「スロウル」「アルティザン」「トキメキ」... 札幌の人気「リノベーション」会社を総力取材!

| リフォーム | 趣味・こだわり系 | 2017.05.02

札幌は住宅が余っている

札幌市内には100万戸を超える住宅があります。

そして札幌の世帯数は93万世帯くらいです。

住宅=100万戸。
世帯= 93万世帯。

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そうなんです。世帯数より家の方が多いんです。ですが毎年、年間で15000戸くらい、新築戸建て住宅が建っていますし分譲マンションも、アパートも、高齢者用の住宅関連施設も足したら、住宅はどんどん増えています。

札幌は、年間8000人位、人口が増え続けていますが、それでも新築の住宅供給の方が多くて、空き家率は15%近くあります。住宅戸数的には十分あるわけです。でも、その中には老朽化が進んで寒さや使い勝手の悪さなどの課題を抱える家や、所有者の事情で活用されていない住宅も少なくありません。

これまでは、膨大な中古住宅を補修・修繕し、快適な住環境を取り戻す「リフォーム」が主流でしたが、ここ数年は、新築戸建て住宅や分譲マンションの価格高騰もあって、中古住宅を購入し、大規模改修を経て、そこに住む人の生活にあった付加価値を生み出す「リノベーション」が、子育て世代を中心に人気を集めています。札幌の住宅市場にとって最も重要な課題は、既存住宅の活用ではないでしょうか。

北海道住宅新聞が札幌のリノベーション会社を取材

そこで今回、北海道住宅新聞社は、札幌で活躍するリノベーション会社数社にインタビューを行い、札幌のリノベーション市場の現状と、各社の取組、展望などを伺いました。お話を伺ったのは札幌のリノベーション業界でも活躍が目立っている

1 リノベーションでライフスタイルを応援 札幌 スロウル
2 デザインも性能も重視 高いコストパフォーマンスを追求 札幌 アルティザン建築工房 
3 不動産業と建築家がリノベで連携 札幌 トキメキデザイン・アトリエ

の3社です。では早速・・・


リノベーションでライフスタイルを応援 

札幌 スロウル

「同じ値段で新築を建てられるのは分かっていたけど、スロウルのリノベーションの方が自分の望むライフスタイルを実現できると思いました」自社のOB客が、テレビ番組の取材で話すのを聞いて「リノベーション=新築より安い」という価値観をくつがえせる可能性を感じたと話すのは㈱スロウルの平賀丈士社長だ。

同社は2010年に、札幌圏で一戸建て中古住宅を再生させるリノベーション事業を開始。オーナーのライフスタイルを踏まえた間取りなどを実現するため、多くはスケルトンに近い状態までの大規模改修を行う。木やブロック、漆喰など、素材の質感を重視しながら、家庭菜園や薪ストーブなど、自然とつながる北海道らしいライフスタイルを提案している。
slowl3.JPGその結果、新築に迫る価格帯のリノベーションになることもあるが、特に市街地に住み、日頃は仕事や家事に追われている子育て世代の反応が良いという。「道民でも野山を駆けまわる本格的なアウトドアライフをしている人はわずか。限られた時間しかないからこそ、庭や公園の自然に触れたり、冬には薪ストーブを焚いて家族で過ごす、自然素材に囲まれた暮らしに憧れる人は多い」と話す。そうした提案が評価され、7年間で約40棟のリノベーションを実現している。
slowl1.JPG同社は、北海道住宅供給公社が1960年代以降に道内各地で建てた「ブロック造三角屋根の家」のリノベーションもこれまで6棟手がけ、うち1棟は現在、札幌市清田区でモデルハウス公開中だ。1階リビングから天井までの吹き抜け空間で空間の広がりを演出。断熱強化や自然素材活用など大幅な改修を図る一方で、集合煙突を活かした薪ストーブ導入や、ブロックの風合いを活かすように現しで仕上げるなど、年数を経た住宅のビンテージ感もうまく活かす。チラシや雑誌広告などはしていないにもかかわらず、ウェブサイト経由で週末などの見学予約が複数入る人気ぶりだ。
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施主側の立場でリノベーション


平賀社長は広島県出身。IT企業勤務やオーストラリア滞在の経験から北海道らしいライフスタイルへの憧れが強まり札幌に移住。中古住宅の賃貸業も経験した。賃貸業で高利回りを上げるには、住宅改修にコストはかけられないため快適な住環境の提供は難しい。そこで一念発起、7年前にリノベーションで起業した異色の存在だ。
slowl4.jpg平賀社長は「4年位前からリノベーションという言葉が市民権を得て住宅取得者層の選択肢に入った。ブームというほどの実感はないが、追い風は感じる」と話す。平賀社長のポリシーは「素人感覚を忘れず、常に施主側の立場に立ってライフスタイルを応援すること」。「オーストラリアの人たちは、芝生に寝転んだりジョギングしたりと、暮らしを上手に楽しんでいる。ライフスタイルを楽しみたい施主を応援するには、設計・施工面の事情があったとしても、簡単には『できない』と言わず、家での過ごし方を一緒に、真剣に考える姿勢が大事だと思う」と話す。
スロウル公式サイト 

デザインも性能も重視 高いコストパフォーマンスを追求

札幌 アルティザン建築工房

「中古住宅を利用すれば、利便性の良い場所でコストを抑えて、お客様が望む住まいを届けられる」―。こう語るのは、㈱アルティザン建築工房(札幌市)の新谷孝秀社長。同社は2011年の設立以来、コストパフォーマンスの高さを追求することで累計150棟を超えるリノベーションを手がけてきた会社だ。
arute1.jpg新谷社長は会社設立前、別の住宅会社に勤務し、新築もリノベーションも手がけていたが、景気が悪化し、若い子育て世代が住宅取得資金を十分借りることができなくなる中、コストを抑えつつ、ユーザーの希望を反映できる家づくりを提供していこうと、中古住宅のリノベーションを専門とする同社を立ち上げた。「新築市場は今後、年間90万戸から60万戸に減ると言われているが、リノベーションはその数に含まれていない新しい市場。新築は無理と思っているユーザーや、賃貸しか考えていなかったユーザーを取り込める可能性もある」(新家社長)。

現在では、"アルティザンカフェ"と呼ぶオープンハウスと、中古住宅探しから現況検査、資金計画、デザイン・プラン作成、施工、アフターまで自社で行うワンストップサービス、施工前後の状況がわかる事例を数多く掲載したホームページ、セミナー・相談会などのイベント開催を集客の柱とし、今年は40棟に迫る受注を見込む。
arute2.jpg同社が行うリノベーションは、性能もデザインも妥協せずに高いコストパフォーマンスを目指すのが特徴。基本的に木造戸建住宅を対象とし、長期優良住宅仕様を標準としたうえで、塗り壁材や無垢材、造作家具などを採用したデザインを提案している。デザインについては仕様のリニューアルを検討中で、現在の標準的な仕様よりワンランク上の"アルティザンスーペリア"、コスト重視の"アルティザンベーシック"を用意し、より幅広いユーザー層に対応する考え。

また、コストパフォーマンスを高めるために、少ないスタッフ数で効率的に仕事を行うほか、モデルハウスを持たない、広告宣伝費をかけない、利益率を同業他社より低く抑える―ということも重視している。

VC展開で市場拡大を図る

今後のリノベーション市場について新谷社長は、「20年後になるか30年後になるかわからないが、高耐久な新築住宅が増え、既存ストックも改修による性能向上が進めば、リノベーション市場は新築とともになくなり、後はリフォーム市場しか残らないはず」と言う。

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その一方で、現在拡大傾向にあるリノベーション市場をしぼませないためには、プレーヤー(リノベーション業者)を増やすことが必要と考え、今年からリノベーション事業を支援するボランタリーチェーン(VC)『アルティザン倶楽部』をスタート。加盟会社に対し、プレゼンテーションやオープンハウスのノウハウ、見積実行予算書や工程表、実例集などのデータを提供するとともに、補助金申請サポートなども行っていく。

新谷社長は「1社単独でできるリノベーションの仕事にも限界がある。リノベーションを手がけてみたいと思う会社があればサポートを行い、一緒に市場を広げていきたい」と話している。
アルティザン建築工房の公式サイト

不動産業と建築家がリノベで連携

札幌 トキメキデザイン・アトリエ

㈱トキメキデザイン・アトリエの天道涼子社長は、以前は札幌の不動産会社に勤めていた。2014年に同社を起業したのは、学生時代の同級生で、設計事務所を運営する石原英祐さんが行うリノベーションに衝撃を受けたのがきっかけだった。
不動産会社の新築住宅は土地の大きさや家族構成などに基づいて間取りを決め、画一的にプランすることが多い。中古住宅の販売でも、壁紙を貼り替えたりする程度の、いわゆる『表面補修』で、できるだけコストを掛けずに利益率確保を目指す傾向がある。
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ところが石原さんは、オーナーとのヒアリングを重視。奥様が料理をする時に、棚や調理器具をどう使うか、ご主人が冷蔵庫からビールを取り出す際に奥様とストレスなくすれ違えるか、テレビやソファーの配置など家族の動線も緻密に検討し、プランに落とし込んでいた。天道さんは「石原さんは男性とは思えないほど女子力が高く、暮らしの組み立てやインテリアコーディネートなども徹底的に考えている。こんな丁寧な家づくりがあるのかと驚きました」と振り返る。
tokimeki2.jpg(写真撮影:光写真事務所)

一方、石原英祐専務は、30代の大半をリフォーム業界で有名な工務店で勤務しスキルと経験を磨いた。設計事務所として独立後は、マイホームの取得コストを抑えたい子育て世代によるリノベーションのニーズが増える一方、不動産会社が物件の建物状況調査(インスペクション)を拒む、明らかに雨漏りしているのに告知しない、仲介手数料とは別のバックマージンを要求するといった商習慣に不満を感じていた。自身の事業については、オーナーの要望を実現しようと頑張るあまり、利益率が下がってしまう課題も抱えていたという。

物件紹介と住まい提案で差別化

そこで天道さんと石原さんはお互いの長所を活かし、既存の会社を社名変更する形で㈱トキメキデザイン・アトリエを2014年に起業した。集客・広報戦略の軸はウェブサイト。言葉の意味が浸透しつつある一方、まだ競合が少なかった「リノベーション」というキーワードで、Google検索で上位表示を実現し、集客につなげている。

土地や中古住宅の物件探しから関わるケース、リノベーションの依頼から始まるケース、マンションリノベーションの依頼など要望は様々で、老朽化の進む物件では性能やコストを比較して新築も提案することもある。

同社の特長は不動産業とリノベーションを合体させた事業内容にある。「インスペクションをしたい」と売主に打診するとあら捜しをしようとしていると思われるのか、敬遠されることもあるが、不動産業者の立場で鍵を借りに行くと、じっくり物件のチェックができる。住宅の改修で思わぬ追加工事の発生リスクを減らせるので買主のメリットも大きいという。

リノベーション需要の高まりに合わせ、今後はリノベーション済みの中古物件のモデルハウス展示・再販など新たな事業やウェブサイトの強化などにも取り組む計画だ。
㈱トキメキデザイン・アトリエの公式サイト


参考記事

中古戸建をリノベして、大好きな自転車と暮らす/札幌市Tさん リビングワーク
Tさん夫婦は結婚が決まってからどこに住むか、どのように住むかを話し合い、ふたりの出会いとなった自転車を楽しむ暮らし、夢だったマイホームを実現するため、新築と並行して中古住宅を購入してリノベーションすることも候補の一つにしたそう。そして実現したのが自転車と暮らすリノベーション住宅です。
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円山公園へ住み替え。中古マンションを戸建て感覚で上質リノベ「うつろいの、こばこ」
内装以外は建築当時とほとんど変わらなかった築31年の3LDKマンションをスケルトン状態にし、2LDKに変更するなど、大変身した今回のリノベーション。 シノザキ建築事務所では「うつろいの、こばこ」と名づけています。
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新築の技術力を生かしたリノベーション提案/サンケイ建匠・入山俊文さん
今や家づくりのスタイルとしてすっかり定着した「リノベーション」。新築住宅で培った施工技術と提案力をベースに、暮らしにマッチした美しく機能的なリノベーションを提案するサンケイ建匠(株)リノベーション室長の入山俊文さんにお話を伺いました。
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納得のリフォーム10事例&リフォーム会社まとめ(札幌版)2015_kawai_f-kouji-thumb-685x536-10200.jpgのサムネール画像

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