割。今回の協議会ではこの総建設戸数をどのように各住宅会社に配分するのかに注目が集まった。
 当初の予定では、総建設戸数が400戸を下回った場合、全戸数の9割を1次募集で参加した72社で配分し、残り1割を2次募集で参加した25社に割り当てることになっていた。しかし、2次募集の割当分を1割とすると約12戸となり、全社に配分されないことになる。また、国交省から1.道内の多様な地域で供給されるように努めること 2.複数の構造・工法で供給されるように努めることという要請があったことを踏まえ、今回は1次募集・2次募集合わせた全97社に1戸ずつ配分した。
 残る26戸については、1次募集の住宅会社を1.北方型住宅の登録実績あり 2.BIS・BISE資格取得者がいずれも在籍 3.BIS・BISE資格取得者のいずれかが在籍 4.4月の事業者説明会または5月の第1回協議会に出席という条件でグループ分けし、各住宅会社から出ていた建設要望戸数も加味して1.のグループから優先的に割り当てた。この結果、最も多く建設する住宅会社で5戸(旭川市・(株)カワムラ)となった。

代表事業者に松本建工選出
 このほか今回の協議会では、補助金の出納管理などを行う代表事業者に松本建工(株)(本社・札幌市)を選出。また、モデル住宅については、各社がホームページや新聞・雑誌で積極的に情報提供を行うと同時に、施工中と完成後には現場見学会を実施し、チラシを作って地域住民への周知を図ることなどを道の担当者が説明した。
 なお、同日午後には北海道開発局主催による住宅性能評価申請説明会も開催。モデル住宅の建設にあたって必要となる住宅性能表示制度の設計性能評価書または基本性能確認書の申請方法や申請手続などについて、道開発局の担当者や道内で営業を行っている登録住宅性能評価機関の担当者が説明を行った。

サミットその後
ゼロエミハウスは茨城へ
ショーケースは洞爺湖町

ゼロエミッションハウス外観
 北海道洞爺湖サミットが終了、留寿都村に建設された国際メディアセンター内で期間中国内外メディア限定で公開されたゼロエミッションハウスと環境ショーケースの行方がこのほど判明した。
 環境負荷を低減し、快適な暮らしを実現する近未来型住宅「ゼロエミッションハウス」は茨城県が進める次世代エネルギーパーク構想の一環の展示施設として、茨城県古河市にある積水ハウス(株)の資源循環センター内に移設して、年内をめどに一般公開を開始する予定となった。
 詳細は資源エネルギー庁のゼロエミッションハウス情報ページを参照。
 一方環境ショーケースのコーナーは洞爺湖町の旧火山博物館に移設され、8月1日から1ヵ月間「世界の記者が取材!環境ショーケースがやってきた」と題し、一般公開されることになった。CO2を地中に固定する技術をはじめ、送電ロスをなくす超伝導電線、ヒートポンプ技術や最新家電、ソーラーパネルや緑化技術、雪や霧を使った冷房技術などの建築技術も展示される予定。主催は洞爺湖町、協力は外務省・各出展協力企業。入場無料。詳細は洞爺湖町ホームページを参照。

資源エネルギー庁 … http://www.enecho.meti.go.jp/topics/080725/080725.htm
    洞爺湖町 … http://www.town.toyako.hokkaido.jp/index.jsp

換気排熱使い融雪
日本住環境 「とけまるくん」発売開始

実験中のロードヒーティング面(今年1月)。24時間運転するため凍り付きなども防げる
 日本住環境(株)は、同社の第3種換気システム「ルフロ400」の換気排熱を利用して融雪用温水を作る熱交換器「とけまるくん」をこのほど発売した。
 第3種換気の換気排熱は利用されずにそのまま屋外に捨てられている一方、灯油価格が以前の3倍、4倍と跳ね上がり、玄関ポーチや駐車スペースのロードヒーティングにかかる費用はエンドユーザーにとって頭が痛い。そこで換気排熱から低温水を作ることで、ランニングコストが安く、地球環境にもやさしい融雪システムを作ろうと?北欧住宅研究所(札幌市)が発案・基礎実験を行い、その後伊藤組土建(株)(同)と共同研究。商品化に日本住環境などが協力し、発売にこぎつけた。
 とけまるくんは、ルフロ400からの外排気をY字管で2分流させて取り込み、内部の熱交換器で熱回収し、その熱で低温水を作って雪を融かす。補助ヒーターは使わないので、ランニングコストは、低温水を循環させるポンプの電気代のみで済む。融雪のための燃料は一切使わない。

とけまるくん本体を2台設置した例。換気ファンとダクトをつなぎ、排熱から熱を回収する
 これまでのフィールドテストでは、大雪の時でも融雪に時間はかかるものの、確実に融けている。また、循環ポンプの電気代も1シーズン4000円以下と割安。とけまるくんを2台使うことで車2台分の駐車スペースと玄関ポーチ周りの30~40m2程度の融雪面積を確保できる。
 なお、同システム採用には、高断熱・高気密住宅で、24時間暖房を行い、平均室内温度が20℃以上であることが条件。
 価格は、とけまるくん本体と施工部材一式で46万7000円(税別・施工費別)。これとは別に、ロードヒーティング用の資材と工事費が必要。
 問い合わせは、同社札幌支店(Tel.011・222・6330)か、本社(Tel.03・5425・6633)。

来春から試験操業
木の繊維 道産の木質繊維断熱材製造

写真左から、林野庁の山田壽夫北海道森林管理局長、独・ホーマングループのホーマン会長、(株)木の繊維の大友詔雄社長
 (株)木の繊維(札幌市、大友詔雄社長)は、このほど苫小牧市植苗で木質繊維断熱材を製造する工場の起工式を行い、工場棟建設が本格化した。総工費約30億円をかけて年内にはおおよそ完成し、来年春には試験操業を開始、秋にはフル生産体制に移行する。
 同社は道内5社が中心となって出資をして昨年7月に設立、ドイツ・ホーマテルム社から木質繊維断熱材の独占的ライセンス生産と販売権を得て道内生産に向けて準備を進めてきた。木質繊維断熱材は、間伐材や林地残材(伐採現場に放置された伐根など)から樹皮を取り除き、細かく破砕して作ったチップをさらに繊維状に細かくし、バインダーを数%混ぜて成形して製造する。
 性能面の特徴は、熱伝導率が0.038W/Kと高性能グラスウール16K並みの断熱性能。このほか付加価値性能として遮音性、夏場の暑さ低減効果、調湿性がある。
 木質繊維で密度が高いことから遮音性と調湿性が期待されるほか、熱容量がほかの断熱材と比べて大きいため、外気温が下がっても夕方から夜まで続く室内の暑さのピークを夜半過ぎにシフトすることができ、寝苦しさから解放されるという効果がドイツで検証されているという。
 遮音性能については、すでに十勝のビルダーが1、2階の遮音材として使いユーザーから好評を得ている。
 環境性能の面では、輸送距離が短く輸送時の化石燃料消費量が少ない道産材を原料として使い、工場のボイラー燃料にバーク(樹皮)を使用、余熱を工場暖房に使用するなど材料をムダなく利用して廃棄物を出さない。製品が使用された後は生分解で土壌に還元されるため、環境負荷が極めて低いという特徴がある。また道産材の調達は大半が工場近辺の森林から行う予定。




生産予定のホルツフレックス(上)と、ウッドファイバーBL
 工場で生産を予定しているのは、柔軟性があり柱間に充てん施工できる木質断熱ボード「ホルツフレックス」と、硬くて遮音効果が高く床などに使う木質繊維硬質ボード「UDプロテクト」、そして吹込み断熱用「ウッドファイバーBL」の3種類。現在、フル生産能力の約7割に当たる年間約5000棟分の買取計画契約を全国7社の商社と結んだ。
 同社では、これら大量生産によってコストを大幅に引き下げたい考えで、「調湿性、遮音性、環境性能という付加価値製品を、グラスウールボード程度の価格で販売して普及させたい」と話している。

調湿シートも取扱いを開始
 このほか、同社では木質繊維断熱材の調湿性を生かすドイツ・プロクリマ社のインテリジェント調湿シート「インテロ」の販売を開始した。これは、冬のように室内の相対湿度が低いときは防湿シートの役割を果たし、夏の相対湿度が高い時期には、インテロに微細な孔が開いて湿気を室外側、すなわち木質繊維断熱材に運ぶ。
 問い合わせは、同社(札幌市中央区北1条西4丁目札幌ノースプラザ8F、Tel.011・398・5210)へ。

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