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2016年02月05日号から

札幌版次世代基準改定、4月からスタンダードに80万円

2016年2月5日号の読みどころ

20160205_1men.jpgインターネットを活用して、スマートフォンから住宅設備を制御する暮らしの革新が始まっている。暖冷房・給湯・照明の制御、玄関ドアの施錠・解錠はすでに商品化されている。大切なのは、これからの住宅取得世代が、こういった技術に親しんで育った世代であり、避けて通れない提案内容のひとつになってくる可能性が高い点だ。スマート設備と呼ばれる次世代住宅設備をまとめた。


札幌版次世代住宅基準が4月から改定される。改訂の大きなポイントは補助金額の変更だ。ベーシックが30 万円、スタンダードが80 万円、ハイは150万円、トップランナーだけはこれまで通り200 万円。20160205_3men.png

YKKAPの大開口片引きテラス戸発売など、ニュースが多い紙面だ。


2016年01月25日号から

北海道3万4千戸、全国97万戸.2016年新設住宅着工予測

2016年1月25日号の読みどころ

160125.jpg9月末まで消費税率アップ前の駆け込み需要が予測される今年。駆け込みは前回と同じくらいあるか、反動減はどうか。
今年についてはシンクタンクなどが発表する予測が同じ傾向にある。かたい線で進みそうだが、問題は2017年ということになりそうだ。

補正予算に盛り込まれた3世代同居への補助の概要や、ZEH(ゼッチ)に対応する家づくりなど、今年のキーワードが紙面に並ぶ。


2014年09月25日号から

建材価格ジワリ上昇 クロスや圧送料金も一部値上がり 道内建材価格動向

 建材価格が今年に入って一部で上昇している。円安の進行で原材料に値上がり傾向が見られること、アベノミクスの浸透で人件費を上げようとする施工業者が出てきていることなどが原因と思われる。
 たとえば、室内クロスの材工価格は長年価格が安定していたが、帯広では「今年に入って値上げ要請があり500番台では30円値上がりして630円に」、札幌では「1000番台が100円上がって930円に」など値上がり始めた。生コンの圧送料金も札幌で「今年に入って2000円上がり2万8000円に」という声や、帯広では「10年以上同価格だったのが今年5000円上がって3万円に」など上昇している。
 板金は今年に入って価格は落ち着きを見せていたが、夏頃から値上げ要請があり、札幌の一部工務店では100円アップ、道東でも3%アップなど小幅な値上げとなった。
 生コンはこれまで相対的に割安だった帯広で値上げ要請があり、「3000円値上がり予定」「値上がり幅は未定だが確実に上がる」という声が出ている。さらに、帯広では黒庭土なども値上がりし、1m3あたり5000円台になっている。
 合板は、札幌では値上がりが続いている。特に24mm厚シナ合板の4×8サイズは、「5月に350円上がって6240円に」、「530円上がって6690円に」など値上げ幅が大きい。構造用合板は各地域で値上がりが見られ、札幌では「春先に200円上がって12mmの3×6が1400円になった」、帯広でも「200円近く上がって9.5mmの4×8が1700円に」など、値上がりが続く。JAS品のコンパネも1200円前後と数年前の1000円以下から大きく上昇している。
 一方で根太レス合板については価格の上昇は止まり、落ち着きを見せている。
 軸組の構造材は、今年に入って落ち着いていたが札幌で「夏に2000円値上げ」など、一部値上がりしている。2×4材は各地とも値段は高止まりしているが、帯広では「秋から値上げの通知が来た」とさらなる値上げが予想される。防腐土台も値上がり傾向で、軸組用は札幌でも一部で3000円を突破。他地域でも同様の動きを見せている。
 石こうボードは、昨年から今年にかけて全地域とも概ね20円程度の値上がりとなったが、札幌では夏から秋にかけて10~20円程度値下がりしたところがあり、値上げが完全に浸透していないようだ。
 断熱材では、グラスウールは春先に各地とも200~400円程度値上がりした。押出発泡板は当社の調査結果からは値上がりしていないが、メーカーでは値上げを発表しており、今後値上がりが予想される。
 このほか、金物、接着剤関連は各地とも値動きはほとんどなく、落ち着いている。


2014年07月25日号から

長野県 「見える化」で省エネ推進 住宅購入時に省エネ性能の説明義務化

20140725_2_1.jpg 長野県は、住宅の省エネルギー化を誘導する画期的な制度を開始した。
住宅・建築物の新築や増改築を行う場合、施工業者にCASBEEやQPexなどで評価した環境性能の説明を義務付けた「建築物環境エネルギー性能検討制度」と、同じく施工業者に自然エネルギー利用設備の導入効果について説明を義務付けた「自然エネルギー導入検討制度」を、同県の地球温暖化対策条例に盛り込み、今年4月から施行。現在は床面積300m2以上の建物が対象で、戸建住宅など同300m2未満の建物も来年4月から対象になる。

 同県では、2006年3月に制定した地球温暖化対策条例を昨年3月に大幅改正。県民が住宅・建築物を新築・増改築する時に、より省エネルギー性の高い建物を選択できるようにするためには、省エネ性能の「見える化」が必要と判断し、新たな2つの制度を導入した。一次エネルギー消費量や、灯油や電気といった二次エネルギーの消費量などを設計が終わった段階でユーザーに示すことで、省エネについて考える機会を着工前にユーザーに与え、省エネ化を誘導しようという狙いだ。

 「建築物環境エネルギー性能検討制度」は、住宅の設計・施工の請負や販売を行う事業者が、建物のエネルギー消費量やCO2排出量、環境配慮措置などについて評価した結果を、ユーザーやオーナーなどの建築主にわかりやすく説明することを義務付けている。評価にあたっては、国の環境性能評価システム・CASBEE、NPO新住協のQPex、(一社)エネルギーパス協会の燃費表示・エネルギーパス、改正省エネ基準(H25基準)の一次エネルギー消費量計算プログラムのいずれかを利用。クリアしなければならない性能水準等は特に設けていない。
 「自然エネルギー導入検討制度」は、建設地の気候風土や建物の規模に応じて、どのような自然エネルギー設備を採用すると効果的か、採用による費用対効果はどのくらいなのかを、建築主に説明することを義務付けている。最終的に自然エネルギー利用設備を採用するかどうかは、建築主の判断となる。

 この2つの制度について、長野の住宅関連業者の反応は「余計なことをしてくれる」と後ろ向きな設計事務所がある一方、「条例によって各社の住宅の性能を同じ土俵で比較できるようになるのは、お客様にとってメリットのあることだと思う。特に省エネ化を進めるうえで最も大切な断熱性能に関心を持ってもらえれば」(北信商建・相澤英晴社長)と、前向きに捉える住宅会社もある。「見える化」が義務になるだけに、300m2未満の物件でも制度が始まる来年4月へ向けて、これから関心が高まりそうだ。

 同県建設部建築住宅課は「この2つの制度は、施工業者側からより高い省エネ性能を持つ住宅・建築物の建設を、県民に促すことが狙いの一つ。これらの制度について、施工業者向けには昨年度18回の講習を行い、延べ900名を超える受講者を数えたが、今後は一般県民への制度周知にも力を入れていきたい」と話している。

[画像] 長野県が目指す住宅のイメージ(長野県環境エネルギー戦略の資料)


2014年06月15日号から

道建築技術協会 寒冷地対応の太陽熱温水器提案 道内での普及目指しセミナー

20140615_2_1.jpg 太陽光発電より効率に優れる太陽熱給湯を道内で普及させようと、(一社)北海道建築技術協会では去る3日にセミナー「積雪寒冷地における太陽熱温水器の導入方策と効果」を札幌市内で開催。同協会副会長の鈴木憲三氏を始め4名の講師が、最近の太陽熱温水器の技術動向や、積雪寒冷地に適した太陽熱給湯器の仕様などについて講演を行った。
 セミナーでは始めに同協会・鈴木副会長が「太陽熱温水器の利点と課題」と題して講演。「主な太陽熱給湯器メーカーは関東より西にあり、寒冷地で製品を開発・販売する意識があまりない。そのため道内で太陽熱給湯器の普及を図るには、当協会や道内の住宅業界関係者らが積極的に動くことが必要。普及すれば工務店はユーザーに対して、省エネの新たな提案が可能になり、設備業者も新たな事業展開につながる」と、今回のセミナーの主旨を説明した。
 続いて矢崎エナジーシステム(株)の相曽一浩氏が「太陽熱利用機器の最近の技術」、さっぽろエコメンバー登録事業者で西澤設備工業の西澤正人氏が「真空管式太陽熱温水器の紹介」をテーマに講演。相曽氏は道内での普及課題である冬期の利用効率について、「北総研での実験では、太陽熱パネルを壁面に垂直設置すると冬期でも30℃以上の温水を作ることができ、給湯負荷の35%程度はカバーできることがわかった。釧路でもエコキュートと組み合わせたシステムを実験したところ、冬期は給湯負荷の多くをエコキュートでまかなっていたものの、COP(成績係数)で見ると、太陽熱パネルは3〜4程度とエコキュートの2を上回り、寒冷地でも結構使えるという感触を得た」と報告。
 また、西澤氏は「道内での集熱効率を考えると、集熱部が真空層の二重ガラスになっている真空管式が有利。真空管式でもヒートパイプを使うものと、複合パラボラ反射板で集熱効率を高めたCPCタイプと呼ばれるものがあるが、ヒートパイプを使う製品はバルコニーや地上への設置も可能。積雪寒冷地でも庭先に設置し、雪を落としながら使うと、屋根設置より効率がいい」と、タイプ別に製品の特徴を紹介した。

壁付けタイプの実証試験も計画中

 最後にエス・ティ総合研究所の高村慎介氏が、「積雪寒冷地向け太陽熱温水器の提案」と題し、同協会が道の補助事業に申請している「寒冷地対応型太陽熱温水器」の実証試験について報告した。
 積雪の影響を避けるために集熱パネルを外壁面に4㎡設置し、室内に設置した200リットルの貯湯タンクとの間で不凍液を強制循環させてお湯を作るシステムを、エコキュートと組み合わせて利用する計画。コストは工事費込みで60万円以内を見込む。道の補助事業に採択されればモニター住宅を3軒募集して設置し、集熱量や経済性、利便性などを1年間調査する。
 高村氏は「試算によると、年間集熱量は灯油換算で札幌では290リットル、帯広では350リットルになり、給湯エネルギーの7〜8割を削減できる。また、全道220万世帯に設置すれば、家庭のエネルギー消費量を灯油換算で84万キロリットル、CO2排出量を200万t、それぞれ削減できる」と、高い効果が得られることを強調した。


2014年06月15日号から

20日札幌、21日帯広で西郷氏 ルームエアコンの長短所わかりやすく

20140615_3_1.jpg 本紙は日本スティーベル(株)との共催で、5月20日札幌、21日帯広で「省エネ住宅・設備セミナー2014」を開催。両会場とも多くの参加者が講師の話に耳を傾けた。電気料金など燃料の値上げのなかで、高断熱住宅の設備と提案方法について、講師の西郷徹也氏が解説した。概要は以下の通り。
 省エネ性能面ではルームエアコンがとても優れている。例えば、2.2kW(6畳用)タイプの暖房時定格出力は400Wあまり。これは、テレビ・冷蔵庫・温水暖房便座の合計と変わらない消費電力だ。また、価格が安いことも魅力。
 ただ、弱点として、暖房エリアが限られ、快適性で厳しい面がある。空気で熱を運ぶため、風が当たると不快だったり、熱を遠くまで運ぶことができないという弱点をどう補うか。
 これまでの検証から、断熱住宅ならこれらの欠点を抑えられることがわかっている。ルームエアコンを全室暖房用に24時間運転すれば、断熱住宅なら暖かさをじゅうぶん維持できる。
 エアコンを補足する技術としては、建物に蓄熱容量を持たせること、そして薄いエネルギーで輻射暖房をする床暖房などと組み合わせる方法がいい。
 エアコン暖房する場合は、家の暖房負荷を小さくするために熱交換換気を導入するほうがよい。注意したいのは、熱交換換気を通らない自然漏気による熱損失を抑えることだ。住宅の気密性能が最低でもC値で1.0以上あること、給気側と排気側の換気量を同じにすることだ。
 気密性能が重要なのは、いうまでもなくすき間換気を減らすためだ。同じ理由で、配管の圧損抵抗が大きくなりやすい給気側の換気量が低下すると、すき間からの自然給気が増えてしまい、結果として熱ロスが増える。給気・排気ともに同じ風量を維持する機能を持ったシステムを選ぶべきだ。
 最後に熱交換素子を凍結から守るデフロスト(氷結防止)運転だが、0℃以下になる寒冷地では、どんな熱交換器でもデフロスト運転が行われる。ただ、その方式には数通りのやり方があり、現時点ではどの方式が優れているとは言えないので、ビルダー側がその特徴を理解して選ぶ必要がある。
 講演の後には共催した日本スティーベル(株)と協賛メーカーの日立アプライアンス(株)が最新の製品情報をプレゼンテーションした。


2014年06月05日号から

健康・省エネ道協議会で慶大伊香賀教授 高齢者ほど室温低下で血圧上昇 断熱化で家庭内事故死を減らせる

20140605_1_1.jpg 断熱住宅の効能を快適・省エネ性だけでなく、健康維持・改善効果にまで広げていこうと北海道で取り組みはじめた健康・省エネ住宅推進北海道協議会(牧泰昌会長)は先月17日、札幌で慶応大学伊香賀俊治教授を迎えてスマートウェルネス住宅の勉強会を開いた。
 伊香賀教授は、住宅の断熱性を改善することで住宅内での不慮の事故死を減らし、医療費や介護保険料を抑えることができるはず、という視点でこれから証拠を積み重ね国政に反映させたいとした上で、以下のように語った。
 日本の交通事故死は半分に減ったが、家庭内の事故死は増え続けており、溺死と転倒・転落だけで交通事故の死者数を上回る。
 溺死は浴室で起きており、高齢者ほど死者が多く、寒いほど死者が増える。また、転倒・転落は、冬季に寒さで歩行数が減ることが原因ではないかといわれており、どちらも寒くない家に変えることで死者数を減らせるはずだ。
 寒い時期に循環器系の疾患で亡くなる人が多く、外気温と「心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患」のいわゆる3疾患の死亡率は関連していることが、海外でも発表されている。
 ところが、3疾患死亡率が高いのは、日本では四国、東海、中国の各地方であり、ヨーロッパではスペイン、ポルトガル、イギリスだ。逆に死亡率が低いのは、日本では北海道、ヨーロッパでは北欧諸国で、これらは室内の断熱と暖房の環境と深い関係があるとみられている。
 イギリスは、この調査結果を重く見て、循環器系疾患のリスクが高い環境で暮らしていることを国民が知らない現状を改善するため、広く国民に広報し、リスクを評価した上で最終的には強制力を持って住宅環境を改善する取り組みをはじめた。
 日本でも、断熱住宅に移ることで血圧がどう変化するかの調査を行っている。若いころに一軒家を取得し、住み続けて60代、70代になると、寒さによる血圧上昇とそれによる疾患のリスクが高まるが、そのことに居住者が気がついていない。そのことがいちばんの問題だ。高知県での冬の調査では、自宅での起床時より断熱されたモデルハウスでの起床時の血圧が6mmHg下がっている。
 北海道は日本で唯一、住環境がいい地域。古い住宅から断熱改修した住宅に移り住んだ住民の健康を調査し、断熱住宅が健康に良いことをぜひデータとして集めてほしい。

[写真]
講演する伊香賀教授

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室温が10℃下がると高齢者ほど血圧が上がる。これが循環器系の疾病の引き金になるという


2014年05月15日号から

岩手・すまい環境プランニング 日本中に気密化技術を伝えたい

20140515_1_1.jpg 日本全国を対象に、断熱・気密のノウハウを伝える活動を続ける男たちがいる。岩手県滝沢市の「すまい環境プランニング」古川繁宏代表とアドバイザーの昆寛氏だ。
 外張り断熱工法や充てん断熱工法など、いろいろな断熱工法に20年以上も前から取り組み、それぞれの特徴やコストをわかった上で、結露発生で悩んだり断熱工法の導入に真剣な会社に対して技術指導し、最終的には会社ごとにオリジナルの断熱・気密施工マニュアルを提供する。
 熱計算で試算した断熱性能や暖房エネルギー消費を達成するためには、断熱・気密施工がしっかり行われている必要がある。北海道ではそのための工法改良が30年ほど前から実を結びはじめ、計算通りの断熱性能が実現するようになったが、施工技術の普及には20年ほどの時間を要した。
 本州では北海道と同時期に断熱工法に取り組んだビルダーや設計事務所もあるが、全体としてはこれから工法普及期に入ろうとしている。そういった中で、断熱・気密工法のディテールを伝えられる人材はまだまだ足りない。熱損失計算や暖房負荷計算ができても、それを実現する現場ディテールと職人の手腕が伴わなければ、断熱住宅は完成しない。

ノウハウを施工マニュアルで提供

20140515_1_2.jpg 取材を進めるうちに、古川氏はA4判のぶ厚い資料を抱えて戻って来た。ある会社に提供する予定の「高性能住宅施工マニュアル」だ。矩計やディテール、特に注意すべき点の添え書き、内部結露判定、熱計算など、マニュアルは全部で92ページにも及ぶ。
 ビルダーに対して、まず工程会議の開催を依頼する。工程会議ではマニュアルを説明したうえで、現場で大工さんと話し合いながら、やりにくい部分はマニュアルを書き直し、使いやすいマニュアルに仕上げていく。
 このやり方で最初の断熱・気密住宅を建てると、気密性能はC値でおよそ0.5程度になる。その後2~3棟建てると、説明しなくてもやれるようになる。新しい職人が入るたびにこれを繰り返せば、現場は常にミスなく進む。もちろん、断熱改修も重要な業務の1つだ。
 ここまでやるのは、2人の苦い過去の経験があるからだ。
 住宅会社勤めだったころ、現場が対応しきれずに気密性能が上がらず、夢のマイホームが欠陥で泣いているユーザーを見てきた。しかし、会社の指示がない限り、改修工事をすることができない。そのときの罪悪感が消えない。技術者として間違いない現場を提供したい、という思いをいまの仕事につなげている。
 古川代表は「ブログで無料相談を始めてから、全国から仕事の依頼が来るようになった。ボクたちの仕事は断熱・気密工法を覚えてもらうまで。気密化が難しいと思い込んでいる人が多いが、覚えた会社は何の抵抗もなくやれる場合がほとんど。素晴らしい住環境の家を提供することをクライアントとの共通目標に据え、いっしょにがんばっていきたい」と語っている。
 問い合わせは、メールなどで。
qqmz69c9@herb.ocn.ne.jp 携帯電話090-1498-1336(古川氏)

[写真]
現場で大工さんと監督に納めについて説明する古川代表(左)

[画像]
マニュアルの一部・土台回りのディテール


2014年04月25日号から

2014年度・保存版 道内自治体の住宅系補助金


定住促進を目的とした補助金は相変わらず多く、今年度は帯広のような中核都市で予算枠を倍増したり、札幌のとなりにある北広島市が新たに制度を始めるなど新しい動きが見えた。

今回は4月25日号前半の特集部分をpdfで提供します。
ダウンロードしてご覧ください。

また、本紙電子版もスタートしています。
ご希望の方は以下のページから伝言欄に「電子版も希望」とご記入の上、試読紙をお申し込みください
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2014年04月15日号から

国交省が指針策定 中古戸建ての評価改善へ リフォームなどの内容も反映

20140415_2_1.jpg 一般的に築後20〜25年で市場価値ゼロと見なされてしまう中古戸建て住宅の評価手法を改善するため、このほど国土交通省では「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定。基礎・躯体は性能に応じて20年を超える耐用年数を設定できることと、適切な維持管理やリフォームを評価に反映できることが大きなポイントとなっている。
 これまで中古戸建て住宅の評価は、主に原価法が用いられてきた。原価法は、評価する住宅を現在もう一度建てる時にかかる費用(再調達原価)を割り出し、その金額から築後の経過年数による価値の低下を減額(減価修正)して現在の評価額を推定するが、現状で戸建て住宅は築後20〜25年で建物価値をゼロとみなすことが一般的。そのため、建物の性能やリフォーム・リノベーションによる価値の向上が評価に反映されにくく、中古住宅流通の活性化を妨げる要因になっていた。
 国交省では、躯体性能や内外装・設備のリフォーム、適切な維持管理による建物の価値向上を評価に反映できるよう、検討委員会を立ち上げ、昨年8月から5回にわたって会合を開き、原価法による評価のあり方と改善策を検討。その結果をまとめたのが今回の指針だ。

劣化なければ築後経過年数を短縮

 指針では、インスペクションによって住宅の状態や使用価値を把握したうえで、減価修正を行うことを基本とし、住宅を大きく「基礎・躯体」と「内外装・設備」に分類。このうち基礎・躯体については、適切な防水・防湿処理や防蟻処理が行われていて、腐朽や蟻害が発生していなければ、長期間にわたって性能を維持することができると見なす。
 具体的には、性能表示の劣化対策等級2相当に適合する場合は耐用年数50〜60年程度、同等級3に適合する場合は同75〜90年程度、長期優良住宅の認定を受けた住宅は同100年程度とし、原価法で用いる築後経過年数は、インスペクション(現況検査)で確認した劣化状況に応じて設定する。
 例えば築20年の住宅でも、インスペクションによって劣化が進行していないと確認された場合には、評価上の築後経過年数を20年未満に設定することができ、劣化部分があっても、補修・交換を行えば、築後経過年数を短縮できる。
 内外装・設備については、経年によってほぼ一律に減価されるものの、新築時と同等の機能を持つ内外装・設備に更新するのであれば、その使用価値は100%回復、つまり新築並みと見なすことができる。

耐震・省エネの評価は今後の検討課題

 今後国交省では、この指針による評価手法の定着へ向けて、宅建業者と不動産鑑定士が使う評価ツール・実務指針の作成や、ユーザーがわかりやすい評価結果の表示方法などの検討を進めるとともに、不動産取引実務・金融実務の関係者とも議論を継続していく。
 なお、使用価値を左右する要因としては、耐震性や省エネ性などもあるが、これらを適切に評価に反映する方法は、今後の検討課題としている。


2014年04月05日号から

消費財8% 住宅購入への影響を試算

20140405_01_1.jpg この4月から消費税率が5%から8%に引き上げられた。住宅購入で3%の違いは大きく、工事費2000万円なら60万円の負担増。厚生年金保険や住民税の増加などで可処分所得の減少も見込まれる中、住宅取得における消費増税の影響とその緩和策について考えてみた。

続きは、以下のページから伝言欄に「4月5日号の見本も希望」とご記入の上、試読紙をお申し込みください。
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2014年03月05日号から

熱気あふれる会場 地中熱HPセミナーに120人

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 北海道電力㈱札幌支店とNPO法人地中熱利用促進協会が共催した「一般住宅向け地中熱利用ヒートポンプセミナー」が2月19日、札幌市内で開かれ、120名が参加して会場は満席となった。

 セミナーはまず、地中熱ヒートポンプ研究の第一人者である北海道大学大学院の長野克則教授が「地中熱利用ヒートポンプの現状と可能性について」講演した。

 長野教授によると、経済性、安全性、信頼性などを考えると、年間平均COPが高い地中熱ヒートポンプは有利な選択だ。
 北海道は地中熱ヒートポンプの先進地であり、サンポット㈱の資料によると、同社地中熱ヒーポンの累計出荷台数は1000台を超えているが、そのうち約400台が北海道に出荷され、さらに約6割が札幌市内に出荷されている。
 普及には、イニシャルコストの削減はもちろんだが、使い方・設計の課題もある。地中熱ヒーポンは、平均的な性能の住宅で温水を60℃にしてパネル暖房に使うやり方はCOPが上がらず向いていない。まずは建物性能を上げること。その上でCOPを最大限確保するには、35℃以下の温水で暖房する必要がある。最適なのが放熱面積を大きくとれる床暖房だ。ちなみに、地中熱ヒーポンの温水45℃時のCOPは最大3.2程度なのに対し、30℃時は最大5.2と大きく跳ね上がる。
 CO2削減や節電に目に見えて貢献するには、年間数百件の導入にとどまっている現状を打破し、数万件レベルにする必要がある。そのためには、「設計・施工のレベルアップのほかに、年間消費電力やランニングコストの実測値を100件単位で公表することが必要だ。そうすれば、地中熱ヒーポンの良さを広く知ってもらうことができ、金融機関もランニングコストの低減分を住宅ローンの支払い増額に回すことを認めやすくなり、普及に向けた環境作りができる」と訴えた。

 次に、ボーリング会社の㈱日伸テクノの広松淳課長が「ボーリング技術の現状について」と題してボーリング方法やコストの低減について説明した。同社では十数年前から本格的に地中熱ヒーポンのボーリングを始めた。当初と比べると、現在は掘削機械の高性能化が進んで掘削スピードが速くなり、掘削コストも約3分の1になった。
 さらに同社では新しい形状の地中熱交換器を研究中で、現在実証実験の段階まで進んでいる。実用化すれば、掘削コストはさらに4割安くなるという。

 この後、休憩を挟んでサンポット本社開発課の佐藤隆次課長が補助金制度について説明し、次にサンポット、コロナ、ディンプレックスジャパン、北海道ちくだんシステムの各社が商品と導入事例について説明した。


【写真】
長野教授
  


2014年02月15日号から

原価10%アップ!? 建材・工事価格、値上げの春

20140215_01_01.jpg 住宅着工は今年もさほど減らないという見方が多い中、不安材料は円安と増税、そして建材や工事価格の値上げだ。今回取材した住宅会社の話を総合すると、原価は消費増税の3%分を含めて概ね10%弱のアップになるという。これは大変だ。

見積200万円アップも ~札幌

 札幌では、会社によって値上がり事情は異なるようだ。
 札幌市のA建設では、「仕事はびっしり詰まっているが、どうやって利益を確保するか・・・」と頭を抱えている。
 構造用製材は、現場毎に価格が上がるなど、小刻みに改定されている。合板は手に入りにくいものがあり、工期を考えると「どこでもいいから在庫を探して持ってきて」と頼んでしまい、結局高いものを買わされてしまう。
 断熱材は値上げの動きはないが、窓はトリプルサッシを使うと仕切りが高くなるので工務店から見ると値上げだと感じる。
 設備は、金額が大きいため増税の影響が大きい。数軒分先買いしてストックしておこうかと考えている。また、キッチンなどは、モデルチェンジ時に仕様を変えて実質値上げになっている。
 増税の3%分も含めると、「見積ベースで昨年春より200万円アップになるかもしれない」と警戒する。
 同じくB工務店では木材・合板など相場商品の正式な値上げ通知はまだだが、最近は「○月○日までの価格です」と見積に記入されるようになり、値上げが近いと見ている。設備は、リクシルの浴室などモデルチェンジする時に仕切りが少し上がっている。生コン、鉄筋も少し上がってきているが、板金や内装などの工事価格は今のところ落ち着いている。

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2014年02月05日号から

長期優良リフォーム補助を前倒し 補助額は最大100万円/戸

 昨年12月に閣議決定された平成25年度補正予算案で、一定の性能基準を満たすリフォームに補助を行う長期優良住宅化リフォーム推進事業や、フラット35(買取型)の10割融資復活、すまい給付金の実施、木材利用ポイントの延長、家庭用燃料電池(エネファーム)など省エネ設備の設置に対する補助などが盛り込まれた。いずれの事業も、内容や実施時期は現在行われている通常国会での補正予算成立後に公表されるが、このうち、長期優良住宅化リフォーム推進事業とフラット35の10割融資は平成26年度予算から前倒しの形で実施されることになる。
      *         *
 長期優良住宅化リフォーム推進事業は予算枠20億円で、一定の性能向上を図るリフォームに工事費用の3分の1、1戸あたり最大100万円を補助。現時点で公表されている募集要領案によると、①戸建ては55㎡以上、共同建ては40㎡以上など一定規模の既存住宅②設定されている性能項目の基準を満たすこと③工事着手前に建築士によるインスペクション(現況検査)の実施と、工事後の維持保全計画の作成④今年9月末までに工事着手し、来年1月末までに工事完了および実績報告書提出―などが要件。
 このうち性能項目については、戸建ては①劣化対策②耐震性③省エネルギー対策④維持管理・更新の容易性の4つ、共同建てはさらに⑤高齢者対策を含めた5つを設定。劣化対策と耐震性の2項目を必須とし、他の項目は任意選択となる。
 各性能項目の内容を見ると、劣化対策は外壁軸組等の防腐措置や基礎高40㎝以上の確保など、性能表示の劣化対策等級2とほぼ同じ。耐震性は新耐震基準をクリアすることが条件。省エネルギー対策は性能表示の等級3(新省エネ基準相当)適合に加え、開口部が一定基準を満たすこと、維持管理・更新の容易性は性能表示の維持管理対策等級2に適合すること、高齢者対策は性能表示の高齢者等対策等級3(共用部分のみ。一部除く)を満たすことが原則必要。
 住宅事業者単独での応募のほか、グループでの応募も可能。応募はホームページから事業登録(業者登録)を行ったうえで、必要書類等を提出する。詳細は国交省住宅局住宅生産課へ(?03-5253-8111、内線39431。ホームページ・http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000496.html)。
 なお、2~3月に同事業の説明会も全国で開催される。詳しくはこの面の"ご案内"を参照のこと。

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2014年01月25日号から

2014年、着工予測 道内33,000戸に迫るか?

20140125_01.jpg昨年2013年の道内住宅着工は、持家は1割伸びたものの職人不足の表面化などにより総体ではほぼ前年並みにとどまり、着工数字上は増税前の駆け込みによる増加はなかった。しかし、住宅会社の仕事は多忙を極めており、実態としては好景気に沸いた。
なかでも札幌圏は、総体で8%ほどのマイナス成長となり、持家も微増にとどまるなど、着工統計上は駆け込みがまったく反映していない。受注ベースでは駆け込みが多かったものの、人手不足で着工が間に合わず、今年に積み残した受注残がほかの地域よりもかなり多いとみられる。この冬から春にかけてもフルシーズン並みに現場が動いている。

下げ幅5~6%台にとどまる

今年は受注残の着工で、増税後の落ち込みも小幅にとどまりそうだ。
2014年は持家が6%減の1万2500戸、貸家が3%減の1万6000戸台、分譲は建売が減少して15%減、合計で約3万2700戸、前年比6%弱の下げ幅に納まりそうだ。札幌圏に比べて他地域のほうが下げ幅が大きめになる可能性が高い。
札幌圏は、全道よりも下げ幅が小さくなりそう。受注残の影響で、持家5%減、貸家3%減、分譲13%減、合計では5%程度の減少にとどまる見込み。
札幌圏のマンションは、このところ供給量が少ないため、売価が上がっているにもかかわらず販売は好調とされる。今年も大きな落ち込みにはならないだろう。

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2014年01月15日号から

熱源選択、もうひとつの見方 一次エネルギー価格に注目!

 ここ数年、北海道の住宅暖房・給湯用熱源の主役に座っていた電気の値上げにより、熱源や機器選びが難しくなってきた。北海道・北東北などでいま、熱源がどう変わり、何が主役になっているかについては1月5日号でまとめたが、15日号ではもうひとつの見方を追っていきたい。

原油価格の推移は
いろんなことを教えてくれる

20140115_01_01.jpg 北海道の戸建住宅用熱源の主役が石炭から石油にかわり、灯油がリッター30円台の時代が続いたこともあって2000年前半までは灯油が圧倒的だった。それが変わったのが、灯油の値上がりと電気の値下げが重なった2005年前後だ。
 では、エネルギー価格が世界的にどう推移してきたのか。それがグラフ1だ。
 このグラフをつくって驚いたのは、原油価格が動けば石炭も天然ガスも同じように価格が変動する、という点だ。原油価格(グラフの青線)は2002年を底に2008年まで一直線で上昇した。天然ガス(緑線)も石炭(赤線)も連動して急激にあがっていることがわかる。

原因は中国か

 もうひとつ注目してほしいのが、中国のCO2排出量を示した紫の線だ。排出量が増えるのは、ちょうど原油高騰が始まる時期と重なる。CO2排出はエネルギー使用量と比例関係にある。つまり、原油高騰と中国でのエネルギー使用量増大は完全にリンクしているのだ。なお、CO2排出量でこれまでダントツのトップだったアメリカを中国が2007年に追い抜き、2010年には72億トンで世界の1/4を占める。アメリカは53億トン、日本は11億トンだった。
 原油価格の高騰の理由は、政治的な面もあり、もちろん中国のエネルギー使用量増大だけが原因ではない。しかし、今後のトレンドとして、中国やインドでエネルギー使用量が増えれば、原油価格、ひいては家庭用エネルギー価格が下落することは、長期的には考えにくい。
 天然ガスについては、シェールガスの生産開始によって北米での価格が下落し、ロシアも軟化していると言われる。ただ2013年現在、そのことが日本の調達価格を引き下げるまでにはなっていない。

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グラフ:主要エネルギー価格の単価変動と中国のCO?排出量推移


2014年01月05日号から

2014年の家づくりと業況 道内・東北等100社アンケートから

 消費増税後に予想される新築需要の落ち込みや、暖房費の上昇、改正省エネルギー基準への対応など、今年は住宅業界にとって様々な課題が待ち受ける1年となりそう。そんな中で住宅会社はこれから先の家づくりをどのように考え、進めていこうとしているのか。本紙では道内・道外の住宅会社の協力を得て調査を行った。

2014年4~6月の工事量DIは、?11ポイント

20140105_01_01.jpg 昨年は消費増税前の駆け込みなどから、住宅着工は好調に推移すると見られていた。実際に着工数を見ても、10月まで持家は全国・道内ともに1割増のペースできているし、前月時点でのユーザーの動きもさほど悪くないが、一方で今年は消費増税にともなう消費マインドの冷え込みや可処分所得の減少により、住宅着工は落ち込むとの見方も多い。
 昨年の業況と受注棟数、年末時点でのユーザーの動き、今年4月以降の工事量の予測を住宅会社へのアンケートから集計し、DI(ディフージョン・インデックス)指標にすると、現時点までの業況は+54ポイントと業績好調な住宅会社が多く、年末時点のユーザーの動きも前年並み以上の動きがあるという住宅会社が多かったが、今年4~6月の業況は新築が?11ポイント、リフォームが?22ポイント、7月以降は新築が?46ポイント、リフォームが?33ポイントと、右肩下がりで業況が悪化する見通しを示した。
20140105_01_02.jpg 地域別に見てもほとんど同じ状況だが、道央では昨年の新築受注棟数DIが+35ポイントと、全体より11ポイント低かったものの、来年4?6月の新築工事量予測DIは+5ポイントと、唯一プラスに振れた。また、東北・信越は来年4?6月の工事量予測DIが、新築・リフォームともにプラスマイナスゼロで、マイナスとなっている道内とは異なり、この時期の業況はまだ昨年並みとの見通しだ。

「DI(ディフージョン・インデックス)とは?」
 「業況が良い」「受注・工事量が増えた」と回答した住宅会社の割合から、「業況が悪い」「受注・工事量が減った」と回答した住宅会社の割合を差し引いた数値(ポイント)。プラスで値が大きいほど業界全体の業況が良く、逆にマイナスで値が大きいほど業況が悪いと判断できる。

昨年の業況
6割が「前年より良かった」

20140105_01_03.jpg 続いて、昨年の業況や受注棟数、ユーザーの動き、今後の工事量予測などを個別に見ていきたい。
 まず昨年の業況は、全体で「良い」「やや良い」と回答した住宅会社は合わせて62%と半数を上回り、「ふつう」は31%、「やや悪い」「悪い」は合わせて8%。
 「良い」「やや良い」と回答した理由については、やはり「消費増税前の駆け込み」を挙げる住宅会社が多い。その一方で「会社の認知度が少しずつ上がってきたため」(道央)、「今まで営業努力を続けてきた結果」(同)など、これまでの仕事の積み重ねが受注につながってきたという住宅会社や、「コストから性能へ目を向けるお客様が戻ってきた」(信越)など、ユーザーの意識の変化を理由に挙げる会社もある。
 「ふつう」や「悪い」「やや悪い」と回答した住宅会社は「当社の規模では年間に施工できる数が限られているため」(道央)、「大工不足で現場をこなせなかった」(東北・信越)など、施工能力の限界や大工不足などを理由に挙げる会社が目立った。
 また、昨年の受注棟数は、新築は「増えた」が55%と過半数を占め、増加率は平均28ポイントとなった。「変わらない」は36%、「減った」は9%。リフォームの受注も「増えた」が51%と、新築同様に過半数を占めており、増加率は平均21ポイントだった。「変わらない」は41%、「減った」は8%。

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グラフ
昨年の新築受注状況と今年の新築工事量予測のDI
昨年のリフォーム受注状況と今年のリフォーム工事量予測のDI
昨年の業況


2013年11月25日号から

東北の工務店が結集 展示場経営や地域との関わり

20131125_02_01.jpg 東北の工務店が岩手・花巻市に集まり、いっしょに語り学び合う勉強会が「東北・工務店の絆」11月6・7日の2日間にわたって開かれた。
 主催したのは、花巻を中心にしたエリアの工務店が集ま勉強会「THM(ティム)ネット'99」。同団体は今年15周年を迎え、会員有志で住宅展示場を開設したが、同時期に青森と秋田でも工務店有志による住宅展示場が立ち上がったことから、お互いの取組を紹介しながら、地場工務店の力を蓄えるとともに、後継者の学びの場になればという趣旨で、東北各地の工務店に声をかけた。
20131125_02_02.jpg 当日は各地から100名を超す工務店が花巻に集結。基調講演としてまず最初に北海道の有力工務店グループ「アース21」菊澤里志会長(㈱キクザワ社長)が「元気が出る工務店の処方箋」と題して講演。講演を聴いた参加者からは「ぜひ現地で見学したい」と行った声も聞かれた。その後、住宅展示場(エコタウン)を展開する青森県五所川原市の奥津軽ECO住研・岩渕司会長、秋田県にかほ市のにかほ・ECO・カーペンターず・佐藤律子事務局長、地元花巻のTHMネット・エコタウン佐藤さよ子代表がパネラーとなり、住宅ジャーナリストの加藤大志朗氏をコーディネーターにパネルディスカッションが開かれた。
20131125_02_03.jpg 各エコタウンについては本紙4月5日号に掲載したが、五所川原の奥津軽ECO住研の6社は今年3月、第3弾の展示場をオープン。にかほ7社と花巻4社は初めての展示場をこの3月に開設した。工務店の家づくり、性能提案など共通する話題を中心に展示場の意味について話し合われ、「参考になった」「当地でもぜひやりたい」という声が聞かれた。
 翌日は被災地の工務店をパネラーにして、現状とこれからの家づくりが語られたあと、加藤氏が取材事例の紹介で2日間を結んだ。

[写真 上から]
開会のあいさつをするTHMネット'99 高橋信行会長
基調講演は北海道からアース21菊澤会長が駆けつけた
6日のパネルディスカッションのパネラー。左から岩渕、佐藤(律子)、佐藤さよ子の各氏


2013年10月15日号から

増税後の価格は1割ダウン目標に ポジティブに乗り切ろう

 来年4月からの消費税率引き上げを今月1日、安倍総理が正式表明した。住宅の新築・購入はローン減税や給付金といった負担軽減措置があるものの、その他の消費税負担も無視できず、住宅価格の引き下げが必要になる。この点をポジティブ(前向き)な提案としてユーザーに提示していきたい。

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2013年10月15日号から

1時間半で安全に屋根通気層を確保 二重たる木使わない新工法 日本住環境

 日本住環境㈱は屋根通気層保持材「ルーフスペーサー」を使った新しい屋根断熱・通気工法を提案。安全性が高く、施工手間を劇的に削減し、大幅なコストダウンにつながることから、屋根断熱の可能性を広げる新工法として提案に力を入れている。

人工を95%カットできる屋根通気層工法部材

20131015_02_02.jpg 日本住環境は、屋根通気層保持材「ルーフスペーサー」を使った新工法が、札幌圏で多い二重たる木工法と比較して少ない労力で安全・確実に工事できるとの現場の声に自信を深め、新工法を積極的に提案している。
 恵庭市のA工務店では、建坪20坪で4寸勾配屋根の屋根通気層を施工するのに、二重たる木工法だと大工3人で10時間かかっていた。それがルーフスペーサーを使う新工法では、大工1人で1時間半ほどで施工終了した。この大工はルーフスペーサーを使うのは初めてだった。材料費を比較すると、約10万円対約3万5千円で65%のコストダウンになり、施工手間=人件費は95%節約できた。合わせると約75%のコストダウンになる。
 屋根充てん断熱の際の通気層は、たる木または登り梁に断熱材を全充てんし、野地板を張った上から通気たる木を乗せる二重たる木工法と、構造たる木または登り梁の間に通気層を確保する工法に大きく二分される。
20131015_02_01.jpg 札幌圏は二重たる木工法を採用する例が多い。これは野地合板を2倍使っても屋根上での作業の安全を優先したいという考えが背景にある。ただ、課題は木材も含めコストが上がること。
 たる木間の通気層は、材料にムダは発生しないが屋根上に安全な足場がなく、透湿・防風シートの施工性に難がある。
 これに対し、ルーフスペーサーを用いた屋根通気層施工は、たる木の間で通気層を確保するやり方。ルーフスペーサーには透湿・防風シートと同等以上の透湿性や耐水性があるため、透湿・防風シートの施工を省略できる。施工は野地板を張ったあと、室内側からルーフスペーサーを屋根たる木間に納めてタッカーで3点止めし、断熱材を納めるだけで完成する。
 室内側からすべて施工できることや、固定方法がタッカー止めと簡易なため、熟練していない大工でも安全に素早く施工できるのが特徴だ。ルーフスペーサー同士の連結は、同社が「モーグルフォーム」と呼ぶ、コブ状の突起を重ね合わせるだけなので素早く作業できる。
 ルーフスペーサーは、PET樹脂素材を使った長方形の部材で、高さ35㎜の突起「モーグルフォーム」がつけられており、たる木間に納めたときにこの部分のすき間が通気層となる。透湿性能は透湿・防水シートのJIS基準値に比べて1.8倍もあり、断熱材内の湿気を素早く屋根通気層に排出できる。素材の特性で耐水性が高いのも特徴だ。

材工で大幅コストダウン
勾配屋根で新コンパクト住宅も

 ルーフスペーサーによる新工法は、今回の検証により、大幅なコストダウンになることがわかった。二重たる木工法では追加の合板代だけでルーフスペーサーの材工費用を上回る。さらに屋根の作業に最低2人の大工が1日以上必要な工事となる。材工で見れば、先の数字で見たように新工法は大幅なコストダウンとなる。
 札幌圏では、新築の8~9割がフラット系の屋根、勾配屋根は1~2割とみられ、中でも屋根断熱はコストが上がるとされていた。このコストの問題を、ルーフスペーサーを採用することで解消できれば、小屋裏空間を有効活用した新しいコンパクトプランの住宅が誕生する可能性もある。


[画像]
上:新工法のおさまり
下:たる木の間に室内側からルーフスペーサーを施工することで屋根通気層が自動的に作られる


2013年10月05日号から

特集 改正省エネ基準スタート

20131005_01_01.jpg 今月1日、改正省エネ基準が施行された。この基準では住宅・建築物の省エネ性を断熱性能だけでなく、一次エネルギー消費量も含めて判断。国ではすべての新築住宅で2020年までの義務化を目指している。
※特集記事をpdfで提供いたします。以下のファイルをダウンロードしてご覧ください。


PDFをダウンロード (4.6MB)


2013年09月25日号から

手形10年で激減、住宅業界も

 手形が常識だった建設業界で、住宅業界は現金決済が主流になってきた。このほど札幌で15社に聞き取りした結果、2社をのぞき13社が現金決済だった。手形交換所の扱い数量推移を見ても、この10年で交換高は約1/3に激減している。

翌月現金払いが主流〈札幌圏聞きこみ調査〉

 現金決済を行っている13社のうち、1社が10数年前に手形から変更したほかは、創業以来、あるいはここ20年現金決済を続けている。末締め翌末払いが多く、なかに翌末50%、翌々末50%や、翌々月一括払いという会社もあった。
 住宅ローンの主力が住宅金融公庫から民間金融機関に変わり、売上金の回収が早くなったことも現金決済が増えた背景にありそうだ。施主から中間資金を受け取るかどうかは、各社によって考え方が異なっていた。契約時、中間、決済の3段階で代金を受け取ることを契約前に施主に話している会社もあれば、中間資金は受け取らず、要請もしない会社もある。
 3段階で建築費を回収する会社は、基本的に銀行につなぎ融資を申し込まないことを前提にしている。逆に契約金以外は完成時に一括で受け取るという会社は、施主にとっても会社にとっても、忙しいなか中間資金の交付申請で銀行との交渉に時間を割くのは得策でないという考えがある。裏を返せば業者に資金力が付いてきたとも言える。
 一方、手形決済の会社は、1社は120日サイトの約束手形、もう1社は住宅会社に代わって銀行が支払う一括決済システムを採用していた。
 一括決済システムは、サイトは60日以上でも支払日の短縮を要請すれば30日で入金になり、手形割引と違って手数料負担は資金受領者側ではなく振り出し側が負担するのが一般的のようだ。納入業者にとっては現金決済と同じ、建築業者にとっては手形と同様のサイトを確保できる仕組みとして、地場有力会社を中心に徐々に増えているという。

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2013年09月15日号から

大手3社に見る道内市場のいま

20130915_01_01.jpgキューブデザイン9割、ガス暖房5割、企画型住宅3割!
ハウスメーカーの多彩な商品ラインナップの中で、売れる商品・注力している商品は住宅市場の動きを読み解く重要な手がかりになる。そこで営業戦略と販売動向について、道内市場の約1割を占めるハウスメーカー3社に話を聞いた。
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2013年09月15日号から

建築紛争フォーラム 道内の建築関連訴訟の事例報告 結露・凍害・寒さ、説明不足も

 (一社)日本建築学会・司法支援建築会議運営委員会では、今月1日に「第5回建築紛争フォーラム?積雪寒冷地における建築紛争の現状と課題?」を札幌市内で開催。札幌地方裁判所民事第3部総括裁判官・長谷川恭弘氏が「札幌地裁における建築事件への取り組み」をテーマに基調講演を行ったほか、司法支援建築会議北海道支部会員が道内での建築紛争事例を報告・議論した。
 ここでは佐藤民佳氏が凍上・凍害、山本明惠氏(恵和建築設計事務所)が落雪、天崎正博氏((株)アトリエブンク)が断熱・結露、駒木根洋一氏(コムプロ企画)が室内環境について、それぞれ関わった建築訴訟の概要を紹介する(長谷川氏の基調講演は次号に掲載)。

凍上・凍害
地盤凍結で擁壁押し出される

 【ケース1】札幌市郊外の木造住宅を中古で購入したオーナーが、ブロック塀とコンクリート擁壁に瑕疵があるとして、売り主と仲介業者を訴えた。請求金額は約600万円。
 現地調査したところ、ブロック塀は瑕疵が認められなかったが、コンクリート擁壁は3㎝ほど隣地側に傾いており、土壌の凍結によって擁壁が横に押し出されたものと推測された。
 調停では擁壁裏側に断熱材を施工する補修方法と概算費用を算出。約130万円で調停が成立した。

20130915_02_03.jpg 【ケース2】札幌市郊外の新築木造住宅で布基礎の根入り深さが凍結深度の60cmに満たず、フーチングも屋外側にしか造られていなかった。
 訴訟でオーナーは造り直しを求めたが、布基礎を造り直すとなると時間・費用とも莫大になるため、調停ではスカート断熱を採用して凍結深度を浅くし、地盤面に土間コンを新設することで室内側のフーチングなしでも建物重量を支える補修方法を提案。550万円の補修費用で調停が成立した。


落雪
屋根回りの断熱・気密欠損が原因に

20130915_02_01.jpg 【ケース1】札幌市内の木造2階建て住宅で、三角屋根に設けた小屋根(ドーマ)回りの雪がスムーズに落ちず、軒先につららができて外壁を傷めたほか、2階天井からの漏水も発生。オーナーはハウスメーカーに賠償を求めた。
 雪が本体屋根と小屋根との谷部分に溜まって凍り付き、断熱・気密施工が不十分だった小屋裏2階からの暖気で凍結・融解を繰り返していたのが原因。断熱・気密施工のやり直しや軒先・外装材の補修を行うことで調停成立した。

 【ケース2】築30年を超える石狩市内の木造2階建て店舗併用住宅で、片流れ屋根から落ちた雪により隣地の木製の塀と樹木が破損。隣地の住人が損害賠償と落雪防止策を求めて訴訟した。
 2階部分の増築で屋根が隣地方向へ伸びたことが原因で、雪止め金物を屋根全面に均等に付け、塀と樹木を賠償することで調停成立となった。


断熱・結露
断熱・気密不足で押入や壁内結露

 【ケース1】札幌市内の木造2階建て住宅で、北西角の部屋の押入内で結露が起こり、寝具が水浸しになったため、その賠償を施工したハウスメーカーに求めた。
 調査の結果、北西の部屋は断熱が不十分で、押入内の空気を動かす通気措置もなかったため、結露が起こったと判断。寝具代金10万円の支払いで調停が成立した。


20130915_02_02.jpg 【ケース2】道東の木造2階建て店舗併用住宅で、施工中に屋根の笠木回りから屋内への漏水があったため、その部分の納まりを変更して建物を完成させた。しかし、引き渡し後も室内の床が濡れるため、オーナーは笠木下地の隙間や外壁のクラックから雨水が浸入しているとして工事のやり直しを住宅会社に求めた。
 笠木回りは雨水が浸入する状態ではなかったが、外壁を解体したところ、断熱材のグラスウールの中心部まで湿潤した状態だった。これは耐力面材の構造用合板の上にアスファルトルーフィングを張り、通気層を取らないままモルタル・しっくいで仕上げたため、壁体内に入った水蒸気が屋外に放出されずに結露したものと判断。
 壁体内のウレタン吹付けによる断熱改修と、防湿・気密施工のやり直しにかかる費用等150万円の支払いで調停成立した。


室内環境
言葉足らずで招いた不信感

 【ケース1】"高断熱・高気密"ということで建て替えしたが、期待したほど暖かくなかったため、建築士に調査を依頼したところ、気密施工に関する不良箇所を発見。オーナーは外壁部分の施工やり直しを求めて800万円規模の損害賠償請求を行った。
 調査の結果、天井のトップライト回りに断熱・気密施工が施されてなく、吹抜けのリビング天井部分で断熱不足だったほか、「暖房費が半分になる」という説明によって、灯油消費量が半分になるよう暖房設備を運転していたことが判明。調停で、暖房費が半分になるというのは、相当隙間面積=C値が一般的な住宅の半分という住宅会社の表現が誤解につながったと見なされたが、トップライトの断熱施工やリビング天井部分の断熱補強など18万円相当の補修を住宅会社は行うこととなった。

 【ケース2】坪100万円程度の注文住宅で、冬期に仕上げ材に割れやひずみ、破損が発生。オーナーが構造・暖房・換気の補修・改善費用を損害賠償として住宅会社に要求した。
 当初は構造の不具合が疑われたが、調べたところ、暖房・換気などの設備設計に問題があることが判明。オーナーの要望に住宅会社が忠実に対応するあまり、建物の性能限界を超えた設計や不都合が数多く存在していた。
 例えばリビングの大開口付近に暖房器を置かないでほしいなどという要望も、それによって室内温熱環境が悪化する可能性があるにもかかわらず、説明不足のまま言う通りに施工。そのような設計・施工上の配慮不足や不備が原因となっており、目に付く欠損や不備、破損については住宅会社が全面的に保守・保全負担することになった。


2013年08月25日号から

薪ストーブ全製品 木材利用ポイントの対象に

ダッチウエストジャパン tel.0155-24-6085

20130825_02_01.jpg ダッチウエストジャパン㈱(本社帯広市)は、同社が取り扱うダッチウエスト・マジェスティックブランドすべての薪ストーブが木材利用ポイント対象製品であることをPRしている。
 木材利用ポイントは林野庁が始めた制度で、地域材の適切な利用で森林整備・保全、地球温暖化防止や循環型社会の形成に貢献し、地域振興に役立てることをねらいとしている。ポイントを取得できる対象は、地域材を活用した木造住宅の新築等、内装・外装の木質化工事、木材製品のほか、薪ストーブも。
 薪ストーブは今年7月1日以降平成26年3月末までに購入した商品が対象となる。なお、取得したポイントの商品交換は平成26年9月末まで。
 申請方法は、木材利用ポイントホームページ(http://mokuzai-points.jp/)から申請書類をダウンロードして必要事項を記入し、木材利用ポイント事務局に郵送する。書類審査の後ポイントが発行され、地域の農林水産品や商品券などと交換できる。
 取得できるポイントは、本体価格の約10%。たとえば、リーンバーン燃焼のエンライトミディアム(FA248)で42,000ポイント、ランドルフ(FA210)で24,000ポイントなど。
 ダッチウエスト・マジェスティック薪ストーブは、アメリカ・ケンタッキー州を本拠地とする世界最大のハース(暖炉・火床)メーカー・MHSC社の製品。ダッチウエストジャパンは日本の総代理店として、製品開発・改良の段階から関わり、また補修用のパーツなどを国内に在庫するなど、アフター体制も整えている。


2013年08月15日号から

家族構成で変わる年収制限 すまい給付金説明会札幌で開催

 国土交通省住宅局は去る2日、札幌市内で住宅関連税制とすまい給付金の説明会を開催し、約400名が参加した。当日は、住宅生産課の永田課長補佐が参加者に配られた解説テキストに沿って説明した。

業者の代理受領も可能
住宅代金の一部に充当できる

 すまい給付金とは、来年4月に予定されている消費税率の引き上げに対し住宅取得者の負担増を抑えるため、一定額の現金を給付する制度。ただし、ローンを全く使わない場合は年齢50歳以上という条件がつく。平成29年末までの時限措置。新築住宅だけでなく一部の中古住宅も対象となる。基本的には建て主が住宅完成後に受け取るが、住宅事業者が引き渡し時の住宅代金の一部として受け取る代理受領も可能だ。
 新築の場合は、自ら居住し、床面積が50㎡以上であること。そして、住宅瑕疵担保責任保険や建設住宅性能表示制度などの利用で工事中に検査を行って品質が確認できる住宅が対象要件となる。中古住宅は、土地のみの取引や、不動産会社が個人間売買を仲介する場合は対象外となる。また、売買時に既存住宅売買瑕疵保険や既存住宅性能表示制度の利用が条件。
 政府は、住宅ローン減税の拡充と併せることで、かなりの程度税率アップの差額を吸収できるとしている。税率8%時の場合、年収によって10万円、20万円、30万円と給付金額が3段階に分かれている。この給付金額を決めるのは、実際は道税の納付額が基準となる。たとえば年収510万円以下とされているのは、専業主婦と夫に16歳未満の子供がいる場合。これが夫婦共働きで子供が16歳未満の場合や単身世帯では約463万円以下しか対象にならない。逆に専業主婦と夫、16歳以上の子供1人の家族構成では年収制限が約558万円に緩和される。

区分所有の場合は別々に算出
 また、夫婦が住宅を区分所有する場合は、それぞれの年収水準から算出した給付金額を区分所有割合で掛けて算出する。たとえば、夫が20万円、妻が30万円の給付金対象となる年収区分で、区分所有割合が1/2ずつの場合、20万円×1/2+30万円×1/2=25万円となり、夫だけの時よりも給付金総額がアップする。ただし、申請書類は夫、妻それぞれが作成する必要がある。
 なお、現金のみで購入する場合は、ローン減税拡充の恩恵を受けられないため、対象を50歳以上に限って年収目安を650万円以下まで広げる。一定の住宅の質を確保するため、現金購入の場合のみ、フラット35Sの技術基準をクリアする条件が加わる。
 このほか、住宅関連の減税措置では、来年4月以降に税率8%となる住宅の取得から、ローン減税の借入対象額が現行の2000万円から4000万円に大幅アップ。控除率は1%と変わらないが、住民税からの控除上限が引き上げられている。また、長期優良住宅や低炭素住宅はさらに限度額が1000万円アップする。
 なお、すまい給付金ホームページでは、今回使用した解説テキストやパンフレットをダウンロードできるほか、すまい給付金とローン減税の総計をかんたんにシミュレーションできる。
http://sumai-kyufu.jp/index.html

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2013年08月05日号から

TPPで住宅はどうなる?

 日本がついに交渉の席に着いたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。マスコミ報道では関税撤廃によって国内農業が受ける打撃ばかりが目に付くが、住宅業界に影響はあるのだろうか?

木材:ほとんど影響なし。集成材・合板の価格下がるか

201308_01_01.jpg TPPとは、太平洋を取り囲む国々の間で、モノやサービス、投資などが、できるだけ自由に行き来できるよう、各国間の貿易や投資の自由化やルールづくりを進めるための国際条約。アメリカやカナダ、マレーシア、ベトナム、オーストラリアなど11ヵ国で交渉を進めてきたが、日本も力強い経済成長を達成するためには、TPPを通じた経済の活性化が極めて重要との判断から参加を表明。先月23日にマレーシアで行われている交渉会合に初めて参加した。
 交渉分野は多岐にわたるが、その中で最も影響が懸念されているのが"例外なしの関税撤廃"。関税がなくなることで安い輸入品が市場に出回り、特に高い関税で守られている国内の農産品は大きなダメージを受けるとも言われている。
 住宅においても、関税の撤廃は安価な輸入木材・輸入建材の流通量増加につながると考えられるが、実際にはどうか。
 まず木材については、集成材・合板を除いて、ほとんど影響がなさそうだ。北海道木材産業協同組合連合会(道木連)では「すでに木材関連は半世紀前に貿易自由化の状態。これ以上国内の木材出荷量が目減りすることはまずないのではないか」と話す。
 というのも、輸入木材についてはすでに戦後の国の政策で大量の住宅建設を進めた時、関税が大幅に引き下げられている。戦時中に国内の木を切り過ぎたため、木材を輸入に頼らざるを得なかったからだ。現状すでに原木や製材にはほとんど関税がかかっていない。もともと高い関税率で保護されている米や小麦、乳製品などとは状況が異なっている。
 また、日本はアメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドを除くTPP参加7ヵ国と、すでに関税撤廃など経済面での連携・協力促進を目的としたEPA(経済連携協定)を結んでおり、木材関連の関税は無税または数%にすぎない。
 ただ、集成材と合板はEPA締結国も含めて関税は最大10%かかることから、関税がなくなることにより輸入品の価格が下がる可能性がある。林野庁では、合板・集成材の国内生産量のうち、約6%が安価な輸入品に置き換わると試算しており、林産物貿易対策全国協議会では「TPPの参加国には合板産業が強いマレーシアが入っており、わが国の合板業界にとっては脅威」とのコメントを出している。
 道でも独自に試算を実施。道内の合板・集成材は出荷額ベースで約1割が輸入品に置き換わると見ており、「安い輸入品が入ってくることで、道内木材関連企業との価格競争が激化し、道産品も安くなる可能性があるのではないか」(道水産林務部林業木材課)と話す。

建材:規制や規格変更も?

 輸入建材はどうかというと、道内外の輸入建材メーカー・商社等にTPPの影響を聞いたところ、「特に考えていない」「住宅に関連がないと思っていた」などと、まだ関心はそれほど高くない。
 実際、TPP参加国のうち7ヵ国はEPAによって、すでに水回り製品や窓・ドアなどの関税が無税か数%程度となっている。「為替相場の変動のほうが価格に大きく影響する」(輸入建材メーカーA社)といい、NPO住宅生産性研究会の戸谷英世理事長は「1985年のプラザ合意で急激に円高が進み、輸入建材が安く入手できるようになった時も、ハウスメーカーの価格は変わらなかった。今回も住宅価格には反映されないと思う」と言う。
 一方、関税撤廃よりも輸入建材の性能・仕様に関する規制・規格がどうなるのかを不安視する声も出ている。北米の塗り壁材・塗料などを輸入販売するブライトン(株)社長で輸入建材事業者連絡会会長(IBMF)の松本繁氏は「TTPの交渉分野の一つである"貿易の技術的障害(TBT)"で、性能の試験・表示方法やJIS・JAS規格などが、どう扱われることになるのか、まったく見えてこない。例えばアメリカの建材の断熱性や防火性の試験方法は国内で認められていないので、日本国内で改めてJISに定められた方法により試験する必要があるが、貿易が自由化されればこれらの基準・規格についても参加国間ですり合わせする必要が出てくるはず。IBMFでは今のうちから勉強しようと話をしている」と語る。
 日本のJIS・JAS規格などと他の参加国の規制・規格をどう整合させるのか、TPPでは交渉状況など情報が厳しく統制されているためにうかがい知ることもできないが、長野県が今年3月、内閣官房にTPP交渉参加に関する疑問点として、国際標準に整合しない法令やJIS規格等の取扱いを尋ねたところ、「各国の分野ごとの個別基準は数百?数千に及び、(TPP交渉で)個別に規定を定めることは考え難い」という回答を得ている。
 これは輸入建材だけでなく、国産建材にも関係してくるだけに、見通しをはっきり示してもらいたいところだが、JIS規格を扱う経済産業省産業技術環境局基準認証政策課ではこの件について「まったく情報がないのでコメントできない」としている。


2013年07月25日号から

国土交通省 仕様規定を新設-改正省エネ基準

 国土交通省では改正省エネ基準(H25年基準)の仕様規定として、断熱性能の指標となる外皮平均熱貫流率(UA値)の簡易計算法と、UA値・一次エネルギー消費量基準をクリアする仕様例を定めた「設計、施工及び維持保全の指針」を、基準施行となる今年10月1日に告示・即日施行する予定だ。

10月告示、即日施行

 改正省エネ基準は、性能規定に相当する「建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」(建築主の判断基準)のみ今年1月末に告示。仕様規定に相当する「設計、施工及び維持保全の指針」は設けられていなかったが、「自社の標準仕様で簡単にUA値の計算を行ったり、基準適合を判断したい」という業界の声に対応することとなった。
 UA値の簡易計算法は、外壁・天井・床・窓などの各部位ごとに、断熱材や構造用合板、石こうボードなどの組み合わせパターンとその熱貫流率を一覧表にした部位別仕様表を用意。各部位ごと選択した自社仕様パターンの熱貫流率に面積・温度差係数を掛けて熱損失量を算出し、その合計値を外皮面積で割ればUA値がわかる。北海道・東北など1?4地域には基準値がない平均日射熱取得率(ηA値)も、窓の組み合わせパターンごとに日射熱取得率が示されており、UA値同様に計算可能だ。

熱貫流率・熱抵抗値は次世代基準と同じ

 UA値をクリアする仕様例は、各部位ごとに熱貫流率または断熱材の熱抵抗の基準値を設定し、すべての部位が基準値を満たせば適合と見なす。
 会議資料によると、1?2地域の木造住宅であれば、熱貫流率は屋根・天井0.17W、外壁0.35W、床(その他の部分)0.34Wなど、断熱材の熱抵抗(充てん断熱)は、天井5.7、外壁5.2、床(その他の部分)3.3と、次世代省エネ基準と同じだ。熱貫流率については、各部位ごとに基準値をクリアする仕様も例示される。
 ただ、窓については外皮面積に占める割合(開口部比率)と戸建て・共同別によって基準値が変わる。例えば北海道・北東北の1?3地域で戸建住宅の場合は、開口部比率7%未満が緩和仕様、同7?9%未満が現行仕様、同9?11%未満が強化仕様となり、熱貫流率は緩和仕様が2.91W、現行仕様が2.33W、強化仕様が1.90W。開口部が大きい場合は断熱性能を強化することが求められる。
 一方、一次エネルギー消費量は、UA値の基準値をクリアしていることを前提に、暖冷房・給湯・換気・照明で基準に適合すると見なす、一定以上の省エネ性能の機器を示す。
 例えば暖房であれば、電気はヒートポンプまたはエコジョーズによる温水パネルセントラルや、エネルギー効率86%以上の灯油温水パネル式セントラルなどが想定されている。
 断熱厚や窓・設備の仕様をチェックしていくだけで基準をクリアしているかどうかを判断できる、仕様適合チェックシートも用意される予定だ(上の表)。
 低炭素建築物の認定基準でも、UA値の簡易計算法は適用されるが、UA値・一次エネルギー消費量基準の仕様例は適用されない。

住宅性能表示基準も見直し

 このほか、改正省エネ基準の施行にともなう住宅性能表示基準の見直しで、温熱環境の省エネルギー対策等級を①断熱等性能等級と②一次エネルギー消費量等級の2つにする方向で検討していることも明らかになった。見直し案によると、断熱等性能等級は最高ランクの等級4を改正省エネ基準相当、等級3を新省エネ基準(H4年基準)相当、等級2を旧省エネ基準(S55年基準)相当、等級1をその他とし、一次エネルギー消費量等級は最高ランクの等級5を低炭素建築物認定基準相当、等級4を改正省エネ基準相当、等級3および2はなく、等級1をその他としている。

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2013年07月15日号から

2013年着工予測 全道37,000戸 持家の成長、年末まで続く

 北海道の今年の住宅着工は、ここまで15%増の持家の成長が年内は続くが、貸家と分譲が微増で推移し、年計では当初の予想通り3万7000戸台の成長になりそうだ。また札幌圏は意外にも伸び率が全道平均を下回っているが、2014年以降の落ち込みは全道より小幅に収まりそう。

好調な持家、振るわぬマンション

 全道的に新築・リフォームともにすでに強烈な人手不足感となる一方、「全体でどの程度増えているのか?」「この状態がいつまで続くのか」「現場は昨年比で急増しているとは思えない」などの声も聞こえる。今年は、予想される消費税率アップを控えた難しい年でもある。そこで、2013年の着工と同時に、札幌市と周辺市を合計した札幌圏※の着工予測、さらに年末までの持家着工の動向予測を行ってみた。
※札幌圏:札幌・小樽・岩見沢・江別・千歳・恵庭・北広島・石狩の8市の合計

全道着工:持家のみ2ケタ成長
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 全道の持家着工は2009年の1万224戸を底に徐々に回復しているが、とは言え2007年以降、1万1千戸台の着工が続いている。今年は1~5月累計で15%増、今後もほぼこの伸び率が維持され、年間で13%増の1万3500戸程度となりそう。7年振りの着工量だ。
 持家の着工増がいつまで続くかだが、前回の消費税アップとなる1996年を見ると、持家は3月以降12月の微減を除き翌1997年の2月まで2ケタ増を続けた。それを参考にすると、今年も年末まではプラス成長が続くとみても良さそう。ただし、前回はその後15ヵ月にわたり反動の大幅減となった。
 貸家は今年、ほぼ前年並みに推移している。これは1996年も同様。施工力が木造系は戸建てに、RC系は分譲マンションに取られるため伸びないのか? 今年年計もほぼ前年並みの1万9300戸と予想した。伸びがない分、来年は小幅減少にとどまる見込み。
 難しいのが分譲の予想だ。1996年と今年は違った動きとなっており、参考にならない。今年はここまで建売が好調、分譲マンションはすでに累計で減少している。マンションはすでに来年3月の竣工・引き渡しが工期上、難しくなっていることに加え、用地取得が難しいこと、建材値上げなどでペイラインがあがっていることなどを考えると、今年後半月のプラス成長は限定的と考えられる。年計では好調な建売と合わせ微増の4200戸台。
 この結果、住宅着工全体は3万7200~3万7300戸、前年比5~6%の伸びとなりそうだ。2014年以降は現時点で非常に読みにくいが、持家と分譲の減少、貸家の堅調が予想されている。

札幌圏着工:伸び率、全道を下回る
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 今年1~5月の着工を見ると、札幌圏は全道を伸び率で下回っている。いまや全道着工の約6割を占める札幌圏着工が伸び悩んでいるということは、裏返せばその他の地域が今年は非常に好調だということ。キャッチコピー的に現状を表現するなら、札幌圏は堅実系、その他全道は駆け込み気配-となろうか。
 もうひとつ、施工能力の面から見るなら、札幌圏は持家10%増でも目いっぱいということになる。
 さて、現状から今後を占うのは難しいが、年計でも全道の伸びを下回ると予測する。持家は10%少々の伸びで6100~6200戸台、貸家は6%程度減少し1万1000戸台、分譲は2ケタの減少で3000戸とみた。

全国着工:100万戸ラインで推移
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 全国の着工は、今年1年間100万戸にギリギリ到達するかどうかという線で推移している。当初、東北地方の復興需要が2万戸程度あり、それ以外がほかの地域の伸びとみていたが、今のところ当初予測の範囲内で推移している。
 伸び率でみると、前年比13%台のプラス。


2013年07月05日号から

北総研・鈴木大隆氏に聞く これからの必要な視点

 省エネ基準の改正や低炭素建築物認定制度の創設、エネルギー価格の上昇、来年4月に迫った消費税増税など、住宅を取り巻く環境は大きく変わりつつある。その中でこれからの北海道の住宅はどう考えていけばいいのか。国交省の省エネルギー判断基準等小委員会の委員などを務め、改正省エネ基準の策定に尽力してきた北方建築総合研究所環境科学部長・鈴木大隆氏に聞いた。

すべての住宅でEBとNEBの底上げを

20130705_01.jpg 今年10月から施行となる改正省エネ基準は、外皮性能だけでなく、一次エネルギー消費量も評価する基準となり、国は2020年まで段階的に住宅の性能規制(義務化)を行うことをロードマップに盛り込んでいる。このような流れを見据えて、北海道の住宅は新築・既築・集合住宅も"住まい手からするとすべて同じ住宅"という視点で、一度、省エネに対する考え方をリセットし、それらに共通する性能レベルを設定すべきではないか、と鈴木氏は言う。
 「これまでの住宅は、断熱強化を中心に基準が強化されてきたが、これからの住宅は省エネ効果=エナジー・ベネフィット(EB)と室内環境の快適性向上などノン・エナジー・ベネフィット(NEB)を合わせた2つの視点から考えていくべき。改正省エネ基準で外皮性能の基準が残ったのはNEBも同時に高める必要がある、という考えに基づく。
 これまでの北海道の省エネ基準をこの2つの視点で見ると、昭和55年基準(旧省エネ基準)はエネルギー消費量がかなり多く、EBもNEBも低い水準だったが、平成4年基準(新省エネ基準)でEB・NEBとも改善された。しかし、平成11年基準(次世代省エネ基準)ではEBこそさらに良くなったものの、NEBでみると、住まい手にとって、その差は実は微妙でなかろうか。
 そして現在の道内の住宅を見渡した時、新築戸建てはいいが、既築住宅や賃貸を含めた集合住宅のEBとNEBは依然低い状況にある。今や日本全国も北海道も住宅の50%強が集合住宅になっていることを考えると、これから先、道内でも既築・集合を含め住宅全体のEB・NEBの底上げを図ることが大切になってくると思う。
 ただ、これまで断熱を得意分野として住宅の性能向上を進めてきた道内では、EB・NEBの両方を高めるための手段・選択肢が少なくなってきたのも事実。今年10月施行となる改正省エネ基準や2020年まで段階的に義務付けられる規制基準、さらなるトップランナー的な基準が出てきた時、これらの基準等に対応するためにも、道内向けに高性能な建材や創エネ設備、高効率設備などの製品開発・技術開発をメーカーに促す市場環境を整えることが大切だ。
 誤解を恐れずに言えば、北海道の住まいがどうあるべきかを考えると、メーカーの製品開発・技術開発を誘導できるまとまった規模の市場を創出するために、新築・既築、戸建て・集合、中古流通まですべて含め、住宅形式・所有形態の別なく共通した性能基準に見直す考え方も一つあるのではないか」。

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2013年06月05日号から

マンションに見る最新のスマート装備

 東日本大震災以降、戸建住宅では大手ハウスメーカーを中心に"スマートハウス"の商品化が相次いだが、分譲マンションでも道内のデベロッパー2社がエコロジー・エコノミーを打ち出した"スマート設備搭載マンション"を積極的に展開。他社物件との差別化につなげている。

道内2社が先行し、太陽光など設置

20130605_01_01.jpg ここ1-2年の間に戸建住宅では、大手ハウスメーカーの多くが太陽光発電や蓄電池、HEMSなどを導入した、いわゆる「スマートハウス」を商品ラインアップに加えた。スマートハウスの定義は特に決まっているわけではなく、仕様も各社様々だが、共通しているのは太陽光発電で作った電気を、蓄電池やHEMSを利用することでムダなく使うということ。首都圏ではスマートハウスだけの住宅展示場も誕生しているほど、旬の商品となっている。
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 一方で、分譲マンションはどうかというと、採用物件は徐々に出てきているものの、その数はまだ少数。特に道内・札幌ではマンションデベロッパー15社程度のうち、積極的に太陽光発電などのスマート設備を導入しているのは㈱じょうてつ(山口哲生社長)と日本グランデ㈱(平野雅博社長)の2社だけだ。

 この2社のうち、日本グランデは〝環境にやさしい商品を提供する〟というコンセプトのもと、かねてからディスポーザーや節水型設備の導入を進めていたが、さらに物件の差別化を図るため、2010年末の着工物件から他社に先駆けて太陽光発電の導入を開始。今年3月に完成した「グランファーレ学園前ルネッサンスグランデ」から、太陽光発電に蓄電池を組み合わせたシステムを採用している。共用部の照明の電力をまかなうと同時に、余った電気を売電・蓄電することで管理費の削減を図るとともに、停電時には非常用電源の役目を果たす仕組みだ。
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 さらに現在、札幌市北区に建設中の「グランファーレ北24条ステーションサイド」では、入居者の節電・省エネをサポートすることを目的に、HEMSも全戸に導入した。
 同社企画設計部の北谷博之部長は「お客様は立地・価格を優先して物件を選ぶが、そのうえでさらに太陽光発電や蓄電池があると『これはすごい』となる。太陽光発電や蓄電池などの設備が購入のきっかけになることはほとんどないが、他社物件の差別化としてこれらの設備は非常に有効で、万が一、災害が起こった時の安心感にもつながる」と言い、スマート設備が他社物件と競合した時に最後の一押しとなる「決め手」となっている。
[写真 上から]
太陽光モニター
エントランスホールに設置されたモニターで太陽光発電の状態を入居者が確認できる(日本グランデ)

太陽光発電kai
屋上の塔屋の上に設置された太陽光発電パネル(日本グランデ)

蓄電池kai
エントランスホールの一角に備えられた蓄電池(日本グランデ)

専用住戸の光熱費削減で〝指名買い〟も

20130605_01_04.jpg 一方、じょうてつでは共用部だけでなく専有部分のランニングコスト削減に踏み込み、太陽光発電による共用部分の省エネ・電気代削減に加え、専用住戸にもヒートポンプエアコンやエコキュート、HEMSの導入を進めている。
 同社が属する東急グループでは、2008年から環境配慮に関する優秀な取り組みを表彰する「東急グループ環境賞」を創設。これをきっかけに同社では環境負荷低減に貢献できる物件を提供していこうと、2010年着工の「アイム北29条」からヒートポンプ採用のオール電化を推進。「アイム北29条」は同賞の環境優秀賞を受賞した。2011年からは太陽光発電の導入も開始し、現在では太陽光発電・ヒートポンプ・HEMS・LED照明を導入したオール電化仕様を〝スマートECO2スタイル〟と称してユーザーにアピール。この取り組みによって、指名買いのユーザーが増え、同社の物件同士での競合も見られるようになってきたという。
 ランニングコストは同社の試算によると、現在建設中の「アイム旭山公園通」の3LDK(81.9㎡)で4人家族が暮らした場合、年間光熱費は北海道電力の値上げ申請をそのまま適用した条件で19万4800円となり、都市ガスセントラルとIHクッキングヒーターの組み合わせより15%近く安い。既存物件の入居者アンケートでは「以前の住まいより光熱費が下がった」という声が6?7割を占めるそうだ。
 同社不動産事業部都市開発部の坂昭彦部長は「一昨年の震災以降、エコ・省エネに対する関心が高いお客様が多くなっている。分譲マンションを選ぶ際の優先順位は立地が1位だが、その次に設備を重視するお客様も増えており、〝スマートECO2スタイル〟の取り組みは完全に差別化になっている」と語る。

[写真]
HEMS
オプションで専用住戸内のテレビをHEMSのモニターとして使うことも可能(じょうてつ)

2社とも販売価格に上乗せなし

 両社に共通するのは、太陽光発電などのスマート設備を導入したからといって、販売価格が決して割高になっているわけではないということ。
 例えば日本グランデの「グランファーレ学園前ルネッサンスグランデ」は3LDKの販売価格が2300万?2600万円台だが、同物件から半径1キロ圏内で来年完成予定の他社物件は3LDKの最多価格帯が2500万円台。じょうてつの「アイム旭山公園通」も3LDKの販売価格が2430万?3130万円で平均2780万円と、周辺の物件と比べても割高感はない。販売価格を抑えつつ付加価値を高めていることは営業戦略上の大きなポイントだ。
 この点については、「確かに原価は上がるが、大切なのは建設する地域で売れる価格設定にすること。そのために利益を抑えることもある」(日本グランデ・北谷部長)、「設備関係は支給方式とし、当社が各メーカーと交渉し、価格が安いメーカーから仕入れてゼネコンに支給しているほか、仕上げの素材の変更などにより、太陽光発電やヒートポンプ導入物件としては割安な価格設定にしている」(じょうてつ・坂部長)と言う。
 また、両社とも次の展開として低炭素建築物の認定を視野に入れていることも興味深い。じょうてつでは今年8月頃に販売開始する「アイム大通公園Ⅱ」で分譲マンションとしては道内初となる低炭素建築物の認定を目指しており、スマート設備導入に加えて躯体の断熱性能も引き上げる予定。日本グランデも低炭素建築物の検討を始めたところで、新しい基準・仕様などについては今後も積極的に取り入れていく意向だ。


2013年05月25日号から

300mm断熱住宅、続々誕生! 燃料高騰で見直される断熱の価値

20130525_1.jpg節電要請や燃料価格の高騰などを背景に、〝高断熱〟に対する意識が再び高まってきた。道内では300㎜断熱に挑戦する住宅会社が次々と出てきている。NPO新住協北海道の会員ビルダーに取材した。
なお、NPO新住協北海道のQ1.0-Xゼミの取り組みは、今後改めて取材する。

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2013年05月15日号から

天気に恵まれず失速 札幌、GWの集客結果

20130515_1.jpg「質の良い集客は期待できない」「この時期の集客が重要」など、ゴールデンウィーク(GW)に対する住宅会社の期待と評価はさまざまだ。ただ消費税増税を控えた今年のGWへの期待は高かった。モデルハウスを展開したハウスメーカー、工務店に集客動向や今後の見通しなどを取材すると、「例年の半分以下」という声もあった。なぜそんなことに!?

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2013年04月25日号から

道内自治体の住宅系補助金 全調査 賃貸住宅建設や道産材活用が増える

 昨年4月25日号に続き、今年も道内自治体の住宅系補助金について調査した。
 賃貸住宅や道産材を使った戸建ての新築に対する補助金が増えている。また、条件次第で新築戸建てに200万円以上の高額補助金が出る自治体は昨年から大幅に増えた。設備関連では省エネ機器への補助金が目立つ。このほか、老朽空き家対策や市街地の商店改装への補助金など、今の自治体が抱える悩みを補助金制度が表していると言える(6~8面に一覧表を掲載)

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2013年04月15日号から

新年度はこうなる 2013年度 補助・税制・基準、総まとめ

地域型住宅ブランド補助

20130415_01.jpg最初に最も注目される各種補助制度について、今年度はどうなるのかを見ていく。なお、国の今年度予算がまだ成立していないため、今後内容が一部変わる可能性もある。
 まずは「地域型住宅ブランド化事業」。この事業は昨年度から実施され、地域の中小工務店が原木供給者、製材業者などと構成するグループで地域住宅の地域型住宅ブランドと同じく、昨年度から実施された2つのゼロ・エネルギー住宅への補助事業も継続される。
 ゼロ・エネルギー住宅とは、年間の一次エネルギー消費量が概ねゼロになる住宅を指す。国交省の「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」では中小工務店の取り組みに1戸あたり最大165万円、経産省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」では住宅の建生産に関する共通ルールを提案し、国に採択された場合、グループに属する工務店が共通ルールに従って建てる木造の長期優良住宅に補助を行うというもの。昨年度はグループ公募が2回行われた。
 今年度も基本的には同じ形で実施される予定だが、補助額は地域材使用による20 万円の加算がなくなり、100万円が上限となる。これは、林野庁が平成24年度補正予算で木材利用ポイントを始めたため。地域材使用によるインセンティブは、木材利用ポイントで行うという考えだ。

続きはpdfをご覧ください。

130415-2-3men.pdf


2013年04月05日号から

木材利用ポイント 輸入材は原則対象外

 林野庁では、地域材を一定量以上使う木造住宅の新築・増築や内外装の木質化、木材製品・木質ペレットストーブ等の購入に、地域の農林水産品や商品券などと交換できるポイント(1ポイント1円相当)を発行する「木材利用ポイント事業」の詳細を発表した。それによると、使用する地域材はスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツなど国内の樹種に限られ、外材は同事業基金設置法人の委員会の認可・指定がなければ対象とならないことが明らかになった。
 木材利用ポイントはあらかじめ指定する工法・樹種の採用を前提とし、木造住宅の新築・増築は1棟つき30万ポイント(東日本大震災の特定被災区域で一定条件を満たす住宅は50万ポイント)、内外装の木質化は施工面積に応じて最大30万ポイントを付与。木造住宅の新築・増築と内外装の木質化を同時に行えば、最大60万ポイントがもらえ、地域の農林水産品、農山漁村体験型旅行、商品券との交換などに使えるほか、ポイント発行対象工事以外の木材利用工事の費用に充当する即時交換も可能だ。
 あらかじめ指定する工法とは、木造軸組工法、枠組壁工法、丸太組構法の3種類で、あらかじめ指定する樹種は国内のスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ、アスナロを指定(新築・増築の枠組壁工法と丸太組構法は国内のスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツのみ指定)。
 外材など指定外の樹種を使うには、各都道府県に設置される同事業協議会の推薦を受け、同事業の基金設置法人の委員会から認可・指定される必要がある。
 木造住宅の新築・増築等と内外装の木質化は、いずれも今月1日から来年3月31日までに工事請負契約を結んだ物件であること、あらかじめ同事業事務局に登録した工事業者が施工することなどが条件。共同住宅も対象となる(戸別の申請は不可)。
 木造住宅の新築・増築は、延床面積に応じて主要構造材等に一定量以上の地域材を使うことが条件で、例えば110㎡以上120㎡未満であれば7?以上使用する。主要構造材等には厚さ27㎜以上の間柱材、壁に使う12㎜厚の構造用合板、床に使う24㎜または28㎜厚の構造用合板なども含まれる。
 内外装の木質化は、内装の場合は9㎡以上の床または内壁、外装の場合は10㎡以上の外壁に指定された地域材を使った建材を使用することが条件。 
 なお、木材製品・木質ペレットストーブ等の購入は、今年7月1日から来年3月31日までが対象期間となるが、具体的な実施概要は4月1日時点でまだ検討中となっている。工事業者の登録受付期間やポイントの申請期間などについても、まだ決まっていないが、林野庁では決まり次第、ホームページ等で公表するとしている。
 なお、ポイント交換商品の提供事業者向け説明会が今月11日から19日にかけて全国9都市で開催される。道内・東北では札幌で17日?にかでる2.7、仙台で18日?に東北農政局で、それぞれ午後3時半から5時まで行われる。参加希望者は所定の申込書をFAXするか、同事業事務局に電話で申し込む。
 木材利用ポイントの内容や商品提供事業者向け説明会の問い合わせは同事業事務局へ(?0570-666-799)。
ホームページ・http://mokuzai-points.jp


2013年03月25日号から

震災乗り越えコンテスト開始

エコ・ハウスコンテストいわて2012大賞は日高見工務店

 岩手県内の優れたエコ住宅を表彰する「エコ・ハウスコンテストいわて2012」の大賞が北上市に建つ「カムイヘチリコホの家」(日高見工務店)に決まった。
 このコンテストは岩手県が省エネ・新エネ住宅を表彰する制度として2003年から2005年まで開かれ、そのあとを実行委員会が県との共催のかたちで引き継ぎ、佐々木隆氏(岩手県立大学短期大学部教授)が委員長、長土居正弘氏が事務局長となって運営してきた。2011年分は東日本大震災の影響で見送り、今回が2年ぶり、通算で6回目の大賞表彰となった。
 「快適性を2倍にエネルギー消費を1/2に!」をキャッチフレーズに、Q値1.6W以下、住宅のトップランナー基準において省エネ達成率100%以上を条件に募集し、応募22作品の中から大賞を選出した。
 大賞作品はQ値が0.96W、省エネ達成率351%の省エネ設計。大賞作品は1点のみだが、Q値1.6Wをクリアした作品はすべて認証住宅とし、施主には認証プレートと副賞、設計者・施工者も「エコ・ハウスコンテストいわて」として認証し、基準をクリアーした住宅を2棟以上申請したビルダーには「エコ・ビルダー認証」が発行される。
 応募物件の平均Q値は1.25W、平均C値は0.35、通算の応募数は231作品に及んでいる。長土居事務局長は「省エネ住宅の普及を図ることが震災復興・生活支援の一助になれば」と語っている。

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大賞住宅の外観
http://eco-con.jp/


2013年03月15日号から

木材利用ポイント 4月1日以降の契約分から

 林野庁では、地域材を一定以上利用した木造住宅の新築などに対し、地域の農林水産品や商品券などと交換できるポイントを発行する「木材利用ポイント事業」の概要を発表した。
 ポイントの発行対象は、①木造住宅の新築・増築・購入②内外装の木質化③木材製品・木質ペレットストーブ等の購入―の3つ。
 木造住宅の新築等と内外装の木質化は、今年4月1日から来年3月31日までに工事請負契約して着工・着手し、木造住宅の新築等は柱・梁など主要構造部の51%以上に地域材を利用していること、内外装の木質化は地域材製品を一定面積以上使用することが条件。木材製品・木質ペレットストーブ等購入の期間・条件等は現在検討中だが、木造住宅の新築等や内外装の木質化とは異なる実施期間で行われる予定。
 ポイントは1ポイント1円相当とし、最大発行数はまだ決まっていないが30万ポイントと見られる。ポイント発行申請は6月下旬頃から受け付ける予定で、郵送または各地域に設けられる窓口に各種証明書類を提出する。ポイントは地域の農林水産品、農山漁村体験型旅行、商品券などに交換できるほか、ポイント発行対象工事以外の木材利用工事の費用に充当する即時交換も可能。
 地域材については、都道府県の産地証明制度の認証を受けた木材・木材製品や、民間の第3者機関から認証された森林から産出される木材・木材製品などが該当する。
 なお、ポイントの発行を受けるには、工事を行う住宅会社・リフォーム会社や、木材製品・ペレットストーブの供給事業者が、事務局または各都道府県に設けられる協議会に登録されていることが必要になる。
 住宅会社等の登録受付開始時期やポイント発行申請に必要な書類などは、現在検討中だが、同庁では今後、住宅会社など事業者向けの説明会を予定しており、日程が決まり次第公表する。
 問い合わせは同庁木材利用課木材利用ポイント推進室(tel.03-6744-2496)またはコールセンター(tel.0570-666-799)へ。

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2013年02月25日号から

新品を古く見せる エイジングにブームの予感

20130225_01.jpg2001年にオープンしたテーマパーク・東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパンに、エイジング塗装が本格的に使われた。その後、一般店舗の内装や住宅にまで用途が広がっている。その魅力と道内での現状を取材した。

若い世代のレトロ志向にマッチ

20130225_01_2.jpg エイジング塗装とは、新品の建材をまるで古びた建材のように見せる特殊な塗装技術だ。テーマパークでは、欧米の古い街並みの再現に使われた。それは単に木質建材や建具を古く見せるだけでなく、木材を鉄のように見せたり、モルタルをブリック仕上げのように見せるなど、幅広く応用されている。
 また、長引く景気低迷で過去を懐かしむレトロ志向が若い世代の消費者の間で増えてきた。デザイナーズブランドの服よりも古着を着こなしたり、古民家風や南欧風の飲食店に人気が出るのも同様。

店舗でいち早く採用
低コストで表現力アップ

 この技術を最初に積極的に使うようになったのが、デザイン性の善し悪しが売上アップも左右する店舗内装だ。商業施設や店舗などの塗装工事を得意とする井原塗装㈱(札幌市、井原啓太社長)は、井原社長自身がエイジング塗装の導入を決断。札幌エスタなど人の集まる商業テナントの内装で採用され、飲食店やアパレルショップなどで多く使われている。大型の案件では東京に応援部隊を頼むこともある。
 特にここ2、3年は目立って増えており、内装デザインを担当するデザイナーがエイジング採用を決めることも多いが、予算を抑えて見栄えを良くするため採用されることもあるという。井原社長は、「普通に新品の建材を使っても、安い建材だと表現の幅が限られ、見栄えがしない。安っぽさをうまくカバーする方法としてエイジング塗装にニーズがある」。
 エイジング塗装の技術は建材だけでなく、古い家具の再生にも使われる。塗装が剥げたりキズが付いた古い家具に再塗装をするとき、新品のように仕上げるのではなく、エイジング塗装することで美しく年月を経た状態を再現することができる。
 「エイジング塗装は技術も必要だが、最終的にはその人のセンスや観察力が大事だ」という。たとえば、ドアノブ回りの汚れはどのあたりがひどくなりやすいかなど正確に観察していないと、「汚らしく見える」など逆効果になることも。

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2013年02月15日号から

ローン減税拡大で増税後の負担はどのくらい減るか

20130215_01_01.jpg 1月29日に閣議決定された2013年度税制改正大綱で、住宅ローン減税の延長・拡充が決定。消費税が8%に上がる来年4月以降は最大控除額が200万円から400万円(長期優良住宅・低炭素住宅は500万円)になり、住民税からの控除限度額も引き上げられることになった。果たして消費税アップ分と減税分を比べた場合、住宅購入は消費税率が上がる前と上がった後、どちらがおトクなのだろうか?

来年4月以降、ローン減税拡充

 住宅ローン減税は、ローン残高の1.0%を最大10年間にわたって所得税から控除する税制特例の一つ。適用は今年末まで入居する場合となっていたが、今回の税制改正大綱では2017年末入居分まで4年間延長し、消費税率が8%に引き上げられる2014年4月以降は、控除対象となる借入限度額を一般の住宅で現行の2000万円から4000万円、長期優良住宅と認定低炭素住宅は3000万円から5000万円に拡充する。最大控除額は一般の住宅で年間40万、10年で400万円、長期優良住宅と認定低炭素住宅は年間50万円、10年で500万円となる計算だ。
 低・中所得者層はローン減税の最大控除額より払っている所得税が少ないケースもあるため、所得税から控除し切れない分は住民税から控除することになるが、現行で住民税からの最大控除額が9万7500円となっていた。これを2014年4月以降に入居する場合は13万6500円に引き上げる。

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年収800万円以上になると増税後が有利に

 ただ、住宅ローンで4000?5000万円以上借りるユーザーは、そうはいない。そうなると重要なのは、道内の一次取得者層の中心と言える年収400~500万円の層が年収の4~5倍程度の金額を借り入れる場合、ローン減税拡充の恩恵は受けられないが消費税率が5%で済む今のうちに新築したほうがいいのか、消費税率が上がってもローン減税が拡充される来年4月以降に新築したほうがいいのか、どちらがトクかということだ。
 みずほ総合研究所では、来年4月以降入居の場合、年収の4倍および5倍の金額をローンで借り入れるケースでどれだけ減税額が増えるのかを試算。夫と専業主婦の妻、16歳未満の子供がいる世帯で住宅・土地を購入し、そのうちの8割、年収の4倍および5倍に相当する金額を30年元利均等返済、金利2.2%で借りる条件としている。
 それによると、年収400万円世帯では10年間の減税額が年収の4倍・1600万円借り入れで9万円、同5倍・2000万円借り入れで25万円の増加(購入費用の内訳は住宅62%、土地38%。以下同)。年収500万円世帯では、年収の4倍・2000万円借り入れで増加分はゼロ、同5倍・2500万円では19万円の増加となった。
 いずれも消費税率3%アップ分の金額の半分にも満たず、このままなら消費税率が上がる前に新築・入居したほうがいいということになる。
 同じ条件による年収800万円と1000万円の世帯の試算では、借り入れ額が増える分だけ減税額も増え、年収の4倍のローンでも5倍のローンでも減税増加分は消費税率アップ分を上回り、高額所得者層ほどメリットが大きいことがわかる。

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給付措置の内容にも注目

 それでは低・中所得者は消費税率が上がる前に急いで新築・入居したほうがいいのかどうかだが、できればその判断は今年の夏までに決定される予定の給付措置の内容も含めて考えたいところ。
 給付措置とは、ローン減税の効果が薄い所得層に対する現金給付のことで、一部ではローン減税で住民税からも控除し切れなかった分を給付する内容になるのではないかと言われている。国ではローン減税と同様に2017年末まで実施し、減税とあわせて住宅取得にかかる消費税の負担増加分をかなり緩和するとしている。
 なお、今回の住宅ローン減税の延長・拡充は、5%から8%への消費税率引き上げにともなう住宅需要の落ち込みを緩和することが目的だが、2015年10月に消費税率が8%から10%へ引き上げられる時の負担緩和までは盛り込まれていない。そのため、駆け込み需要とその反動減は、消費税率が5%から8%に上がる時より、8%から10%に上がる時のほうが大きいという予測もある。

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2013年02月15日号から

省エネ新基準告示。施行は10月 2015年3月末まで旧基準適用も認める

 去る1月31日、外皮平均熱貫流率=UA値と冷房期の平均日射熱取得率=ηA値、一次エネルギー消費量で判断する省エネ新基準(エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準)が告示された。住宅の施行は10月1日からで、2015年3月31日までは経過措置として旧基準(次世代省エネ基準)の適用も認める。建築物の施工は4月1日から。
 住宅は、省エネ性を熱損失係数=Q値ではなく、UA値とηA値、暖冷房・給湯・換気・照明・家電等の一次エネルギー消費量で判断する基準となった。ただし、北海道・東北・信越などはηA値の基準値を、沖縄はUA値の基準値を定めていない。
 UA値は住宅全体の総熱損失量を建物外皮の面積で割った値で、Q値と同じく値が小さければ小さいほど断熱性能が高いことを表わす。断熱性能の水準としては次世代省エネ基準程度。
 一次エネルギー消費量は、設計時の断熱仕様と暖房・冷房・給湯・換気・照明・家電等の設備をもとに設計消費量を算出。次世代省エネ基準相当の躯体に2012年時点で一般的な性能の設備を組み合わせた時の消費量(=基準消費量)を下回れば、基準クリアとなる。太陽光発電を設置する場合は、自家消費分の発電量のみ設計消費量から差し引くことが可能。
 また、地域区分を改め、Ⅰ?Ⅵ地域を1?8地域とし、道内は主に道北・道東を中心とした1地域と、道央・道南を中心とした2地域に分かれる。函館など道南の一部地域は3地域に区分される。
 なお、長期優良住宅認定制度や住宅性能表示制度の省エネ対策等級は、来年度に省エネ新基準への対応が決まる。改正基準が反映される時には、現行の等級4基準の上に等級5として低炭素建築物認定基準が用いられるとの見方もある。

 省エネ新基準の告示にあわせて、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηA値)をパソコンで計算できるプログラム「住宅の外皮平均熱貫流率及び外皮平均日射熱取得量(冷房期・暖房期)計算書」が、?住宅性能評価・表示協会から公開された。ホームページからダウンロードできる。
 このプログラムは、Q値計算ソフトのQPexと同じく表計算ソフトのエクセルを使用。住宅各方位の壁面・窓や屋根・床・基礎ごとに、面積と熱貫流率、熱抵抗値などを入力すると、UA値とηA値などが自動的に算出される。

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 住宅の外皮平均熱貫流率及び外皮平均日射熱取得量(冷房期・暖房期)計算書ダウンロード・http://www.hyoukakyoukai.or.jp/teitanso/gaihi.html


2013年02月05日号から

札幌市25年度予算案

札幌版次世代モデルに補助 エコ設備補助は蓄電池も対象に

 札幌市では、平成25年度予算案で札幌版次世代住宅のモデルハウス建設に対する補助を計画。エコリフォーム補助についても引き続き行うほか、エコ設備設置に対する補助事業・札幌エネルギーecoプロジェクトでは、太陽光発電と一緒に設置する蓄電池も補助対象に加える予定だ。
 昨年から始まった札幌版次世代住宅への補助については、一般市民向けに加え、新たに東区東雁来の分譲地・ウェルピアひかりのに建設するモデルハウス向けを新設。予算枠はモデル向け・市民向けを合わせて6400万円で、前年度の2倍以上。1戸あたりの補助額はトップランナーが200万円、ハイ〜ベーシックレベルが50万円で、モデル向け・市民向けとも同じ。
 モデル向けは予算要求の段階でトップランナーとハイレベルが各2戸、スタンダードが4戸の予定で、1戸あたりの補助額はトップランナー350万円、ハイレベル300万円、スタンダード150万円だった。市の担当者によると、財政局の査定で補助額が市民向けと同じになったことで、どの性能等級を何戸建設するかは、まだ正式に決まっていないという。募集は市民向けは5月からということになりそうだが、モデル向けはそれより早く開始したいとしている。
 一定条件の省エネ改修・バリアフリーリフォームを対象とするエコリフォーム補助は、予算枠1億円で、最大50万円の補助額や応募条件などについては前年度と変わらない予定。ただ、1件あたりの補助額の算出式については、金額を抑える方向で見直すことにより、できるだけ多くの市民が利用できるようにする。募集時期については昨年同様、5月の連休明けと、8月後半の2回に分けて行う考え。
 太陽光発電やエコキュートなど省エネ・エコ設備の設置に補助を行う札幌エネルギーecoプロジェクトは、予算枠が2億7750万円と、補正予算を含めた前年度予算と同額。対象となる設備には新たに蓄電池が加わる予定だが、単独設置ではなく、太陽光発電と同時に設置する場合のみ補助を行うという。補助額は確定していないが、募集枠としては5台程度を想定。また、エコジョーズとヒートポンプを組み合わせた「VIVIDO」(ヴィヴィッド)も対象にするかどうか検討中だ。
 各設備の補助額は、前年度の抽選倍率が高かったことから、上限が引き下げられる可能性がある。募集は昨年と同じく年5回に分けて行い、申し込みが多ければ抽選にする予定だ。
 なお、予算案は昨年11月に各担当局の予算要求が行われ、現在、財政局の査定が終了した段階。最終的には市長の査定を経て議会で議決されるため、今後変更される可能性もある。

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表の上の通り


2013年01月25日号から

2013年着工予測 道内38,000戸に迫る

20130125_01_01.jpg ほぼ確定とみられる消費税率アップを目前に控えた2013年の住宅着工は、北海道では38,000戸に迫り、全国では96万戸程度まで伸びる見込み。ただし、戸建て・マイホーム系の駆け込みは薄いとみられ、北海道は賃貸マンションに支えられた成長になりそうだ。

堅調な持家、急増する賃貸マンション

 財政出動によるインフレ誘導でデフレ脱却を目指す安倍首相の登場により、2013年は明るい雰囲気で幕を開けた。住宅業界も今年への期待感が強い。
 現時点では2012年の住宅着工戸数が確定していないが、北海道は3万4000戸台、全国では87万戸程度となり、いずれも成長を記録した。
 まず北海道だが、大きな特徴は賃貸マンションが急成長する一方、持家と建売はほぼ前年並み、分譲マンションはマイナス成長に至りそうだという点だ。
 持家・マイホームは昨年初めから予想されたとおりの踊り場景気となったが、意外な動きとなったのが賃貸と分譲のマンションだ。賃貸はファンド系の投資マネーが入っているともいわれ、対前年比でほぼ1.3倍と急成長。一方で在庫の減少が続く分譲マンションは予想以上に着工が伸び悩んでいる。中古マンションの増加や資材高によって価格設定が難しくなっているからといわれる。
 いずれも札幌圏を中心とした動きではあるが、投資目的のマンションは地方の主要都市にも広がっているとされ、函館、釧路、帯広は貸家が高い伸びを記録した。

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2013年01月15日号から

省エネ新基準と低炭素基準の基本

20130115_01_01.jpg 昨年12月にゼロエネルギー住宅への誘導基準となる低炭素建築物の認定基準がスタートし、今年4月には住宅省エネ化のベース基準となる省エネ新基準が施行予定だ。これらの基準のポイントは何か、家づくりにどう関わってくるのかをまとめた。

その1 どんな基準なのか?
外皮平均熱貫流率と一次エネ消費で判断

 省エネ新基準は、1999年に施行された次世代省エネ基準(11年基準)を14年ぶりに一新。国の住宅省エネ政策のベース基準としての役割を担うことになる。低炭素建築物認定基準は、昨年9月に公布された「都市の低炭素化の促進に関する法律」(低炭素まちづくり法)において、住宅・建築物の低炭素化促進を目的に創設された低炭素建築物認定制度の基準で、省エネ新基準の上位基準であり、国が目指すゼロエネルギー住宅への誘導基準でもある。
 これまで住宅の省エネ基準は、主に熱損失係数=Q値で適合を判断していたが、省エネ新基準・低炭素建築物認定基準は、ともに外皮平均熱貫流率(UA値)と一次エネルギー消費量で適合を判断。断熱性能と設備性能をあわせて総合的に住宅の省エネ性能を判断する基準になった。さらに低炭素建築物認定基準は8種類用意された低炭素化措置の中から2つ以上を採用することが必要になる。
 外皮平均熱貫流率は、住宅の総熱損失量を外壁・床(基礎)・天井の表面積で割ったもので、単位はW(/㎡・℃)。数値が小さければ小さいほど断熱性能が高いのはQ値と同じだが、Q値のように建物形状や延床面積による有利・不利が少ないほか、熱交換換気による熱回収効果は加味されなくなり、単純に建物外皮の断熱性能だけを評価する。要求される性能レベルについては、次世代省エネ基準程度だ。
 一次エネルギー消費量は、省エネ新基準の場合、設計時の断熱仕様と暖房・冷房・給湯・換気・照明・家電等の設備から算出した設計消費量が、次世代省エネ基準相当の躯体に2012年時点で一般的な性能の設備を組み合わせた場合の消費量を下回れば、基準クリアとなる。低炭素建築物認定基準も同じ方法で適合を判断するが、省エネ新基準と比べて10%以上の設計消費量削減が求められる。また、家電等の消費量は計算に含まない。いずれの基準も太陽光発電を設置する場合は、発電量のうち売電分を除いた自家消費相当分を差し引くことができる。

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2013年01月05日号から

省エネ新時代の家づくり

「環境の変化とその対応」アンケートから

20130105_01_01.jpg 2020年までに義務化される省エネ基準の改正、低炭素建築物認定制度の創設、電気料金改定など、住宅づくりを取り巻く環境は大きく変わりつつある。このような状況に、住宅会社はどう対応するのか。本紙で108社の協力を得て調査を行った(一部建材設備メーカー等も含む)。

アンケート①:熱源と暖房・給湯設備の選択
道内は4割前後が「迷っている」

 改正省エネ基準が断熱性能だけでなく、一次エネルギー消費量もあわせて判断する基準になることで、道内など積雪寒冷地では住宅のエネルギー消費量の多くを占める暖房・給湯の熱源・設備の選択が重要になってきた。
 特に電気蓄熱暖房器や電気温水器など、一次エネルギー消費量の面で不利な"電気生焚き"の設備で省エネ基準クリアは相当厳しい。北海道電力が5時間通電機器割引とマイコン割引を廃止したこともあり、住宅会社はこれからの熱源・設備に何を使うか、イニシャル・ランニングコストや維持管理を含めて総合的に考える必要性が出てきている。
 そこでまず、暖房・給湯の熱源と設備について、変えるのか変えないのか、迷っているのかを聞いたところ、暖房は「迷っている」が36%で最も多く、続いて「変えない」が34%、「変える」が23%。給湯は「変えない」と「迷っている」が38%で並び、「変える」が17%。暖房・給湯とも何を使うか決めかねている住宅会社が4割近くに達した。
 特に道内では、「迷っている」が暖房で39%、給湯で42%となり、それぞれ多くの会社が迷っている。

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2013年01月05日号から

アンケート:メーカーショールーム

お気に入り1位はLIXIL

20130105_02_01.jpg 住設建材メーカーのショールームは、住宅会社やユーザーが実際の商品を見て、触れることができる場。色合いや質感、使い勝手などの確認など、仕様を決める際に役立つほか、ユーザーとの打ち合わせや商談、講演会、セミナーなどのイベントスペースを用意したショールームもあり、住宅会社にとっては利用価値が高い。ここ数年は札幌の創成川東側、いわゆる"創成川EAST《イースト》"に各メーカーが相次いで出店し、一躍ショールームの激戦区となったことも話題となった。
 そこで最も気に入っているメーカーショールームはどこかを答えてもらったところ、LIXILが40%で1位に輝き、パナソニックが28%で2位。以下、3位タカラスタンダード(15%)、4位TOTO(11%)、5位クリナップ(9%)となった。
 1位のLIXILは道内各地域でトップとなり、特に道北では6割近い支持を得た。その理由としては、「品揃えが良い」が62%で最も多く、住設建材メーカー5社の統合によって水回り設備から内外装材、建具、窓、太陽光発電などまで揃った豊富な商品ラインアップが評価されているようだ。
 2位のパナソニックは、本州で36%と最も多くの支持を集め、道内各地域でも2番目に支持されている。気に入っている理由は、「品揃えが良い」が45%で一番多いが、続いて「接客がていねい」が38%、「レイアウトが良い」が28%となっており、この2つは1位のLIXILを上回る。
 3位のタカラスタンダードは東北と道東、4位のTOTOは道南でそれぞれ2?3割の支持があり、その理由のトップはいずれも「接客がていねい」で、タカラスタンダードは73%、TOTOは60%に達した。5位のクリナップは道央・道南・東北で一定の支持を集め、気に入っている理由は「接客がていねい」と「レイアウトが良い」がそれぞれ44%でトップ。「雰囲気が良い」も33%と、上位5社では最も多かった。
 ショールームへの要望・改善点では、「品揃えを良くしてほしい」が37%で1番多く、「営業時間を延ばしてほしい」が32%で2番目に多い。3番目は「商品を見やすくレイアウトしてほしい」で21%。道内は全体と同じ傾向だが、本州は「商品を見やすくレイアウト」と「品揃えをよくしてほしい」が33%で並び、最も多くなっている。


2013年01月05日号から

アンケート:仕事の悩み・課題 職人不足やコストアップなど

20130105_03_01.jpg3社に1社は「受注に時間かかる」
 それによると、受注面で最も多かったのが「受注までの時間がすごく長くかかる」で33%。次いで、「ユーザーとの接点づくり」が24%、「ユーザーの好みにあった提案が難しい」が18%、「初対面で商談に持ち込めるプラン・商品がほしい」が14%、「若い年代と共感するのが難しくなってきた」が13%となった。
 「受注まで時間がかかる」は、道南で57%、東北で44%と多いのが特徴。時間がかかる理由としては、「お客様が忙しい」(道央)、「こだわりの強いお客様が増えているため」(道北)などを挙げる例が目立つ。
 「ユーザーとの接点づくり」は、東北で50%と高い回答率になった。接点づくりで悩む理由は「やはり最初の出会いのチャンスをどう作るかが問題」(道央)、「見学会の開催数が少なく、営業マンもいないため」(道北)、「集客方法で悩んでいる」(東北)と、効果的な集客を模索している様子がうかがえる。
 「ユーザー好みの提案が難しい」は、道東で35%と多く、逆に道北では6%と少ない。なぜ難しいのかというと、「ユーザーの情報量が多過ぎて、どんな提案をすればいいか難しい」(道東)、「ユーザーニーズが多様化しているため」(関東)などを理由に挙げている。
 また、「ユーザー好みの提案が難しい」と回答した住宅会社の半数近くは設計面で「仕様決めまで時間がかかる」と答えており、ユーザーへの提案に悩んでいる場合、2社に1社は仕様決めの時間も長くなる傾向にある。

道東は7割が「職人不足」訴える
 工事面では「大工を含む職人不足」が46%に達し、「コストが上がっている」が34%。「コスト削減がここ数年の課題」が30%となった。
 「職人不足」は特に道東で69%、道北で59%と多く、最も少ない道央は22%にとどまる。不足している理由としては、もともと絶対数が足りないという声のほか、職人の高齢化・着工時期の集中・東日本大震災被災地への流出を挙げる住宅会社が多く、中には「基礎・板金工事が1ヵ月以上待たされた」(道南)こともあったという。
 「コストが上がっている」は、道内が39%なのに対し本州では19%と、道内のほうが悩んでいる住宅会社が多い。理由を見てみると、「建物の性能・品質レベルを上げているため」(道央)、「手間のかかる構造・仕様や断熱性アップのため」(道東)など、一定の性能・品質を確保するためにコストがかかっているという声のほか、「全体工事量の減少の影響で、資材等(生コン・建材)の価格が上昇しているから」(道東)と、市場の縮小が資材等の値上げにつながっているという指摘もあった。
 「コスト削減がここ数年の課題」は、道央で38%と多くなっている。これは札幌など受注の激戦地を抱える地域だけに、他社より少しでもコストダウン・低価格化することを考える傾向が強いようだ。理由としては「予算の厳しい一次取得者の対応」や「お客様の年収減で融資枠が減ってるから」など、予算の少ないユーザーを意識したものが目に付いた。

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2013年01月05日号から

消費税アップのBefore/Afterに備える

20130105_04_01.jpg 政権交代によって落ち着かないが、自民党政権下でも消費税率はほぼ間違いなく上がる。来年(2014年4月)の税率アップを境に住宅市場は一変するとさえ言われる。残された時間は1年と3ヵ月だ。

 住宅会社にとって消費税アップ問題は、税率が数%上がることよりも、それによって住宅着工が大幅に減少し、その後も回復しなかった1997年の二の舞になる心配が、問題の中心だと言って良い。
 住宅着工は、少なく見積もって税率アップ後に3割程度減少するというのが大方の見方だ。これによって住宅供給力が過剰になる。税率アップのビフォー/アフターで施工棟数を維持する会社もあるから、そうなればますます供給過剰だ。
 ではどんな備えが必要か。整理すると、受注が減少しても会社が存続できるスリム化、絞り込んだ有効な宣伝、受注維持のための仕込み、内部留保の積み増し、そして社員教育が、消費税率アップへの備えということになる。
 住宅産業塾の塾長で、コンサルタント会社・日菱企画㈱社長の長井克之氏にポイントを聞いた。

受注維持の仕組み マーケティング

 住宅会社・工務店にとっていちばん欠けており、一番大切なことはユーザーを見つめたマーケティングをしっかりやること。工務店はものづくりからスタートしている、とは言え、棟梁を中心とした家づくりの仕組みはすでに崩壊している。昔ながらの仕組みはできないことをまず、直視しなければならない。そのうえで、いま成功している若手経営者をみると、デザインと仕組みで攻めてきている。なぜデザインと仕組みなのか。それはマーケティングの結果、消費者のニーズが「デザインと仕組みのわかりやすさ」にあるにもかかわらず、業界の現状はその分野が弱いからだ。
 タマホームの成功もマーケティングの成功だ。住宅業界には価格表示の慣習はあったが、それをわかりやすく展開したことで大成功したのだ。
 では工務店・地場ビルダーにとってやるべきことは何か。弱い設計力と土地手配力を強化すること。社外のスタッフ・企業との連携でも良い。地域の生活者として会社を経営し、地域と顧客に密着すること。これこそが大手にできないマーケティングの実践だ。

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2012年12月25日号から

ダウ化工 札幌工場を4年ぶりに再稼働

20121225_01_01.jpg ダウ化工(株)は13日、北広島市内にある札幌工場で取引関係者らを招いて開所式を行い、今年11月15日から札幌工場を再稼働したことを発表した。
 同工場は道内の断熱材需要の落ち込みにより2008年9月にいったん生産設備を廃止。その後は、笠岡(岡山県)、鹿沼(栃木県)の2工場で押出発泡ポリスチレン断熱材を生産していた。
 住宅エコポイントで断熱材需要が高まり、その後も震災後の復興需要や省エネに対する意識向上で生産能力の増強が必要と判断、昨年6月に札幌工場を再稼働する計画を発表した。
 札幌工場は、生産設備等のほとんどを新規に入れ替え、米国の親会社ダウ・ケミカルの安全基準に沿った最新の安全設備も導入した。札幌工場の生産開始で、スタイロフォームの国内生産能力は2割増強する。
 同工場では、昨年発売した高性能品「スタイロフォームEX」を中心に、「スタイロエースⅡ」や「スタイロフォームB2」などの生産を行う。これらの製品については北海道を中心に東北にも供給される。
 開所式では、同社社長のスポット・ケートプラカーン氏が「一度閉鎖した工場を再開できることは感慨深い。これはお客さまのご支援や支持があったからだ。
 今後もみなさまのご支援をいただきながら、継続的に製品を供給できるよう全力を尽くしたい」と述べた。

[写真]開所式であいさつするスポット・ケートプラカーン社長


2012年12月25日号から

フラット35Sに低炭素住宅追加

 住宅金融支援機構は、フラット35S(金利Aプラン)の基準に「認定低炭素住宅」を12月4日から追加した。
 フラット35Sは、省エネルギー性、耐久性、バリアフリー性など4分野の条件をどれか1つ以上満たせばフラット35と比べて一定期間金利を0.3%優遇する。クリアする内容によって優遇期間10年の「金利Aプラン」と5年の「金利Bプラン」がある。
 今回、金利Aプランで省エネルギー性の条件に『認定低炭素住宅』を追加し、借入対象となる住宅費用に認定費用も含められるようになった。
 住宅金融支援機構北海道支店によると、フラット35の11月申込は、北海道支店受付分で435件と今年度最高だった10月の456件に次ぎ、2ヵ月連続で400件を超えた。同支店によると、「金利優遇幅の大きかった旧制度での申込分が一部ずれ込んだことも大きい」と見ている。窓口の金融機関に申し込んだ時点で申込は受理されるが、金融機関から同機構に書類が届いたのが11月というケースが数多くあるようだ。
 問い合わせは同機構道支店へ(tel.011-261-8306)。


2012年12月15日号から

輸入建材取扱いの資格制度創設

IBMA 来年3月6日に第1回試験

 NPO輸入建材協議会(IBMA)では、輸出国と日本の商慣習や品質・規格の違い、納期や輸送途中の汚損・破損に対するリスクなど、輸入建材を取り扱う上で知っておくべき知識・ノウハウを持つ「輸入建材マイスター」の育成・認定を開始。来年3月6日(水)に東京で第1回認定試験が行われる。
 現在、日本国内には様々な輸入建材が出回っているが、JAS・JIS認定の製品もあれば、現地の仕様・規格の製品もある。また、輸入は最初に現地の供給業者と品質・数量・価格を明示した契約書を交わし、銀行のLC(信用状)も開設するのが一般的だが、現地の商慣習の理解不足や言葉の違いによるコミュニケーション不足などがトラブルの発生につながることも輸入業者は十分認識しておく必要があるという。
 そこで輸入建材に長年携わってきた企業の集まりである同協議会では、輸入業務のスキルの向上などを目的に、輸入建材マイスター制度を創設。輸入建材業者はもちろん、輸入建材の採用ビルダーなども対象に、輸入建材取り扱いに関する資格認定試験を実施する。
 認定試験は誰でも受験可能で、第1回試験は3月6日(水)午後1時から2時45分まで、東京ビッグサイト会議棟8階802号室(東京都江東区有明3-11-1)で行う。直前模擬試験も当日午前9時から正午まで実施。申込期間は今月20日(木)から来年2月10日(日)まで。受験料は1万500円、直前模擬試験参加料は5250円(いずれも税込)。合格発表は4月5日(金)。
 合格者は同協議会の登録手続(3年間・1万500円)を行うことにより、「輸入建材マイスター」登録カードが発行される。資格取得者のメリットとしては、1.同協議会ホームページに氏名・所属(任意)を掲載2.所属を掲載する場合は、取り扱い建材の安全性や流通性・メンテナンス性が一定以上の水準にあることを同協議会が認定する「推奨建材」の認定検証を無料で実施3.会員限定セミナーへの参加(参加費別途)など。また、同協議会の建材輸入ノウハウや、法規制・解釈の知識なども提供してもらえる。
 申し込み・問い合わせは同協議会資格試験実行委員会事務局へ(tel・FAXとも03-3492-5513)。
ホームページ・http://www.ibma.or.jp


2012年11月25日号から

省エネ基準・低炭素認定基準 12月上旬公布

 住宅・建築物の省エネルギー基準と低炭素建築物の認定基準が固まり、12月上旬に告示される。低炭素建築物の認定基準は即日施行、省エネ基準は来年4月1日の施行。省エネ基準の改定は1999年(平成11年)以来13年ぶり。8年後の2020年までにすべての新築住宅・建築物に対して適合を義務化する。

省エネ基準:来年4月施行
住宅全体を一次エネルギーで評価

20121125_01_01.jpg 地球温暖化防止に加え電力不足に対処し、省エネ強化によってエネルギー需給を安定化させるため、今回の省エネ基準改定では①住宅全体のエネルギー消費量を評価する基準に変更②評価の方法は一次エネルギー消費量とする③一次エネルギー消費量基準とは別に外皮の断熱基準を設定し両方をクリアすることとした。
 省エネ基準は住宅・建築物の最低性能を定める基準とし、誘導基準は同時に告示される低炭素建築物の認定基準に譲る。
 新基準への適合を判断する計算ソフトが11月26日にリリースされる予定。正式版は公布日にリリースされる。

 新基準は、住宅で使われるすべてのエネルギーを、一次エネルギーで規制する内容となる。具体的には、暖冷房+換気+照明+給湯+家電等の合計一次エネルギー消費量試算値を上回らないこと。この時、試算値から太陽光発電などによる自家発電の自家消費分を差し引いてよい。現行の事業主基準(トップランナー基準)とほぼ同じ仕組みになるわけだ。
 パブリックコメントによって新たに太陽熱と排熱利用についても基準に位置づけることに決まった。暖房・給湯エネルギー評価において、太陽熱利用の暖房・給湯システム、排熱利用設備を導入するときは、太陽光発電と同様にこれらの熱供給を差し引いてよい、ということになりそうだ。
 一方で、断熱基準も残した。これはヒートショックや結露防止など室内温度分布の確保のためとしている。基準のレベルは次世代省エネ基準相当だが、評価方法は外皮の平均熱貫流率(通称U値)。純粋に断熱厚だけを規定する趣旨だという。

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2012年11月05日号から

道住宅都市開発協会 相続税対策は不動産投資でアパート建設など効果的

20121105_01_01.jpg (社)北海道住宅都市開発協会では、去る10月18日に札幌商工会議所との共催で特別講演会「よくわかる相続のはなし」を札幌市内で開催。同協会・協議会の会員や一般市民を前に、ファイナンシャルプランナーで岡嶋事務所代表の岡嶋宏明氏が相続税の計算方法や節税対策、スムーズな相続のポイントなどを紹介した。
 岡嶋氏は、相続税とは死亡した人から一定以上の財産を受け継いだ場合に課せられる税金で、相続税額を安くするためには生前の計画的な財産贈与や墓地購入、生命保険への加入などが考えられるが、特に効果的なのが不動産投資だと強調。
 その理由として「例えば固定資産税の課税標準額が1000万円の200㎡の土地にアパートを建てると、建物の固定資産税は新たにかかってくるが、土地の固定資産税は6分の1、都市計画税は3分の1になる。妻や子どもなど相続する人数分だけ建てておけば、建物ごとに多少の収益差が出ていてもトラブルになることは少なく、円満相続につながりやすい」と不動産投資のメリットを説明。参加者は真剣な表情で岡嶋氏の話に聞き入っていた。
[写真] 岡嶋氏


2012年10月15日号から

民間賃貸で人口流出を防げ 町村が公住の代わりに大型補助

20121015_01_01.jpg過疎に悩む道内の自治体は、人口の流出防止と定住促進が大きな課題となっているが、これらの課題を解決するためには一定数の住宅を確保することが必要。これまでの公的住宅に代えて、最近では手厚い補助で民間賃貸住宅の建設を促し、住宅を増やそうと考える自治体が目に付くようになってきた。

 自治体から人口が流出し、定住も進まない原因としては、十分な医療が受けられない、仕事がない、住むところがないという"医・職・住"の問題が大きい。特に住宅に関しては、例え仕事があって医療機関が充実していたとしても、住むところがなければ定住も移住もできないだけに、早急に解決したい問題だ。

20121015_01_02.jpg 住宅を確保する手段としては公営住宅を建設する手段もあるが、多くの自治体が財政難に悩む中、新たな公営住宅の建設は維持管理までかかる費用も含めて考えると、なかなか難しい。また、年収基準があるため入居したくても入居できなかったり、年収基準をオーバーしても住み続ける入居者がいるために空きがなかなか出なかったりすることから、定住しようとする人やIターン・Uターンを考えている人の受け皿として機能しにくいという面がある。
 このような中、最近出てきた自治体の動きとして注目されるのが、民間の賃貸住宅建設に対する補助だ。民間賃貸であれば自治体の維持管理負担はなく、入居者に年収制限もかからない。地元業者による建設を補助要件とすれば地場にお金が落ちることにもなる。
 本紙の調査では今年度民間賃貸住宅の建設に補助を行っている自治体は16にのぼり、補助額は1戸あたり最大400万円というケースもある。総じて新築戸建ての持家より手厚く、自治体の民間賃貸住宅に対する期待の大きさがうかがえる。

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2012年09月25日号から

断熱住宅で移住誘導も

青森県蓬田村が木造の断熱村営住宅

 青森市に隣接する青森県蓬田(よもぎた)村は昨年度から5年計画で全50戸の村営住宅建設を開始。すべて木造の断熱住宅で、入居者から「最高だ」という口コミも広がっている。

20120925_01_01.jpg 同村は人口約3000人、県庁所在地の青森市からバイパス道路が完成したことで通勤圏内となり、移住も視野に住宅整備に乗り出した。1万7700m2の敷地に木造平屋の長屋建てを合計20棟建設する予定で、昨年度はこのうち6棟、15戸を完成させた。
 性能面は、Ⅱ地域の次世代省エネ基準であるQ値1.9W/m2・Kをクリアすることを条件とし、設計事務所や地元工務店が協力して断熱仕様と納まりを決定した。
 青森県はほとんどの市町村がⅡ地域だが、県庁所在地の青森市がⅢ地域で、雪に対する備えに比べて寒さ対策が遅れており、青森市の2003年度の調査では、暖房費が秋田市に次いで全国2番。はるかに寒冷な札幌より高いことが明らかになっている。青森では、戸建てなら年間で暖房灯油2000リットルと言われており、このような中、村営住宅では暖房費の安さと室内の快適性を特長としたい考えが計画段階からあった。
 蓬田村には、室蘭工業大学鎌田紀彦教授が代表理事を務めるNPO法人新住協に加盟し、断熱・気密施工の経験豊富な木戸建設(木戸鐵雄代表)、小松工務店(小松宗代表)、森の風工房・藤本建築(藤本好司代表)の3社がおり、みがいたノウハウを村営住宅の工事に投入した。
20120925_01_02.jpg 完成した住宅は高齢者タイプの2LDK74m2、一般タイプの2LDK67m2、1LDK54m2の3タイプ。高齢者タイプはスロープつきの車イス対応プランで、玄関、ホール、ユーティリティのスペースを広く取ったほか要所に手すりを配置した。設備はオール電化。
 入居は6月から。入居者の1人は「娘が嫁いで蓬田村に住んでいるので、青森市から引っ越してきた。とても快適だし、夏は風が通って涼しい。来年は畑もやりたい」と話してくれた。
 また、子育て世代の入居者は、勤務先の青森市内で蓬田村営住宅が「とても快適で最高だ」と同僚に宣伝し、口コミで空き室の問い合わせが舞い込んでいるという。
20120925_01_03.jpg 古川正隆村長は「子供も高齢者もいっしょに暮らすまちで活気があり、平屋なので生活騒音がうるさい心配もない。何より冬も暖かく省エネな家になっているので暖房費も安いはずだ」と語る。
 同村では、この冬、室温と暖房エネルギー消費のデータ取りも検討中だ。


[写真 上から]
・1棟3戸、高齢者タイプのエントランス。屋根は1/100こう配
・玄関たたきにもスロープがついている
・村営住宅を背景に古川村長


2012年09月05日号から

断熱規制の強化なし

2020年の義務化前提にした新しい住宅の省エネ基準案

一次エネルギー消費量と断熱厚を規定

1999年(平成11年)以来13年ぶりとなる住宅の省エネルギー基準改定案が、去る8月21日に国土交通省から公開された。今月中にもパブリックコメントのかたちで国民の意見を聴き、年内に公布・施行される見込み。この基準案は、8年後の2020年までにすべての新築住宅・建築物に対して適合を義務化することを前提としている。

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 国の住宅省エネに関する政策の大枠:今回の省エネ基準案が義務基準として最低限の省エネルギー性能を規定。誘導基準の役割を果たすのは、去る8月29日に成立した「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づく「認定低炭素住宅」の認定基準となる。この法律は近く公布され、年内には認定基準が制定される(3面に関連記事)。
 さらに、経済産業省・国土交通省・環境省は、「低炭素社会に向けた住まいと住まい方」の推進方策の中で「2020年までに標準的な新築住宅でネットゼロエネルギー住宅(ZEH)を実現し、2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現する」としている。
 これらをまとめると:義務化基準、誘導基準、ZEHと省エネ性能を高める方向へ政策が進行していくことになる。今回の省エネ基準案は、その底辺を担う義務化を前提とした基準だ。
 現行の基準である通称次世代省エネ基準は、基本的には断熱性能と熱損失を規定する内容となっていたが、新基準はこの点がまったく変わる。

 新基準:住宅で使われるすべてのエネルギーを、一次エネルギーベースで規制する内容となる。具体的には、暖冷房+換気+照明+給湯+家電等の合計一次エネルギー消費試算値が基準値を上回らないこと。この時、試算値から太陽光発電などによる自家発電の自家消費分を差し引いてよい。現行の事業主基準(トップランナー基準)と同じ仕組みになるわけだ。
 断熱基準も残した。これはヒートショックや結露防止など室内温度分布の確保のためと説明している。基準のレベルは次世代省エネ基準相当だが、評価方法は外皮の平均熱貫流率(通称U値)とし、熱損失係数(Q値)方式を採用しない。純粋に断熱厚だけを規定する趣旨だという。
 重要な変更点があと2つある。1つは地域区分の呼び名変更。表のように、従来のⅠ地域は1、2地域に分かれ、東北などⅡ、Ⅲ地域は3、4地域となる。また、1~4地域は日射遮へいの基準がなくなった。日射遮へい性能が冬場の日射取得を減らしエネルギー増加につながるためと説明している。

暖房:熱源によって基準に大きな差
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 肝心の基準内容だが、今のところ基準の一例と、東京を含む新6地域での試算例しか発表されていない。住宅面積によって基準値が変わるなど非常に細かいが、例えば給湯は熱源機と世帯人員で決めるなど部分的に簡略化されている。このうち、暖房と冷房については基準数値が示されている。全館暖房の場合の基準を表にした。数値は一次エネルギーなので、これを編集部で灯油と電気消費量に換算してみた。
 札幌を含む2地域、120m2の例では、灯油でおよそ1,860リットル、電気で7,000kWhとなり、灯油なら楽勝だが電気ならヒートポンプを採用するかQ値を1.2W程度まで上げる必要がある。一次エネルギー換算では、熱源によって消費量が大きく異なることが特徴だ。


2012年09月05日号から

編集長の目 基準案に思う

首都圏の規制強化が必要なのでは?

20120905_02_01.jpg 今回の省エネ基準案は、省エネ性を燃費のかたちで規制し、それとは別に最低限クリアすべき断熱厚を平均熱貫流率によって規制する形式を取っている。これ自体はよいと思う。ただ、最低限の断熱規制が13年前の通称次世代省エネ基準(平成11年基準)レベルで良いのかどうかは疑問だ。
 1999年に定めた基準をその21年後の2020年に義務化することを2012年に決めるというのは、あまりにスピード感がない。
 断熱規制を強化しなかった理由として、国交省は中小工務店の対応が遅れていることへの配慮と、経済へ悪影響を及ぼさないためと説明している。規制のレベルは、業界内部ではなく、電力不足などを背景とした昨今のエネルギー問題と関連させて、国民レベルで評価すべきだろう。それにしても、東京を含む6地域の基準がこれほど甘くて本当に良いのか。機器による省エネに重点が置かれていることも気になる。
 規制案の中でぜひ修正してほしい点がある。それは北海道・東北を中心とする1~4地域の日射遮へい規制を撤廃したこと、沖縄・8地域の断熱規制を撤廃したこと。その根拠は2面に触れたように北では暖房エネルギーの増加につながり、南では冷房エネルギーの増加につながるからと説明しているが、これは研究不足だ。冷房負荷を減らすためには、北でも日射遮へいが必要だし、沖縄では屋根断熱が有効。むしろ規制を強化すべきだ。

一次エネルギー評価には反対

 基準案を策定した委員は、『躯体と設備をいっしょに評価する世界に誇れる基準になっている』と胸を張ったが、細かすぎる心配がある。
 細かく設定すればするほど正確なシミュレーションができる。一方で、めんどうな基準は、生産現場のコストアップにつながり、いくら細かくても場合によっては実態を反映しない場合もある。詳細な基準内容が示されていないが、この点が心配材料だ。
 最後にひと言付け加えたい。一次エネルギーで住宅の省エネ性を評価することに自分は以前から反対だ。消費者に、熱源選択の自由がないからだ。いちばんの問題は電力。消費者は発電源を選んで電力契約することができない。一次エネルギーを選ぶことができないのだ。それなのに省エネ規制のかたちで結果責任を負わせるのは間違った制度だと思う。消費者や住宅会社に対して、国はエネルギーの使用量を規制すべきだ。


2012年08月05日号から

特集 工務店支援サービス ―上手く活用して効率を上げる

 複雑化する確認申請、補助金がらみの書類作成など、増え続ける住宅会社の事務的負担を軽減するため、建材メーカーや販売店が工務店向けに業務代行サービスを始めている。こうした代行サービスを利用することで工務店は本来の業務である「家を造ること」「お客さまとの関係を築くこと」に専念できる。その背景とサービスの概要、注意点などについてまとめてみた。


住宅会社の負担は増えている
法規制の強化と誘導的政策

 ここ10余年、日本の住宅行政は、建築基準法の改正や、新たな法体制の整備などで「○○を守るべし」という規制の強化と、「○○制度を利用しましょう」と政府が示す方向性に従う必要性が増し、住宅会社はその対応に追われている。
 たとえば告示1460号による建築金物の事実上の義務化、型式適合認定の開始、シックハウス対応で内装制限の導入と機械換気設備の義務化、住宅瑕疵保険の義務化、長期優良住宅の認定や性能評価制度の開始、CASBEEなど、多岐にわたる。
 その結果、設計時にさまざまな制約が加わることになり、確認申請提出前にもチェックする事柄が増えた。これらは全て事務手間の増加という形で住宅会社の業務を圧迫する。
 さらに、景気対策と住宅の方向性を誘導するための補助金制度が多く生まれては改変され、これらを利用するための対応も大変だ。
 事務手間が増えれば、コスト増となる。そのうえ、新法や新制度をいち早く理解して対応するのは簡単なことではない。かといって、今後は新築需要が減少すると予想される中で、人手を増やして対応するのはリスクがある。
 限られた時間で業務を行う中で、優先すべきはお客さまとかかわる時間や施工の質を確保することだ。営業、打ち合わせやそれを元にしたプラン設計、あるいは施工中の現場回りなど。こうした業務時間は極力減らすべきでない。それに比べて、書類申請への対応など、間接的な業務は減らせるものなら減らしたい。これらはお客さまの満足度には直接影響しないし、見えないところに時間をかけても評価されにくい。

いろんなサービスがある
構造計算から各種申請代行など

 そこで考えられるのが、業務の一部を外部委託すること=アウトソーシングだ。たとえば構造計算。これまで木造住宅では必須とはされていなかったが、長期優良住宅の認定には、耐震等級2以上が必要となり、合理的に対応する方法として、構造計算する方法が多く採られている。計算だけなら建築CADソフトでも対応可能だが、計算の根拠を求められた時、行政担当者に納得させる説明するのは難しい。こうしたやり慣れていない業務は外部に委託した方が確実でスピードも上がる。
 また、長期優良住宅の認定申請や補助金の申請などは、膨大な書類が必要だ。確認申請も書類の量が増えた。これらの書類を不備なく取り揃え、申請後も行政側の担当者とのやりとりまで代わってくれたら非常に助かる。
 金物の適切な配置も、プレカット工場とデータのやりとりが直接できれば便利。使用している建築CADがプレカットCADと連携できれば、金物伏図などを作るサービスをスムーズに利用できるので、間違いない施工につながる。

業務代行以外に相談サービスも
 代行サービス以外に相談サービスもある。「長期優良住宅に対応するためにどこを修正したらいいか?」「営業が作ってきたプランを大幅な直しなしで補助金要件に対応させることは可能か?」などの相談に対し、専門的な見地からアドバイスをもらえば、あとは自社で解決できる場合もある。
 最近は法務相談サービスも登場した。耐震偽装やシックハウス問題など、欠陥住宅問題がマスコミ等で取り上げられることで消費者の目も厳しくなり、訴訟を受けるリスクも増えた。中には「どうしてこんなことで?消費者の事実誤認じゃないの?」という理由でトラブルになることもある。
 このとき、間違ってはならないのが初期対応。対応のまずさで訴訟に発展しないとも限らない。そこでこのトラブルを弁護士が第3者的な視点で冷静に分析し、初期対応の適切なアドバイスをする法務相談サービスも始まっている。

サービス利用の注意点
 こうしたサービスは年々増えてきており、これからはそのサービス内容の差や、サービス範囲の差などをじっくり吟味する必要が出てきそうだ。また、設計サービスや金物拾いサービスは、最終的な責任は依頼者である住宅会社が負うことになる契約がほとんど。あくまでも「困っている部分を手助けする」補助的サービスであることに注意したい。

 こうしたアウトソーシングを提供する会社は、ねらいを持ってやっている。住宅市場が縮小していく中で、提供する側も生き残りのため必死だ。それでユーザーである住宅会社を囲い込みしようとしているのだ。厳しい価格競争にさらされている中で、こうした付加サービスを提供することで「同じ価格なら」と選んでもらい、ユーザーである住宅会社との関係を強化する。生き残りのために必死になっている住宅会社であれば、きっとこうしたサービスを利用するであろう、という読みだ。そういう意味では、生き残りたい会社同士が手を結ぼうとしているのかもしれない。
 次ページからは、サービス提供会社の具体的なサービス内容などを取り上げた。検討する際の参考になれば幸いだ。

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タナカ
初年度は会費無料に
TC住宅サポートの会

 (株)タナカが、同社の金物ユーザーを対象に運営している「TC住宅サポートの会」では、「4号建築物金物積算・作図支援」「耐震CADサービス」「瑕疵保険サポート」「法務相談」など合計8つのサービスを提供している。
 力を入れているのは、4号建築物の金物積算、作図支援サービス。金物積算に必要なN値計算書、金物配置図、壁量・偏心率計算書(希望者)、金物集計表・発注書などを会員価格で利用できる。
 また、耐震CADサービスは主に増改築需要に対応したもので、現地調査結果と図面を提出すれば現状の耐震診断書を作成するほか、補強計画案を作成し、それにもとづいた金物平面図や耐震診断書を作成し、金物積算まで会員価格で行う。
 瑕疵保険サポートは、同社や(株)住宅あんしん保証が定める「設計施工基準」に適合すると、住宅あんしん保証から「品質の高い」住宅と認定され、割安な「認定品質住宅」料金で同社の瑕疵保険を利用できるというもの。
 法務相談サービスは、住宅紛争や近隣住宅とのトラブル時に必要な初期対応として、法律問題や関連法規の法務相談を提供している。
 なお、同社では東日本大震災の復興支援プロジェクトを実施中。期間中は、同会への入会・年会費を東北、北関東、信越などの被災地は2年目まで無料に、それ以外のエリアも初年度無料にする。


北工房
工務店の信頼性アップ
構造計算と設計相談サービス

 建築設計事務所の(株)北工房では、ハウスメーカーへのコンサルティング経験などを生かし、工務店支援サービスとして構造計算や設計相談を行っている。
 以前の耐震偽装事件、最近は東日本大震災の影響があり、消費者は自分が建てる住宅が丈夫で安心できる建物かどうか気にしている。政府もこれに対して建築基準法の強化や長期優良住宅の認定、性能表示制度などを推進して応えようとしている。
 北工房では、「工務店が大手メーカーとの競争に生き残るには、4号建築物では免除されている構造計算をあえて1棟1棟行い、確かな根拠に基づく構造の安全性や安心を消費者に提供することが必要」と工務店向けの構造計算サービスを始めた。もちろん、混構造、3階建て、RC造、S造の建物など、構造計算が義務づけられている建物への対応も万全だ。
 既に同社のサービスを利用して全棟構造計算を行っている工務店もあり、その会社は構造計算サービスで信頼をアピールしながら、ライフスタイル提案ができる社内の人材育成に力を入れたことで受注棟数を伸ばしているという。
 このほか、初期のプレゼン資料づくりから法規チェック、意匠設計、構造計算、Q値計算、CASBEE(戸建)評価、各種申請書類作成など、住宅設計にかかわる一連の業務、住宅履歴情報サービスの取次ぎ、リノベーションに不可欠なインスペクション業務も行っている。


FPコーポレーション
工務店を幅広く支援
道内の非会員にもサービス提供

 (株)FPコーポレーションは、「FPの家」の工法・部材提供を行っている。FP工法は、屋根、壁、床それぞれ専用のウレタン断熱パネルを使用して高断熱・高気密住宅を実現。同社によると、相当隙間面積C値は実測平均で0.5cm2/m2以下だという。
 FPグループへ入会し、年会費10万円と活動分担金を実費分担すれば、FP工法を利用できる。ロイヤリティ等の費用は発生しない。
 同グループ会員は、設計事務所との提携で長期優良住宅対応の「トータル・サービス」を受けることができる。申請に関わる関連図書作成や申請代行業務といった「設計サポート」、瑕疵保険の取次を行う「保険サポート」、消費者に安心を提供する完成保証などの「保証サポート」、住宅履歴の管理を行う「履歴管理サポート」の4つのサポートで構成されている。目的はズバリ「工務店が苦手とする業務のお手伝い」だ。
 住宅履歴の管理は、「うちログ」という名称で同サービスのみの利用もアピールしている。
 うちログは、住宅履歴情報を元にした維持管理作業やリフォーム工事の提案を行えるほか、住宅事業者と住宅所有者の間で行うメールのやりとりを保管する機能、建材・設備のリコール情報をFPコーポレーションから発信する機能などを備え、工務店のアフターサービスの充実に役立つ。
 このほか、上記の機能に加え、専用HEMSと連動した「うちログeco+」も提供している。


物林
グループの強み活かす
プランから道産材の一括手配も

 物林(株)は一級建築士事務所も併設しており、500m2以上の物件も含め相談や設計業務の代行を行っている。
 たとえば、プラン段階での相談、長期優良住宅申請書類の作成から、構造材から造作材など道産材の一括手配も可能だ。また、構造強度に応じた樹種の選定など木材商社ならではの強みもある。
 同社はグループとして金物プレカットも行う北海道プレカットセンター(株)や、大断面集成材も製造する協同組合オホーツクウッドピアなど、さまざまな木材製品の製造工場を持っている。物林はJKグループの一員として、ジャパン建材(株)と連携したサービスも行っている。
 このほか、福井コンピュータアーキテクト(株)の建築CAD「アーキトレンドZ」のデータをプレカット工場でそのまま生かせるデータ形式・CEDXMA(シーデクセマ)に対応している。


福井コンピュータ
今秋・道内でスタート予定
アーキトレンドCADセンター

 福井コンピュータアーキテクト(株)は、同社の建築CAD「アーキトレンドZ」ユーザーの住宅会社に対し、パートナー企業と連携して申請業務サポートサービス「アーキトレンドCADセンター」を開設しており、今秋から北海道でも業務開始する予定だ。
 同センターは、アーキトレンドZに精通している設計事務所などのパートナー企業が、確認申請代行、長期優良住宅の認定申請や設計性能表示への対応などを行う。
 現在、道央圏数社の設計事務所が共同で1つのCADセンターとして申請登録することを準備している。


2012年07月25日号から

中期着工予測 本紙 来年35,000戸、4年後2万戸割れも 北海道

 消費税率アップが2年後の2014年4月にほぼ決まり、税率アップのビフォー/アフターで住宅着工がどうなるかに関心が集まりはじめた。震災復興の時期や3年後に予定されている2段階目の税率アップがどうなるかなど不透明な部分が多いが、あえて予測すれば、北海道は来年がピークとなり3万5千戸、その後は大きく後退し、2016年には2万戸の大台を割る可能性がある。

持家駆け込み1500戸弱

 今年の北海道は、春先から現場の動きがにぶいなど不安要素もあるが、年初の予測通り総計で微増の3万3000戸。持家は微減で1万1400戸程度となりそう。
 駆け込みが集中する来年は、持家が12%増えて1万2700戸、総計では3万5000戸の大台に乗りそうだ。持家の増加率は1996年の駆け込み増加率を参考に、当時よりは若干少なめに見積もった。
 前回ほどの駆け込みは起きないのではないかという見方も強い。前回は持家戸数で4000戸以上伸びているが、今回は1300~1500戸程度だろう。ただし、これを増加率で見るとほぼ前回通りとなる。
 また、ここ数年はお盆明けから年末までに仕事が集中する傾向があるため、忙しさや人手不足感はたいへんなことになりそうだ。逆に来年前半の着工を今のうちからどう誘導できるかが重要になる。

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(記事は以下のページから伝言欄に「7月15日号の見本も希望」とご記入の上、試読紙をお申し込みください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2012年07月25日号から

青森型省エネ住宅 ガイドラインを策定

雪・寒さに強く県産材も活用

 青森県では、一般家庭の低炭素化や県の地域特性に適応した良質な木造住宅ストックの形成、工務店の技術力向上などを目的とした「雪と寒さに強い青森型省エネ住宅ガイドライン」を昨年12月に策定し、地場工務店や県民への周知・普及を進めている。
 かつて青森県では2010年に県内の温室効果ガス排出量を1990年比で6・2%削減することを目標にした「地球温暖化防止計画」を策定・推進していたが、十分な成果が得られなかったことから、昨年3月に改めて低炭素社会の実現を目的とした「地球温暖化対策推進計画」を策定。青森型省エネ住宅ガイドラインは、その計画の中で10あるプロジェクトの一つに位置付けられており、地域特性を考えた断熱性能や設備機器、室内空気環境、県産材活用などに関する基準を定めている。
 基本的には地場工務店向けに作られたもので、今年3月に県内3ヵ所で行った説明会では300名近くが参加するなど、住宅業界関係者の関心も高い。
 このガイドラインでは、青森型省エネ住宅の目指すべき方向性として、①雪に強い住まい②寒さに強い住まい③人にやさしい住まい④劣化に強い住まい⑤地域にやさしい住まい―の5つの項目を掲げ、それぞれ必須基準と推奨基準を規定。それぞれの基準に関連する技術については、道総研・北方建築総合研究所が編集した「北の住まいづくりハンドブック」を参考に、詳しく解説している。

断熱性能はQ値1.9〜
1.6W必須で1.4W推奨

 例えば、青森県では冬期の風雪や寒さが厳しい点を踏まえ、「①雪に強い住まい」では敷地内の除雪量を少なくする配置計画と、屋根の雪処理が適切にできる屋根形状・工法の採用を必須基準として設定。「②寒さに強い住まい」では、Ⅲ地域も含めて断熱性能はQ値1・9W以下(Ⅰ地域は1・6W以下)を必須基準とし、推奨基準では県内一律1・4W以下と、次世代省エネ基準を上回る性能を設定。暖冷房・給湯設備は効率が良いシステムと節湯型水栓などの採用を必須基準とし、さらに推奨基準では熱交換換気システムや高効率な暖冷房・給湯システムの採用、創エネ・新エネ設備の導入を定めている。
 県産材の活用を義務付けているのも特徴の一つで、「⑤地域にやさしい住まい」で使用する木材のうち県産材の比率を、必須基準で3分の1以上とし、推奨基準では3分の2以上としている。
 また、必須基準や推奨基準は規定していないものの、リフォームにおいても耐震改修は県の耐震診断マニュアル・耐震改修ガイドブックに基づいて計画・施工するなど、耐震・断熱・バリアフリー・克雪の4項目で目標性能や配慮事項を示している。
 このガイドラインの運用にあたって、認定・登録や補助などのインセンティブは実施されていないが、青森県ではさらに県独自の特徴を持った住宅基準を将来的に策定したい考えで、その中に今回のガイドラインの内容を盛り込むとともに、認定・登録やインセンティブについても検討していきたいとしている。
 同県建築住宅課では「省エネやCO2削減に配慮した住宅を建てる技術の参考書として活用してもらうとともに、建て主との打ち合わせなどでもコミュニケーションツールとして使ってもらえれば」と話している。

ホームページ・http://www.pref.aomori.lg.jp/life/sumai/yukisamu.html

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2012年07月15日号から

CMHC・BCウッド ネットゼロエネを紹介  導入技術や実証結果など

 CMHC(カナダ住宅金融公社)と、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の木質製品メーカーによる非営利団体・BCウッドでは、今月4日に札幌市内で「カナダ・エコ住宅セミナー」を開催。CMHCの国際トレーナーとしてセミナーや会議の講師を務めるドミニク・アローシェ氏が、カナダで建設されたネット・ゼロ・エネルギー住宅の特徴や、これまでの検証結果などを紹介した。
 ドミニク氏の講演要旨は次の通り。
 カナダのネット・ゼロ・エネルギー住宅は「EQuilibrium」(イクリブリアム)と呼ばれ、消費されるエネルギー量と創り出されるエネルギー量が等しくなることに加え、持続可能であり、オーナーのライフスタイルを実現できる住宅という位置付け。
 柱となる技術としては、①超高性能断熱材を使った建物外皮②50パスカルでの漏気回数が0・5回/時の気密性能③日射取得と断熱のバランスを考えた窓の設計④パッシブソーラー⑤エネルギー効率の良い家電製品と、自然光・手元照明・LEDといったエコ照明、エネルギー使用量表示モニターなどの導入⑥節水型の水回り設備と廃水熱回収⑦太陽熱温水暖房・給湯⑧太陽光発電。このほかにも土壌や水、空気の熱をヒートポンプで利用する方法もある。

住まい方や太陽光への
積雪などに課題も

20120715_01_01.jpg 建設された15棟のネット・ゼロ・エネルギー住宅による実証プロジェクトが、2008年10月から2009年11月まで行われ、予測通りの成果が得られているかどうか、エネルギー消費量などをモニタリングした。今回取り上げるアルバータ州の住宅は、高い断熱・気密性に加え、太陽光発電、太陽熱温水暖房、パッシブソーラーなどを導入している。
 結果としては、年間のエネルギー消費量9856kWhに対し、太陽光発電と太陽熱利用で得られたエネルギー量は6878kWhで、差し引き2978kWhのエネルギー消費量となった。予測の43kWhからはかなり多く、正味ゼロになっていないことになる。
 なぜそうなったのかを検証したところ、まず家電製品や照明の消費電力が予測より多くなっていた。これは予測値が現代のライフスタイルを正確に反映していなかったこと、オーナーの省エネ意識が思ったほど高くないこと、モニター機器の電力負荷が影響していたことなどが原因として考えられる。
 また、太陽光発電の発電量が冬期間に少なかったということもある。調査したところ、降雪状況や天候によって4段組みで設置したパネルのうち、下から1〜2段目に雪が積もってしまうことがあった。それによって冬期間の発電量が下がったと言える。
 一方、水の消費量は、1人あたり1日100ℓ程度と、カナダの平均消費量より3分の2も減っている。
 価格面はどうかというと、このようなコンセプトの住宅は高級住宅市場であれば有望との見方が強いが、現在のエネルギー価格では経済性でネット・ゼロ・エネルギー住宅を勧めるのは困難。しかし、多くのカナダ国民はネット・ゼロ・エネルギー住宅に移りたいと希望している。快適で健康的な室内環境やエネルギーの安全保障ができるという点もメリットとなる。

設備は操作が簡単で
使いやすいものを

 実証プロジェクトで得た教訓として、やはり導入する設備システムは複雑で高度なものではなく、操作が簡単で使いやすいものに変えていかなければならないということがある。複雑なシステムは、オーナーも馴染みがないだけに問題の発生につながる可能性があるし、すべてのオーナーが同じように理解し操作できるかというと、そうでもないという結果も出ている。
 また、省エネと効率を優先させるのが大前提だが、太陽熱暖房はシステムが複雑化する可能性があるので、パッシブソーラーをより活用したい。そのためには優れた施工業者と使いやすい分析ソフトも必要だ。


2012年06月25日号から

再生可能エネ固定価格買取7月からスタート

住宅用太陽光は余剰電力のみ

 太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電された電気を、一定期間、固定価格で買い取ることを電力会社に義務付けた「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)」が、いよいよ7月1日からスタート。住宅に設置する太陽光発電や風力発電も対象となる。
 この制度で買取対象になる再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5種類。波力発電や潮流発電などその他の再生可能エネルギーは実用化された段階で対象に追加する予定だ。
 対象となる再生可能エネルギーは、いずれも政府が決めた買取価格・期間で電力会社が全量買い取る。ただ、住宅用太陽光発電はこれまで通り、余剰電力のみの買い取りとなり、すでに太陽光発電の余剰電力買取制度を利用している場合、買取価格・期間はこれまで通りで変更はない。
 買取価格・期間は1年ごと政府の関係委員会の意見をもとに決定。買い取りにかかる費用は再生エネ賦課金という形で消費者が負担する(東日本大震災の被災者などは減免措置あり)。

太陽光10kW未満で42円
風力20kW未満で55円

 住宅用として想定されているのは太陽光発電と風力発電で、買取価格(税別)・期間は今月中旬に正式に告示が出る予定だが、最終案では太陽光発電が定格出力合計10kW未満で42円/kWh・10年10kW以上で40円・20年。エネファーム(燃料電池)やエコウィル(ガスコージェネ)、蓄電池等を併用する〝ダブル発電〟の場合は、それぞれ8円安い価格となる。風力発電は同20kW未満で55円・20年、20kW以上で22円・20年。
 住宅用が想定される10kW未満の太陽光発電は、①JIS・JET(㈶電気安全環境研究所)・JET相当の海外認証機関のいずれかの認証を受けていること②余剰電力を電力会社に供給する配線構造となっていること③太陽電池モジュールのセル変換効率がシリコン単結晶および多結晶系で13・5%以上、シリコン薄膜系で7・0%以上、化合物系で8・0%以上であることが必要。同じく10kW未満の風力発電は、JIS・JSWTA(日本小型風力発電協会)・JSWTA相当の海外認証機関のいずれかの認証を受けていることが必要になる。

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再生エネ買取イメージ...再生可能エネルギー固定価格買取制度のイメージ
ホームページ・http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/index.html


2012年06月15日号から

鎌田紀彦室工大教授が論破 「断熱住宅は暑さにも効果的」

NPO新住協総会@広島市

 NPO新住協の総会・全国研修会が6月1日広島市で開かれ、総会後の基調講演で代表理事の室蘭工業大学鎌田紀彦教授は、北海道など寒冷地はもちろん、蒸暑地域においても「断熱」が効果的であること、『断熱するほど室内に熱がこもる』現象は事実上起きないことを試算によって確かめた。試算を元に蒸暑地域で本格的な夏場の測定を行うとともに、Q値・燃費計算ソフトQPEXに暖房燃費と同レベルの精度の冷房負荷シミュレーションを追加する。

冷房効果は高いのに、なぜ?

20120615_01_02.jpg 断熱住宅を建てている会社、または住んでいるオーナーは、断熱が冷房の効きをよくし涼しい家になることを知っている。しかし、「断熱するほど熱がこもる」と反撃されるとイマイチ反論できない。また、寒さについて北海道人が「寒さのレベルが違う」とこだわるように、九州を筆頭に蒸暑地域は「暑さのレベルが違う」と寒い地域からスタートした断熱住宅への抵抗もある。また、暑い地域は断熱より「遮熱」が有効という意見もある。
 鎌田教授は基調講演の中でこれらの声の一部を認めながら、『高断熱化が冷房負荷低減に効く』ことを立証して見せた。この夏は本格的な計測を行う。
 鎌田教授の講演をまとめた。
   *   *
 室内に熱がこもる「断熱」より、熱をはね返す「遮熱」のほうが暑い地域では有効であるとするヘンな考え方がある。そこで、冷房することを前提に、断熱レベルの高低で冷房エネルギーがどのように変わるかシミュレーションした。
 まず、4月から10月くらいまでの6~7ヵ月間の冷房負荷を計算した。通風なしで計算すると断熱レベルを高めれば高めるほど冷房負荷が大きくなる。一方、通風ありで計算すると高断熱化に比例して冷房負荷は小さくなる。
 なぜそのような違いが出るのかを調べるために、冷房負荷の大きい九州・宮崎市を例に、7月22日、9月5日、10月13日の3日について、冷房負荷を24時間ごとに計算してみた。その結果がグラフ。
 1日中冷房が必要な気温推移になる7月22日は、断熱性能が高くなるほど冷房負荷が小さくなる。断熱が冷房に効くことがわかる。

夏日程度の時期に熱がこもる

 ところが9月5日になるとそれが微妙になる。外気温が30℃前後になる昼間は断熱が有利に働くが、朝晩は逆転し断熱が不利に働く。
 外気温が25℃くらいまでしか上がらない10月13日は、冷房負荷が完全に逆転し、断熱性能が低いほど冷房負荷が小さくなる。すなわち断熱するほど冷房負荷が増える結果となった。
 「断熱住宅は熱がこもるので暑い」、「熱がこもるので省エネにならない」という指摘は、10月13日に関しては当たっていることがわかった。
 ではなぜ暑さのピークではなく夏日程度のときに冷房負荷が大きくなるのか。これは、断熱住宅は"自然温度"が高くなるので、ある意味当たり前の現象。問題は、気温25℃以下のときに通風換気をせずに冷房に頼るのが普通かどうかという点になる。
 仮に通風しないなら、夏日程度の時期は断熱住宅が不利であるといわざるを得ないし、逆に通風換気(通風冷却)が普通なら、断熱住宅では熱がこもるとしても、それは実際の暮らしの場面ではほとんどないと言える。

蒸暑地でも通風が効く期間がある

20120615_01_01.jpg 商業ビルや騒音の大きい地域以外では、住宅では窓を開けて涼をとるのが普通でありそれでも涼しくならないときに冷房を使う。このことを冷房必須期間と通風有効期間という言葉でとらえ、冷房必須期間は冷房運転を前提とし、通風有効期間は窓を開けることを前提として計算すると、断熱するほど冷房負荷が低減する結果となる。通風有効期間だけを見ると、断熱性が高くても低くても冷房負荷はほとんど変わらないことがわかった。
 ちなみに冷房必須期間の設定は、外気の湿気の高さに注目した計算を行っており、北海道は冷房必須期間がない地域となる。冷房必須期間と通風有効期間の設定が実態に即しているかどうかはもう少し見極める必要がある。冷房必須期間は、例えば岩手・盛岡市は7月26日~9月6日、長野・松本市が6月27日~9月10日となる(別表)。
 新住協では今年、西日本で本格的な夏の暑さと冷房負荷測定を実施。試算結果を検証する。
 日本は、ほぼ全域で暖房が必要になる一方、北海道を除くほぼ全域で冷房も必要になる。電力不足を契機に省エネの必要性は全国的に認められたが、その方法として「断熱」が冷房地域を中心に、まだ認められていない現実もある。断熱住宅を推進してきた北日本・東日本の基本技術と解決策が、今後本格的に西日本に広がるか。日本はこれからまた暑い夏を迎える。

上グラフ:
蒸暑地域の代表、九州・宮崎市の冷房負荷を見ると、最も暑い時期は高断熱住宅が有利なのに、日最高気温が25℃程度に下がると高断熱ほど不利になる...。なぜか

下表
冷房必須期間の試算値。北海道には冷房必須期間がない

*関連記事*
白い布1枚で"すだれ"と同等 窓開けのじゃまにならず、明るさも
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雨の日も窓を開けたい 高性能住宅Q&A752
http://www.iesu.co.jp/article/2011/09/20110925-2.html

30℃で暑くないって本当? 高性能住宅Q&A753
http://www.iesu.co.jp/article/2011/10/20111005-2.html


2012年05月25日号から

杭打ちはもういらない?地盤改良に3つの新手法

 地盤調査・改良の方法として3つの新手法が注目されている。「とりあえず杭打ち」という最近の風潮から、新しい手法を取り入れることで、施工コスト、施工法のメリットなどを吟味した上で最適な地盤改良の選択ができ、場合によっては地盤改良が必要なくなったり、掘削深さが基礎杭よりも大幅に浅くなることで施工のコストダウンが可能になる。

新手法1
SDS法の地盤調査
数万円で土質判定までできる

 ジャパンホームシールド(株)(本社東京都)は新しい地盤調査法として、スクリュードライバー・サウンディング(SDS)試験を全国で展開している。スウェーデン式サウンディング(SWS)試験を改良した。SWSでは地盤の硬さ=支持力(N値)しかわからないが、SDSではそれに加えて土質の推定ができるため、地盤改良の的確な判断ができる。
 SWSは、スクリューの上に乗せたおもりがどれくらい土中にめり込んだかを測定して支持力を判定する。これに対しSDSでは、めり込み方が速いのか遅いのかなどといった要素も測定することで、土質の推定も可能となった。調査費用はSWSとさほど変わらず、「4~5万円程度」と同社は話している。
 SWSで「粘性土」としか推定できなかった土質が、SDSでは「沖積層」「洪積層」「ローム層」「腐植土」と4種類に判定可能だ。同じ粘性土でも、洪積層は良質地盤、腐植土は軟弱地盤となるため、SWSでは安全を見込んで杭を打つことが多かった。SDSで良好地盤と判定された場合は地盤改良が必要なくなるため、コスト節約になる。
【問い合わせ】ジャパンホームシールド(株)札幌支店(tel.011・330・1765)。

20120525_01_01.jpg【写真】SWSとSDSの比較イメージ(同)


新手法2
道内向け柱状改良法
不同沈下のリスク減らす

 コンクリート杭よりひと回り大きな円い穴をほぼ1間間隔で地面に開け、そこに元の土と固化剤の入ったセメントミルクを混ぜて注入すると、固化して柱状改良体となる。柱状改良体は、地盤との摩擦力で建物を支えることができ、硬い支持地盤を必要としないため、7~8mの深さまで掘れば十分だ。大地震の際にも揺れにある程度追従してせん断破壊がおきにくく、不同沈下を減らすことができるメリットがある。
 ところが北海道に多く見られる泥炭は、セメントを混ぜて柱状改良体を作る際に十分な強度が得られないことがある。そこで東翔(株)(札幌市)は「東翔式柱状改良工法」を開発した。掘削機の先端部を独自のせん断スパイラルヘッドに改良。これにより、泥炭など不良土壌は地上に掻き出し、代わりにまわりの良好な土壌をセメントミルクと混合して戻すことで十分な強度を持った柱状改良体を作る。大手ハウスメーカーなど、採用例も増えてきている。
 同工法は、4社の地盤保証制度への加入が可能で、不同沈下による建物損傷など、地盤改善が必要になった場合、施工後10年間は最高5000万円まで補修工事が保証される。
【問い合わせ】(株)東翔(tel.011・786・5391)。

20120525_01_02.jpg【写真】周辺土壌とセメントミルクをかき混ぜて円柱状の改良体を作る(東翔)


新手法3
砕石パイルを使う
液状化現象が起きにくい

 砕石パイルは、掘削機で掘った円い穴に直径20~40mm程度の天然砕石を入れ、転圧して締め固めることでパイル(杭)状にして周辺地盤との摩擦抵抗を高め建物の荷重を支える。
 ハイスピード工法(開発元・ハイスピードコーポレーション(株))が知られており、道内では(株)遠藤組(本社苫小牧市)など数社が同工法の代理店として展開中。
 N値=4程度の比較的軟弱な地盤でも1・5m以上連続していれば支持層となるため、パイルの深さは3~5m程度で済むこともある。掘削深さが大幅に浅くなれば、地盤改良のコストダウンにもつながる。
 施工は、電柱を自立させる建柱機を改良した機械で行う。ドリルで地中を掘削し、砕石を投入してから先端のピストンバルブから圧縮空気を送り込んで砕石を転圧する。この作業で周辺地盤まで広範囲に固まる。大地震の際、液状化で地下水位が上昇して一気に地表に水が噴き出すことで起こる、不同沈下や地盤沈下も砕石パイルが水を通しやすいために起こりにくく、液状化被害を防ぎやすいという。
 実際、東日本大震災で液状化の被害が多発した茨城県東部で同工法を採用した住宅が複数あったが、不同沈下の被害はほとんどなかった。
【問い合わせ】(株)遠藤組(tel.0144・36・3469)。

20120525_01_03.jpg【写真】建柱車を改造した作業車(写真左奥)で、20~40㎜の天然砕石(写真右の青い部分から)を注入していく
 


2012年05月15日号から

外断熱推進会議

普及をどう進めるか 省エネ進む欧州最新事情

20120515_02_01.jpg NPO法人外断熱推進会議北海道支部が主催する北海道パッシブハウスセミナーが4月28日に札幌エルプラザで開かれ、50人ほどが住宅の省エネ化を推進するヨーロッパ(欧州)の施策を学んだ。
 解説したのは、ベルギー・ブリュッセル生まれで、ドイツで省エネコンサルタントの研修を終了し、日本でもコンサル経験があるクーラーアンドレア氏。
 ひと言で定義すると、エネルギーパスとは、「賃貸住宅の暖房燃費表示制度」、パッシブハウスとは「超高断熱住宅」の基準を指す。
 クーラー氏によると、いずれの制度、基準も、地中海沿岸の温暖地を含む欧州連合(EU)全体の推進目標として設定され、各国が住宅の燃費改善に向かっている。
 国土交通省の資料でも示されているように、日本と欧州主要国の1世帯あたりのエネルギー消費を見ると、欧州は暖房消費が多い。省CO2へ向けて各国が暖房の省エネに乗り出しており、ドイツの民間研究所が作ったパッシブハウス基準がEUのトップランナー基準として採用されたのも、こういった背景からだという。
 一方、普及が課題となる点では、日欧ともに共通している。
 クーラー氏が質疑の中で語ったのは、今ぶつかっている3つの課題。
 1つめは、断熱材を厚手化(高断熱化)することだったが、これは業界全体が慣れてきた。2つめの新エネルギーの導入については、かなりの抵抗があったものの、ヒートポンプ機器を新エネルギーに含めて良いことになり、何とかクリアした。
 今現在、最も反発があるのが熱交換換気の導入だという。EU各国では窓開け換気が今でも主流であることがその背景にある。とは言え、出荷量は倍増しているという。
 また、こうも付け加えていた。EUでは省エネ推進を市場経済の中で実現しようとしており、元が取れない省エネ化は実現できない。逆に言えば、常に実現可能なコストと投資回収の中で、省エネ化を推進するという考えで政策が進んでいる。
 集まった50名の参加者は、先進的な取り組みを進める欧州の最新情報を興味深く聞いていた。
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【写真】ドイツ在住のクーラー氏が通訳なしで最新事情を解説


2012年04月25日号から

2012全調査 道内自治体の住宅系補助金 賃貸で400万円支給も

 少子高齢化、人口減少、財政悪化・・・道内自治体は多かれ少なかれこうした課題を抱えている。人口減少を食い止めるためには移住者、定住者を増やすことが重要だが、住宅の確保が難しく、公営住宅を増やそうにも財政などの問題がある。そこで住宅系の補助金で民間賃貸の建設を活性化して受け皿を充実させようとしている。
 平成23年6月5日号で取り上げた道内自治体の住宅系補助金について、今年も調査した。高額補助金の自治体は前年よりも増えており、自治体の期待の高さがうかがえる。(一覧表は以下のページから伝言欄に「4月25日号の見本希望」とご記入の上、試読紙をお申し込みください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/

新築・戸建
18自治体で補助開始
20自治体で200万円以上

 移住・定住促進のため新築戸建に補助金を交付する自治体が増えている。今年は新たに18市町が加わった。中でも十勝・幕別町では、人口が減少している幕別市街の定住促進に新築時の土地購入相当分として最大300万円を交付する。このように、建物本体ではなく新築前提の土地取得に対する補助も多い。
 このほか、最大条件で200万円以上補助金がもらえる自治体は20と、前年の13から大幅に増えた。額では下川町が前年に引き続きトップ。
 地元業者限定、あるいは地元業者の場合補助額アップが多いのも特徴だ。地域材

新築・賃貸
公営住宅の弱点補完
持家系より補助率大きめ

 公営住宅は建設するのに多大な資金負担があるため、民間賃貸住宅への補助を行う自治体がある。その数は15と少ないものの、補助率などを見ると明らかに持家系よりも手厚い。際立っていたのは陸別町。1戸あたり専有面積67㎡以上の世帯者向けで400万円/戸となっており、補助率は3分の1以上ありそうだ。また、幌加内町では給与住宅に限って最大500万円/戸の補助制度を設けている。

リフォーム
19自治体で制度新設
耐震改修で補助額アップ

 リフォーム系補助金も19自治体が新たに補助を開始した。目立つのが耐震改修への補助金新設や増額。政府の耐震改修促進政策の誘導もあるが、昨年3月の東日本大震災の影響も少なからずあるのではないか。
 耐震改修の補助額が大きいのは、渡島・福島町、日高・新冠町、空知・岩見沢市、滝川市、新十津川町など。また、13市町で耐震改修の補助が新設されたり補助額がアップした。
 商工会とタイアップして、プレミアム付き金券方式で助成する自治体もある。札幌圏近郊で目立つ。

設備
人気は太陽光補助
詳細未定のところも多く

 設備系の補助で人気があるのは、やはり太陽光発電。遠軽町は制度を整理して最大額は90万円に減ったが、既築住宅への設置に新たに補助が付く。網走市では今年度から太陽光発電設置の補助が開始される。
 このほか、太陽光補助の詳細を4月末から5月にかけて発表する自治体も8市町あった。
 ペレットストーブ設置の補助も比較的多い。補助率が2分の1など、比較的高いのも特徴だ。

自治体の声
空室出て補助休止も
民間活力で財政負担減らす

 地方では民間賃貸住宅の絶対数が少ない。公営住宅は住宅困窮者への支援が第一のため収入による入居資格制限があり、需給バランスがうまくいかない場合がある。さらに、人口減に財政難という問題を抱えた自治体では、費用負担の大きい公営住宅新設は避けたいと考えている。
 民間賃貸住宅への建設補助は、こうした問題を解決する近道として採用されているが、中には完成した賃貸住宅に空室が複数出てきたため、新たな賃貸住宅建設補助を休止した自治体もある。担当者からは「小さな町なので数的にも充足している」という答えが返ってきた。
 陸別町では前年度の利用がなかったということもあり、今年度は1戸あたりの補助金を3割増額した。補助金が有効に利用されるよう、自治体も知恵を絞っている。

20120425_01_02.jpg宗谷・猿払村で新築補助金を利用して建てられた住宅(建築・小山内建設㈱)

20120425_01_01.jpg安平町では、民間賃貸住宅建設に対し、1戸あたり180万円、最大2500万円を補助する


2012年04月05日号から

木造建築の新しい可能性 特集

 一昨年10月、国は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を施行し、低層の公共建築物の木造化を推進することになった。コンビニなど民間商業建築でも木造化が始まっており、木造建築のこうした新しい可能性について、工務店・住宅会社がどう取り組めるのか探ってみた。

増える公共建築や商業建築
環境問題と経済面

20120405_1.jpg 公共建築では、政府の「コンクリートから人へ」という政策転換によって公共事業費が大幅に減らされて「ハコもの」が作りにくくなった。一方で福祉・文教施設では、高齢化や待機児童の増加による施設建設の需要が増大している。こうした建築物は多くが300~1000m2程度と住宅よりも大きいが施設の性格を考慮すると2階建て以下が多い。
 そこに政府が「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を施行、あわせて国産材の利用促進を図り、国内の林業保護と振興に役立たせようと大きく舵を取った。さらに木造は建物建設時のCO2を削減でき、国産材を使うことで輸送時のCO2軽減もできるなど、地球温暖化対策にも有効という判断だ。
 この流れを受けて道も昨年3月22日に「北海道地域材利用推進方針」を発表し、道産材を積極的に活用して学校や社会福祉施設、病院、図書館や公民館、公営住宅、公務員宿舎などで木造化を進めることを決めた。特に道営住宅に関しては昨年7月に「新たな木造道営住宅推進方針」を発表し、これまでRC造など非木造が99%を占めていた道営住宅の木造化への一部転換を印象づけた。

コンビニなどで民間も関心

 一方、民間建築でも木造化への関心が高まっている。たとえばコンビニエンスストア。鋼材の値段が高騰したことなどから木造で建てる例が少しずつ増えている。たとえば、(株)セブン―イレブン・ジャパンでは一昨年から道内店舗の木造化を進め、昨年8月末現在で道内に34店舗の木造店舗を建設した。2年間で建て替えを含め道内に70~80店舗建設していることから、少なくとも新築店舗の約半分が木造化されていることになる。ツーバイフォー工法を採用し、トラスを積極的に採用することで柱の数を減らし、鉄骨造店舗と変わらない空間作りを実現。それでいて建設コストを軽減しているという。
 コンビニは店舗面積が60坪程度の広さが多く、独立型の店舗では多くが平屋建てなので防火規制への対応もハードルが低く、木造化しやすい。また、24時間営業などを行うことでエネルギーを多く使うとされているコンビニでは、エネルギー消費量削減やCO2排出量の削減を行うことが重要となっており、木造化は照明のLED化、暖冷房エネルギーの低減とともに今後コンビニ建築で重要になる。
 また、高齢者専用賃貸住宅や介護付き住宅など高齢者向け建物も木造化が進んでいる。ハウスメーカーでは、木の温もりの良さや結露も起きにくいことをアピールし、専門部署を作って需要開拓に取り組んでいる例もある。このほか、民間保育園、小規模店舗、事務所など木造化の需要は幅広く存在する。

提案営業が必要
工事面では管理ノウハウ

 木造建築の用途はこのように拡大しており、工務店や住宅会社に対する期待も大きい。ある建材販売店ではこのように話している。「おおむね500m2以下の建物であれば、材料や技術的にも住宅と大きな差異はなく、工務店の経験がそのまま生きると思う。木造建築経験の浅いゼネコンもあるので、工務店が担い手として育ってほしい」。
 もっとも、財政難で公共工事は減っており、建て替えが中心。そこで役所の担当者に木造建築による建て替えを提案することも必要だ。公共建築物はこれまでRC造やS造がほとんどだったため、担当者は木造の方が高くつくと考えていたり、耐久性が低いと考えている場合もある。公共建築物の木造化について詳しく知らない場合もあり、木造化のメリットについて建築会社側から提案する必要がある。
 現場管理の重要性を指摘する声もある。一級建築士事務所・建築計画工房(苫小牧市)の佐藤孝司代表は、「延床面積が1000m2クラスの木造建築になると、現場管理が重要となる。たとえば、建て方をやっているときに大工を10人程度しか入れなかった現場があった。しかし、それでは床の養生費などが余計にかかる。この規模の木造建築のノウハウが不足していたことが理由だ。木造のメリットを生かすために現場管理者の育成は急務だ」と話している。

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2012年03月25日号から

札幌市エコリフォーム補助

5月7日から前期募集  今年は前・後期の2回受付

 札幌市では省エネ改修・バリアフリー改修に最大50万円を補助する「平成24年度札幌市住宅エコリフォーム補助制度」の募集要項(予定)を発表した。正式な実施決定は24年度予算確定後となるが、今年は前期・後期の2回に分けて募集を行い、前期は5月7日㈪から18日㈮まで、後期は8月27日から9月7日㈮まで申請を受け付ける。予算枠は1億円で、前期・後期とも予算を上回った場合は抽選となり、抽選日は前期が5月25日㈮、後期が9月14日㈮となる。
 エコリフォーム補助は、市が定めた基準工事費および総工事費の合計が30万円以上となる省エネ改修またはバリアフリー改修を対象に、基準工事費の10%以内・最大50万円を補助(賃貸住宅は1人の所有者につき最大100万円)。24年度の基準工事費については、実際の工事金額との整合性を図るために見直しを行い、工事内容によっては1割程度の引き上げまたは引き下げとなる見込みだ。
 省エネ改修は、居室のすべての窓・床・外壁・天井(屋根)の断熱改修から1つ以上行い、次世代省エネ基準に適合させることが条件。バリアフリー改修は①浴室の改良②便所の改良③階段の改良(手すり設置必須)④段差の解消⑤通路の拡幅⑥移動経路への手すり設置⑦出入り口の戸の改良―が条件となり、施工業者は建設業の許可を受け、市内に主な営業所を持つ業者に限る。
 なお、前期・後期の募集で予算枠に達しない場合は、11月9日㈮まで先着順で申請を受け付ける。
 問い合わせは同市都市局市街地整備部住宅課(☎011・211・2807)へ。


2012年03月25日号から

断熱建材にトップランナー制度

省エネ法改正し高断熱へ誘導

 政府はこのほど、省エネ法(エネルギーの仕様の合理化に関する法律)の一部を改正する法律案を閣議決定。省エネ性を現時点で最も高い製品より高めることを努力義務として定めたトップランナー制度の対象に、断熱材や窓、水回り設備などを追加し、住宅・建築物の省エネ性能の底上げを図る考えだ。

メーカーの技術革新促す

20120325_01_01.jpg 省エネ法の中に規定されているトップランナー制度とは、家電製品やガス・石油機器、自動車などエネルギーを消費する機器のうち、国が指定した機器は3〜10年後の目標年度まで、省エネ性を現在最も優れている製品より高めることを努力義務として定めたもの。達成できなかった場合、他の製品よりかなり省エネ性が劣ると判断されれば、性能向上を促す勧告が行われることになり、勧告に従わなかった場合には公表・命令・罰金もあり得る。
 現在、エアコンやテレビ、冷蔵庫、ガス・石油温水機器など23種類の機器がこの制度の対象として指定されている。建物の断熱性能と設備機器あわせて住宅の省エネ性を1次エネルギー消費量で評価するトップランナー基準(住宅事業建築主の判断の基準)とは別の制度だ。
 今回閣議決定された省エネ法の改正案では、家庭など民生部門の省エネ対策として、このトップランナー制度の対象に断熱材や窓、水回り設備などの住設建材を追加。これによってメーカーの技術革新を促し、住宅・建築物の省エネ性向上につなげることを狙っている。
 制度の対象となる機器の省エネ性は、テレビや冷蔵庫であれば年間消費電力量、自動車であれば車両重量に応じた燃費で判断することになるが、断熱材や窓は家電製品や自動車のようにエネルギーを消費するものではない。どのように省エネ性を判断することになるかは、「これから詳細を検討する」(経済産業省省エネルギー対策課)とのことだが、想定されるのは熱伝導率や熱貫流率による評価だろう。
 また、水回り設備については、「浴槽などお湯を使う設備を対象に断熱性を評価する方向」(同)としている。

【写真】断熱材と窓...トップランナー制度によって断熱材や窓の性能向上が加速するか

省エネ基準義務化へ
ロードマップ明確化も

 また、経産省が公表した改正案の概要によれば、2020年まですべての新築住宅・建築物に省エネ基準の適合を段階的に義務化することとし、対象や時期、性能水準などの具体的な工程を省エネ法改正にあわせて明確化するよう関係省庁と調整するという。
 そこで気になるのが今後の省エネ法・省エネ基準の動向だが、今年9月に省エネ基準は1次エネルギー消費量による評価を導入する。当面は国による認定基準として運用される予定で、認定が補助・減税など国によるインセンティブの条件となり、2020年までにすべての住宅で義務化されるという。建物の断熱性能のほか、暖房・給湯設備も加えた形で評価するという話も出ているようだ。
 また、しばらくはこれまでの年間暖冷房負荷・熱損失係数=Q値による評価も、併用されることになると言われている。

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1次エネ消費計算プログラム...住宅事業建築主の判断の基準(トップランナー基準)で用いられる1次エネ消費計算用ウエブソフト。省エネ基準も同じ計算が必要になるかもしれない


2012年03月15日号から

高断熱住宅でCO2削減へ

動き出す札幌版次世代基準

 札幌市が独自に設定した断熱・気密性能等級への適合を認定して建設費を補助する『札幌版次世代住宅基準』が、いよいよスタートする。最高等級でパッシブハウスレベル、標準等級となるスタンダードレベルでも熱損失係数=Q値1W以下。市内で建設される住宅の断熱水準が一気に高まることになりそうだ。

市内の新築・改修対象
 建て方・構造は問わない

20120315_01.jpg 「SAPPORO ECO―E HOUSE」(サッポロ エコ・エネルギー ハウス)を愛称とする札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として、新築と既存住宅の改修を対象に策定。市では市内に住宅を新築または改修する建築主等の申請に基づいて断熱・気密性能を評価し、同基準に適合する住宅を札幌版次世代住宅として認定する。建て方は戸建て・共同を問わず、構造も木造・鉄骨造・RC造・組積造のいずれでもよい。基準適合は義務ではなく任意だが、市では認定を受けた住宅に補助などの支援を行うことで普及を進める計画だ。
 高断熱住宅の普及による家庭部門の暖房エネルギー消費量とCO2排出量の削減を大きな目的としており、市では基準策定にあたって一昨年9月から有識者や市の関係部局長で構成する技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)を開催。半年間にわたって基準内容や費用対効果、各種技術の検証と課題の整理などを行い、昨年3月に最終的な基準案がまとめられた。
 市ではその基準案をもとに基準運用に向けた制度設計を行ってきたが、先月27日に上田文雄・札幌市長が定例記者会見で同基準を正式に発表。今月7日には制度内容に関する説明会が行われ、約400名の住宅業界関係者が参加するなど、関心の高さがうかがわれた。

Q値とC値で評価
 暖房エネ使用量算出も義務

 この基準は新築で5段階、改修で3段階の性能等級が定められているが、基準適合は義務ではなく任意。新築・改修とも各等級の適合判定は断熱性能(Q値)と気密性能(C値)だけで行われるのが大きな特徴となっており、長期優良住宅や北方型住宅のように耐久性や耐震性、メンテナンス性などの要件はない。住宅関連の基準としては非常にシンプルだ。
 そしてQ値については設計段階でのQ値計算、C値については気密工事完了後の気密測定が義務化されるのもポイント。北方型住宅ECOによる長期優良住宅先導事業に参加した住宅会社であればいずれも経験済みだが、地方自治体による住宅基準としてQ値計算と気密測定を義務付けたのは、おそらく初めて。なお、Q値以外に床面積1㎡あたりの暖房エネルギー使用量(kWh)の計算も義務付けられる。
 同基準の適合認定を受けた住宅には、性能表示ラベルと評価書が交付される。性能表示ラベルは8㎝角の金属製プレートで、新築では性能等級のうち最も高性能なトップランナーが金色、他の等級は銀色となる。評価書は認定を受けた各性能等級を星の数で示すとともに、断熱・気密性能値と年間暖房エネルギー使用量などを記載。これらによって性能の見える化や資産価値の向上、品質の明確化を図る考えだ。

パッシブハウス
相当で200万補助

 同基準の認定を受けた新築住宅への補助として、市では平成24年度に2500万円の予算を見込んでいる。正式な決定は今月下旬の議会での予算議決まで待たなければならないが、パッシブハウス相当のトップランナーは一戸あたり200万円、ハイレベル・スタンダードレベル・ベーッシクレベルはそれぞれ同50万円となる予定。次世代省エネ基準相当のミニマムレベルは補助対象外。分譲住宅・共同住宅は補助の対象外となり、改修についてもすでに省エネ改修を対象としたエコリフォーム補助があるため、24年度は補助を実施しない。
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2012年03月05日号から

SAPPORO ECO-E HOUSE 札幌版次世代住宅基準発表

上田市長「最高水準目指した」

 「北国で省エネに貢献しているという気持ちを持って頂ける制度にしていきたい」―。札幌市の上田文雄市長が先月27日に行われた定例記者会見で市独自の高断熱・高気密住宅基準となる「札幌版次世代住宅基準」を発表した。愛称は『SAPPORO ECO―E HOUSE』。新築で5段階、改修(リフォーム)で3段階の等級を設定し、新築については今年4月から市民向け補助を開始する。

暖房エネ大幅削減へ
温暖化対策推進の一環

20120305_01_03.jpg 同基準は、先導的な札幌独自の性能基準を定めることによって、高断熱・高気密住宅の普及を図り、家庭からのCO2排出量のうち特に大きな割合を占める暖房エネルギー消費の大幅な削減を目的としたもの。市では平成22年度に有識者による技術検討会議を6回開き、最終的に基準案などをまとめた後、普及促進に向けた支援策などの制度設計を行ってきた。
 また、同基準は市が1年前に策定した「札幌市温暖化対策推進ビジョン」で、中期目標である温室効果ガス削減量507万tのうち、340万tを削減する10のアクション(行動)の一つ。平成32年度まで市内の住宅ストックの6・3%が同基準に適合し、約30%が次世代省エネ基準をクリアすると仮定した場合、温室効果ガス削減量は10のアクションによる削減目標の約9%に相当する29万tとなる。

性能等級は最高で
パッシブハウス相当

 同基準の対象となるのは、戸建住宅および共同住宅で、構造は木造・鉄骨造・RC造・ブロック造。「現時点で最高水準を目指した」(上田市長)という性能等級は、新築・改修ともに熱損失係数=Q値と相当隙間面積=C値のみで規定され、新築はパッシブハウスに相当するトップランナーから、次世代省エネ基準比で暖房エネルギー消費を2割程度削減できるベーシックレベルまでの4つの等級を独自基準とし、さらに次世代省エネ基準と同水準のミニマムレベルを設定。改修はQ値0・7W以下・C値2・0㎠以下のハイレベルを筆頭に3つの等級を設定した。
 なお、今年4月から開始する市民向け補助は、トップランナー〜ベーシックレベルまでの新築戸建住宅のみ対象とし、補助額はトップランナー200万円、ハイ〜ベーシックレベル50万円の予定。
 会見では同基準の愛称が『SAPPORO ECO―E HOUSE』に決まったことに加え、同基準の適合認定を受けた住宅に交付する性能表示ラベル(金属製プレート)と認定証のデザインも発表。デザインは札幌市立大学デザイン学部によるもので、トップランナーとそれ以外でカラーリングを変えている。

省エネ住宅の
建設を文化に

20120305_01_04.jpg 会見の中で上田市長は「認定証や性能表示ラベルを交付することで、市民のみなさんにわかりやすく性能を示し、省エネ住宅の普及を推進していきたい。この基準に適合する住宅に住んでもらうことにより、省エネに貢献しているという誇りを持って暮らして頂ける制度に作り上げていこうと考えている」と、同基準の普及に向けて意欲を示したほか、普及支援について「補助は無限大にできるものではないが、私は省エネ住宅の建設が文化として確立されることを理想としている。その理想実現へ向けて必要十分な政策をとっていきたい」と語った。
 なお、同基準の詳細については、市のホームページで資料が公開されている。
   ◇   ◇
 本紙では次号(3月15日号)で札幌版次世代住宅基準の特集記事を掲載予定です。

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2012年02月25日号から

ストッパールーフ 扱い変更

住宅かし保険 認定品のみ保証

 「ストッパールーフ」の愛称などで広く知られる無落雪勾配板金屋根の住宅かし保険取扱いが昨年11月から変わり、一部の工法を除いて申請書類などが煩雑になった。施工現場の中には、戸惑いや波紋が広がっている。真相を取材した。


札幌や旭川で漏水事故続発
保証機構が改善要請

20120225_01_02.jpg20120225_01_01.jpg これまでストッパールーフは通常の「勾配屋根」と同じようにかし保険で扱われていた。しかし、昨年11月からは、施工マニュアルなどの書類を添付する個別審査が必要となり、手続きが煩雑になった。
 これに対してマキタ式スノーストッパールーフを販売する㈱マキタ(帯広市、牧田光成社長)は、設計施工基準第3条に基づいて保険取扱いできる確認書を12月初旬に住宅保証機構から取り付け、他の4保険法人からも同様の扱いを受け、以前と同じ手順で保険を受けられるようにした。
 関係者らの話を総合すると、事の発端はこうだ。昨年、札幌や旭川で無落雪勾配板金屋根の漏水事故が続発。スガモリを含む屋根の漏水事故については、北海道が突出して多く、住宅保証機構側は保険事故を未然に防ぐための措置を工法開発・発売元に要請した。
 その措置とは個別申請。機構はその理由を「設計施工基準で想定している勾配屋根とは異なり、雨水が屋根の勾配なりに流れる形状になっていないため」とした。
 マキタは、平成13年に現在の第3条除外認定と同等の扱いを住宅保証機構から受けていた。このため、申請を受け付ける窓口である北海道建築指導センターでも、これまでは特別な書類の添付をせずに申請が受理されていた。しかし現在、無落雪勾配板金屋根は、同社だけでなく複数の会社がそれぞれ独自工法として発売しているほか、今回の住宅保証機構側の要請もあったことから、同社では改めて第3条除外認定を申請。その際、若干のマニュアルの修正等を求められたという。
 主な変更点は、①下葺き材に改質アスファルトルーフィングを全面張りする②天窓まわりの納めなど、写真と図解で施工をわかりやすく説明③引渡確認書として、屋根施工業者の保守責任などを明確化し、屋根施工業者、建築請負業者、施主の3者が署名押印して複写をそれぞれが保管―など。
 このほか、責任施工体制も再構築した。札幌地区は特約店の㈱エスエス販売、その他の地区についてはマキタがそれぞれ講習会を開くなどして施工マニュアルの周知徹底に努め、講習会を受けた施工者には修了書を手渡し、教育を受けた施工者が責任施工したことを書面に残す。

施工費アップが大きな課題

 住宅保証機構では「マキタ以外にも申請は複数から受けている」と話しており、今後も第3条除外認定を受ける類似の工法が出てくる可能性がある。
 一方、屋根施工業者からは、「実際にマニュアル通り施工すると施工費が3倍になる」という声も出ており、住宅会社側の屋根仕様ともからんで波紋が広がっている。


2012年02月15日号から

札幌市・24年度予算概要

省エネ関連手厚く
 エコリフォームは予算倍増

20120215_02_01.jpg 札幌市の平成24年度予算案がこのほど発表され、エコリフォーム補助やエネルギーecoプロジェクトなど住宅関連事業の予算が固まった。それによるとエコリフォームは前年度比2倍の1億円、エネルギーecoプロジェクトも前年度を約2千万円上回る5億1750万円の予算を計上。今後議会での審議・議決を経て成立する。(札幌版次世代住宅基準の補助事業については前号8面に掲載)。
 住宅関連事業のうち、3年目となるエコリフォーム補助は、当初の予算要求額5千万円が、市長査定によって1億円に倍増。市担当者によると、補助要件はこれまでと同じになる見込みで、基準工事費30万円以上となる省エネ改修またはバリアフリー改修を対象に基準工事費の10%以内・最大50万円を補助(戸建ての場合)。施工業者は建設業の許可を受け、市内に主な営業所を持つ業者に限る。
 ただ、補助金の算出に利用する基準工事費は、実際の工事金額との整合性を図るために見直しを行い、工事内容によっては1割程度の引き上げまたは引き下げとなる。
 また、募集は5月と8月にそれぞれ2週間程度の期間を設けて行い、先着順から抽選に変更。予算枠に余裕があれば、その後も追加で募集を続ける予定だ。

エコ設備導入補助は
市民向け予算5割増

20120215_02_02.jpg 新築・リフォームにあわせて太陽光発電やエコキュートなどの新エネ・省エネ設備を導入する市民・中小企業に費用の一部を補助するエネルギーecoプロジェクトの予算枠は、市長査定によって当初要求額に6千万円上積みされ、5億1750万円となっている。
 制度の詳細は検討中とのことだが、太陽光発電やエコキュート・エコジョーズなど対象となる設備機器と、2万〜20万円の補助額についてはこれまでと同じになる予定で、予算枠の内訳を見ると、市民向けが1億8千万円で前年度比5割増となった。
 一方、中小企業向けは無利子融資を廃止し、新たに定額補助を開始。町内会やNPO向けの補助も新設する。
 募集は前年度同様、5回の募集期間を設けて行う考えだが、抽選ではなく先着順で受け付け、各回の予算枠を超えた場合のみ抽選とする予定。
 なお、エネルギーecoプロジェクトとは別の補助事業で、2種類以上の新エネ・省エネ設備導入に補助を行う「札幌エネルギーeco+プラス」は廃止となった。
 このほか新事業として、LED電球を4千円以上購入し、2ヵ月分の電力消費両調査に協力した家庭1万世帯に最大4千円相当のSAPICAカードを進呈するLED推進キャンペーン事業も実施する。


2012年01月25日号から

国の24年度予算概要

ゼロエネ・地域木造に補助

 国土交通省など各省庁では、平成24年度政府予算案が閣議決定されたのを受け、各種施策等をまとめた予算概要を発表。このうち住宅関連では中小工務店が建てるゼロ・エネルギー住宅や、地域の住宅・木材関連業者がグループで提案する地域ブランドの長期優良住宅に対する補助事業が目玉となりそうだ。

ゼロ・エネ化推進事業
中小の取組に最大165万
 高性能設備関連も対象に

住宅を対象とした来年度の補助事業の一つとして注目されるのが、国交省と経産省の共同事業となる「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」。
 この事業は国交省担当分と経産相担当分に分かれており、国交省では中小工務店によるゼロ・エネルギー住宅の取り組みに対し、1戸あたり最大165万円を補助。経産省はハウスメーカーも含めてゼロ・エネルギー相当となる高性能設備機器とHEMS(ヘムス)など制御機器の組み合わせに補助を行う(補助額未定)。予算枠は国交省担当分が23億1千億円、経産省担当分はビル等への補助も含めて70億円。
 ちなみにここでいうゼロ・エネルギー住宅とは、躯体の断熱性向上と高性能設備機器の導入でエネルギー消費量を大幅に削減したうえで、必要なエネルギーは太陽光発電など再生可能エネルギーでまかない、年間の一次エネルギー消費量を概ねゼロにするというイメージだ。
 事業の詳細は現在検討中だが、いずれも補助要件にあう住宅を募集して補助を行う予定。募集時期は24年度予算が国会で成立した後になるが、国交省担当者によると「年度が変わった後になりそう」と話しており、設計時のエネルギー消費量を試算するツールの提供も検討しているという。

地域型住宅ブランド化事業
グループで仕様等提案
 木造の長期優良に100〜120万

 国交省の補助事業で、中小工務店が建てる木造の長期優良住宅に100万〜120万円を補助する木のいえ整備促進事業のリニューアル版となるのが、「地域型住宅ブランド化事業」だ。
 この事業は地域の原木供給者、製材工場、プレカット工場、建材流通事業者、建築士、中小工務店などで構成するグループから、その地域の住宅生産システムの共通ルール等に関する提案を募集し、採択されたグループの中小工務店が建てる木造の長期優良住宅に1戸あたり最大100万円(地域材使用で120万円)を補助。予算枠は大規模木造建築物に対する別の補助事業とあわせて90億円。
 事業内容を検討している国交省担当者によると、「グループについては原木供給者や製材工場、プレカット工場など中小工務店以外の事業者は原則1社以上加わってもらいたい。中小工務店については一定数以上参加していることが必要」と話しており、募集する〝住宅生産システムの共通ルール等〟は、現在様式を作成中だが、国交省の資料を見ると、共通化した仕様や積算、施工、維持管理などの提案が想定される。
 募集時期は他の補助事業同様に国会での24年度予算成立後となるが、「可能であれば今年度内に募集を行いたい」(国交省担当者)としている。

中古へのフラット35適用拡充も

 このほか、国交省では、必要なリフォームを行うことでフラット35の融資基準に適合する中古住宅であれば、購入・リフォーム後にフラット35の融資が可能となる仕組みを導入。経産省では今年度第3次補正予算の範囲内で太陽光発電や蓄電池、HEMSなどの導入に対する補助を実施するほか、家庭用燃料電池(エネファーム)にも今年度を上回る90億円の予算を計上している。

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20120125_02_02.jpg①ゼロエネ住宅イメージ...ゼロ・エネルギー住宅のイメージ

②地域型ブランド住宅補助...地域型住宅ブランド化事業のイメージ


2012年01月05日号から

省エネ性能への意識と標準仕様

住まいの提案、現在と近未来

 昨年3月11日に発生した東日本大震災以降、わが国は電力不足によりエネルギー政策の面で大きな転換を迫られ、住宅分野でもさらなる省エネ化が避けられなくなってきている。しかし、そのことがすぐに住宅性能の向上につながるかどうかは、住宅会社の仕様提案にかかっているとも言える。この問題を住宅会社は現在どう考えているのか。本紙では道内・道外あわせて105社の協力を得て調査を行った(一部建材設備メーカー等も含む)。

Key①「長期優良住宅」
3割がすでに標準

 まずはじめに、平成21年6月に制度化され、国の補助や各種税制優遇の要件にもなっている長期優良住宅への対応を見てみたい。
 長期優良住宅は、昨年まで長期優良住宅先導事業に採択された北方型住宅ECOモデルや、今年住宅・建築物省CO2先導事業に採択された北方型省CO2マネジメントシステム構築プロジェクトで認定取得が義務付けられているほか、最大100~120万円の補助が受けられる木のいえ整備促進事業でも必須要件の一つ。
 道内では昨年11月までに認定を受けた戸建住宅が累計5千戸を突破。来年度に予定されている木のいえ整備促進事業後継の補助事業も長期優良住宅が前提条件となるなど、国の住宅政策のキーポイントになっている。
 また、耐震等級2(倒壊等防止)を標準とする長期優良住宅を建設すると、建築基準法相当の耐震等級1には戻れないという声も出ており、住宅会社にとってはこれからの家づくりを考えるうえで、長期優良住宅の標準仕様化もテーマの一つとなりそう。
 そこで今回の調査で、今年長期優良住宅を標準仕様にするかどうかを聞いたところ、『すでに標準仕様』が28%、『これから標準仕様にする』が4%と、あわせて全体の約3分の1が標準仕様として考えている。中でも道南では半数がすでに標準仕様としている。
 標準仕様にする理由としては「最低基準と認識している」(道央)や「補助や税制優遇のメリットがあり、他社との差別化にもなる」(道南)など、長期優良住宅がすでに基本になっているという認識や、インセンティブを挙げる住宅会社が目立った。
 ただ「標準仕様だが認定申請するかはお客様次第」(道央)、「認定申請費用は別途お客様から頂くこともあり、半数程度は認定を行っていない」(東北)など、認定についてはユーザー次第という住宅会社も多い。
20120105_01_01.jpg(2面以降は見本紙・試読をご請求ください)
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2011年12月15日号から

再開エコポイント続報

新耐震適合が条件

15万P加算の耐震改修工事

 国土交通省では、今年度第3次補正予算で再開された「復興支援・住宅エコポイント」で、リフォームのポイント発行対象として新たに加わった耐震改修の要件を公表した。
 それによると、昭和56年5月31日以前に着工した住宅を対象とし、窓や床・外壁・天井などの断熱改修と併せて、現行の耐震基準(新耐震基準)に適合させる耐震改修を行うことが条件となる。すでに新耐震基準に適合している住宅は対象外。
 ポイント発行申請時には、提出書類として①耐震改修ポイント発行申請書②復興支援・住宅エコポイント用耐震改修証明書、住宅耐震改修証明書(所得税用または固定資産税用)の写しのいずれか③工事現場写真―の3つが必要。
 ②の書類は建築士事務所に所属する建築士または性能評価機関が発行することになるが、住宅耐震改修証明書は地方公共団体と指定確認検査機関でも発行可能だ。工事現場写真は、戸建住宅であれば筋交いや構造用合板の設置、筋交い端部への接合金物設置、基礎の増し打ち、水平構面の補強などの工事中の状況を撮影したものとなる。
 リフォームでもらえるポイントは、断熱改修やバリアフリー工事、省エネ設備機器の設置、リフォーム瑕疵保険への加入をあわせて最大30万ポイントだが、耐震改修を行う場合は、それとは別に15万ポイントが発行されるので、もらえるポイントは最大45万ポイントとなる。
20111215_02_01.jpg また、耐震改修と同じく新たにポイント発行対象となったリフォーム瑕疵保険への加入については、ポイントの発行対象となる工事について、㈶住宅保証機構や日本住宅保証検査機構など国交省指定の住宅専門保険法人が取り扱う瑕疵保険に加入することが条件。
 このほか、1月中旬で調整中だったポイント申請受付開始日は、来年1月25日で決定した。
 詳しくは住宅エコポイント事務局(tel.0570・200・121)へ。


ホームページ・http://fukko-jutaku.eco-points.jp/


(写真)耐震改修...耐震改修でのエコポイント申請では、筋交い設置や水平構面補強など工事中の写真も必要に


2011年12月05日号から

再開エコポとF35S金利優遇

新旧制度内容の違いはココ

 11月21日に今年度第3次補正予算が成立し、終了していた住宅エコポイントとフラット35Sの金利引下げ幅拡大が内容を変更して再開された。ここで再開後の変更点を中心に各制度のポイントをQ&A形式でまとめた。


住宅エコポイント
新築の要件変わらず
 耐震改修は新耐震適合が条件

Q...対象となる新築・リフォームの要件と着工・着手期間は?
A...新築は従来と同じく木造であれば次世代省エネ基準(11年基準)をクリアする住宅またはトップランナー基準相当の住宅、木造以外はトップランナー基準相当の住宅が条件。
 リフォームは「①次世代省エネ基準をクリアする窓の断熱改修」や「②一定量のノンフロン断熱材を使った外壁、屋根・天井、床・基礎の断熱改修」が必須条件。さらにこれらの断熱改修とセットで行うことでポイント発行対象になる工事等として、バリアフリー改修や太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽の設置のほか、新たに耐震改修と瑕疵保険加入が加わった。
 対象となる着工・着手期間は、新築が今年10月21日から、リフォームが今年11月21日からで、いずれも来年10月31日までとなる。

Q...リフォームで新たに追加された耐震改修は、どの程度の工事が必要?
A...国土交通省住宅生産課によると、耐震改修と瑕疵保険加入の要件は今月上旬に発表予定。
 木造であれば耐震診断の評点を1・0以上として現行の建築基準法の耐震基準に適合させるなど、現在減税措置を受けられる耐震改修の要件と同じになる方向で考えているという。そのため新耐震基準が施行となった昭和56年6月1日以降に建築確認を受けた住宅は対象外となるようだ。
 なお、耐震改修によるエコポイントと減税措置は両方受けられる。

ポイントは新築15万、
リフォーム最大45万

20111205_01_01.jpgQ...ポイントはどのくらいもらえて、どんなものと交換できる?
A...新築は1戸あたり15万ポイントで、東北・北関東・信越などで東日本大震災の特定被災地域は30万ポイント。太陽熱利用システムを設置する場合はさらに2万ポイント追加となる。
 リフォームは断熱改修の場合、工事部位ごと内容に合わせて2千〜10万ポイントが発行され、一緒に行うバリアフリー工事は最大5万ポイント、太陽熱利用システムなどの設備機器設置は各2万ポイント、瑕疵保険加入で1万ポイントを発行。これらの合計で最大30万ポイントがもらえる。耐震改修はこれらと別枠で15万ポイントが加算され、その場合は最大45万ポイントがもらえる。
 ポイントは東日本大震災被災地の特産品・義援金などの復興支援商品や、省エネ家電・リサイクル製品などのエコ商品と交換可能。ただ、今回はポイントの半分以上を復興支援商品と交換することが条件となり、金券などもエコ商品の購入のみ使えるものに限定されることになる。具体的な交換商品は今月下旬以降に決まる予定だ。

Q...即時交換は今回も可能?
A...これまで通りポイントは、新築・リフォームを行う業者が追加的に実施する工事との即時交換が可能。ただ、発行されたポイントの半分は復興支援商品との交換が条件なので、即時交換でも使えるのは発行ポイントの半分までとなる。

申請書類等は
原則従来通り

Q...ポイント申請にはどんな書類が必要?
A...新築・リフォームとも、申請書類の種類はこれまでと変わらないが、リフォームで追加された耐震改修と瑕疵保険加入はそれぞれ新たに書類を用意することとなる。どのような書類かは現時点(11月30日現在)でまだ明らかになっていないが、耐震改修については建築士事務所や性能評価機関などが発行する住宅耐震改修証明書が必要になる見込み。
 また、申請書や工事証明書、断熱材の納品書や施工証明書などの書式は改訂される予定なので、従来の書式は使わないようにすること。

Q...ポイント交換の期限は?
A...ポイント発行申請の受付開始時期は、来年1月中をメドに調整中だが、申請受付締切は新築戸建てが平成25年4月30日まで、新築共同建てが同10月31日まで(11階以上の共同建ては平成26年10月31日まで)。リフォームは平成25年1月31日までだが、共同建てで耐震改修を行う場合は同10月31日まで(11階以上の共同建ては平成26年10月31日まで)。ポイントの交換期限はすべて平成27年1月31日まで。
 なお、国交省では全国13都市で再開された住宅エコポイントの説明会を開催。詳しくは3面の告知記事を参照のこと。


フラット35Sエコ
金利0.7%引き下げ
 当初5年間、被災地は1.0%

20111205_01_02.jpgQ...今年9月末までの金利引下げ幅拡大と何が変わったか?
A...平成21年度の緊急経済対策で実施されたフラット35Sの金利引下げ幅拡大は、20年金利引下げタイプも含めて当初10年間の金利を1・0%引き下げるものだった。
 新たに実施される金利優遇措置は「フラット35Sエコ」と言い、金利Aプランと金利Bプランを用意。いずれも金利引下げ幅拡大期間を当初10年間から当初5年間に短縮するとともに、金利引下げ幅を1・0%から0・7%とした((東日本大震災被災地は1・0%のまま)。6年目以降の金利は、金利Aプランは従来の20年金利引下げタイプと同じく20年目まで、金利Bプランは従来の一般的なフラット35Sと同じく10年目まで、0・3%引き下げられる。
 対象となる住宅は 金利Aプラン・Bプランとも次世代省エネ基準クリアが必須で、Aプランはさらに従来のフラット35S20年金利引下げタイプの①省エネ性の基準②耐久性・可変性の基準③耐震性の基準④バリアフリー性の基準―のうちいずれかに該当することが必要。
 なお、従来のフラット35Sは「フラット35Sベーシック」と名称変更し、0・3%の金利引き下げ期間が10年のタイプは金利Bプラン、20年のタイプは金利Aプランとして来年3月まで実施される。

来年10月31日
申込まで適用

Q...実施期間はいつまで?
A...今月1日以降の資金受け取り分から実施し、来年10月31日申込分まで適用する。ただ、予算金額に達する見込みとなった場合は、予定より早く受け付けを終了するとし、その際には終了する約3週間前に告知するとしている。
20111205_01_03.jpg
Q...このほかに東日本大震災被災地への優遇措置はないの?
A...住宅金融支援機構では、今回の第3次補正予算成立にともない、これまで行ってきた災害復興住宅融資の金利引下げや、元金据置期間と償還期間の延長、融資申込期間の延長などを継続実施するとともに、構造や建て方によって細かく区分していた融資限度額を、被災者にわかりやすく簡素化するなどの措置を行う。
 また、返済中の被災者に対して、返済期間の延長や振込猶予期間中の金利引下げ措置の拡充などを行う措置も継続実施となる。


2011年12月05日号から

神奈川 キーアーキテクツ

自宅改修で大きな手応え

改修版パッシブハウス基準目指す

20111205_02_01.jpg パッシブハウスジャパンの代表理事でキーアーキテクツ社長の森みわ氏が自宅の断熱改修を進めており、外部工事を終えて11月末に入居した。完成は年内の予定。
 森さんからこの春に改修話があることを聞き、興味を持っていた。というのも、面白い改修事例だからだ。
 第1に、この家は賃借物件でオーナーとの新しい契約によって森さんの費用でリフォームする点。賃貸借物件をお互いの負担少なく断熱改修するという仕組みが面白い。
 第2に、建築家の設計だが機能性を失って不動産価値もなくなった物件を再生する点。機能を回復させることでよい部分をよみがえらせるのは、建築家物件、古民家に共通するくくりとして面白い。
 第3に、いろいろな事情により、改修したのは3戸のうち1戸だけという点。所有者が異なるタウンハウスで、合意がとれずに1戸だけ改修する例はほかでもありうる話だ。

透明断熱材なども活用

 物件はRC造外断熱で、築28年。設計した建築家は、エコ住宅へのチャレンジを試みたが、結果は今ひとつで、室内はカビと結露、漏水がひどく、おまけに黒アリが巣を作っていることがわかった。1階は倉庫にもならない状況だったという。それでも改修しようと考えたのは、ユニークな設計が森さんもオーナーも気に入っていたから。
 目標は、パッシブハウスの省エネ改修基準であるEnerPHit(エナフィット)をクリアする暖冷房負荷25kWh/m2。国内2棟目としてドイツに申請する予定。
 金銭面では、70㎡弱の既存延床面積を80m2弱に増築した上で1000万円であげること。
 RCの外断熱は、一部をはがしてみたところとても再利用できる状態ではなく、すべてやり直した。一部に冬場の日射取得を増やす目的で透明断熱材を採用(Sto・シュトー)。
 1階は土間コンの上に真空断熱材を敷き込んだ。RC造の改修の場合、床面断熱は大きな課題となるが、真空断熱材は1つの解決策になると森さんは見ている。今回はプレカット価格などの面でドイツ製を利用。
 既存壁に開口部を設けた部分は、周囲に炭素繊維による補強を行った。
 プールとなっていた屋上防水はすべてはがし、木造で小屋組みしてセルロースで断熱(マツナガ)。空間はロフトとして利用する。
 このほか、開口部は奈良県の杉集成材をドイツでサッシに加工した木製トリプルサッシ、暖房は蓄熱式薪ストーブ(2階)と床暖房(1階)、換気は熱交換換気(ジェイベック)。屋根にはプロパンガスボイラーにつながる太陽熱温水パネルを設置している。

借家人が改修する新方式

 オーナーとの約束では、改修費は森さん持ち。ただし10年間の家賃は固定資産税分のみ。10年後は現状復帰させずに居抜き返却。賃借中の10年間は森さん側の又貸しを認める。
 オーナーの費用負担なし、森さん側はおおむね家賃並みの工事費負担のみ。10年後に、オーナーは価値が回復した物件を手にすることが出来、一方森さん側は住環境の改善に加え個性的な生活を楽しむこともできる。
 森さんは、「新築以外の既存住宅、賃貸住宅の住環境と断熱性の改善も大きな課題。費用負担や枠組み、隣家対策などが重要になるので、今回はどのくらいの費用で収められるか、改修に適した建材や工法は何かを検証しながら工事を進めていった。また、カビや結露で悩む家を建替以外の方法で解決が可能か、という点では大きなチャレンジだったが、断熱改修によって機能の回復は可能だと自信を持った」と話している。


2011年11月25日号から

第2回北方型住宅賞 最優秀賞は中札内の家

Sa design設計、大野建設施工

 北海道建築指導センターと道が主催した「第2回北方型住宅賞」の表彰式が、去る14日に札幌市内のホテルで行われ、最優秀賞を受賞した十勝・中札内村のS・H邸オーナーと設計のSa design office一級建築士事務所・小倉寛征代表(札幌市)、施工の大野建設・大野圭市社長(幕別町)を始め、各賞を受賞した住宅のオーナー・設計者・施工者に賞状と副賞が贈られた。
 この表彰は、北方型住宅のよりいっそうの周知と建設促進を目的に実施。今回は平成18年度に続く第2回目となり、7月から〝気候・風土を活かし、地域によって育まれ、豊かな住まいづくりを実現している北方型住宅〟を募集。道内38市町村から112軒の応募があり、最優秀賞1軒、優秀賞3軒、奨励賞6軒が選出された。
 このうち最優秀賞に選ばれた中札内村のS・H邸は、昨年度建てられた北方型住宅ECO。延床面積約30坪の平屋で、東西に延びる23mの廊下によって各部屋同士のつながり感を持たせた細長い形状・プランが特徴となっている。
 設計を行ったSa design office一級建築士事務所の小倉代表は「中札内の自然のいいところも厳しいところも感じられ、田園風景になじむ水平基調の外観にするとともに、子供の成長や変化に対して家族みんなが話し合いながら造り変えていける住まいを目指した。最優秀賞は嬉しい」と話しており、施工を担当した大野建設の大野社長は「最優秀賞受賞は光栄。冬に完成現場見学会を行った時、快適な室内から吹雪の戸外が非現実的な世界に見えて感動したことがあるが、それだけ当社にとっても印象に残る住まい」と語っている。
 このほか各賞を受賞した住宅は次の通り。
 ▼優秀賞=札幌市S・N邸(メグロ・アーキ・スタジオ設計、拓友建設施工)、室蘭市K・M邸(一級建築士事務所エネクスレイン設計、小松建設施工)、伊達市O・M邸(M&M ASSOCIATESおよび須藤建設SUDO設計の共同設計、須藤建設SUDOホーム施工)▼奨励賞=厚岸町H・R邸(一級建築士事務所ATELIER O2設計、サトケン施工)、札幌市N・T邸(アトリエアーキファースト㈱設計、江田建設施工)、七飯町D・K邸(奈良建築環境設計室設計、山野内建設施工)、長沼町S・K邸(トロッコ一級建築士事務所設計、大平洋建業施工)、旭川市T・K邸(柳雅人建築設計工房設計、橋本川島コーポレーション施工)、札幌市O・Y邸(アーキシップ・アソシエイツ設計、ハウジング光陽施工)

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北方型最優秀賞...最優秀賞を受賞した中札内村のS・H邸


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受賞者一覧


2011年11月25日号から

3次補正予算成立

エコポイント再開へ  フラット35S金利優遇も
 今年度の第3次補正予算案が今月21日に成立する見込みとなった(11月19日現在)。これにより住宅エコポイントやフラット35Sの金利引下げ幅拡大が再開になるとともに、太陽光発電などのエコ設備機器導入に補助を行う節電エコ補助金もスタートになる予定だ。
 住宅エコポイントは今年7月末の着工・工事着手をもって終了していたが、東日本大震災被災地の復興支援に重点を置いた制度として再開。新築は今年10月21日着工分から、リフォームは今月21日分から対象となり、新築は15万ポイント(被災地は30万ポイント)がもらえ、太陽熱利用システムを設置するとさらに2万ポイント加算。リフォームは最大で30万ポイントで、耐震改修も行う場合は最大で45万ポイントがもらえる。
 フラット35Sの金利引下げ幅拡大は今年9月末申込分をもって終了していたが、省エネ性に優れた住宅を「フラット35Sエコ」と称し、当初5年間の金利を0・7%(被災地は1・0%)引き下げる(4面参照)。
 このほか家庭用の太陽光発電や燃料電池、蓄電池、HEMS(ヘムス)の導入に補助を行う節電エコ補助金も創設。このうち太陽光発電と燃料電池は、すでに今年度実施されている補助制度を継承する形となる。
 いずれも詳細は次号(12月5日付)に掲載予定。


2011年11月05日号から

200mm厚以上の時代へ

超高断熱の納まり

 札幌版次世代省エネ基準の策定や東日本大震災によるエネルギー不足などを背景に、外壁200mm以上の超高断熱に取り組む住宅会社が増えてきた。また、道内の研究者からは「これからは最低200mm断熱が必要」との声も聞く。今後の省エネや節電、CO2排出量削減などを考えても、超高断熱化はこれからの住宅の方向性の一つ。ここで200mm以上の超高断熱壁体の納まりをチェックしてみたい。

在来 充てん+外付加100mm充てん+外付加100mm
内側付加で配線空間確保も

thum20111105_1.jpg在来木造住宅では、すでに5年以上前から200mm断熱に取り組む住宅会社があり、現在見られる在来の超高断熱化もその納まりをベースとしたものが中心だ。
 ここでスタンダードな200mm断熱の納まりをおさらいすると、軸組屋外側に構造用合板を張り、その上から455mmピッチで断熱下地となる105×30mmの間柱材や204材を縦使いまたは横使いで施工。その下地の間に付加断熱材を充てんし、透湿防水シートを張ってから外装仕上げを行う方法が一般的。
20111105_01_02.jpg 早くから200mm断熱に取り組んでいる新濱建設(旭川市、新濱壽男社長)では、この納まりでさらにロックウールボード25mmを付加して225mm断熱とし、PVCサイディングを通気層なしで直張りする納まりを採用している。
 なお、NPO新住協代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏は200mm断熱の室内側に防湿気密層の上から45mmの付加断熱を行い250mm断熱とする納まりも提案。内側付加断熱層のスペースを利用することで、気密層を壊さず配線・配管が施工できるメリットがあるとしている。
 ただ、この場合も含めて断熱材を内付加する場合は、通常の設計より付加断熱材の分だけ外壁を屋外側にオフセットするなど、室内空間が狭くならないよう設計を工夫することが必要になってくる。

※続きは試読をお申し込みください。
(伝言欄に「11月5日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年10月25日号から

札幌版次世代住宅基準

市民・モデルハウスに来年度から補助

 札幌市は、今年3月末に最終案を取りまとめた「札幌版次世代住宅基準」について、新築で4段階、リフォームで3段階の断熱・気密性能レベルを設定し、新築は来年度から市民向けとモデルハウス向けの補助制度を開始する。
 札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として昨年から制度内容を検討。6回にわたる技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)で基準案がまとめられ、同市では今年度、普及促進に向けた支援策などの制度設計を行った後、本格的な基準運用をスタートさせる考えを示していた。
 新築の基準はベーシックレベル(Q値1・3W以下、C値1・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、1・0以下)、ハイレベル(同0・7W以下、0・7以下)、トップランナーレベル(同0・5W程度、0・5以下)という4つの性能レベルを設定。これらに適合する住宅・モデルハウスを建てる市民・住宅会社に補助を行う。
 補助額はまだ明らかになっていないが、モデルハウス向けは次世代省エネ基準からのコストアップ分が補助額となる予定。市民向けは各性能レベルに応じて補助額を変えるかどうか、これから検討するとしている。補助件数は、平成26年度まで市民向けとして279件、モデルハウス向けとして16件をそれぞれ見込んでいる。
 なお、モデルハウスについては建設する住宅会社を一般公募する予定。東区東雁来の住宅団地・ウェルピアひかりのでまとまった区画を用意し、マイホームセンターのような総合住宅展示場形式とする構想だ。

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リフォームへの補助は今後の課題
 リフォームの基準はベーシックレベル(同1・4W以下、2・0超え5・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、2・0以下)、ハイレベル(同0・8W以下、2・0以下)の3段階に設定。現在すでに省エネリフォームを対象としたエコリフォーム補助制度が行われていることもあり、同基準によるリフォームへの補助は未定で、同市建築部建築企画課では今後の検討課題としている。
 このほか、基準に適合する住宅には性能レベルを表したプレートの設置や、Q値・暖房エネルギー消費量などを記載した性能保存シートの発行によるラベリング制度を導入することによって、資産価値の向上とブランド化を図る計画。
 これらの制度内容の詳細が正式に決定・公表されるのは、来年1月下旬頃になる見込みだ。
 同市では今年3月に策定した札幌市温暖化対策推進ビジョンの中期目標である「2020年にCO2排出量を1990年比で25%削減」を達成するためには、同基準の普及促進が不可欠であるとし、2020年までに新築は100%同基準に適合させる考え。その内訳はベーシックレベルが60%、スタンダードレベルが30%、ハイレベルおよびトップランナーレベルが併せて10%と想定している。


2011年10月15日号から

ヘムス(HEMS)

スマートハウス研究 (その3)

 これまで2回にわたってHEMS(ヘムス)について誤解を恐れずに解説してきた。そこから、未来はすごいが現状は発展途上ということが見えてきたと思う。最終回となる今回は、スマートハウスの現状と今後の見通しについて考えたい。

東京でスマートハウス見学
 9月28~30日にかけて東京で恒例のジャパンホームショーが開催、特別企画として「スマートハウス・エコハウス・次世代照明特集」が組まれた。積水ハウスは、同社が横浜に建設した「観環居」(かんかんきょ)と呼ぶスマートハウス実験住宅で採用している技術をパネル展示したほか、ヘムスのデモンストレーションを行った。
 そこでは、消費エネルギーの「見える化」だけでなく、離れて暮らす両親の消息や町内会の電子回覧板などのコミュニティー機能、最寄り駅の電車の時刻表示など、インターネットとも融合した「家庭用ポータルサイト」とでも言うべき表示内容だった。
 しかし、同ショーではほかに目立った展示は見られなかった。急きょ横浜市内に移動してスマートハウスのモデルハウスを見に行ったが、「観環居」は平日非公開のため見学できず、住友林業が公開しているスマートハウスを見に行った。
 このスマートハウスは住宅展示場のモデルハウスとしての位置づけが重視されており、エネファームや蓄電池は稼働しない『模型』扱い。さらに、ヘムスの家電コントロールも節電のためエアコンなどの元コンセントを抜いているということで動作状況は見学できなかった。スマートハウスの実態がなかなか見えてこない。

カギ握る「最適化制御」
 月が改まって、今月4日から8日まで映像・情報通信技術の総合見本市「CEATEC(シーテック) JAPAN2011」が千葉・幕張で開かれ、初日にパナソニックの大坪文雄社長がスピーチを行った。その中で創業100周年に向けた同社の方向性の1つとして述べた内容がまさにスマートハウスと言えるものだった。
 それによると、ヒートポンプ機器などの『省エネ』、太陽光電池や燃料電池で電気を生み出す『創電』、その電力を大容量蓄電池や電気自動車のバッテリーに貯め込む『蓄電』、そしてこうした創電、蓄電の状況やタイミングを見極め、家庭内のエネルギー使用状況をモニターしながら最適な節電のアドバイスまで行うヘムスに代表される『最適化制御』、この4つを提供できるのが同社だという。それは、スマートハウスの中核技術そのものだ。
 そして今、大手ハウスメーカーや通信・家電・コンピューターメーカー、自動車会社などが束になってこの4つを融合させようとしているのがスマートハウスの現状と言える。

実用化には課題も
 しかし、もう一方ではマスコミのセンセーショナルな報道に動じる必要はないと感じた。というのも、規格の統一やシステムのコンピュータウィルス対策、蓄電池とヘムスの連携、低価格化など、実現にはいろいろ課題があるからだ。
 ここで予想されるのは、ヘムスと太陽光発電、低コスト蓄電池など現実的に実現可能な技術だけを抜き出して「○○式スマートハウス」のようなものが乱立する可能性。一時期の『健康住宅』ブームのようになり、混沌とした状況になるかも。
 こうした混乱の中でも、消費者から住宅会社への問い合わせも徐々に増えてくることが予想される。

ヘムスがお手頃に
20111015_02_01.jpg スマートハウスに必要な4要素をそれぞれ検討してみると、ヘムスが一番採用しやすいと言える。NECが既に10万円以下の機種を発表するなど、低価格化が進んでいるためだ。元は、太陽光発電状況をモニタリングする機器として始まったため歴史もあり、分電盤を専用品に変えてモニターを取り付けるというレベルなら採用しやすいと言える。
 省エネに関しては次世代省エネ基準よりも上の性能レベルが求められるが、技術的には問題ない。創電も太陽光発電については、実用化されて年数が経っているのでハードルは価格以外にはあまりないと言える。
 問題は蓄電。現状では蓄電池の単価が高く、家庭で使う1日分の電力をバックアップするのに100万円でも足りないぐらい。しかも、蓄電池の寿命は5~10年程度と言われているため、ランニングコストを考えるととても実用的とは言えない。電気自動車の活用も言われているが、電気自動車そのものが発展段階で、普及率も非常に低いために手を出すのはリスクが多い。
 スマートハウスの現状はこのように黎明期という感じだが、政府の政策次第で主流になる可能性もある。今後の動向から目が離せない。

画像
ジャパンホームショーで展示された積水ハウスのヘムス

HEMS連載の初回へ


2011年10月05日号から

変わるハウスメーカー地図

タマ・一条進出の影響を探る
 札幌に本州大手のタマホームと一条工務店が進出してきたのが平成20年。潜在需要の活性化を期待する声がある一方で、受注競争の激化を不安視する声も多く、その動向に多くの住宅会社が関心を寄せた。それから3年。両社の進出で札幌の業界勢力図にはどのような変化があったのか。タマホームの全道展開が加速したのを機に検証した。

8社がランク外に
 タマホームは平成20年に札幌に進出してから、苫小牧にロードサイド店の営業所を開設、一条工務店は北海道マイホームセンター札幌会場に続き南会場にも出店。その後は両社とも主立った動きは見られなかったが、9月下旬にタマホームが札幌北、旭川、帯広、函館のマイホームセンターに相次いでモデルハウス兼営業拠点をオープン。道北・道東も営業エリアとなり、道南は苫小牧から函館までカバーする体制が整った。
 それでは札幌の住宅市場は両社の進出でどうなったのか。
 平成22年の札幌市内戸建専用住宅確認済棟数上位30社のデータを、両社が札幌に進出する前の平成19年と比べてみると、残っているのは24社。8社がランク外となっており、新たにタマホームと一条工務店を含む7社がランクインしている。ランク外となった住宅会社は平成20年に経営破たんした松本建工と旧木の城たいせつを除くと、年間30~40棟クラスの住宅会社で21~30位に位置していた。逆に新しくランクインした7社はタマホームと一条工務店を除き、いずれも年間30~40棟クラスの地場住宅会社。このうち2社は創業10年未満の若い会社だ。
 このように年間30~40棟クラスの住宅会社で入れ替わりはあるものの、比較的新しい住宅会社も出てきていることを考えると、それ自体はタマホーム・一条工務店進出の影響と言い切れない。

中堅クラスが混戦模様
 一方で、年間50棟以上の上位20社の順位変動が激しい。
 特に目に付くのは、トップがかわったこと。しかもそのトップはタマホームが進出した当時、最も影響を受けるのではないかと言われていた住宅会社だ。
 また、上位20社の中でも11~20位、棟数で見れば年間50~100棟クラスの住宅会社のアップダウンが激しく、平成19年に11~20位に入っていた住宅会社10社のうち、22年には8社が入れ替わっている。同じランク内に入っていたのは僅か2社のみで、3社はトップ10内に入り、4社は21位以下にダウン、残る1社は経営破たんした。
 タマホームでは札幌市内を含め全道展開をさらに加速させる構えを見せており、このほど進出した地方都市でもどのような市場の変化が起こるか注目されるところだ。

平成19年と22年の札幌市内戸建専用住宅確認申請済棟数ランキングは、試読をご請求ください。
(伝言欄に「10月5日号から希望」とお書き添えください)
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2011年09月25日号から

ヘムス(HEMS)スマートハウス研究 その1

2年後にはヘムス標準化

 最近、ヘムス(HEMS)、スマートハウスという言葉を聞くようになった。大手ハウスメーカーは「ヘムス標準装備」の商品を発売したり、スマートハウスの実証実験などが動き出している。工務店の関心も一部で高まっている。ただ、正直、得体が知れないところもあり、遠くで眺めている気分の方も多いのではないか。今号から少々乱暴に「ヘムス」「スマートハウス」に迫ってみたい。
※続きは試読をお申し込みください。
(伝言欄に「9月25日号から希望」とお書き添えください)
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2011年09月05日号から

間取りに影響を与え始めた

料理しないキッチン

 住宅は家族のくつろぎの城であり、主婦は台所仕事や洗濯など家事負担を軽減する間取りと設備を望む。ところが、それでも家事が十分にできない実態や、そもそも「料理はしない」というホンネもあるという。家事をやりきる建前や理想と同時に、やりきれない実態やホンネもしっかりくみ取ることが、重要になってきているのではないか。

働くお母さん10年で10%増
20110905_01_01.jpg 仕事を持つ女性が25~34歳の既婚者で大きく増えている。厚生労働省の最新の統計によると、2010年の仕事を持つ女性と就職を希望する女性をあわせた労働力人口の生産年齢人口に占める比率(労働力率)は、10年前の2000年に比べ年代別の30~34歳で最も上昇している(約11ポイントアップ)。
 これを既婚者と未婚者に分けてみると、伸びのほとんどが既婚者で、30~34歳と25~29歳がともに10年前のおよそ10ポイントアップ。実際に働いている人の割合である就業率で見ても、いずれも5割を超えた。10年前と比べ、やはり10ポイント程度アップしている。
 さらに、既婚者に子どもがいる場合はどうかという視点で見ると、子どもがいる場合にも25~34歳の女性の就業率は数ポイント上がっている。
 統計上は、子育て世帯で共働きが増えているということが言える。
 また国も25歳~44歳までの女性の就業率を9年後の2020年までに73%とする目標をかかげており、共働きの増加は止まらないだろう。

夕食を調理する時間がない
 このことは家事と家計にかなりの変化をもたらすと考えられる。家事にかける時間が不足する一方、家計の中での女性の経済力強化が進むことになる。これは総じて家庭内での女性の発言力強化につながる。
 インターネットポータル・ヤフージャパンの「Yahoo!知恵袋」お料理Q&Aという掲示板サイトでは、「夜ご飯の調理時間は」という質問に対し「短くて1時間半、ほぼ毎日2時間。朝・昼・夜と1日6、7時間はキッチンに立ってる計算になる」がベストアンサーとなっている。
 ところが東京電力「TEPCOくらしのラボ」が昨年8月に東電管内の自分で調理をする20代~60代の女性2060名を対象に行った調査では、調理時間は朝食が5~20分、夕食が30分~1時間という回答が多い。
 理想は2時間だがそんな時間はとれない。となると、おかずを1品減らすか減らさず購入するかいずれかになる。
 おかずを購入するのは子育て世代だけではない。60代以降の女性が台所に立つ時間の平均は、現在20分であると語るのがフードプロデューサーで食のプロデュース会社・(株)カルナ社長の小畑友理香氏。夕食の品数を3品とすれば、そのうち2品のお総菜を購入するのは、調理時間からみて当然だという。
 東電の調査によると、外食は減っていることが明らかだが、それは必ずしも調理することを意味せず、総菜の購入、レンジで「チン」の簡単調理傾向も見て取れる。
※続きは試読をお申し込みください。
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2011年08月15日号から

外野席

 8月15日号の編集会議の内容についてぶっちゃけ話を。8月に"札幌圏だけが突出して景気がいい"という記事を企画していたが、「感じ悪くね!?」という意見が大勢を占めボツになった。しかし、それがかたちを変えて今回の1面と、3面のインタビュー記事「あの人に聞きたい」につながった。マンションデベロッパーで供給ナンバーワン、クリーンリバーの永沼常務だ。
 スタートは、全道的に悪くはないものの札幌圏は突出して好景気であるという点。しかし、じつはその理由が今ひとつわからない。そこで注目したのが『新築分譲マンションの供給が落ちている』という点だった。当然、いままでならマンション用地になった宅地が戸建てミニ開発向けにかわり、市街地で戸建て供給が増える結果、マンション顧客を戸建てが取り込んだという仮説だ。この仮説を検証するためにも、いま最もマンション供給力があるクリーンリバーに取材しようということになった。
 そういう背景で1面と3面記事を読んでいただくと、新しい発見があるかもしれない。例えば「最近は3LDKが中心」とか来年のマンション供給見通しとか。


2011年08月15日号から

道内堅調、32,000戸も

2011年住宅着工見通し

 3月11日に起きた東日本大震災によって、今年の着工予測はきわめて難しくなっている。住宅着工が止まったのは被災地だけでなく、東日本全体に及んだからだ。さらに電力供給能力が低下したことにより、建材類の生産に大きな影響が出た。それにもかかわらず、北海道の住宅着工は比較的堅調で、中でも持家については昨年後半からの好調を持続している。

昨年後半から持家が好調
20110815_02_01.jpg まずは左中の棒グラフを見てほしい。持家着工戸数の月別伸び率をグラフにしたもので、北海道を現す赤の棒が去年の後半からずっと高いことがわかる。ピンク色の全国が震災影響と思われる落ち込みを見せている間も成長を持続し、6月には10%成長に迫った。
 この調子で成長が続くと、2011年計では持家が1万2500戸前後、住宅着工全体で3万800~3万3000戸ということになり、年初の予測通り3万戸超えはほぼ確実だ。
 貸家の動きが今ひとつだったが、6月は1月以来5ヵ月ぶりに14%成長。分譲はマンションの着工が増えており、すでに1800戸近い。1年間で2000戸以上の着工になることは間違いない。
※続きは試読をお申し込みください。
(伝言欄に「8月15日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年08月05日号から

バリアフリーリフォームの提案方法

講師 西代明子

自立した生活のために

20110805_02_01.jpg 最近は30年前のようにバリアフリーと聞いただけで嫌な顔をするお客様がいなくなりました。それだけ一般的になったということでしょう。
 歳をとっても住み慣れた我が家に住み続けるため、バリアフリーリフォームを希望する方も増えています。50~70代前半が中心ですが、40代の方からの相談も。工務店にとっては営業の切り口として提案しやすい時代になったと思います。
 一方でクレームも増えています。夢いっぱいで始めたリフォームが悲しい結末を迎えないためのポイントを、私が日頃実践していることを交えながらお話しします。

「不便」を見つけ出す

 バリアフリーに限らず、リフォームは住まい手が不便に感じていることをどれだけ見つけられるかで満足度やリピート率が違ってきます。
 外構を含めた建物全体と生活の様子をよく観察し「何に困っているか」を想像力を駆使して探し出すことが大切です。
 例えば浴室をリフォームする場合。お風呂に直行するのではなく、まず外廻りを見ます。敷地内の段差や物置の位置から家に出入りするところや雪かきの道具を取りにいく場面を想像してみましょう。提案の幅がグッと広がるはずです。
 この段階で工事車両の駐車スペースはあるか、庭木がじゃまにならないかなども判断します。お客様に事前に伝えておけば、あとで駐車場代が発生したり、大事な花を踏んづけてしまったりといったトラブルを防ぐことができます。
 建物の中に入ったら、階段のそばの古新聞の山や和室の長押に掛けっ放しの洋服を見逃さないでください。「しまう場所がないか、収納が使いにくい」ということです。
 トイレも我慢せずにお借りして手すりはあるか、寒くないかをチェックしましょう。
 私はお宅に伺う前に「片付けないで下さい」とお願いします。整理整頓されたら日常の不便さが見えなくなるからです。『ありのまま』の生活を見せていただく方が多くの情報が得られます。

住む人が暮らしやすく

 バリアフリーリフォームを望む60歳くらいの方の自宅は築20~30年、1階は居間と客間、水廻り、2階は寝室と子ども部屋という間取りがほとんど。夜中に階段を下りてトイレに行くのが億劫な方も多いようです。
 それなら1階の客間を遊ばせておくのはもったいない。実際お客様が泊まることは滅多になく、床の間にハンガーや金庫などが置かれている家もたくさんあります。
 客用布団を入れる押し入れと床の間をクローゼットに改造し、寝室として使う方が住む人にとって、ずっと暮らしやすく安全な家になります。仏間の幅を少し狭くすれば、下着やタオルを入れる収納も確保できます。
 2階の子供部屋も「子育てが終わったんですから自分たちのために使いましょう」と提案してみては。夢だった書斎を還暦を過ぎてから実現するのもいいと思います。
 2階に寝る場合は寝室の近くにトイレを造るか、安全に1階に行けるよう階段を緩やかにし、手すりを両側に設置する必要があります。就寝前に薬を飲む方は2階にも小さな洗面台か流し台があると便利でしょう。

医療の専門家との連携

 通院、あるいは入院中の人がいる場合は現在の身体能力やどういう介護が必要なのかを知っておかなくてはなりません。
 進行性の病気であればリフォームしても近い将来、対応できなくなるかもしれないことを見越した提案をします。
 手すりだらけにするのではなく、体の状態に応じていつでも付けられるように下地を施工。お客様を傷つけないよう「転ばぬ先の杖で下地を入れておきます」という切り出し方がいいでしょう。
 医師や看護師、ケアマネージャー、お金や制度の専門家との協力体制も不可欠。わかったつもりで全てを仕切ると、住む人にとって不幸な結果を招きます。
 施工会社の方には福祉住環境コーディネーターの勉強をおすすめします。リュウマチなど代表的な病気の症状や対応方法についての基礎知識が身につき、より適切な受け答えが出来るようになります。営業面でもプラスになるでしょう。

あったかリフォーム倶楽部2011年総会記念講演会から


2011年07月25日号から

網走にパッシブハウスタウン

2012年春に着工
20110725_01_01.jpg ドイツ発祥の省エネ住宅で、日本各地でも建設が始まっているパッシブハウス基準による「オホーツク・スロービレッジ」(略称・OSV)が、道東の網走市内で計画されている。来春には第1棟目の住宅が着工する予定だ。

ゼロカーボンで15~20棟

 オホーツク・スロービレッジは、国内初のパッシブハウスを設計した森みわさん(東北芸術工科大学客員教授)を代表とするオホーツク・スロービレッジ(株)が建設を進めているもの。
 国内初のパッシブハウスは神奈川県鎌倉市に建設され、今年1月には茨城県で2棟目が竣工。現在も福岡や奈良などで建設が進められているが、同社では冬期に厳しい気候条件にさらされる北海道・オホーツク地域に建設することで、パッシブハウスが有する高い快適性と省エネ性を実証し、その必要性を住宅業界関係者から一般ユーザーまで広く知ってもらおうと、網走での建設を検討してきた。
 場所は、冬には流氷がやってくる同市北浜の海に近い高台にある約2万1千坪の牧場跡地で、自然のままの草木や花が生い茂っており、オホーツク海と知床連山を見渡せる絶好のロケーションに位置する。計画案ではこの土地にカーボンニュートラルを目指した15~20棟のパッシブハウスを建設する。面積上はさらに棟数を増やすことも可能だが、各住戸からの眺望を十分確保するとともに、豊かな自然環境をできる限り残すため、棟数を絞って各住戸間にゆとりを持たせたマスタープランとする考えだ。
 統一感のある景観づくりのため、ビレッジのデザインコードには省エネ性能のみでなく、仕上げ材料のルールなどもデザインを制限しない範囲で盛り込まれる予定。道南杉によるシダーシェイクの外壁仕上げなどがその一つとなる。

※続きは試読をお申し込みください。
(伝言欄に「7月25日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年07月25日号から

札幌市 宅地開発の方針転換

1区画165m2以下認める

 札幌市は、都市計画法に基づく開発行為の許可基準である「札幌市開発許可等審査基準」と「札幌市宅地開発要綱」を8月1日から改正する。
 平成19年の都市計画法改正により、市街化調整区域での大規模開発許可の基準が廃止され、市街化調整区域での大規模開発ができなくなった。また、札幌市では平成16年に「都市計画マスタープラン」を制定し、市街化区域をこれ以上広げず、増加する人口も市街化区域内に誘導することを表明している。
 以上により、これまで大規模開発を想定していた「札幌市開発許可等審査基準」と「札幌市宅地開発要綱」を見直すことになった。今回の見直しでは、既存市街地の宅地開発を促進するため、1.宅地開発に伴う道路整備要件の緩和、2.1区画あたりの宅地面積要件の緩和、3.開発に付随する公園整備に例外規定を設ける―の3点が目玉となっている。
 1.は、宅地開発を行う場合、道路幅8m以上の整備を一律に求めていたが、既存市街地では道路幅が6m程度の地域も存在し、既に建築物が並んでいるため、場合によっては6m以上でも認めることになった。2.は、市街化地域で容積率400%など地価が高い地域での宅地開発を促進するため一律1区画165m2以上としてきた指導を見直す。3.は、これまで150m2以上の公園整備を求めてきたが、500m2以上の整備を求める方向に強化した。一方で、周囲に相当規模の公園が存在する場合は、公園の整備を求めないという例外も設けた。
 問い合わせは、札幌市都市局市街地整備部宅地課(011・251・2512)。


2011年07月15日号から

暖房エネルギー4-7割減

PCM蓄熱材実用化へ

 PCMという特殊な蓄熱材を塗り壁材に混ぜ、日射でオーバーヒートした室内の熱や生活排熱を蓄熱・放熱させることにより、暖冷房エネルギーの大幅削減を実現する「アイウォール(iWall)システム」の研究・実証実験が、開発者の北海道職業能力開発大学校・石戸谷裕二教授(工博)らによって進められている。昨年には実験住宅が8棟建設され、4~7割の暖房エネルギー削減効果が実証された。

20110715_01_01.jpg道職能大・石戸谷教授が検証
 アイウォールシステムは、一定の温度を境に蓄熱・放熱を行う性質を持つPCM蓄熱材を利用したもので、木造の高断熱・高気密住宅に高い蓄熱性を持たせることを目標として、石戸谷教授が5年前から研究を開始。PCMを石こうプラスターや漆喰、珪藻土などに混ぜて左官で室内の壁や天井に施工する「アイウォール―p」、PCMを混ぜた塗り壁の中に温水を通すマットも一緒に塗り込む「アイウォール」、そしてさらに壁面設置の太陽熱集熱器や地中へのパイピングによって再生可能エネルギーを有効利用する「アイウォール―e」という3種類のパターンが考えられており、このうち「アイウォール―e」は、大学校内の実証実験棟で検証を行っており、これから2棟の実験住宅の建設が予定されている。

室内壁の8割に蓄熱塗壁材
 昨年建設・実測が行われた実験住宅8棟は、3棟が「アイウォール―p」、5棟が「アイウォール」。 このうち7棟は札幌圏、残る1棟は神奈川県横浜市に建設された。
 仕組みとしては、室内壁面積の約8割にPCM混入の塗り壁材を採用。冬期の日中に日射熱や生活排熱などで室内がオーバーヒートして室温が25℃を超えると、塗り壁に混ぜたPCMが蓄熱を開始、逆に夜間は室温が25℃を下回るとPCMが蓄熱した熱を放熱することで、室温を25℃に保つようになっている。
 「アイウォール―p」は暖房に一般的な温水パネル式セントラルヒーティングを使うが、「アイウォール」は30℃の低温水による放熱マットを組み合わせることで、さらなる省エネ化と暖冷房負荷のピークシフトを図る。
 放熱マットは3×6尺サイズで、部屋の大きさが6帖なら1枚、8~10帖なら2枚使用し、温水は低出力の空気熱ヒートポンプで作る。

Q1.4で暖房灯油550リットル
20110715_01_02.jpg 実測調査によると、「アイウォール―p」を採用した住宅は、同じ熱損失係数=Q値の住宅と比較して暖房なしでも室温を高く維持できる(自然温度差が2~3倍)。そのため年間暖房エネルギー消費量は4割削減することができ、延床面積40坪程度でQ値1・4Wなら、灯油550リットルくらいで済む。
 「アイウォール」は、暖房エネルギー消費量を最大で約7割削減。年間暖房灯油消費量は270リットル程度に収まる。春秋の暖房端境期でも室温は22~25℃の間で安定しているため、年間を通して暖房期間は約1ヵ月間短縮。30℃の低温水を使うため、ヒートポンプとのマッチングも良く、定格出力2kWの製品で間に合うなど設備容量を抑えることにもつながる。
 一方、「アイウォール―e」については、建物南面の壁に3×6尺サイズの集熱器を設置し、冬期は太陽熱で作った温水を放熱マットに循環させて暖房を行う。夏期は基礎のフーチング上に配管したパイプから地中熱で冷水を作って冷房に使う仕組み。使用するエネルギーは温水を循環させるポンプの電気代のみ。
 実証実験棟で検証したところ、壁面の集熱器は窓からの日射取得を利用するより約2・3倍の暖房エネルギー削減効果があることがわかったほか、夏期は外気温が35℃に達する日でも室温は26℃ほどで推移していることが分かり、最小のエネルギーで屋外の環境の変化に左右されない室内環境が実現可能になると、石戸谷教授は見ている。
 施工コストは、「アイウォール―p」が1棟あたりの施工面積150m2として70~80万円。「アイウォール」は一般的な温水パネルヒーティングと同等のコストを加算した金額、「アイウォール―e」は壁面の太陽熱集熱器と給湯用のタンクをセットで70万円ほど、地中熱のパイピングに15万円ほどのコストを加算した金額を想定している。

分厚い断熱せずに高省エネ
 石戸谷教授は「現在の住宅は1980年代初めから高断熱・高気密化によって省エネと室内環境の改善を進めてきたが、これから無暖冷房やパッシブハウスレベルまでの性能が求められるようになった時、例えば在来工法で壁に400㎜もの分厚い断熱を施工するのが適当なのかどうか。それならQ値1・3~1・6レベルの躯体にアイウォールシステムなどの蓄熱技術を加えれば、断熱の納まりで無理しなくても高い省エネ性と快適な室内環境が得られる。経済的にも10年以下で償却できるメドが立ってきた」と話している。
 アイウォールシステムの問い合わせはアイウォール研究会事務局の日和住設(tel011・665・1410)へ。

写真:
「アイウォール」の施工。放熱マットをPCM混入の塗り壁材で塗り込んでいる
グラフ:
「アイウォール」を施工した実験住宅と、施工していない住宅との年間暖房熱量比較。実験住宅では最大7割程度の削減となっている


2011年07月05日号から

太陽熱で給気予熱

北総研 福島明さん

 東日本大震災以降、太陽光発電など自然エネルギーの有効利用に関心が高まっている。この中で太陽熱利用は、エネルギー変換効率は太陽光発電よりも上だと言われながら道内ではほとんど普及していない。そこに北方建築総合研究所(北総研)企画調整部長の福島明さんが、新しい提案をしている。20万円のイニシャルコストで年間1000kW以上のエネルギーを取得し、10年程度で投資コストを回収できる提案だ。

ローテク生かす家づくり
20110705_01_01.jpg 福島さんはパッシブ換気システムの研究などで知られるが、その根っこにあるのは「大手住宅会社にはできない地場工務店ならではの家づくり」を考えることだという。
 大手住宅会社は、工場でパネルを生産し、現場であっという間に組み立ててしまう。目指すのは、規格化・商品化された「手離れの良い」家づくりだ。これに工務店が対抗するためには、同じようにハイテク化を目指しても勝てないという。
 「私はあえて『手離れの悪い技術』を考えています。パッシブ換気システムがそうです。手離れが悪いということは、引き渡し後も工務店が顧客と関わり続けるという意味です」と福島さんは言う。たとえば外装材でもあえて木材を使うという選択肢がある。ハイテクではないので壊れにくく、メンテすることで確実かつ長期的な効果を期待できる。
 太陽熱の利用も同様。屋根等に載せて使う給湯器タイプと壁付けして集熱した空気を使う補助暖房タイプがあるが、福島さんが注目しているのは補助暖房タイプだ。

利用法と取付方法で性能を向上
20110705_01_02.jpg もっとも、高断熱・高気密住宅と太陽熱補助暖房の相性はあまり良くないとされてきた。熱が欲しい朝夕は日射が期待できず、日射がある昼などは場合によってはオーバーヒートする可能性があるからだ。
 もう1点の課題は暖房として使うには取得熱の温度が最低でも30℃程度必要になるという点だ。30℃までの温度がとれないと冷風になって使えないので、せっかく取得した太陽熱もムダになってしまう。
 そこで福島さんは別の手を考えた。「基礎断熱した床下空間に太陽熱で作った温風を取り入れれば給気予熱用熱源として使うことができる」というのだ。晴天の日は床下空間が緩衝帯となってオーバーヒートを緩和できる。曇りの日は少しの温度上昇も予熱用のエネルギーとして活用できる。パネル1台なら全体の換気量にはほとんど影響を及ぼさない。
 検証はこれからだが、取付方法の工夫と給気予熱に転用すれば高さ2m×幅70cmの集熱パネルで年間1000kW以上の熱を取得できる可能性があるという。取付費込みで20万円ほどかかるが、10年程度で元が取れる計算だ。
 検証に使う製品は、(株)マツナガ(本社東京都)の「ソーラーウォーマー」。デンマークで開発された太陽熱利用の補助暖房だ。同様の原理を持つ製品は他にもあるが、最大の特徴は温風を室内に導入するファンの動力がパネルに内蔵された太陽電池でまかなわれること。したがって電源を確保する必要がない。

CO2削減量は熱交換並み
 「パッシブ換気と併用すれば、商用電源を全く使わずに高性能な熱交換換気システムと同等のCO2削減効果が得られる」と期待している。熱交換換気システムが札幌で熱回収できる量は年間2000kW程度。これに運転にかかる電気代が1時間あたり平均60Wとして年間500kW程度かかるので、その分を差し引けば年間1500kWとなる。さらにCO2削減効果をトップランナー基準のように一次エネルギー評価で見ると、熱交換換気システムと太陽熱集熱は同等レベルだ。
 ソーラーウォーマーは、さらに給湯に利用できる機種もあり、年間給湯負荷の15%をまかなえる可能性がある。
 この後、今年度中に設置方法や使い方などを検証する予定だ。

ソーラーウォーマーの取付例(マツナガ)


2011年05月25日号から

ひじり野・南あいの里、MHC札幌など大型は好調

GWの集客

 住宅景気を占ううえで毎年重要な指標となるのがゴールデンウィークの集客数。今年は特に東日本大震災で消費マインドの低下も懸念される中、フェアやイベントで集客を図ったニュータウンや総合住宅展示場の来場者数はどうだったのか。北海道マイホームセンター札幌会場に話を聞くとともに、去る12日に行われた北海道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で不動産市況アナリスト・外城忠昭氏が報告した道内各地の集客状況を紹介する。

マイホームセンター札幌
家族連れ中心に増加

20110525_01_01.jpg 道内外のハウスメーカー22社・23棟のモデルハウスが並ぶ道内最大規模の総合住宅展示場・北海道マイホームセンター札幌会場では、4月29日(昭和の日)から5月5日(こどもの日)までの期間中、スタンプラリーやふれあい動物園のほか、仮面ライダーショー、道内初登場のすべり台遊具・パイレーツスライダーなどのイベントを実施。天候にあまり恵まれなかったにもかかわらず、来場者数は前年比1割増と好調だった。
 子供向けのイベントが中心だったこともあり、来場者は子供がいる家族連れがほとんど。特に仮面ライダーショーやふれあい動物園が人気だったと言い、東日本大震災による自粛ムードの中で安近短志向となったユーザーも取り込んだようだ。
 同会場の担当者は「昨年と同じくらいの来場者を見込んで各種のイベントを用意したが、最終的には1割増と昨年を上回る来場者数となった。天気が悪かった中ではいい結果だと思う」と話す。
 なお、札幌市内の他の会場については、森林公園会場と南会場が昨年並み。北会場はやや減ったが、「昨年のゴールデンウィークはオープン時期と重なって来場者数が多かったこともあり、単純に減ったわけではないと見ている」(札幌会場担当者)。

ニュータウン
客足鈍く平均20組

 一方、土地・建物の分譲を行っているニュータウンはどうだったのか。道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で、多くのニュータウンを見て回った外城氏の報告をまとめると次のようになる。
 ●フェア・イベント内容...集客のためのイベント等は以前と比べて激減し、非常に少ない。ただ、やる気がなかったわけではなく、各住宅会社が来場者に対応するため個々に設置しているテントは増えている。イベントは移動動物園が目立ち、ふわふわ遊具もいくつかのニュータウンで用意していた。あとは屋台や縁日などで、特に変わったものはなかった。
 ●集客状況...イベントの減少・マンネリ化により、多くの来場者を集めたニュータウンは少なく、平均20組程度。50組来場すれば札幌圏では5本の指に入る。個別に見ると旭川に隣接する東神楽町・ひじり野ガーデン「花都心」が1000組を超えたほか、札幌の「南あいの里」が500組、「ライブヒルズ」が250組を数えた。「花都心」は24社24棟の最新モデルハウスが公開され、よさこいや太鼓演奏などの各種イベントも充実、「南あいの里」は24社28棟のモデルハウスを公開するなど新しいモデルを一ヵ所でたくさん見ることができる点が好調な要因。「ライブヒルズ」は新たに2棟のモデルが建ち、大手が集客に力を入れていることがプラスになった。
 このほか千歳の「サンシャインガーデンあずさ」で200組、苫小牧の「スマイルタウン沼ノ端」で100組の集客。
 ●来場者の特性...やはり子育て世代が多い。ただ、これらの世代に付き添う両親は一度も見なかった。両親は子供の住宅取得に援助できなくなってきているのではないか。また、子供が産まれる前の夫婦や婚約中のカップルなど子育て予備軍の増加も目立った。
 このほか、数は少ないが高齢の単身者や夫婦も目に付いた。子供が独立して定年退職した後に、憧れのマイホームに挑戦したい人や、リフォームを望んでいる人が、モデルハウスを参考にし、できれば依頼する住宅会社も見つけられたらと考えているのでは。

景品目当てや冷やかし消えて中身濃い客残る

 報告の中で外城氏は「ほとんどのニュータウンは集客数が期待外れだと思っているだろうが、景品目当てや冷やかしがいなくなり、家を建てる意欲のあるユーザーが残っただけのこと。むしろ意欲の低いユーザーが消えたことで住宅会社はしっかり対応でき、フォローもしやすい。実際に現地で住宅会社の担当者と話をしている時もゴールデンウィークにモデルハウスを見に来たユーザーから契約を決めたという連絡が入るなど、短期間で受注に結び付いたケースもいくつか出ている。このゴールデンウィークの来場者は、成約率がかなり高いと考えていい」と、集客数は少なくても中身の濃いユーザーが多いことを強調している。


写真
北海道マイホームセンターでは札幌市内各会場でふれあい動物園を開催。子供たちに人気のイベントとなった(写真は北会場)


2011年04月05日号から

硝子繊維協会が推奨

24Kから高性能16Kへ置換で増産・省CO2効果

20110405_01_01.jpg グラスウールメーカーで組織する硝子繊維協会は、北海道内で主力断熱材の1つとして使用されている24K(高密度)グラスウールを高性能16Kに置き換えることを推奨していく。
 24K品と高性能16K品の断熱性能は同等。一方、使用するガラスカレット量の違いなどにより、高性能品に置き換えることにより年間生産量を約700t増やすことができる増産効果に加え、製造工程におけるCO2発生を年間1000t削減できるという。
 断熱材は密度を高くすることで断熱性能を引き上げることができるが、高性能グラスウールはガラス繊維を細く密にすることで密度を変えずに同等の性能を実現できる。施工性の面でも優れている。これまで道内では24K品と高性能16K品が出回っており、住宅用断熱材と20110405_01_02.jpg してはかなり高性能品に切り替わっているが、24K品も3割程度あるという。
そんな中、昨年から断熱材の不足が全国的な問題となり、今年3月に起きた東日本大地震によって、今後再び断熱材の品薄感が広がることも予測される。
 また、国を挙げたCO2排出削減の動きもある。
 24K品を高性能品に置き換えることで得られるメリットは多く、増産効果に加えCO2削減量は杉の立木7万5360本が1年間に吸収する量に匹敵するという。
 同協会はハウスメーカー・工務店・商流に対して4月以降、高性能16K品への置き換えを推奨していく考えた。
 詳しくは各硝子繊維メーカーへ。


2011年04月05日号から

震災の着工影響(北海道)

年計で1万戸維持

20110405_02_01.jpg 東日本大震災による空前の物不足により、住宅着工にどのくらい影響があるかを心配する声が日増しに高まっている。
 住設・建材の状況は日々変化しているが、戸建て住宅着工の動向をどう見るかを探ってみたい。
 先の見通しが立たない中、あえて予測すれば、9月までは4月と夏場を中心に対前年で最大2~3割台の減少、10月以降は2~3割程度の増加が1つの目安になるのではないか。通年では1万戸の大台をキープ、減少率で5%前後か。
 まず、影響要因を列挙する。資材の価格上昇リスクについては今回は触れない。
①生産工場の被災
②物流の停滞
③計画停電の影響
④復興工事の影響
⑤職人の出張
⑥放射性物質の漏えい
⑦消費者マインド
⑧キャッシュフロー
   *   *
 ①生産工場は、一部を除きおおむね3ヵ月、6月いっぱいには復旧・回復するだろう。ただ、重要部分が破壊された工場は、回復まで半年以上かかる見込み。ガラス製品やサイディングといった窯業建材、石油化学製品の一部工場が深刻な被害を受けている。
 ②物流についてはすでに相当回復している。倉庫・在庫などを含めた流通も3ヵ月たてばかなり回復するだろう。
 ③計画停電の影響は計り知れない。東京電力の3月25日プレスリリースによると、夏季の電力不足は最大で850万kW程度という。これは北海道電力の全発電設備量・約740万kWを100万kW以上も上回る。
 供給量は増えつつあり、5月はいったん計画停電が終了。しかし6~9月は再び計画停電が必要になる。10月以降は回復の見込みだが、冬と夏のピーク時の手当ては、来年もメドがない。夏場は工場生産が激減か。
 ④復興工事の住設建材への影響は限定的と見られる。遅くても5月いっぱいには当初の仮設住宅向けは終了する予定だ。
 ⑤職人が復興工事に出張して手当てが難しくなる可能性は高い。ただ、その影響は一時的で特定業種に限られると見られる。建築板金、電気、水道、大工(東北と道南に限定か)あたりが可能性が高いと見られる。
 ⑥放射性物質の漏えいについては、まったく予想もつかないが、あるテレビ番組で研究者が司会者に封じ込めまでにかかる時間を尋ねられ、正常化には5年程度と答えていた。今後5年はかかると覚悟する必要がありそうだ。
 ⑦消費者マインドは、徐々に改善するだろう。テレビ報道も自粛一色から変化の兆しがある。ただ、いちど盛り上がった家を建てる気持ちが冷えてしまう心配もある。また、被災地支援に入っている関係者は当然延期だろう。
 最後に⑧キャッシュフローだが、仕事があるのに資材が手配できずに工事できず、売上が上がらないという状況は起きると見たほうが安全。4月着工予定の物件は2ヵ月先延ばし、が必要になる可能性がある。
   *   *
 これらを総合的に考えると、4月の着工は激減。5月後半から6月は正常化するも7月以降の夏場は物不足が顕在化し工事の進行に遅れが目立ち、新規の着工も停滞。9月後半から着工が急増し年末へ、というシナリオを描くことができる。


2011年02月15日号から

谷中の町家プロジェクト

準防地域で木造3階

"準防火地域で柱・梁などを現しにした木造3階建て住宅を建てる"。このかなり難しい家づくりに建て主や設計者、施工業者などが取り組んだ事例がある。一昨年に東京都台東区谷中で建設が行われた「谷中の町家プロジェクト」がそれで、準耐火建築物とするために、断面が大きいとゆっくり燃える木材の性質を利用した"燃えしろ設計"や、耐震性と防火性を兼ねた部材の採用などがポイントとなっている。
 このプロジェクトは平成20年8月から翌21年11月まで行われたもので、設計は桜設計集団一級建築士事務所(東京都、安井昇代表)、施工は(株)吉川の鯰(同、岸本耕社長)が担当。建て主が以前住んでいた狭小地の2階建て木造住宅を建て替えるにあたり、昔ながらの風情が残る地域に似合う木造の3階建てにしたいという要望に応えた。延床面積は約195m2で、このうち倉庫を除く居住部分が約150m2。
 準防火地域の木造3階建ては、建築基準法上、準耐火建築物としなければならず、そのためには柱や梁を石こうボードで覆ったりするケースが目立つ。しかし、それでは軸組木材がまったく見えず、木造ならではの意匠を表現しにくいこともある。
 そこで今回のプロジェクトでは、杉の柱・梁や野地板・床板を室内に現しにできるよう、様々な試みを行った。その一つが"燃えしろ設計"だ。

燃えしろ設計を利用

 燃えしろ設計とは、あらかじめ火災時に燃えると想定される寸法を柱・梁等に付加しておくもので、木材の断面が大きいとゆっくり燃える性質を利用した設計法。柱・梁を厚く太くすることによって、木材の表面から内部へと燃え進む速度を抑えるわけだ。
 具体的には燃えしろ寸法を45mmとし、柱は3階までの通し柱が165mm角、2階までの通し柱が150mm角、梁は3間スパン・3尺ピッチで150×330mmなどとなっている。梁の上に張る床板は45mm厚とし、梁上部の燃えしろを兼ねるようにすることで梁背を抑えている。
 また、軒裏は野地板に杉パネル36mm厚、面戸板に杉材90mm厚を使って燃え抜け防止性能を高めたほか、屋根は登り梁に張った杉パネル36mm厚の上に断熱材90mm、捨て野地板、アスファルトルーフィングを施工してから瓦を葺いて、室内の火災時に30分以上屋根が壊れないようにした。
 これらの工夫によって、軒裏から室内まで登り梁と野地板が連続する木造らしい意匠を表現している。

耐震と防火を同時に確保

20110215_01_01.jpg 設計上のもう一つのポイントが、耐震性能と防火性能を一つの部材で向上させるという考え方。
 例えば、45mm厚の床板は梁にしっかり留め付け、野地板の杉パネル36mm厚は登り梁に川の字打ちで釘留め、面戸板の杉材90mm厚はボルトで柱・梁に緊結することで、燃え抜け防止とともに、高い剛性も確保。耐力壁には不燃材料認定の耐力面材を採用するなどの工夫によって、木造3階建てに求められる耐震性能を実現した。
 なお、施工にあたっては、狭い敷地内で長尺の太い材料を取り回すことが大変で、土台敷き後3日間かかった上棟もクレーン車が毎日欠かせない状況だった。ただ、上棟後の施工は一般的な木造住宅とほとんど変わらなかったという。
 設計を担当した桜設計集団一級建築士事務所の安井代表は「準防火地域で柱・梁などの木材が見える木造3階建てはできないと思っている設計者も多いが、工夫でここまでできる。準耐火構造に要求される防火性能を木材で確保できることを広く知ってほしい」と話している。

写真
燃えしろ分の45mmを含む150~165mm角の通し柱や150×330mmの梁などを使うことで、準防火地域でも木造らしい意匠の3階建て住宅を実現した(写真提供:桜設計集団一級建築士事務所)


2011年02月15日号から

2011年住宅着工予測

穏やかな拡大で3万戸

 3万戸には到達しなかったものの、戸建ては9%伸びて明るさが見えた2010年。2011年は戸建てが引き続き成長、メインの貸家も伸びるが、累計では3万戸を超えて3万1千戸に達するかどうかという水準となりそうだ。
※道内着工記事は試読をご請求ください。(伝言欄に「2月15日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2011年02月05日号から

札幌版パッシブハウス基準

新築・改修の素案決まる

20110205_01_01.jpg 札幌市が高断熱住宅の普及を目的として検討を進めている「札幌版次世代住宅基準」の素案が固まった。このほど行われた同基準の第4回技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)で、これまでの議論を踏まえた見直し案を公表。新築・改修とも省エネ性能に応じて現在の北方型(次世代基準)住宅相当の"ミニマムレベル"からパッシブハウス相当の"トップランナーレベル"まで5つのレベルを設定した。補助金等による支援も予想され、残る2回の会議を経て3月には最終案が決定する。

2012年度開始へ

20110205_01_02.jpg 札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として、新築だけでなく既存住宅の断熱改修も対象に制度化を検討しているもの。地球温暖化対策の一環として、パッシブハウスを始めとする高断熱住宅の普及を図ることにより、家庭部門の暖房エネルギー消費量とCO2排出量の削減を進める考え。
 同市では有識者や市の関係部局長で構成する技術検討会議を立ち上げ、昨年9月から制度内容・施策などの検討を開始。基準内容や費用対効果、各種技術の検証、課題の整理などを実施。3月に最終的な基準案をまとめ、2012年度から運用を開始する予定だ。
 基準は「単純にQ値だけでなく、ドアの開け閉めやレンジフードの使用などで生じる換気量や、熱交換換気を採用した時の電力増加分なども細かく検証したうえで、現在の住宅の熱性能水準と住まい手の実際の生活をイメージして作成している」(繪内座長)といい、新築・改修とも1ミニマムレベル 2ベーシックレベル 3スタンダードレベル 4ハイレベル 5トップランナーレベル―の5つのレベルを設定している。

続きの記事については見本紙をご請求ください。
(伝言欄に「2月5日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
別表も参照ください。


2011年01月15日号から

バトンをつなぐ。会社DNAの承継

 コストが厳しくギリギリの現場が増える一方で、「承継」をキーワードにした取材も増えている。厳しい現実の商売に向かい合いながらも、同時にバトンをつなぐことを考えている経営者が増えているからだ。ただ、昔のような「教えない、ワザを盗め」ではうまくいかないし、事業承継については主導権は現経営者側にある。2011年の事業計画として「承継」をテーマに掲げる会社も少なくないと思う。当社が取材を通じて感じたこと、心に残った言葉をまとめてみた。

営業承継
会社力+個人力の統合

 常に新規の顧客を開拓し続ける住宅販売営業は、ルートセールスで行われる担当者交代→顧客引き継ぎはさほど発生しない。住宅営業はキツイとされ、最近はやり手の営業が少ない、ちょっときつくしかると翌日からこないなど、人事面で幹部の悩みは多い。
 逆に、「スーパー営業マンをつくらないよう気をつけている」と語る社長も多く、個人の力に頼りすぎない営業の仕組みを構築して、営業をマニュアル化する志向が強まっている。
「何名集客できれば何組成約できるかの過去データがあり、集客数で受注が予測できる。営業はそれをフォローするのがメイン」(札幌市、ミニハウスメーカー社長)。
「お客さまへのアプローチづくり、すなわち仕込みですべてが決まる。しかし、社員は自分の接客が受注のカギだと誤解しがち。この点で経営側と社員は相互理解ができない」(札幌市、中堅ビルダー社長)。
 看板や商品といった会社の力と社員個人の力。どちらかというと会社の力を重視する傾向にあるが、しかし、個人の力を高めることも当然必要。2つの力が合わさったとき、強い会社になるという点で異論はない。

事業承継
社長の最後の大仕事

 事業承継こそは、社長以外誰もできない、社長の最後の仕事とも言える。取材していてわかるのは、10年程度の準備期間を費やしていることだ。
 会社をたたむのも1つの方法だが、あえて事業を継続する道を選んだ経営者は共通して「使命」を口にする。これはきれいごとではなくホンネだと思う。
 後継者が子どもでもそうでなくても、不透明なこの時代、社長を引き継ぐことは当たり前だがリスクも大きいし責任も重大だ。それでも事業を継続する道を選ぶのは、お客さまのために会社を存続させるという使命感、そして後継者が全力で経営にあたれば事業は継続できるという会社への自信と雇用維持の責任感だろう。
 税理士で中小企業基盤整備機構北海道支部の事業承継コーディネータを務める吉川孝氏は、原稿や講話の結びに「事業承継は経営者個人とご家族の人生や財産に関する繊細で情緒的な問題でもあり、これを軽視しないこと」と指摘している。まさに人生の区切り。
 中小企業の社長にとって、会社は事実上家業であり、家業である以上、家族もこの問題と無関係ではないという意味だ。

技術承継
後回ししがちだから・・・

 コスト削減と忙しさに忙殺され、技術承継ができなくても家は建つ。後回しになりやすいからこそしっかりやらなければならないということも言える。
「なるべく研修に出すようにしている。ただし、研修内容を吸収できるかどうかは個人の心構え次第。その点の資質向上が、じつは一番重要かもしれない」(札幌中堅ビルダー社長)。
「『やりたい』と言ってきたら費用が許す限りやらせるようにしている。自発性こそが自己啓発のポイントだから」(札幌近郊住宅会社社長)。
 研修にでかければ仕事にしわ寄せが来ることもあり、社員にとって研修に行かないことのほうが正しい選択になる場合もある。
 それでも研修を実施するには、会社全体の向上心が重要になる。


2011年01月05日号から

春の工事確保は業界全体の課題

 業界全体が後半メチャクチャに忙しかった2010年。しかし終盤にはやや暗い話も聞こえるようになり、2011年の展望が必ずしも開けていない。その原因の1つに「忙しすぎた」2010年の状況がある。忙しいことはいいことだが、仕事量の波が大きすぎるのはマイナスだ。2011年は、受注の波とどうつき合うか、この問題を考えてみたい。

本当のリスクは何か?
 住宅会社の経営にとって大きなリスクは、利益率が低いことと受注に波があることではないだろうか。
 2008年、2009年に住宅着工がどん底に落ち込み、多くの企業は売上が2009年より小さくてもバランスがとれるような予算を2010年に組んだ。ふたを開けてみると売上は伸びたが前半は着工のズレなどで工事が少なく、後半に集中。年間を通してバランス良くとれていればさほど問題にならない程度の受注でも、集中したことでパニックになった面があると思う。
 受注の波は補助金とからんでいるため、根本的には補助金制度が改良されることが一番だが、現状を前提に考えれば、どう会社を適応させていけばよいか、ということが大きな経営課題になってきた。

本気で取り組む谷間対策
 1つは谷間をどう埋めるかということ、もう1つはピーク時の現場管理の改善策だ。
 谷間を埋めるというのは、『言うは易し、行うに難し』簡単ではない。それでも本気で対策に挑戦し、谷を少しでも浅くできれば、資金繰りや収益性が改善される。増員による忙しさ解消のメドも立ってくる。
 しかし、谷が深いままだと、増員できないし秋までの資金がキツイ。受注が少ない心理的なつらさもバカにならないと語る経営者もいる。何より忙しさの対応だけに追われると、谷間対策が打てないまま次の年を迎えてしまう。
 方法はさまざまだ。考え方として、次のような流れがあると思う。
▽規格商品→違う顧客層の開拓→社内活性化や外部とのコラボレーション。
▽工事確保を最優先→価格引き下げや建売。
 規格商品を用意する、または建売という方法は、言葉を換えれば新しい顧客層をつかむために商品構成を増やすことだ。夏までに家を建ててもらうためには、ある程度、着工までの手離れがよいこと、顧客側に補助金を活用しにくい事情がある、または興味がないこと、が条件になる。
 新しい顧客層を獲得するには、違った発想が必要になる。社内活性化によってタレントを発掘し育てるか、外部との連携によって企画を進めるか、いずれにしても従来と違った動きが必要になる。ただ、そのことはきっと従来の商品にも相乗効果を生むはずだ。
 一方、価格引き下げは、補助金と同等の値下げを実施するという決断になる。大幅な値下げ(値引)になるが、谷間の時期に工事してくれるなら、それもアリではないか。想定範囲内の値引幅で、かつ期間限定なら他の顧客への影響もないだろう。

振り返れば以前は公庫が
 この問題の背景を考えると、旧住宅金融公庫の回次別募集が使われなくなって以降、春先の着工遅れはずっと言われ続けてきたことに気がつく。北海道の場合、4月着工→6月引き渡しというサイクルは、現状として家を建てる側にとってあまり魅力がないのだろう。また春先から動き出したユーザーにとっては、4月着工はあまりに時間がない。
 こういうことを考えると、4月着工のユーザーを増やす受注営業をすることは、業界全体の課題であり、実現すれば共通利益につながるとも言える。


2011年01月05日号から

温暖化防止を背景に第1種熱交換にも関心

 換気システムの採用動向に、ここ数年変化が見られるようになってきた。長期的に安定した換気性能が得られる第3種換気が主流であることに変わりはないが、住宅の快適性や省エネ性の向上を目指す中で第1種熱交換を選択肢として検討する住宅会社が出てきている。ここで改めて換気システムを取り巻く状況を見ていきたい。

換気設備と省エネの関係
空気浄化が主目的

20110105_02_01.jpg 現在、換気システムの種類としては、第3種や第1種熱交換のセントラルシステム、ダクトレスの第3種および第1種、パッシブ換気、第2種換気などを挙げることができるが、その中で主流となっているのが自然給気・機械排気の第3種セントラル。換気の最大の目的である換気性能を長期にわたって安定的に確保することができ、良好な室内空気質を維持するという点で信頼性が高いからだ。
 しかしその一方で、国内では地球温暖化の原因と言われるCO2の排出量削減へ向け、エネルギー消費量が少ない住宅を目指す動きが活発化。熱損失係数=Q値1・0Wを目標とするNPO新住協のQ1・0住宅や、道の北方型住宅ECOのほか、大手ハウスメーカーではゼロエネルギー住宅やCO2オフ住宅などと銘打った商品を開発・販売し、最近ではドイツ発の高省エネ住宅・パッシブハウスに取り組む住宅会社も目に付くようになってきた。
 このように、環境問題への関心や身近な地球温暖化への危機感などを背景とした省エネ意識の高まりによって、時にはユーザーから、時には住宅会社から「熱回収できる第1種熱交換を使いたい」という声が出てくるようになっている。
 住宅の省エネ化を進める手段としては、太陽光発電やヒートポンプなどの自然エネルギー利用・高効率設備の採用も有力な選択肢だが、世界の省エネ住宅の考え方は、住宅本体からの熱損失をできるだけ抑えたうえで、自然エネルギー利用やエネルギー効率の良い設備を導入するというのが基本。住宅全体の熱損失の3~4割は換気によるものだけに、第1種熱交換への期待は大きいと言える。

課題解決なら試験採用も

 ただ、熱交換換気を採用するにあたっては、これまで認識されていた課題が解消されていることが必要だ。
 その課題はと言うと、割高な設置コストや、2つのファンとヒーターを使うことによる消費電力の増加、フィルター清掃などメンテナンスを怠った時に引き起こされる窓の結露やシックハウスといった換気障害、そしてこれらを原因としたユーザーのクレーム感情だとされてきた。
 これらの課題が解決できるのであれば第1種熱交換を採用してみようと考え、久しぶりに、あるいは初めて換気の選択肢に入れる動きが出てきており、これまで第3種しか採用したことがない札幌市内のある工務店は「第1種熱交換は、ヒーター使用による消費電力の増加がどの程度になるのか、メンテナンスは簡単にできるのかがはっきりすれば、お客様に選択肢の一つとして提案したい。第3種と比べてどれくらい省エネになり、コストアップ分をどれくらいで回収できるのかをキチンと説明できるようになるからだ。後はお客様にどちらがいいか選んでもらえればいい」と話す。
 また、熱回収効果をQ値に反映できるので、小さい住宅などQ値計算に不利な住宅の場合、第1種熱交換換気の採用でQ値を小さくするといったことも考えられるほか、給気温度を上げることで厳寒期でも室内の快適性を維持できると考える住宅会社もあり、道内で換気システムを販売している各メーカーも来年中には概ね第1種熱交換を商品ラインアップに揃えると見られる

第1種熱交換のポイント
給気加温と省エネ

20110105_02_02.jpg 換気システムには第1種熱交換や第3種を始めいくつか種類があるが、第1種熱交換については意外と知らないこともあるのではないだろうか。そこでここでは、第1種熱交換の性能・機能の特徴や最近の製品のポイントなどについて各製品を通して改めて勉強してみたい。
 まず第1種熱交換は、その最大の特徴は排気の熱を給気に受け渡す熱交換ができる点にある。それによって1.給気の冷たさによる不快感が解消できるし、2.暖房負荷の低減にもつながる。
 熱交換効率については、メーカー公表値によると90~70%ほど。熱交換素子の仕様はメーカーによって様々で、一定以上の熱交換効率を確保するには、隙間からの給気をできるだけ減らすことが重要になってくるだけに、高い気密性能も求められ、0・5cm2/㎡以下が必要とする研究者もいる。
 また、熱だけでなく水蒸気も交換する全熱交換タイプであれば、3.夏の冷房節約 4.冬期の課題となっている過乾燥を和らげる効果も期待でき、熱だけを交換する顕熱交換タイプであれば、トイレや浴室などからの排気も熱交換可能だ。
 外気温が低くなってくると、熱交換素子のデフロスト(霜取り)のために熱交換を停止して専用ヒーターを作動させたりする製品もあるが、外気の取り込み経路をダンパーで閉じ、室内からの戻り空気を再循環させて、熱交換効率を維持する製品もある。

国ごとで異なるコンセプト

 市販されている製品を見ると、国内メーカーは全熱交換タイプが中心、欧米メーカーは顕熱交換タイプが中心。ただ、欧米では同じ第1種熱交換でも法律や気候風土の違いが製品開発に反映される傾向にあるようだ。
 例えば、冬期の気象条件が厳しいスウェーデンの製品は、室内環境の快適性向上を重視し、給気加温用のヒータ付きで本体は大型の金属製が主流。温度交換効率も誇示しない。一方、省エネが国策として進められているドイツの製品は、エネルギーロスをいかに抑えるかを重視し、ヒータがなく、本体内部パーツはエンジニアリングプラスチック製が主流となっている。
 なお、最近ではダクトレスの製品も市販されている。一定時間おきに給気と排気が切り替わり、本体内の蓄熱材で排気時には熱回収、給気時には新鮮外気の加温を行う仕組み。ヨーロッパでは累計6万台を販売した製品もあるといい、日本でも市場に受け入れられるかどうか注目される。

Q値計算で換気回数有利に

 第1種熱交換換気を採用する際に注意したいのは、性能評価や長期優良住宅の技術的審査、住宅エコポイント対象住宅証明などで、熱交換効率をQ値計算に反映させる時。
 次世代省エネ基準では熱交換換気を採用した住宅の場合、熱回収効果を考慮して0・5回/時より少ない換気回数でQ値を計算できることになっているが、そのためにはメーカーが出す『換気用消費電力増分量』の数値が必要であることを覚えておきたい。パワーズトレーディング(株)が輸入販売しているカナダ製熱交換換気システム「ライフブレス」や国内メーカーの一部機種で数値を公表しているが、ライフブレスでは機種によるものの換気回数を約0・13~0・2回/時としてQ値を計算可能だ。
 また、これまで第1種熱交換換気の課題と言われていた給気と排気の2つのファンによる電力消費や、熱交換素子とフィルターのメンテナンスなどはどうかというと、電力消費の点ではDCモーターの採用や、給排気を一つのファンで行う方式の採用、第3種・第2種換気への切り換えモード採用などによってシステムの省エネ化を図る製品が目に付く。
 熱交換素子とフィルターのメンテナンスに関しては、多くの製品が給排気ファン・フィルター・熱交換素子のいずれも容易に取り外し可能として、メンテナンス性を高めているほか、製品によってはメンテナンス時期のお知らせ機能搭載や、水洗い可能なアルミ製熱交換素子の採用、点検しやすい本体の壁掛け設置なども行っている。
 このほか、独自の機能・制御で室内の快適性向上を図る製品もあり、例えば(株)ウエスト札幌営業所が販売する顕熱交換タイプの「Temovex」では、夏の夜間など屋外が涼しく、室内が暑い時は、屋外の新鮮空気を熱交換せずに給気するオート・バイパス機能を搭載。1年を通して室内を快適に保つように考えられている。

第1種熱交換換気のイメージ(『北方型住宅の熱環境計画』より)


2010年12月15日号から

住宅エコポイント拡充

1月から設備も対象

 国土交通省ではこのほど、平成22年度補正予算成立を受けて、住宅エコポイントの対象拡充に関する制度の詳細を発表した。それによると新たにポイント発行対象となる太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽の3つの省エネ設備については、来年1月1日以降に着工・工事着手した物件を対象とし、ポイント申請は1月11日から受け付けることとなっている。
20101215_01_01.jpg 今回の制度拡充では、実施期間を来年12月31日まで1年間延長するとともに、対象となるリフォーム工事とあわせて設置する省エネ設備の太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽にも2万ポイントを発行。このうち太陽熱利用システムだけは新築での設置も対象とする。いずれもJISに規定する性能と同等以上の性能があると確認され、エコポイント事務局に登録された製品であることが条件(登録製品は12月下旬公表予定)。
 リフォームではこれら3つの省エネ設備を設置しても、これまで通り発行ポイントは最大30万ポイントで変わらないが、新築の場合、太陽熱利用システムを設置すれば32万ポイントがもらえる。
 新たにポイント発行対象となる省エネ設備の設置は、来年1月1日以降に着工・工事着手する物件が対象となり、ポイント申請は戸別申請の場合、1月11日から、共同住宅で複数戸まとめて申請する一括申請は2月上旬に開始する予定。
 詳しくは住宅エコポイント事務局(0570・064・717)へ。


2010年12月05日号から

茨城でパッシブハウス.外壁290mm

20101205_01_01.jpg 国内で2棟目、在来木造では初のパッシブハウス「茨城パッシブハウス」が茨城県石岡市で建設されている。設計・施工は地元のビルダー・(株)島田材木店(島田恵一社長)。国内初のパッシブハウスを設計したキーアーキテクツ・森みわさんをコンサルタントに迎え、完成後は地元ユーザーに高水準の快適な室内環境を体感してもらうモデルハウスとして公開する。

温暖地でも世界水準
20101205_01_02.jpg パッシブハウスとは、ドイツ・パッシブハウス研究所が定義した省エネ住宅の基準で、年間の暖房負荷と冷房負荷がそれぞれ15kWh/m2以下、家電を含む年間一次エネ消費量が120kWh/m2以下、50パスカルの加圧および減圧時の平均漏気回数が0・6回以下(C値で0・2~0・3cm2/m2程度)であることが条件。同研究所が認定を行っており、日本では昨年神奈川県鎌倉市に建設された鎌倉パッシブハウスが認定1棟目となる。
 島田材木店は、以前から快適性の高い住まいを提供するために、温暖なⅢ地域でも北海道レベルの断熱性能が必要と考え、Ⅰ地域の次世代省エネ基準をクリアする"ローエナジーハウス"を提案してきたが、取引先を通してパッシブハウスと出会い、「パッシブハウスは自分が考えている家づくりと方向性が一緒だったことに加え、そのレベルまで性能を高めた時にどのような室内環境になるのか、実際に体感したかった」(島田社長)と、パッシブハウスに取り組むことを決断。自社の技術力と同時に、世界レベルの高性能住宅に挑戦してみたいという気持ちも強かったという。

柱は240×120mmの杉材
20101205_01_03.jpg 建設中の茨城パッシブハウスは、オール電化で延床面積約38坪の在来木造2階建て。軸組材は国産材にこだわり、すべて合法性が証明できる茨城・栃木の無垢の杉材を使用している。
 外壁は充てん断熱材の厚さを確保するために、柱や土台・胴差しなどのサイズを240×120mmとし、高性能グラスウール16K120mmを2層充てん。さらに軸組屋外側は9mm厚の耐力面材を張った後、グラスウールボード32K50mmを下地間に外張り付加し、合計290mmの断熱厚を確保。
 また、軸組室内側は夏期の逆転結露を防ぐため、壁体内が湿度80%以上の高湿状態になると気孔を開いて湿気を逃がす調湿気密シート・ザバーンを張り、その上から胴縁材を柱・間柱に留めて30mmの配線スペースを取っている。さらに内装下地の石こうボードは蓄熱性をできるだけ持たせるために12・5mm厚品を2層張りしている。
< 床回りは、気積を抑えて暖冷房負荷を減らすために土間床工法を採用。基礎外側を押出スチレンフォームB3種50mm、土間下を同100mmで断熱しており、床組は土間の上に大引・たる木を土台と同面で施工。大引・たる木間にもグラスウールを入れている。
 天井は桁上断熱で、高性能グラスウール16K140mmを4層施工し、桁下にもグラスウール80+50mmを施工した合計690mm断熱。窓は木製サッシ・トリプルガラスを採用した。
 換気は冬期に第1種熱交換、夏期には第3種に切り替わるドイツ・パウル社の製品を設置。熱交換効率はカタログ値で91%、実際の設置状態で88%となっており、熱交換した給気にヒートポンプの熱を伝えて暖冷房も行う。給湯は太陽熱温水器とエコキュートを併用。

Q値0.8W、C値0.1cm2
20101205_01_03.jpg パッシブハウス研究所が開発した熱損失計算ソフトのPHPPでの計算結果によると、年間の暖房負荷は4・81kWh/m2、冷房負荷は3・1kWh/m2と基準値をクリア。
 Q値にして0・84Wとなり、給湯を加えた年間エネルギー消費量は18・6kWh/m2、家電を含む年間一次エネ消費量(照明除く)は約50・5kWh/m2となる。
 調湿気密シートの施工が終了した段階で気密測定も行い、C値0・1cm2/m2を記録。基準の一つである50パスカル時で0・6回の換気回数もクリアし、パッシブハウス研究所から仮認定を取得した。
 今月中には完成し、換気の給排気量や給湯負荷の算出結果などを同研究所に提出した後、正式に認定が下りる予定。同社では来年1月下旬頃からモデルハウスとして一般公開する考えだ。
 なお、建設コストについては実行で坪あたり65万~70万円ほど、ユーザー引き渡し価格は同80万円を超える見込み。同社では今後、施工の簡略化を進めると同時に、設備機器の見直しなども行うことで、誰もが手の届く価格で提供できるようにしていきたいとしている。


2010年11月15日号から

2011年住宅着工予測 回復続き32,000戸

 今年2010年の全道住宅着工は予測を上回る貸家の伸びによって3万戸の大台を回復し3万800戸前後、来年2011年は貸家のもうひと伸びと持家系の微増によって3万2000戸程度になりそうだ。ファミリー向け賃貸の供給が増えてきていること、融資差別のないローン商品など政府の後押しによって、住宅景気はほぼ維持される。

2010年 賃貸マンションが予想超える

20101115_01_01.jpg 2010年は9月までの累計で持家6%、分譲11%の成長。この持家系については予想通りの動きとなっている。予想を上回ったのが貸家の24%成長。2万戸台だった2年前の水準には戻らないが、1万6000戸程度のボリュームとなりそう。この結果、合計で14%の成長となった。
 読みにくい貸家と分譲だが、貸家は木造アパートがやや弱含みを続ける一方、非木造の賃貸マンションが前年比1・5倍の回復。回復の理由は今ひとつ不透明だ。
 分譲は当初の予測通りとは言え、マンションの動向については依然として読みにくい。デベロッパー側の新規開発はいまいちと言われ、用地も戸建て用に回ってきたと見られる物件がある。建売は、注文住宅が年の後半に集中してしまう現状を補完するために、この暮れから来年にかけてそれなりの数が建つのではないか。

2011年 持家が成長を持続

 さて2011年だ。景気をどう見るかによって見通しが大きく変わってくる。
 マスコミは景気の腰折れを伝えており、急激な円高が回復に水を差している、というのは輸出産業を中心とした全体の話。住宅(持家)については購入時のローン与信に対する不安がかなり解消されたこと、政府が住宅分野を支援していることもあり、悪くても今年程度を維持するだろう。ただし、景気全体が厳しく、特に北海道経済によい材料はない。大幅成長は見込めない。
 着工全体では3万2000戸程度。このうち持家は微増で1万1000戸、貸家は予測が難しいが伸び率が低下して1万7000戸台、分譲は今年よりやや伸びが低下して3000戸台。
 問題は市場変化だ。地方市場は過疎化などによって基本的に新築がどんどん減少している。そのなかで地方の中核都市では、従来の木造アパートに加えて戸建て賃貸なども計画されている。ファミリー賃貸というこれまでなかった需要に対応し、安定経営を目指す動きと言える。
 札幌ではサラリーマン大家が消滅し、ファンドも撤退して市場は落ち着きを取り戻していると言われる。定住型の戸建て賃貸や、郊外の小さな戸建てなど、いままでにない動きも見られる。

全国 回復が遅れ、来年は91万戸

 全国は当初の予測よりも回復が遅れた。今年前半は成長が続かず、後半に入って8月の20%増でようやく弾みがついた。今年は81~82万戸台、2011年に91万戸程度まで回復するが、それでも100万戸には及ばない。全国の回復の遅れは、新築物件に割安感が出てきたとは言え、大型の出費に慎重な消費者の動向、さらに賃貸経営の手控えなどが予想以上に長引いていることが影響しているだろう。

※道内着工の詳しい資料は試読をご請求ください。(伝言欄に「11月15日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年11月05日号から

◆住宅にも影響ある?

札幌市 自動車ディーラー 整備

 札幌圏に限定した話なのですが、融雪剤の影響で札幌市内を走る車は下回りがひどく錆びています。特に幹線道路と高速道路では大量の融雪剤を散布するので、サビは避けられません。潮風でやられる海岸地域よりも状況は過酷です。ところで最近耳にしたのですが、幹線道路沿いの住宅でもサビが発生しているというのです。融雪剤の影響なのか、そうでないのかはわかりませんが、大量の融雪剤ですから、影響があっても不思議ではないねと、社内で話しています。

◆小さい家で快適に
札幌市 設計事務所 所長
 家族の人数が減って、しかも住宅ローンで無理はできない人が多い現代。団塊ジュニアは、実家で自分が使っていた子ども部屋が余っていたり、家の修繕コストがかかっている実態を見ている人も多いのでしょう。子ども用の個室は可動式間仕切りに、親戚づきあいなども少ないから居間や客間スペースも最小限でいい、その代わりできるだけ安く・・・。そんなニーズを強く感じます。小さくても広く使えるプランが今まで以上に求められるでしょうね。

◆大きな家はいらない、か・・・。
札幌市 住宅会社 専務
 時代の影響もあると思いますが、「大きな家はいらない」という声をよく聞くようになりました。若い世代は主に「ローンの重荷はイヤ」という気持ち、40代以上は「子どもは巣立つから必要ない」という考えで、とても現実的です。自分も一方で賛成ですが、もう一方では大きな家がほしいという「欲」がないのは脂身のないステーキのようで、いまいちではないかという気もします。家が大きいことで解決できる問題も多いことを忘れている気もします。


2010年09月25日号から

基礎断熱した床下のカビ① ぜんそくなどには有害

高性能住宅Q&A737

Q・・・北海道も高温・多湿、そして夜間も気温が下がらなかった今年、施工住宅で基礎断熱した床下にカビを発見しました。ショックです。スノコを敷いた上にものを置いて収納にしていたお客さまの家で、スノコの裏がびっしりカビだったのです。

涼しい=カビが生えやすい
A・・・この問題を2006年と2007年に取り上げてから4年。そのとき、2つの問題があることを報告しました。
 1つは住宅会社が知らないだけで(住み手も?)、じつはけっこうカビが発生している疑いがあるということ。もう1つは、住宅内に繁殖するカビについて調査・研究している専門家は、北海道にはいないということです。

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 残念なのは、道立北方建築総合研究所、林産試験場、衛生研究所など建築と木材、そして微生物の専門家が共同で調査をしてほしいのですが、それが進んだ気配がないことです。道民の居住環境改善にかかる重大なテーマであるだけに、ぜひ調査研究してほしいと思います。
 まず、一般論としてはカビは相対湿度70%以上になると繁殖しやすくなります。カビは床下結露が発生しなくても十分に繁殖できるのです。しかし夏場に床下を湿度70%以下に抑えることは、湿度の低い北海道でも無理でしょう。温度、水分、酸素、栄養の4つのカビ生育条件を絶つことは、じつはかなり難しいのです。
 そもそも、床下が涼しいのは地熱の影響を受けていることと、太陽熱の影響を受けないから。夏にエアコンなしで涼しいということは、相対湿度が高い状態にあるわけです。

呼吸器系シックハウス原因
 カビによる被害ですが、木材への被害はほとんどありませんが、ヒバなど防腐性の高い木材にも付着します。
 ヒトへの影響は、一般の人にはさほど有害ではありませんが、『呼吸器系の病気』を持っている方、例えば『ぜんそく』にはとてもよくないのです。『鼻炎』にもよくないと言われています。『肺炎』の心配もあります。これはまさにシックハウス症候群で、健康被害が起きる人と起きない人がいるので、注意が必要です。
 カビ臭さの度合いにもよるのですが、住んでいる方も床下を何かの理由で開けない限りカビには気づきません。また暖房シーズンになるとカビ臭はほとんど収まります。北海道では夏だけの問題なのです(冬場の結露によるカビは高断熱・高気密住宅で起きることはありません)


*「基礎断熱した床下のカビ関連記事」*
床下のカビ対策 高性能住宅Q&A749 地盤全面に断熱材
http://www.iesu.co.jp/article/2011/05/20110525-2.html

基礎断熱した床下のカビ② 高性能住宅Q&A738 残念ながら決め手なし
http://www.iesu.co.jp/article/2010/10/20101015-2.html


2010年09月25日号から

日本の住宅をめぐる現状

住宅金融支援機構 島田 精一理事長

正味資産が低下
20100925_03_01.jpg 住宅資産について、従来にない視点から見たグラフが図1。
 家計の資産は、直近の2008年で金融資産が1420兆円。この数字はよく言われるところだ。この膨大な金融資産が団塊世代の定年退職・年金生活入りで、目減りするだろうといわれている。
 非金融資産を見ると、土地が765兆円、固定資産が221兆円で、固定資産の大部分は住宅(建物)と見られる。
 そして、資産から負債を差し引いた正味資産はこのところ低下している。

償却年数が伸びたら
20100925_03_02.jpg さて非金融資産の土地と建物を円グラフにすると、建物(住宅)が4分の1、土地が4分の3を占めている。土地神話が崩れたとは言え、建物の価値は20年で消滅するから、建物の資産価値は依然として上がらない。
 アメリカはどうかというと、日本と正反対。住宅の価値は建物で決まるとも言える。
 もし、建物の価値が今の1・5~2倍になったらどうか。22年で償却される建物がアメリカ並みの50年以上になったら、住宅の資産額はほぼ倍増する(図2)。

家計資産は減らない
20100925_03_03.jpg このことを、見方を変えていえば、700兆円におよぶ住宅の投資額が現状では資産価値として250兆円しかなく、差し引き450兆円は償却されているが、建物の寿命が延びれば消えた450兆円のうち240兆円は資産に転化する(図2)。
 その結果、金融資産の目減りを固定資産がおぎなって、家計の正味資産は構成が変化するだけでほとんど目減りしないという試算が成り立つ(図1参照)。
 住宅金融支援機構はフラット35によって優良住宅の取得を支援している。住宅の寿命が延びればCO2削減にもつながり、省エネ・耐震性などに優れた住宅を建てれば金利も優遇される。
  *     *
 北海道住宅都市開発協会と住宅金融支援機構北海道支店、札幌商工会議所が共催した研修会で9月6日、住宅金融支援機構理事長の島田精一氏が話した内容をまとめた。


図1 マクロベースで見た家計の資産と負債

図2 住宅の資産価値 日本は20年ほどでゼロだが・・・


2010年09月15日号から

「大工がいない」ぼやきも これから忙しくなるのに・・・

20100915_01_01.jpg 9月に入り「大工がいない」という声が聞かれるようになってきた。ここ数年、補助金絡みの物件の着工はお盆開け以降になるケースが多く、この時期から現場が混み合うのが常態化しつつあるが、今年は特に大工の手配が大変で、それにともなって大工賃金も上昇気味だという。本紙で道内各地の声を拾ってみたところ、まだら模様だが道東の一部などで大工不足が起こっているのは確実のようだ。

道東 十勝は賃金強気
 話を聞いた中で、特に大工不足を強く感じたのが道東の十勝と北見・網走地域。
 十勝では「大工が不足していて、賃金面もやや強気になっている。こういう話は不思議と大工同士で連絡が広がるらしく、一時的にせよ手配しにくい状況だ。地元の大手は賃金を少し上げて大工を集めているという話も大工から聞いた」(帯広・A社)、「確かに大工が足りないという話が周囲である。当社も大変だが、応援の大工にいつもよりも多めに仕事をこなしてもらっていて、それでなんとかしのげそうだ。労賃が上がるということはまずないと思うが、応援の大工は手当てを一時的に上げるということがあるかもしれない」(帯広・B社)など、大工不足だけでなく、賃金も上がる気配を見せている。
 また、北見・網走では「今年前半こそどの業者も現場がないという話が多かったが、お盆前後からに北方型ECOプラスもそれ以外の住宅も一気に着工が集中したことで、大工がめちゃめちゃ足りない状況。これまで頼んでいた大工が別業者の現場に入ってしまい、あわてて他の大工に頼んだ」(北見・C社)、「もともとこの地域は大工の絶対数も足りないうえに、北方型ECOプラスとそれ以外の物件の着工が重なったため、大工の手が足りないのはどうしようもない。大工2組は確保しているが、そのうち1組は規模が小さい2棟を同時にやってもらうことになりそう」(網走・D社)と、大工の手が足りないのは着工の集中以外に地域の慢性的な大工不足も背景にあると話す。

道央
事前の手配が重要
北方型ECO以外は余剰感
 道内着工の大部分を占める道央は、着工が本格化した北方型ECOプラスを手がけているかどうか、自社大工を抱えているかどうかなどで、状況が異なっている様子。
 北方型ECOプラスを建てる住宅会社は、「自社で大工をかかえず、大工全員を外注している業者は手が足りずに苦労しているようだ。当社では北方型ECOプラスの着工時期を予測し、前々から自社大工のほかに外注の大工をあらかじめ頼んでいたため、特に困っていることはない。大工賃金が上がっているという話も聞いていない」(札幌・E社)、「大工の数はすごく足りない状況。北方型ECOレベルの性能を確保するには、技術力のある大工が必要なだけに、誰でもいいというわけにはいかず、今後1人の棟梁が複数の現場をかけもちすることも考えないといけない」(札幌・F社)など、早いうちから大工の手配を行っていたかどうかもポイントになっている。
 なお、逆に北方型ECOプラスを建てない住宅会社からは「大工は足りている」「逆に余っている」という声もあった。

道北・道南
特に変わりなし
 道北・道南では、それほど深刻な状況にはなっていないようだ。
 話を聞いてみても、「当社ではこれから現場が集中するが、基本的には自社大工だけ対応できる見込み。旭川市内で大工が足りないという話や大工賃金が上がっているという話は聞いていないので、手が足りなくなったとしても何とかなると思う」(旭川・G社)、「特に大工が不足し、労賃アップしているということはない。仮に手が足りなくなっても、工務店同士で大工さんを融通しあっているので対処はしやすい」(函館・H社)、「今後もこれまで通り、自社大工で工事をする方針だが、人数は十分足りているので外注を頼む必要もない。同業者に聞いても、大工の手配についてそれほど大きな動きは感じていないようだ」(室蘭・I社)など、特にこれまでと変わりはないという声が多かった。


2010年09月15日号から

新住協の耐震・断熱改修 事前調査で腐れ確認

20100915_02_01.jpg 国の長期優良住宅先導事業に採択されたNPO新住協の断熱耐震同時改修プロジェクトの説明会が8月27日、札幌で開かれた。
 耐震性と断熱性を同時に改良するという内容で、耐震性については「一般診断法評点1・0」とすること、断熱性は原則として次世代省エネルギー基準をクリアすることが基準となる。
 改修手法については指定されていないが、北海道などⅠ地域は断熱層内の気流止め施工によって既存の充てん断熱材の性能を回復させる工法についても認められている。この場合のQ値は1・9Wでよく、付加断熱が必要ない簡易改修が対象になっている点が1つの特徴でもある。
20100915_02_02.jpg 補助率は3分の1で200万円以内。
 当日は提案内容と申請手続きについて新住協福島支部の豊田善幸氏(豊田設計事務所)が解説。続いて提案内容の技術的ポイントについて代表理事の鎌田紀彦氏(室蘭工業大学教授)が解説した。
 このうち豊田氏は耐震改修について、「建築基準法クリアではなく一般診断法の評点1なので、これをクリアする場合は耐震補強の必要はない」など、注意点を中心に説明した。
 また鎌田教授の講演要旨は次の通り。
 「施工前に腐れが予想される部位を破壊検査によって確認し、改修内容を見積もりに盛り込むこと。なお基礎については、昭和48年から50年にかけて、オイルショックによる鉄の値上げなどを背景に無筋の基礎があるようなので注意してほしい。
 20100915_02_03.jpg気流止めは、断熱性能を回復させるとともに内部結露抑制につながる。気流止めによる気密層の連続を確保するために、ポリ袋詰めの圧縮グラスウールを使う場合、間仕切壁の上部などでは天井面とポリ袋が連続した気密層を構成するように施工すること。
 付加断熱しない改修(A工法)は図のように取り合い部をすべて気流止め施工する。ただ、付加断熱を行うと部分的に気流止めが不要となり、さらにケタ上断熱や屋根断熱を組み合わせると気流止めをまったく行わなくてよい場合もある」。
 なお、14日には札幌で耐震診断法のセミナーも開かれた。


圧縮グラスウールによる気流止めの施工注意。ポリ袋と天井面が連続する。

気流止めだけで付加断熱しないA工法(左)はすべての取り合い部に気流止めが必要。ただし基礎断熱の場合は間仕切床面が不要になる


2010年09月05日号から

北海道労働局

8割近く改善指導

 厚生労働省北海道労働局は7月12日に道内17の労働基準監督署と支署を通じ、木造家屋建築工事を行っている道内の86現場で一斉パトロールを実施した。その結果、労働安全衛生法令などに基づき76・7%の66現場で改善指導を行った。改善指導を行った割合は、一昨年の66・4%、昨年74・5%と比べてさらに上昇して8割近くに達しているが、昨年の労働安全衛生規則の改正に絡む足場関連の指導は減ってきている。
 この一斉パトロールは毎年実施しており、法令に基づく安全な作業床の確保、手すりおよび中さん等の設置、安全な昇降設備の設置などの墜落防止対策、幅木などの設置による物体の落下防止対策ならびに木材加工用機械の安全点検が適正に行われているかなどの点検を行った。なお、足場が設置されていたのは86現場中79現場。
20100905_02_01.jpg もっとも多かった指摘は今年も足場関係で49現場。足場を設置した現場の62%で、昨年より12ポイントダウンした。その次が躯体、電動丸のこ盤、その他の指摘の順。
 足場の指摘では、「墜落防止のための手すりや中さんの設置が不適切」(28現場)、「物体の落下防止のための幅木などの設置が不適切」(20現場)、など昨年の労働安全規則の改正がらみの指摘が上位を占めたが、足場を設置した現場に占める割合は昨年に比べて大幅に減っている。一方で「安全な昇降設備が設置されていない」(17現場)、「足場の組立等作業主任者の職務・氏名の周知が不十分」(同)は昨年よりも現場に占める割合が増えている。
 道内の木造家屋建築工事における労働災害は、昨年は死傷者124名と22%減少し、うち2名が死亡している。今年7月末時点での死傷者数は54名と昨年同期に比べてさらに11・5%減少、死者は幸いにもゼロだが、安心はできない。工事が本格化する時期を迎え、労働局では違反箇所の改善だけでなく、より一層の労働災害防止対策を講じるよう関係団体に要請する。
 問い合わせは、同局労働基準部安全課(011・709・2311)。


2010年08月25日号から

北方型のQ値計算法、省エネ基準方式に統一

道では、北方型住宅の熱損失係数=Q値の計算方法を、来年度から国の省エネ基準と同じ計算方法に統一することを決めた。これにより、Q値計算で基礎断熱した床下空間や屋根断熱した小屋裏空間などを床面積に加算できるのは、来年3月31日の登録申請分までとなる。

来年4月から
屋根断熱・基礎断熱は不利に

 Q値計算は各部位の熱損失係数の合計を実質床面積で割って算出するが、北方型住宅では一昨年に北方型住宅ECOが国の超長期住宅先導的モデル事業(現長期優良住宅先導事業)に採択された時、基礎断熱した床下空間を床面積に加算して算出したQ値が、性能評価機関で認められたり認められなかったりするなどの混乱があった。
 そこで道では、北方建築総合研究所を通じ、換気経路に入っていることなどを条件に基礎断熱した床下と屋根断熱した小屋裏も気積に含め、その気積を2・6で割った数値をQ値計算の床面積とする考え方を北海道建築指導センターに示し、北方型住宅の認定に限り、この計算方法を使えるようになった。
 20100825_01_01.jpgただ、国の省エネ基準では、Q値計算で床下空間や小屋裏空間が換気経路になった場合の扱いが示されていないことなどから、住宅性能表示制度の省エネルギー等級の判定でこの計算方法は使えない。そのため道ではこの計算方法を国に認めてもらえるよう働きかけていたが、今年早々に国レベルで基礎断熱した床下等は床面積に算入しないとの判断を出したことから、北方型住宅のQ値計算方法も国の省エネ基準に統一することにした。

〈さらに詳しい情報は見本紙をご請求ください〉


2010年08月25日号から

札幌市 太陽光パネルの高さ除外

建物の高さへの算入は原則不要に

 札幌市ではこのほど、太陽光発電パネルの建築基準法上の取り扱いと、雪止めと同等の効果があると判断した屋根材を発表した。
*   *
 太陽光発電パネルについては、水平投影面積(真上から見た時の面積)が建築面積の8分の1以内であれば12mまで建物の高さに原則算入しないという「建築基準法施行令第2条第1項第6号ロ」を適用する。今月20日の建築確認申請受付分から適用を開始した。
 建築基準法上、太陽光発電パネルはその高さをどう取り扱うか明確になっていなかったが、札幌市ではこれまで屋根上に設置する太陽光発電パネルはすべて建物の高さに算入してきた。しかし、無落雪屋根の住宅や施設の屋上部分にパネルを設置するケースが増えてきたことを受け、建築基準法上の取り扱いを検討。階段室や昇降機塔、装飾塔などと同じ屋上部分として取り扱い、一定の条件を満たせばパネルの高さは建物の高さに算入不要とする基準法施行令の適用を決めた。
 これによって、パネルの水平投影面積が建築面積の8分の1以内の場合、パネルの高さが12m以内であれば建物の高さに算入しないことになる。パネルの高さはパネルまたは架台のうち最も高い部分とし、水平投影面積はパネル部分のみ対象とする。
 ただ、北側の前面道路または隣地との関係で建物の最高高さが定められている地域などは適用外となるほか、第一種または第二種低層住居専用地域内において都市計画による高さ制限がある場合などは、建物の高さに算入不要なパネルの高さが5mまでとなる。
 20100825_02_01.jpg戸建住宅で無落雪屋根にパネルを設置しても、2階建てであれば高さが10mを超えることはまずないが、3階建てであれば10mを超えるケースも考えられる。札幌市の場合、住居専用地域などで高さ10mを超える建物は中高層建築物となり、確認申請の前に建築を知らせる標識を設置したり、周辺住民に建築計画を説明する必要があっただけに、都市型3階建住宅などでは太陽光発電を導入しやすくなりそうだ。

落雪防止屋根材を公表
 雪止めと同等の効果があると判断した屋根材の商品名は別表の通り。
 同市では「氷雪の落下による危害を防止するための措置」として、①軒先から敷地境界線までの水平距離が十分に取れる場合②屋根面に雪止め金具を有効に設置する場合③落下防止の機能を備えた屋根材と同等とみなされる工法による場合―を示していた。
 今回③について住宅会社や建て主の目安となるよう、各屋根材メーカーの資料を検討し、雪止めと同じ効果があると判断した9つの屋根材を公表。製品によって軒先から敷地境界線まで、どの程度の水平距離が必要かも明示した。
 なお、同市建築確認課では、今回公表していない製品でも実験データなどの資料が揃っていて、雪止めと同等の効果があると判断できる場合は随時追加し公表していきたいとしている。


2010年08月05日号から

住宅エコポイントでアパマンの次世代対応加速中

 リフォームでの利用が約8割以上を占める住宅エコポイントだが、新築では戸建てよりも賃貸アパート・分譲マンションの動向が関心が集まりつつある。実際にアパート・マンションでエコポイントの対象であることを打ち出す住宅会社やデベロッパーも目に付くようになり、業界関係者からは「高断熱化が遅れていたアパマン市場の次世代省エネ基準対応が進んでいる」という声も出てきている。

木造アパート 施工業者主導で進行

 今年6月末時点での住宅エコポイント発行戸数を見ると、北海道は累計で2660戸。このうち新築15%、リフォーム85%と、リフォームでの発行が大多数。
 新築のエコポイント発行戸数が少ないのは、1.鉄骨プレハブ系の大手ハウスメーカーは、エコポイントに対応するためトップランナー基準をクリアする必要がある 2.工務店は30万円相当のエコポイントより、長期優良住宅の100万円補助を優先する傾向にある―などといったことも背景にあるようだ。
 ただ、共同住宅では少し事情が違ってくる。新築のエコポイントは1戸につき30万ポイントがもらえるため、4戸1棟のアパートなら120万ポイント、6戸1棟なら180万ポイントももらえることになる。これはオーナーにとって大きなメリット。
 特に木造アパートであれば次世代省エネ基準をクリアすれば良いので、そのコストアップ分はエコポイントで十分カバーできる。次世代省エネ基準対応によって快適性・省エネ性が向上すれば、他の物件との差別化や入居率の向上につながるという声もある。

オーナー側デメリットなし
20100805_01_01.jpg 例えば、賃貸アパートの"エコポイントキャンペーン"を現在展開している札幌のアサヒ住宅㈱では、「次世代省エネ基準対応で1戸あたり25万円のコストアップになるものの、4戸1棟だと120万ポイントもらえるので損はない。性能アップ分のコストはエコポイントの即時交換で充当できるし、居住性が良くなって、入居率が上がることになれば、オーナーに十分メリットはある」と話す。
 ただ、同社では「エコポイントを理解しているオーナーはそれほどいない」と話しており、エコポイント対応は今のところオーナーではなく、施工業者の提案で進んでいる状況だ。


※エコポイントを大々的に打ち出したアサヒ住宅の新聞折り込みチラシ

賃貸マンション
基準クリアは厳しいが都市ガス化で・・・

20100805_01_02.jpg 一方、賃貸でもRC造のマンションはどうか。
 共同住宅でも木造であれば次世代省エネ基準をクリアすればいいが、RC造となるとトップランナー基準をクリアする必要がある。
 暖房・給湯については電気熱源とする場合、ヒートポンプ機器が必須となり、ガス・灯油は潜熱回収タイプが有力な選択肢。これを好機と捉えて動いているエネルギー関連企業もある。
 北海道ガス㈱リビング営業部リビング開発グループの齊藤勉マネージャーは「営業でRCの賃貸マンションのエコポイント対応は、潜熱回収型給湯器のエコジョーズが決め手と話しており、去年はゼロだった賃貸マンションでのエコジョーズ採用は、今年これまでのところ10棟で採用または採用の計画がある。30万ポイントでは通常のガス・灯油ボイラーとの価格差を埋められないが、入居者にとっては割安な家庭用セントラルの料金体系が適用になり、追い炊き・お湯張りもできるので、ランニングコストが安くなるうえに快適も高くなる。
 オーナーにとっては資産価値が上がることにもなると説明し好評だ」と話しており、賃貸マンションでもエコポイントに対応する動きは出ているようだ。

※北海道ガスでは賃貸マンションのエコポイント対応にエコジョーズを勧めており、手応えが出てきているという

分譲マンション
次世代標準化へ

20100805_01_03.jpg 最後に分譲マンションの状況を見てみたい。
 分譲マンションもエコポイント対応の条件は、RC造の賃貸マンションと同じトップランナー基準クリアだが、道内の分譲マンションの熱源はガスセントラル(FACT)が主流となっているので、後は断熱性能を省エネ等級4にするかどうかの判断をデベロッパーがするだけと言われている。
 本紙編集部で調べたところ、現在エコポイント対応をうたっている分譲マンションは5棟。合計戸数は約310戸にのぼり、このうち2棟を施工中の日本グランデ(株)では「断熱仕様は窓を通常のペアガラスからアルゴンガス入りLow―Eペアガラスに変更して省エネ等級4に適合させ、暖房・給湯はガス高効率給湯器のエコジョーズを採用した。販売価格は若干上がっているものの、目に見えるほどではない。営業的にエコポイント対応は当然という考えで、今後エコポイントが終わったとしても、この性能・仕様を落とすことはないと思う」と言う。
 住宅エコポイントの延長・拡充が予想されるほか、特に札幌市内の物件は環境に配慮することを求めた"CASBEE札幌"への対応もあり、分譲マンションは一気に次世代対応・次世代以上へと進みそうだ。

※日本グランデが現在施工中のエコポイント対応マンション。看板にもしっかり30万円相当のポイントがもらえることをうたっている


2010年08月05日号から

北洋銀行のエコボンド(私募債) 

札幌の住宅会社2社が発行

 札幌市の「さっぽろエコメンバー」など、環境配慮型企業として認証・登録された企業を対象にした銀行保証付きの私募債の発行が住宅業界でも相次いでいる。北洋銀行は、こうした私募債を「北洋エコボンド」としてPRし、発行した企業のイメージ向上にも役立てている。

三五工務店

 (株)三五工務店(田中寿広社長)は、6月30日に第4回無担保社債5千万円を北洋エコボンドとして発行。年限は5年、担保の代わりに北洋銀行が保証し、受託・引受も同銀行が行う。
 同社では、いち早く高断熱・高気密住宅に取組み、近年は道木連が認定する『北の木の家』の認証を受けるなど地材地消によるCO2排出量の削減や、パッシブ住宅の建設など、地球環境にやさしい家づくりに継続的に取り組んでいる。こうした取り組みが認められ「さっぽろエコメンバー」に認証・登録された。調達資金は事業資金に充当する予定。

イネスホーム

 イネスホーム(株)(塚本誠社長)は、7月13日に第2回無担保社債5千万円を北洋エコボンドとして発行。年限は5年、担保の代わりに北洋銀行が保証し、受託・引受も同銀行が行う。
 同社では、「ちょっとアイディアをプラスする家づくり」をコンセプトに自由設計の家づくりを行っている。土台は薬剤不要のヒバ材、構造体は環境にやさしい防腐防蟻材を使用し、環境と健康に優しい住宅づくりに取り組んでいる。今年6月に環境への取り組みが認められ、「さっぽろエコメンバー」に認証・登録された。調達資金は事業資金に充当する予定。
  *     *
 北洋エコボンドの発行は、私募債として企業規模、財務、収益内容についての厳しい発行基準を満たしていることが必要。さらに国や地方公共団体が行っている環境配慮型企業の認定・登録をしていることで「環境保全に貢献している優良企業」と社会的評価がなされる。利用する企業にとっては、通常の私募債よりも発行条件が優遇されるほか、一括償還できるため資金繰りが円滑になり、社会的信用も高まるメリットがある。


2010年07月15日号から

人件費削減は進んでいるか

20100715_01_01.jpg 本紙ではこのほど、札幌圏の住宅会社のうち、社長を含む常勤の従業員が10名を超す企業について、社長に聞き取りで人件費を調査した。その結果、社長の年収は最大で4倍の差があるが、管理職は比較的平均していることがわかった。

札幌圏 工務店・ビルダーの実態
この調査は統計値をとるために行ったものではなく、指標として実施した。こういう趣旨から平均値を算出することは行っていない。調査はすべて面談し、決算書類を手に回答いただいた社長もいた。また調査に協力いただいた企業は情報をオープンにしているケースが多かった。
 また、経営者は、創業社長、二代目のオーナー企業のほかに非オーナー社長もいる。
※記事内容は試読をご請求ください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年07月15日号から

紋別市・認証材補助制度スタート 最大100万円

 オホーツクに位置する流氷のまち・紋別市では、今年4月から地域産業の活性化を目的に、日本の森林認証システムであるSGEC(エスジェック)森林認証を受けた地域材を使って新築・増改築を行う住宅に最大100万円を補助する「紋別市認証材活用住宅助成制度」を開始。これまで4件の申し込みがあったほか、利用を前提とした問い合わせも出てきているなど、まずまずの出足を見せている。
 同市ではかつて年間40~50戸あった戸建住宅の確認申請件数が、昨年度は13戸まで減少。住宅建設は幅広い経済波及効果が見込めるだけに、市ではこの状況を改善して地域産業の活性化を図ろうと、この補助制度を立ち上げた。今年度から3ヵ年実施する予定。
 具体的には、紋別市を始め1市7町2村で構成する網走西部流域のSGEC認証森林約30万haから産出された木材を5以上使い、適切に認証材を管理・使用できる業者認証であるCoC認証を受けた市内の工務店14社(7月6日現在)で新築・増改築を行う場合、構造材で1あたり5万円、内装材で1㎡あたり5千円、合わせて最高100万円まで補助する。
 構造材であれば、森林認証材のカラマツ集成材は輸入材と比べて1あたり3万円ほど割高になるが、その差額に加えてさらに2万円のインセンティブを乗せることで住宅需要を刺激する考え。
 このほか、北海道木材産業協同組合連合会(どうもくれん)の「北の木の家」の認定取得や、住宅金融支援機構のフラット35の技術基準を満たすことなども必要条件となっている。

今年度13件の利用を見込む

 予算枠は1100万円で、1件約84万円と想定して13件分に相当。これまで新築3件、増改築1件、合わせて4件の申し込みがあったといい、このほかにも問い合わせのあった4件で利用が見込まれるなど、制度開始から3ヵ月を過ぎてまずまずの利用状況だという。
 同市産業部農政林務課森林認証担当の野呂田厚司参事は「現在、市内から出ている森林認証材は3千くらいだが、今回の補助制度などを通じて1万まで引き上げることができればいいと思う。今年度は13棟分の予算を計上しているが、利用件数が多くなればさらに予算を増やすことも検討していきたい」と話している。


2010年07月05日号から

日本VOC測定協会

測定料6万円に値下げ

 室内VOC測定を通じて健康に過ごせる家づくりの普及活動を行っているNPO日本VOC測定協会(福井政義理事長)では、去る5月31日に網走市内で平成22年度総会を開催。今年度から、同協会登録事業者によるVOC測定料金を従来の10万円から6万円(税・諸費用別途)に改定することを決めた。これにより、住宅会社・ユーザーは今まで以上にVOC測定を利用しやすくなる。
 同協会では、VOCに関する正確な知識を持ち、厚生労働省の測定ガイドラインに準じて室内空気のサンプリングを行うことができるVOC測定士を認定・登録するとともに、アクティブ法によるサンプリングや公的な第三者機関・北見工業大学による高精度の分析などによって、信頼性の高いVOC測定の普及を推進。3年前の創設以来、全国で約80件の測定を行ってきた。
 これまでホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、トルエン、キシレンなど8物質のVOC測定を室内1ヵ所につき10万円で実施してきたが、より多くの住宅会社・ユーザーを対象にVOC測定の普及を図るためには測定料金の改定が必要と判断し、6万円に引き下げた。消費税や交通費、測定機材の送料など諸費用は、従来通り別途必要になる。
 問い合わせは同協会事務局(本部0152・43・1588、東京03・5496・9710)へ。
http://www.jvma.jp/


2010年06月25日号から

大検証「地元新聞の住宅広告」

意外やエコポイント訴求

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 民間企業では売上の5%程度を販売促進・商品開発・広告宣伝コストとして投入するのが一般的と言われており、住宅会社も自社の宣伝などにある程度コストを投入する必要はある。今回は「地元新聞への広告」にテーマを絞り検証する(2回目・前回は平成20年8月25日号で実施)。

※検証記事と新聞掲載広告(全31作品)をご覧になるには試読をお申し込みください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年06月15日号から

2010年新設住宅 北海道

このままなら3万戸超えだが・・・

 北海道は今年、予想以上に賃貸市場が好調だ。専門家でさえも首をひねる回復で、このままのペースでいけば2010年計で3万戸を突破しそうな勢い。ただ、お盆以降の先行きに不透明感もただよっており、予断を許さない。

20100615_01_01.jpg4月までは高い伸び率
 4月までの住宅着工を見ると、持家と戸建て分譲(建売)は本紙が年初に予想した範囲で推移しており、累計で持家が6%増、建売が17%増。
 共同住宅系でも木造アパートは予想通りの動き。昨年よりは増えているものの事業性の低下などから累計で6%増。
 業界筋が一様に首をかしげるのが賃貸マンションの急回復。4月累計で71%増。このペースで行くと2年前の9千戸水準に戻る。3年連続で急降下した反動が原動力となっているほか、そもそもの需要量は貸家全体で1万7~8千戸程度あるということだろうか。
 分譲はマンションが予想をさらに下回る66%減。このペースで行くと年計で500戸にも達しないかつてない低水準に終わる。鋼材の値上がりもあり、マンションは厳しい状況が続いている。

試算別で2万8千戸台
 4月までの成長率を年間に当てはめると、2010年の住宅着工は3万1千戸台になる。
 しかしこういう資料もある。北海道は例年4月の着工数が年平均値に近い。それを元に計算すると2万8千から9千戸。いずれにしても3万戸到達は微妙だ。


2010年06月15日号から

札幌市・木造耐震化補助始まる

今年から設計・工事も対象

 札幌市では、これまで行っていた木造住宅の耐震診断に対する補助に加えて、新たに耐震設計・耐震改修工事にも必要な費用の一部を補助する「木造住宅の耐震化補助制度」を開始。16日から申し込みを受け付ける。
 同市では平成18年から木造住宅の耐震診断に補助を行い、年平均35~50件の利用があったが、その結果を見るとほとんどの住宅は現在の新耐震基準と比べて耐震性が不足していたという。そこで診断だけにとどまらず、改修工事まで補助を行うことで市内の木造住宅ストックの安全性を高めようと、今年から耐震設計・耐震改修工事にも補助を行うことになった。予算枠は耐震診断が600万円、耐震設計と耐震改修工事が合わせて1千万円。
 対象となるのは 1.戸建て・共同建て・長屋の木造住宅 2.昭和56年5月31日以前に着工・建築された在来軸組工法の住宅 3.地上3階建て以下かつ木造部分の階数が2以下 4.住宅部分の床面積が延床面積の2分の1以上―のすべてに当てはまる札幌市内の住宅。さらに耐震設計と耐震改修工事については、耐震診断の結果、上部構造の評点が1・0未満の住宅を、評点1・0以上に引き上げることが条件となる。
 また、診断・設計を行う者と改修工事の工事管理者は、札幌市の講習を受けて登録済みの耐震診断員であること、改修工事の施工業者は建設業許可を受けていることがそれぞれ必要。

市で行う他の補助も併用可

 補助額は、1戸あたり耐震診断が費用の3分の2以内で最大3万円、耐震設計が費用の3分の2以内で最大10万円、耐震改修工事が費用の23%以内で最大40万円。すべて申請すると最大53万円の補助を受けることができる。
 申込受付期間は今月16日から12月10日までで、予算枠が埋まり次第締め切る。
 なお、同市が省エネ改修・バリアフリー改修を対象とした住宅エコリフォーム補助制度や新エネ・省エネ設備を対象としたエネルギーecoプロジェクトなどとの併用も可能。
 詳しくは同市都市局建築指導部建築安全推進課(011・211・2867、FAX011・211・2823)へ。


2010年06月05日号から

札幌市エコリフォームに最大50万円補助

7月1~14日に受付

20100605_02_01.jpg 札幌市では省エネ改修・バリアフリー改修に最大50万円を補助する「札幌市住宅エコリフォーム補助制度」の事業者向け説明会を、去る5月31日に札幌市民ホールで開催。それによると、補助申請は7月1日から14日まで受け付け、補助要望額が予算枠の1500万円を上回る場合は抽選によって補助対象者を決めることとなった。
 この補助制度は札幌市が今年度新たに設立したもの。1.市内に住宅(賃貸除く)を所有している市民が行う改修工事 2.建設業の許可を受け、市内に主な営業所を持つ業者が施工―を条件とし、一定の省エネ改修・バリアフリー改修に対して、実際にかかる工事費または市で規定する標準工事費のうち、いずれか低い金額の10%、最大50万円を補助する。
 省エネ改修やバリアフリー改修にかかわる国の減税措置は併用可能だが、同一の工事で住宅エコポイントや他の国の補助制度との併用はできない。ただし、バリアフリー改修は市のエコリフォーム補助、省エネ改修は住宅エコポイントを利用するなど、工事箇所が明確に区分できる場合は併用も可能だ。

居室の窓すべて次世代対応に

 省エネ改修・バリアフリー改修は、いずれか一方でも両方でも可。省エネ改修の場合は、居室の窓すべての改修を必須とし、そのうえで行う床・壁・天井いずれかまたは2つ以上の部位の断熱改修も対象。改修部位はすべて次世代省エネ基準に適合することが必要になり、窓の場合はサッシとガラスの種類、床・壁・天井は断熱材の種類と厚さで適合の有無を判断する。住宅1棟の熱損失係数=Q値による性能規定では判断しない。
 バリアフリー改修は、1.満55歳以上 2.要介護または要支援認定者 3.障がい者―のいずれかの該当者または同居者が行う改修工事で、1.通路等の拡幅 2.階段のこう配緩和 3.浴室改良 4.便所改良 5.手すりの取り付け 6.段差解消 7.ドアの改良 8.滑りにくい床材への取り換え―をそれぞれ対象とする。

契約 ・ 着工は交付決定後

 補助申請の受付期間は7月1日から14日までの2週間。工事見積書や施工前・施工後の設計図書、工事箇所の写真、住民票の写しなどの必要書類を同市都市局市街地整備部住宅課に提出する。住宅のオーナーに代わって業者が代理申請することも可能。
 申請された補助要望額の合計が補助枠の1500万円を上回った場合は、7月23日午後2時から市役所内で抽選会を行い、補助対象者を決定することになる。抽選に当たると7月30日までに補助金交付決定通知が送られてくる。
 受付期間に補助枠に達しなかった場合は、10月29日まで順次申請を受け付け、補助枠に達した時点で締め切る。
 なお、工事の契約・着工は補助金交付決定通知が送られてきた後に行うこととなっているので注意したい。
 補助金は工事完了後に完了届と必要書類を提出した後、補助金確定通知書が送られてきてから、3月31日までに請求書を提出。その後約2週間程度で振り込まれる。
 問い合わせは札幌市都市局市街地整備部住宅課(011・211・2807)へ。


2010年05月25日号から

北海道住宅新聞版 事業仕分け

 昨年に続き、今年も事業仕分けが今日(25日)まで行われ、注目を集めている。住宅に関連する仕分けでは、住宅金融支援機構が4月23日に対象となった。もとより事業仕分けは国民の代表が中心となって行うものだが、本紙は業界都合だけにとどまらず消費者目線からも課題の多い点について、問題を整理した上で解決の方向を示してみたい。

20100525_01_01.jpg●中央集権がなじまなくなっている
〈全国共通基準としての建築基準法〉
 まず最初に検討しなければならないのは、建築の基本を規定する建築基準法だ。
 同法が不要だなどとは誰も言うまい。問題は、狭い国土の中に亜寒帯から亜熱帯が分布し、人口密集地域と過疎地域が混在する日本で、東京ですべてが決められる(中央集権的)あり方が、徐々になじまなくなっているという点だ。
 中央集権のメリットは、東京で一元管理ができること。全国ネットの住宅メーカーなどナショナルメーカーにとっては、仕様決めなどがきわめてスムーズに進む。
 しかしこんな事実もある。分譲マンションでは東京で決まった仕様が北海道・札幌にも持ち込まれるが、それがあまりに寒冷気候に合わない場合、工事仕様の段階などで変更になる。ただ、東北などでは東京基準で建てられるため、温熱環境があまりにひどいマンションがどんどん増える。
 温熱環境や断熱のほかにも、住宅密集地や狭い道路を前提として作られている基準が多いとされる。
 地方の実情にあった基準は地方が作る。建築こそ地方分権がもっとも必要な分野の1つではないだろうか。都道府県レベルが地域基準の1つの目安となると思う。

20100525_01_02.jpg●整理して住宅新法に一本化へ
〈相次ぎ制定された住宅新法の整理〉
 建築基準法を補うために、住宅を対象とする新法がこのところたくさん登場した。品確法(通称)による瑕疵(かし)保証の10年義務化と性能評価制度、瑕疵保証を保険等によって担保することを義務化する瑕疵担保履行法、そして長期優良住宅法。また、告示という形を取った省エネルギー基準。さらに、これらの法規に補助金などがからんでいる。まぎらわしい上に事務の手間も多く、苦労して認定などを取得しても行政や公的機関は認定に対する結果責任を取らない仕組みになっている。
 複雑になった関連法規はいちどリセットし、住宅の基準を定める新法に一本化するべきではないだろうか。新法は、耐震や採光、断熱などを定める実体基準と、申請行為などの手続き面、そしてそれらに伴う責任の所在を明確にすること、そして、地域基準は各地域にゆだねるとともに情報公開を徹底するべきだ。

●矛盾だらけ...
〈消費者保護と瑕疵保険〉
 新築住宅を建てるとき、売り主側が瑕疵保証保険に入ることが義務化された。当初は耐震偽装で倒産した企業のマンションを購入した消費者の悲劇を繰り返さないため、ということだったが、実際の法律運用はだいぶ違うかたちとなった。保険の引き受け基準は横並び、重過失に保険金を出さないなど、制度趣旨が運用に反映されていない。
 そもそもこの保険は、欠陥住宅を建てた業者のために欠陥なくできあがった家の保険掛け金が利用されるという矛盾をはらんでいる。また、耐震偽装を見逃した建築確認申請のあり方と責任を見直すことなく、保険というかたちでリスクをカバーしようとしたことに、逃げはなかったのだろうか。
 消費者保護は、判断基準と判断材料(情報)を消費者に提供するかたちで行えば、義務保険より低コストで安全を担保することができるのではないか。そのためには、品質検査を行い、その結果が公開され、融資が連動し、消費者は業者選びを自身の責任で行える環境が整っていることが求められる。

行政刷新会議ホームページ
http://www.shiwake.go.jp/


2010年05月25日号から

太陽光発電2010 メーカーの戦略3 シャープ

低価格化を進める

20100525_04_01.jpg1.製品のPRポイント
 シャープ(株)は、1959年から太陽電池の開発を始め、1994年に住宅用太陽光発電システムを商品化。多結晶シリコン方式を採用し、国内生産・シェアともにトップメーカーだ。
 同社は品質を維持しながらの低価格化が普及のカギと見ており、今年度の新製品は7%程度値下げ。たとえば今年度モデルND―160BWは7万200円(同)で前年度モデルよりも5400円の値下げ。定格出力1Wあたりの『W単価』は新製品が439円と、500~700円程度の他社に比べて安い。
 切妻などの勾配屋根では、なるべく多くの太陽電池を設置するため基本モジュールをサイズ違いで2種類用意し、組み合わせることで屋根面に無駄なく設置できる『ルーフィット設計』を新たに採用した。
 このほか、発電状況を室内の専用モニターだけでなくパソコンや同社のインターネット対応液晶テレビ、インターネット対応携帯電話などから確認できる『Webモニタリングサービス』が利用可能だ。

2.今年の生産・販売量
 大阪府堺市に薄膜型太陽電池の生産工場が完成し、今年度は160MWの生産予定。従来の多結晶シリコン太陽電池と合わせ、710MWの規模となる。さらに来年は1GW(=1000MW)を超える生産体制を予定。薄膜型太陽電池は低コストで生産できる半面、面積あたりの発電量は多結晶シリコンタイプに及ばないため、現在は太陽光発電所など大規模施設向けだが、今後一般家庭への導入も期待されている。

3.システムの保証体制
 同社では、機器本体、架台、工事にわたる総合保証制度を構築している。1.システム構成機器に不具合が生じた場合 2.太陽電池モジュールの出力が保証値を下回った場合 3.設置工事が原因でシステムに不具合が生じた場合―に10年間無料で修理・交換が行われるというもの。設置工事が原因の防水事故などに対しても同社が保証する。「業界唯一の10年システム」と謳っている。

4.施工品質の確保
 経済産業省では、太陽光発電システム施工の際に品質を確保するガイドラインを今年度中に定め、来年度にも運用開始する方針だ。同社も業界代表として委員会に参加するなど協力している。
 同社はこれまでも施工講習会を開催して施工IDを取得することや施工管理者の工事チェック導入による責任施工制度を構築して一定以上の品質を確保するほか、業界に先駆けて無落雪屋根対応架台を開発し、様々なタイプの屋根に対応できる工法の確立などを行ってきた。

5.普及に何が必要か
 道内の太陽光発電システムへの認知度は、一般消費者の間ではまだまだ低く、「冬は雪が乗って発電しないから内地より損ではないか」など、間違った認識も多い。
 帯広や北見など道東での日照時間の長さ、道内全般では夏の日照時間の長さや気温の低さによって、年間を通じた発電量では道外と比べて全くそん色ないことなどをアピールする啓蒙活動を続けていく。
 販売の主力は既築住宅への採用だが、昨年来道内でも新築への導入例が目立って増えていると言い、価格を早期に普及価格と言える状態にしたいという。


2010年04月25日号から

フラット35が激増 2010年1~3月は前年比約4倍

20100425_02_01.jpg 証券化支援事業による長期固定金利住宅ローン「フラット35」の平成21年度道内申込受理数を住宅金融支援機構北海道支店が発表した。それによると、伸び率が前年比で約2倍となっており、特に今年1月~3月は前年同期比で約4倍と大幅に伸びていることがわかった。

新築戸建ての約1割が利用
 申込実数では、平成20年度の925件に対し、1840件で約2倍。内訳は、戸建て持家が約3分の2、中古住宅が約4分の1、残りが分譲マンションや建売住宅。新築戸建住宅では少なくとも1割以上がフラット35を利用した計算になる。特に今年1~3月の道内申込数は658件。前年同期比で約4倍、年間申し込みの3分の1以上を占めた。全国の21年度を見ると、対前年比67%増の8万1726件で、北海道支店の勢いが上回っている。
 平成19年4月に住宅金融公庫を独立行政法人化して発足したのが住宅金融支援機構。独法化以降は直接融資から民間の長期固定金利住宅ローン商品を支援する立場に変わった。しかし、不況による金利水準の低迷で、発足当初は目先の金利が安い「3年固定」や変動金利型住宅ローンが利用者に支持され、フラット35は伸び悩んでいた。
 ところが昨年は世界同時不況の影響で民間金融機関の住宅ローンに「貸し渋り」が目立つようになり、職業差別のないフラット35に人気が出始めた。
 また、政府も緊急経済対策の中でフラット35の条件緩和・強化を打ち出し、昨年6月に購入価格の100%融資が可能となった。これにより、それまで前年比横ばいだったフラット35申込者が大幅に増えた。
 さらに今年からはフラット35S(優良住宅取得支援制度)の金利優遇幅を大幅に拡大し、当初10年間は1%も金利が低くなった。特に長期優良住宅の認定を受けたりトップランナー基準をクリアした住宅は金利の優遇期間が20年間に拡大。
 たとえば2000万円の住宅を全額ローンで35年返済する場合、フラット35Sの20年金利優遇タイプで借りれば、通常のフラット35に比べて総返済額で約260万円も安くなる。これに、長期優良住宅の100万円補助金や、先導的モデル事業の200万円補助金を組み合わせれば、消費者に対して強力なアピールとなる。

 道内が大きく伸びた要因として、同支店では「もともとフラット35Sの利用率が他地域よりも高い」ことを挙げている。全国では4割程度だが、道内は8割近く。さらに、他地域では地場工務店がフラット35Sの性能要件に対して消極的だが、道内では対応が早いことも大きいという。
 同支店では、「フラット35はプロパーローンの1つ。住宅ローンに多くの選択肢があり、その中の1つとしてフラット35が選ばれれば良いと考えている」と話している。
 問い合わせは、住宅金融支援機構北海道支店営業推進グループ(電話011・261・8306)。


2010年04月25日号から

思いのほか甘くない 道内企業の札幌進出

 道内から札幌の住宅市場へ進出する建築会社が増えているようだ。今年は帯広本社の(株)ロゴスホームが札幌進出を表明しており、今後もまだ続きそうだ。札幌進出の目算と現状を探ってみた。

○手 法
 道内唯一の巨大市場に参入する企業の背景には、地元市場の縮小がある。多くは地元で成功し、棟数も30~50棟規模まで達している。その成功のノウハウを札幌でも展開するというやり方が一般的だ。
 しかし、手法は同じでも商品メニューを変えるケースもある。1つはフランチャイズ商品を扱っていて、札幌には商権がない場合。もう1つは札幌では別のニードを狙う場合。多くはアッパー層を狙う誘惑に駆られるが、実はローコスト市場でうまくいくケースも少なくない。

○見込み通り
 札幌は辛うじてニッチな市場が成立する市場規模がある。反対にボリュームゾーンが広いので、その中で絞り込むこともできる。
 数年前に進出し、昨年ころから医師などの層をつかんだというH社。札幌圏以外でこういう顧客層だけで1年間の仕事が回るということはほとんど考えられないが、札幌ではある程度成立する。
 土地を仕入れながらローコストを武器に札幌で大きく伸ばしている会社もある。土地の仕入れは即決が必要とされ、札幌にトップが常駐するか同等の決裁権を持っている必要がある。

○見込み違い
 商売だから、失敗はある意味つきもの。反省を次に生かす意味で見込み違いの例も見ていきたい。
「甘く見た」・・・他地域から札幌の市場を見ると、けっこう甘く見えるようだ。例えば実行価格のチェックが甘い、宣伝費をかけすぎ、競争が少ないなど。
 しかし、それは表面的なことであって、例えばお客がコンタクトしてくる前に競争が始まっていることに気づかずに建売やモデルを見てもらう機会を失っているケースがある。
「大勝負をしすぎる」・・・退路を断って1からつくりあげるつもりでも、やはり断ち切れない。というより崖っぷちの気持ちでいきなり大勝負に出るより、小さく始めたほうが時流に合っているように見える。
「知名度」・・・知名度不足を大きな問題ととらえすぎるケースもある。札幌ではそもそも消費者は住宅会社など1社も知らないと言っていいくらい。大切なのは「建てよう」と思った瞬間のお客と知りあうことだけだ。

○今後の札幌
 「エンドユーザーとの距離が遠い」という点が札幌とほかの地域を比べたときの大きな特徴だ。そこで、これまでは大量の宣伝や、住宅展示場といったマス宣伝が使われてきた。ところが昨年1年間で大きく変わった印象がある。マス宣伝が効かないし減らしていい。むしろネット上での戦略や地域密着の地道な活動に気持ちが向いている経営者が多い。土地支配力は相変わらずだが、絶対的とまでは言えず、多少ゆるんでいる。


2010年04月15日号から

トップランナー基準に、突然ちょっと注目

断熱と設備選択のポイント

 年間150戸以上の建売住宅を建設する住宅会社に義務づけられているトップランナー基準(住宅事業建築主基準)が、少し注目を集めている。金利引き下げ効果が大きい長期固定金利ローン・フラット35S(20年金利引下げタイプ)で適用条件の一つになっているほか、今年から始まった住宅版エコポイントでは次世代省エネ基準とともに新築の適用条件になったからだ。ここでトップランナー基準をクリアする断熱・設備仕様について考えてみたい。

20100415_01_01.jpg

※トップランナー基準は背景などが少々複雑なため、比較的長い記事になっています。本来は新聞紙上で読んでいただくタイプの記事ですが、webには一覧表だけを掲載します。内容についてはぜひ試読紙をご請求ください。


2010年04月05日号から

"新築を超える"

性能リフォームの打開策 シリーズ1

 既に世帯数を超える住宅ストックがある現代。エコと住環境改善を目指すなら中古住宅の性能リフォームが急務ともいえる。未だ活況を呈していない「性能リフォーム」市場に打開策はあるのか?
 今回はリフォーム会社・工務店の施工力・提案力向上のために始動した「北海道住宅高性能リフォーム普及支援協議会(あったかリフォーム倶楽部)」の設立記念講演会を取材した。

1980年代以降の住宅が主流
20100405_01_02.jpg 約60名のリフォーム会社・工務店、専門家などが集まる中、同会アドバイザーである道立北方建築総合研究所の福島明居住科学部長が性能リフォームに関して熱いトークを展開。性能リフォームで受注を拡大させようと熱心にメモをとったり頷く参加者が多かった。
 発言の要旨は左表掲載のとおり。すでにリフォーム市場は、1980年以降に建築された住宅。「安価なリフォームで新築を超える性能を実現できる住宅ストック」が7割を占めている。
 これらの住宅を性能リフォームすることで顧客にも喜ばれ、環境にもやさしく、住宅リフォーム会社・住宅会社にとっても収益性が高まると強調した。

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施工力と提案力を支援
20100405_01_03.jpg 同協議会幹事の高杉昇氏(はるす工房代表)は「リフォームで壁の一部にポリフィルムを入れただけで気密工事をしたかのようなケースが少なくない。技術面を支援するので身につけてほしい」
 「性能リフォームで安価に性能を高めることができる既存住宅でも、安易に建て替えを薦める傾向が目立つ。技術を身につけエンドユーザーに性能リフォームをお勧めできるようになってほしい」と強調。
 「相当隙間面積(C値)1を切る気密リフォーム工事ができるようになるためには、理屈を知るだけでなく熟練の施工力、いわば"現場力"が必要になる。まずは熱損失係数(Q値)とC値が1・5を切り、耐震強度も現行法並みの性能に高めるリフォームができるノウハウを協議会が提供したり現場施工アドバイスを行う」と述べた上で「協議会が施工店の認定を行ったり、区民センターなどでの市民セミナーも実施し、営業支援も行っていく」と述べた。
 参加したリフォーム会社・工務店などからは「性能リフォームには展望があると思うが、当社はまだ本格的なアプローチはしていない。冬季の受注減対策としても興味がある」「断熱改修のリクエストは多い。コストを抑える手法とともに興味を持っている」「ユーザーさんに対する説明不足を感じる。営業力を強化したい」「既存住宅の性能アップを上手に提案していきたい」「連携して集客強化を図れればうれしい」といったコメントが寄せられた。
 同協議会は、住宅の性能リフォームによる住環境改善と温室効果ガスの削減を目指す環境省認定の協議会で、性能リフォームの基準とマニュアルづくり、その基準をクリアするための設計・施工力の支援、クリアできる会員の認定、エンドユーザーへの性能リフォームに対する啓蒙活動を行う。会長は北海道大学繪内正道名誉教授。
 24日には札幌市手稲区民センターで市民セミナーを開催する。


2010年04月05日号から

2010年度着工2~5%増

道内建材各社、やや上方修正

20100405_02_01.jpg 建材メーカーに2010年度の着工予測をやや上方修正する動きが出てきている。
 売上予算の前提となる住宅着工予測、とくに木造系、持家系の新設着工(北海道内分)が2009年度比で2%~6%程度アップするとの見方が、ここに来て増えている。
 背景には2月までの好調な建材売上があるようだ。昨年の10月以降、売上が前年を上回っている企業が多く、3月決算の企業のなかには通年で売上が前期を上回ったという声も聞く。
 今年の年初はまだ慎重な見方も強く、本紙が2月5日号で2010年着工予測を上方修正し、持家7%増とした時点では、冷めた声も強かった。
 ただ、ここへ来て売上にブレーキがかかっているとするメーカーもある。そこで、2010年度通期では前年を上回るとしても、上期は昨年同様、低調なすべり出しとなるのではないかという声も出ている。
 また、前年比を上回るとしてどのくらい上回るかも見方の分かれるところだ。2%程度の微増から5%程度の増加まで幅があり、2ケタ増という声は聞かれない。
 各社とも"おそるおそる"上方修正している背景には、なぜ昨年後半から伸びたのか、その原因をはかりかねているという事情がある。
 極端に冷え込んだ需要の単なる反動増か、一時は冷えたものの需要の底堅さなのか、住宅金融支援機構(支援機構)の職業差別なしの融資承認が押し上げているのか。今年になれば、エコポイントスタート、支援機構の金利優遇、子ども手当てなどにより、民間企業の賃下げや雇用流動化を補えるのか。いずれもあまり決め手には見えない。
 賃貸市場も似た状況となっている。空室の増加や家賃引き下げの広がりなど、賃貸事業者側にはプラス材料が見あたらないにもかかわらず、着工が増加に転じている。その理由がつかめず、各社とも着工予測を強気に修正することをためらっている。
 とは言え、慎重に見すぎても売上拡大のチャンスを逃すことになりかねず、そのあたりのバランスを探っている。


2010年04月05日号から

道経産局など主催 埼玉での技術フェアに100名

道産技術に高い関心

 北海道経済産業局などが企画して3月6日に埼玉県さいたま市で開かれた「北海道発!高断熱・高気密住宅技術フェア」が大盛況だった。
 当日はまず「高断熱・高気密住宅技術の温暖地への展開」と題して、室蘭工業大学鎌田紀彦教授が夏の涼しさとQ1・0住宅技術などについて講演。道建設部の大柳佳紀主幹は北方型住宅の取り組みなどを紹介。集まった関東地域のハウスメーカーや工務店約100名は、省エネ技術や道の政策展開に熱心に耳を傾けた。
 その後、出展企業によるプレゼンとビジネスマッチング会となったが、企業ブースには多くの来場者が訪れ、早速商談が始まるなど来場者の関心も高かった。出展企業は道内の省エネ関連住宅建材を扱う11社。各社ともに大きな手応えとなったとしている。
 この取り組みは、昨年の岐阜県東濃地域での開催に続き2回目で、関東圏では初。


2010年03月25日号から

平成22年度予算確定へ

長期優良や太陽光への補助金事業は継続

 国の平成22年度予算案と税制関連法案が今月2日に衆議院で可決され、現時点(3月19日現在)ではまだ参議院で審議中だが、今年度中の成立が確定。各省庁来年度予算の住宅関連施策をまとめた。

国土交通省
既存住宅の質向上と地域材利用に新支援策

20100325_01_01.jpg 国土交通省では、リフォーム市場の活性化や住宅・建築物の長寿命化・省CO2化を目的に、330億円の予算を計上して「環境・リフォーム推進事業」を創設。
 この事業では、過去2年間実施してきた補助金事業である長期優良住宅先導的モデル事業と住宅・建築物省CO2先導的モデル事業を、それぞれ長期優良住宅先導事業、住宅・建築物省CO2先導事業と名称変更し引き続き実施。
 さらに建築士による建物検査を踏まえた質向上リフォームに補助を行う既存住宅流通活性化事業と、エネルギー消費量を1割以上削減する省エネ改修(住宅除く)に補助を行う建築物省エネ改修推進事業も新たに実施する。
 長期優良住宅先導事業と住宅・建築物省CO2先導事業、建築物省エネ改修推進事業は今月5日から募集を開始。既存住宅流通活性化事業については現時点で募集時期は未定だ。
 また、先導的技術による大規模木造建築物や中小住宅会社による地域材利用の長期優良住宅に対して補助を行う「木のまち・木のいえ整備促進事業」を創設。50億円の予算を計上した。
 これは中小住宅会社が建てる長期優良住宅に100万円の補助を行う長期優良住宅普及促進事業の名称を変更して補助要件を拡充するとともに、構造材・内外装材に木材を一定以上使用した大規模な木造建築物や、木造住宅・建築物の技術基盤強化に関する事業にも補助を行う。
 中小住宅会社が建てる長期優良住宅への補助については、昨年同様の条件を満たせば最大100万円の補助を受けられるほか、さらに柱・梁・桁・土台の51%以上に産地証明がある地域材を使用すれば20万円の上乗せとなり、最大120万円の補助を受けられる。
 木造住宅・建築物の技術基盤強化への補助は今月15日から募集を開始したが、長期優良住宅への補助は現時点で募集時期は未定。

経済産業省
高効率給湯器への補助予算は半減

 経済産業省では、2020年に太陽光発電システム導入量を現在の20倍にする目標を掲げ、住宅用太陽光発電については引き続きシステムの導入に対して補助を行う。補助額はこれまでと同様、kWあたり7万円になる見込み。
 昨年の事業仕分けでは予算化見送りとなっていたが、再生可能エネルギー全量買取制度の検討とあわせて、システム価格の引き下げを誘導する補完的・暫定的な普及促進策として復活。予算規模は401億円で、補正予算を含む前年度予算より20億円ほどの減額となっている。
 断熱部材と省エネ給湯・照明等で構成する先導的な高効率エネルギーシステムや、潜熱回収型の高効率給湯器など省エネ効果に優れた設備の導入に補助を行う住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業も継続実施となり、137億円を計上。昨年、世界に先駆けて本格販売となった家庭用燃料電池についても68億円の予算を計上し、引き続き導入に対して補助を実施する。
 ただ、補正予算を含む前年度予算と比べると、ヒートポンプなど先導的システムへの割当分は40億円の増額だが、高効率給湯器等への割当分は87億円とほぼ半減。

税制改正
贈与税非課税枠を1,500万円に

20100325_01_02.jpg 税制改正では、65歳以上の親からの贈与資金を対象とする相続時精算課税制度で、65歳未満の親からの贈与も対象とする特例措置を平成23年12月31日まで延長するとともに、新築・増改築以外に省エネ・耐震・バリアフリー改修も適用対象とする。ただし、特別控除の1000万円上乗せ特例は昨年末で廃止。
 また、新築・増改築のために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税枠を、平成23年12月31日まで現行の500万円から平成22年は1500万円、23年は1000万円に拡大。省エネ・耐震・バリアフリー改修も適用対象とする。
 このほか、固定資産税が戸建ての場合、5年間2分の1に軽減され、不動産取得税や登録免許税も優遇される長期優良住宅普及促進税制や、一般の新築戸建住宅で固定資産税が3年間2分の1に減額される特例措置、30万円以上の省エネ改修・バリアフリー改修を行った場合、翌年度の固定資産税を3分の1減額する省エネ改修促進税制とバリアフリー改修促進税制などの適用期限も2~3年間延長となる。


2010年03月15日号から

このままでいいのか疑問も・・・

住宅補助金の功罪

 家を建てる人のための補助金だけれど、住宅業界にも向けているように見える補助金制度。集客や受注獲得に使える半面、書類作成や工程管理に一般住宅以上の労力がかかる。また「補助金頼みでは営業力が弱くなる」という不安や、「家がほしい消費者にとって不平等だし、年金や社会保険の負担が増えているのに、1件に200万円も税金が投入されることに後ろめたさを感じる消費者も出てきた」という声も上がっている。補助金投入3年度目を前に、「補助金制度の現状と課題」をまとめた。

功績は大きい

 住宅会社が補助金への注目度を高めていったのは、一昨年に始まった超長期住宅先導的モデル事業(現長期優良住宅先導事業)がきっかけ。
 "200万円"という補助金のインパクトは大きく、受注に結びつくのはもちろん、地方を中心に集客でも効果があったという住宅会社は多い。

が膨大な手間と工程管理
他の仕事ができない

20100315_01_01.jpg しかし、補助金をもらうための書類作成や申請などの手間は相当多く、営業やアフターなど本来やるべき仕事ができないといった声があがるようになってきた。
 国では長期優良住宅の認定申請図書の簡素化を図ることを目的に、法律施行規則の一部改正を実施予定。申請図書の一部に確認申請などの書類を流用できるようにするとともに、2階建て以下の在来木造は壁量計算書などの計算過程を省略可能にする。
 これにより、多少の負担軽減につながると歓迎の声がある一方、もう一歩踏み込んでほしいという声も強い。この2年間北方型住宅ECOに取り組んだ住宅会社は「認定申請に出す図面や計算書などは、ほとんど技術的審査で提出した書類と同じ。いくら認定申請の書類を減らしたとしても、技術的審査の書類を減らさないと意味はない」と言う。
 また、年度内事業の場合、着工・完成時期が左右されることも、住宅会社が頭を悩ますところ。仕事量の平準化ができなかったり、資金繰りに影響が出たりするからだ
 補助金で受注が取れたとしても、それに振り回されてしまう、仕事のある時期とない時期の差が大きいなどの状態はもっとも深い悩みになっている。

営業力低下が心配
補助金頼みに不安の声も

20100315_01_02.jpg 補助金はユーザーにとって大きな魅力で、受注・集客効果もある。しかし、問題は補助金がなくなった後。補助金に頼りすぎてしまい、知らず知らずのうちに自社の商品力・企画力・営業力を落としているのではないかという不安の声が出始めている。
 「補助金がなくなった時に果たしてユーザーは当社を選んでくれるのか。実際に北方型ECOの割当分は決まったと話したら、他社に流れたユーザーもいる」と言う。
 補助金の要件に縛られてしまうと希望通りのプランが実現できないために、補助金を断ったユーザーもいる。

有効な税金の使い方は?
地域水準クリア型も

 住宅業界への支援、住宅取得者への支援が行われるべきである、という点については、家電や自動車と比較しても間違いないところだ。そうすると、もっと使いやすい制度に変えることはできないか、ということになる。
 第1に提案採択型で、全国からの提案を一括して審査する形式を改め、要求水準を場合によっては地域ごとに定めてそのクリアを条件にする方法がある。
 これはエコポイント型だ。ただしエコポイントより高いレベルのクリアを条件とする。
 第2に住宅に対する補助ではなく、家を建てた人への補助とする。これはいわばローン減税型だ。こうすることで審査や申請などのやりとりを軽減することができる。
 もちろんほかにも方法はあるはず。せっかくの補助を「有効に使う方法」を考えるべきではないか。


2010年03月15日号から

エコポイントを付加断熱に交換できるか?

「追加工事」なら可能だが線引き不明確

 今月8日から住宅版エコポイントの発行・交換申請が始まったが、ポイントの即時交換は付加断熱工事も対象になるのかどうかで混乱が起こっている。本紙の取材に対し国土交通省住宅局住宅生産課では、最初から付加断熱で新築・リフォームを計画していたのであれば対象にならないが、当初の計画にはなく、追加工事として行うのであれば対象になるとしたが、線引きは不明確で、住宅会社は慎重に対応する必要がある。
 エコポイントの発行は、戸建て新築であればトップランナー基準または次世代省エネ基準(木造のみ)をクリア、リフォームであれば床・外壁・天井・窓の各部位を次世代省エネ基準相当に改修することが条件。ポイントはあらかじめ登録された環境配慮型製品や商品券、プリペイドカードなどに交換できるほか、即時交換として追加的に行う工事の代金に充てることも可能だ。
 即時交換可能な例としては、外構・造園工事やキッチン、浴室のグレードアップ・改修などが挙げられるが、付加断熱工事も対象になるかどうかで混乱が起こっている。国交省が設置した相談窓口では対象になると答えたケースもあれば、対象にならないと答えたケースもある、ことなどが原因のようだ。

最初から付加断熱で計画していたら対象外

 即時交換はポイントの発行対象となった工事費用に充てることができないため、最初から付加断熱を前提に条件をクリアする仕様であれば、即時交換はできない。
 また、付加断熱なしで条件をクリアする場合、得られるポイントを即時交換で付加断熱工事の代金に充てることができるのかどうかとなると、 国交省住宅局住宅生産課では「ポイントの即時交換は追加的に行う工事を対象としているので、例え付加断熱なしで条件をクリアしていたとしても、最初から付加断熱を行う計画だったのであれば対象にはならない。リフォームでは工事の途中で断熱性能をグレードアップしたくなって、付加断熱を追加工事として発注するのであれば即時交換の対象となる」としている。
 つまり最初から付加断熱を計画していたのなら対象外、後から追加工事として施工することになったのであれば対象になる。
 そうなると、新築で後から付加断熱を行うのは、現実的な話ではないし、追加的工事として認められるかどうかもわからない。リフォームではまったく考えられないとは言えないが、国交省住宅生産課では「即時交換で本当に後から追加した工事なのかどうかまでは細かく調べないが、実際にそんなケースが本当にあるのか」と言う。
 このように付加断熱工事に対する即時交換の可否は、非常にわかりづらく、不透明な部分もある。慎重な対応が必要といえるだろう。

テラス窓でも混乱

 付加断熱工事の即時交換以外にも混乱が起こっていたのが、テラス窓・掃き出し窓の扱い。
 「引き戸はエコポイント対象外だが、人が出入りできるテラス窓や掃き出し窓はどうなるのかについて相談窓口に問い合わせたところ、引き戸とみなされるので対象にはならないとの回答だった。しかし、窓メーカーはエコポイント対象商品(予定)としてテラス窓や掃き出し窓の写真をホームページやパンフレットに載せている。どうなっているのか」とは、ある住宅会社の声。
 この件についても国交省住宅生産課に取材したところ、「エコポイント対象商品として認められたものであれば、テラス窓や掃き出し窓も対象になる」との回答だった。
 本紙でも相談窓口に何度か質問しているが、出るのはいつも若い女性。どこかのコールセンターの契約・派遣社員だと思うが、とても住宅関係の専門知識を持って対応しているようには感じられない。
 無用な混乱を生まないために、窓口の教育などの改善を求めたい。


2010年03月05日号から

住宅コスト1/10に この夏にも実証住宅

赤平市・植松電機

 宇宙開発の技術を使って住まいのコストを10分の1にするプロジェクトを北空知・赤平市の(株)植松電機が進めている。同社のARCプロジェクトの一環だ。基礎研究は終わり、次の段階として夏に実験住宅を建設、実用化に向けて大きな一歩を踏み出す。

宇宙技術を家づくりへ

20100305_01_01.jpg 同社は大学の研究者と共に宇宙開発に乗り出し、これまでの常識を覆す低予算でCAMUI(カムイ)ロケットの打ち上げに成功し、全国から注目を浴びている。今進めているARCプロジェクトは家だけでなく、街作りや人材づくりも同時並行で行って北海道や日本を良くしていこうという壮大な構想だ。プロジェクトの中心的存在である同社の植松努専務に取材した。
 住宅については分野別の基礎研究がほぼ終わり、コストを10分の1にするメドがほぼついたという。今年夏に基礎研究内容をすべて盛り込んだ実験住宅の1モジュールを建設し、事務所として実際に使いながら検証する。来年中に実験住宅を完成させ、事業化のメドをつけたい考えだ。
 「当社で住宅を施工する、販売するというところまで考えていない」と言い、事業化にあたっては住宅業界との共同開発を希望している。「北海道の多分野の企業が協力し、家電の領域まで踏み込んで開発することで、住宅に圧倒的な優位性が出てくる。新たな輸出産業にもなる」と植松氏は話している。
(写真:「住まいのコストを10分の1にするメドがほぼついた」と語る植松努専務)

50cmの断熱層。窓は新開発の真空

20100305_01_02.jpg 10分の1にするカギは、運べる大きさに分割したユニット化。製造・建築コストを低減し、維持管理が容易で建て直さなくても良い構造にすること。もう1点は、熱の最大有効利用。排熱回収などの手法を徹底することで住宅から排出されるエネルギーをゼロに近づけることにある。
 ユニット化に関しては、構造躯体と内装を分離して工場で製造し、現地でビス止めして組み立てる。ヒントになったのは大型船のブロック建造法。内装を先に仕上げ、船体は小さなブロックに分けて後で組み立てている。
 躯体と内装空間の間に50~60cmの空気層を設け、ライフラインの収納場所として活用、配管や配線の維持管理がしやすい構造にする。しかも分厚い空気層が断熱材として機能する。開口部は新開発の真空断熱ガラスで断熱性能をアップする。年に1回居住者が自分で真空度をメンテナンスする。ポンプなどで空気を抜けば真空のメンテナンスができる。これまでの宇宙開発研究から出てきたアイディアだ。
 空気層断熱は昨年夏建設した研修室など3棟の鉄骨造建物にさっそく採用した。H形鋼の柱の間にできる空間は断熱材を入れていないが、取材に訪れた2月下旬、深夜電力で土間床に蓄熱する電気床暖房は最弱にセットされていたにもかかわらず、室温は17℃以上あった。現在は、室内の温度変化などデータを採取している。
(写真:ARCプロジェクトで研修スペースとして使用している建物は実際に空気層断熱を採用し、開口部が出窓のように見えている)

20100305_01_03.jpg その次のステップとして考えているのが家電と住宅の融合だ。たとえば家電で一番電力を消費しているのは冷蔵庫だ。日本では住宅スペースが狭く、断熱厚を薄くすることが求められるからだ。そこで、分厚い空気層で包んだ冷蔵庫を造作し、建物と一体化する。故障する可能性のある冷却ユニットは、交換容易な構造とする。
さらに冷蔵庫の排熱で衣服を乾燥させたり、エアコンや換気の排熱を給湯に活用するなど、家から排出される熱をできるだけ回収できる仕組みを考えている。これは人工衛星で省エネルギー化のために実践している技術で、それを家庭用に応用しようとしている。
 最後のステップとして、家庭で使う電気の直流化を挙げた。LED電球や液晶テレビも直流で動くし、最近の換気システムは省電力化のために直流モーターを採用している。一方で家庭用電源は交流のためこれらの機器を使うために交流から直流に変換する装置が機器内に必要で、それがエネルギーロスとなっている。また、太陽光パネルが発電するのは直流で、それをわざわざ交流に変換している。直流化によって変換の無駄がなくなり、トータルの消費電力が3割近く減り、エネルギー消費の少ないコンパクトな家が完成する。
(写真:同社敷地内には世界に数ヵ所しかない無重力実験装置などが並ぶ)

低コスト化で人材呼び込め

「決して奇跡的な新技術を使っているわけではないが、既にある技術を組み合わせて住宅コスト、食のコスト、学ぶコストが大幅に下がれば従業員の生活コストを引き下げることができる。また、これらによって産業が活性化すれば、普通の注文住宅の着工も増える。その結果、生活が豊かになる」と植松氏は言う。
 同社はもともと建築物の解体などの際に金属を選り分ける特殊マグネットの開発・製造を行っており、市場で圧倒的なシェアを持つ。他社にはできない高付加価値な仕事をベースに、もっと大きなことをやってのけようとしている。
 「田舎は土地が余っている。だから省スペース化の必要はない。田舎こそ、住のコストを引き下げて人材を都市から呼び込むべきだ」植松氏の挑戦はこれから正念場だ。


2010年03月05日号から

高水準の省エネ推進 パッシブハウス・ジャパン設立

20100305_04_01.jpg ドイツ発祥の省エネ住宅・パッシブハウスの普及を日本・アジアで推進するパッシブハウス・ジャパン(森みわ代表理事、キーアーキテクツ代表)がこのほど設立され、本格的に活動を開始した。
 パッシブハウスは1991年にドイツのパッシブハウス研究所で開発された省エネ住宅。年間の一次エネルギー消費量基準は120kWh/m2と、ドイツの省エネ義務基準より大幅な省エネを実現しながらも、快適性は決して犠牲にしないことから、ヨーロッパはもとより、アメリカや日本、韓国などでも注目され、昨年には神奈川県鎌倉市で日本初のパッシブハウスが建設された。
 パッシブハウス・ジャパンでは、ドイツ・パッシブハウス研究所の日本における正式な窓口として世界各国の研究機関と連携し、省エネ住宅に関する最先端の技術情報の発信や、建物の熱損失などを計算するパッシブハウス用のソフト・PHPPの改良、日本の気候風土に適した省エネ基準の確立などを計画。
 具体的には、パッシブハウスの認定、パッシブハウス入門セミナーやPHPPを用いた省エネ設計セミナー、設計コンサルタント、省エネ建築診断士資格試験、EUの第3者機関による住設建材の性能値取得の手伝いなど建材設備機器メーカーのサポートを行う。
 現在、工務店や設計事務所、建材設備機器メーカーなどを対象とした賛助会員も募集中で、会員になると様々な特典が受けられる。

日本向け仕様を追求

 森代表理事は「建物からの"熱損失"を厳しく制限するパッシブハウス基準は、"究極の高断熱高気密住宅"と位置づけられてしまいがち。それは決して間違いではありませんが、ひたすら省エネ性能のみを追求した概念ではなく、本来は省エネ住宅の居住性と経済性を同時に成立させることがパッシブハウス基準の目的。EUではパッシブハウスの性能値とその評価方法が、建築のカーボンニュートラル化のための重要な一歩として各国で採用される見通しです。パッシブハウス生みの親であるファイスト博士もパッシブハウスの日本への適用に大変意欲的であり、私達パッシブハウス・ジャパンの掲げる、日本の風土と文化に適したパッシブハウス基準の検証に心から賛同してくださいました」と話している。
 入会や問い合わせはホームページを参照のこと。


2010年02月25日号から

性能リフォームで住宅改善

3月26日に講演・入会説明会

 今年から本格的に活動を開始した北海道住宅高性能リフォーム普及支援協議会(繪内正道会長・北海道大学名誉教授)は3月26日、札幌市内で設立記念講演会・入会説明会を開催する。
 同会は温室効果ガス排出削減のため、地方自治体や事業者らが構成員となり、連携して日常生活にかかわる具体的対策を実践する地域協議会の1つで、環境省登録団体。
 ある程度断熱化の進んだ新築に比べ、ほとんどが建築当時から手つかずの低い断熱性能のまま使われている既存住宅を、快適で省エネな家に改修することで温室効果ガスの削減を実践していく団体として、札幌圏の研究者や技術者、リフォーム会社などによって設立。
 消費者への啓もうと事業者に対する技術支援を活動テーマをかかげ、今回の講演会は事業者に対する技術習得への呼びかけとして実施する。
 中古住宅で断熱性能が良い住宅はほとんどないが、外観や内装は一新されているケースが多く、中古で購入する消費者は「新築と変わらない」と思い込んでいる。
 また、20年、30年と住み続けてきた住宅の寒さはあい変わらずで、シニア世代・子育て世代にとっては暖かい家が望みだ。
 一方、業界側は、断熱・気密技術が確立し、新築はかなり普及しているものの、改修はまだ情報も不十分で、とくに水回りや外壁リフォームを得意とする会社は、こういった新しい分野へ進出したくてもノウハウがないケースもある。
 同会は、リフォームの中でも断熱改修の技術に特化し、リフォーム会社に向けては住んだままのローコスト改修からフルリフォームまで、診断、改修手法、現場施工などトータルで支援する。
 またエンドユーザーに向けては、地域ごとのミニセミナーを主催して、居住環境が変わる住宅改修について情報を発信する。

 今回の講演会では、同会アドバイザーで道立北方建築総合研究所居住科学部長の福島明氏が「北海道の暮らしをより快適に・省エネに」と題して講演するほか、同会幹事のはるす工房高杉昇氏が「性能リフォーム事業化の実例」と題して、技術、商品化、施工改善などについて、同氏が支援した企業の取り組みのポイントを紹介する。
 日時は、3月26日13時30分~15時30分まで。会場はかでる2・7、710会議室(札幌市中央区北2西7丁目)。無料。
 問い合わせ・申し込みは事務局の北海道住宅新聞社まで(tel.011・736・9811)。
同協議会ホームページに申込書。(http://www.hsc.or.jp/rifoumu/)


2010年02月15日号から

エコポイント商戦スタート

住宅版エコポイント商戦の火ぶたが切って落とされた。すでに新聞の広告やチラシで積極的な対応をうたう住宅会社も出始め、ユーザーの関心も高まっている。ここでは全国大手や道内住宅会社、リフォーム会社のエコポイント対応状況をまとめた。

新築系

 新築系で積極的な動きを見せている1社が土屋ホーム。エコポイント開始を機に、国の30万ポイントを30ポイントとみなし、さらに独自ポイントを70ポイント加算することで"100点満点のエコ住宅づくり"という趣旨のキャンペーンを今月から3月末までの期間限定で実施する。「お客様の関心がある時期に、受注へ向けたきっかけづくりを行う」とのことで、独自ポイントについてはあらかじめ用意する家電製品や住設機器、照明・カーテンなど16品目の中から交換してもらう。
 同様に住まいのクワザワも3月末まで限定30棟に独自ポイントを発行。工事内容によって国の30万ポイントを含め最大190万ポイントをユーザーに還元し、値引きや提携している電器店・家具店での買い物に利用できるようにしている。

30万円では決まらないとの声も

 特にキャンペーンなどは行っていないが、エコポイント標準対応を打ち出しているのが、ミサワホーム北海道、ホーム企画センター、コスモ建設、イワクラホームなど。
 このうちミサワホーム北海道では「現段階で対応していないと申請が間に合わない恐れもあることから、ほぼ全商品標準で対応できる状態としている。ただ、新築で30万円は受注の決め手にはならない」。コスモ建設は「特にキャンペーンなどはやっていないが、お客様には"当社の住宅はエコポイントに標準仕様で対応しています"と話している。ただし、エコポイントの証明書取得に必要な事務経費はお客さま負担で、事務局への申請はお客様ご自身でやって頂く予定」と、両社とも標準で対応するのは当然としても、30万円で受注がどんどん決まるとは見ていないようだ。
 また、ホーム企画センターは「12月8日以降に着工した住宅は注文も建売も全棟標準対応で、これから広告宣伝などでPRしていく。どちらかというと新築よりリフォームのほうがメリットが大きく、既存外装材の上から直接断熱材を施工する当社の改修方法なら、バリアフリー改修を含め300万円のリフォームで30万ポイントもらうことも可能だと思う」と、新築よりリフォームでの受注効果に期待を寄せている。

鉄骨系はハードル高い

 一方、鉄骨系が主力のハウスメーカーは、トップランナー基準への適合がハードルとなっていることも。
 例えば北海道セキスイハイムでは、木質系商品こそ標準対応だが、主力の鉄骨系商品は個別対応。「木質系商品は次世代省エネ基準に適合すればいいので対応のハードルは低いが、鉄骨系商品はトップランナー基準への適合が条件となるので標準対応は厳しく、暖房給湯設備などを、どのような仕様にすればトップランナー基準をクリアするのかを全社員に説明し、お客様の要望を踏まえたうえで個々に対応している」という。

リフォーム系

 リフォーム系では、全国大手の住友不動産がフルリフォームの"新築そっくりさん"で全棟標準対応を今後新聞・テレビでの広告宣伝を展開する予定。「当社の"新築そっくりさん"は、特別な対応をする必要はなく、標準でエコポイントがついてくる。お客様が申請にかかる手数料を負担することもない。断熱改修はもちろん、バリアフリー改修も標準で行っているので、大体の物件は30万ポイント目一杯いくのではないか。お客様からの問い合わせもかなり増えてきているので、広告戦略としてエコポイント標準対応をこれから打ち出していく」と、エコポイント標準対応を営業戦略の柱とする考え。
 一方、道内リフォーム大手の土屋ホームトピアは大きな動きを見せていない。「1月のイベントからエコポイントについて『こんな制度が始まります』という案内はしている。ただ、キャンペーンなどは特に行っていない。お客様は多少関心があるようだが、エコポイントがらみの受注はまだない」とのこと。

中小の対応はこれから

 このほか、道内の中小リフォーム業者はどうかというと、まだ準備段階もしくは様子見のところが多いようだ。
 札幌のほか旭川と帯広で営業展開しているトーリツは「エコポイント関係での顧客の反応は特になく、窓交換など一部詳細が不明なこともあり、キャンペーンを打ち出すにはまだ早いと判断している。メーカー主催の勉強会があるのでそれから対応を決めたい」。
 外壁リフォームを専門とする札幌の藤井建業は「エコポイントを営業に生かしたいと思っているが、詳細がわからないのでイベントやキャンペーンはやっていない。来週建材メーカー主催の勉強会があるのでそれから方針を決める予定」と話している。


20100215_01_01.jpg※写真はベスト電器の今月6日新聞折り込みチラシ。住宅版エコポイントで素早い動きを見せたのは、意外にも家電量販店だった。首都圏では内窓を展示するなど窓メーカーと提携して来店者にPRする店舗がある。
一方、道内では宣伝こそしているものの店舗には何も展示がないなど、対応は首都圏に比べ遅れている


2010年02月15日号から

エコポイントの手間

新築の証明書申請は大変か?

確認申請の書類程度

 住宅版エコポイントのスタートにともない、多くの住宅性能評価機関でエコポイント対象の新築住宅であることを審査・証明する「エコポイント対象住宅証明書」発行業務が始まった。昨年、長期優良住宅の技術的審査が大混乱となっただけに、今回も証明書の申請に不安を抱く住宅会社は少なくない。北海道建築指導センターと札幌工業検査に聞いたところ、申請にかかる手間は確認申請と同等もしくは確認申請よりちょっとかかる程度という。
 *   *
 エコポイントは新築でもリフォームでも戸建て・共同建てを問わないが、新築戸建てでエコポイントをもらうためには、次世代省エネ基準(平成11年基準)またはトップランナー基準(住宅事業主基準)に適合することが条件。ただし、鉄骨造やRC造など木造以外の構造はトップランナー基準に適合した住宅のみ対象となる。
 エコポイントを申請する時には、これらの基準に適合することを証明する書類が必要で、その一つとして国が新たに用意したのがエコポイント対象住宅証明書。
 「エコポイント対象住宅証明書は省エネ性能だけ審査するので、申請に必要な手間は確認申請並み。長期優良住宅の技術的審査と比べたら4分の1以下」(道建築指導センター)。証明書発行までの期間も次世代省エネ基準で申請するなら1週間程度で、料金は評価機関によって異なるが次世代省エネ基準での申請なら一番安いところで2万円となっている。
 エコポイント対象住宅証明書を申請するタイミングについては、特に決まっていない。確認を行う前でも、着工した後でも申請可能だ。
 ただ、「断熱施工が終わった後に所定の性能を満たさないことがわかったら、直すのは大変。着工前には証明書を取っておいたほうがいい」(札幌工業検査)という。
 建築確認とエコポイント対象住宅証明書は申請書類がほぼ同じなので、申請も一緒に行う方法もある。道建築指導センターや札幌工業検査などでは、建築確認とエコポイント対象住宅証明書を一緒に申請すると、建築確認料金が割引になる。

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申請書類は基本的な設計図書

 申請に必要な書類は基本的な設計図書が中心だが、各性能評価機関によって多少異なる。ただ、特別手間がかかる書類はない。例えば道建築指導センターで木造戸建てを次世代省エネ基準で申請するなら1.依頼書2.住宅の所在地など概要等を記載する別紙3.配置図4.平面図5.立面図6.断面図または矩計図7.基礎伏図8.住宅の床面積等計算図9.仕様書10.Q値等計算書―などを2部ずつ用意する。
 仕様規定で次世代省エネ基準に適合するなら、断面図または矩計図で断熱仕様がわかればQ値等計算書は不要だし、基礎断熱部分がまったくなければ基礎伏図も不要。
 なお、トップランナー基準で申請するなら、基準達成率算定シートや設備機器等の性能・仕様がわかるカタログ・資料なども用意する。
 書類作成上の注意点としては、「仕様規定で次世代省エネ基準をクリアする場合、断面図または矩計図に断熱材の種類や厚さを正確に記入してほしい」(道建築指導センター)という。例えば"グラスウール100mm"は"高性能グラスウール16K100mm"、"FP板50mm"は"FP板B3種50mm"など。
 このほかにも「基礎回りのQ値を計算する時は、土の熱伝導率を0・7Wではなく1・0W以上として計算することに注意してほしい(2月5日付8面記事参照)。また、トップランナー基準で申請する時は設備機器の資料の添付を忘れずに」(札幌工業検査)。

20100215_02_02.jpg

リフォームの申請書類は?
断熱材の納品書など

 リフォームでエコポイントをもらうには、申請書類として外壁等の断熱改修では断熱材の種類・使用量がわかる納品書や工事完了書が必要。窓を改修・交換した場合は交換・追加した窓の性能証明書が必要になる。

続きは本紙試読をお申し込みください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2010年02月05日号から

道内主要都市のリフォーム支援制度

20100205_02_01.jpg 新築戸建て市場の縮小と既存ストックの充足が進む中、これから住宅会社が生き残っていくためにはリフォームの比重を高めることが一つのポイント。特に環境問題や高齢化社会の進行、安全・安心な住環境の確保などは住宅業界はもちろん国にとっても重要な課題であり、省エネ・耐震改修やバリアフリー改修は、国や地方自治体による補助や無金利融資といった支援制度が充実してきている。
 ここでは、道内各主要都市のリフォーム関連の支援制度を一覧にまとめるとともに、主要都市の来年度の動きについても紹介する。
一覧表については試読をご請求ください。

道央 札幌が断熱改修に補助

 札幌市では、耐震改修・バリアフリー改修に無利子融資を行う「住宅資金融資」などに加え、来年度は新たに「エコ・リフォーム補助」と「耐震改修補助」を創設する計画だ。
 「エコ・リフォーム補助」については、昨年11月下旬に制定された『札幌市環境負荷の低減等のための住宅リフォームの促進に関する条例』に基づいて実施する。
 具体的な内容は現在検討中だが、一定の条件を満たす断熱改修・バリアフリー改修に補助を行う予定。設備機器による省エネ化については対象外となる。施工は市内業者に限定し、国の地域交付金を利用する関係上、国の住宅版エコポイントとの併用はできない。
 また、この条例に基づき、市が実施するリフォーム関連支援制度の窓口をできる限り1本化。各支援制度の申し込みや資料の配付・閲覧などが1ヵ所でできるよう利便性の向上を図る。
 「耐震改修補助」は耐震診断を受け、一定の条件を満たす木造住宅に対し、工事費の23%、最大50万円を補助する。
 このほか、太陽光発電やエコキュートなどの省エネ設備機器の導入に補助・無利子融資を行う「エネルギーecoプロジェクト」は市民向けの補助枠を前年度比3500万円増で予算要求を行っている。
 札幌以外では、千歳市が新たに「環境省の地域グリーン・ニューディール活用の事業」を計画。これは新築も含め太陽光発電の設置に最大10万円、省エネ給湯設備の設置に最大4万円の補助を行うもの。小樽市は「バリアフリー等住宅改造資金融資」の対象工事拡大を検討中。江別市と恵庭市は今のところリフォーム関連の支援を行う計画はない。

道南 便利な函館の融資

 函館・室蘭・苫小牧の各市は、今年度実施した支援制度を継続するが、新たな制度を来年度に創設する予定はない。
 函館市が高齢者・障がい者が行うバリアフリー改修などに低利融資を実施する「いきいき住まい改良資金融資」は、バリアフリー化を行っていれば、外壁・屋根の塗り替えや断熱改修、耐震改修などの費用も融資額の中に含めることが可能。室蘭市の「住まい・らくらくリフォーム資金融資」は、バリアフリー改修や雪対策工事などに加え、建物・宅地の倒壊・崩落等を防止する防災工事も対象としている。
 また苫小牧の「住宅耐震・リフォーム支援事業」は一般的な増改築や修繕・模様替えから耐震改修、バリアフリー改修などまで、対象となる工事内容を幅広く設定しているのが特徴だ。

道東・道北 旭川は新省エネレベルでもOK

 旭川・帯広・釧路・北見では、来年度新たに創設される支援制度はなく、今年度の支援事業が継続となる見通し。
 各市とも耐震改修(耐震診断)、バリアフリー改修、太陽光発電設置補助が中心となっているが、旭川の「やさしさ住宅補助」はバリアフリー改修に加え、新省エネ基準(平成4年基準)に適合する断熱改修や融雪設備の設置も対象。
 帯広市では木質ペレットストーブのほか、燃料の木質ペレットにも補助を行っているのが特徴となっており、ペレットストーブ導入初年度に一律4万2000円の補助が受けられる。


2010年01月15日号から

CO2削減とこれからの家づくり

20100115_01_01.jpg 昨年9月22日、鳩山首相は国連で2020年までにCO2などの温室効果ガスを1990年比で25%削減することを目指すと発表。様々な政策を総動員して実現する考えを示した。国がCO2排出量削減へ向けて大きく動き出す中、これからの家づくりにはどういう視点・考え方が必要になるのだろうか。道立北方住宅総合研究所居住科学部主任研究員・鈴木大隆氏に話をうかがいながら、これからの家づくりの方向性を探ってみた。


◆CO2排出量の現状

20100115_01_03.jpg 化石燃料の燃焼などエネルギーを作る時に排出されるCO2を示す"エネルギー起源"で日本のCO2排出量を見てみると、2008年度は速報値で11億3800万t。ここ10年間では最も少なく、前年度比では6・7%減で2年ぶりの減少、京都議定書の基準年である1990年比では7・4%増となっている。
 7%近い減少に転じたことで、思っているほど事態は深刻ではないと思う見方もあるかもしれないが、暖冷房や給湯など住宅が直接関係する家庭部門の状況を見ると決して楽観できない。
 家庭部門から排出されるCO2は全体の15%で、前年度比は4・6%のマイナスだが、1990年比では約35%もの増加と、依然大幅に増えていることに変わりはなく、鳩山首相の言葉通りに推移させるには、すでに増加している約35%分に加え、さらに25%ものCO2を減らさなければならない。
 また、環境省によると2008年度の家庭部門の減少は「暖冬の影響」としており、省エネが進んだ結果ではない。平年並みの気象条件であれば再び増加に転じることも考えられる。

道内暖房は4割も減ったが・・・

20100115_01_05.jpg 一方、道内に目を向けてみると、家庭でのエネルギー消費量は昔と大きく変わってはいない。
 道立北方建築総合研究所(北総研)がまとめた北海道の戸建住宅の年代別・用途別運用エネルギーを見ると、一次エネルギー換算で1970年代は年間120GJを超えていたが、1980年代以降は概ね110~120GJの間で推移し、暖房エネルギー消費量は4割程度も減っている。これは北海道の産学官が、高断熱・高気密を始めとする住宅の省エネに取り組んできた成果だ。
 しかし、暖房以外のエネルギー消費量、特に照明・家電などで使用されるエネルギーが急増。さらにエアコンによる冷房やロードヒーティングなどの融雪設備を設置する住宅も増加。結果として住宅全体では省エネが進んでいないということになる。
 住宅のエネルギー消費抑制は、世代分化による世帯数の増加や延床面積の増加などの要因もあり、必ずしも技術だけで解決できる問題ではないが、CO2排出量25%削減を考える時、北海道も含め住宅にこれまで以上の省エネ化が求められてくるのは確かなことだ。

◆省エネ政策の方向

20100115_01_04.jpg それでは今後どのような省エネ政策が出てくると考えられるのか。
 先に紹介したように家庭部門のCO2排出量はすでに1990年比約35%増。全体の7・4%増を大きく上回っており、住宅では25%を上回る削減努力が必要という声が出てくるかもしれない。
 この点について、住宅省エネ基準の改定などに携わっている北総研・鈴木氏は「住宅全体のエネルギー消費量増加は、世帯数や延床面積の増加など、今の技術だけでは抑えられない要因がある。住宅でのエネルギー消費が増え続けているからといって、産業や運輸など他部門より高い削減率を課すべきと言うのは簡単だが、延床面積の増加など技術以外の要因が絡んでいるだけに、5~10年後に本当に25%を超える削減率を達成できるのかというと、かなり難しいのではないか。住宅のエネルギー消費量増加の問題は非常に複雑なだけに、慎重に考えないといけない」と話す。
 鈴木氏は家庭部門も含めて全部門一律25%のCO2削減となった時に「財源や制度設計も含めて9割以上は既存の住宅ストックに力を向けないといけない」と、既存ストックの省エネ化が重要との見方を示している。
 例えばドイツでは住宅を新築・売買・賃貸する時、オーナーは年間のエネルギー消費量が一目でわかる「エネルギーパス」の提示を今年7月から義務化した。日本でも既存ストック対策として最初に導入するとしたらそのような規制、もしくは省エネ法を強化して大規模修繕に一定の断熱改修を義務付けることが考えられるという。

エコポイントで誘導

 ただ、問題はユーザーの反応。これは新築でもリフォーム・改修でも一緒だが、現実的にユーザーが省エネにどこまでお金を出してくれるかは非常に難しい話。そこでエコポイントなどを利用することにより、それぞれのユーザーの家の事情がある中でわずかでもいいから確かな省エネを誘導することが必要になってくる。
 「目標とする省エネレベルに到達するため、階段をあと2、3段登らなければいけないとした場合、一気に2、3段駆け上がろうという政策を打ち出しても、現状では住宅会社にもユーザーにも受け入れられないだろう。まずは今年1段登ってみないことには次の1段が見えてこない。その最初の1段が住宅版エコポイントであり、住宅会社やユーザーにどう受け止められるかを見たうえで、次の政策も決まってくるのでは」と鈴木氏は語る。

◆家づくりの方向

20100115_01_02.jpg CO2排出量25%削減を前提とすると、これからの住宅は、どの程度の性能レベルが目標となるのだろうか。
 鈴木氏は「断熱・気密を進めなければいけないことは確か。そのために住宅版エコポイントも躯体断熱に的を絞ったものになっている。まず先に断熱・遮熱など建築的な省エネ対応を十分行ったうえで、省エネ設備機器の導入を考えるべき」と言い、具体的な例の一つとしてライフステージの変化に対応して必要な生活空間だけをしっかり断熱する方法もありではないかとしている。
 簡単に説明すると、それは建物本体の熱損失係数(Q値)として1・2~1・3Wをベースとし、1階部分の断熱については天井ふところに防音対策を兼ねて断熱材を充てんしておくほか、外壁部分には室内側から20~30㎜程度の断熱付加を行っておくか、子供が独立する時に行う。
 住宅の暖冷房負荷の7割は1階部分が占めているので、最初に1階の断熱性を高めておく。将来的に子供が独立して家を出て行くと、実質的に夫婦2人で1階に暮らすことになるが、その時には1階の床・壁・天井がしっかり断熱されているため、暖房負荷の3割を占める2階を暖房する必要もなくなり、暖房消費エネルギーは3割減となるという考えだ。
 同じく断熱改修においても部分改修は有力な選択肢の一つになる。
 ただ、このような省エネ手法を評価する方法が現状はない。キチンと比較・検証できるモノサシを作ることが必要になってくる。
 太陽光発電やエコキュートなどの設備導入は確かに有効な省エネ手法になるが、機械に頼った省エネはイニシャルコストや交換・更新時のユーザーの負担も大きいほか、現状では誰もが導入できるものではない。逆に熱損失を抑えるため断熱強化にかかるコストは、それらの設備機器ほどかからないし、しっかり施工すればその効果は100年以上期待できる。
 まずは断熱強化や日射遮へい、通風への配慮など住宅本体での省エネ対応をしっかり行い、そのうえで自然エネ利用・高効率設備を導入するという考え方をベースとした家づくりが、これから目指すべき方向となりそうだ。


2010年01月15日号から

北方型や基準法が改定へ

 昨年は長期優良住宅や瑕疵担保履行確保法など、法制度関連の創設・改正が例年になく多い1年だった。今年もすでに発表された住宅版エコポイントのほかに、法制度関連で様々な動きが出てきそうだ。ここではその中から代表的なものをピックアップした。

◆北方型住宅基準・改正

 北海道では北方型住宅基準等の改定を行い、今年4月から運用を開始する予定だ。
 北方型住宅は昭和63年に誕生し、平成17年には基準改正によって性能を次世代省エネ基準レベルに引き上げるとともに、設計・施工記録を作成・保管する北方型住宅サポートシステムを開発。
ここ2年はさらに断熱性・気密性を引き上げた北方型住宅ECOが国の長期優良住宅先導的モデル事業に採択されたこともあり、普及が進んでいる。
 改定内容は、現在北方型住宅会議で検討されている最中で、今月下旬に行われる第2回目の会議でほぼ決まる。長期優良住宅との整合性を図ることや、住宅性能を表示する「ラベリング制度」の創設などが検討されており、すでにサポートシステムについては昨年12月に長期優良住宅の要件の一つである住宅履歴情報の整備に対応するため、登録された住宅に共通IDの発行を開始している。

◆省エネ法・施行

 平成20年5月に改正された省エネ法によって、今年4月1日以降に建設される300㎡以上2000㎡未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出が義務付けられる。これまでは床面積2000㎡以上の住宅・建築物のみ義務づけられていたが、300㎡となると戸建てや木造アパートなども対象となる場合がある。
 省エネ措置は次世代省エネ基準などを目安に、所管行政庁が省エネ性をチェック。届け出にあたっては、1.年間暖冷房負荷による評価 2.熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数による性能規定での評価 3.各部位の断熱材の種類・厚さが省エネ基準に適合しているかどうかの仕様規定―以上のいずれかによって省エネ性を確認する。
 省エネ措置が著しく不十分な場合の罰則はないが、行政庁から勧告が行われることがある。

◆リフォーム瑕疵(かし)保険・開始

 国土交通省では、早ければ4月にもリフォームの瑕疵担保保険・事業者登録制度を開始する。
 詳細は3月末までに明らかになる見込みだが、同省諮問機関が公表した具体案によると、1.加入は任意 2.利用にあたっては保険法人に業者登録を行う 3.工事中に現場検査を行い、合格した場合のみ保険証券を発行 4.オプションで保険法人による建物の現状調査と、工事費用が適正かどうかという簡易判断の実施―などが盛り込まれている。
 保険のタイプは、戸建住宅では耐震改修を対象とした耐震改修工事タイプと、外装や水回りの改修などを対象とした個別改修タイプを予定。改修工事を行った部分に瑕疵が発生した場合、リフォーム業者に補修工事費用の8割が支払われる。保証期間は5年間で、保険料は検査料含め10~20万円程度になりそうだ。

◆確認4号物件特例・廃止

 国では4号物件この特例廃止を平成20年12月までに行う考えだったが、同19年7月の改正建築基準法施行による混乱を受け、一定の周知期間を置いたうえで平成21年度以降に実施するとした。
 平成21年度以降、いつ実施するのかについては、まだ国からの正式な発表はない。関連団体などからの見直し要望があることに加え、昨年末の緊急経済対策の中で建築確認の手続き等の改善が決まったことから、実施時期はもちろん、実施するのかどうかでさえ不透明な状態だ。

◆基準法、省エネ基準・見直し

 民主党が昨年夏に発表したマニフェストには「従来の持家政策を転換し、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する」と書かれており、「建築基準法など関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する」と明記している。
 また、昨年末に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」では、建築基準法で建築確認の手続き等を改善し、迅速な審査と申請図書の簡素化を目指すことと、省エネ判断基準の見直しが盛り込まれた。
 これらのことを考えると今年から来年にかけ建築基準法と次世代省エネ基準の改正が行われる可能性がある。
 次世代省エネ基準については、一部でうわさされている義務化はなさそう。エコポイントによって事実上の義務化を誘導し、その上で来年以降に新たな省エネ基準の登場が予想される。

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2010年01月05日号から

動き出すエコポイント

今年の住宅政策の目玉として緊急経済対策に盛り込まれた住宅版エコポイント制度の詳細が明らかになってきた。エコポイントの発行は、新築戸建てであればトップランナー基準(住宅事業建築主基準)、もしくは木造であれば次世代省エネ基準をクリア、リフォームであれば窓または外壁・屋根・天井・床いずれかの次世代省エネ基準対応断熱改修が対象となり、省エネ設備機器は対象外。断熱構造化に的を絞った制度として実施される。

高断熱構造の新築・リフォームが対象

 エコポイントは、昨年度に地上デジタル放送対応テレビとエアコン、冷蔵庫を対象とした制度として創設。性能やサイズに応じてポイントが与えられ、1点1円相当として商品券やプリペイドカード、省エネ性の高い商品などと交換可能だ。
 住宅版エコポイントは、省エネ性の高い新築住宅とリフォームにもこのポイントを与えるもので、家電版エコポイント同様に商品券などと交換できるが、家電版が最高3万9000ポイント(買替え・リサイクル含む)なのに対し、住宅版は新築で30万ポイント相当(予定)とケタが違う。そのため政府は家電版よりも交換対象を多様化する方向で検討中。
 ポイント申請期限は今後発表されるが、あらかじめ発行数が決まっているため、申請期限前であっても発行ポイントが予定した数に達した場合は、その時点で発行を終了する。
 ポイントの申請は今後都道府県ごとに設置される事務局で行うことになり、必要書類を窓口に提出または郵送する。

新築の場合
木造戸建ては次世代基準

 エコポイントをもらえる戸建住宅は、新築であれば昨年12月8日から、リフォームであれば今年1月1日から今年12月31日までに着工し、今年度補正予算成立日以降に完成・引き渡しされた住宅が対象。
 新築のポイントは30万相当となる予定で、次のいずれかの条件に適合することが必要だ。
 ①トップランナー基準に適合したすべての住宅(工法は問わない)
 ②次世代省エネ基準に適合した木造住宅
 ポイントの申請にあたっては、これらの基準に適合することを証明する書類を添付しなければならない。②の木造住宅については、次のいずれかの書類が必要。
 ①住宅性能表示制度で省エネルギー対策等級4の設計または建設住宅性能評価書
 ②長期優良住宅の認定通知書または適合証
 ③第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(断熱性能基準)
 ④フラット35S(省エネルギー性基準に該当)の適合証明書
 ⑤性能評価機関によるエコポイント対象住宅証明書
 木造以外の住宅については、第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(総合省エネ基準)またはフラット35S(20年金利引下げタイプ・省エネルギー性基準に該当)のいずれかとなる。
 これらの書類以外にも、工事施工者が社名・住所や工事期間・内容を記載し発行した工事証明書と領収書または契約書の写し、確認済証の写し、検査済証の写しまたは竣工写真などを提出する。

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リフォームの場合
外壁や窓など次世代レベルに

 一方、リフォームについては、1ヵ所の改修で1万5000ポイント相当を予定しており、例えば窓3ヵ所の改修で4万5000ポイントとなる。ただ、外壁・床・天井の断熱改修については、どのようにポイントを計算するのか現時点(12月25日現在)では未定だ。
 ポイントを申請するためには、次のいずれかの条件に適合することが必要になる。
 ①窓の断熱改修(二重サッシにするか、ガラスを複層ガラスに変更)
 ②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
 このうち、窓の断熱改修は、複層ガラスへの交換や内窓の設置、窓そのものの交換によって次世代省エネ基準に適合すること。外壁、天井または床の断熱改修は、次世代省エネ基準に適合する厚さのノンフロン断熱材を用いる。使用する断熱材は所定のJIS規格の適合認証を受けていることなどが要件となる予定だ。
 なお、手すりの設置や段差の解消、通路・出入口の拡幅などのバリアフリーリフォームもあわせて行う場合には、ポイントが加算される仕組み。
 ポイント申請時には以下の書類が必要になる。
 〈窓の断熱改修の場合〉...メーカーが発行する窓・ガラス等の性能証明書(製品型番・製造番号・サイズが記載されたもの)
 〈外壁等の断熱改修の場合〉...断熱材の納品書または施工証明書(製品型番や使用量が記載されたもの)
 これらの書類以外に工事証明書や領収書、工事現場写真なども提出することになる。

長期優良など対象の
補助金と併用は不可

 住宅版エコポイントを利用するにあたっては、他に国から補助を受けている場合、例えば北方型住宅ECOなど最大200万円の補助が受けられる長期優良住宅先導的モデル事業と、最大100万円の補助金が受けられる長期優良住宅普及促進事業などとの併用はできないことに注意しておきたい。
 厳密に言えばエコポイントは補助金と異なるが、国では同じ性格のものとして捉えており、補助金の2重取りになるとの考えだ。
 間違って長期優良住宅の補助金とエコポイントを同時に申請した場合、事前にチェックされるというものの、チェックをすり抜けて補助金とエコポイントの両方を受けた場合、最悪両方とも返還を命じられる可能性もある。
 ただし、太陽光発電や高効率給湯機(エコキュートなど)に対する補助はあわせて利用することが可能になっているほか、長期優良住宅促進税制や省エネ改修促進税制などの税制特例やフラット35など融資面での優遇措置も受けることができる。

今月から全国で講習会

 国交省では、住宅版エコポイントの講習会を今月から全都道府県で開催する。北海道・東北の日程・会場は別表の通り。
 参加希望者は電話(0120・003・605)またはFAX(0120・009・242)で開催日3日前までに申し込む。受講無料。
 また、問い合わせ窓口も開設(03・5253・8111、内線39471~39473)。住宅リフォームセンターでも相談窓口を設置している(03・3261・9358)。


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国交省住宅版エコポイントホームページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000017.html


2009年12月15日号から

住宅版エコポイント創設

 政府はこのほど、経済・雇用の安定化を目的として住宅版エコポイント制度の創設などを盛り込んだ緊急経済対策を閣議決定した。国会での成立は来年になるが、エコポイント制度は来年1月1日以降に着工した住宅が対象になる見込みで、住宅関連では他に高効率な太陽熱利用システムの普及支援やフラット35Sの金利引き下げ、贈与税非課税枠の拡大、省エネ基準見直し、建築確認の改善、木造住宅振興などが予定されている。

木造戸建ては次世代基準クリアが条件

 今回閣議決定された緊急経済対策は、雇用・環境・景気を3本柱とし、予算規模は国費ベースで7・2兆円。この中で政府は金融対策によって景気の下支えを行い、住宅投資の活性化によって本格的な景気回復を目指す考えだ。今年度2次補正予算に盛り込み、年明けの通常国会に提出する。
 具体的な内容についてはまだ明らかになっていないが、大きな目玉はすでにマスコミ等で報道されている住宅版エコポイント制度の創設。これは地球温暖化対策と景気対策の両立を目指し、エコ住宅の新築やリフォームに、エコポイントを与えるというもので、1千億円の予算を計上。
 エコポイントはすでに省エネ家電の購入を対象に実施されており、ポイントは様々な商品・サービスと交換可能。どのような住宅にいくらぐらいのエコポイントを与えるのかが大いに気になるが、現時点では新築の場合、1.平成22年1月1日以降に着工 2.原則として補正予算成立日以降に工事が完了して引き渡し 3.事前に住宅省エネ基準(次世代省エネ基準)または住宅事業建築主基準(トップランナー基準)への適合を性能評価機関が認定した住宅―という条件をすべて満たすこととし、住宅省エネ基準への適合は木造住宅のみ対象となる予定。ポイントは金額換算で30万円程度になりそう。
 また、太陽エネルギーの変換効率が40~60%と高い住宅向け太陽熱利用システムの設置に補助を行い、リース方式によるビジネスモデルの普及拡大も図る。
 システムとしては太陽熱給湯機を想定しており、設置からメンテナンスまで一貫したサービスを提供する事業者に対し、補助を行う考え。

贈与税非課税額を3倍以上へ

 金融・税制関係では、住宅金融支援機構の長期固定金利ローン・フラット35S(優良住宅取得支援制度)における大幅な金利引き下げを実施。 予算4千億円を計上し、平成22年12月末までに優良住宅を取得した場合、金利引き下げ幅を現行の0・3%から1・0%に拡大。住宅融資保険の保険料率引き下げも行う。
 フラット35Sは20年金利引き下げタイプであれば、現時点でフラット35の金利を2・6%(北海道銀行12月適用)とすると、借入額2千万円、返済期間30年の場合、総返済額は300万円以上少なくなる。
 また、平成22年度税制改正で、新築やリフォームのために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税額を拡大。中高齢者の預貯金を若い世代の住宅取得に回し、景気を刺激する。非課税額は、現行の610万円から2000万円程度になると見込まれる。

省エネ基準の見直しも

 法制度面では省エネ判断基準の見直しを行うとともに、建築基準法で建築確認の手続き等を改善する。このうち建築確認の手続き等の改善は、迅速な審査と申請図書の簡素化を目的に行われる。
 このほか、環境対策の一つとして"木材利用の推進"を掲げており、この中で地域材を活用した展示住宅の整備等による木造住宅の振興や、ツーバイフォー住宅の部材開発などを計画。他には太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの全量買取制度の導入も検討するとしている。

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2009年12月15日号から

ドイツの省エネ政策

 NPO外断熱推進会議北海道支部では、去る11月27日、パッシブハウスコンサルタントであるクーラー・アンドレア氏を講師に招き、札幌市内で「エネルギーパスとパッシブハウス」をテーマとしたセミナーを開催。ヨーロッパで導入・義務化が進んでいるエネルギーパス制度と、ドイツ発祥のパッシブハウスについて紹介した。

エネルギーパス 燃費表示を義務化

20091215_03_01.jpg クーラー氏はエネルギーパスについて「建物に必要なエネルギー量に関する情報を表示したもの。2003年1月にEUが施行した『建築物のエネルギー性能改善に関わる欧州指令(EPBD)』をきっかけに、EU全27カ国で制度化が進められ、ドイツでは昨年7月から義務化された。ドイツエネルギー庁の認定を受けた省エネコンサルタントが建物の調査を行い、1年間で必要なエネルギー量などを誰でもわかるように図で示した4枚つづりの書類で発行する。さらに窓を性能の高い製品に交換すればどのくらい省エネ効果があるかなど、経済効果の高い省エネ改修向けのアドバイスを記載した書類も添付する」と説明。
 エネルギーパス導入後の効果については「ユーザーが建物の省エネ性を大ざっぱに判断できるのがメリット。特に既存の建物の省エネ改修は地球温暖化防止に一番効果があるので、省エネ改修向けのアドバイスは、例えば外壁の再塗装で足場をかけるついでに断熱材の補強や窓の交換なども一緒に行うなど、費用対効果の高い改修を普及させるきっかけになる」と話した。

パッシブハウス 無暖房に迫る断熱

20091215_03_02.jpg パッシブハウスについては「快適・健康・高品質を兼ね備えた経済性の高い省エネ住宅で、1.必要となる年間暖冷房エネルギー量が15kWh/m2 2.気密性能が50Pa時の換気回数で0・6回/時(相当隙間面積で0・2cm2/m2程度) 3.年間一次エネルギー消費量が120kWh/m2というこれまでの基準に、今春から 4.暖房負荷が10W/m2以下 5.夏期の室温が25℃プラス10%以内という2つの基準が追加された。ドイツのパッシブハウス研究所とその認定機関が認定を行っている」と紹介。
 また、「世界にはキャスビーやリードという住宅基準もあるが、それらの基準はサステナビリティを評価するのに対し、パッシブハウスでは省エネ性を評価する。いろんな建物・工法で建設可能だが、高断熱・高気密・熱交換換気・高性能開口部・熱橋対策が重要な要素となっており、特に断熱・気密層の連続や熱橋は厳密にチェックされる。

20091215_03_03.jpg このような省エネ住宅を設計する際の優先順位は、1番目に断熱性能の向上、2番目に効率のよい設備の導入、3番目に新エネルギーの導入の検討となる。断熱性能が低い建物にいくら効率がよい設備や新エネ機器を付けても効果は薄いからだ」と、高断熱化を図ったうえで高効率設備や新エネ設備を導入することの必要性を強調した。
 このほか、日本でのパッシブハウス普及に関しては「普及には経済性が不可欠だが、日本でも快適な暮らしに対するユーザーの要求が増えていること、長期優良住宅など耐久性に優れた住宅がテーマとなりつつあること、住宅でのエネルギー消費量が増え続けていること、省エネ設備機器の開発に対して高い開発力を持つ日本メーカーの技術貢献が期待できることなどを考えると、日本でもパッシブハウスを建設する意義は十分ある」と述べた。


2009年12月05日号から

エコキュートで容積率緩和 札幌市

20091205_02_01.jpg 札幌市では、自然冷媒ヒートポンプのエコキュートなど、省エネ・環境負荷低減設備機器を室内に設置する場合、一定条件を満たせば床面積1m2まで容積率を割増しできる措置の適用を開始。近々エコキュートを採用し適用第1号となる(株)じょうてつの分譲マンションが着工する。

 今回の容積率緩和措置は、建築基準法第52条第14項1号「機械室に類する部分の床面積が著しく大きい建築物で、特定行政庁が許可したものの容積率はその限度を超えることができる」という規定を運用したもの。1.室内の設置スペースを壁等で囲う 2.設置スペースと建物のエントランスなどに容積率緩和対象物件と明示 3.契約書等に容積率緩和対象物件であることと、設置スペースを他の用途に転用できないことを明示―などが条件で、市との事前協議を経て許可申請を提出し、建築審査会の審査を通れば適用可能となる。
 対象物件は戸建住宅なども含めたすべての建築物で、エコキュートのほか太陽光発電や燃料電池なども適用対象。ただ、許可申請料に16万円かかり、建築審査会の審査も2~3ヵ月かかるため、「戸建住宅での適用は現実的ではない」(札幌市建築指導部)という。
 建築基準法第52条第14項1号については、平成14年に国が省エネ関連機器の設置に適用できるという技術的助言を各自治体に通知。これを機に、今年3月末まで全国で大都市圏を中心に90件以上の適用実績が出ている。
 札幌市では地球温暖化など環境問題への対応として、機器の寒冷地対応や本州での事例などを検証した結果、札幌でも適用可能と判断。じょうてつのエコキュート採用分譲マンションもきっかけとなり、札幌市は今年9月から運用を開始した。

 緩和措置の適用第1号となったじょうてつの分譲マンションは、札幌市北区に建設する全43戸のオール電化マンション「じょうてつアイム北29条」(仮称)で、給湯にエコキュートを採用するほか、リビングの暖冷房としてヒートポンプエアコンを導入する。2011年3月に竣工予定で、暖冷房・給湯ともにヒートポンプ機器を採用したオール電化マンションは道内初。
 同社では環境配慮型のマンションを企画・開発する中でエコキュートの採用を検討。北海道電力(株)やメーカーの協力により、事前に寒冷地で使用するにあたっての疑問点などが解消されたほか、容積率の緩和で1戸あたりの専有面積が1m2増える分だけ販売面積も増加するため、設備のコストアップ分も吸収できると見込んで採用を決めた。
 同社不動産事業部都市開発部では「エコキュートには以前から着目しており、容積率の緩和についても、今後の採用を進めるうえで、まず実績を1棟作ろうと考え札幌市に適用許可を申請した。エコキュートは戸建てで普及が先行しているが、分譲マンションでも考えていきたい」と話す。

 なお、エコキュートに関しては、道内での導入台数が今年10月末現在で2088台。北海道電力でも電気料金とCO2排出量がともに電気温水器の2分の1になるなど省エネ性・環境性の高さをアピールして普及に力を入れており、札幌市の容積率緩和措置運用開始を機に、分譲マンションでの普及によりいっそう力を入れていく考え。
 同社営業部住宅電化グループでは「去年、今年とエコキュートの寒冷地対応が進み、メーカーも道内での販売に力を入れてきている。環境の時代にマッチした設備機器として、給湯も暖冷房もヒートポンプを積極的に提案していきたい」と話している。


2009年11月25日号から

2008年度住宅相談件数

過去最高の1万3千件

住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、このほど2000年度から2008年度までの住宅相談を集計・分析した「相談統計年報2009」を公表。それによると、2008年度の相談件数は約1万3000件で前年度比5割増、過去最高となった。同財団ではこのような大幅増となった第一の要因として、瑕疵担保履行確保法や品確法などに関する相談が急増したこと、第二の要因として住宅会社等の倒産に関する相談も著しい増加になったことを挙げている。

「相談統計年報2009」によると、2008年度の相談件数は1万2956件で、前年度より4330件、50・2%増。3年ぶりの増加に転じ、これまで最も多かった2005年度の1万1223件も上回った。
相談件数の内訳を見ると、これまで同様に住宅の技術や法律等の一般的な相談である「知見相談」が25%で最も多いが、次いで瑕疵担保履行確保法や品確法など「制度に関する相談」が23%と、前年度比17ポイントも上昇。これまで2番目、3番目に多かった「住宅本体の相談」(21%)と「リフォームの相談」(17%)を上回ったのが目に付く。なお、「住宅本体の相談」も「リフォームの相談」も件数は前年度より増えている。
「制度に関する相談」は、前月から全面施行となった瑕疵担保履行確保法の保険や供託についての相談が増加し、相談者の約7割が住宅の施工・販売業者。特に同法の内容を説明したダイレクトメールを住宅会社や設計事務所などに出した前年7~8月や今年2~3月に相談件数が急増しており、住宅施工・販売会社からの相談・問い合わせ内容のうち、3分の1は瑕疵保険に関するものとなっている。
また、世界的な大不況の影響で住宅会社やデベロッパーなどの倒産が相次いだことを受け、「住宅会社の倒産等に関する相談」が前年度比2・8倍の1051件に増加。全体に占める割合も同比4ポイントアップの8%となった。
「住宅会社の倒産等に関する相談」は相談者の9割が住宅所有者で、戸建住宅の相談が95%を占めており、「住宅会社と契約したが、手付金を払ったところで倒産した。工事は始まっていないが、手付金は返してもらえるか」「住宅会社が倒産したが、完成保証に入っていたと聞いていたのに保証金を払ってくれない」などの相談事例が寄せられている。
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2009年11月25日号から

全国から鶴岡に350名

健康住宅サミット盛会

山形県鶴岡市で11月5、6日の2日間、全国から工務店などおよそ350名を集めて「第11回全国健康住宅サミット」が開かれた。
安心・安全な住宅をユーザーに提供するために、工務店がお互いに研さんしながら次世代に引き継ぐ家づくりを進めようと毎年1回開かれているこの大会が山形県で開かれるのは今回が初めて。
鶴岡は庄内地方といわれる日本海側の古い城下町。2日間にわたって人口減少時代の地域工務店の進む道などを中心に分科会が開かれたほか、鶴岡の歴史と文化を学ぶ機会も設けられた。
分科会では、「断熱リフォームへの取り組み・実践」など新しいテーマのほか、昨年に引き続き「業界新聞社に聞く住宅の最新動向」も行われ、日本住宅新聞、新建ハウジング、そして本紙のそれぞれ社長・編集長が、着工減少が続く現状や政権交代による新しい政策の方向、断熱先進地であり不況の最先端でもある北海道から学ぶ工務店のこれからなどについて報告した。
最後には抽選会も行われ、佐藤渉実行委員長をはじめとする大会実行委員に大きな拍手が送られた。

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2009年11月15日号から

木造3階建耐震実験で長期優良住宅が倒壊

「想定通り」と言うが・・・

 長期優良住宅の構造安全性向上を目的に、去る10月27日に兵庫耐震工学研究センターで行われた実大震動台実験で、長期優良住宅で義務付けられた耐震等級2(倒壊等防止。以下略)相当の試験体が倒壊、別の試験体は軸組接合部の強度が倒壊した試験体より弱いにもかかわらず倒壊を免れたことが大きな波紋となって広がっている。住宅会社からは「本当に耐震等級2は安全なのか?」と心配する声も挙がっている。
 実施したのは(独)防災科学技術研究所と木を活かす建築推進協議会。実験を行った2棟の試験体は、延床面積約38坪で、平面は4・55m×10・92mと、間口が狭い長方形。試験体1は性能表示の耐震等級2と同等の設計、試験体2は耐力壁こそ耐震等級2を満たすが、軸組接合部は試験体1より弱い設計となっていた。
 実験ではこの2つの試験体を同時に震動台に並べ、建築基準法で想定している地震の約1・8倍の人工地震波で20秒間揺らしたところ、耐震等級2である試験体1は、柱頭柱脚の引き抜きはなかったが、先に耐力壁が破壊されて変形し倒壊、試験体2は実験開始後約10秒で柱脚部が引き抜けたが、最終的に倒壊には至らなかった。

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「これで命を守れるのか」という疑問も

 実験を行った関係者の1人は「試験体1の倒壊は想定していなかったが、軸組接合部より先に耐力壁が破壊されたのは想定通り。試験体2も倒壊こそしなかったが、実験開始後10秒で柱脚部が破壊されて引き抜きが起こるという、倒壊と同等の損傷を受けていた。試験体2の柱脚は土台から外れた後も鉄骨の架台の上に乗っていたために倒壊しなかっただけで、実際の住宅であれば基礎の高さの分だけ柱脚部が落下するので倒壊に至るだろう」と話す。
 ただ、住宅会社にとっては"想定通り"では済まないようだ。
 今年長期優良住宅を3棟建設している道東の住宅会社は「木構造のことを理解しないお役人が、基礎と土台・柱をガッチリつなぐよう基準で定めたことで、逆に地震の被害が甚大なものになりかねないという事実が、今回の実験で解明したのでは」と言い、道央の設計事務所は「倒壊しないほうがいいのは当たり前。住む人の命を守れるのはどちらの建物なのか、考えなくてもわかるはず」と話している。
 長期優良住宅を手がけている住宅会社にとって耐震等級2の住宅が倒壊し、一般的な住宅は倒壊を免れたという事実が衝撃的であったことは間違いない。


2009年10月25日号から

「こう配1/50以上」に不安の声

 今年7月に全保険法人統一となった瑕疵保険の設計施工基準で、フラットルーフ(陸屋根)は50分の1以上のこう配を設けることになったが、道東のある住宅会社は「50分の1こう配では凍った雪が軒先にせり出し、落下した際に外装材や窓を壊す危険性がある」と指摘。国土交通省では、こう配が50分の1未満でも雨漏りが防げる仕様であれば、同基準の第3条認定を取ることで保険が適用になるというが、その場合、住宅会社にとっては負担がまた一つ増えることになりそうだ。
 
道内の現状・道東など標準で1/100
20091025_01_01.jpg 瑕疵保険の設計・施工基準は、当初各保険法人ごとに定められていたが、今年7月に国交省が基準を統一。これにともない、北海道だけで認められていた木造のフラットルーフも全国で認められるようになり、こう配は50分の1以上、防水材は金属板(鋼板)ふきやアスファルト防水など6種類の中から採用することなどが規定された。
 ただ、これまで道内では道立北方建築総合研究所監修、北海道建築指導センター発行のパンフレット『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』や、同じく同センターが発行している『北方型住宅技術解説書』の中で、こう配を100分の1~100分の5としたフラットルーフの仕様を掲載。気象条件や断熱・気密レベルにもよるが、道内では50分の1こう配のフラットルーフだと、屋根上の雪が軒先にせり出してくることがあるため、100分の1こう配を標準とする住宅会社もある。
20091025_01_02.jpg 今回、軒先のせり出しによる危険性を指摘した道東の住宅会社も、フラットルーフは100分の1こう配が標準。「3月頃の日射が強い日には、屋根に載った雪の表面が融け、融雪水が屋根面に流れるが、夜になって冷え込むとその融雪水が凍るため、50分の1こう配だと軒先のほうへ凍った雪が滑ってくる。なぜ100分の1こう配ではダメなのか」と話す。
 せり出しを防ぐために雪止めを付けるという手もあるが、逆に氷堤を作る原因となり、スガモリのリスクが高くなる可能性もある。
 国交省住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室では、設計施工基準で定めたフラットルーフのこう配について「小屋組木材の乾燥収縮が起こっても、屋根面が雨漏りの原因となる逆こう配にならないよう50分の1以上とした。ただ、絶対に50分の1未満では施工できないということではない。雨漏りのリスクが少ない仕様だと保険法人が認めれば、基準の第3条の適用により施工できる。その場合は、雨漏りを防ぐためにどんな工夫をするのかを示してもらうことになる」としている。
 瑕疵保険の設計施工基準で屋根にかかわる部分は、雨漏りを防ぐことを目的としてるが、道内で問題となるのはスガモリ。国交省は基準に適合しない地域特有の仕様について、保険法人が設計施工基準と同等の性能があると認めれば保険適用を認める基準第3条を適用すればいいというスタンスだが、いちいち雨漏りのリスクがないことを示さなければならないのは住宅会社にとって新たな負担になる可能性もある。基準に載せないまでも、国はどのような仕様であれば50分の1未満のこう配で施工できるのか、例示仕様を示すことも検討すべきだろう。
 
(図2点...屋根たる木に寸法安定性や強度に優れるI型梁を採用した現場。基準の第3条認定申請にあたっては、このように屋根面がたわまない工夫をするか、たわんでもスガモリしない工夫をすることが必要)
 
基準第3条の適用申請・納まり図など提出
 20091025_01_03.jpgそれでは50分の1未満のこう配のフラットルーフで施工するにはどうすればいいのか。
 まずは、雨漏り・スガモリを防ぐため、一つは積雪荷重や小屋組木材の乾燥収縮の影響を受けても屋根面がたわまないようにすること。母屋・束・たる木のピッチや野地板の厚さなどを地域の積雪量に応じて適切に設定するとともに、小屋裏換気と天井面の断熱・気密をしっかり行う。もう一つは屋根面がたわんでも雨漏り・スガモリしないようにすること。例えば改質アスファルト系防水シートなど防水性の高い下葺き材を使い、板金部分と合わせて2重防水構造とする方法や、ハゼを防水性の高い部材で密閉するなど板金部分そのものの水密性を高める方法が考えられる。
 このように雨漏り・スガモリ対策を十分行ったうえで、利用する保険法人に基準第3条の適用を保険加入時に申請することになるが、その際に必要になるものとして、瑕疵保険を扱う住宅保証機構では納まり図や、使用する屋根材・防水材の種類と葺き方を示した書類等を挙げている。これらを検討して個別に判断することになるという。
 また、あらかじめ屋根板金業者等が50分の1未満のこう配で施工できるマニュアルを用意しているのであれば、そのマニュアルを申請時に添付すればいい。
 なお、瑕疵保険の基準が統一される前に道内でフラットルーフや無落雪屋根の設計施工基準として用いられてきた道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』は、今後改訂される予定だ。


(写真...道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』(上)と『北方型住宅技術解説書』(下)に掲載されているフラットルーフの仕様。いずれも1/100こう配での施工を認めている)


2009年10月15日号から

長期優良の構造計算で大混乱

思わぬ事態に頭抱える工務店

 「長期優良住宅の構造計算を外注したら、基礎の半分程度はベース幅を1.3メートルにするように言われた」。これは先日聞いた住宅会社・A社の話。非現実的な仕様に疑問を抱き、当事者の住宅会社や構造計算の専門家への取材を進めたところ、構造計算ソフトに不慣れな構造設計事務所が入力ミスに気付かず計算を行っている問題が浮かび上がった。当事者のA社社長や専門家らは「そのような仕様でも"長期優良住宅だから"と間違いをそのまま受け入れるケースもあるのでは」と危惧する。

  
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2009年09月25日号から

20年度道内着工

 道内全市町村の平成20年度住宅着工戸数は、3万6050戸、前年度比15.0%減。3年連続の減少となり、4万戸を大幅に割り込んだ。昨年秋以降の世界的な大不況のあおりを受け、住宅市場は急速に悪化。給与以外は4割減の分譲を筆頭に揃って実績を減らしている。ここでは道内各地域ごとの状況を分析した。
 
 
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2009年09月05日号から

北海道住宅新聞版・住宅政策2010

20090905_01_01.jpg 8月30日に行われた衆議院議員選挙により、民主党が圧勝。政権交代とともに予算配分を根本から見直すとする民主党の考えから、出そろった来年度予算の概算要求が宙に浮いている。この機会をとらえて、「北海道住宅新聞版・住宅政策2010」を考えてみた。
 
将来像...持家政策の持続と少子化の改善
 
 まず、住宅政策と市場環境の将来の姿を想像してみたい。
1.国民が持家を手に入れやすい環境が整備されている。
2.賃貸を含む住宅基準が地方の事情に即して定められている。
3.天下りを裏の目的とする諸制度が撤廃された。
 住宅業界サイドとして現状の問題点は、住宅着工数の低下、事務手続き関係の手間の増加、瑕疵(かし)保険などの費用増加などが挙げられる。受注は減っているのに、家を1棟建てるための手間と費用がかかるようになっている。需要の大きな回復はムリだとしても、将来の展望が持てるような世の中になれば、新築以外にも自然と仕事は増えてくる。
 一方、消費者サイドとしては、子供が生まれれば持家に移りたい。騒音への気遣い、充分な広さを確保できるのは、今のところマンションも含め持家しかないからだ。そのとき、安心して入手できることは当然だが、安心かやや不安かなどを、それぞれが判断するための材料が提供されていることが重要だ。
 世界市場を相手とする輸出産業はともかく、100%内需型の住宅産業に関しては、生活実感としての景気が回復しない限り、景気が上向いたとは言えない。そもそも長期にわたって内需が活力を維持するためには、出生率が上がり、子供が増えないことにはどうにもならない。
 そういった意味で、遅きに失したとは言え、子育て環境の充実が住宅政策の隠れ1番かもしれない。
 
 
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2009年09月05日号から

瑕疵保険の手続き/建築指導センター

20090905_03_01.jpg 北海道建築指導センターは、住宅瑕疵担保責任保険設計施工基準の第3条に基づき無落雪(M型)屋根設計施工基準の保険適用を住宅保証機構に申請、このほど同機構から瑕疵保険の取扱いができることを確認した。これにより北海道内でM型無落雪屋根の住宅で保険申込みする際は、北海道建築指導センターのホームページで公開した「設計施工基準第3条に係わる確認について」を添付する方法に変更された。今年7月1日以降の保険申込みに適用される。また、フラット屋根は設計施工基準第8条が適用となり、陸屋根として扱われる。
 住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準が今年7月1日に改定されて住宅瑕疵担保責任保険法人の設計施工基準が統一された。基準外の設計・施工法に関しては同基準第3条により基準内容と同等の性能が確保されていることを保険法人に認定してもらい、その確認書を添付する方針に変わった。北海道建築指導センターでは、道内で一般的に利用されている無落雪屋根の保険申込みをスムーズに進めるため、第3条に基づいて申請した。
20090905_03_02.jpg 今回のM型無落雪屋根の設計施工基準では、平成16年に同センターが「性能保証住宅設計施工基準(無落雪屋根)」として発行した旧基準に比べていくつか変更箇所がある。たとえば、屋根勾配は従来の100分の5以上から100分の3以上に緩和された。また、シーリングの施工箇所を具体的に6箇所指示し、パラペットの立ち上がり部の納まり図を新たに示した。たる木や下張り合板の仕様は積雪荷重がかかった状態で適切な水勾配が確保できる仕様とした。横どいは、勾配を60分の1以上から100分の2以上に変更、ただし、市販の工業製品を使用する場合は100分の1以上とすることも可能。横どい周囲の断熱は不要となった。
 問い合わせは、同センター住宅保証部(Tel.011・271・9980)。
 
まもりすまい保険における無落雪(M形)屋根設計施工基準の適用について...http://www.hokkaido-ksc.or.jp/06_warranty/warranty_03.html
 
 
(写真上...第3条に基づくM型無落雪屋根の確認書 下図...設計施工基準をわかりやすく図示した)


2009年08月25日号から

7割強を改善指導~新足場対策に課題

20090825_02_01.jpg 厚生労働省北海道労働局は7月14日に道内17の労働基準監督署と支署を通じ、木造家屋建築工事を行っている道内の98現場で一斉パトロールを実施した。その結果、労働安全衛生法令などに基づき全体の約4分の3にあたる73現場で改善指導を行った。改善指導を行った割合は、昨年の66・4%から8ポイントも上昇しており、今年6月の労働安全衛生規則の改正が影響しているようだ。
 この一斉パトロールは毎年実施しており、法令に基づく安全な作業床の確保、手すりおよび中さん等の設置、安全な昇降設備の設置などの墜落防止対策、幅木などの設置による物体の落下防止対策ならびに木材加工用機械の安全点検が適正に行われているかなどの点検を行った。なお、足場が設置されていたのは98現場中94現場。
 もっとも多かった指摘が足場関係で70現場。これは足場を設置していた現場の約4分の3を占める。その次が躯体にかかわる指摘、電動丸のこ盤にかかわる指摘、その他の順。
 足場の指摘では、物体の落下防止のための幅木などの設置が不適切(50現場)、墜落防止のための手すりや中さんの設置が不適切(49現場)、足場の最大積載荷重の表示がされていない(31現場)などが多かった。上位2つは、6月の労働安全規則の改正がらみの指摘だ。
 道内の木造家屋建築工事における労働災害は、昨年1年間で死傷者160名、うち3名が死亡している。今年6月末時点での死傷者数は42名と昨年同期に比べて33%減少しており、死者は1名と昨年と同じだが、現場数が減っている中の結果なので安心できる数値ではない。
 今回の結果を踏まえ労働局では、工事が本格化する時期を迎えて違反箇所の改善だけでなく、より一層の労働災害防止対策を講じるよう関係団体に要請する。
 問い合わせは、同局労働基準部安全課(Tel.011・709・2311(代))。
 
 
(グラフ...足場に係わる指導の上位5項目)


2009年08月15日号から

資料の提出漏れなくし書類は正確に作成1

技術的審査期間短縮のコツ

 長期優良住宅の認定に必要な技術的審査の遅れが、徐々に深刻さを増している。審査に時間がかかっているため着工見通しが立たないのはもちろん、特に国の100万円補助事業の対象として予定している物件では、早く補助金交付申請をしないと先着5000戸の枠が埋まってしまう恐れもあるだけに、不安を感じている住宅会社は多い。そこで道内の性能評価機関である北海道指導センターと(株)札幌工業検査に、審査期間短縮のためのポイントを聞いた。
 
着工の遅れは死活問題
 20090815_01_01.jpg長期優良住宅は、性能評価機関の技術的審査を受け、認定基準に適合していることを証明する適合証を交付してもらってから、建設地市町村に認定申請と確認申請を行い、認定証と確認済証が下りた後に着工となる。
 しかし、本紙調査によると技術的審査にかかる期間は、現時点で最大1ヵ月。それから認定申請や確認申請を行うとなると、技術的審査申請から1ヵ月半近くは着工できないことになり、「1ヵ月以上着工できないのは死活問題」と話す住宅会社もいる。
 ましてや国から100万円の補助が出る長期優良住宅普及促進事業は先着5000戸で補助枠が締め切られるだけに1日でも早く認定証と確認済証を受けて補助金交付申請を出したいところ。7月末現在で交付申請受理戸数は128戸と、余裕があるように見えるが、すでにエントリーした住宅会社は4900社を超えており、これから交付申請受理戸数は雪だるま式に増えていくことが予想される。

(写真右...道建築指導センター・松崎部長 左...札幌工業検査・渡辺部長)   

3つの要因重なり時間がかかる
20090815_01_02.jpg それではなぜ技術的審査に時間がかかっているのか。道建築指導センターの松崎健児審査部長は、「1.申請件数が増加している 2.耐震等級2(倒壊等防止。以下略)の審査がスムーズにいかない 3.不明点の確認や修正・訂正に時間がかかっている。この3つが重なっているため、審査に時間がかかっている」と言う。
 このうち申請件数の増加については、北方型住宅ECOと長期優良住宅普及促進事業にかかわる物件が目立ってきている。いずれも2月上旬には国に実績報告書を出さなければならないので、できれば年内には完成させたいところだが、工期3ヵ月とすると10月までに着工する必要がある。そうすると今の時期に審査や認定の申請を行っておかなければ、年内完成に間に合わない可能性がある。
 審査を依頼する性能評価機関は、住宅会社各社ともこれまでの仕事関係や手数料などを総合的に判断して決めると思うが、事前にどれくらいの審査期間がかかるのかを確認し、予定している着工時期に間に合うかどうか見極めることも必要になる。
 
(図...提出する設計内容説明書の耐震性に関する部分(札幌工業検査仕様)。仕様規定でチェックを行う場合は、計算書などの資料はもれなく提出する) 
 
構造計算のほうが早い
 耐震等級2の審査は、特に仕様規定のチェックで申請する物件で時間がかかっている。札幌工業検査(札工検)の渡辺克夫住宅性能評価業務部長は、「構造計算している場合は審査もスムーズだが、仕様規定による場合は横架材や基礎の断面寸法をチェックしていなかったり、計算書などの資料が足りなかったりするケースが目立ち、見るのに時間がかかる」と話す。
 また、道指導センターの松崎部長は「仕様規定の場合、日本住宅・木材技術センター発行の『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに記載してくれればいいが、一部変えて記載している物件もある。また、横架材や基礎の仕様がスパン表で確認できないプランもある」と言う。
 資料不足・確認不足が審査時間を長引かせるのと同時に、住宅会社の訂正・修正に時間がかかっているのが原因になっているようだ。
 構造計算のほうが審査が早いが、仕様規定による場合は、『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに仕様を確認するとともに、横架材や基礎のスパン表や計算書などの資料はすべて添付することが重要になってくる。
 なお、道建築指導センター・松崎部長は「等級2の適合確認を構造計算で行うのか、仕様規定のチェックで行うのかは早めに決めておいたほうがいい。構造計算にかかる費用が負担になる場合は、仕様規定でチェックし、スパン表で判断できない横架材と基礎の仕様だけ、構造計算するという方法もある」とアドバイスする。
 
 
続き:資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2はこちら


2009年08月15日号から

資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2

技術的審査期間短縮のコツ

土間床の仕様に注意
20090815_02_01.jpg 耐震等級2以外の基準に関しても、スムーズに審査してもらうために気をつける部分がある。
 例えば省エネ等級4(道内はQ値1.6W)の確認でQ値計算に室蘭工大・鎌田研究室が開発したQpexを使う場合、基礎断熱の住宅ではバージョン2ではなくバージョン1を使うこと。その理由として札工検・渡辺部長は「バージョン1では実質熱貫流率×基礎の周長という一般的な方法で基礎部分のQ値を計算しているが、バージョン2はどのようにQ値を計算しているのかを把握できないため」と話している。
 また、認定基準では劣化対策として床下空間の高さを330ミリ以上取ることとしている。一般的な床断熱や基礎断熱なら問題ないが、土間床仕様では注意が必要。土間スラブの上に根太を入れてから床を張る場合、根太間が床下空間と見なされてしまうからだ。土間スラブ上で330ミリ以上の高さを取るのは現実的ではないので、根太間に断熱材を入れるか、土間スラブに床下地合板を直張りすることになる。
 
(写真...熱損失係数(Q値)計算でQPexを使う場合はバージョン2ではなく、バージョン1を使う)
 
図面と計算書の食い違いなくす
20090815_02_02.jpg 不明点の確認や訂正・修正は、性能評価機関が"指摘事項"として連絡してくるが、それに対し翌日に対応できる住宅会社もあれば、1週間くらいかかる住宅会社もあるという。
 これらの対応が早いほど、審査期間の短縮につながるが、最初から修正・訂正等を少なくするため、申請書類や添付する図面は正確に作成したい。
 例えば記入間違いなどで注意するところとしては、1.荷重や耐力壁の配置、梁のスパンなどが図面と計算書で異なっていないか 2.間違った単位を使用していないかなどのほか、「依頼書で審査する項目にチェックを入れる際、各市町村が指定している審査項目をしっかり調べることも大切。多くの市町村は6項目の審査だが、札幌市は居住環境を除く9項目を審査するなど、全市町村が同じわけではない。また、住宅の専用面積は車庫やバルコニーを除いた数字を記入。階段部分の面積は書いていないケースも多いので、注意してほしい」(札工検・渡辺部長)としている。
 
(写真...技術審査依頼書でチェックを入れる審査依頼項目は、建設地市町村によって異なるので、事前によく確認する)


2009年08月05日号から

ここが変わった設計施工基準/陸屋根正式に認可

 保険法人ごとに微妙に異なっていた瑕疵保険の設計施工基準が7月1日から統一された。どの保険法人で瑕疵保険を申し込んでも、同一の基準で審査されるため住宅会社も対応しやすくなる。また、これを機に屋根まわりの基準が変わり、これまで北海道でのみ認められていた陸屋根が設計施工基準に掲載された。一方で、道内特有のM形無落雪屋根はこれまで存在した北海道版の仕様書を廃止し、設計施工基準第3条に基づき保険取扱いの確認書を発行することで対応する。
 
 
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2009年08月05日号から

原因は給排気筒養生/経産省が注意促す

20090805_03_01.jpg 住宅の外壁塗装工事で、ガス設備機器の給排気筒などを養生シートで塞いだままにしたことで起こる不完全燃焼や異常着火の事故が増えている。去る7月7日に経済産業省が旭川市内で開催した「第29回製品安全点検日セミナー」で報告された。同省では施工業者・ユーザーに注意を呼びかけている。
 問題になっているのは、ガス設備機器の給排気筒などが養生用のビニールシートで塞がれてしまうケース。給排気筒などが塞がれた状態でガス機器を使ってしまい、不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故や異常着火による機器の破損事故が一昨年から今年にかけて死亡事故1件を含む13件にのぼっている
 いずれも本州の事故だが、例えば今年6月に起こった一酸化炭素中毒事故では、中毒患者と思われる住民が病院に搬送されたと通報を受けたガス事業者が調べたところ、建物は外壁塗装工事中で、ベランダにある屋外式風呂釜の給気・換気口が養生シートで塞がれており、さらに居室の換気口も同じシートで覆われていたことが確認されている。
 また、今年3月に起こった強制給排気式ガス瞬間湯沸器の変形事故では、「機器使用中に大きな音がした」という通報を受けたガス事業者が調べたところ、機器の前面カバーが変形していた。この建物は塗装工事中で、塗装業者が給排気トップの給気部分を養生シートで塞いでいたため給気不足となり、異常着火したと推測される。
 経産省では、塗装工事業者などに対し、外壁塗装作業で養生、目張り、マスキングを行う際は、給排気部分を塞がないよう十分注意するとともに、やむを得ず給排気部分を塞ぐ場合は、その間のガス機器の使用禁止を住民に徹底してほしいと呼びかけている。
 また、居住者に対しても、外壁塗装の工事中も工事終了後も、給排気部分が塞がれていないことを確認してから、ガス機器を使用するよう呼びかけている。
 
 
(図...外壁塗装工事などで、このようにガス設備機器の給排気部分を養生シート等で覆ってしまったままガス機器を使用すると、一酸化炭素中毒事故や異常燃焼事故につながる可能性が高い)


2009年08月05日号から

瑕疵保険対応を確認/ゼオン化成

20090805_04_01.jpg ゼオン化成(株)が販売する樹脂サイディング「ゼオンサイディング」がこのほど、住宅保証機構の住宅瑕疵担保責任保険「まもりすまい保険」に通常通り申込み手続きできることが確認された。昨年6月2日の保険契約申込み受付分まで遡って適用され、今後も安心して使うことができる。また、他の保険法人も同様の扱いになる。
 ゼオンサイディングは塩化ビニール樹脂製の外装材で、施工はサイディング同士を重ね合わせ、シーリングを使わないオープンジョイント工法が特徴。各保険法人の標準となっている乾式外装材の施工基準は、通気胴縁を下地としたシーリングによる目地止め工法のため、ゼオンサイディングの扱いがどうなるのか、ユーザーから問い合わせもあったという。
 今後、ゼオンサイディングを同社の指定する施工方法で施工した場合は、設計施工基準第9条第2項二号(非通気構法の防水紙)、同第4項(シーリング)、第10条第1項(通気構法)、同第2項第一号(サイディング材)について適用が除外される。
20090805_04_02.jpg ゼオンサイディングのオープンジョイント工法については、通気胴縁を施工しなくても十分な防水性と排湿性があることが道立北方建築総合研究所(北総研)との共同研究により証明されている。
 保険申込みの際は同社が住宅保証機構から受けた「設計施工基準第3条に係る確認について」書類の写しを提出し、矩計図等にゼオンサイディングを用いることを明記すれば、通常の保険申込みと同様に扱われる。
 設計施工基準第3条に係る確認書類の入手、詳しい問い合わせは、同社建築材料部(Tel.03・5208・5134)。
 
 
(写真上...住宅保証機構の設計施工基準第3条の確認書  写真下...今年春発売の「ウインドロック240」)


2009年07月25日号から

全道着工25,000戸台か

全国も90万戸割れの可能性

 全国的に見ても最低の水準が続く09年の北海道の住宅着工はどうなるのか。
 本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度"、と予測した。しかし、その水準すらも下回ることが確実な情勢だ。
 1~5月の住宅着工と6月の札幌市の確認申請件数から判断して、2万7千戸台、最悪で2万5千戸割れも考えられる。
 1~5月の道内着工は、対前年比41%減。この減少ペースで行くと年計では2万3千戸だ。
 着工が急降下したのは昨年10月以降。つまり9月までは対前年比で大幅な減少が続く可能性が高い。
 9月以降、政治の安定によって未来展望に明るさが感じられたとしても、年内の仕事には結びつきにくい。
 長期優良住宅が始まった6月4日以降に確認申請が集中するという見方もあったが、札幌の6月戸建て実績を見ると、5月よりは回復したものの、対前年比では減少から抜け出していない。
 ただ、消費者の住宅取得意欲は根強く、集客自体はさほど悪くないという声も多い。問題は消費者の希望する低価格帯に供給側が応えきれていない面があること、住宅ローンの審査が通りにくいこと、将来が不安で多額の借金を背負いたくないマインド面、とも言われている。
 この結果、持家は9800戸台(2月予想と同じ)、問題は貸家と分譲、ということになる。
 貸家については、1~5月累計で44%減。フルローンに融資がつかない、入居率が低下しており地主が投資を見合わせる、不動産バブルの崩壊、というマイナス要素が目立ち、新築市場の回復には時間がかかりそう。当初予想から下ブレし、1万2千戸から1万4千戸あたりか。
 分譲もボロボロだ。現状はトータルで68%減、このうちマンションが8割減、建売が3割減。マンションは大手の破たんなどもあり、在庫の整理が進んでも新築が以前ほどの着工に戻るとは思えない。建売については、在庫のリスクから着工が減っているが、注文を補う意味もあり大幅な底割れはないと考えられる。当初予想を大幅に下回り、2500戸程度に落ちつくか。
 全国ベースでも下ブレは大きい。2月時点では最悪90万戸割れも、と予想したが、このペースで行くと80万戸台前半、場合によってはさらに下回る可能性もある。
 ただ、中部圏・関西圏・首都圏などを中心に長期優良住宅によって弾みがつくと見る向きも根強い。それによって秋から冬場の着工が伸びる可能性もある。ただしマンションの回復は思わしくない。


2009年07月05日号から

長期優良住宅 動き出す

 6月4日に長期優良住宅の認定制度がスタートしてからちょうど1ヵ月。補助金や減税、ローン金利引き下げなどの優遇措置が用意され、冷え込んだ新築市場のカンフル剤として期待を寄せる住宅会社も多い。そこで長期優良住宅の認定や優遇措置などの現状についてまとめた。
 
おさらい・認定取れば補助や減税
 
20090705_01_01.jpg 長期優良住宅は、「いいものをつくり、きちんと手入れして長く大切に使う」ことをコンセプトとした住宅で、福田元首相が一昨年発表した200年住宅ビジョンをきっかけに法制化された。
 最近のたび重なる法律の施行・改正などにより、別の基準や制度と混同しがちだが、年間150戸以上の建売住宅を建設・販売する住宅会社に義務付けられた住宅事業建築主基準(トップランナー基準)や瑕疵担保履行確保法とはまったく別のものだ。
 関連するのは北方型住宅ECOなどが採択された長期優良住宅先導的モデル事業で、このモデル事業の対象となる新築住宅は長期優良住宅の認定を取ることが前提条件になる。
 制度を利用するかどうかは自由だが、認定を取得することで、補助や減税、ローン金利引き下げ(フラット35S)などの優遇措置を受けることが可能になる。
 これらの優遇措置は、当初最大600万円のローン減税など各種減税措置が柱となっていたが、認定制度開始と前後して住宅金融支援機構が長期固定金利ローン・フラット35Sの金利優遇期間を20年間に延長したほか、50年償還が可能なフラット50の創設も発表。
  
100万円補助に900社
 さらに国土交通省が緊急経済対策として、年間新築戸数54戸以下の中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に最大100万円を補助する長期優良住宅普及促進事業(以下、普及促進事業)を実施。国交省では同事業実施支援室を開設し申請受付やサポートを行っている(03・6214・5909)。この補助事業は先着約5000戸が対象となるだけに、認定申請を急ぐ住宅会社も少なくない。
 普及促進事業は1.事業へのエントリー(参加申請)2.建設する住宅の補助金交付申請3.完了実績報告書の提出という3段階の手続きが必要だが、国交省の同事業支援室によると、6月26日現在でエントリーした住宅会社は全国で900社強、補助金交付申請件数は約25戸となっている。
 また、補助を受ける条件として、長期優良住宅の認定取得以外に施工中の現場公開と住宅履歴情報の保管が義務付けられているが、住宅履歴情報は国の指針にのっとって保管されていることが必要。この秋には住宅履歴情報の保管を行う情報サービス機関が立ち上がる予定なので、それまでは必要な書類・図面を自社で保管しておくことになる。
 なお、道内では北方型住宅サポートシステムが利用できるかどうか気になるところだが、道建築指導課によると「現在国の指針に適合しているかどうかを国交省に確認中」とのこと。
 
 
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2009年06月25日号から

省エネ基準改正で家づくりはどうなる?

 気密性能基準(相当隙間面積)の数値規定や気密層の施工方法の削除などによって、シンプルになった住宅省エネ基準の改正・施行から2ヵ月。これまでのところ現場で大きな混乱は起きていないが、今回の基準改正の目的は何だったのか、そしてこれからの家づくりにどう影響してくるのか。本紙では国土交通省の担当官と、これまで省エネ住宅をリードしてきた研究者および住宅会社による紙上座談会を実施した。
 
 
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2009年06月15日号から

足場に新たな規制3

規則改正の背景
 なぜこのような規則改正が行われたのか。過去の足場墜落死亡事故を分析すると、全体の3割強が法律を遵守していた。わく組足場で交さ筋かいのすき間から墜落したケース、それ以外の足場で手すりの下から墜落したケースなどが含まれる。そこから今回の改正内容が考えられた。
 それでは、木造建築工事現場で使われる一側足場が除外されたのはなぜだろうか? 中高層建築や造船所、大型建築物の足場は数十m以上の高さとなるため危険性が高い。それに対し木造建築は大半が高さ10m以下のため相対的に危険性が低い。また現場の数が膨大なため「そこまで規制をかけるのはどうか」という意見もあったという。しかし、コスト削減のために一側足場の現場が増える可能性も否定できない。
 実際、道内の木造建築現場でも毎年死亡事故が発生している。今年も今月5日に札幌市内のアパート建設現場で作業者が釘箱を運ぼうとした時に足場階段から転落し、死亡事故が発生した。低層だから安全とは言えない。
 北海道労働局では昨年6月、木造家屋建築工事を行っている107の現場で一斉パトロールを実施し、安全な作業床の確保や安全ネットの設置状況などを点検し、その結果改善指導を行った現場が約3分の2にあたる71現場もあり、これは平成19年とほぼ同じ割合の結果だ。このうちパトロールした現場の約半数、52現場で足場にかかわる指摘があった。躯体との間の墜落防止の手すりが未設置、安全ネットなどの設置が不適切、足場外側の墜落防止手すりや柵などの設置が不適切な現場が多数あった。
 瑕疵担保保険の検査と違い、安全パトロールはごく一部の現場でしか行われないが、安全対策を軽視して死亡事故が発生すれば、多大な悪影響が出る。これを機会に、安全対策の見直しを行い、これ以上死亡事故が起きないことを望みたい。


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2009年06月05日号から

長期優良に最大100万円

先着順に対象住宅を決定

 国土交通省では、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し建設費の1割以内、最大100万円の補助を行う「長期優良住宅普及促進事業」の概要や申込方法などを発表し、4日から参加・交付申請の受け付けを開始した。補助金を受けるには8月7日まで同事業への参加申請(エントリー)、12月11日までに建設する住宅の補助金交付申請をそれぞれ行う。1社最大25戸まで補助を受けることが可能となっているが、補助金の交付決定は先着順となる。
 この補助事業は、中小住宅業者の長期優良住宅に対する取り組みと木造住宅の振興を目的としたもの。予算枠は約50億円で、1戸100万円の補助とすると約5千戸分に相当する。
 補助対象となる住宅は長期優良住宅の認定を受けることに加え、1.過去3年間の新築住宅供給戸数が平均54戸以下(木造以外の構造や共同住宅も含む)の住宅会社が建設 2.住宅履歴情報の整備・保管が行われている 3.棟上げが終わってから内装工事が始まるまでに現場を一般公開するなどが条件。北方型住宅ECOなど長期優良住宅先導的モデル事業の補助金を同じ住宅で受けることはできない。
 住宅会社単独での応募のほか、団体・グループでの応募も可能となっている。団体・グループの場合は代表者がまとめて参加各社の申請手続き等を行うことになり、必要事務経費として住宅に対する補助額の合計の1%が補助される。団体・グループでの応募でも補助を受けられる住宅会社の条件等は単独応募の場合と同じ。
 
補助金交付は5月
 補助を受けるにあたっては、1.8月7日まで同事業への参加申請(エントリー)を行う2.参加が認められたら12月11日までに建設する住宅の補助金交付申請を行う 3.補助金交付決定通知書交付後に着工する 4.施工中の現場の一般公開を行う 5.住宅完成後、引き渡しや住宅履歴情報の保管などがすべて終了した日から30日以内かつ来年2月10日までに実績報告書を提出 6.補助金交付額確定通知書の交付 7.来年5月上旬(予定)に補助金支払いという流れになる。
 このうち1.の参加申請と2.の補助金交付申請は同時に行うことも可能。また、2.の補助金交付申請は先着順に受理・交付決定され、予算枠の約50億円を超えた日で申請受付は終了する。
 申請書類や手続きに関するマニュアルなどはすでにホームページからダウンロード可能となっている。
 詳しくは長期優良住宅普及促進事業実施支援室(Tel.03・6214・5909)へ。
 
ホームページ:http://www.cyj-shien.jp/


2009年05月25日号から

火災・地震保険料改定へ

1年以内、早ければ年明けにも

 損保各社の火災保険と地震保険の料率改定が来年早々にも始まる見通しだ。損害保険の料率算出団体である損害保険料率算出機構(損保料率機構)が金融庁に届け出ていた火災・地震保険の構造区分等の変更が先月30日に告示されたことにより、ALCやレンガ外壁で準耐火・省令準耐火以外の木造住宅などは、火災・地震ともに一般の木造住宅と保険料は変わらなくなり、実質値上げとなる。
 
ALC木造の一部値上げ
 今回、損保料率機構が変更を行ったのは、火災保険参考純率と地震保険の基準料率の構造区分。現在、火災保険はA~Dの4つの構造区分、地震保険はイまたはロの2つの構造区分に分かれており、各構造区分に応じて保険会社は保険料率を定めている。例えば火災保険の料率は、RC造などの耐火構造が該当するA構造が最も安く、D構造が最も高い。
20090525_01_01.jpg 現在の構造区分は外壁や主要構造材の材質・仕様によって定めているが、ここ数年、複雑な構造の増加や新建材の普及などに対応できず、適切に構造区分を判断できないケースが出ていた。そこでわかりやすいよう、変更後の構造区分は納税や不動産取引で用いられる「建物の種類」と建築基準法上の「建物の耐火性」により定めている。
 具体的に火災保険は、A~Dの4構造区分からM・T・Hの3構造区分に変更となり、料率はA構造がM構造に、B構造がT構造に、C・D構造がH構造に該当することとなった。
 ところがこれにともない、現在の構造区分で2番目に保険料が安いB構造に該当するALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければ最も保険料が高いH構造へと変更。これまでは「ALC外壁は火災保険料が安くなる」とユーザーにアピールできたが、今回変更された構造区分が保険会社の商品に反映されれば、準耐火・省令準耐火にしない限り、保険料は一般の木造住宅と変わらなくなることに注意したい。
(図...今回変更となった火災保険の構造区分)
 
省令準耐火は地震保険安く
 地震保険は、現在の構造区分で保険料が高いロ構造に該当する省令準耐火の建物が、保険料の安いイ構造に変更となる。ツーバイフォー工法の場合、省令準耐火がほとんどなだけに、これはメリットがありそう。
20090525_01_02.jpg 一方、火災保険と同様に、ALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければイ構造からロ構造に変更となる。
 現在、保険会社の火災保険の料率は、保険金部分のみにかかる純保険料率と自社の経費などにかかる付加料率を合わせて独自に設定しているが、地震保険は同機構会員の保険会社すべて同機構の算出した基準料率を適用。今回の構造区分変更も全社が適用すると、例えば省令準耐火の住宅は44~58%の保険料引き下げ、逆に準耐火・省令準耐火以外のALC外壁の木造住宅は29~30%の保険料引き上げとなる。
 今回の構造区分等の変更を受けて、保険会社各社はいつから自社商品の改定を行うのか。同機構会員の保険会社に問い合わせたところ、「来年1月に今回の変更内容を反映させた新商品を発売する予定。地震保険については損保算出機構の基準料率を利用する」(A社)、「時期は公表できないが、損保算出機構で行った料率の変更等は基本的に1年以内に自社商品に反映している」(B社)、などと回答。
 過去の例から見て、今回も今後1年以内に各社の対応商品が出揃うと予想される。
(図...今回変更となった地震保険の構造区分)


2009年05月15日号から

木造住宅に最大100万円/国交省

経済危機対策 長期優良を条件に新たな補助

 国土交通省では経済危機対策の一環として、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し最大100万円を補助する「長期優良住宅普及促進事業」の実施を発表した。今年度補正予算の成立を前提としたもので、北方型住宅ECOなどが提案・応募している長期優良住宅先導的モデル事業とは別の補助事業。募集は今月下旬から6月上旬にも開始となる予定だ。
 
早ければ今月下旬から
20090515_01_01.jpg この事業は、中小住宅業者の長期優良住宅に対する取り組みと木造住宅の振興を目的としたもので、年間50戸未満の住宅会社が建設する木造の長期優良住宅1戸あたり、最大100万円を限度に建設費の1割以内を補助する。長期優良住宅の認定を受けることに加え、1.住宅履歴情報の作成・保存 2.施工中の現場公開 3.今年度中の竣工などが条件。
 補助を受けられるのは、個人、住宅関連事業者、建築主と住宅関連事業者等のグループ、住宅関連事業者等が組織するグループ・団体、地方公共団体が出資する法人などとなっており、住宅会社が直接補助を受けることも可能になっている。
 詳しい募集条件や申し込み方法などについては今後同省ホームページで発表される。
 長期優良住宅関連の補助事業については、すでに先導的な提案を行うモデル住宅等に最大200万円/戸を補助する「長期優良住宅先導的モデル事業」と、NPO・任意団体などが住み替えや2地域居住の推進を目的に行う住宅再生および流通促進等のモデル事業に一定の補助を行う「長期優良住宅等推進環境整備事業」があり、今回の事業が3つ目。このうち、先導的モデル事業については、採択された提案が近日中に発表される見込み。
 問い合わせは国交省住宅局木造住宅振興室(Tel.03・5253・8111(代))へ。
 
(図...長期優良住宅普及促進事業のイメージ) 
 
  
ホームページ:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mokuzou.top.html


2009年05月15日号から

道内3万1千台が現実味

2009年住宅着工見通し

20090515_02_01.jpg 2009年(平成21年)の道内新設住宅着工は、3万1千戸台が現実味を帯びてきた。
 本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度、全国は100万戸割れが確実、最悪で90万戸割れも"という予測を立てた。
 道内着工3万1千戸という数値は、多くの予測の中でもっとも厳しい見方だったようだが、4月前後になるとこの記事について取材先で逆取材されるようになり、4月末には「現時点で2月の予想数値を上方・下方修正するつもりはあるか」という問い合わせが増えてきた。
 道内1~3月の住宅着工は、対前年比42%減少。利用別では給与を除いてすべてがダウンしており、中でも分譲マンションが80%減と壊滅的、建売も45%減で分譲合計71%減。貸家は36%減、このうち木造アパートが52%の半減。持家も23%ダウンしている。
 4月以降も仮にこの第1四半期と同じ下げ幅で推移するとしたら、年計では2万5千戸というとんでもない数字になってしまう。
20090515_02_02.jpg この先についてだが、まず4月末までの動きは3月までと同様に良くないとする声が多い。ただ、ばらまき型の景気対策が6月以降に本格化して多少は効いてくるだろうし、10月以降は比較データである昨年もすでに減速しているため、8月以降になれば対前年比で多少は上向く。この結果、2万5千戸台という事態は何とか避けられるだろう。
 5月の時点で3万1千戸台が現実味を帯びてきたことは確かだ。3万戸台から3万2千戸台が2009年の着工量となりそう。対前年では8千戸から9千戸の減少。ポイントとなるのは分譲マンションの動向だが、木造の戸建てやアパートも気になる。戸建ては建売が大きく減っており、木造のアパートについては非木造(賃貸マンション)と比べても落ち込みが大きい。入居率の低下などで計画の中止や延期が相次いでいるのだろう。
 全国については、すでにさまざまな報道が100万戸割れを予想している。現時点では95万戸前後、立ち直りが遅れれば90万戸割れということになりそう。


2009年05月15日号から

瑕疵担保保険最新の情報

割引は?見積は?

 住宅瑕疵担保履行法施行まで4ヵ月あまり。本紙は新年号で住宅瑕疵担保責任保険の選び方について特集したが、割引制度については「3~4割安くなる場合もある」といわれており、その点を中心に料金設定や商品内容をあらためて取材した。
 5つの保険法人に取材した結果から言うと、割引制度は少し増えたものの大きな変更はない。しかし、公表しない割引制度はどの法人も持っており、それらを活用すると最大で4~5割引もあるということが実態のようだ。

保険料も横並び?
 公表されている割引は、資本金3億円以下の会社に適用される中小企業割引、住宅性能評価の同時申込みによる割引など(表参照)。一方、特定の団体組織やフランチャイズ加入によって割引が受けられる場合もある。こうした割引を活用すると、最大5割安くなる場合があるようだ。延床面積120㎡の住宅で言えば4万円以上の差が出てくるわけで、この差は無視できない。
 保険法人に取材すると、回答は大同小異。「事業者ごとに見積します」「公表していませんが、何段階かの割引率を設定しています」。
 国土交通省が検査・補償体制について横並びを求めたとされる経緯もあることから、料金設定や割引設定についても非公式な指導があったのかもしれない。いずれにしても、主に営利法人が保険を引き受けるのに、表面上は競争原理が働かない仕組みになっている。
 
 工務店から「見積書に保険料をそのまま載せていいのか(転嫁していいのか)」という問い合わせもきている。
 国土交通省はホームページ上で「住宅価格に転嫁することも可能です」と明記しており、転嫁するのは一向に構わない。問題はむしろお客さまにどう説明するかだ。
 素直に見積もりに入れる会社もあれば、「企業努力でサービスします」と説明する会社も出てくるだろう。こんなところでお客さまに減点されてはたまらない。そのことだけは注意しておく必要がありそうだ。
 
国土交通省の法律に関するQ&Aについて:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/3-qa.html
 
 
各保険法人の保険商品比較(「表示」をクリックすると一覧表が出ます)表示


2009年05月05日号から

1ヵ月後に迫った長期優良住宅のポイント

 最大600万円の住宅ローン減税など各種税制優遇が受けられる長期優良住宅(200年住宅)の認定が6月4日にスタートする。長期優良住宅の認定は国の先導的モデル事業に応募している北方型住宅ECO建設の必須要件となることもあり、特に北方型ECOの協議会に参加している住宅会社は万全の準備をしておきたい。今回は長期優良住宅認定基準への対応や建設するメリット、認定申請方法などについてまとめた。
(以下抜粋)
 
戸建ては実質7項目
20090505_01_01.jpg 認定基準は1.劣化対策 2.耐震性 3.維持管理・更新の容易性 4.可変性 5.バリアフリー性 6.省エネルギー性 7.居住環境 8.住戸面積 9.維持保全計画の9項目あるが、戸建住宅では4.可変性と5.バリアフリー性は適用外なので、実質7項目の基準をクリアすることになる。詳しい内容は右表の通り。なお、認定基準にはないが、住宅履歴の作成・保存も必要となる。
 この中で特に問題となりそうなのが②耐震性の耐震等級2(倒壊等防止)。構造システムのサポートや構造計算で多くの実績があるJ建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長)技術部の中居大祐係長は次のように話す。
 「まず、長期優良住宅の認定基準で求められる耐震等級2(倒壊等防止)は、品確法による性能表示の『構造の安定に関すること』の基準に記載されている一項目であることに注意が必要。構造の項目には耐震等級(損傷防止)や耐風等級、耐積雪等級などもあり、これらの項目でも等級2を要求しているわけではない」という。
 
耐震等級2が難題
20090505_01_02.jpg 次にどうやって倒壊等防止の耐震等級2をクリアするかだが、これが難題。基準には「極めてまれに(数百年に一度)発生する地震の力の1・25倍の力に対して倒壊、崩壊しないこと」とあるが、周知のようにこれは単に壁量を1・25倍にすれば解決するというわけではない。
 性能表示の評価基準で定める必要壁量を満たしたうえで、床倍率や接合部、横架材の断面寸法やスパンなどを決めていくことになり、性能表示の評価基準を把握していることが求められる。
 例えば、木造2階建てでは建築基準法上、耐力壁の量・バランスのチェックで済むものが、耐震等級(倒壊等防止)では床についても剛性の計算をしなければならない。特に大きな吹抜けがある場合は要注意と言える。
20090505_01_03.jpg 性能表示の構造チェックは計算手法が面倒で、相当の知識も求められるため、構造専門のスタッフを社内・社外に置いておくことも考えたい。プレカット工場も、有料で構造計算サポートなどの準備をしているが、6月からの制度スタートには間に合わない見通し。
 問題は設計上の制約が出てくること。大開口部や吹抜けを設けることが厳しくなると言われているが、ユーザーからそれらの要望があった場合、評価基準の内容が予備知識としてあれば、打ち合わせの場で対応できるかどうかをある程度判断できるが、予備知識としてない場合、そのつど会社に持ち帰り、対応可能かどうかを検討しなければならないということも出てくるだろう。そうなると、プラン決定に時間がかかり、最終的に要望に応えられないとなったらユーザーの信頼を損ねることにもなりかねないし、他社と競合した場合、不利になる可能性もある。やはり評価基準の内容は一通り把握しておきたい。
 
(上写真...自社に性能表示対応CADソフトなどを使いこなせる人材がいなければ、構造計算ができる設計事務所と組むのも1つの手(写真はJ建築システムで行っている構造計算の様子)、下図...耐震等級2(倒壊等防止)の適合判定の手順。これはひと言で言えば構造計算と同じものだという)
 
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2009年04月25日号から

住宅Q値計算/北方型の不利解消

20090425_04_01.jpg 道は、北方型住宅のQ値(熱損失係数)計算で基礎断熱した床下や屋根断熱した小屋裏も床面積に算入できることを、今年改訂した北方型住宅技術解説書に明示。これにより、基礎断熱・屋根断熱を行った住宅では、Q値が計算上不利になってしまうという現象が解消されそうだ。ただ、これは北方型住宅の認定に限ってのことで、住宅性能表示制度の性能評価を用いた長期優良住宅の技術審査などでは適用にならないことに注意する必要がある。
 Q値計算は各部位の熱損失係数の合計(総熱損失係数)を実質床面積で割って算出するが、そうすると屋根断熱や基礎断熱によって気積の大きい住宅ほどQ値が大きくなる。昨年の北方型住宅ECOでは、基礎断熱した床下空間の床面積算入を巡って住宅会社の混乱を招く原因にもなっていた。
 そこで道では道立北方建築総合研究所を通じて昨年11月に基礎断熱した床下と屋根断熱した小屋裏も含めた気積を2.6で割った数値をQ値計算の床面積とする考え方を北海道建築指導センターに示し、北方型住宅の認定にあたってはこの計算方法を使うことができるようになった。
 
(図...基礎断熱・屋根断熱で、床下と小屋裏を床面積に算入しない長期優良住宅(住宅性能表示制度)ではQ値が1.47W程度になるが、床下と小屋裏を床面積に算入できる北方型住宅では1.2Wを軽く切る)
 
換気経路に入ることなどが条件
 今年改訂した北方型住宅技術解説書では、基礎断熱や屋根断熱を採用した住宅で、①床下空間・小屋裏空間が換気経路に入っている②床下空間に放熱器が設置されていて床ガラリなどを通じ居室と空気を循環させている③不規則な吹抜けがあるのいずれかに該当する場合で、床下や小屋裏への出入り口や改め口があれば、それぞれの空間の気積を2.6で割った数値を建築基準法上の床面積に加えることができるとしている。
 
長期優良住宅の認定では適用外
 ただ、国の省エネ基準では、Q値計算で床下空間や小屋裏空間が換気経路になった場合の扱いが示されていないことなどから、住宅性能表示制度の省エネルギー等級の判定で、この計算方法は使えない。そのため、今年6月4日から認定申請が始まる長期優良住宅でも、総熱損失係数を建築基準法上の床面積で割った数値がQ値となる。
 このように北方型住宅と国の性能表示制度でQ値計算の床面積算出方法が異なることに、「このままでは2つのQ値が存在することになり、混乱するばかりだ。どうして一本化できないのか」という声が住宅会社からあがっている。
 道建設部建築指導課では「吹抜けや基礎断熱、屋根断熱などで気積が大きくなった時、Q値が不利になるのを解消するために、北方型住宅は気積を2.6で割った床面積の考え方で統一する。現時点で具体的な話はまだまとまっていないが、国に対してもこの床面積算出方法を認めてもらうための働きかけをしていく」と話している。
 
北方型住宅技術解説書ダウンロード先:http://www.kita-sumai.com/?page_id=7


2009年04月25日号から

瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・1

20090425_01_01.jpg 住宅瑕疵担保履行法で定める資力確保義務化の施行が10月1日に迫っている。住宅会社は事前に対応しなければならないが、この法律は「国民が安心して住宅を取得できるように」というそもそもの趣旨とは裏腹に、エンドユーザーにとって有益とは思えない面が当初から指摘されていたが、ここへ来て業界内部から公然と政府に見直しを迫る声があがっている。
 
(写真...国交省ホームページにあるイメージ画像。本当に「住まいを守る」法律になるのか...)
 
消費者保護なのに悪質な欠陥に保険金を払わない
 国土交通省は、いわゆる「姉歯事件」後に行った1万人の消費者アンケートで9割の人が「保険が必要・どちらかといえば必要」と回答したと公表。それを根拠に10年の瑕疵担保責任保険などの義務化を法律で定めた。これにより売主または請負人に「供託」か「保険への加入」が義務化された。
 この法律は当初から、『悪質業者や技術レベルの低い業者のせいで、優良な住宅会社で家を建てた消費者も今までにない費用負担を強いられる』との指摘があったものの、『それによって欠陥住宅被害から救われるなら、やむなし』と受け入れる空気だった。
 「瑕疵の確率が低い工務店なら保険料率が下がり、一方悪質な業者は高額な保険料を払わなければならなくなるので業界が健全化されるだろう」と前向きにとらえる会社も少なくなかった。
 ところが法律の細かな点が決まり出すと、疑問の声があがり出す。
 昨年1~3月に行われた住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる事業者説明会で国交省は『故意または重過失による欠陥(瑕疵)には保険金を払わない。住宅事業者が倒産したら保険金は払われる』と判断を示したが、当初の趣旨はすべての欠陥修繕をカバーするために保険の義務化に踏み切ったはずだ。
 うっかり欠陥住宅を建ててしまった場合(軽過失)は保険が面倒を見る。しかし、欠陥が出るかもしれないけどいいや、とか欠陥になると思うがそのままやれ、といった場合(重過失と故意)は保険が下りない。欠陥住宅の補修で問題になるのはどちらの事例なのだろうか。消費者保護が必要なのは、後者、すなわち重過失と故意で作られた欠陥住宅に住む人たちなのではないか。

保険法人にサービス横並びを強制? 検査は2回
20090425_01_02.jpg もう1つの大きな問題は、こういった形で保険が義務化されると、『よりよい品質で差別化を図る』ことよりも、むしろ『保険検査にパスするギリギリの品質まで落とすことでコストダウンを図る』という品質低下の方向に向かってしまう心配が大きいことだ。このことによって損害を受けるのは、消費者だ。
 そういった中でも、厳しい検査体制によって品質を維持していることが割安な保険料という形で消費者のメリットにつながればいい。住宅会社の訴求点にもなる。ところが、国土交通省は保険法人に横並びの検査・保証体制を求めたとされ、このため合計4回の検査を実施していた検査・保証会社は、横並びの2回、オプションで4回の検査を行うことも認められなかったという。
 品質確認と向上のためのサービスを認めず、横並び。重過失や故意は保険金を払わない。これでは競争原理が働くはずもなく、何のために民間に保険法人を開放したのかわからない。
 保険商品で差別化できないと、保険法人は保険金を払わないことで利益を確保する方向に進みかねない。2年前に話題になった「生命保険の不払い問題」では25万件以上の不払いが明らかになったように、保険会社はもともと保険料をなるべく払わないことが利益確保につながる。
 「消費者保護というお題目を人質にとって、天下り先確保のためだけにできた法律か」そういう声さえ出ている。
 
(図...保険制度のフロー)

続き...
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・2はこちら


2009年04月25日号から

瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・2

法廃止を訴えNPOが立ち上がる
 こういった行政は世の中を悪くするばかりと、公然と立ち上がったグループがいる。
 NPO法人家づくり援護会(イエンゴ)を中心としたグループは、新法に反対する署名運動を展開している。保険は中小零細の工務店つぶしだ、という怒りだ。
 署名文には「中小零細工務店潰しの不公正・不平等な法律に反対」「消費者保護とは名ばかりの無責任制度に反対」「懸命に努力する中小零細工務店への国家暴力を許さない」とメッセージが書かれている。
 また、札幌市内の民間確認検査機関A社は、「住宅に重大な瑕疵があって施工会社が倒産した時には補修できないといった不幸を避ける意味で、ユーザーは安心できるのでは。任意だったものがすべての住宅に付いてくるという意味でも、ユーザーに安心を提供することになると思う」とした上で、「保険の内容や検査が同じになるよう、国土交通省が保険法人各社に通達を出したと聞いているが、そうだとしたら保険法人を5社にする必要があったのかという話にもなってくる。また、性能表示に加え、瑕疵担保保険や長期優良住宅など、これだけいろんな制度ができてしまっては、ユーザーは何を選択したらいいのかわかりにくい。各制度の整合を図って、分かりやすい制度にしてほしい」と語る。
 さらに別の民間確認検査機関B社は「瑕疵担保法の字面だけ見ると、保証対象は極論すると不同沈下と雨漏りだけなので、これで大丈夫かという疑問はある」と不安を指摘する。
 
 
続き...
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・3はこちら


2009年04月25日号から

瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・3

最後に、道内の工務店社長の声を紹介しよう。
 
A工務店社長
 「瑕疵担保保険が義務化になった時は大賛成だった。第三者に検査してもらうことで自分では気付かなかったことを指摘されれば、改めて襟を正す部分も出てくるだろうし、一番検査が厳しい保険会社を選ぶことで当社の家づくりの正しさを証明できると考えていた。そしてそれが他社との差別化にもつながると思っていた。
 ところが法律の施行直前で国土交通省が保険会社の検査回数などを横並びにしたと聞き、とても腹が立った。どの保険会社も配筋と躯体の検査しかやらないとはどういうことだと。それで本当にユーザーに安心してもらえる住宅を提供できると思っているのだろうか。消費者保護をうたっておきながら、このままでは誰のためにもならない法律になると思うのは私だけではないはず」。
 
B工務店社長
 「これまでも利用していた保険法人の担当者が来た時に、保険法人各社検査2回で横並びはおかしいのではないかという話をすると、『オプションでさらに現場検査・現場確認をするということで国交省に申請したら却下されてしまった』と話していた。そこでこのような横並びはおかしいし、住宅会社としては2回の検査では不安があるということを国交省の書式を使って書き、同法人経由で国交省へ提出した。
 今までは地盤、配筋、躯体、防水、完了時に検査があり、杭を打つ時は杭の検査もあったことで、現場の職人にも緊張感を与えることができたが、検査回数が2回になると減った分は社内検査となり、緊張感が薄らいでしまうのではないかという心配がある。
 このままでは瑕疵担保履行確保法が手抜き工事をチェックできない骨抜きの法律になってしまうのでは」。
 国土交通省は、こういった声に耳を傾け、施行前に問題を修正してほしい。


2009年04月15日号から

キーワードは即効性・若年層・接点増やす

 集客・見込み・成約ともに大きく減少し、住宅不況が止まらない。道内住宅着工は今年に入っても大きく落ち込み、1~2月合計で前年比4割減。集客できる商品を求めてフランチャイズ(FC)やボランタリーチェーン(VC)への加入を考える住宅会社も出てきているが、数あるFC・VCの中で、自社に適しているのはどこなのかを判断するのは簡単ではない。今回はFC・VCを内容によってタイプ別に分類し、代表例をピックアップするとともに、独自の商品開発や営業戦略で厳しい市場に挑んでいる住宅会社を取り上げた。
 
求められるスピード感
 昨年秋の世界的な金融恐慌に端を発した不況の波はユーザーの消費マインドを著しく低下させ、住宅や自動車、家電など国内の主要産業に大きな打撃を与えた。
 そういう現状でユーザーが「買いたい」と思う商品と、その商品をユーザーに売り込むための効果的な宣伝戦略や経営体制を考えられるかが必要になっている。
 しかし、新規商品開発、経営の見直し、営業強化など工務店が取り組む課題解決には、相応の人的資源や時間が必要。この際、割り切って外部からのサービスや商材購入を積極的に利用することで問題解決のスピードを速める必要があると考える経営トップが増えているのも、時代の変化が急激で速いからだろう。

第1・ノウハウ一式買う
 「今までとは違う客層を開拓したい」と考えたとき、新商品ノウハウ一式を買えば、結果的に時間とカネの節約になる。
 『風家(ふうや)システム』((株)オーパス)は、独自ルートの輸入建材などを使い、女性をターゲットとした企画住宅「風家」を建てるノウハウ一式が手に入る。建材を会員価格で買え、別の企画住宅ノウハウも割安に買え、継続的な情報提供も受けられる。
 『ハグハウス』(ハウジング山地(株))は、子育て世代向けに自然素材を使ったデザイン住宅のノウハウや独自建材を提供する。さらに販促支援として本部で広告展開も行う。昨年始めたばかりだが、道内では既に6割のエリアで加盟店が決まるなど出足は好調だ。
 『カーサキューブ』((株)ナック建築コンサルティング事業本部)は、開口部を極力少なくして立地に左右されずデザイン性を高めた若者向けモダンデザインの企画住宅のノウハウを提供する。道内も既に導入している会社が数社ある。
 これらの商品はFCのような縛りが少なく、「魅力的な商品企画と独自建材さえ使えればそれで差別化できる」「工法はこれまでと変えたくない」という工務店の声にも応えられる。
 
第2・FC組織に加盟
 「注文住宅だけでなく、新たに間口を広げる商品が欲しい」「棟数を増やしたいので商品ノウハウだけでなく売り方の指導もして欲しい」という場合は、営業・経営指導まで含めたFCに加盟する選択肢がある。テリトリー制を敷いてエリア内でFC同士の競合を避ける配慮や、経営指導、共同販促など工務店業務の広い範囲にわたってかかわりを持つ。
 『インターデコハウス』(ハウジング山地)は、ヨーロッパデザインの輸入住宅FC。独自に輸入した豊富な建材が使え、北欧風から南欧風まで多彩なバリエーションが特徴。毎年新商品を発表するほか、オリジナル家具を使ったライフスタイル提案も行う。
 『アイフルホーム』((株)トステム住宅研究所)は25年前からスタートしたFCの老舗。大規模FCのスケールメリットを生かした合理的経営手法の提供や、FC加盟店へのサポート体制の充実を売りにしている。
 変わり種は、『頭のよい子が育つ家』(スペース・オブ・ファイブ(株))。FC方式だがエリア制を敷いていない。「大手ハウスメーカー1社に採用されるよりも、多くの地場工務店に採用される方が『頭のよい子が育つ家』をより多く供給できる」という考えだ。有名私立中学に入学した子どもの家を実際に調査した結果を元に、『頭のよい子が育つ家』を建てるノウハウを提供する。
 
第3・営業・経営コンサル
 「営業が弱いがどうすれば強化できるか」「ムダなコストを見直して住宅価格を下げたい」など、悩み解決を外部の頭脳を借りて行いたい、という場合は住宅建築のコンサルティングサービスを受ける選択肢がある。
 『7億セールスシステム』(ナック建築コンサルティング事業本部)は、社員5人で年間7億円の売上を上げるノウハウ一式を伝授する。人材の研修や経営コンサルティングなど総合的なサービスを受けられる。
 『アキュラシステム』((株)アキュラホーム)は、木造住宅の合理化システムで、施工、資材購入時のムダを省いてコストダウンを図るノウハウのほか、新規商品開発も指導する。両社とも、資材の共同購買システムを持っており、一工務店で購入するよりも割安に建設資材が購入でき、コストダウンに役立つとPRしている。
 『フォーセンスデザイン住宅開発マニュアル』((株)フォーセンス)は、工務店独自のデザイン住宅を開発するためのツール一式とサポートサービス一式を販売する。同社は年間施工数が30~50棟の中堅工務店経営者3名が役員を務めており、実践的なノウハウをまとめているとPRしている。
 いずれのサービスも半年の無料サポート期間があり、その後もサポートを受ける際は月会費を払う。
 
第4・エコ設備・主婦目線
 太陽光発電やヒートポンプなど時流に乗っているエコ設備機器で商品力を強化したい場合、それらの導入支援を行ってくれる企業もある。
 平成11年に設立された『(株)PVソーラーハウス協会』は、全国約150社、道内約20社の工務店などが加盟する組織で、住宅設備面の強化に関する様々なサポートを実施。例えば国による補助金の情報や、ソーラーパネルやヒートポンプを安く買える共同購入、ソーラーパネルの施工研修などを行ってくれる。
 同協会は茨城県の工務店が東京電力と連携してソーラーパネルやヒートポンプなどの普及拡大を図ったのが始まりで、現在は住宅の省エネ・創エネ提案力を強化したい住宅会社がメンバーとなっている。
 入会金は道内企業であれば無料、会費は月1万円。カタログや広告宣伝の負担は免除している。
 また、家づくりの主導権を握っている子育てママ目線で企画や集客を成功させるため、札幌圏の工務店が有力な連携先として見ている企業に、社員全員子育てママという『(株)マミープロ』がある。
 同社は平成18年7月設立の北海道・札幌圏の子育て情報提供ウェブサイト「ママNavi」の運営会社。設立3年にして既に月間アクセス数35万件・ユーザー数2万人、会員数1700人。札幌圏の子育てママを中心にウェブサイトだけでなく、イベント運営・雑誌発行なども行っている。
 工務店のモデルハウスを共同で企画したり、イベント開催と集客、モデルハウス内の催し、「ママNavi」へのバナー広告掲載などの実績がある。
 
独自路線で切り拓く
アシスト企画/社内の若い力活かす
20090415_01_01.jpg 道内の住宅会社の中には、外部の力に頼らず、独自の商品開発や技術によって需要を開拓しているところもある。
 そのうちの1社が、FCなどを活用するのではなく、あえて社内の力を活かして商品開発に取り組む札幌の(株)アシスト企画(岡本勝社長)。
 同社では若手社員の感性を商品企画に活かすことで若年層のニーズに沿った新商品開発を行うため、設計・施工・営業の各部門から若手3名を選出。2チームで健康住宅・和風住宅の商品企画化を目指し、自然素材採用を全面に打ち出した健幸家族の家『Pure(ピュア)』と、和のテイストや安らぎの空間を現代的にアレンジした現代和装の家『庵(いおり)』が具体化、4月末にはそれぞれモデルハウスが完成する予定だ。
(写真...若手社員の感性を活かしたアシスト企画の新商品「庵(いおり)」のイメージパース)
 
ジョイフル北海道/わかりやすい商品力が武器
20090415_01_02.jpg コストパフォーマンスの高さと積極的な広告宣伝で若年層を中心に札幌圏で受注を伸ばしているのが(株)ジョイフル北海道(本社旭川市、落合博志社長)。
 同社では『幻の家』シリーズで当初から1千万円を切る本体価格や金物工法、外張り断熱、オール電化などを武器に受注を伸ばし、受注の約8割を20代後半から30代半ばで占めている。
 広告宣伝費は不況で多くの企業が削っている中でも昨年より多くかけており、特に1年前から始めたテレビCMはネームバリューの向上に成果を挙げているという。
 これまでほぼ100%企画型住宅だったが、今年はデザイン性を高めた商品やフリープランの商品も計画。年間で旭川と札幌合わせて200棟、札幌単独では前年比20棟上積みとなる140棟の受注を目標としている。
(写真...外張り断熱・オール電化など時代のトレンドを先取りしつつ低価格としたジョイフル北海道の「幻の家」)
 
ダイアハウジング/真似できないセンスを提案
20090415_01_03.jpg デザイン性を追求した自社ブランド『d-concept』(ディーコンセプト)を立ち上げ、安定して受注を確保している住宅会社が(株)ダイアハウジング(札幌市、松木直之社長)。
 1.子供がいない 2.夫婦共働きで所得に余裕があるという競合が少ない若年層をターゲットに、単なるシンプルモダンではなく、誰にも真似のできない"デザインセンス"を活かした大開口や間接照明による光の演出を提案。数は多くないが、確実に存在する客層を取り込み安定受注につなげている。
(写真...大開口部と間接照明を活かしたデザインを提案するダイアハウジングの「d-concept」)
 
混迷の時代に活路探す工務店経営者たち
注文住宅のほかにFC、VCから企画商品などを購入して成功/T工務店 社長
 「工務店経営者の役目は倒産しないこと。そのために自社オリジナルの注文住宅だけで不十分ならと、割り切ってFCなどを利用した。FCやVCの役割はさまざまだと思うが、導入の目的はお客さまとの接点を増やすということに尽きると思う。時代の変化が激しいので、独善に陥らないようにするためにも、外部商品は役に立つ」
 
これまでFCに入ったことがないが、いまはすべてを見直す/O工務店 社長
 「これまで年間20棟以上の物件をやってきたが、ここ2~3年、10棟台に落ちている。このままではいけないと思っているが、正直なところどうしていいのかわからない。同業や取引先にも意見を求めている。これまでFCに加盟したことは一度もないが、いまはFC加盟も方法のひとつと思っている」
 
差別化商品をマスメディアに載せずに足で稼ぐ/K建設 社長
 「当社のデザイン提案を、それを望んでいるユーザーに知ってもらう機会さえあれば、受注と受注単価は必ず上向くと確信している。ただし、雑誌広告は掲載料が高いしチラシは昨年失敗した。FCとかの商品による集客ではなく、エンドユーザーに直接お話しする機会、知ってもらう機会をマスメディアの宣伝以外で展開することに全力を投じている」
 
このまま徐々にやめるかもう一度本気で受注を目指すか.../S工務店 社長
 「自分でもいまの20代、30代のユーザーとは共感できないことはわかっているし、営業する上ではマイナスになるので説教がましいことを言ってはいけないことも頭では理解している。このままでは工務店をやめるしかない。その前にもう一度本気になるかどうか、それを決めかねている状態だ」
  
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2009年03月15日号から

夕張の病院改修で

20090315_2_1.jpg NPO法人シックハウスを考える会(上原裕之代表)が主催する夕張医療センター改修プロジェクトに関するセミナーが7日に開かれ、設計事務所など建築関係者らが参加。断熱レベルの低い既存建築物の改修による省エネ効果や環境改善効果についての研究者らの話に、熱心に耳を傾けた。
 夕張医療センター(旧夕張市立総合病院)は、築30~40年のRC造3階建てで、建築当時は豊富な石炭を暖房に使えたため、建物自体の断熱性が低く、開口部はアルミサッシのシングルガラス仕様。
 病棟の温熱環境は劣悪で、入院患者はほかの病気まで背負い込むほど悪影響がある現状だという。
 同センターを運営する医療法人財団夕張希望の杜理事長の村上智彦氏によると、2人部屋の病室は現在、窓際の強烈な冷気により1人部屋としてしか使えず、それでも寒いために風邪を引く入院患者がいる。入浴介助も浴室内にシャワーを大量に散布して温度を上げながらでないと介助者も震えるほど寒い。サッシメーカーの好意で樹脂内窓を一部に取り付けたところ、2人部屋が2人部屋として使えるようになり、入浴介助もスムーズにできるなど、環境が劇的に改善。光熱費の低減で経営面でもいい影響が出てきたという。
 アルミシングルサッシに樹脂製内窓を後付けすることで環境改善と省エネ効果が上がることがわかり、室蘭工業大学鎌田紀彦教授や北海道大学の教授陣の協力を得て断熱改修プロジェクトを立ち上げ、改修前後で患者の健康状態にどのような変化が生じるのかなどを今後科学的に検証する。
 講演した鎌田教授は断熱改修でどの程度の暖房費削減を狙っているかを説明。
 同センターは、171床の総合病院だったが、最盛期の10分の1に人口が減ったため、現在はベッド数を10分の1の規模に縮小し、2階、3階を使わず運営している。1階の窓に樹脂製内窓を付けると、断熱性能は推定で熱損失係数(Q値)2・63Wから1・92Wに向上し、年間で重油が約3割、額にして約400万円削減できると見積もった。
 鎌田教授は「RC建築は、木造ほどお金をかけなくても窓や換気の改修だけでそれなりに断熱改修の効果が出る。今回の改修プロジェクトでそれを実証したい」と話した。
 北海道大学の羽山広文准教授は慢性疾患の死亡リスクと住宅との関係を発表。
 慢性疾患による死亡者数は季節変動が大きく、65歳以上の高齢者が心疾患や脳血管疾患、家庭内溺死で死ぬ割合は冬に多いことを示した上で、浴室やトイレと居室との温度差が大きいと血圧変化も大きく、高齢者にとってリスクになるとした。全国の地域別のデータでは、冬は北海道よりも温暖な地域で心疾患・脳血管疾患による死亡リスクが高くなることから、住宅の断熱性能と何らかの関連があるのではないかと見解を示した。
 最後に夕張希望の杜・村上理事長は「断熱改修の経済的効果について、燃料費削減だけでなく医療費の削減という面からも大きな期待が持てることを検証したい」と意義を説明した。 
 
(写真上から...室蘭工業大学・鎌田紀彦教授、北海道大学・羽山広文准教授、シックハウスを考える会・上原裕之代表、夕張医療の杜・村上智彦理事長)


2009年03月15日号から

暖房・給湯機など点検義務化/改正消安法4月施行

20090315_1_1.jpg経年劣化による設備機器の事故を防止するため、石油給湯機やガス瞬間湯沸器などの設備機器や家電製品を対象に、標準的な使用期間(寿命)の設定・表示や、点検時期の通知と点検の実施、既存製品も含む保守サポート体制の整備などを製造・輸入メーカーに義務付けた「長期使用製品安全点検制度」と「長期使用製品安全表示制度」が4月1日から施行される。住宅会社や不動産業者も物件引渡時にオーナーへの説明義務などが課されるが、同時にリフォームの提案などにつなげるきっかけにもなりそうだ。
  
住宅会社にも責任
 「長期使用製品安全点検制度」(以下、点検制度)と「長期使用製品安全表示制度」(以下、表示制度)は、いずれも平成19年11月に改正された消費生活用製品安全法によって創設されたもの。
 点検制度は経年変化によって特に重大な危害を及ぼす可能性が高いとされる設備機器7製品9品目を対象に、標準使用期間および点検時期の表示と点検の通知・実施、施行日以前の製品も対象とした保守サポート体制の整備などをメーカーに義務付けた。7製品9品目は1.屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用・LPガス用)2.屋内式ガスふろがま(同)3.石油給湯機 4.石油ふろがま 5.密閉燃焼式(FF式)石油温風暖房機⑥ビルトイン式電気食器洗浄機⑦浴室用電気乾燥機。
 ここで言う標準使用期間とは、普通に使っていて安全上問題なく使うことができる期間を指し、点検時期はこの期間の終了時期をはさみ、1年から3年程度の期間が想定されている。簡単に言えば安全に使える期間が終わる前後に点検を受けなさいということ。点検については開始前6ヵ月以内にメーカーから点検の必要性や点検料金、連絡先を記載した通知がオーナーに送られてくる。
 また、住宅会社や不動産業者、製品販売業者も、点検や製品登録はがき(所有者票)記載の法定説明事項などについて、オーナーに説明しなければならない。違反すれば勧告や社名の公表が行われることもある。さらにオーナーの要望によっては、代わりに登録情報をメーカーに提供することになる。
 一方、表示制度では、製造・輸入メーカーに対し経年劣化による事故件数が多い5製品を対象として、標準使用期間と経年劣化に関する注意事項などの表示を製品に義務付けた。5品目は①扇風機②エアコン③換気扇④洗濯機⑤ブラウン管テレビとなっている。こちらの制度は住宅会社等が関わることはない。
 
使用期間は8~10年
 対象製品を製造・販売するメーカーも目前に迫った法施行を前に対応を急いでいる。特に標準使用期間を何年に設定するかどうかは住宅会社にとっても大いに気になるところだ。
 サンポット(株)は今月、全道主要都市で販売店・販売代理店説明会を開催。標準使用期間は石油温風暖房機8年、石油給湯器10年とする予定。ガス器具のリンナイ(株)も毎年2~3月に行っている販売代理店向けの方針発表会で周知を図っており、ガス瞬間湯沸器やガスバーナー付き風呂釜は標準使用期間が10年になるという。
 一方、キッチンなど水回りメーカーを見ると、トステム(株)は住宅会社を回り、周知徹底を図っているとのこと。TOTO(株)は販売特約店向けの説明会をすでに開催済みで、ショールームでは住宅会社やユーザーにも説明を実施。浴室電気乾燥機の標準使用期間は10年としている。
 こうしてみるとメーカー各社はまず先に販売店・販売代理店向けに説明会を行うところが多いようで、住宅会社向けはその後という雰囲気。標準使用期間は各メーカーが決定することになっているが、各社の動きを見る限り概ね8年から10年が一つの目安となりそうだ。
 
リフォーム提案も
  この2つの制度のうち、点検制度は住宅会社も説明や情報提供について責任を負うだけに制度内容をしっかり理解しておくことが必要。
 暖房給湯調理機器の主要メーカーや関連部品の製造・販売会社などで構成する日本石油ガス機器工業会が、先月下旬に札幌で説明会を行ったところ、200名以上の申し込みがあったが、住宅会社はほとんどいなかったそうで、まだまだ住宅会社の関心は低いのが現状だ。
 新築時に限らず、リフォーム時も対象となるし、設備工事業者・修理業者も住宅会社と同様に点検やオーナー情報の登録・変更の必要性を説明する努力義務が課されるため、住宅会社としては自社の協力業者に対しても制度の周知・浸透を図ることが大切だ。
 一方で住宅会社としては設置した設備機器の標準使用期間を把握しておくことにより、メーカーとは別にオーナーへ安全に使える期間が終わりに近づいてきたことを連絡し、設備の更新を含めたリフォームのきっかけにするということも考えられる。
 なお、3月末までに製造・販売された設備機器は標準使用期間や点検時期の設定義務はないものの、メーカーが整備しなければならない保守サポート体制ではそれらの設備機器も対象としなければならない。OB客にこの制度を知らせる案内を出したり、これまでの施工物件で使用した設備機器について点検の案内を出すなど、アフターサービスの充実を図ることも可能になる。
 なお、これらの制度について詳しくは経済産業省商務流通グループ製品安全課(Tel.03・3501・4707)または各地域経済産業局産業部消費経済課製品安全室(北海道Tel.011・709・1792、東北Tel.022・215・9887)などへ。

経済産業省ホームページ http://www.meti.go.jp/
 
(写真...経済産業省が配布している点検制度の告知リーフレット。対象製品や登録・点検などについてわかりやすく記載されている)


2009年03月05日号から

太陽光発電に熱視線

20090305_2_1.jpg 経済産業省ではこのほど、家庭用太陽光発電システムの普及を加速させるため、家庭や企業などが太陽光で発電した電気を、電力会社が現行の2倍ほどの価格で買い取る制度を来年度までに始めると発表。
 これにより償却期間の短縮や光熱費の大幅な削減、さらには売電による収入の増加まで可能性が広がり、住宅会社もこれを機に太陽光発電と自社の住宅を組み合わせてユーザーに訴求するケースが増えそうだ。
 今回の発表によると、これまで電力会社による太陽光発電の買取価格は24円/kWh前後だったが、これを50円弱に引き上げ、10年ほどにわたって続けるという。その一方で電力会社はこの制度にかかるコストアップ分を電気料金に転嫁することになるが、その金額は一般的な家庭でひと月数10円から100円程度に設定される見込み。
 もともと太陽光発電の普及促進は、昨年の北海道洞爺湖サミット前に福田元首相が「2050年までに温室効果ガス排出量を現状より50%削減するという目標を掲げ、そのためにドイツに奪われた太陽光発電導入量世界一の座を奪還する」と発表したことを受けて一気にヒートアップ。
 国では太陽光発電の国内導入量を2020年に現在の10倍、2030年には40倍に引き上げる考えで、そうなると新築の持家の7割以上が太陽光発電を採用することになるという。経済産業省も地球温暖化防止のための新エネルギー政策の中で、太陽光発電システムの設置価格を3~5年後には現在の半額程度まで引き下げると発表した。
 これら一連の流れの中で今年から住宅用太陽光発電システムの設置に対し、1kWあたり7万円を補助する助成制度が復活。国ではさらに電力会社の買電金額を引き上げることにより、一般家庭への普及を加速させる考えだ。
 
(写真...設置枚数を増やすため南面の片流れ屋根とした住宅。これからは片流れ屋根が増えるかも)

利回り10%の投資
20090305_2_2.jpg すでに大手ハウスメーカーの中にはエコや環境重視の姿勢をアピールするため、太陽光発電を標準化した商品をラインアップすることも珍しくはないが、今回の経産省の発表によってその動きはいっそう活発になりそうだ。
 現状で太陽光発電の設置価格はkWあたり70万~100万円、発電コストは大体46~62円kWh程度と一般家庭用電力料金の倍以上。これが買取金額の引き上げによって、発電コストが一般家庭用電力料金と同じくらいになれば、設置するシステムの最大発電出力にもよるが減価償却は10年以内になる可能性もあり、10年目以降は何もしなくても売電した分だけもうかる計算になる。
 
(写真...一般の住宅では設置面積の関係で3.5kWが限度と言われている)

アピールポイント
 実際には10年目以降に維持管理費がかかってくるものの、ユーザーにとってはお金を生み出すシステムと言えることになり、出口の見えない不況や社会不安、雇用不安などで購買意欲が減退している住宅取得予備軍を刺激するうえで「宣伝に使える」とはやくも動き出す住宅会社もいる。
 例えば最大発電出力4kWのシステムを設置した場合、売電による収入は約24万円。設置コストが240万円だとすると10年で償却可能であり、利回り10%の投資商品になるとも言える。住宅取得に200万円余計に出せるユーザーであれば、貯金や投資信託よりずっと投資効果は高い、とも言える。
 最大発電出力を増やせば副収入源として大きな魅力を持つことにもなる。「低金利時代の屋根上貯金住宅」とか「老後資金支援住宅」などと名付ければ、老後の資金を持っている団塊世代の心に響く広告になるかも。
 太陽光発電を自社の住宅のアピールポイントとするのも一つの方法。今年のモデルハウスはぜひ採用しておくべきと考えるがどうか。"光熱費ゼロ"は言うに及ばず、目に見える、手が届く楽しさとエコ、節約効果。集客面ではアイデア次第の強力ツールになりそう。


2009年02月25日号から

仕様外は事前相談/建築指導センター

20090225_2_1.jpg 今年10月1日から「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」がスタートする。実質上の保険義務化と言える内容のため、現場審査をクリアできなければ大変なことになると、審査の内容について不安を感じている住宅会社や設計事務所がある。
 現場審査を行う基準となっているのが各保険法人が公表している瑕疵担保保険の設計施工基準。この基準は全国共通なので、北海道特有の工法は考慮に入れられていない。そのため、防水工事で道内でよく使われる施工法について、「無落雪屋根はどう扱われるのか?」「木製サッシの納まり図などが仕様書を見ても記されてないがどうなるのか?」「スリーブ管が壁に貫通する部分の防水納まりはどうすればいいのか?」など、現場から疑問がいろいろ出てきている。
 道内で登録事業者が最も多いと言われている住宅保証機構の「まもりすまい保険」代理店である北海道建築指導センター住宅保証部では現在、仕様書以外の納まりについては事前に相談してほしいと呼びかけている。
 
(写真...北総研が研究成果を元にまとめた屋根の雪処理パンフ)
 
フラットルーフも可

20090225_2_2.jpg まもりすまい保険の設計施工基準では、第7条に「屋根は勾配屋根とする」としているだけで、その勾配度合いまでは指定していない。メートル型無落雪屋根やフラット屋根のような緩勾配屋根はどうなるのか。
 同センターでは平成16年秋から「北海道版」無落雪屋根の設計施工基準を配布。さらに道立北方建築総合研究所の研究成果を元にメートル型無落雪屋根、フラットルーフ、勾配無落雪屋根それぞれについて設計施工上のポイントをまとめた『戸建住宅の屋根の雪処理計画』というパンフを作成し配布している。同パンフ記載の設計施工基準を守れば100分の1勾配のフラットルーフでOKだ。
 それによると、メートル型無落雪屋根もフラットルーフも天井見付面積に対する小屋裏換気孔(軒天換気)の面積比を360分の1以上確保し、天井断熱部分の気密措置を講じることを求めている。
 
(図...戸建住宅の雪処理計画のパンフによるフラット屋根のモデル図。小屋裏換気は、軒天換気口の有効開口面積が天井見付面積の360分の1以上必要)
 
木製サッシ規定無し

20090225_2_3.jpg まもりすまい保険では、サッシまわりの防水規定については、設計施工基準第9条2の四で「外壁開口部の周囲は、防水テープを用い防水紙を密着させること」とある。ツバ付きの樹脂サッシ、アルミサッシは参考図に示されているが、木製サッシの納まりがどうなるのか。建築指導センターでは「仕様書外の納まりの場合は、保険申込み前か着工前に相談してほしい」と話している。建築指導センターが認めれば仕様書外の納め方で保険を引き受けてくれる。
 また、全国規模のメーカーの場合は住宅保証機構に直接相談する選択肢もある。
 このほか、換気の給気あるいは排気ダクトが外壁を貫通する際の納まりについては、平成16年改訂版の性能保証住宅設計施工基準38ページに掲載された図を参考にするか、住宅金融支援機構が監修したフラット35の木造住宅工事仕様書を参考にしてほしいと話しており、それ以外の納まりは事前相談による対応となる。
 
(図...外壁開口部の防水処理は、平成16年秋に発行した旧・性能保証住宅設計施工基準が基準となる)


2009年02月25日号から

電気熱源はヒーポンが必須

20090225_1_3.jpg 1月末に改正省エネ基準とともに発表された住宅事業建築主の判断の基準、いわゆるトップランナー基準については、一定規模以上の建売住宅会社だけでなく、戸建注文住宅を含むすべての住宅会社を対象とした住宅版省エネ性能ラベリング制度にも用いることを、現在国が検討している。利用は任意だが、中小でも大手と同じ土俵に乗ることが求められる。これまで断熱・気密に熱心に取り組んできた住宅会社はむしろ追い風として活用することもできるはずだ。今回はトップランナー基準をクリアする仕様について検証してみた。
 
(表...トップランナー基準をクリアするための主な断熱・設備仕様 ※いずれも太陽光発電・太陽熱温水器・節湯型機器は使用せず、照明は新築時に設置しないものとし、第3種換気はDCモーター仕様とする)
 
一次エネ消費で評価

 トップランナー基準について簡単に説明すると、暖冷房、給湯、照明、換気を含めた住宅トータルでの一次エネルギー消費量が、国で定めた基準値と比べてどれくらい下回っているかを達成率で評価するもの。一次エネルギーとは石油・石炭・天然ガスなど、家庭で使われる電気や灯油、都市ガスなどに変換される前のエネルギーを指し、単位は熱量を表すGJ(ギガジュール)。1GJ=23万8900となる。
 基準値となる一次エネ消費量は、次世代省エネ基準相当の性能の躯体に一般的な設備を組み合わせた約36坪・2階建ての標準プランと比較して1割少ない値に設定。北海道は道北・道東中心のⅠa地域と道央・道南中心のⅠb地域に分けて設定しているが、いずれも標準プランの設備は、暖房が灯油温水セントラル(室温設定20℃)、給湯が石油瞬間式などとし、Ⅰa地域は124GJ、Ⅰb地域は113GJが基準値になっている。
 この基準値を実際の住宅の一次エネ消費量で割って100をかけた数値が達成率(%)で、100%を超えれば基準をクリア。なお、換気動力は別に見ることとし、セントラル換気や同時給排型壁付けファンを設置する場合は、1.2GJまたは4.9GJを基準値に加算する。
 住宅版省エネ性能ラベリング制度は、この評価方法によって基準をクリアしたことを、ラベルの貼付によって表示できるようにする仕組みだ。

ガス高効率型は有利

20090225_1_1.jpg この一次エネ消費量は、一般の人が簡単に一から計算できるものではない。そこで国では各設備ごとの一次エネ消費量がわかる早見表を用意し、躯体の断熱性能(Q値)に応じて一次エネ消費量と基準達成率がどのくらいかを簡単に算出できるようにする考えだ。
 まだ最終的なものは公表されていないが、年末に社会資本整備審議会省エネルギー判断基準小委員会が公表した案をもとに、どういう組み合わせならⅠa地域の基準値をクリアするのか見ていきたい。
 まず、一般的な電気・ガス・灯油暖房給湯設備と第1種換気・第3種換気ごとに、躯体の断熱性能=Q値を平成4年省エネ基準レベルの1.8W、同11年基準レベルの1.6W、そしてさらにワンランク上の1.4Wとした時の基準達成率を試算してみた。
 結論から言うと、ガス高効率ボイラー(エコジョーズ)による温水暖房・給湯なら、Q値が1.8Wでも換気方式にかかわらず基準値をクリアする。潜熱回収をしない一般的な灯油ボイラーによる温水暖房・給湯は第1種換気ならQ値1.6W以下、第3種換気なら同1.4W以下が必要。
 電気暖房・給湯は電気の生焚きだと厳しく、電気蓄熱暖房器と電気温水器の組み合わせでは、Q値1.4W以下で第1種換気を使っても基準値をクリアできない。最低でもQ値1.4W、換気は第1種とした上で、給湯をヒートポンプとすることになる。

断熱性能は最低でも1.6W以下に

20090225_1_2.jpg 一方、道央・道南中心のⅠb地域はどうかというと、結果としてはⅠa地域と同じ。ただ、冬期の外気温がかなり低いⅠa地域とは異なり、暖房にはヒートポンプ温水暖房も早見表に追加されている。暖房・給湯ともにヒートポンプとすれば、第3種換気ならQ値1.6W以下、第1種換気なら同1.8W以下で基準値をクリアする。
 ただ、住宅版省エネ性能ラベリング制度案では住宅トータルでの一次エネ消費量を評価するとともに、断熱性能については平成11年省エネ基準への適合状況も表示する方向で検討されていることから、最低でもQ値1.6W以下としたうえで、基準値をクリアする暖房・給湯・換気設備を検討する必要がある。
 
(写真上...写真上...潜熱回収型のガス高効率ボイラー・エコジョーズで暖房・給湯を行えば、Q値が新省エネ基準レベル(1.8W)でも換気方式に関係なく基準値をクリア可能、写真下...電気熱源の場合、道内では給湯または暖房・給湯両方にヒートポンプを採用しないと、基準値をクリアするのはかなり厳しい(写真はイメージです))


2009年02月15日号から

長期優良住宅/大手は対応を開始

 最大600万円の住宅ローン減税や住宅金融支援機構が開発中の50年ローンの適用などが予定されている「長期優良住宅(200年住宅)の普及の促進に関する法律」(以下、長期優良住宅法)が今年6月4日に施行となる。昨年12月末に認定基準案などが公表され、今月中旬には公布される見込み。大手ハウスメーカーの中には早くも対応商品の販売を開始したところもあり、今後、長期優良住宅への対応が進みそうだ。ここでは認定基準(案)の具体的な内容と札幌戸建確認申請済棟数で上位を占める大手の動きについてまとめた。

ローン減税最大600万

 長期優良住宅は昨年から国が実施している超長期住宅先導的モデル事業と同じ200年住宅政策の一つ。長期優良住宅法の成立にともない、先導的モデル事業は現在受け付けている平成21年度第1回募集から"長期優良住宅先導的モデル事業"と名称変更し、長期優良住宅認定基準に適合するとともに6月4日の法施行後は実際に認定を受けることが要件の一つとなった。
 長期優良住宅の認定を受けるメリットとしては、戸建住宅の場合減税措置として1.住宅ローン減税の最大控除額を600万円に拡充(一般住宅は500万円)2.住宅ローン減税との選択で、性能強化にかかった費用の10%相当額(最大100万円)を所得税から控除 3.床面積120m2までの固定資産税を5年間2分の1に軽減(一般住宅は3年間2分の1)4.不動産取得税で課税標準からの控除額を1300万円に拡充(一般住宅は1200万円)5.登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げがある。
 また、住宅金融支援機構が開発中と言われる50年住宅ローン・フラット50(仮称)が利用可能になる予定。

需要喚起の役割を期待

 この制度に対し、大手ハウスメーカー各社は税制優遇のメリットをユーザーにアピールして需要を喚起しようと、対応に向けて積極的に動き出しているところもある。
 例えば住友林業(株)は「お客様に対する税制優遇のメリットと優良な住宅ストックの形成を考え、全棟標準対応とする予定」(総務部広報グループ)で、今月6日には早くも長期優良住宅対応をうたった「My Forest[GS]」(マイフォレストGS)を発売開始。また、(株)ホーム企画センターは「住宅ローン減税の控除額は当社として最大限受けられるようにしておきたいし、それはお客様にとっても安心感につながる」(商品開発部)として全棟対応予定。このほか、詳細は検討中だが(株)土屋ホームは対応を準備中、北海道セキスイハイム(株)も対応を予定、スウェーデンハウス(株)道支社は個別に対応するとしている。
 一方、ミサワホーム北海道(株)は「まだ社内でどう対応するか、取りまとめができていない。3月頃にまとまる予定」(営業推進部)とのこと。豊栄建設(株)も対応未定だ。

耐震等級2が必須

 認定基準は大きく10項目に分類できる(左表参照)。新築木造戸建住宅について、昨年の超長期住宅先導的モデル事業基本性能基準と比べ大きく異なるのは、劣化対策と耐震性という構造に関する2項目。
 劣化対策等級は性能表示制度の等級3への適合はそのままに、床下・小屋裏の点検口設置と、床下空間の有効高さを原則330ミリ以上確保することが追加された。ただ、これらの要件はすでに標準でクリアしているケースがほとんどだろう。
 耐震性は、極めてまれに(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊等しない程度である性能表示制度の等級2、または免震建築物とするか限界耐力計算によって一定の安全性・耐久性を確認することが必要。等級2については、構造計算か仕様規定によってクリアする。
 また、躯体天井高は2650ミリ以上と規定。これは各階床表面から上階床裏面までの高さのこと。床面積は75m2以上だが、所管行政庁が独自に定めることも可能で、その場合は55m2以上。
 このほかの部分は昨年の先導的モデル事業基本性能基準と変わらず、省エネ性は省エネ基準に適合することとし、北海道であれば道南の一部を除き熱損失係数=Q値は1.6W以下。維持管理対策や住宅履歴書の作成・保存、維持保全計画の作成、景観への配慮なども必要となる。


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2009年02月05日号から

本格的な構造塾-入門と実務向けに-

20090205_3_1.jpg J建築システム(株)(札幌市・手塚純一社長、工・農博)では、大学や専門学校では専門的に学ぶことができない木造の構造計算実務を基礎から実践まで徹底指導する「jjJSchool」(トリプルJスクール)を開校。住宅会社や設計事務所はもちろん、一般消費者までオープンに門戸を広げ、住宅性能表示制度や近い将来の実施が検討されている四号物件の確認特例廃止にも対応できるよう、実務で構造計算(許容応力度計算など)あるいは構造チェックができる人材を育成する。
 ユーザーは住宅を購入する時に構造計算が行われているものと思っているが、実際に木造2階建て以下の四号物件は確認申請時に構造計算書の添付は不要であり、仕様規定と呼ばれる簡単なルールの中で構造設計が行われ、その大部分は設計者の経験と判断に任されているのが現実。その一方でユーザーに対し建物の安全性・信頼性を証明しようと構造計算を行い、その結果をユーザーに示す住宅会社も徐々に目に付くようになってきた。
 
確認の四号特例廃止などに対応
20090205_3_2.jpg 構造計算は建物の安全を維持できるかを検証すること。計算により基礎と地盤を正しく評価したり、必要とされる壁の量やバランス、部材の大きさや耐力といった断面性能を定量的にチェックする。
 しかし、構造計算の実務は、入社したゼネコンで覚える場合がほとんど。同社の手塚社長は「構造計算書の作成業務を行っている人たちの中には、手計算による設計を1回もしたことがない、現場での納まりを知らないなど、ただソフトを動かすだけの人が存在することも事実。"構造計算ソフトを使用し計算ができる=構造を理解し計算ができる"とはならない」と語る。
 一方で法規は、瑕疵保証・保険の義務化や、住宅性能表示制度が関わってくる長期優良住宅法、実施時期が検討されている四号物件の確認特例廃止など、構造計算書偽装事件以降次々に改正・施行されており、これらの対応は急務。
 トリプルJスクールは住宅・建築関連法に対応するとともに、構造計算実務を習得する場とし、構造計算のインストラクターもできる人材の育成も視野に入れて構造計算実務の徹底指導を行う考え。
 
段階的にスキル向上
 具体的には、同社オリジナル構造計算プログラム・STRDESIGNJ(富士通FIPとの共同開発)を用い、構造計算未経験者やユーザーを対象に木質構造計算やプログラムの入力を学ぶ「基本編」、実践的な構造設計ができる能力が身に付き、建材・流通関係業者の社員のスキルアップにも役立つ「実践編」、構造計算の実務・指導と確認申請に必要な書類作成まで行えるよう指導する「インストラクター編」と、レベルに応じた3つの講座を用意。段階的なスキルアップが可能となっており、それぞれ4日間、山下部長を始め年間1000棟近くの構造計算実績を有する同社のスタッフが、札幌市南区の同社社屋で少数精鋭・マンツーマンで指導。各講座とも受講後には修了証を授与する。
 昨年12月に第1回目として福井県、埼玉県、長野県より8名が受講。費用は最小限の負担で済むように考えているという。将来的には各都道府県に1~2社、良い建物を造って社会資産にしていこうという考えを持った賛同者が運営する分校を作ってネットワーク化し、同スクールを修了したインストラクターがビジネスとして構造計算実務や構造設計者の育成に携われるようにすることも考えているそうだ。
 同社の手塚社長は「これから住宅会社が生き残っていくために、構造計算、構造力学、構造計画を勉強したいというニーズは多く、第1回目の開催以降、かなりの数の問い合わせが寄せられている。事前にプログラムの操作の予習があり、受講中も復習を目的に宿題が出るなど、かなり学習密度の濃い4日間になるが、それだけ高い能力を身に付けることができる」と話している。
 問い合わせは同社本社(Tel.011・573・7779、FAX.011・573・7811、担当/門馬)へ。
 
(写真上...昨年12月に行われた第1回目のスクールの様子、写真下...スクールの受講者に授与される修了証)


2009年02月05日号から

09年着工予測 北海道:3万1千戸台も/全国:100万戸割れ

 昨年の10月以降、景気が大きく落ち込む中、09年の幕は開けた。08年の住宅着工は、北海道が4万戸割れの3万9014戸、全国は109万3485戸。景気の急減速による影響が本格化する今年は、北海道が3万1千戸台、よくても3万4千戸程度になりそう。全国でも100万戸割れは確実、最悪で90万戸割れという事態も想定しておかなければなるまい。
 
数値以上に重苦しい空気
 100年に一度と言われる未曾有の経済危機を受け、住宅受注もエンドユーザーの計画延期などの影響で大きく冷え込んでおり、それが今年から着工減少のかたちで本格化する。
 所得減などによってマイホームに手が届かなくなっている北海道・東北に加え、首都圏から東海、関西地方では高額住宅の受注が止まったと言われており、数字以上に不況感がただよっている面もある。しかし、金融危機から始まった大不況からいつ抜け出せるのかのメドが見えない状態では、住宅や自動車といった高額商品の販売向上は年内は難しいとの見方が強く、そうすると一時的であれ、戸建てやマンションのマイホームはさらに冷え込み、賃貸も需給のミスマッチが解消するまでは調整局面に入ると見るべきだろう。
  
北海道:持家1万戸の大台を割る懸念も
 北海道では持家が10から15%低下して9800戸台から1万500戸程度。貸家は15から20%低下して1万6000戸台から1万8000戸程度。分譲は15から25%後退して4400戸から5000戸程度。
 このうち木造は戸建て(持家)とアパート(貸家)が中心だが、単純に市場が2割消えて前年の8割規模になると、淘汰は必死だ。
 分譲マンションについては販売低調だった昨年をさらに下回る可能性が指摘されており、積み上がった在庫調整のために新規の供給はかなり減ると見られている。ハッキリしない部分もあるが、2割の減少は避けられないだろう。
 
全国:10万戸以上の大幅減か?
20090205_1_2.jpg 全国ベースでは、100万戸割れはほぼ確実。問題はどの程度で下げ止まるかという線だろう。平成19年は前年比で約23万戸減少した。平成9年は同じく前年比で25万戸あまり減少した。こういった階段を踏み外したような大幅減少は10年に一度だとしても、10万戸を上回る減少の可能性も高い。
 仮に持家が10%、貸家と分譲が15%低下すると、前年比14万戸減の約95万戸となる。
 アメリカの住宅着工の落ち込みはもっと激しい。もちろん不況の中心、金融恐慌の震源地がアメリカの住宅ローンだから、着工減、価格下落は当然だとしても、年率換算で50万戸台。この夏までは底打ちしないと見られている。


2009年01月25日号から

検査済証が未交付、融資受けられない現場も

20090125_2_1.jpg (株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)ら5社が防耐火認定を取得した仕様とは異なる仕様の樹脂サッシを製造・販売、あるいは認定仕様と異なる試験体で認定を取得するなどの不正を行っていたことが今月8日明らかになり、認定を取り消される事態となった。不正は、最も古い製品では平成8年まで遡るという。
 防耐火認定を取り消された樹脂サッシを採用した住宅の現場がどうなるのか、まとめてみると、1.建築中の現場の場合、完了検査は通らない、2.場合によっては外壁や内壁を剥がしてでも交換作業を行う、3.費用は仮住まい費も含め全額メーカー側が負担、4.具体的対応内容については、現在メーカーとユーザーの間で交渉中、となる。改修に伴う費用などは各メーカーではこれから算定するとしており、業績への影響は計り知れない。
 問題の樹脂サッシは、戸建住宅では準防火地域に用いられるもので、ガラスは網入り、枠内に防火用の遮炎材などを補強して通常商品よりも防耐火性能をアップさせている。認定試験を受ける際に、遮炎材を増強するなど認定仕様と異なる不正を行い、さらに販売時に認定仕様と異なる仕様で販売した製品もある。
 道内戸建住宅では、エクセルシャノン、三協立山アルミが既に各サブユーザーへ訪問してお詫びと事後対応の相談を行っているが、道内はユーザー数が多いために対応に時間がかかりそうだ。道内ハウスメーカーでは、(株)土屋ホールディングスなど3社がホームページ上でエンドユーザー向けに告知を行っている。
 怒りがおさまらないのは当該サッシを採用し完了検査直前だった現場の担当者。「完了検査が下りないだけでなく、銀行も融資が実行できないと断ってきた。引き渡し日も延期となり、結局お客さまから怒られるのは我々だ。何の落ち度もないのになぜこんな目に遭うのか」と話す。
 別の住宅会社では、「完了検査の担当者からは、『御社には何の落ち度もないのにたいへんお気の毒ですが』と言って完了検査が通らないことを通知された。無償改修といっても、引渡日が大幅に伸ばせないお客さまの物件なので、どうしたらいいのか」と困惑を隠せない。
 
(写真...防耐火認定を取得した樹脂サッシのガラスは、すべて網入り(三協立山アルミのカタログから))

緊急の対応策
20090125_2_2.jpg 緊急の対応として、外付けの防火シャッターを付けて完了検査をクリアし融資実行ができる体制をまず作り、その後についてはメーカーと住宅会社でじっくり話しあうという案も浮上している。
 エクセルシャノンの親会社、(株)トクヤマの広報は「無償改修とは、改修工事の間仮住まいが必要ならばその費用も含めて負担するという意味ととらえている」と話している。これまで樹脂サッシ普及のトップリーダーとして市場をけん引してきた会社を含めたおよそ8万窓に及ぶ不正だけに、その衝撃は大きい。
 
(写真...防火試験で『スペシャル仕様』の試験体が使われたことが発覚した(エクセルシャノンのカタログから))


2009年01月25日号から

4月に住宅展示場/1/13に地元連携の決起大会

20090125_1_1.jpg 函館地区の工務店グループ「イーハウジング函館」が4月に、函館市美原に住宅展示場をオープンさせる。
 展示場は1年間公開しその後売却する。このほど専門工事業者100名以上を招き決起大会を開催した。
 
(写真...総合展示場の計画パース)

函館の一等地で共同集客
 イーハウジング函館は、平成15年に函館地区の地元工務店、メーカーなどで結成した住まいの研究グループ。
 一昨年は北斗市追分で土地を共同購入・21区画造成し、デザインコードや全棟北方型住宅、全棟オール電化住宅などのルールを決めて販売。数区画を残すだけというところまで売るなど、大きな成果をあげている。
 今回の住宅展示場は、地域に根差した住宅会社が、質の高い住宅を提供するというメッセージをエンドユーザーに強く伝え、各社の受注に結びつくように、連携して営業活動を行うための拠点として企画された。
 建設地は函館市の美原2丁目で、産業道路から赤川通り(道道347号)を北に向かって1キロほどの場所にあり、周辺にはツルハドラッグやビッグハウス、ニトリ、長崎屋、イトーヨーカドー、渡島支庁などがあるエリア。
 函館市内でも有数の交通量を誇る道路沿いの約1800m2の敷地の一部を利用。バス停留所もある土地価格の高い場所だが認知度を高めるためにあえて立地にこだわった。

5社5棟をオープン!
 モデルハウスを出展するのは渋谷建設(株)、(株)マルサ佐藤建設、(株)ハウザー、(株)葛西建設、(有)ノースランドホーム(山野内建設)の5社。
 プランニングにあたっては、各社各様のモデルハウスを出展する一方、建築位置指定線・壁面線や植栽、屋根は5寸勾配で切妻とするなどデザインコードの統一や全棟オール電化住宅、北方型住宅認定を受けることなどの条件を設定し、「サスティナブル」「街並み」「高性能」など統一メッセージを発信する。
 工務店グループが「競合」を覚悟で協力しあうため、各社の担当者が自社以外のモデルハウスをエンドユーザーに案内しながら営業することをお互いに認める方針。また各社が共同で宣伝・イベント開催などを行い、地域への発信力・信頼感を高める計画だ。

決起大会に約100名
20090125_1_2.jpg 1月13日、北斗市総合文化センター「かなでーる」で、このプロジェクトに関する構想発表会が開催された。当日はイーハウジングのメンバーに加え、取引関係のある専門工事業者から約100名が出席した。
 基調講演では当社編集長白井康永が、道南の主要2市での5年間の持家着工戸数が5割近く減少していると述べたうえで「近年は性能訴求型のメッセージがエンドユーザーに届かない状況だ。パターン化した工法・デザインを訴求するタイプの住宅会社の倒産も目立っている。非現実的な暖房費の削減量をうたった信頼性の低い効能訴求型メッセージもあふれている中で集客手法の見直しが不可欠」と述べたうえで、協力業者も含めた今回の取り組みにエールを送った。
 同会会長の渋谷旭氏(渋谷建設社長)は「地場工務店は今こそ生き残りをかけたチャレンジが必要。力を合わせて展示場で集客しメッセージを発信する。協力業者の皆さんとも一緒に生き残れるようにお互いに力を合わせたい」と述べた。
20090125_1_3.jpg 副会長の川村伸之氏(ハウザー社長)は「追分サスティナブルビレッジは650組が来場し22棟の受注に結びついている。我々は5年間で114回の正式な会議を開催した団結力の強いグループ。各社の年間受注の半分以上がグループの活動経由で実現でき、グループ全体では、函館ナンバーワンの住宅受注ができる日も近いと思う。そのためには消費者に知っていただくこと、そして地元工務店ならではの圧倒的な商品力が必要だ。コストダウンの手法を見出した協力会社との間で、建材・工事の一括発注を行い、大手ハウスメーカーに負けない価格競争力も付けていきたい」と強調した。
 なお、詳細に関しては今後も本紙およびイーハウジング函館のホームページで紹介の予定。
 
(写真上...約100名が参加した決起大会の会場  写真下...「工務店と協力会社が連携した生き残りを実現する」と強調する渋谷会長)


2009年01月15日号から

暖房費のジェットコースター

 08年は急激なエネルギー価格の高騰のあと、反転して急激な下落があり、灯油はピークで8月にリッター135円を記録したあと、暮れには60円台に下落した。北海道や東北といった寒冷地では、住宅で使うエネルギーの半分以上を暖房が占める。こういったエネルギー価格の乱高下になるべく影響されない安定した家計を実現するために、どのような手法が必要になるだろうか。

石油製品乱高下の果てに
090115_1_1.gif 灯油価格は06年からリッター80円前後で推移し、07年の年末に一気に100円前後に上昇。その後さらにピークまで駆け上る。
 灯油がリッター80円になると電気熱源のほうが割安感が出て、オール電化が進んだ。さらに100円になると、「もう灯油暖房の時代は来ない」と考える関係者が多くなっていた。
 住宅のセールストークには「光熱費を○○万円削減」などの文字が躍り、省エネ性能がウリの1つになった。
 ところが昨年8月後半から価格は急落する。12月には60円台まで下がり、今年1月以降、電気料金の値上げが決まっていたこともあり「やっぱり灯油が割安」という話も出てきた。灯油ピーク時期がいわゆる非需要期だったこともあり、サイフはさほど痛まなかったともいわれている。
 高騰と急落を経験して09年以降、良識的な住宅会社はどのような提案をするといいのだろうか。
 円高と世界的な需要後退で原油は急落したものの、エネルギー価格は長期的に高値が続くといわれている。しかし現状はむしろ安い。今は灯油が安くても、また高騰する可能性を含んでいる。

目標水準は1.3~1.0W
090115_1_2.gif 現状では『安いから灯油(電気)』という勧め方はできない。家計の安定を第一に考えれば、価格が乱高下しにくいのは電気と都市ガス、灯油は多少なりとも買いだめができる市況製品であり、住宅の省エネ化によって高騰時の出費増大を抑えた上で採用する方法がある。
 次に、暖房費を抑えるためには家を小さくする、断熱性能を上げる、高効率機器を採用する―といった手法があるが、高効率機器の省エネ性が温暖地ほど上がらない寒冷地では、まずは断熱強化が必要になる。
 グラフのように140m2の札幌の住宅で、灯油価格が82円台からピークまで上昇すると、約10万円の出費増になる。
 こういった不安定さを抑えるのが断熱強化だ。断熱を強化しておけば、エネルギー価格が高騰しても出費を抑えることができるほか、快適性や環境親和を優先してやや割高なエネルギーを選んだときも、ランニングコストを抑えることができる。
 北海道では現在、北方型住宅ECOレベルのQ値1.3W~1.0Wがひとつの目標水準となっている。この程度であれば大幅な工法改良やコストアップなしに達成できることを、北方型住宅ECOモデル事業で多くの住宅会社が実感した意味は大きい。
 今後はこのレベルが北海道の標準になる日が来るだろう。そのときまではエンドユーザーに推奨高断熱レベルとして提案し、その効果を説明して理解を得る必要がある。


2008年12月05日号から

省エネ政策まとまる

09年度以降 全体の水準底上げ

住宅省エネ基準と住宅性能表示制度評価方法基準の改正案、そして年間150戸以上の建売住宅を建設する業者を対象とした住宅事業建築主の判断の基準案(トップランナー基準案)が相次いで国土交通省から発表された。今後のシナリオとして、トップランナー基準案を元にした省エネラベリング制度の導入などが考えられそうだ。
20081205_3_1.jpg
気密省き断熱に特化
 このほど国交省から発表されたのは、1.住宅省エネ基準の「建築主の判断基準」と「設計・施工の指針」の改正案、2.品確法に基づく「住宅性能表示制度評価方法基準」の改正案、3.新設された建売住宅業者対象の「住宅事業建築主の判断の基準案」の3つ。いずれも政府案であり、パブリックコメントを募集中で、内容が変わる可能性もある。
  1.の住宅省エネ基準改正案については、一般に次世代省エネ基準と呼ばれている平成11年基準から各地域ともQ値に変更はなく、気密性能(相当隙間面積)、気密層施工、暖冷房、換気量などの基準が削除され、断熱性能と省エネ性能(暖冷房負荷)だけを規定する案となっている。
 もちろん、断熱材本来の性能を発揮させるためには壁内結露を防ぐ防湿・気密層の施工や気流止めが欠かせない。壁体内結露対策に関しては2.の性能表示評価方法基準案の中の省エネルギー対策等級で新たな項目が追加・拡充されており、決して気密化はやらなくていいという話ではない。
  3.は年間150戸以上の建売住宅を建設する業者を対象としたトップランナー基準案で、断熱性能と設備機器の効率を総合的に評価する。2013年を目標年度に、平成11年基準を満たす躯体に現時点での一般的な設備機器を設置した住宅と比べ、一次エネルギーで10%削減できる省エネ性能の達成状況を報告するよう定めている。もし、この水準に満たない場合、省エネ性能向上の勧告や業者名公表、罰則といった措置が取られることもある。

20081205_3_3.jpgまず11年基準クリア
  単にこれらの基準案を見ただけでは、住宅省エネ基準はむしろ後退、性能表示は任意、トップランナー基準は一定規模の建売業者対象ということで、多くの住宅会社には「関係ない」と思える。
 ただ、道立北方建築総合研究所環境科学部主任研究員の鈴木大隆氏は「地球環境のためには、まずすべての住宅の断熱水準をボトムアップすることが急務。その時に達成してほしい最低水準は平成11年の住宅省エネ基準であり、今回はその普及を図るための改定。そして事業主基準(トップランナー基準)は将来の住宅省エネ基準の一つのひな形になっていくだろう」と話している。
 住宅分野での省エネ化・CO2削減を進めて行くためには、注文住宅など業界の一部だけでなく、全体の断熱水準を上げることが必要。そのためにはボトム対策として断熱化が遅れていると言われる建売住宅や賃貸アパートなど小規模な集合住宅の断熱性能をいかに上げるかがカギになる。
  そこで国交省ではボトム対策として、トップランナー基準を含む改正省エネ法によって、建売住宅と小規模な集合住宅を、それぞれ省エネ規制のアミにかけると同時に、トップランナー基準と省エネラベリング制度の連動などを考えているようだ。
 具体的には、改正省エネ法で新たに平成22年4月から300m2以上2000m2未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出を義務付けることによって、等級 3(平成4年基準相当)にも及ばないと言われている多くの小規模集合住宅の省エネ性能引き上げを図る。そしてさらに改正省エネ法に追加されたトップランナー基準により、2013年度までアパートと同様に高断熱化が遅れている建売住宅の省エネ水準を高める考えだ。

20081205_3_2.jpgラベリング制度は中小に追い風
 一方、省エネラベリング制度は、家電製品でおなじみのもので、国が定めた省エネ目標値=トップランナー基準を達成しているかどうか、達成率はどのくらいかなどを表示したラベルを製品に貼付する仕組み。
住宅版の省エネラベリング制度は、建売だけでなく注文住宅なども対象にしてトップランナー基準を運用することが考えられる。このかたちで始まると、今まで省エネに熱心に取り組んできた中小の住宅会社にとっても追い風となりそうだ。

TR(トップランナー)基準は高水準
 今回発表されたトップランナー基準案を見ると、達成するのはそう簡単ではない。基準で使われる一次エネルギー消費量は地域ごとに躯体の断熱性能と、暖冷房、給湯、照明、換気との組み合わせで計算するようになっており、仮に高効率設備を使わない場合、Q値は熱交換換気を含まずにⅠ・Ⅱ地域で1.4W、Ⅲ~Ⅴ地域で1.9Wなどとする必要がある。
 なお、同基準では北海道を道北・道東中心のⅠa地域と、道央・道南中心のⅠb地域に分けているが、国交省のホームページに掲載されている断熱と高効率設備の組み合わせから判断すると、例えばⅠa地域では標準プランをもとに一定の条件で算出した一次エネルギー消費量の基準値に対し、断熱性能が平成11年の住宅省エネ基準以上であれば熱交換換気との組み合わせで基準相当の性能レベルになる。

20081205_3_4.jpg一次エネ消費量は熱源・設備で一変
 ただしこれらの例は石油を暖房・給湯熱源に使った場合。Ⅰa地域で給湯の一次エネ消費量は、石油・ガス熱源の従来型給湯機に対し、電気熱源のヒートポンプ式電気温水器だと若干少なくなるが、ヒーター式電気温水器では2倍以上に増加する(いずれも節湯機器、太陽熱温水器ともに無い場合)。これは暖房も同じ傾向で、生だきのオール電化住宅にとっては厳しい条件となる。
 北総研・鈴木氏は「一次エネルギーで10%削減は決して低い目標ではなく、例えば断熱と設備の組み合わせなら平成11年の住宅省エネ基準(等級4)レベルの断熱とし、高効率給湯・節湯機器の導入、または地域によるが熱交換換気の導入など。断熱だけでクリアしようとすれば北海道ではQ値1・4W、本州なら同 1・9Wの断熱を行う必要がある。いずれにしても相当高いハードルだが、住宅の省エネ化を本当に実現していくためには、今後こういう考え方をトップランナー基準適用対象外の住宅会社にも認識してもらうことが重要になる」と話している。


2008年11月15日号から

ドイツの環境政策 フライブルク・村上氏が講演

7割省エネを達成

20081115_1_1.jpgドイツ・フライブルク市に住む環境ジャーナリストの村上敦氏を招いて7日夜、札幌市立大学サテライトキャンパスで環境を考えるセミナーが開かれた。
  環境政策で世界をけん引するドイツにあって「環境首都」と呼ばれる同市は、早くから環境政策を推進。1995年から計画が始まり昨年に工事が完了したヴォーヴァン地区は既存住宅地に比べ使用エネルギーを7割削減した省エネで快適な団地として有名だ。
  村上氏は同市とヴォーヴァン地区について、環境政策の概要を2時間あまりにわたって説明、集まった60名近くの市民、建築家、学生らは最後まで熱心に耳を傾けた。
  同市は1992年比で2010年に交通や電気・熱などエネルギー使用を25%削減する目標を立てたが、2006年現在で7%しか減っておらず目標を修正。達成年度を2030年とした上で目標を40%削減に上積みした。
  この目標を達成するためには、『節電・節約』の取り組みではとうてい足りない。エネルギーを7割削減したヴォーヴァン地区はそのためのリーディングケースであり、窮屈な生活を強いることなく目標を達成するための方法として国内外から視察が相次いでいる。
 CO2削減のための費用対効果を見ると、最も割安なのが省エネルギー、次いで高効率化。ソーラー発電などの自然エネルギーは費用が高い。コストの安い方法から取り組もうとすると、既存住宅の断熱改修(省エネ)のほか、発電の効率改善のためにコージェネの導入、バイオマス燃料の利用、これらによって排出される熱を地域暖房に利用する方法が効果的だ。
 また、交通の面では、チョイノリや通勤に自家用車より電車や自転車を使いたくなる仕組みを作り、無理なく輸送エネルギーを削減している。

20081115_1_2.jpg財政難だからこそ実現した
 住宅単体としては、地区内すべてが集合住宅で、技術としては、エクステンシブ屋上緑化と呼ばれる軽量・ローコストの屋根緑化、フジ(南側)やツタ(北側)を活用した壁面緑化、パッシブソーラー技術と高断熱化など、ローテクの集合体だ。
  質疑応答の中で村上氏は、「フライブルクは夕張市一歩手前の貧乏市であり、コストの制約は大きい。その中でどう合理的で環境に優しいまちづくりを進めるかということを考えてきた歴史がある」と説明した。


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