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家を建てる人で間取りを学ぶ人は1割。「将来部屋が余る」問題

北海道住宅新聞社編集部 栗原 | 家づくりの基本 | 記者の目 | 2009.05.14

 築20年程度の戸建て住宅で現在、夫婦2人暮らしなのに部屋がたくさん余っていたり、2階は物置がわりでほとんど足を踏み入れることもない、という実態がたくさんあります。子育てのために建てた家は、子どもが独立すれば部屋は余ってしまう。ところが夫婦の寝室は狭く、収納スペースが少ない。何か矛盾していませんか。20年後確実に直面するこの問題に、今から目を開くべきです。

少子化時代に合った間取りは?

 最近の住宅雑誌の中には、一冊まるごと「間取り」のことを書いたものもあります。住宅の間取りに対する不満は、建て替え理由の上位を占めると言われています。それは住宅の使いにくさ、無駄、家族のコミュニケーションや部屋の片づけがうまくできない、など日々の暮らしに直結する問題であること、そして家族構成が変化したときに、使わない部屋が発生したりするからです。  間取りの変遷でいえば、少子化と核家族化の進行は現在決定的な影響を与えています。大きな家・たくさんの部屋はもはや標準的な人数の家族にとって必要ないでしょう。むしろ大きすぎる家は建設費も光熱費も多くかかります。しかも少子化・核家族化は今後ますます進展しますから、コンパクトな家の方が将来買い手がつきやすいということも予想できます。  狭小住宅で共有空間を広くしたり、個室=プライバシー重視よりも家族の様子が感じられるような一体感のある間取りを求める人も増えています。  現代のシニア世代は家具や調度品、生活に伴う思い出の品々などをたくさん家に詰め込んでいます。一方、30代は家具よりも備えつけのウォークインクローゼットなどを利用し、すっきり収納したいという人も増えています。  

女性の視点も大切

 また、間取りは男性の目線ではなく、女性の視点で考えた方が良いという意見も増えています。家事は女性がする比率が高いという状況であるなら、家にいる時間が長く、活用している女性がプランを決めるとよいでしょう。  衣替えの不要な大きな収納、買い物帰りに車庫から冷蔵庫に直行できる勝手口、二世帯同居や介護などへの備え、来客を気軽にお迎えするための配慮、料理時に家族とのコミュニケーションが取りやすい対面キッチン、愛犬と家族がストレスなく暮らせる間取りや床材の選定など、考えることはいろいろあります。  

「家族」「持物」で考える間取り 札幌市 恵和建築設計事務所 一級建築士 山本 明惠さん

 今回は「さっぽろ住まいのプラットフォーム」という札幌市民の住まい相談を専門家が対応するNPO法人の理事長も務める経験豊富な建築家、山本明惠さんにアドバイスをいただきました。

間取りを考える人は10人に1人!

tadashii03-01.jpg まず第1に間取りの標準的なパターンそのものは昔からほとんど変わっていません。変わっているように見えるのは既成品の建具や収納、ユニット式のモダンな階段の設置に目を奪われ、どことなく新しい感覚に満足してしまうためです。
 住宅購入希望者のうち、自分で間取りを勉強して、いろいろ考える人は10人に1人程度しかいません。私たちに「4人家族ですが何坪の家を建てたら良いですか」と聞いてこられる方もいます。たいていの人はモデルハウスを見たり、住宅会社が見せるプラン集の中からよさそうなものを選ぶ程度です。最終的には生活に合わせた間取りを決めるのではなく、間取りに合わせた生活をする人が大多数です。そういう意味では建売住宅で良いわけですが、なぜか「建売住宅は安っぽい、手抜きがある」というような先入観がある人が多く、それで注文住宅を望み、一応間取りも選ぶというのが最近の傾向です。
 

子供のプライバシーは少なめに


 北海道の人は壁で部屋を仕切るのを好む傾向があります。個室がたくさんできるわけですが、逆に建具で区切ると視線は遮るものの家族の気配を感じる空間ができます。
 子供にとって理想の家は、家族の気配を感じるプライバシーが少なめの狭い家ではないでしょうか?
 子供にプライバシーはいらないと考えた建築家が、敷地面積5坪に5層の狭小住宅を建てた結果、子供は片付け上手でアイデア豊富になり、家に愛着を感じ、結局建築家になったという事例もあります。
 子供は出ていく可能性が高いのですから、新築時に子供部屋は子供たちに一時的に預ける部屋、と考えて、将来的には自分たちが使いやすいように考えておくとよいでしょう。例えば子育てが終わったら子供部屋はリビングと一体化できるようにしておくとか、小さくても広く使える家にするなど、将来のこと、予算のことも踏まえて上手な間取りをプロに相談すると良いでしょう。
 大きな家に家具や荷物、思い出の品々などいろんなものを詰め込んで狭く使っていたのが従来の日本人の暮らしです。子育てが終了したら2階は誰も使わなくなる、という実態はオーナーが50~60代の住宅で多く発生しています。
 できるだけ荷物は少なく、家はやや小さめに、間取りは変更しやすいように、プライバシーは重視しすぎない、といった要素を皆さんも検討してみるとよいでしょう。
 
Profile-----
札幌市の恵和建築設計事務所、一級建築士の山本明惠さん。北海道建築指導センターの住宅相談員として、住まいの悩み相談を受け付けているほか、「さっぽろ住まいのプラットフォーム」という札幌市民の住まい相談に建築や福祉など様々な分野の専門家が協働で対応するNPO法人の理事長も務める。

 


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