平成20年3月5日号から
NPO新木造住宅技術研究協議会北海道
高断熱化推進で受賞
道経済産業局 省エネ住宅の功績を評価

表彰状と記念の盾を深野局長から受け取る鎌田代表理事
 NPO新木造住宅技術研究協議会北海道ブロック(鎌田紀彦代表理事、室蘭工業大学教授)ではこのほど、高断熱・高気密化の推進などにより道内外の住宅の性能向上に著しい成果と功績を挙げたことが認められ、北海道経済産業局長表彰において「エネルギー開発・利用・普及優良事業者等表彰」を受賞した。高性能住宅関連での同賞受賞は初めて。

住宅性能向上に貢献
 この表彰は、経済産業局が毎年2月に実施している省エネルギー月間にあわせて行われているもの。北海道におけるエネルギーの開発や有効利用、啓発普及に関して著しい成果・功績を挙げている個人・団体等に贈られる「エネルギー開発・利用・普及優良事業者等表彰」のほかに、エネルギー管理の推進に貢献した者を対象とした「エネルギー管理功績者表彰」と、優れた省エネ事例を対象とした「省エネルギー実施優秀グループ等表彰」も設けられている。

胴差回りの防湿気密シート先張りを示した一番初期の「新在来木造構法マニュアル」の図版。新住協ではこのマニュアルをもとに住宅の高性能化をいち早く進めてきた
 NPO新住協北海道ブロックは、北海道で活動を始めて以来、約20年にわたって大学や地域工務店、道庁の連携によって高断熱高気密住宅の研究開発と普及啓発活動を進めてきた。「新在来木造構法マニュアル」をもとに北方型住宅基準や省エネ基準の見直しも行われるなど、住宅の高性能化を設計・施工の両面から支える取り組みを継続。今日まで道内外の住宅の性能向上に貢献してきたことが評価された。

鎌田代表理事 受賞の喜び
省エネ化を全国レベルで
 2月20日には札幌市内のセンチュリーロイヤルホテルで表彰式が行なわれ、代表理事である鎌田紀彦室工大教授に道経済産業局の深野弘行局長から表彰状と記念の盾が贈られた。
 鎌田代表理事は「これまで約20年にわたってNPO的な活動を続けてきたが、その功績が行政から認められたのは初めてのことなので非常に嬉しく思う。今後も全国レベルでQ1.0住宅の普及による住宅の省エネ化と環境負荷低減を進めたい」と、受賞の喜びを語っている。

高性能住宅Q&A 「寒い」とクレーム ②
躯体が冷えている

暖房止めるとさらに寒い
 前回は質問1について説明しました。今回は質問2、『昨年末に引き渡した住宅で「寒い」と言われた』という事例です。
 なぜ寒く感じるか、その原因は調査をしないと正確な判断がつきませんが、11月から12月にかけての引き渡しは注意が必要です。おおざっぱに言えば原因は 1.躯体が冷えている 2.家が変わったことによる違和感 3.暖房能力の不足(暖房停止を含む)、そして 4.これらの複合要因―です。
 この時期は急激に気温が下がり、日本海側では日照時間も極端に少なくなります。このため年末の竣工物件は躯体が全く暖まっておらず、建物全体がいわば『冷輻射パネル』状態なのです。
 グラフは12月末の引き渡し物件の竣工シーズンとその後の暖房負荷を見たものです。
 竣工直後の05年1月は次のシーズン以降と比べ2~3割暖房エネルギーが増えており、2月もその影響が出ています。これだけエネルギーを使っても躯体が冷えているのでむしろ寒く感じるのはある意味でやむを得ません。
 なお、戸建ての蓄熱に要する期間は、木造の床断熱でおよそ1ヵ月、基礎断熱やRCとの混構造で2ヵ月前後、RC造では2~3ヵ月以上ともいわれています。

体感温度が意外と低い
 また多くの場合、新居はそれまで住んでいた住宅と全く違った性能を持っているので、単純に違和感もあるでしょう。いずれにしても室温が高い割には体感温度が低い状態になりやすく、「この家は寒い」という居住者の不安につながりやすいわけです。
 体感温度は室温(空気の温度)と周壁(床・壁・窓・天井)の表面温度を足して2で割った値とされます。例えば、室温が22℃でも床・壁・天井の表面温度が16℃だと、体感温度はおよそ19℃となり、薄着ではザワッとする感じになるのです。周壁温度が低い竣工直後は暖房温度を高くしないと暖かさを感じません。
 引き渡しの前には、一週間くらいは暖房の運転をして不十分ながらも建物に蓄熱させた上で、お客様に「建物が暖まっていないため寒く感じる(床も壁も冷たい)こともある」旨の説明をすることが大切です。引き渡し前の暖房運転は揮発性有機化合物を揮発させ排出する効果もあります(ベイクアウト)。

ここにも燃料高の影響
 また、寒いと言うユーザーさんは、よく聞いてみると暖房を夜間止めていることがあります。そうすると室温が数度下がると同時に周壁の蓄熱も進まない、午前中は室温が上がらないなど、まずい現象が数多く起きます。
 前回も触れましたが、『暖房費が高いから』という理由でセントラルヒーティングを止めてしまう例も後を絶たないようです。灯油40円、50円時代まではよかったのでしょうが、90円、100円時代となると消費者の見方はずいぶんと変わりました。
 暖房温度を下げて節約するのは悪いことではありませんが、それで『寒い』と住宅会社に苦情を言うのは多くの場合、筋違いでしょう。特に竣工直後は専門家の目から見れば寒くて当たり前なのですから。
 灯油に代表されるエネルギーコストの高騰によって、ここ20年ほどの間にはなかったことがいろいろ起きています。セントラルヒーティングを止めてしまうというのもその1例です。
 確かにセントラルヒーティングは暖房費の無駄遣いにもみえます。まずはお客さまに「だまされたと思って最初の冬は暖房を止めないで」とでも伝え、セントラルヒーティングのすばらしさを体感してもらいましょう。その翌年度、暖房を止めるも止めないも本人の意志です。(終)

グラスウール全品
ニットーボー東岩 4月出荷から2割値上げ
 ニットーボー東岩(株)はすべてのグラスウール製品の価格を4月1日出荷分から20%引き上げる。
 原油価格の高騰によって、石油製品をはじめ樹脂製品、汎用樹脂などの価格高騰が続いており、落ちつく気配が見られない。この影響で同社江別工場では原料からガラス繊維をつくる溶融に使用するLPGガスの価格が7割上昇。電力、重油などのエネルギーも値上がりしているほか、合成樹脂や梱包材、物流費も上昇。製品価格への一部転嫁が避けられない状況となった、としている。
 対象はすべてのグラスウール製品。主力のグラスウール「太陽SUN」シリーズのほか、吹き込み用グラスウールの原綿も値上げとなる。

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