平成20年10月15日号から
夏を快適にする窓設計
北総研 外気冷房で室温上昇防ぐ
 ここ数年、北海道でも暑さ対策としてクーラーを設置する家が増えてきた。クーラーは安く、北海道の暑い時期はせいぜい2〜3週間程度なので電気代もさほどかからないが、日射遮蔽や通風に配慮することで室内を快適にできる方法は考えられないだろうか。地球温暖化防止のためにCO2の削減を進めるには、冷房にかかるエネルギーを抑えることも必要だ。
 このような中、道立北方建築総合研究所(北総研)では、夏期に室内を快適に保てるよう、常に開けておける開口部の性能や設計手法を窓メーカー4社と共同研究し、設計ガイドラインを作成した。

低温外気を室内に
 この研究では、“夏期に雨が降っている時や不在・就寝時などでも開けておける窓はどういう窓なのか”をテーマに、庇や留め金具といった周辺部材のほか、居住者の使い方も含めた設計手法をまとめている。

内開き・内倒しができるドレーキップ窓。内開きにすれば通風を図ることができ、内倒しにすれば防犯性・防雨性と外気冷房を両立することができるため、常に開けておける窓に適している(写真の住宅は夏期の日射対策を考え、ドレーキップ窓の屋外側に縦すべり出し窓も設け、その間にブラインドを付ける予定)
 常に窓を開けておくことで、室内に風を入れて涼しさを得る「通風」と、室内に低温な外気を取り入れて室温を下げる「外気冷房(夜間換気)」が可能になるが、設計手法は無風時にも役立つ外気冷房を対象としたもの。外気冷房は簡単に言うとパッシブ換気と同じ理論で、低温外気を低い位置で室内に導入し、室内の温かい空気を高い位置から屋外に排出する。これにより、快適な室内環境を維持しようという考え。
 まず、常に開けておける窓の設計手法を検討するにあたって、窓単体の1.有効開口面積 2.周辺気流 3.遮音性能 4.雨水の浸入防止性能の性能評価を実施した。

有効開口面積
網戸付けると1〜3割減少

 有効開口面積とは、空気がスムーズに通り抜けられる面積のこと。例えば窓の開口面積が1uだとしても、サッシ周辺は気流が乱れるため、空気が通り抜けられる面積は1uより小さくなる。そこで、市販の窓と模型の窓で開閉方式ごとに、空気がスムーズに通り抜けられる面積を測定した。
 結果を見ると、有効開口面積は引き違いの窓で実際の開口面積の6〜7割程度。すべり出し窓やドレーキップ窓などの開き窓は、窓の縦横比と開き角度によって異なり、縦長で開き角度が大きいほど有効開口面積は大きくなる。全開時で実際の開口面積の6〜7割。
 また、網戸を付けた場合は引き違い窓で2〜3割、開き窓で1割程度、有効開口面積が小さくなることがわかった。このほか、窓台はほとんど影響することはないが、ブラインドについては排気側の窓に付けた場合、有効開口面積が多少小さくなり、風の抜け道となる窓に付けるとサッシに張り付きやすいため、その場合は開口部を塞がないようなディテールを考える必要がある。


各開閉方式の窓ごとに風の流れを示した図。横すべり出し窓や内倒しのドレーキップ窓は屋外から入る風が上向きに流れるため、居住者に直接風を当てたくない空間での設置に向いている
周辺気流
目的に応じた窓選択が大切

 周辺気流は、導入した低温の外気が就寝時の居住者にあたって寒さを感じるといったことがない開口部を設計するために、各開閉方式の窓で評価を行った。
 測定の結果からは、風を感じたい空間には縦すべり出し窓や引き違い窓を採用し、直接風を入れたくない場所には風が上向きに流れるドレーキップか横すべり出し窓、または平行突き出し窓を採用するか、開口幅を狭くして風が室内に入る時の速度を遅くすることが考えられるとしている。
 なお、風を感じたい場所に縦すべり出し窓を採用する場合は、開口方向が風上側になるよう考慮することが大切。


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編集長の目
高断熱住宅とフラッシュオーバーのあやしい関係
帯広の住宅火災記事・その後

倒壊はしなかったが、激しく燃えて全焼となった帯広の住宅
はじめに
 本紙9月25日号の1、2面に掲載した北海道・帯広市内で8月下旬に起きた住宅火災について、多くの反響が編集部に寄せられました。
 その多くは火災拡大の原因を知りたい、という内容でしたが、「準耐火構造であるはずの軽量鉄骨造、消防の到着も早かった市街地で、逃げ遅れるほどのスピードで火が回り、激しく燃えて全焼に至ったのはなぜか?」「本当に断熱住宅は火災に弱いのか、信じられない」といった問い合わせもかなりありました。
 ここでは、今回の火災をきっかけにしながら、もう少し広く問題を見ていきたいと思います。

辻本教授の考え
 今回の火災と報道などの流れをごく簡単にまとめると、帯広市内で起きた火災が非常に激しかったため、報道を知って東京理科大学・辻本誠教授が現場を視察。そこで地元紙に1.「通常の火災に比べて燃え方が激しい」2.「断熱材などによる気密性の高さが、強力なフラッシュオーバーを引き起こしたのでは」と分析した上で、3.「冬の寒さが厳しい北海道では、省エネで環境にもいい高断熱住宅が喜ばれる」4.「こうした惨事が起きたことで、断熱性を追求することがすべていいとはいえなくなるのでは」と語ったという流れだ。
 本紙は独自に現場近くの建築士らに聞き込むと同時に、帯広市消防本部、東京理大・辻本教授、当該住宅を設計・施工した住宅メーカーに取材。フラッシュオーバーが起きたかどうかは分からない(消防・辻本教授)が、住宅の断熱性が高いとフラッシュオーバーが早く起きるといい(辻本教授)、高断熱・高気密住宅の火災対策が必要になるかも知れないと指摘した。

北海道はほとんどが断熱住宅
 本紙は、いくつかの点から、『断熱・気密住宅だから燃え広がりが早い』という話に疑問を持っている。しかし、仮にそうだとしたらまさに大問題である。
 建物構造などとフラッシュオーバーに分けてポイントを見ていきたい。
 火災があった帯広では最近、住宅火災による消防の出動が減っているという。また、新築の5割を超えると言われるツーバイフォー住宅の増加により、消火がしやすくなっている上、いったん消火したと見えて再び燃える危険な燃え方がツーバイフォー工法に関しては起きにくいとも言われている。これはファイアストップ構造によって、小屋裏まで一気に燃え抜ける被害拡大を抑制できるからとされる。
 いずれも過去5年の火災発生状況などのデータに裏付けられたものではないが、火災現場に近い筋からの話だ。
 北海道の場合、ツーバイフォー住宅は例外なく断熱・気密住宅だ。また在来軸組工法も、昭和50年代中盤以降の家なら100ミリ厚の断熱材を全充てんしており、断熱住宅である。辻本教授が言う断熱住宅とは何を指すのか、ハッキリとはしないが、今回の物件が特別高い断熱・気密仕様だったわけではなく、そういう状況の中で「断熱住宅ではフラッシュオーバーが早く起きる」という教授の指摘には首をかしげざるを得ない。なお同教授は、本紙の取材に対して、「断熱住宅は危険だ、という社会的問題として取り上げる根拠になるほどの事例だとは考えていない」とコメントしている。

大切なのは火災警報のあり方?
 東京理科大学の研究者は、同教授のほかにもフラッシュオーバーによって逃げ遅れが起きる危険性を指摘、さらに建物の断熱性との関連を実験して警鐘を鳴らしている。
 同大学総合研究機構・火災科学研究センターの松山賢講師は、独立行政法人住宅金融支援機構が発行する「住宅金融2008年度夏号」に寄せた記事の中で、火災を知ってすぐに逃げることが大切とした上で「住警器(住宅用火災警報器)効果を期待したい…同時に、住警器に変わる(原文のまま)優れた火災予防・防火対策の技術開発を期待したい」として、新たな規制が必要とも受け取れる主張をしている。
 同氏は、アメリカやイギリスでは住警器が火災による死者の減少に大きく貢献したとしており、それならアメリカより断熱・気密性で劣る日本の住宅では、フラッシュオーバーによる逃げ遅れの危険度は確実に低いのではないか。
 フラッシュオーバーをことさらに大きく取り上げているが、問題は逃げ遅れ防止の対策が重要であることと、その対策として住警器がベストか、ほかにあるのか、という点がじつはポイントになっているようでもある。

最後に
 今回の火災については、木造より火災に強いとされる鉄骨造建物が、倒壊することなく残ったまま、内部は激しく燃えて死者も出た。そのことがいろいろな憶測を呼んだ面がある。住宅の構造や・工法との関係、内装規制や室内に置かれた可燃物など、断熱という狭い観点からではなく、広く検証することも必要なのではないだろうか。

ビス止め火打金物
タナカ 2×4用小型金物も発売

2×4用ホールダウンコーナー(写真左)と同シナーコーナー(写真右)

ビス止めオメガ火打ち600
 (株)タナカ住宅資材事業部は、軽量で取付作業が簡単な「ビスどめオメガ火打600」を間もなく発売する。また、建物内部からも取付け可能な小型の帯金物「2×4用ホールダウンコーナー」「2×4用シナーコーナー」をこのほど発売した。
 「ビスどめオメガ火打ち600」は、高張力鋼板の採用で標準的なZ火打HB金物に比べ約半分の1.1キロに軽量化された。平くぎや座金を使用せずビス止めなので作業効率が上がり、左右両端に仮止め用のツメを持っているので高所作業も楽になる。火打金物の同等認定も取得した。サイズは長さ922×厚さ1・ 6ミリ。施工には専用角ビットビスTBA-65Dを12本使用する。価格は要問い合わせ。
 「2×4用ホールダウンコーナー」は、根太レス工法のたて枠と土台・下枠の接合などに使用するCマーク金物「SE-67」相当の性能を持つ。SE-67 金物は、幅670ミリの短冊型の金物だが、2×4用ホールダウンコーナーは、同等の性能を持ちながら高さ120×幅60ミリに小型化し運搬しやすい。また、施工もSE-67金物がZN釘26本必要なのに対し、同製品は専用角ビットビスTBA-65DとTBA-120Dを計10本で施工できるので施工性も向上する。SE-67のように取付位置が室外側ではなく壁内におさまるので耐震リフォームなどに使用する際に室内側から取り付けることができる。材質は、耐久性に優れた新日本製鐵(株)の『スーパーダイマ』を使用。
 「2×4用シナーコーナー」も、同様にCマーク帯金物S-90相当の性能を持つ。ツーバイフォー工法のたて枠と横架材の接合に使う。S-90金物はZN 釘12本必要だが、同製品は専用角ビットビスTBA-65D4本と同TBA-120D2本の計6本で済み、壁内におさまるため「2×4用ホールダウンコーナー」と同様施工性に優れる。材質は高張力鋼板を採用。
 設計価格は「2×4用ホールダウンコーナー」が540円(税別、専用ビス同梱)、「2×4用シナーコーナー」が260円(同)。
 問い合わせは、同社札幌営業所(Tel.011・700・0100)。

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