そのノウハウと影響
R-2000が日本にもたらしたものは気密性能基準だけではない。高気密化に関するさまざまなディテールや、高断熱・高気密化の意味など、計り知れない影響力を持っていた。ここではその代表的なものを紹介したい(図版は全てビルダーズマニュアルから)。
気密化手法
ガスケット(パッキン)を使った手法
壁の下枠と床合板との取り合い気密化は、先張りシートを使う方法もあるが、スポンジ状のパッキン材を挟み込む方法が広く紹介された。パッキン材はこのほかに、窓廻りなどにも使われている。
面材を使った気密層
気密層は、日本では防湿層を兼ねてポリエチレンフィルムを使うケースが多いが、この気密層に面材による押さえがないと、外部の風によってシートがあおられ、暖められた空気がポンプで押し出されるように屋外に逃げ、熱損失が大きくなる。気密層は必ず石膏ボードなどで抑えることが大切。R-2000マニュアルでこの点が指摘されるまで、日本ではとにかく連続した気密層さえあればよいと考えられていた。また防湿・気密シートの厚手化(0.2ミリ厚)が進んだ。
3分の1、3分の1のルール
防湿層はふつう、断熱壁体の室内側に設けるが、室内配線などによって防湿層は何ヵ所も穴を開けなければならない。そこで壁の断熱性能の室内側から三分の一の部分に防湿層を設け、その室内側に配線などを集中させる。この方法は北欧でも行われており、一般的には室内側に付加断熱を施すことになる。ツーバイフォーの場合、壁90ミリに内付加45ミリ、防湿層はスタッドの室内側といった構成だ。
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