平成18年2月5日号から
無暖房住宅を開発
長野・北信商建 外壁400ミリ断熱+太陽熱利用

無暖房住宅の実験モデル外観。レッドシダーの外装仕上げが特徴的
 長野の北信商建(株)(本社長野県飯綱町、相澤英晴社長)では、外壁400ミリ断熱などI地域の次世代省エネ基準を大幅に上回る断熱性能と、太陽熱を利用する同社独自のFBソーラーにより、居住者の人体発熱と家電・照明などの生活熱など室内発生熱だけで暖房せずに快適な室内環境を維持できる「FBソーラー無暖房住宅」(特許申請中)の実験モデルハウスを同社長野東展示場にこのほどプレオープン。地元マスコミにも相次いで紹介されるなど、大きな反響を呼んでいる。

環境問題に積極対応
  同社の地元である長野県は、(財)新エネルギー財団が実施している太陽熱高度利用システム補助制度の補助金交付件数が全国で最も多く、住宅用太陽光発電導入促進事業による太陽光発電設置件数も関東・東海・関西の都府県や福岡県に次ぐ数を記録するなど、省エネ意識が高い地域として知られている。
 同社はその長野県で高断熱・高気密住宅にいち早く取り組み、さらに太陽熱を暖房・給湯に利用するシステムであるFBソーラーを開発し環境共生住宅認定を取得するなど、快適で省エネな家づくりを積極的に進めてきたが、昨年、同社も参加している信州の快適な住まいを考える会会長で信州大学工学部社会開発工学科の山下恭弘教授(工博)が、日本の住宅の省エネ水準向上と、環境と調和するサスティナビリティの実現・普及を目指し、徹底した高断熱化により暖房しなくても冬を快適に過ごせる無暖房住宅の実験棟を建設し、研究を開始。同社も山下教授の考えに賛同して無暖房住宅の本格的な開発に着手し、地球温暖化など深刻さを増す環境問題や灯油価格高騰など昨今の経済情勢への対応を視野に、昨年10月、FBソーラー無暖房住宅の実験モデルを着工した。

軸間に加え、さらに室内側に断熱層を取って400ミリ断熱を実現した外壁のカットモデル。右側にある100ミリ断熱の壁と比べるとその差は歴然。

室内側へ断熱層拡大
 FBソーラー無暖房住宅の実験モデルは、延床面積約44坪の2階建て。外壁と天井(桁上断熱)がそれぞれセルローズファイバー400ミリ厚、基礎が押出スチレンフォーム外側B1種30ミリ+内側B3種100ミリという超高断熱仕様と、太陽熱で暖めた不凍液を300リットルの貯水タンクで熱交換して給湯に利用すると同時に、床下に設置した3台の放熱器にも不凍液を送って、暖まった床下空間の空気を壁体内に循環させるFBソーラーの組み合わせが大きなポイントとなっている。
 外壁は、4寸角の柱の室外側にシージングボード12.5ミリを張った構造壁の軸間とその室内側にセルローズファイバーを合計400ミリ吹き込み、その上から防湿・気密シートと石膏ボードを張った後、36ミリ角の縦胴縁を303ミリピッチで入れて通気層を確保し内装下地の石膏ボードを施工。この通気層部分は百年住宅としての耐久性・可変性を考えて設けたもので、配線・配管スペースに使うことでリフォームや間仕切りの変更の際に断熱・気密層を傷めることなくコンセントやスイッチ類の移設を可能にしており、新鮮空気や床下の暖気を循環させる役割も持つ。通気層を構成する断熱層室内側部分は構造柱と添え木で緊結した縦桟に固定し、室内側の通気胴縁も大引・梁・桁の間に入れた受け材に釘打ちして壁全体の強度を確保している。
 なお、外壁構成の詳細は、室外側から外装材→通気層→透湿・防水シート→シージングボード12.5ミリ→セルローズファイバー400ミリ→縦桟36ミリ角303ミリピッチ→防湿・気密シート→石膏ボード9.5ミリ→縦胴縁36ミリ角303ミリピッチ→石膏ボード12.5ミリ→内装仕上げ―となる。


 室内の広さを優先して軸組室外側へ断熱材を付加することも考えられるが、同社ではコストメリットを優先して室内側へ断熱層を拡大。室内側に壁が厚くなるため、そのままだと室内空間が狭くなってしまうが、実験モデルでは通常の設計より大きくして室内の広さを確保しており、市販にあたっても同様の手法で設計する考え。

Q値は0.75W
 窓は特注で熱貫流率1.0Wのスウェーデン製木製サッシ・クリプトンガス入りトリプルLow-Eガラス、換気は第1種熱交換換気システムを使用しており、気密測定では相当隙間面積0.2cm2/m2を記録している。熱交換換気による省エネ効果を次世代省エネ基準方式で計算した場合、熱損失係数=Q値は0.75W(/m2・K)と、長野の地域区分である地域の次世代省エネ基準(2.4W)の3分の1以下、地域(1.6W)と比べても2分の1以下となる。
 同社のシミュレーションによると、冷房負荷は7月に1600MJ程度、8月に2800MJ程度かかるものの、各月の暖房負荷はFBソーラーの放熱量によってすべてまかなえるため、実質的な暖房負荷はゼロ。また、地域の次世代省エネ基準仕様と比べた場合、暖房エネルギーは原油換算で560リットル削減、CO2排出量は116.5キログラムとなり750キログラム削減可能だ。

一部規格化し坪60万目指す
 今後、同社では山下教授との協同研究により、発熱用の電球を取り付けた人体模型や照明・家電製品を実験モデルに設置し、時間帯によってそれらの動作を制御することで4人家族の生活をシミュレーションし、室内外の温湿度や壁体内の温度などを計測。性能や快適性を検証し、十分なデータを得てから販売・普及を進めていく考えだ。
 なお、市販にあたっては、室内の間取りやデザイン、仕様などは自由に選べる一方、総2階建ての形状や窓の数・配置などは規格化することで、FBソーラーを含め坪当たり60万円くらいの販売価格に抑えたいとしている。
 同社の相澤社長は「すでにマスコミの報道を見て多くの問い合わせがあり、プレオープン前に実際に見に来るユーザーもいたほど、無暖房住宅に対する地元の関心は高い。今年は希望者にモニター価格で販売し、実測データなどを検証してから本格的に販売していきたい」と話している。



左上/実験モデルは来場者が400ミリ断熱の壁体構成を見ることができるように、壁の一部をスケルトンにしてある。一見、出窓に見えるほど壁厚があるのがわかる
左下/壁体室内側に設けた通気層は配線・配管スペースとして使えるため、リフォームなどで断熱・気密層を傷めずにコンセントやスイッチの移設が容易にできるメリットがある
上/1階に屋根のソーラーパネルで集熱した太陽熱でお湯を作る貯水タンクを設置
 昨年8月に実験住宅  信州大・山下教授 外壁500ミリで無暖房実現

信州大・山下教授の研究室が昨年8月から温湿度等を実測している無暖房住宅の実験棟。外壁は500ミリ断熱
 北信商建が無暖房住宅を開発するきっかけになった信州大・山下教授の無暖房住宅の研究では、昨年8月に大学の敷地内に建てた実験棟に電球付きの人体模型や照明、テレビ、冷蔵庫などを設置。それらの動作を時間帯制御することにより人が生活する室内での発生熱をシミュレーションし、室内外の温湿度や壁体内・地中・小屋裏の温度などを常時計測。さらに実際に学生が実験棟に寝泊まりし、快適感や体感温度などについてのアンケート調査も行っている。
 山下教授は無暖房住宅を「I地域の次世代省エネ基準の2倍以上の断熱・気密化を図り、きちんと計画換気した状態で、人体発熱と照明・家電製品の発生熱で室温を維持できる住宅。ただ、高齢者や体の弱い人が住む場合や、不在時間が長い場合などを考えて、最小限の暖房設備は設けることが必要」としており、実験棟は室内が8畳の広さで外壁がグラスウール24K500、床が同400ミリ+押出スチレンフォーム100ミリで基礎も同100ミリで断熱、天井がブローイング700ミリ、窓は木製サッシ・アルゴンガス入りトリプルLow-Eガラス、換気は第1種熱交換換気システム。建築環境・省エネルギー機構のQ値計算ソフト・SMASHによるQ値は、延床面積が小さいため計算上は1.14Wだが、延床面積14メートル20センチのモデルプランで計算すると0.88Wとなる。

室内では電球を入れた人体モデルやテレビ、冷蔵庫、照明などの稼働時間を制御し、居住者の暮らしをシミュレーションしている

外がマイナス10℃でも室温20℃
 研究結果によると、今年1月に外気温がマイナス10℃まで下がっても、室温は20℃弱を維持するなど、生活発熱だけで十分に室温が保てることが実証されたほか、昨年秋と冬に行った宿泊体験者のアンケート調査でもほとんどが「快適」と回答。体感温度については最低気温が氷点下になる12月でも「寒くも暑くもない」という回答が最も多く、実験棟で設定した断熱仕様や生活発熱の状態などの条件下で、無暖房住宅の試みが成功していることがわかる。


外気温は朝6時頃にマイナス10℃まで下がったが、室内の温度は20℃弱を維持していることがわかる
環境と調和
 山下教授は「21世紀に入り、環境保護・省エネ・リサイクルに配慮した住宅や、地域性・伝統文化を尊重しながら環境に調和するサスティナブル住宅の建設・普及がどんどん重要になりつつあるが、無暖房住宅もその流れの1つとして取り組んだ。省エネ意識が強い長野県民にとって無暖房住宅は非常にインパクトがあると思うので、地元の業者の方々がこの実験棟を参考にして、より高い品質でユーザーに発信してもらいたい」と話している。


岩手型省エネ住宅
Dotプロジェクト 佐々木教授中心に日本一目指す

Dotプロジェクトについて語る座長の佐々木教授(左)と事務局長の長土居氏(右)
 最低気温は札幌以上に寒いが、1日の最高と最低気温の差が大きく、日射には恵まれた岩手地域にふさわしい高省エネルギー住宅づくりのプロジェクトが始まっている。岩手県立大学盛岡短期大学部佐々木隆教授を座長に地元の有志が集まって、昨年から活動を開始したDotプロジェクトがそれ。熱損失係数(Q値)を1.0W以下に抑え、暖房エネルギー消費量を次世代省エネルギー基準の半分以下にする目標をかかげて会員が活動を進めており、早ければ今年前半にもDotプロジェクトの住宅が誕生する。
 暖房環境と省エネルギーなどをキーワードに幅広い活動を続けている長土居正弘氏の声かけによって動き出したこのプロジェクトは、エネルギー自給率が19%しかない日本で、将来にわたってエネルギー消費量が少ない住宅を普及させることが重要と考え、EU並みの高い基準設定を行い、岩手(盛岡)発で地元はもちろん、こころざしを同じくする全国の理解者へ発信していこうというもの。
 今後予想されるエネルギーの変遷や、現在のエネルギー(灯油)価格の乱高下の影響を最小限に抑え、CO2も削減できる住まいのレベルとして、具体的には、Q値で1.0Wを切る高いレベルを目指すとともに、寒暖差を克服しながら日射熱を利用するなど、地域の気候に根ざした家づくりを提案する。
 現在会員は地元工務店に加え研究者、住設・建材メーカーなど18社。それぞれの立場で基準策定へ向けて話し合いを進めており、会員工務店の(有)岩手ハウスサービス・安藤敏樹社長は「これまでもQ値が1.0Wに迫る住宅は建てているが、コンマ以下は初挑戦。ユーザーの理解とプランニングなどの条件さえ整えば、今年上期にも実際の住宅で挑戦してみたい」としている。
 発起人で事務局長の長土居氏は「省エネルギーをキーワードにしながら、その中で質の高い住生活を提案していきたい。豊かな住生活と光熱費軽減は、首都圏から離れた地方都市に暮らす豊かさの基本だ」としている。また座長の佐々木教授は「日本一を目指す気持ちで、このプロジェクトに取り組みたい。北海道などとお互いに刺激を受けながら住環境をさらにいいものにしていきたい」と語っている
 問い合わせは事務局の長土居氏へ(Tel.080・5550・3566)。
電子メール nagadoi@mac.com


葛西選手ら健闘を誓う
土屋ホーム 五輪参加選手の壮行会

健闘を誓うメンバー。右から川本社長、葛西選手、伊東選手、木下監督
 イタリア・トリノで2月に開催される冬季オリンピックの代表選手で、スキー・ジャンプの葛西紀明・伊東大貴の両選手とノルディック複合の高橋大斗選手の活躍を願って、3選手が所属する(株)土屋ホームで1月23日に壮行会が開かれた。
 葛西選手は5大会連続の出場。これまでは個人のメダルに縁がない悲運のトップジャンパーでもあるだけに、今大会にかける意気込みは人一倍。伊東選手はもっとも期待される若手で、先月札幌で開かれたW杯で2位となり、好調のまま本大会を迎えられそう。高橋選手は海外遠征中で欠席したが、シーズンはじめのどん底から調子を上げており、代表の名に恥じないレースをしたいとメッセージを寄せた。
 同社川本謙社長は「これまでのすさまじい努力を知っているだけに、がんばれとはとても言えない。リラックスしてやれるように願っている」と3選手を送り出した。
 チーム監督の木下義幸氏によると、オリンピックに照準を合わせ、調整は順調だという。
 冬季オリンピックには、北海道など積雪・寒冷地域出身の選手が多数参加する。これまでジャンプ選手らを支えてきた北海道の有力企業が支援を中止・縮小する中、土屋ホームは5年前にスキー部を創設、トリノ大会では3選手が参加する。

窓で大きく変わるQ値
アルゴンLow-Eなら100ミリミリ断熱で次世代OK
 本紙1月5日号を読んだ読者から以下のような指摘をいただいた。特集記事の中で、北海道などⅠ地域の次世代省エネ基準の「ボーダー仕様」を熱損失係数(Q値)で1.5W、住宅金融公庫見なし仕様をQ値で1.4Wとしているのは、住宅のプランにもよるが一般的ではなく、ふつうはボーダー仕様でQ値が1.6~1.7W台、見なし仕様が1.5W台となるはずだ、という内容だ。
 ここではこの読者の声をきっかけに、あらためて断熱スペックとQ値について見ていきたい。

勇和建設・齋藤社長からの指摘
 この指摘をいただいたのは、札幌の工務店である勇和建設(株)・齋藤保雄社長。まず、齋藤社長に心から感謝するとともに、しっかりとQ値計算を行って住宅を供給されている同社に敬意を表したい。
 さて、本紙1月5日号で説明が不十分だった点も含め、あらためて次世代省エネ基準とQ値を見ていきたい。
 平成11年に登場した次世代省エネ基準は、当初国内の住宅の断熱性能を世界のトップ水準に近づけるものとして期待され、熱心なビルダーがいち早く取り組んできた。しかし、同基準は公庫仕様書に掲載されている仕様規定、いわゆる「見なし仕様」のほか、熱損失係数計算を行うことによって外壁100ミリミリ断熱など基準値(Q値=1.6W)ぎりぎりの断熱厚でクリアする、いわゆる「ボーダー仕様」も認められる二面性を持っている。
 そして、100ミリミリ断熱で次世代省エネ基準をクリアする最大のポイントは、開口部(窓)に次世代省エネ基準の見なし仕様を上回る熱貫流率2.0Wのアルゴンガス入りLow-Eペアを採用することにある。  アルゴンガス入りLow-Eペアガラスのプラスチックサッシは、今や寒冷地の主流となっており、価格的にもアルゴンガスの入っていないタイプ、すなわち次世代省エネ基準が定めるLow-Eペアとほとんど変わらない。
 室蘭工業大学・鎌田紀彦研究室が開発した熱損失係数計算ソフト(QPex)でサッシの仕様だけを変えてQ値を計算すると、ボーダー仕様ではアルゴンなしが1.62(W/m2・K、以下同じ)程度で次世代省エネ基準をクリアできない場合がある一方、アルゴン入りは1.55程度となり、ほとんどの場合に基準をクリアできる。また、見なし仕様ではアルゴンなしが1.48程度、アルゴン入りが1.41程度。
 Q値計算によってわかることは、100ミリミリ断熱でも市場で一般的なアルゴンガス入りLow-Eペアを採用するだけで、次世代省エネ基準をクリアできること、そして窓の断熱性能によってQ値が大きく変動するという点だ。
 仮にサッシサイズを変えずに木製のトリプルアルゴンLow-Eガラスに変更すると、見なし仕様では1.26程度、ボーダー仕様でも1.39程度にアップする。

性能情報の開示を
 見なし仕様の場合、現在市場に出回っている最も一般的な製品を使用すると、在来木造では外壁が高性能グラスウール16K100ミリミリ充てん+押出スチレンフォームB3種25ミリ外張り付加、天井断熱がブローイング300ミリ、基礎断熱が押出スチレンフォームB3種100ミリとなり、窓はプラスチックサッシ・アルゴンガス入りLow-Eペアガラスとなる。
 基礎断熱の場合は水切りの納まりや見た目のスッキリさなどを考え、布基礎の内外に張り分けて、合計の厚さを100ミリとするケースも多い。また、外壁の断熱付加を押出スチレンフォームではなく、グラスウールボード32K45ミリや同48K25ミリ、フェノールフォーム20ミリなどにするビルダーも増えてきている。
 一方、ボーダー仕様は外壁以外の断熱仕様を変えず、外壁は新省エネ基準同様に高性能グラスウール16K100ミリミリで計算した。
 Q1.0住宅、無暖房住宅など、暖房エネルギーの削減をテーマにした住宅が相次いで発表される中、Q値計算は工務店・ハウスメーカーにとって必要不可欠のものとなりつつある。重要なのは数値競争ではなく、実質的な断熱性能の向上にあるが、このとき大切なのは床・壁・天井の断熱厚と開口部の性能であることを今回あらためて確認しておきたい。
 また、これまでのアルゴンLow-Eペアのほか、真空ガラスのペアなど、さまざまなガラスのバリエーションや空気層が14ミリというペアガラスも生産可能になっているという。サッシメーカーはこれらの断熱性能値をぜひ試験し、Q値計算に使えるように情報提供してほしい。

次世代省エネルギー基準による必要断熱厚
(在来木造充てん断熱、Ⅰ地域)
部  位
見なし仕様
ボーダー仕様
天  井
BW300ミリ 同左
屋根*1 高性能GW16K265ミリ 同左
壁*1 高性能GW16K100ミリ+押出B3種25ミリ 高性能GW16K100ミリ
中間階の横架材部分 押出B3種25ミリ なし
外気に接する部分 高性能GW16K200ミリ 同左
その他の部分 高性能GW16K135(150)ミリ 同左
土間床等の外周部 外気に接する部分 押出B3種100ミリ 同左
その他の部分 押出B3種35ミリ 同左
(プラスチックサッシ Low-Eペア) 乾燥空気封入 アルゴンガス封入 乾燥空気封入 アルゴンガス封入
熱損失係数 概算(W/㎡・K) 1.48 1.41 1.62 1.55
BW:グラスウールブローイング、GWとはグラスウール、押出とは押出法ポリスチレンフォームをいう
K:密度を表し一般に高密度ほど断熱性が高い。またB*種とは性能種別で3種がもっとも断熱性が高い
上記の仕様は公庫仕様書をベースに断熱区分の中で最も一般的と思われる断熱材を使って5㎜単位で切り上げ表示した。
このため高性能GW16KやGW24K(λ=0.038W/m・K)では表中の断熱厚より若干薄手化が可能な場合がある
*1:断熱手法のバリエーションは様々考えられる

断熱性能別の年間暖房灯油消費量( )及び灯油代(カッコ内が灯油代)
地域
仕様
Q値 (W/㎡・K)
延床面積(㎡)
120㎡
140㎡
160㎡
180㎡
200㎡
札幌・ 軽井沢 150ミリ断熱
1.2
840 980 1,120 1,260 1,400
(58,900) (68,700) (78,600) (88,400) (98,200)
次世代省エネ見なし仕様
1.4
980 1,150 1,310 1,470 1,640
(68,700) (80,200) (91,600) (103,100) (114,600)
次世代省エネボーダー仕様
1.5
1,050 1,230 1,400 1,580 1,750
(73,600) (85,900) (98,200) (110,500) (122,700)
函館・ 室蘭・ 150ミリ断熱
1.2
800 940 1,070 1,200 1,340
(56,100) (65,500) (74,800) (84,200) (93,500)
次世代省エネ見なし仕様
1.4
940 1,090 1,250 1,400 1,560
(65,500) (76,400) (87,300) (98,200) (109,100)
次世代省エネボーダー仕様
1.5
1,000 1,170 1,340 1,500 1,670
(70,100) (81,800) (93,500) (105,200) (116,900)
旭川 150ミリ断熱
1.2
1,040 1,220 1,390 1,560 1,740
(72,900) (85,100) (97,300) (109,400) (121,600)
次世代省エネ見なし仕様
1.4
1,220 1,420 1,620 1,820 2,030
(85,100) (99,300) (113,500) (127,700) (141,800)
次世代省エネボーダー仕様
1.5
1,300 1,520 1,740 1,950 2,170
(91,200) (106,400) (121,600) (136,800) (152,000)
帯広・ 釧路・
北見・ 網走・
150ミリ断熱
1.2
1,010 1,180 1,350 1,520 1,690
(71,000) (82,800) (94,600) (106,500) (118,300)
次世代省エネ見なし仕様
1.4
1,180 1,380 1,580 1,770 1,970
(82,800) (96,600) (110,400) (124,200) (138,000)
次世代省エネボーダー仕様
1.5
1,270 1,480 1,690 1,900 2,110
(88,700) (103,500) (118,300) (133,100) (147,900)
盛岡・ 青森・ 150ミリ断熱
1.2
720 840 960 1,080 1,200
(50,500) (58,900) (67,300) (75,700) (84,200)
次世代省エネ見なし仕様
1.4
840 980 1,120 1,260 1,400
(58,900) (68,700) (78,600) (88,400) (98,200)
次世代省エネボーダー仕様
1.5
900 1,050 1,200 1,350 1,500
(63,100) (73,600) (84,200) (94,700) (105,200)
*:灯油1L=70円で計算した。


太陽熱でエコ暖房
ウッディハウス パネル3台で3.6kW集熱

ソーラーウォール6台を取り付けた新築住宅

ソーラーウォールのしくみ。ガラス面で暖められた外気がアルミスリットを通り抜けてさらに昇温し、強制給気ファンで室内に導入される
 ウッディハウス(山田光治代表)は、(株)ロゴスシステム(本社東京都)が発売する太陽熱集熱外壁パネル「ソーラーウォール」を十勝で取扱っており、昨年に他の暖房装置を使わず室温が20℃を上回る良好な実験結果が出たことから、今後の販促につなげたい考え。
 
ソーラーウォールは、カナダ・コンサーバル社が開発・製造している小さな穴の開いた1×2メートルのアルミパネル(特許取得済)で、外気を太陽熱で暖め60~120m2/hの給気ファンで室内に入れて部屋を暖める。外気はパネルの小さな穴を通るとき太陽光で暖められたアルミパネルと熱交換して最大50~60℃の高温となる。給気ファンには温度センサー連動のダンパーがあり、設定した温度以下の冷気が室内に入るのを防ぐ。日本総代理店のロゴスシステムが試算したところ、1枚のソーラーウォールで晴天時にだいたい1kW/時程度の発熱量が得られるという。
 施工は、アルミ枠材を取り付け、断熱材を貼り付ける。断熱材に室内給気用のダクト穴を開け、ソーラーウォール本体をリベットで固定する。最後にガラスをはめ込む。枠材と下地、断熱材のすき間やソーラーウォールと枠材のすき間は発泡ウレタンやシリコンでシールする。
 ウッディハウスでは同社事務所(約10畳+約10畳)にソーラーウォールを3台取り付け、温度データを収集している。それによると、昨年2月に無暖房の状態で測定したデータでは、ダンパー開口温度を23℃に設定、早朝は外気温マイナス16℃で室温11℃前後だったのが朝8時頃にはダンパーが開いて室温が上昇し始め、午後1時には室温が20℃を突破、そのまま午後5時過ぎまで20℃を超えて5時半頃ダンパーが閉じた。その後夜間に30分ほどFF灯油ストーブをつけると翌朝の最低温度は約14℃で前日よりも3℃高かった。ダンパーが開いていた約7時間半の受熱量を計算すると1台あたり平均1.25kW/時あった。
 同社ではこれらの結果から、住宅だけではなく、夜間に人がいない事務所や学校などでメリットを発揮すると見ており、幅広い分野での活用に期待を寄せている。
 山田代表は、「太陽光発電パネルと比べてより安価に太陽熱エネルギーを効率よく利用することができ、エコに関心があるお客さまなどに勧めていただきたい」と話している。
 価格は、材工でパネル1枚あたり約26万円前後。給気用ファン、温度コントローラーを除く。  問い合わせは、同社(河西郡芽室町西1条南4丁目、Tel.0155・62・0814)。



左上/ソーラーウォールの施工。枠材は地元のサッシ工事店でアルミ材を加工してもらった
左下/熱を効率よく貯めるためシーリング施工は丁寧に行う
上/実験棟のグラフ。赤が外気温、黒が室温、青が吹き出し口温度

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