価格は新築の2/3 |
小樽・北美建 新築並み断熱・気密改修 |
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(有)北美建(小樽市、今北光春社長)では、2月21、22日の2日間、リフォーム完成現場内覧会を小樽市内で開催。当日はリフォームだけでなく新築を検討しているユーザーも含め、多数の見学者が訪れた。
骨組みから構造チェック
会場には、改修前の住宅の浴室まわりに使われていた腐食した構造材、改修に使用した構造用集成梁・ヒバの集成土台のサンプルなどを展示。なぜ木材がここまで腐食したのか、家を長持ちさせるにはどのような製品を使い、どのような工法が必要なのか、という今北社長の話に見学者は熱心に耳を傾けていた。
同社が公開したリフォーム住宅は、在来軸組工法で建てられた築20年の木造2階建て。ユーザーの要望を元に行われた改修工事は1.三角屋根から無落雪屋根へ変更2.2階に部屋を増築3.水廻り設備の全面入れ替え4.構造体や断熱・気密の改修。この中でも一番のポイントは構造体や断熱・気密の改修工事だ。
最初に壁や天井などを解体し骨組みだけの状態からチェックを開始。土台はしっかりとした状態で残っていたが、床下の防湿対策(グランドシート)がなかったために一部分の大引が腐食していた。腐食していた大引きを取り換えて、床下の湿気を抑えるためにグランドシートを施した。このほか、タイル貼りの浴室だった浴室まわりの構造材に腐れがあった。変形した無垢材は集成材に その他の構造材は通気層が施工されていたこともあり、比較的健在。柱や梁などの構造体には全て無垢材が使われており、反りやねじれを起こしている部分については集成材に変更したが、特に問題のない部分はそのまま残すか耐久性や強度を維持するために補強を施した。
2階については、材料費はかかるが、施工手間の軽減を考えて既存の柱・梁はすべて撤去し、胴差しの上に2階の土台を敷いて新たにプレカット集成材で組み直した。
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構造用集成梁・ヒバの集成土台のサンプルなどを展示。来場者はヒバの香りを確認 |
浴室まわりの腐っていた構造材も展示
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2階は既存の柱・梁を撤去しプレカット集成材で新たに組み直した。室内側に気密層を確保しグラスウールを充てん。新築並みに性能を高めた |
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築20年を経過した改修前の住宅。わりとしっかりしていたが、雪処理や寒さが問題だった |
改修後の外観写真。無落雪屋根にかわったこともあり、リフォーム前の面影はない |
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リフォームしたリビングの写真。窓から射し込む陽射しが明るいリビングを演出 |
改修工事は構造体から行い、強度や耐久性を全てチェックした。1階の骨組みには補強を施し、2階は集成材で新しく組み直し。胴差し部分に先張りシートが見える |
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新築同様の新在来手法
先貼りシートや通気層
断熱・気密工事は、骨組み以外をすべて撤去したため、新築とほぼ同じ手法の新在来木造構法で施工した。改修前は、当時としては最先端の通気層がEV工法で確保されていたが、室内側の気密層や気流止めが確保されておらず、また通気層にはグラスウールが裸の状態で露出していたため、すきま風が入り寒かった。
まず、先張りシートなど気密層を室内側に設け高性能グラスウール100ミリを充てんし、シージングボード、タイベックを貼り、通気層を設けて外壁はサイディング仕上げ。床断熱は高性能グラスウール150ミリ、天井はブローイング200ミリと新築並に性能を高めた。
暖房は温水セントラルヒーティング、換気は第三種セントラルを採用。設備面でも新築並みに引き上げた。ユーザーの満足度は高い 施工費は1000万円を超えたが、同じ面積で新築する場合と比べ3分の2の価格で終わらせることができた。これは基礎工事がまったくかからなかったことが大きいという。
同社の今北光春社長は「ユーザーにとって、新築の3分の2で終わるリフォームを選ぶか、新築にするかは考え方次第だと思うが、新築並みに性能を引き上げられれば、リフォームでもユーザーの満足度は高いことがわかった。ただリフォームは既存部分の診断など現場での判断が重要なので、新築工事より難しいとも言える。ここまで大規模な改修工事は今回が初めてだったので、貴重な体験ができた。住宅性能を実感してもらうには冬場の完成現場見学が不可欠。来年も冬場にぜひ実施したい」と話している。
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before |
after
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