平成20年2月5日号から
08年45,000戸割れか?
持家3%増、需要は薄い
 建築基準法の改正施行などによって昨年後半大幅に減速した住宅着工が今年はどうなるか。昨年終盤までは『08年は反動増でかなり伸びる』という見方もあったが、今年になって強気の見方はほぼなくなった。ただ後半を楽観的に見るか悲観的に見るかの違いで予想が異なっている。木造に関しては前年割れからプラス10%程度まで大きくぶれている今年の予測を見ていきたい。

北海道内の過去4年と今年の住宅着工(予測)
平成16年 平成17年 平成18年 平成19年※ 平成20年
総戸数 49,183 52,317 51,175 42,786 44,520
利用 持家 13,998 12,948 13,470 11,875 12,231
貸家 27,170 30,657 30,905 24,132 25,339
給与 621 345 419 399 379
分譲 7,394 8,367 6,381 6,380 6,571
※平成19年は確定値ではない

最も厳しい数年に突入
 北海道銀行が昨年12月に発表した08年度の北海道経済の展望では、道内住宅着工を前年比6%増の4万6300戸と予測している。07年度は上回るが06年度までは回復しないという見方だ。持家と分譲については需要が薄く、賃貸系は投資意欲が減退気味、さらにマンションの着工遅れや在庫増加によっては予測を下回ると見ている。ただし持家、貸家、分譲ともに4%台から6%台の成長予測。
 北洋銀行の予測もほぼ同じ4万7000戸程度。
 本紙は4万4500戸程度と予測している。持家と分譲の回復に力強さがなく、いずれも3%台の成長にとどまるという見方だ。
 以下に着工を取り巻くいろいろな状況を見てみたい。

  要素1  改正基準法施行による影響
 元には戻るが減った分の上乗せはない。
 北海道の戸建てはもともとさほどの影響がなかったので、07年からの減少基調を反転させるだけの力強さはない。賃貸系が後半持ち直すかどうかが見方の分かれるところ。

  要素2  サブプライム問題
 世界的な株安を引き起こし、金利低下、ドル安、国内富裕層の投資意欲減退につながっている。
 上昇局面だった国内の金利は引き下げが予想され、住宅ローンについてはプラス面もある。
 国内の金融機関は貸し渋りが起きるほどの直接的影響はないと見られているが、我が国の経済に深刻な影響を与えることは間違いない。

  要素3  原油の高騰
 ガソリン・灯油値上げ、ほとんどすべての商品に及ぶ値上げ圧力と上がらない収入により、物価上昇・収入低下というこれまでで最も厳しい数年間に突入した。可処分所得の低下により、2年程度は住宅を含む高額商品は真冬の時代を迎える。意外なほど指摘されていないが、経済の専門家は数年前からその危険性を指摘していた。特に値上げ初年度となる08年前半は影響が大きい。

  要素4  地価の上昇
 地価は一部で明らかに上がりすぎた。購買力と見合うまで値落ちするには少し時間が必要。
 一方、下落し続ける都市周辺のニュータウンは、販売価格が実勢価格を上回るなどの状況が続く限り買いがつきにくい。

  要素5  建設物価の上昇
 石油高騰などにより値上がりした住設建材価格が住宅価格を押し上げ消費を鈍くしている。ただ、木材・合板といった相場ものは、着工減少による在庫のだぶつきで値崩れを起こしている。

  要素6  アパートオーナー
 融資拡大が多くのサラリーマンオーナーをつくったが、家賃下落や供給過剰により収益性が悪化、アパートバブルは終わったとされる。
 それでも「賃貸市場は底堅い。泡(バブル)は消えるが、持家系が振るわない分、根強い需要はある」との見方も強い。

  要素7  全国展開大手の進出
 受注競争は激化するが、市場活性化により需要を刺激する効果もある。ローコスト系ビルダーがここ数年で立て続けに進出した長野県では地場の工務店が商品の見直しなどを迫られている。

  要素8  トリガーは引かれた?
 少子高齢化、地方の崩壊、住宅あまり現象など、新設住宅着工が低下する要素は景気以外にもたくさん。悲観論者の中には昨年の6月20日をきっかけに、ここ数年の踊り場状態からせきを切ったように着工減へと動き出したと見る向きもある。

物価上昇が響く
 いろいろな視点があるが、やはり今年は〈要素3:原油高騰〉によるインフレ・収入低下のダブルパンチの影響が最も強く表れると見られる。自動車メーカーの国内販売目標も弱気だ。
 来年以降はある種の落ち着きを取り戻すにしても、今年春からの値上げラッシュは消費マインドを冷やすに十分なインパクトとなるだろう。

高性能住宅Q&A エネルギー単価の比較
蓄熱暖房が最も安い
温水セントラルは難しいが…
 Q…数年前から灯油価格が高騰し、暖房の熱源を決めるときにいろいろ悩むようになりました。灯油、電気、そして最近注目されているペレットを比べると暖房費はどうなんでしょうか。(室蘭市 工務店社長)

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e-ハウジング函館 北方型住宅フェアに参画
 「工務店の営業だけでは不安感もありますが、eハウジング函館という地元工務店グループとしての活動に安心感がありました。工務店同士が密接に活動できるということはお互いを信頼し、レベルアップも競いあえるということだと思いました」。
 これは昨年末に当社発行の雑誌「健康住宅づくりIesu」で掲載した住宅購入者らによる座談会で、あるユーザーが購入動機の一つとして話してくれた言葉だ。
 「e-ハウジング函館」は家づくりを地場産業として発展させ、消費者に安心して住める高性能住宅を適正価格で供給するために函館とその周辺の地場工務店が結集し活動しているグループ。
 グループのメンバーが協力して土地取得や宅地造成、広告宣伝、建材の共同仕入れや協力業者への一括発注などを行い07年5月に販売を開始した北斗市内の「追分サスティナブルビレッジ」も土地は割安に提供。全戸北方型住宅、オール電化、街並み協定などを実現しユーザーの評判も上々で、e-ハウジング函館のブランドイメージや信頼感が高まりつつある。

見学ツアーも開催
 こうしたなか、渡島支庁、北海道建築指導センターの主催で2月16日・17日に函館市内で開催される「北方型住宅フェアinはこだて」では、e-ハウジング函館のメンバーが講座の講師を務めたり、「北海道が認定した北方型住宅展示場」として展開している「追分サスティナブルビレッジ」を副会場に見学ツアーを開催することが決定した。
 同フェアは北方型住宅を一般消費者に幅広く周知させるために開催するもので、両日とも同一内容で開催。午前10時30分から11時までポールスターショッピングセンター(函館市港町1丁目)で「知って得する住まいのミニ講座~住まいと暮らしのプロが教える!暖房エネルギー節約のアイデア」(講師はe-ハウジング函館メンバーとほくでんサービス(株)函館支店)、午後1時から2時までは「FMいるかのパーソナリティーと一緒に…クイズで学ぶ北方型住宅・もの知り博士の北方型住宅トークショー」を行うほか、午後3時から3時45分には北海道建築指導センター住宅相談員・西代企画設計代表の西代明子さんを講師に「失敗しない家づくりセミナー」を開催する。 

追分サスティナブルビレッジ(07年11月)
 また両日とも午前11時発・午後2時発の無料送迎バスで副会場の「追分サスティナブルビレッジ」へ参加者を案内し、北方型住宅の性能や品質を見る見学会を開催、会員による解説や案内などを行う予定。
 問い合わせ・参加申し込みは函館土木現業所企画総務部建設指導課建築住宅係(Tel.0138・47・9466)へ。

樹脂SD施工研修
ゼオン化成 協力工事店制度もスタート
窓回り施工を想定した課題。右が標準的な施工法だが、小さなお子さんがいる場合は、写真左のように角を丸めた方がより安全だ
 ゼオン化成(株)は、1月28日に札幌市内の札幌市産業振興センターで「ゼオンサイディング施工技術研修会」を開催、サイディング施工者30名以上が参加した。
 この研修会は塩ビサイディングの特性をよく理解し施工技術を高めることで、性能や美観の向上とともに顧客満足度を高めることを目的としている。
 受講修了者にはその場で修了証書が手渡され、所属する施工会社には後日、盾が贈られるとともに「協力工事会社」として登録され、消費者などからの問い合わせに対して紹介がうけられるメリットもある。
 研修会は午前中は塩ビサイディングの歴史と普及活動、そして環境について同社が講義を行った。塩ビサイディングは40年ほど前からアメリカで普及し始め、日本では十数年前から販売されている。同社の推定では、国内の塩ビサイディング市場は年間約2300棟ほど。中層マンションの大規模改修でゼオンサイディングが採用されたように、今後も市場は広がり続け、何十倍にも成長する可能性がある。

定員は20名程度と考えていたが、予想以上に参加者が増えた


研修会終了後も熱心な参加者が講師陣に質問をしていた
 地球環境問題への対応で、福田内閣は200年住宅構想を提唱、定期的な維持管理により200年という長期スパンで住宅を維持していく方向付けが進んでいる。塩ビサイディングに使われる塩ビ樹脂は、石油を40%しか使わない省資源型のプラスチックであり、高い耐久性や容易なメンテナンスから時流にマッチする素材として注目されている。さらに、同社と三菱樹脂(株)、信越ポリマー(株)の3社で構成する樹脂サイディング懇話会は、「樹脂サイディング自主規格」制定に向けて動いており、環境適応型商品として税制面での優遇を目指し、普及に向けた取り組みを行っている。
 午後はゼオンサイディングのきれいな納め方について3つの課題が受講者に出題され、実際にJチャンネルを加工して模擬施工した。同社スタッフと工事経験の豊富な施工者数名がくまなく受講者を回り、マンツーマンで指導に当たった。たとえば、開口部まわりはJチャンネルの両端を切ったり折り曲げるなど仕口加工を行うが、小さなお子さんがいる住宅の場合、四隅にRをつけてより安全な仕口加工をした方が良い。同社では、納め方は何通りも考えられ、「大人が楽しむプラモデルのようなもの」という。これは加工しやすい塩ビ樹脂の特性が寄与している。
 このほか、出隅の下端を折り曲げてきれいに見せる方法など、現場のちょっとした工夫で美しく納める方法が紹介された。受講者は、セミナー終了後も質問するなど、熱心に取り組んでいた。
 なお、このセミナーは翌29日に旭川市でも開催し、今後は函館、室蘭、帯広、釧路など道内各都市で順次開催する。
 問い合わせは同社北海道事務所(札幌市中央区北2条東1丁目2-10、Tel.011・222・1150)へ。

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