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2010年07月05日号から

高性能住宅Q&A 734回 高断熱住宅が6月に寒い

家電や室温設定か?

Q・・・断熱厚で壁が200㎜以上、熱損失係数(Q値)で1W以下の超高断熱住宅を引き渡し、冬の間は「本当に暖かい(寒くない)」と好評だったのですが、6月中旬に訪ねた際、『上旬まで暖房を入れる日があった』と聞いて驚きました。そんなものでしょうか。
A・・・この話は、最近ときどき耳にします。そして、以前から原因を調べていますが今ひとつわかりません。理由はわかりませんが、『5~6月に意外と寒い』という高断熱住宅が多いことは確かです。
 以前はこの時期の話題と言えば、『3月なのにオーバーヒートした』という暑い住宅の話でした。こういう住宅はもちろん5月も当然のようにオーバーヒートします。しかし、朝晩は暖房を使っていたりするのです。ある1日に朝・暖房、お昼前後から冷房、夜は再び暖房という空調をするわけです。

20100705_01_01.jpg原因は複合的で5つくらい

 さて本題です。
 考えられる理由は複合的ですが、1.日射遮へいがしっかりしている 2.建物に蓄熱層がある 3.室内に熱源がない 4.断熱性能が高い 5.室温がふだんから低めに設定されている―という要素が考えられます。
 1.寒い家はオーバーヒートしない家であることが多いようです。日射の遮へいがしっかりしていたり、完全に真南を向いていて西面には窓が少なかったり。
 日射遮へいはいろいろな方法があります。例えば窓が小さいこともその1つです。日射遮へいが効いていれば、太陽光や外気温度に左右されにくいことは確かです。
 2.蓄熱量が大きく影響しているのではないかと昨年までは想像したのですが、決定的な理由ではないようです。ただ、基礎断熱などによってコンクリートの蓄熱量があれば、室温がコンクリート温度に引っ張られます。
 3.室内に熱源がないということは、実は大きな原因になっているように思います。熱源とは暖房だけでなく、家電製品、つまりテレビも冷蔵庫もパソコンも、すべて熱源になります。内外温度差が小さいこの時期は、300Wクラスの家電が動いているだけで暖房と同等の効果があります。概算では室温を1・5℃程度引き上げるチカラがありますから、テレビがついているかどうかでだいぶ違うでしょう。
 4.そもそも断熱性能が高いことが、夏冬問わずに屋外の気温に左右されにくい室内をつくるワケですから、この時期特有のピーカンの晴天で外気温が低いときなどは、日射遮へいがほどよく効いていれば、屋根の照り返しの影響もあまり受けずに室内が低温で推移することになります。
 5.室温を高めに設定している人は、ちょっと寒いだけで迷わず暖房onなのに対し、20℃くらいの設定のかたは、肌寒くなる18℃くらいまでガマンしてしまうという面もあるようです。
 肌寒い感覚は17~21℃、おおむね18~20℃でしょうから、ふだんの暖房温度が密接にかかわってくるわけです。
 お客さまの中には、「欠陥(断熱欠損)じゃないか?」というニュアンスをにおわせる方もいます。
 そうではないと説明するのは難しいですよね、きっと。まずは「同じく寒い思いをされている人けっこういるんですよ」というあたりから入るのがいいでしょうか。
 対策は「自分だけではない安心感」。すなわち『遠慮せずに暖房しよう』と心を解放して差し上げることかもしれません。


2010年06月25日号から

高性能住宅 Q&A 733回 黒アリが出たときどうするか

状況説明より、共感と誠実な対応

 今年もアリの季節がやってきた。6月に入って2週間あまりでアリの相談が立て続けに6件も編集部によせられている。不快な虫・アリ。ユーザーの嫌悪感と建築業者の誤解がクレームを招く。アリについてまとめた。

誤解されているアリ

 20100625_01_01.jpg住居に侵入するアリは、北海道では6月ころから活動が活発になり、8月ごろ羽アリになって飛び立つ。ほとんどはトビイロケアリと呼ばれるどこにでもいるアリだそうだ。ここで勉強するのはシロアリではなく、黒アリのほうです。
 古い木造住宅に出てくるなら、さほど問題ない。問題になるのは...。
1.新築したばかりのころ。
2.新築後数年してから。
3.リフォーム後すぐに。
 多くの場合は室内に出てきて気がつく。「気持ちが悪い」「アリが出るような(ひどい)家なのか」。
 アリが出ただけで最近の新築・リフォームはクレームになりかねない。それが第一の問題。
 第二の問題は、アリが基礎断熱材を巣としてしまう事。
 第三は、「アリが出たら木材が腐っていると疑え」を超えて、食害があったと勘違いしてしまうこと。
 基礎断熱材に巣を作ったとしても、断熱性能の低下は心配しなくていいと思う、とある専門家は語っています。
 20100625_01_02.jpgアリ退治は、ハエ・蚊用の市販の殺虫剤(エアゾール)でじゅうぶんですし、土から出てくるアリを退治するのもホームセンターに売っているアリ退治でじゅうぶん。シロアリ用薬剤を使えばより強力に効くと勘違いしている人もいるそうですが、それは間違いです。

4つのケースを見る
その1
 リフォームしてすぐにアリが出た。
 基礎断熱材を巣にした被害である可能性は低いでしょう。この場合は「不快だ」というクレームです。誠実に対応することが解決策です。
 新築で同じクレームをもらったある住宅会社は、アリを採取して保健所に持ち込み、調べてもらった。そして「シロアリのような木材をダメにする食害はない」という回答をもってユーザー宅を訪問。この対応で信頼を回復したそうです。
その2
 2度も基礎断熱材をやられている。
 断熱改修のおりに基礎断熱材に巣を作られ、対策を打ったつもりだったが、またやられたという例。
 基礎断熱がアリにやられても、一般住宅ではなかなか気がつかないと思います。また、敷地の条件などもあるでしょうから、『こうすれば出て、こう対策したら出ない』と言いにくいのです。
 基礎断熱材はその固さなどからアリのお気に入りらしく、蟻道をつくったり巣にしたりする傾向があります。
 アリはすき間から侵入します。なので基礎の打ち込みに型枠代わりに使う場合はいいのですが、あと貼りのときは布基礎としっかり密着させてください。少しでもすき間があると、この例のように出てきます。
 打ち込み後は、できればメッシュを伏せてモルタルを下塗りします。こうすれば小口などから侵入される心配がかなり低下します。
その3
 外壁リフォームでサイディングをはがしたところ、透湿・防水シートに穴が開いて、そこにアリがいた。
 もっとも新しく今年2月25日号のQ&Aに掲載した例です。詳しくはバックナンバーを見ていただくか編集部へお問い合わせください。透湿・防水シートにアリが穴を開けた疑いは、アリは穴あけはあまり得意ではなくかなり低いそうです。
 対処としては、アリが這い出てきた部分に市販されているハエ退治用などの殺虫剤をスプレーして(シロアリ駆除剤ではありません)、テープで穴をふさぐだけでじゅうぶん。
その4
 リフォーム時に腐った木材に食害が見られた。
 この場合も難しいです。腐った木材は基礎断熱材と同じく巣にしたい固さのようで、穴を開けて巣にすることがあることは確かなようです。ただ、シロアリのように健康な木材をダメにするのではありません。つまり、順序として腐った木材があったからアリがきたのであって、アリが木材をダメにしたのではありません。
 札幌市保健所に取材すると、同じ事を説明されます。またホームページには食害の心配はないと書かれています。

終わりに-クレームになりやすい
 20100625_01_03.jpg今回、施主、賃貸住宅のオーナー、研究者、駆除業者、そして建築会社といろいろな立場の方の話を聞く機会がありました。この中で一番深刻だと感じたのは、アリが出るとクレームになりやすい、という点です。
 「アリが出た」という施主の訴えに対して、『そりゃ虫が出ることもありますヨ』的対応をすると、本当にクレーム化しかねません。まず、ユーザーは虫が大嫌い、という気持ちを理解した上で、先の例のように誠実に対応することが求められているようです。要するに、技術的に解明することを優先すると、ときに感情のもつれが大きくなるということのようです。

札幌市保健所の該当ページ
http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f3seikatu/f80mushi/


2010年06月05日号から

高性能住宅Q&A 731回 在来の気密と先張り簡略化3

安全性考え後施工も

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差し回りの先張りについては、前々回(4月25日号)で紹介しましたが、旭川など道北地域では、建て方の途中で2階の梁を落とし込む時に先張りシートを施工するのではなく、建て方が終わってから2階の床を張る前に先張りシートを後施工する工務店もよく見かけます。
 20100605_01_02.jpg先張りシートを後張りする理由は、大工の安全確保と先張りシートのちぎれ防止。梁の落とし込み時にシートを先張りする一般的な方法だと、風などで胴差しの上にシートがかぶさってしまった場合、大工がその上を歩いて足を滑らせてしまう危険性があります。特に雨や雪が降った時には、かなり足もとに注意する必要があると話す工務店さんもいるほど。
 また、海沿いの風が強い地域では、風であおられた先張りシートがちぎれてしまったり、最悪の場合、例え0・2mm厚のシートを使っていたとしても、そのままどこかに飛ばされてしまうこともあるようです。
 施工は、建て方終了後、軸組屋外側の構造用合板を張って窓も入ってから。2階の床下地合板を張る直前に、高さ50cm程度に切った防湿・気密シートを胴差回りにタッカーで留め、梁が当たる部分はY字に切込みを入れて落とし込み、梁の回りをテープ処理。
 梁との取り合いは、テープ処理だけだと将来的にテープが剥がれてくる心配もあるので、テープの上から細かくタッカーを打ったり、合板の切れ端など端材を打ち付けたりして押さえます。
 また、先張りシートのジョイント部分は柱などの木下地上で30cm程度の重ねを取ります。

通常の先張りと性能は変わらず

 この方法で施工している工務店の1社は、一般的な先張りと比べて気密性能の差はまったくないといい、気密測定で相当隙間面積=C値0.5cm2/m2を間違いなく切ることが可能とのこと。
 四角いプランで40坪程度の住宅であれば、大工は脚立を使って1~2時間程度で張り終えるので、慣れてしまえば一般的な先張りより施工もラクになります。


2010年05月15日号から

高性能住宅Q&A 730回 在来の気密と先張り簡略化

基礎精度upが重要
土台は意外に気密悪化の盲点

前回(4月25日)は胴差しまわりの先張りについて、「梁との接合部を避けて後張りするより、先張りした方が良い」ことを紹介しました。今回は土台まわりについて。
※第1回を見てみたい方は、「4月25日号も希望」と書き添えた上で試読紙をご請求ください。

 20100515_01_01.jpg省略されることも多い胴差しまわりに比べて、土台まわりは先張りシートが施工されているケースが多いように思います。そういう意味ではあまり問題がないのですが、基礎断熱した住宅で気密性能が思ったほど上がらない場合、原因の多くは土台周りにあるとも言われます。なぜでしょうか? そしてどうしたらよいのでしょうか。
 基礎天端と土台の気密化ですが、現在、大きく分けて3通りの手法があります。1.基礎打設時に布基礎と外側断熱材の間に防湿・気密シートを挟んでおき、打設後シートを立ち上げて基礎天端に被せその上に土台を乗せてさらにシートを立ち上げ、壁のシートと連続させる2.基礎打設後基礎天端にスポンジまたはゴム状の気密パッキンと防湿・気密シートが一体になった気密部材を敷き、その上に土台を乗せたあとシートを壁のシートと連続させる3. 1や2と同様の方法を使うが、防湿・気密シートではなく透湿・防水シートを使う。
 要注意のポイントは、使うシートによって土台の屋外側を回すか室内側かが違うという点です。シートを土台の屋外側から土台上へ立ち上げるときは、必ず透湿・防水シートを使います。防湿・気密シートを土台の屋外側に張ると、土台との間で結露する可能性があるからです。
 問題は、気密性能が意外に上がらない原因です。
 20100515_01_02.jpg基礎天端のレベルはプラスマイナス2~3mmの高い精度が必要です。床断熱の場合は多少の不陸をスペーサーで調節できますが、基礎断熱の場合はそれはできません。またパッキン材は大きな不陸を調節するほどの能力はありません。パッキン材はあくまでもヘアラインのような細い隙間を埋めるものと考えて下さい。
 20100515_01_03.jpgまた、パッキン材はスポンジ状と発泡ゴム状では特徴が異なるので、その点を十分理解して使わなければなりません。スポンジ状のパッキン材は厚さ10mmが主流、20mm厚もあります。5分の1に圧縮して使うのが原則ですが、腰が弱いためすぐ圧縮できる半面、働き幅が狭すぎる場合もあります。一方、発泡ゴム状のパッキン材はパイプを二本寝かせたような中空構造の製品が多く、腰が強く弾力性があるため働き幅は広いのですが、アンカーをあまり締めすぎるとパッキンの反発力で土台がねじれる場合もあります。
 基礎のレベル出しをどうするかは各社が頭を悩ましているところですが、1つはモルタル均しを行う前に高い部分を「削る」という手法、もう1つはセルフレベリングモルタルを使う方法です。高低差をパッキンで調整して、発生したすき間をウレタンで埋めるという方法もありますが、あまり新築に使うべきではないと思います。


2010年03月15日号から

高性能住宅Q&A 第728回

床下あると暖房費増える?

Q・・・気になり出したことがあります。基礎断熱した床下に、温水暖房配管を被覆なしで露出させていますが、こうすると暖房費が増えるのではないでしょうか?

A・・・北海道内では、基礎断熱した床下のコンクリート温度を保つことで夏型結露・カビを防ぐ方法として、温水暖房配管を被覆なしで床下に露出させるケースがあります。保温被覆材がないので配管からの放熱が期待できるワケですが、ラジエータ状に放熱を促進するものではありません。もともとその程度の放熱量でいいという考え方にたっています。ですから、床下暖房とは違います。
 床下はそれなりの気積があります。仮に高さ50cm、建坪60m2としたら、30m3の気積になります。
 床下のほか、天井ふところをなくして2階床をさらし天井とし、さらに三角屋根の小屋裏も利用したとしたら、床断熱、天井断熱、天井ふところのある住宅と比べ、室内はどのくらい広くなるでしょうか。
 延床面積に変わりがない天井高1・4m以下でも、部屋であることに変わりはありません。暖房空間内であれば暖房費もかかる計算になります。つまり、暖房空間は床面積ではなく室内の容積で見る必要があります。
 先の例で床下50cm、天井ふところ30cm、小屋裏5寸勾配として、その合計はおよそ90m3。これは天井高2・4mの部屋に換算すると38m2分に相当します。つまり、延床面積は総2階の120m2でも、実は160m2近い大きな家なのです。
 90m3の内訳を見てみると、約半分が小屋裏です。

20100315_02_01.jpg

〈続きは試読をご請求ください〉


2010年02月25日号から

高性能住宅Q&A 外壁をはがしたら黒アリ

殺虫剤散布でじゅうぶん

20100225_01_01.jpgQ・・・外壁リフォームを受注し、サイディングをはがしたところ、透湿・防水シートに穴が開いて、そこにアリがいたのです。どうしたらいいですか? シロアリ駆除剤を散布するとかは考えついたのですが、健康問題もありますし。アリがシートに穴を開けたのでしょうか?


20100225_01_02.jpgA・・・物件は札幌圏で、築15年の家だそうです。質問者は木造の現場管理者として、木材の腐り具合、雨水浸入の形跡、透湿・防水シートの強度については確認を終えたそうで、シートには強度低下は見られませんでした。また木材腐朽については、出窓との取り合い部に胴縁材の腐れが見られるほかは問題ないということでした。
 そこで編集部は、発見された「アリ」について、専門家である㈱青山プリザーブに取材してみました。
 同社では、「現場を見ないことには軽々しく結論は出せない」という前提の上で、次のような見方をしています。
 ▽シロアリではないという現場管理者の見立てはまず間違っていない。
 ▽普通のアリなら、小さなトビイロケアリ以外は大きな巣を作らない。
 ▽ほんとうは殺虫剤もいらないくらい。シロアリ駆除剤は必要ないし、使ってはいけない。

20100225_01_03.jpg アリが出てくると、「アリが木を腐らせた」とか「ほかにも腐っているところがあるはず」といった不安がよぎると思います。しかし、シロアリ以外の普通のアリは、木をダメにすることはありませんし、ほかの部位が腐っている証しでもありません。
 ただ、アリは湿ったところが好きなので、アリが出てきた場所が濡れているかも、という推測はできます。それとて、最近の調査ではカラカラに乾燥した室内の部位から出てくることもあるので、断定できないのです。
 要するに、普通のアリには家を腐らせるチカラも、シートを破るチカラもないのです。こういう虫を「不快虫」と言いますが、不快なだけで人間への害は確認されていません。
   *   *
 透湿・防水シートにアリが穴を開けた疑いはかなり低いのですが、もし開けたとしたらシートが弱っているのでしょう。アリは穴あけはあまり得意ではありません。
 対処としては、アリが這い出てきた部分に市販されているハエ退治用などの殺虫剤をスプレーして(シロアリ駆除剤ではありません)、テープで穴をふさぐだけでじゅうぶん。


2009年09月15日号から

暖房設備容量の計算2 電気ボイラー・森永エンジニアリング

高性能住宅Q&A

 A...電気暖房が増えるにつれ、暖房設備容量を把握する必要が出てきました。背景には灯油暖房とは異なり、容量に応じて基本料金がかかるという点があります。つまり適切なヒーター容量の電気ボイラーを設置しなければ無駄な電気料金を支払うことになってしまいます。
 ここでは初歩的な暖房設備容量の設定方法をそれぞれ発売元に説明してもらいました。
 第2回は電気ボイラーについて森永エンジニアリング(株)に聞きました。電気ボイラーは北海道電力(株)が設定する融雪用電力(ホットタイム22ロング)を利用して暖房します。本州の方からの問い合わせも多いのですが、22時間暖房で、一般的には通電カットとなる2時間を15分ずつに断続してON/OFFすること、その時間帯は冬場の電力負荷のピーク時間帯とすることで電力料金が割安になる料金契約が前提になっています。
 
パネルの選定などは灯油と同じ
20090915_02_01.jpg まず、温水セントラル暖房を行うに当たり、灯油熱源も電気熱源も違いはありません。熱負荷計算に基づいて設計を行います。当然、放熱器の選定・枚数も同じです。
 融雪用電力の場合、1日2時間の通電カットになりますが、そのことはボイラー容量や放熱器選定に影響を与えません。それは、建物の蓄熱効果や内部取得熱、当然のことながら住宅の断熱性能の高さがあるからです。
 エルパンナはもともと最大9.6kWのヒーターが内蔵されていますが、建物の暖房計算結果から適切なヒーター容量に調整して出荷しています。
 現在、ボイラーの容量設定については、暖房負荷の7割から9割、平均で8割というチョイスが多いと思います。つまり、暖房負荷が5kWのとき、ボイラー容量は4kWが平均ということになります。
 このとき、当社はΔtを室温22℃で見ていますので、札幌では31(deg)となります。
 ただし、市街地では立地によって日射の期待ができなかったり、北斜面などのケースもあり、そういう場合は多少の安全率をかけていくことになります。
 暖房負荷に対して100%のボイラー容量が必要ない理由は、24時間連続暖房していることと、建物の蓄熱効果です。それが10%程度なのか、30%減らしていいのかは、ケースバイケースで一概に言えない場合が多いのです。
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 電気ボイラーの容量を設定するための裏付け資料としてコンピューターによる非定常シミュレーションで検証をおこなっています。室温は外気温の変化や日射にどのくらい影響されるか、またそのことがボイラーの容量設定にどういった影響を及ぼすかを見るためです。
 シミュレーションによると、例えば外気温の変化が急激であっても、その影響はなだらかになります。理由は建物に熱容量があるから。また日中の日射の影響は夜間も続くことがわかりました。
 ボイラー容量については、札幌の最近のように最低気温がマイナス12~13℃程度で、それも年に1~2日という条件では、暖房負荷の60~70%でよいことになります。

暖房負荷:熱損失係数×床面積×設定内外温度差(Δt)
 
 
(写真...森永エンジニアリングのパネルヒーターと電気ボイラー)


2009年07月05日号から

換気低下5つの課題7/まとめ

高性能住宅Q&A

20090705_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。今回は最終回・まとめです。
 住宅用セントラル換気導入の歴史を見ると、始まりは「結露の解消」だったようです。
 20数年前、当時は在来木造よりもはるかに気密性が高かったツーバイフォー住宅では、暖かいけれども冬場の結露は深刻でした。原因は断熱性の低いアルミサッシ、開放型のストーブ、換気不足といった複合だったのですが、セントラル換気を導入すると見事に結露が解消したといいます。
 その威力に感心して、セントラル換気の導入が徐々に始まります。しかし、住宅会社には「結露を防止するための技術」つまりデメリットを解消するいわば"負の技術"と見る意識が残っていて、それを加速させたのが換気設備設置の義務化(2003年)だったのではないでしょうか。
 一方で「換気は人と建物の健康を守るプラス技術」と考えている住宅会社も少なくありません。
 換気はエンドユーザーの指名商品ではなく、多くの場合は住宅会社側の標準仕様商品です。ですから住宅会社側が換気をどう見ているかによって設備選択が変わってくるように思います。
 今回、10年以上経った住宅の換気を取り上げたのは、「空気環境をどうするかは、住宅会社次第だ」というエンドユーザーの声なき声を紹介したかったからです。
 取り組み方はいろいろあると思います。ただ、10数年後を考えなければいけないのは、本当は換気メーカーではなく住宅会社である、ということなのです。取材を通じて感じた取り組み方法を紹介します。
 1.良いものを選ぶ:換気能力に不安がなく、耐久性についても定評のあるシステムを設置する。しかし、良いものは得てして安くはない。
 2.性能も価格も納得できるものを選ぶ:換気能力に不安がなく、掃除しやすさにも配慮し、価格も納得の範囲内。しかしこういう製品は得てして耐久性が犠牲になっている場合がある。それをフォローするのは住宅会社側の「仕事づくり」でもある(連載⑤に掲載)。
 3.法をクリアする最低限の設備:カタログに「最低限」とは書かれていなくても、換気性能より手軽さと価格を最優先した商品も市場に出ている。発売元の資料に沿ってひと通りの説明をすると同時に、交換時期にフォローする。
 換気は住宅会社が選ぶ機能重視の設備です。場合によっては住み手の健康障害を引き起こすことがある一方、換気不良でもクレームにならないケースも多いでしょう。換気が問題になるのは、やはり結露という現象が現れたときかもしれません。(終)
 
(図...換気システムは人の呼吸と同じ)


2009年06月15日号から

換気低下5つの課題6/機能と価格をしっかり選ぶ

高性能住宅Q&A

 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。
 1号お休みして今回は、5つの課題をそのまま換気メーカーなどにぶつけてみました。
 回答いただいたのは、日本に住宅用セントラル換気システムを紹介し、その普及をリードしてきた輸入・発売元などで構成する日本輸入換気システム連盟の会員会社です。

1.掃除をすることで換気量はどのくらい回復するのか。
20090615_04_01.jpgA1.当社機器には定風量機能(差圧センサー)を搭載しており、圧力損失が高くなった場合はファンの回転数があがります。一定期間圧力損失があがると、フィルター交換サインが出ます。(日本スティーベル)
A2.まず、換気量の測定は、一般には5~10%程度の増減は誤差の範囲です。その理由は、1.電圧変動(±5~10%)2.数値の読み違い 3.外部風速による影響などです。
 スウェーデンでは、風量低下の研究はありました。それはファンの羽根の汚れによる能力低下の推移でした。ファンの羽根の汚れや、排気バルブ裏側の綿ぼこりを除去すれば風量低下は5%も起きないと考えます。ダクト内の汚れで風量が低下することは、弊社の過去28年間の経験でも問題は出ていません。
 ダクトの詰まりなどは、50φダクトやフィルター・防虫網などによるものがほとんどで、このようなものは使わなければ良いのです。過去、スウェーデンやカナダで直径75φ以下のダクトの検証が行われましたが、換気用としては不適とされています。日本で建築会社の要望だけに応じた安易な妥協で50φダクトを商品化するなどは自殺行為でしょう。(ディックス)
 
2.換気量が落ちていいのかどうか。
20090615_04_02.jpgA1.それはダメだといえます。ただ、換気量が減ってもすぐに生活に支障がでたり、健康に被害を及ぼすわけではありません。そこを考えると、必要換気量の定義を考え直す議論になっていく可能性はあると思います。ただこの時、どこまで減らせるかというような議論になってはいけません。(ガデリウス)
A2.施主が換気を理解していないことが問題です。寒いからと換気量を自ら落とす(止める)ケースの方が、メンテナンスを怠るよりも深刻。(ジェイベック)
A3.そもそも換気装置の設置時に0.5回が確保されていたのかの確認が必要です。測定方法が正しかったかどうかの検証とともに、第三者があとから測定する場合はとくに注意が必要です。(ディックス)
 
3.住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないのか。
20090615_04_03.jpgA1.弊社ではカタログや取扱説明書に明記しているほか、ユーザー登録を勧めており、登録いただければ案内できるようにしています。また、フィルター清掃タイプではコントロールボックスに清掃時期お知らせランプがつくようにしています。(日本住環境)
A2.教育の問題でもあります。小・中学校から住宅とその維持など住生活についての教育プログラムを導入すべきです。(ガデリウス)
 
4.換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか。
20090615_04_04.jpgA1.当社は住宅会社に部品を供給する会社で、自動車でいえばトヨタが住宅会社であれば我々は部品メーカーです。住宅会社は幅広い視野をもった上で真剣に住宅の耐久性を考えること、ときに部品メーカーの助言に耳を傾けることが必要と思います。(日本スティーベル)
A2.
過去30数年間建築業界で仕事をしてきましたが、この間に建築行政は何の進歩もないのではないか?と感じます。つまり、建築物の寿命がいまだに短く、建材や窓サッシなどの強度・耐久年数もむしろ短くなってきている例を多く見かけます。建築確認申請の一部である構造計算疑惑や樹脂サッシ防火認定の事件を見ても分かるとおり、建築行政の無責任さは目を覆うばかりです。製造実務や施工の実務の経験がない学識経験者や、責任をとらない役人機構が「書類での認定・審査」で手数料稼ぎをしている結果だと思います。将来を考えるなら、建築施工中や完成時に審査を「少なくとも抜き打ち的に数回は行うカナダ方式」のようなシステムをまずは実施すべきでしょう。「設計・施工・メンテナンスの民間実務経験者」を検査官主体としてです。少なくとも換気装置は現在の建物よりも長期実用に耐えると思いますから、先に行政機構を革新すべきでしょう。(ディックス)
A3.住宅会社は換気を天井裏に隠ぺい設置するのを止めるべきです。見えない→面倒→忘れる→壊れても気が付かないの悪循環です。(ジェイベック)
 
5.換気量はどのくらい落ちるものなのか。
A1.条件によってぜんぜん異なります。弊社でもダクト内の実態調査をしたことがありますが、100ミリ径では汚れている割に換気量はほとんど変わらない現実がありました。(日本住環境)


2009年05月25日号から

換気低下5つの課題5/耐久性が重要なワケ

高性能住宅Q&A

20090525_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回~4回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、落ちた換気量は回復するのか、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないか、などについてみてきました。
 1号お休みして今回は5つの課題の最後、換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか、という点について考えてみたいと思います。
 多少、背景を説明したいと思います。換気システムが普及しはじめた当初、「A製品は風量を確保できるがB製品は風量が少ない」ということがありました。なぜ風量が少ないことがわかったかといえば、北海道のような寒冷地で住宅の気密性が高いと、換気不足で結露が起きるからです。
 その後、換気設備の設置が義務化され、ひどい換気不足が起きる例は少なくなりました。それは義務化のよい面だと思います。ところが義務化によって換気を選ぶ際のポイントは性能から価格に変わってしまいました。"基準をクリアできる性能でいかに安いか"。これが命題となったため、多くの換気メーカーは「性能クリア、かつ価格引き下げ」が開発目標になってしまったのです。
 もちろん技術革新によって改良が実現した部分もあるとされています。省電力技術などです。しかし、もともとハイテクではない換気システムにとって、技術革新はそうないといわれています。ではコストダウンはどう実現したか。耐久性は犠牲にされていないか。そうだとしたら住宅会社はどう対応したらよいか。
 また、機械そのものの耐久性が高くても交換部品がなくなることで、10数年後に事実上、使えない換気になりかねないケースもあります。
(図...換気の課題~解決への一例)
 
 前書きが長くなったのは意味があります。というのは、「耐久性が犠牲になっている可能性」や「交換部品がないため10数年後には使えない換気になりかねない」といったことを、住宅会社側が知っておくべきだと思ったからです。
 受注競争が激しい中で、換気の原価を引き上げることは難しいかもしれません。しかし、寒冷地において換気はクレームと密接にかかわる大切な機能です。
 換気が悪くなると結露するのは、高気密住宅の宿命です。だから、住宅販売側として換気性能が長期にわたって維持されていることが大切なのだと思います。
 20数年前からA社の機械換気を標準で装備している工務店社長に何となく「どうしてずっと標準装備しているのか、なぜA社なのか?」と尋ねたことがあります。その答えは、「確実に換気量が確保される、施工後にクレームで呼びつけられない」でした。
 定期点検の実施によって、こういう問題は避けられるかもしれません。その点検を実施するための原資(人件費)は、点検によるリフォームの掘り起こしによって出てくるかもしれません。この機会に検討してみてください。
 
 次回はこれまで見てきた5つの課題をそのまま換気メーカーなどにぶつけてみました。その答えです。


2009年05月05日号から

換気低下5つの課題4/ご主人に説明する

高性能住宅Q&A

20090505_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、2回目は落ちた換気量は回復するのか、3回目の前回は換気量が落ちていいのかどうかという点をまとめました。
 今回は、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないか、です。せめて1年に1回でもやってもらえばゴミつまりをかなり防げるかもしれません。
 この問題はシステムの性能ではないけれど重要な機能だと思います。
 換気システムの本体はどこに設置されていますか? 壁の上部、または天井裏というケースが多いと思います。給気レジスターや排気グリルは壁の上部ですね。いずれも女性では手が届きにくい、作業がしにくい場所にあります。換気システムの掃除は男性の仕事であると想像したほうが良さそうです。
 そのつもりで、この件は奥さまではなくご主人に説明することがポイントになります。ご主人に話す際に数値を示して『掃除しないと*%換気量が減ります』という説明をしておくと、男心に響きやすいと思います。
 本体ファンの掃除しやすさは商品によって異なるので、住宅会社側がシステム選択時に検討しておくべきポイントです。掃除しやすさはオーナーが実際にちゃんと掃除してくれるかどうかに影響するはずです。
 
(写真...掃除しやすさは重要な性能)


2009年04月25日号から

換気低下5つの課題3/数年後も風量維持

高性能住宅Q&A

 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。第1回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するか、2回目の前回は落ちた換気量は回復するのかをまとめました。
 今回は、換気量が落ちていいのかどうかという点から。ダメだというのは正しい答えですが、住み手に健康問題がなければいいのか、それともそうではないのか。
 換気量が落ちていいかどうか、という議論の前に、住み手のなかには換気の運転スイッチを止めてしまい、その状態で生活して特に不自由を感じていない実態が一部にあります。室内空気の汚染は人の健康にとって大きな問題ですが、一方で多くの人にとっては特に問題がないことも事実です。
 思い出してください。シックハウスが問題になったとき、体調が悪化するのは気のせいだとか、家とは関係ないとかいう意見もありました。それは、個人差なく健康被害が出る中毒症とは違い、同じ空気を吸っても体調が崩れる人もいれば平気な人もいて、むしろ平気な人のほうが多いからです(もちろん将来のことはわかりませんが)。
 
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(図...換気回数の相違によるホルムアルデヒド濃度(出典:第8回北海道住宅新聞 寒地住宅学校テキスト集から北見工大坂本弘志教授(当時)の講演資料)改正建築基準法施行前の測定だが、換気量が変わると空気汚染物質がどのくらい増減するかがよくわかる) 
 
 法律はどうなっているでしょうか。
 建築基準法では機械換気の設置を義務化しており、換気回数は一般には0.5回/h以上です。[何年間、この換気量を維持しろ]と書かれてはいませんが、[そのうち換気量を減らしてもいい]とも書かれていません。つまり建築後について何も書かれていないのです。
 法律の趣旨はシックハウスを防ぐことであり、その目安は厚生労働省が示している指針値ですから、ホルムアルデヒドが安定して0.08ppmを下回るなら、換気は多少減っていいとも言えます。多少というのは、建材から放散されるホルムアルデヒドなどは収まっても、人がいることで発生する炭酸ガスなどや、カビ・ダニの問題もあるからです。
 ㈲北欧住宅研究所・川本清司所長は「換気回数が0.4回/hになると、夫婦2人の寝室などでは炭酸ガス濃度が1000ppmを超えかねない。1000ppmを超えるとあまりよくないのは自分の経験からも言える。ひと1人に必要な空気は、動いているときに30m3/h、静止しているときに20m3/hというのはじつに正しい」としています。
 『換気はシックハウス対策のためだけにおこなうのではない』
 このことをいま一度、思い出す必要がありそうです。ただしホンネベースでは、数年たったら多少減らしてもいいという面もあります。


2009年04月15日号から

換気低下5つの課題2/掃除で換気量回復

高性能住宅Q&A

20090415_02_01.jpg 掃除せずに放置していたら換気量が低下したという築10数年の住宅を目の当たりにして、住宅会社はどのような対応ができるか。前回は掃除せずに1、2年放置するとどのくらい換気量が低下するかをまとめました。
 それによると、禁煙4人家族で1年に10~13%、2年で15~18%低下するというのが(有)北欧住宅研究所・川本清司所長の所見でした。
 では落ちた換気量は回復するのか。
 東北大学の吉野博教授を中心とする研究グループは、換気システムの清掃前と後でどのくらい換気量が違うかを測定し、発表しています。
 それによると、熱交換換気、第三種換気、個別換気の12戸の住宅のうち、7戸が掃除によって風量が回復しました。このほか3戸は風量が変わりませんでしたが、そのうち1戸は定期的に掃除していた、1戸はダクト設計に問題があり掃除では回復しそうにない、1戸は外排気フードに問題がありそう―という結果で、掃除によっておおむね換気量は回復すると言えそうです。
 前出川本氏は竣工時の換気量がわかっている第三種換気について、ファン本体、給気レジスターのフィルター、排気グリル、場合によっては外排気フード、そしてダクトは排気グリルから最初の曲がりまで手を突っ込んでゴミをかき出すことで、換気量はほぼ竣工時と同じまで回復すると言います。
 ただし、ダクトについては要注意です。
 まず、ダクト径が小さいと汚れの付着による換気量低下への影響が大きくなります。川本氏は「できれば100ミリφを」と主張しています。
 もう1点は、ダクト掃除を行うときの注意点です。第三種換気の場合は排気グリルから最初の曲がりまで手を突っ込んで掃除することでいいようですが、第一種換気の給気側はそうもいかない場合があるでしょう。
 北海学園大学の佐々木博明教授を中心とする研究グループは「住宅用換気システムのメンテナンスの研究」と題する一連の研究の中で、フレキダクトは突起部に付着したゴミが成長するため、管の内面が平滑なスパイラル管の普及が望まれるとしています。
 施工性と同時に掃除のことも考えると、配管径はできるだけ太くした上でしっかりとした施工により結束部分の脱落などがないようにし、手を突っ込んで掃除することを事前に想定しておくことがベターと言えそうです。
 
(写真...竣工後およそ3年を経過した住宅のスパイラルダクト内の汚れ。すぐの90度曲がりにフリース状のゴミがついているが、部分的には管材の内表面も見える。スパイラル管は汚れがつきにくい)


2009年04月05日号から

換気低下5つの課題1/1年で10%程度低下

高性能住宅Q&A

Q...築10年近く経過した住宅の点検におじゃまして、換気不良に気がつきました。お客さまは自宅の空気に慣れているので何も感じないようですが、においがこもり、測定するまでもなく換気不足は明らかでした。
 お客さまが掃除をしてくれたらここまでひどくならなかったと思うのですが、そうでなくてもある程度の換気が確保される住宅であってほしいという気持ちもあります。
 第三種のセントラル換気でこうですから...。
A...ご質問というより、課題をいただいた気分で、いろいろ調べてみました。
20090405_01_01.jpg 以前から、築年数が経つと換気量が落ちるというのは経験的にわかっていたことですし、実際に穴が詰まるほどのゴミが付着していて、掃除したらかなり回復した、という例もあります。しかし、そこで、掃除をすることでどのくらい回復するのか。これが第一の課題です。
 第二に、換気量が落ちていいのかどうかという点です。ダメだというのは正しい答えですが、住み手に健康問題がなければいいのか、それともそうではないのか。
 第三に、住み手に年に1、2度は掃除してもらう方法はないのか。せめて1年に1回でもやってもらえばゴミつまりをかなり防げるかもしれません。
 第四に換気メーカーは10年後を考えて商品を提供しているか、という点です。実際にはローコスト要請が強く、耐久性や掃除しやすさを犠牲にせざるを得ないとしたら、住宅会社側はどうすべきでしょうか。
 そもそも、換気量はどのくらい落ちるものなのか。公式はないにしても、一例をおさえておく必要はありそうです。これが第五の課題。
(写真...排気グリルの裏側に付着したフリースのような汚れ。これがダクト内の表面にも付着している)
*   *
 札幌でセントラル換気システムの設計などコンサルティング活動を行っている(有)北欧住宅研究所・川本清司所長は、これまでの調査からだいたい次のような傾向があると言います。
 4人家族で1年掃除しないと、10~13%、2年掃除しないと15~18%程度、換気量が低下する。
 2人家族だと1年掃除なしで5%程度の低下。
 以上は禁煙家庭の場合。喫煙者がいる場合、4人家族で1年間掃除しないと15%程度も低下します。
 住宅の面積は36~45坪程度、つまり標準的な広さで、減り方の違いは家族数と喫煙者の有無で決まります。


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