環境イヤー2008幕開け |
省エネ性能、絶好のPR機会 |
北海道・秋の洞爺湖。早朝の洞爺湖は波もなく、静かにもやが晴れるのを待っている |
環境の1年が幕を開けた。京都議定書が定める約束期間が始まり、7月には北海道・洞爺湖サミットが開かれる。北海道に世界の目が集まり、かつてないほどの環境に対する関心の高まりが予想される。こういった大きな環境変化を的確につかみ、これまで培ってきた断熱技術をPRするには絶好の機会が訪れている。
燃費明示で差別化
世界の関心はいま、エネルギーの確保と環境保護に大きく動いている。このまま温暖化が進めば地球がたいへんなことになるという危機感、温暖化対策でリーダーシップを確保することが政治的に重要と考えるG8諸国・EUの判断、生活者・地域レベルで環境変化を実感し、行動を始めた草の根的活動。
こういった背景で、7月、世界の首脳が洞爺湖に集まる。京都議定書以降、すなわち2013年以降の温暖化防止の枠組みを話し合うのが主要議題とされ、サミット議長国の日本は、1月から各国との調整を行うことになる。
日本の現状は京都議定書で約束した1990年比で6%削減を達成するための計画づくりでさえ、12月末の段階で終了していないが、EUを中心とする欧米諸国は2013年以降に向けてすでに動き出し、住宅分野でも断熱基準の強化などを実施している国もある。
北海道の現状はどうか。景気の低迷と地方の疲弊により、特に戸建てマイホームは着工が激減。価格競争も激しくなり、一部では断熱性能を引き下げざるを得ない状況も見られる。タマホームや一条工務店の進出により、市場環境はますます激しさを増す。
一方で北海道を取り巻く環境変化も進んでいる。オホーツク海の流氷が年々少なくなり、着氷も遅れていると言われる。仮にオホーツク海から流氷がなくなると、水産資源の減少や冬の観光資源の消滅にとどまらず、海水温の上昇による予期せぬ環境への影響など、その波及は広範囲に及ぶという。
こういった中で日本でもっとも進んでいるといわれる住宅の断熱性能をどのようにPRし、消費者の環境意識に訴えるか。限られた建築予算の中でどのように費用アップ分を説明するか。
本紙では2つの方法を提言したい。第1は暖房費の明示。床面積1m2あたりの必要暖房エネルギーと灯油または電気換算の燃料費を、自社の仕様と現在の主流である新省エネ基準レベルの住宅とで比較する。
第2は環境性能の明示だ。ホルムアルデヒドなどVOC対策、室内換気対策、住宅からの一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などの排出の有無、そしてCO2削減量などの明示だ。
環境対策を消費者にお知らせすることは自動車などですでに始まっており、これからの時代には当たり前となる。いち早く準備し、技術力ある会社が一丸となってリーダーシップをとり、エンドユーザーに発信したい。 |