新聞記事
2012年01月25日号から
国の24年度予算概要
ゼロエネ・地域木造に補助
国土交通省など各省庁では、平成24年度政府予算案が閣議決定されたのを受け、各種施策等をまとめた予算概要を発表。このうち住宅関連では中小工務店が建てるゼロ・エネルギー住宅や、地域の住宅・木材関連業者がグループで提案する地域ブランドの長期優良住宅に対する補助事業が目玉となりそうだ。
ゼロ・エネ化推進事業
中小の取組に最大165万
高性能設備関連も対象に
住宅を対象とした来年度の補助事業の一つとして注目されるのが、国交省と経産省の共同事業となる「住宅のゼロ・エネルギー化推進事業」。
この事業は国交省担当分と経産相担当分に分かれており、国交省では中小工務店によるゼロ・エネルギー住宅の取り組みに対し、1戸あたり最大165万円を補助。経産省はハウスメーカーも含めてゼロ・エネルギー相当となる高性能設備機器とHEMS(ヘムス)など制御機器の組み合わせに補助を行う(補助額未定)。予算枠は国交省担当分が23億1千億円、経産省担当分はビル等への補助も含めて70億円。
ちなみにここでいうゼロ・エネルギー住宅とは、躯体の断熱性向上と高性能設備機器の導入でエネルギー消費量を大幅に削減したうえで、必要なエネルギーは太陽光発電など再生可能エネルギーでまかない、年間の一次エネルギー消費量を概ねゼロにするというイメージだ。
事業の詳細は現在検討中だが、いずれも補助要件にあう住宅を募集して補助を行う予定。募集時期は24年度予算が国会で成立した後になるが、国交省担当者によると「年度が変わった後になりそう」と話しており、設計時のエネルギー消費量を試算するツールの提供も検討しているという。
地域型住宅ブランド化事業
グループで仕様等提案
木造の長期優良に100〜120万
国交省の補助事業で、中小工務店が建てる木造の長期優良住宅に100万〜120万円を補助する木のいえ整備促進事業のリニューアル版となるのが、「地域型住宅ブランド化事業」だ。
この事業は地域の原木供給者、製材工場、プレカット工場、建材流通事業者、建築士、中小工務店などで構成するグループから、その地域の住宅生産システムの共通ルール等に関する提案を募集し、採択されたグループの中小工務店が建てる木造の長期優良住宅に1戸あたり最大100万円(地域材使用で120万円)を補助。予算枠は大規模木造建築物に対する別の補助事業とあわせて90億円。
事業内容を検討している国交省担当者によると、「グループについては原木供給者や製材工場、プレカット工場など中小工務店以外の事業者は原則1社以上加わってもらいたい。中小工務店については一定数以上参加していることが必要」と話しており、募集する〝住宅生産システムの共通ルール等〟は、現在様式を作成中だが、国交省の資料を見ると、共通化した仕様や積算、施工、維持管理などの提案が想定される。
募集時期は他の補助事業同様に国会での24年度予算成立後となるが、「可能であれば今年度内に募集を行いたい」(国交省担当者)としている。
中古へのフラット35適用拡充も
このほか、国交省では、必要なリフォームを行うことでフラット35の融資基準に適合する中古住宅であれば、購入・リフォーム後にフラット35の融資が可能となる仕組みを導入。経産省では今年度第3次補正予算の範囲内で太陽光発電や蓄電池、HEMSなどの導入に対する補助を実施するほか、家庭用燃料電池(エネファーム)にも今年度を上回る90億円の予算を計上している。

①ゼロエネ住宅イメージ...ゼロ・エネルギー住宅のイメージ
②地域型ブランド住宅補助...地域型住宅ブランド化事業のイメージ
2012年01月05日号から
省エネ性能への意識と標準仕様
住まいの提案、現在と近未来
昨年3月11日に発生した東日本大震災以降、わが国は電力不足によりエネルギー政策の面で大きな転換を迫られ、住宅分野でもさらなる省エネ化が避けられなくなってきている。しかし、そのことがすぐに住宅性能の向上につながるかどうかは、住宅会社の仕様提案にかかっているとも言える。この問題を住宅会社は現在どう考えているのか。本紙では道内・道外あわせて105社の協力を得て調査を行った(一部建材設備メーカー等も含む)。
Key①「長期優良住宅」
3割がすでに標準
まずはじめに、平成21年6月に制度化され、国の補助や各種税制優遇の要件にもなっている長期優良住宅への対応を見てみたい。
長期優良住宅は、昨年まで長期優良住宅先導事業に採択された北方型住宅ECOモデルや、今年住宅・建築物省CO2先導事業に採択された北方型省CO2マネジメントシステム構築プロジェクトで認定取得が義務付けられているほか、最大100~120万円の補助が受けられる木のいえ整備促進事業でも必須要件の一つ。
道内では昨年11月までに認定を受けた戸建住宅が累計5千戸を突破。来年度に予定されている木のいえ整備促進事業後継の補助事業も長期優良住宅が前提条件となるなど、国の住宅政策のキーポイントになっている。
また、耐震等級2(倒壊等防止)を標準とする長期優良住宅を建設すると、建築基準法相当の耐震等級1には戻れないという声も出ており、住宅会社にとってはこれからの家づくりを考えるうえで、長期優良住宅の標準仕様化もテーマの一つとなりそう。
そこで今回の調査で、今年長期優良住宅を標準仕様にするかどうかを聞いたところ、『すでに標準仕様』が28%、『これから標準仕様にする』が4%と、あわせて全体の約3分の1が標準仕様として考えている。中でも道南では半数がすでに標準仕様としている。
標準仕様にする理由としては「最低基準と認識している」(道央)や「補助や税制優遇のメリットがあり、他社との差別化にもなる」(道南)など、長期優良住宅がすでに基本になっているという認識や、インセンティブを挙げる住宅会社が目立った。
ただ「標準仕様だが認定申請するかはお客様次第」(道央)、「認定申請費用は別途お客様から頂くこともあり、半数程度は認定を行っていない」(東北)など、認定についてはユーザー次第という住宅会社も多い。
(2面以降は見本紙・試読をご請求ください)
(伝言欄に「1月5日号から希望」とお書き添えください)
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2011年12月15日号から
再開エコポイント続報
新耐震適合が条件
15万P加算の耐震改修工事
国土交通省では、今年度第3次補正予算で再開された「復興支援・住宅エコポイント」で、リフォームのポイント発行対象として新たに加わった耐震改修の要件を公表した。
それによると、昭和56年5月31日以前に着工した住宅を対象とし、窓や床・外壁・天井などの断熱改修と併せて、現行の耐震基準(新耐震基準)に適合させる耐震改修を行うことが条件となる。すでに新耐震基準に適合している住宅は対象外。
ポイント発行申請時には、提出書類として①耐震改修ポイント発行申請書②復興支援・住宅エコポイント用耐震改修証明書、住宅耐震改修証明書(所得税用または固定資産税用)の写しのいずれか③工事現場写真―の3つが必要。
②の書類は建築士事務所に所属する建築士または性能評価機関が発行することになるが、住宅耐震改修証明書は地方公共団体と指定確認検査機関でも発行可能だ。工事現場写真は、戸建住宅であれば筋交いや構造用合板の設置、筋交い端部への接合金物設置、基礎の増し打ち、水平構面の補強などの工事中の状況を撮影したものとなる。
リフォームでもらえるポイントは、断熱改修やバリアフリー工事、省エネ設備機器の設置、リフォーム瑕疵保険への加入をあわせて最大30万ポイントだが、耐震改修を行う場合は、それとは別に15万ポイントが発行されるので、もらえるポイントは最大45万ポイントとなる。
また、耐震改修と同じく新たにポイント発行対象となったリフォーム瑕疵保険への加入については、ポイントの発行対象となる工事について、㈶住宅保証機構や日本住宅保証検査機構など国交省指定の住宅専門保険法人が取り扱う瑕疵保険に加入することが条件。
このほか、1月中旬で調整中だったポイント申請受付開始日は、来年1月25日で決定した。
詳しくは住宅エコポイント事務局(tel.0570・200・121)へ。
ホームページ・http://fukko-jutaku.eco-points.jp/
(写真)耐震改修...耐震改修でのエコポイント申請では、筋交い設置や水平構面補強など工事中の写真も必要に
2011年12月05日号から
神奈川 キーアーキテクツ
自宅改修で大きな手応え
改修版パッシブハウス基準目指す
パッシブハウスジャパンの代表理事でキーアーキテクツ社長の森みわ氏が自宅の断熱改修を進めており、外部工事を終えて11月末に入居した。完成は年内の予定。
森さんからこの春に改修話があることを聞き、興味を持っていた。というのも、面白い改修事例だからだ。
第1に、この家は賃借物件でオーナーとの新しい契約によって森さんの費用でリフォームする点。賃貸借物件をお互いの負担少なく断熱改修するという仕組みが面白い。
第2に、建築家の設計だが機能性を失って不動産価値もなくなった物件を再生する点。機能を回復させることでよい部分をよみがえらせるのは、建築家物件、古民家に共通するくくりとして面白い。
第3に、いろいろな事情により、改修したのは3戸のうち1戸だけという点。所有者が異なるタウンハウスで、合意がとれずに1戸だけ改修する例はほかでもありうる話だ。
透明断熱材なども活用
物件はRC造外断熱で、築28年。設計した建築家は、エコ住宅へのチャレンジを試みたが、結果は今ひとつで、室内はカビと結露、漏水がひどく、おまけに黒アリが巣を作っていることがわかった。1階は倉庫にもならない状況だったという。それでも改修しようと考えたのは、ユニークな設計が森さんもオーナーも気に入っていたから。
目標は、パッシブハウスの省エネ改修基準であるEnerPHit(エナフィット)をクリアする暖冷房負荷25kWh/m2。国内2棟目としてドイツに申請する予定。
金銭面では、70㎡弱の既存延床面積を80m2弱に増築した上で1000万円であげること。
RCの外断熱は、一部をはがしてみたところとても再利用できる状態ではなく、すべてやり直した。一部に冬場の日射取得を増やす目的で透明断熱材を採用(Sto・シュトー)。
1階は土間コンの上に真空断熱材を敷き込んだ。RC造の改修の場合、床面断熱は大きな課題となるが、真空断熱材は1つの解決策になると森さんは見ている。今回はプレカット価格などの面でドイツ製を利用。
既存壁に開口部を設けた部分は、周囲に炭素繊維による補強を行った。
プールとなっていた屋上防水はすべてはがし、木造で小屋組みしてセルロースで断熱(マツナガ)。空間はロフトとして利用する。
このほか、開口部は奈良県の杉集成材をドイツでサッシに加工した木製トリプルサッシ、暖房は蓄熱式薪ストーブ(2階)と床暖房(1階)、換気は熱交換換気(ジェイベック)。屋根にはプロパンガスボイラーにつながる太陽熱温水パネルを設置している。
借家人が改修する新方式
オーナーとの約束では、改修費は森さん持ち。ただし10年間の家賃は固定資産税分のみ。10年後は現状復帰させずに居抜き返却。賃借中の10年間は森さん側の又貸しを認める。
オーナーの費用負担なし、森さん側はおおむね家賃並みの工事費負担のみ。10年後に、オーナーは価値が回復した物件を手にすることが出来、一方森さん側は住環境の改善に加え個性的な生活を楽しむこともできる。
森さんは、「新築以外の既存住宅、賃貸住宅の住環境と断熱性の改善も大きな課題。費用負担や枠組み、隣家対策などが重要になるので、今回はどのくらいの費用で収められるか、改修に適した建材や工法は何かを検証しながら工事を進めていった。また、カビや結露で悩む家を建替以外の方法で解決が可能か、という点では大きなチャレンジだったが、断熱改修によって機能の回復は可能だと自信を持った」と話している。
2011年11月25日号から
第2回北方型住宅賞 最優秀賞は中札内の家
Sa design設計、大野建設施工
北海道建築指導センターと道が主催した「第2回北方型住宅賞」の表彰式が、去る14日に札幌市内のホテルで行われ、最優秀賞を受賞した十勝・中札内村のS・H邸オーナーと設計のSa design office一級建築士事務所・小倉寛征代表(札幌市)、施工の大野建設・大野圭市社長(幕別町)を始め、各賞を受賞した住宅のオーナー・設計者・施工者に賞状と副賞が贈られた。
この表彰は、北方型住宅のよりいっそうの周知と建設促進を目的に実施。今回は平成18年度に続く第2回目となり、7月から〝気候・風土を活かし、地域によって育まれ、豊かな住まいづくりを実現している北方型住宅〟を募集。道内38市町村から112軒の応募があり、最優秀賞1軒、優秀賞3軒、奨励賞6軒が選出された。
このうち最優秀賞に選ばれた中札内村のS・H邸は、昨年度建てられた北方型住宅ECO。延床面積約30坪の平屋で、東西に延びる23mの廊下によって各部屋同士のつながり感を持たせた細長い形状・プランが特徴となっている。
設計を行ったSa design office一級建築士事務所の小倉代表は「中札内の自然のいいところも厳しいところも感じられ、田園風景になじむ水平基調の外観にするとともに、子供の成長や変化に対して家族みんなが話し合いながら造り変えていける住まいを目指した。最優秀賞は嬉しい」と話しており、施工を担当した大野建設の大野社長は「最優秀賞受賞は光栄。冬に完成現場見学会を行った時、快適な室内から吹雪の戸外が非現実的な世界に見えて感動したことがあるが、それだけ当社にとっても印象に残る住まい」と語っている。
このほか各賞を受賞した住宅は次の通り。
▼優秀賞=札幌市S・N邸(メグロ・アーキ・スタジオ設計、拓友建設施工)、室蘭市K・M邸(一級建築士事務所エネクスレイン設計、小松建設施工)、伊達市O・M邸(M&M ASSOCIATESおよび須藤建設SUDO設計の共同設計、須藤建設SUDOホーム施工)▼奨励賞=厚岸町H・R邸(一級建築士事務所ATELIER O2設計、サトケン施工)、札幌市N・T邸(アトリエアーキファースト㈱設計、江田建設施工)、七飯町D・K邸(奈良建築環境設計室設計、山野内建設施工)、長沼町S・K邸(トロッコ一級建築士事務所設計、大平洋建業施工)、旭川市T・K邸(柳雅人建築設計工房設計、橋本川島コーポレーション施工)、札幌市O・Y邸(アーキシップ・アソシエイツ設計、ハウジング光陽施工)


2011年11月25日号から
3次補正予算成立
エコポイント再開へ フラット35S金利優遇も
今年度の第3次補正予算案が今月21日に成立する見込みとなった(11月19日現在)。これにより住宅エコポイントやフラット35Sの金利引下げ幅拡大が再開になるとともに、太陽光発電などのエコ設備機器導入に補助を行う節電エコ補助金もスタートになる予定だ。
住宅エコポイントは今年7月末の着工・工事着手をもって終了していたが、東日本大震災被災地の復興支援に重点を置いた制度として再開。新築は今年10月21日着工分から、リフォームは今月21日分から対象となり、新築は15万ポイント(被災地は30万ポイント)がもらえ、太陽熱利用システムを設置するとさらに2万ポイント加算。リフォームは最大で30万ポイントで、耐震改修も行う場合は最大で45万ポイントがもらえる。
フラット35Sの金利引下げ幅拡大は今年9月末申込分をもって終了していたが、省エネ性に優れた住宅を「フラット35Sエコ」と称し、当初5年間の金利を0・7%(被災地は1・0%)引き下げる(4面参照)。
このほか家庭用の太陽光発電や燃料電池、蓄電池、HEMS(ヘムス)の導入に補助を行う節電エコ補助金も創設。このうち太陽光発電と燃料電池は、すでに今年度実施されている補助制度を継承する形となる。
いずれも詳細は次号(12月5日付)に掲載予定。
2011年11月05日号から
200mm厚以上の時代へ
超高断熱の納まり
札幌版次世代省エネ基準の策定や東日本大震災によるエネルギー不足などを背景に、外壁200mm以上の超高断熱に取り組む住宅会社が増えてきた。また、道内の研究者からは「これからは最低200mm断熱が必要」との声も聞く。今後の省エネや節電、CO2排出量削減などを考えても、超高断熱化はこれからの住宅の方向性の一つ。ここで200mm以上の超高断熱壁体の納まりをチェックしてみたい。
在来 充てん+外付加100mm充てん+外付加100mm
内側付加で配線空間確保も
在来木造住宅では、すでに5年以上前から200mm断熱に取り組む住宅会社があり、現在見られる在来の超高断熱化もその納まりをベースとしたものが中心だ。
ここでスタンダードな200mm断熱の納まりをおさらいすると、軸組屋外側に構造用合板を張り、その上から455mmピッチで断熱下地となる105×30mmの間柱材や204材を縦使いまたは横使いで施工。その下地の間に付加断熱材を充てんし、透湿防水シートを張ってから外装仕上げを行う方法が一般的。
早くから200mm断熱に取り組んでいる新濱建設(旭川市、新濱壽男社長)では、この納まりでさらにロックウールボード25mmを付加して225mm断熱とし、PVCサイディングを通気層なしで直張りする納まりを採用している。
なお、NPO新住協代表理事で室蘭工業大学教授の鎌田紀彦氏は200mm断熱の室内側に防湿気密層の上から45mmの付加断熱を行い250mm断熱とする納まりも提案。内側付加断熱層のスペースを利用することで、気密層を壊さず配線・配管が施工できるメリットがあるとしている。
ただ、この場合も含めて断熱材を内付加する場合は、通常の設計より付加断熱材の分だけ外壁を屋外側にオフセットするなど、室内空間が狭くならないよう設計を工夫することが必要になってくる。
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2011年10月25日号から
札幌版次世代住宅基準
市民・モデルハウスに来年度から補助
札幌市は、今年3月末に最終案を取りまとめた「札幌版次世代住宅基準」について、新築で4段階、リフォームで3段階の断熱・気密性能レベルを設定し、新築は来年度から市民向けとモデルハウス向けの補助制度を開始する。
札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として昨年から制度内容を検討。6回にわたる技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)で基準案がまとめられ、同市では今年度、普及促進に向けた支援策などの制度設計を行った後、本格的な基準運用をスタートさせる考えを示していた。
新築の基準はベーシックレベル(Q値1・3W以下、C値1・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、1・0以下)、ハイレベル(同0・7W以下、0・7以下)、トップランナーレベル(同0・5W程度、0・5以下)という4つの性能レベルを設定。これらに適合する住宅・モデルハウスを建てる市民・住宅会社に補助を行う。
補助額はまだ明らかになっていないが、モデルハウス向けは次世代省エネ基準からのコストアップ分が補助額となる予定。市民向けは各性能レベルに応じて補助額を変えるかどうか、これから検討するとしている。補助件数は、平成26年度まで市民向けとして279件、モデルハウス向けとして16件をそれぞれ見込んでいる。
なお、モデルハウスについては建設する住宅会社を一般公募する予定。東区東雁来の住宅団地・ウェルピアひかりのでまとまった区画を用意し、マイホームセンターのような総合住宅展示場形式とする構想だ。

リフォームへの補助は今後の課題
リフォームの基準はベーシックレベル(同1・4W以下、2・0超え5・0以下)、スタンダードレベル(同1・0W以下、2・0以下)、ハイレベル(同0・8W以下、2・0以下)の3段階に設定。現在すでに省エネリフォームを対象としたエコリフォーム補助制度が行われていることもあり、同基準によるリフォームへの補助は未定で、同市建築部建築企画課では今後の検討課題としている。
このほか、基準に適合する住宅には性能レベルを表したプレートの設置や、Q値・暖房エネルギー消費量などを記載した性能保存シートの発行によるラベリング制度を導入することによって、資産価値の向上とブランド化を図る計画。
これらの制度内容の詳細が正式に決定・公表されるのは、来年1月下旬頃になる見込みだ。
同市では今年3月に策定した札幌市温暖化対策推進ビジョンの中期目標である「2020年にCO2排出量を1990年比で25%削減」を達成するためには、同基準の普及促進が不可欠であるとし、2020年までに新築は100%同基準に適合させる考え。その内訳はベーシックレベルが60%、スタンダードレベルが30%、ハイレベルおよびトップランナーレベルが併せて10%と想定している。
2011年10月15日号から
ヘムス(HEMS)
スマートハウス研究 (その3)
これまで2回にわたってHEMS(ヘムス)について誤解を恐れずに解説してきた。そこから、未来はすごいが現状は発展途上ということが見えてきたと思う。最終回となる今回は、スマートハウスの現状と今後の見通しについて考えたい。
東京でスマートハウス見学
9月28~30日にかけて東京で恒例のジャパンホームショーが開催、特別企画として「スマートハウス・エコハウス・次世代照明特集」が組まれた。積水ハウスは、同社が横浜に建設した「観環居」(かんかんきょ)と呼ぶスマートハウス実験住宅で採用している技術をパネル展示したほか、ヘムスのデモンストレーションを行った。
そこでは、消費エネルギーの「見える化」だけでなく、離れて暮らす両親の消息や町内会の電子回覧板などのコミュニティー機能、最寄り駅の電車の時刻表示など、インターネットとも融合した「家庭用ポータルサイト」とでも言うべき表示内容だった。
しかし、同ショーではほかに目立った展示は見られなかった。急きょ横浜市内に移動してスマートハウスのモデルハウスを見に行ったが、「観環居」は平日非公開のため見学できず、住友林業が公開しているスマートハウスを見に行った。
このスマートハウスは住宅展示場のモデルハウスとしての位置づけが重視されており、エネファームや蓄電池は稼働しない『模型』扱い。さらに、ヘムスの家電コントロールも節電のためエアコンなどの元コンセントを抜いているということで動作状況は見学できなかった。スマートハウスの実態がなかなか見えてこない。
カギ握る「最適化制御」
月が改まって、今月4日から8日まで映像・情報通信技術の総合見本市「CEATEC(シーテック) JAPAN2011」が千葉・幕張で開かれ、初日にパナソニックの大坪文雄社長がスピーチを行った。その中で創業100周年に向けた同社の方向性の1つとして述べた内容がまさにスマートハウスと言えるものだった。
それによると、ヒートポンプ機器などの『省エネ』、太陽光電池や燃料電池で電気を生み出す『創電』、その電力を大容量蓄電池や電気自動車のバッテリーに貯め込む『蓄電』、そしてこうした創電、蓄電の状況やタイミングを見極め、家庭内のエネルギー使用状況をモニターしながら最適な節電のアドバイスまで行うヘムスに代表される『最適化制御』、この4つを提供できるのが同社だという。それは、スマートハウスの中核技術そのものだ。
そして今、大手ハウスメーカーや通信・家電・コンピューターメーカー、自動車会社などが束になってこの4つを融合させようとしているのがスマートハウスの現状と言える。
実用化には課題も
しかし、もう一方ではマスコミのセンセーショナルな報道に動じる必要はないと感じた。というのも、規格の統一やシステムのコンピュータウィルス対策、蓄電池とヘムスの連携、低価格化など、実現にはいろいろ課題があるからだ。
ここで予想されるのは、ヘムスと太陽光発電、低コスト蓄電池など現実的に実現可能な技術だけを抜き出して「○○式スマートハウス」のようなものが乱立する可能性。一時期の『健康住宅』ブームのようになり、混沌とした状況になるかも。
こうした混乱の中でも、消費者から住宅会社への問い合わせも徐々に増えてくることが予想される。
ヘムスがお手頃に
スマートハウスに必要な4要素をそれぞれ検討してみると、ヘムスが一番採用しやすいと言える。NECが既に10万円以下の機種を発表するなど、低価格化が進んでいるためだ。元は、太陽光発電状況をモニタリングする機器として始まったため歴史もあり、分電盤を専用品に変えてモニターを取り付けるというレベルなら採用しやすいと言える。
省エネに関しては次世代省エネ基準よりも上の性能レベルが求められるが、技術的には問題ない。創電も太陽光発電については、実用化されて年数が経っているのでハードルは価格以外にはあまりないと言える。
問題は蓄電。現状では蓄電池の単価が高く、家庭で使う1日分の電力をバックアップするのに100万円でも足りないぐらい。しかも、蓄電池の寿命は5~10年程度と言われているため、ランニングコストを考えるととても実用的とは言えない。電気自動車の活用も言われているが、電気自動車そのものが発展段階で、普及率も非常に低いために手を出すのはリスクが多い。
スマートハウスの現状はこのように黎明期という感じだが、政府の政策次第で主流になる可能性もある。今後の動向から目が離せない。
画像
ジャパンホームショーで展示された積水ハウスのヘムス
2011年10月05日号から
変わるハウスメーカー地図
タマ・一条進出の影響を探る
札幌に本州大手のタマホームと一条工務店が進出してきたのが平成20年。潜在需要の活性化を期待する声がある一方で、受注競争の激化を不安視する声も多く、その動向に多くの住宅会社が関心を寄せた。それから3年。両社の進出で札幌の業界勢力図にはどのような変化があったのか。タマホームの全道展開が加速したのを機に検証した。
8社がランク外に
タマホームは平成20年に札幌に進出してから、苫小牧にロードサイド店の営業所を開設、一条工務店は北海道マイホームセンター札幌会場に続き南会場にも出店。その後は両社とも主立った動きは見られなかったが、9月下旬にタマホームが札幌北、旭川、帯広、函館のマイホームセンターに相次いでモデルハウス兼営業拠点をオープン。道北・道東も営業エリアとなり、道南は苫小牧から函館までカバーする体制が整った。
それでは札幌の住宅市場は両社の進出でどうなったのか。
平成22年の札幌市内戸建専用住宅確認済棟数上位30社のデータを、両社が札幌に進出する前の平成19年と比べてみると、残っているのは24社。8社がランク外となっており、新たにタマホームと一条工務店を含む7社がランクインしている。ランク外となった住宅会社は平成20年に経営破たんした松本建工と旧木の城たいせつを除くと、年間30~40棟クラスの住宅会社で21~30位に位置していた。逆に新しくランクインした7社はタマホームと一条工務店を除き、いずれも年間30~40棟クラスの地場住宅会社。このうち2社は創業10年未満の若い会社だ。
このように年間30~40棟クラスの住宅会社で入れ替わりはあるものの、比較的新しい住宅会社も出てきていることを考えると、それ自体はタマホーム・一条工務店進出の影響と言い切れない。
中堅クラスが混戦模様
一方で、年間50棟以上の上位20社の順位変動が激しい。
特に目に付くのは、トップがかわったこと。しかもそのトップはタマホームが進出した当時、最も影響を受けるのではないかと言われていた住宅会社だ。
また、上位20社の中でも11~20位、棟数で見れば年間50~100棟クラスの住宅会社のアップダウンが激しく、平成19年に11~20位に入っていた住宅会社10社のうち、22年には8社が入れ替わっている。同じランク内に入っていたのは僅か2社のみで、3社はトップ10内に入り、4社は21位以下にダウン、残る1社は経営破たんした。
タマホームでは札幌市内を含め全道展開をさらに加速させる構えを見せており、このほど進出した地方都市でもどのような市場の変化が起こるか注目されるところだ。
平成19年と22年の札幌市内戸建専用住宅確認申請済棟数ランキングは、試読をご請求ください。
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2011年09月25日号から
ヘムス(HEMS)スマートハウス研究 その1
2年後にはヘムス標準化
最近、ヘムス(HEMS)、スマートハウスという言葉を聞くようになった。大手ハウスメーカーは「ヘムス標準装備」の商品を発売したり、スマートハウスの実証実験などが動き出している。工務店の関心も一部で高まっている。ただ、正直、得体が知れないところもあり、遠くで眺めている気分の方も多いのではないか。今号から少々乱暴に「ヘムス」「スマートハウス」に迫ってみたい。
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2011年09月05日号から
間取りに影響を与え始めた
料理しないキッチン
住宅は家族のくつろぎの城であり、主婦は台所仕事や洗濯など家事負担を軽減する間取りと設備を望む。ところが、それでも家事が十分にできない実態や、そもそも「料理はしない」というホンネもあるという。家事をやりきる建前や理想と同時に、やりきれない実態やホンネもしっかりくみ取ることが、重要になってきているのではないか。
働くお母さん10年で10%増
仕事を持つ女性が25~34歳の既婚者で大きく増えている。厚生労働省の最新の統計によると、2010年の仕事を持つ女性と就職を希望する女性をあわせた労働力人口の生産年齢人口に占める比率(労働力率)は、10年前の2000年に比べ年代別の30~34歳で最も上昇している(約11ポイントアップ)。
これを既婚者と未婚者に分けてみると、伸びのほとんどが既婚者で、30~34歳と25~29歳がともに10年前のおよそ10ポイントアップ。実際に働いている人の割合である就業率で見ても、いずれも5割を超えた。10年前と比べ、やはり10ポイント程度アップしている。
さらに、既婚者に子どもがいる場合はどうかという視点で見ると、子どもがいる場合にも25~34歳の女性の就業率は数ポイント上がっている。
統計上は、子育て世帯で共働きが増えているということが言える。
また国も25歳~44歳までの女性の就業率を9年後の2020年までに73%とする目標をかかげており、共働きの増加は止まらないだろう。
夕食を調理する時間がない
このことは家事と家計にかなりの変化をもたらすと考えられる。家事にかける時間が不足する一方、家計の中での女性の経済力強化が進むことになる。これは総じて家庭内での女性の発言力強化につながる。
インターネットポータル・ヤフージャパンの「Yahoo!知恵袋」お料理Q&Aという掲示板サイトでは、「夜ご飯の調理時間は」という質問に対し「短くて1時間半、ほぼ毎日2時間。朝・昼・夜と1日6、7時間はキッチンに立ってる計算になる」がベストアンサーとなっている。
ところが東京電力「TEPCOくらしのラボ」が昨年8月に東電管内の自分で調理をする20代~60代の女性2060名を対象に行った調査では、調理時間は朝食が5~20分、夕食が30分~1時間という回答が多い。
理想は2時間だがそんな時間はとれない。となると、おかずを1品減らすか減らさず購入するかいずれかになる。
おかずを購入するのは子育て世代だけではない。60代以降の女性が台所に立つ時間の平均は、現在20分であると語るのがフードプロデューサーで食のプロデュース会社・(株)カルナ社長の小畑友理香氏。夕食の品数を3品とすれば、そのうち2品のお総菜を購入するのは、調理時間からみて当然だという。
東電の調査によると、外食は減っていることが明らかだが、それは必ずしも調理することを意味せず、総菜の購入、レンジで「チン」の簡単調理傾向も見て取れる。
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2011年08月15日号から
外野席
8月15日号の編集会議の内容についてぶっちゃけ話を。8月に"札幌圏だけが突出して景気がいい"という記事を企画していたが、「感じ悪くね!?」という意見が大勢を占めボツになった。しかし、それがかたちを変えて今回の1面と、3面のインタビュー記事「あの人に聞きたい」につながった。マンションデベロッパーで供給ナンバーワン、クリーンリバーの永沼常務だ。
スタートは、全道的に悪くはないものの札幌圏は突出して好景気であるという点。しかし、じつはその理由が今ひとつわからない。そこで注目したのが『新築分譲マンションの供給が落ちている』という点だった。当然、いままでならマンション用地になった宅地が戸建てミニ開発向けにかわり、市街地で戸建て供給が増える結果、マンション顧客を戸建てが取り込んだという仮説だ。この仮説を検証するためにも、いま最もマンション供給力があるクリーンリバーに取材しようということになった。
そういう背景で1面と3面記事を読んでいただくと、新しい発見があるかもしれない。例えば「最近は3LDKが中心」とか来年のマンション供給見通しとか。
2011年08月15日号から
道内堅調、32,000戸も
2011年住宅着工見通し
3月11日に起きた東日本大震災によって、今年の着工予測はきわめて難しくなっている。住宅着工が止まったのは被災地だけでなく、東日本全体に及んだからだ。さらに電力供給能力が低下したことにより、建材類の生産に大きな影響が出た。それにもかかわらず、北海道の住宅着工は比較的堅調で、中でも持家については昨年後半からの好調を持続している。
昨年後半から持家が好調
まずは左中の棒グラフを見てほしい。持家着工戸数の月別伸び率をグラフにしたもので、北海道を現す赤の棒が去年の後半からずっと高いことがわかる。ピンク色の全国が震災影響と思われる落ち込みを見せている間も成長を持続し、6月には10%成長に迫った。
この調子で成長が続くと、2011年計では持家が1万2500戸前後、住宅着工全体で3万800~3万3000戸ということになり、年初の予測通り3万戸超えはほぼ確実だ。
貸家の動きが今ひとつだったが、6月は1月以来5ヵ月ぶりに14%成長。分譲はマンションの着工が増えており、すでに1800戸近い。1年間で2000戸以上の着工になることは間違いない。
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2011年08月05日号から
バリアフリーリフォームの提案方法
講師 西代明子
自立した生活のために
最近は30年前のようにバリアフリーと聞いただけで嫌な顔をするお客様がいなくなりました。それだけ一般的になったということでしょう。
歳をとっても住み慣れた我が家に住み続けるため、バリアフリーリフォームを希望する方も増えています。50~70代前半が中心ですが、40代の方からの相談も。工務店にとっては営業の切り口として提案しやすい時代になったと思います。
一方でクレームも増えています。夢いっぱいで始めたリフォームが悲しい結末を迎えないためのポイントを、私が日頃実践していることを交えながらお話しします。
「不便」を見つけ出す
バリアフリーに限らず、リフォームは住まい手が不便に感じていることをどれだけ見つけられるかで満足度やリピート率が違ってきます。
外構を含めた建物全体と生活の様子をよく観察し「何に困っているか」を想像力を駆使して探し出すことが大切です。
例えば浴室をリフォームする場合。お風呂に直行するのではなく、まず外廻りを見ます。敷地内の段差や物置の位置から家に出入りするところや雪かきの道具を取りにいく場面を想像してみましょう。提案の幅がグッと広がるはずです。
この段階で工事車両の駐車スペースはあるか、庭木がじゃまにならないかなども判断します。お客様に事前に伝えておけば、あとで駐車場代が発生したり、大事な花を踏んづけてしまったりといったトラブルを防ぐことができます。
建物の中に入ったら、階段のそばの古新聞の山や和室の長押に掛けっ放しの洋服を見逃さないでください。「しまう場所がないか、収納が使いにくい」ということです。
トイレも我慢せずにお借りして手すりはあるか、寒くないかをチェックしましょう。
私はお宅に伺う前に「片付けないで下さい」とお願いします。整理整頓されたら日常の不便さが見えなくなるからです。『ありのまま』の生活を見せていただく方が多くの情報が得られます。
住む人が暮らしやすく
バリアフリーリフォームを望む60歳くらいの方の自宅は築20~30年、1階は居間と客間、水廻り、2階は寝室と子ども部屋という間取りがほとんど。夜中に階段を下りてトイレに行くのが億劫な方も多いようです。
それなら1階の客間を遊ばせておくのはもったいない。実際お客様が泊まることは滅多になく、床の間にハンガーや金庫などが置かれている家もたくさんあります。
客用布団を入れる押し入れと床の間をクローゼットに改造し、寝室として使う方が住む人にとって、ずっと暮らしやすく安全な家になります。仏間の幅を少し狭くすれば、下着やタオルを入れる収納も確保できます。
2階の子供部屋も「子育てが終わったんですから自分たちのために使いましょう」と提案してみては。夢だった書斎を還暦を過ぎてから実現するのもいいと思います。
2階に寝る場合は寝室の近くにトイレを造るか、安全に1階に行けるよう階段を緩やかにし、手すりを両側に設置する必要があります。就寝前に薬を飲む方は2階にも小さな洗面台か流し台があると便利でしょう。
医療の専門家との連携
通院、あるいは入院中の人がいる場合は現在の身体能力やどういう介護が必要なのかを知っておかなくてはなりません。
進行性の病気であればリフォームしても近い将来、対応できなくなるかもしれないことを見越した提案をします。
手すりだらけにするのではなく、体の状態に応じていつでも付けられるように下地を施工。お客様を傷つけないよう「転ばぬ先の杖で下地を入れておきます」という切り出し方がいいでしょう。
医師や看護師、ケアマネージャー、お金や制度の専門家との協力体制も不可欠。わかったつもりで全てを仕切ると、住む人にとって不幸な結果を招きます。
施工会社の方には福祉住環境コーディネーターの勉強をおすすめします。リュウマチなど代表的な病気の症状や対応方法についての基礎知識が身につき、より適切な受け答えが出来るようになります。営業面でもプラスになるでしょう。
あったかリフォーム倶楽部2011年総会記念講演会から
2011年07月25日号から
網走にパッシブハウスタウン
2012年春に着工
ドイツ発祥の省エネ住宅で、日本各地でも建設が始まっているパッシブハウス基準による「オホーツク・スロービレッジ」(略称・OSV)が、道東の網走市内で計画されている。来春には第1棟目の住宅が着工する予定だ。
ゼロカーボンで15~20棟
オホーツク・スロービレッジは、国内初のパッシブハウスを設計した森みわさん(東北芸術工科大学客員教授)を代表とするオホーツク・スロービレッジ(株)が建設を進めているもの。
国内初のパッシブハウスは神奈川県鎌倉市に建設され、今年1月には茨城県で2棟目が竣工。現在も福岡や奈良などで建設が進められているが、同社では冬期に厳しい気候条件にさらされる北海道・オホーツク地域に建設することで、パッシブハウスが有する高い快適性と省エネ性を実証し、その必要性を住宅業界関係者から一般ユーザーまで広く知ってもらおうと、網走での建設を検討してきた。
場所は、冬には流氷がやってくる同市北浜の海に近い高台にある約2万1千坪の牧場跡地で、自然のままの草木や花が生い茂っており、オホーツク海と知床連山を見渡せる絶好のロケーションに位置する。計画案ではこの土地にカーボンニュートラルを目指した15~20棟のパッシブハウスを建設する。面積上はさらに棟数を増やすことも可能だが、各住戸からの眺望を十分確保するとともに、豊かな自然環境をできる限り残すため、棟数を絞って各住戸間にゆとりを持たせたマスタープランとする考えだ。
統一感のある景観づくりのため、ビレッジのデザインコードには省エネ性能のみでなく、仕上げ材料のルールなどもデザインを制限しない範囲で盛り込まれる予定。道南杉によるシダーシェイクの外壁仕上げなどがその一つとなる。
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(伝言欄に「7月25日号から希望」とお書き添えください)
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2011年07月25日号から
札幌市 宅地開発の方針転換
1区画165m2以下認める
札幌市は、都市計画法に基づく開発行為の許可基準である「札幌市開発許可等審査基準」と「札幌市宅地開発要綱」を8月1日から改正する。
平成19年の都市計画法改正により、市街化調整区域での大規模開発許可の基準が廃止され、市街化調整区域での大規模開発ができなくなった。また、札幌市では平成16年に「都市計画マスタープラン」を制定し、市街化区域をこれ以上広げず、増加する人口も市街化区域内に誘導することを表明している。
以上により、これまで大規模開発を想定していた「札幌市開発許可等審査基準」と「札幌市宅地開発要綱」を見直すことになった。今回の見直しでは、既存市街地の宅地開発を促進するため、1.宅地開発に伴う道路整備要件の緩和、2.1区画あたりの宅地面積要件の緩和、3.開発に付随する公園整備に例外規定を設ける―の3点が目玉となっている。
1.は、宅地開発を行う場合、道路幅8m以上の整備を一律に求めていたが、既存市街地では道路幅が6m程度の地域も存在し、既に建築物が並んでいるため、場合によっては6m以上でも認めることになった。2.は、市街化地域で容積率400%など地価が高い地域での宅地開発を促進するため一律1区画165m2以上としてきた指導を見直す。3.は、これまで150m2以上の公園整備を求めてきたが、500m2以上の整備を求める方向に強化した。一方で、周囲に相当規模の公園が存在する場合は、公園の整備を求めないという例外も設けた。
問い合わせは、札幌市都市局市街地整備部宅地課(011・251・2512)。
2011年07月15日号から
暖房エネルギー4-7割減
PCM蓄熱材実用化へ
PCMという特殊な蓄熱材を塗り壁材に混ぜ、日射でオーバーヒートした室内の熱や生活排熱を蓄熱・放熱させることにより、暖冷房エネルギーの大幅削減を実現する「アイウォール(iWall)システム」の研究・実証実験が、開発者の北海道職業能力開発大学校・石戸谷裕二教授(工博)らによって進められている。昨年には実験住宅が8棟建設され、4~7割の暖房エネルギー削減効果が実証された。
道職能大・石戸谷教授が検証
アイウォールシステムは、一定の温度を境に蓄熱・放熱を行う性質を持つPCM蓄熱材を利用したもので、木造の高断熱・高気密住宅に高い蓄熱性を持たせることを目標として、石戸谷教授が5年前から研究を開始。PCMを石こうプラスターや漆喰、珪藻土などに混ぜて左官で室内の壁や天井に施工する「アイウォール―p」、PCMを混ぜた塗り壁の中に温水を通すマットも一緒に塗り込む「アイウォール」、そしてさらに壁面設置の太陽熱集熱器や地中へのパイピングによって再生可能エネルギーを有効利用する「アイウォール―e」という3種類のパターンが考えられており、このうち「アイウォール―e」は、大学校内の実証実験棟で検証を行っており、これから2棟の実験住宅の建設が予定されている。
室内壁の8割に蓄熱塗壁材
昨年建設・実測が行われた実験住宅8棟は、3棟が「アイウォール―p」、5棟が「アイウォール」。 このうち7棟は札幌圏、残る1棟は神奈川県横浜市に建設された。
仕組みとしては、室内壁面積の約8割にPCM混入の塗り壁材を採用。冬期の日中に日射熱や生活排熱などで室内がオーバーヒートして室温が25℃を超えると、塗り壁に混ぜたPCMが蓄熱を開始、逆に夜間は室温が25℃を下回るとPCMが蓄熱した熱を放熱することで、室温を25℃に保つようになっている。
「アイウォール―p」は暖房に一般的な温水パネル式セントラルヒーティングを使うが、「アイウォール」は30℃の低温水による放熱マットを組み合わせることで、さらなる省エネ化と暖冷房負荷のピークシフトを図る。
放熱マットは3×6尺サイズで、部屋の大きさが6帖なら1枚、8~10帖なら2枚使用し、温水は低出力の空気熱ヒートポンプで作る。
Q1.4で暖房灯油550リットル
実測調査によると、「アイウォール―p」を採用した住宅は、同じ熱損失係数=Q値の住宅と比較して暖房なしでも室温を高く維持できる(自然温度差が2~3倍)。そのため年間暖房エネルギー消費量は4割削減することができ、延床面積40坪程度でQ値1・4Wなら、灯油550リットルくらいで済む。
「アイウォール」は、暖房エネルギー消費量を最大で約7割削減。年間暖房灯油消費量は270リットル程度に収まる。春秋の暖房端境期でも室温は22~25℃の間で安定しているため、年間を通して暖房期間は約1ヵ月間短縮。30℃の低温水を使うため、ヒートポンプとのマッチングも良く、定格出力2kWの製品で間に合うなど設備容量を抑えることにもつながる。
一方、「アイウォール―e」については、建物南面の壁に3×6尺サイズの集熱器を設置し、冬期は太陽熱で作った温水を放熱マットに循環させて暖房を行う。夏期は基礎のフーチング上に配管したパイプから地中熱で冷水を作って冷房に使う仕組み。使用するエネルギーは温水を循環させるポンプの電気代のみ。
実証実験棟で検証したところ、壁面の集熱器は窓からの日射取得を利用するより約2・3倍の暖房エネルギー削減効果があることがわかったほか、夏期は外気温が35℃に達する日でも室温は26℃ほどで推移していることが分かり、最小のエネルギーで屋外の環境の変化に左右されない室内環境が実現可能になると、石戸谷教授は見ている。
施工コストは、「アイウォール―p」が1棟あたりの施工面積150m2として70~80万円。「アイウォール」は一般的な温水パネルヒーティングと同等のコストを加算した金額、「アイウォール―e」は壁面の太陽熱集熱器と給湯用のタンクをセットで70万円ほど、地中熱のパイピングに15万円ほどのコストを加算した金額を想定している。
分厚い断熱せずに高省エネ
石戸谷教授は「現在の住宅は1980年代初めから高断熱・高気密化によって省エネと室内環境の改善を進めてきたが、これから無暖冷房やパッシブハウスレベルまでの性能が求められるようになった時、例えば在来工法で壁に400㎜もの分厚い断熱を施工するのが適当なのかどうか。それならQ値1・3~1・6レベルの躯体にアイウォールシステムなどの蓄熱技術を加えれば、断熱の納まりで無理しなくても高い省エネ性と快適な室内環境が得られる。経済的にも10年以下で償却できるメドが立ってきた」と話している。
アイウォールシステムの問い合わせはアイウォール研究会事務局の日和住設(tel011・665・1410)へ。
写真:
「アイウォール」の施工。放熱マットをPCM混入の塗り壁材で塗り込んでいる
グラフ:
「アイウォール」を施工した実験住宅と、施工していない住宅との年間暖房熱量比較。実験住宅では最大7割程度の削減となっている
2011年07月05日号から
太陽熱で給気予熱
北総研 福島明さん
東日本大震災以降、太陽光発電など自然エネルギーの有効利用に関心が高まっている。この中で太陽熱利用は、エネルギー変換効率は太陽光発電よりも上だと言われながら道内ではほとんど普及していない。そこに北方建築総合研究所(北総研)企画調整部長の福島明さんが、新しい提案をしている。20万円のイニシャルコストで年間1000kW以上のエネルギーを取得し、10年程度で投資コストを回収できる提案だ。
ローテク生かす家づくり
福島さんはパッシブ換気システムの研究などで知られるが、その根っこにあるのは「大手住宅会社にはできない地場工務店ならではの家づくり」を考えることだという。
大手住宅会社は、工場でパネルを生産し、現場であっという間に組み立ててしまう。目指すのは、規格化・商品化された「手離れの良い」家づくりだ。これに工務店が対抗するためには、同じようにハイテク化を目指しても勝てないという。
「私はあえて『手離れの悪い技術』を考えています。パッシブ換気システムがそうです。手離れが悪いということは、引き渡し後も工務店が顧客と関わり続けるという意味です」と福島さんは言う。たとえば外装材でもあえて木材を使うという選択肢がある。ハイテクではないので壊れにくく、メンテすることで確実かつ長期的な効果を期待できる。
太陽熱の利用も同様。屋根等に載せて使う給湯器タイプと壁付けして集熱した空気を使う補助暖房タイプがあるが、福島さんが注目しているのは補助暖房タイプだ。
利用法と取付方法で性能を向上
もっとも、高断熱・高気密住宅と太陽熱補助暖房の相性はあまり良くないとされてきた。熱が欲しい朝夕は日射が期待できず、日射がある昼などは場合によってはオーバーヒートする可能性があるからだ。
もう1点の課題は暖房として使うには取得熱の温度が最低でも30℃程度必要になるという点だ。30℃までの温度がとれないと冷風になって使えないので、せっかく取得した太陽熱もムダになってしまう。
そこで福島さんは別の手を考えた。「基礎断熱した床下空間に太陽熱で作った温風を取り入れれば給気予熱用熱源として使うことができる」というのだ。晴天の日は床下空間が緩衝帯となってオーバーヒートを緩和できる。曇りの日は少しの温度上昇も予熱用のエネルギーとして活用できる。パネル1台なら全体の換気量にはほとんど影響を及ぼさない。
検証はこれからだが、取付方法の工夫と給気予熱に転用すれば高さ2m×幅70cmの集熱パネルで年間1000kW以上の熱を取得できる可能性があるという。取付費込みで20万円ほどかかるが、10年程度で元が取れる計算だ。
検証に使う製品は、(株)マツナガ(本社東京都)の「ソーラーウォーマー」。デンマークで開発された太陽熱利用の補助暖房だ。同様の原理を持つ製品は他にもあるが、最大の特徴は温風を室内に導入するファンの動力がパネルに内蔵された太陽電池でまかなわれること。したがって電源を確保する必要がない。
CO2削減量は熱交換並み
「パッシブ換気と併用すれば、商用電源を全く使わずに高性能な熱交換換気システムと同等のCO2削減効果が得られる」と期待している。熱交換換気システムが札幌で熱回収できる量は年間2000kW程度。これに運転にかかる電気代が1時間あたり平均60Wとして年間500kW程度かかるので、その分を差し引けば年間1500kWとなる。さらにCO2削減効果をトップランナー基準のように一次エネルギー評価で見ると、熱交換換気システムと太陽熱集熱は同等レベルだ。
ソーラーウォーマーは、さらに給湯に利用できる機種もあり、年間給湯負荷の15%をまかなえる可能性がある。
この後、今年度中に設置方法や使い方などを検証する予定だ。
ソーラーウォーマーの取付例(マツナガ)
2011年05月25日号から
ひじり野・南あいの里、MHC札幌など大型は好調
GWの集客
住宅景気を占ううえで毎年重要な指標となるのがゴールデンウィークの集客数。今年は特に東日本大震災で消費マインドの低下も懸念される中、フェアやイベントで集客を図ったニュータウンや総合住宅展示場の来場者数はどうだったのか。北海道マイホームセンター札幌会場に話を聞くとともに、去る12日に行われた北海道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で不動産市況アナリスト・外城忠昭氏が報告した道内各地の集客状況を紹介する。
マイホームセンター札幌
家族連れ中心に増加
道内外のハウスメーカー22社・23棟のモデルハウスが並ぶ道内最大規模の総合住宅展示場・北海道マイホームセンター札幌会場では、4月29日(昭和の日)から5月5日(こどもの日)までの期間中、スタンプラリーやふれあい動物園のほか、仮面ライダーショー、道内初登場のすべり台遊具・パイレーツスライダーなどのイベントを実施。天候にあまり恵まれなかったにもかかわらず、来場者数は前年比1割増と好調だった。
子供向けのイベントが中心だったこともあり、来場者は子供がいる家族連れがほとんど。特に仮面ライダーショーやふれあい動物園が人気だったと言い、東日本大震災による自粛ムードの中で安近短志向となったユーザーも取り込んだようだ。
同会場の担当者は「昨年と同じくらいの来場者を見込んで各種のイベントを用意したが、最終的には1割増と昨年を上回る来場者数となった。天気が悪かった中ではいい結果だと思う」と話す。
なお、札幌市内の他の会場については、森林公園会場と南会場が昨年並み。北会場はやや減ったが、「昨年のゴールデンウィークはオープン時期と重なって来場者数が多かったこともあり、単純に減ったわけではないと見ている」(札幌会場担当者)。
ニュータウン
客足鈍く平均20組
一方、土地・建物の分譲を行っているニュータウンはどうだったのか。道住宅都市開発協会・札幌商工会議所共催の研修会で、多くのニュータウンを見て回った外城氏の報告をまとめると次のようになる。
●フェア・イベント内容...集客のためのイベント等は以前と比べて激減し、非常に少ない。ただ、やる気がなかったわけではなく、各住宅会社が来場者に対応するため個々に設置しているテントは増えている。イベントは移動動物園が目立ち、ふわふわ遊具もいくつかのニュータウンで用意していた。あとは屋台や縁日などで、特に変わったものはなかった。
●集客状況...イベントの減少・マンネリ化により、多くの来場者を集めたニュータウンは少なく、平均20組程度。50組来場すれば札幌圏では5本の指に入る。個別に見ると旭川に隣接する東神楽町・ひじり野ガーデン「花都心」が1000組を超えたほか、札幌の「南あいの里」が500組、「ライブヒルズ」が250組を数えた。「花都心」は24社24棟の最新モデルハウスが公開され、よさこいや太鼓演奏などの各種イベントも充実、「南あいの里」は24社28棟のモデルハウスを公開するなど新しいモデルを一ヵ所でたくさん見ることができる点が好調な要因。「ライブヒルズ」は新たに2棟のモデルが建ち、大手が集客に力を入れていることがプラスになった。
このほか千歳の「サンシャインガーデンあずさ」で200組、苫小牧の「スマイルタウン沼ノ端」で100組の集客。
●来場者の特性...やはり子育て世代が多い。ただ、これらの世代に付き添う両親は一度も見なかった。両親は子供の住宅取得に援助できなくなってきているのではないか。また、子供が産まれる前の夫婦や婚約中のカップルなど子育て予備軍の増加も目立った。
このほか、数は少ないが高齢の単身者や夫婦も目に付いた。子供が独立して定年退職した後に、憧れのマイホームに挑戦したい人や、リフォームを望んでいる人が、モデルハウスを参考にし、できれば依頼する住宅会社も見つけられたらと考えているのでは。
景品目当てや冷やかし消えて中身濃い客残る
報告の中で外城氏は「ほとんどのニュータウンは集客数が期待外れだと思っているだろうが、景品目当てや冷やかしがいなくなり、家を建てる意欲のあるユーザーが残っただけのこと。むしろ意欲の低いユーザーが消えたことで住宅会社はしっかり対応でき、フォローもしやすい。実際に現地で住宅会社の担当者と話をしている時もゴールデンウィークにモデルハウスを見に来たユーザーから契約を決めたという連絡が入るなど、短期間で受注に結び付いたケースもいくつか出ている。このゴールデンウィークの来場者は、成約率がかなり高いと考えていい」と、集客数は少なくても中身の濃いユーザーが多いことを強調している。
写真
北海道マイホームセンターでは札幌市内各会場でふれあい動物園を開催。子供たちに人気のイベントとなった(写真は北会場)
2011年04月05日号から
硝子繊維協会が推奨
24Kから高性能16Kへ置換で増産・省CO2効果
グラスウールメーカーで組織する硝子繊維協会は、北海道内で主力断熱材の1つとして使用されている24K(高密度)グラスウールを高性能16Kに置き換えることを推奨していく。
24K品と高性能16K品の断熱性能は同等。一方、使用するガラスカレット量の違いなどにより、高性能品に置き換えることにより年間生産量を約700t増やすことができる増産効果に加え、製造工程におけるCO2発生を年間1000t削減できるという。
断熱材は密度を高くすることで断熱性能を引き上げることができるが、高性能グラスウールはガラス繊維を細く密にすることで密度を変えずに同等の性能を実現できる。施工性の面でも優れている。これまで道内では24K品と高性能16K品が出回っており、住宅用断熱材と
してはかなり高性能品に切り替わっているが、24K品も3割程度あるという。
そんな中、昨年から断熱材の不足が全国的な問題となり、今年3月に起きた東日本大地震によって、今後再び断熱材の品薄感が広がることも予測される。
また、国を挙げたCO2排出削減の動きもある。
24K品を高性能品に置き換えることで得られるメリットは多く、増産効果に加えCO2削減量は杉の立木7万5360本が1年間に吸収する量に匹敵するという。
同協会はハウスメーカー・工務店・商流に対して4月以降、高性能16K品への置き換えを推奨していく考えた。
詳しくは各硝子繊維メーカーへ。
2011年04月05日号から
震災の着工影響(北海道)
年計で1万戸維持
東日本大震災による空前の物不足により、住宅着工にどのくらい影響があるかを心配する声が日増しに高まっている。
住設・建材の状況は日々変化しているが、戸建て住宅着工の動向をどう見るかを探ってみたい。
先の見通しが立たない中、あえて予測すれば、9月までは4月と夏場を中心に対前年で最大2~3割台の減少、10月以降は2~3割程度の増加が1つの目安になるのではないか。通年では1万戸の大台をキープ、減少率で5%前後か。
まず、影響要因を列挙する。資材の価格上昇リスクについては今回は触れない。
①生産工場の被災
②物流の停滞
③計画停電の影響
④復興工事の影響
⑤職人の出張
⑥放射性物質の漏えい
⑦消費者マインド
⑧キャッシュフロー
* *
①生産工場は、一部を除きおおむね3ヵ月、6月いっぱいには復旧・回復するだろう。ただ、重要部分が破壊された工場は、回復まで半年以上かかる見込み。ガラス製品やサイディングといった窯業建材、石油化学製品の一部工場が深刻な被害を受けている。
②物流についてはすでに相当回復している。倉庫・在庫などを含めた流通も3ヵ月たてばかなり回復するだろう。
③計画停電の影響は計り知れない。東京電力の3月25日プレスリリースによると、夏季の電力不足は最大で850万kW程度という。これは北海道電力の全発電設備量・約740万kWを100万kW以上も上回る。
供給量は増えつつあり、5月はいったん計画停電が終了。しかし6~9月は再び計画停電が必要になる。10月以降は回復の見込みだが、冬と夏のピーク時の手当ては、来年もメドがない。夏場は工場生産が激減か。
④復興工事の住設建材への影響は限定的と見られる。遅くても5月いっぱいには当初の仮設住宅向けは終了する予定だ。
⑤職人が復興工事に出張して手当てが難しくなる可能性は高い。ただ、その影響は一時的で特定業種に限られると見られる。建築板金、電気、水道、大工(東北と道南に限定か)あたりが可能性が高いと見られる。
⑥放射性物質の漏えいについては、まったく予想もつかないが、あるテレビ番組で研究者が司会者に封じ込めまでにかかる時間を尋ねられ、正常化には5年程度と答えていた。今後5年はかかると覚悟する必要がありそうだ。
⑦消費者マインドは、徐々に改善するだろう。テレビ報道も自粛一色から変化の兆しがある。ただ、いちど盛り上がった家を建てる気持ちが冷えてしまう心配もある。また、被災地支援に入っている関係者は当然延期だろう。
最後に⑧キャッシュフローだが、仕事があるのに資材が手配できずに工事できず、売上が上がらないという状況は起きると見たほうが安全。4月着工予定の物件は2ヵ月先延ばし、が必要になる可能性がある。
* *
これらを総合的に考えると、4月の着工は激減。5月後半から6月は正常化するも7月以降の夏場は物不足が顕在化し工事の進行に遅れが目立ち、新規の着工も停滞。9月後半から着工が急増し年末へ、というシナリオを描くことができる。
2011年02月15日号から
谷中の町家プロジェクト
準防地域で木造3階
"準防火地域で柱・梁などを現しにした木造3階建て住宅を建てる"。このかなり難しい家づくりに建て主や設計者、施工業者などが取り組んだ事例がある。一昨年に東京都台東区谷中で建設が行われた「谷中の町家プロジェクト」がそれで、準耐火建築物とするために、断面が大きいとゆっくり燃える木材の性質を利用した"燃えしろ設計"や、耐震性と防火性を兼ねた部材の採用などがポイントとなっている。
このプロジェクトは平成20年8月から翌21年11月まで行われたもので、設計は桜設計集団一級建築士事務所(東京都、安井昇代表)、施工は(株)吉川の鯰(同、岸本耕社長)が担当。建て主が以前住んでいた狭小地の2階建て木造住宅を建て替えるにあたり、昔ながらの風情が残る地域に似合う木造の3階建てにしたいという要望に応えた。延床面積は約195m2で、このうち倉庫を除く居住部分が約150m2。
準防火地域の木造3階建ては、建築基準法上、準耐火建築物としなければならず、そのためには柱や梁を石こうボードで覆ったりするケースが目立つ。しかし、それでは軸組木材がまったく見えず、木造ならではの意匠を表現しにくいこともある。
そこで今回のプロジェクトでは、杉の柱・梁や野地板・床板を室内に現しにできるよう、様々な試みを行った。その一つが"燃えしろ設計"だ。
燃えしろ設計を利用
燃えしろ設計とは、あらかじめ火災時に燃えると想定される寸法を柱・梁等に付加しておくもので、木材の断面が大きいとゆっくり燃える性質を利用した設計法。柱・梁を厚く太くすることによって、木材の表面から内部へと燃え進む速度を抑えるわけだ。
具体的には燃えしろ寸法を45mmとし、柱は3階までの通し柱が165mm角、2階までの通し柱が150mm角、梁は3間スパン・3尺ピッチで150×330mmなどとなっている。梁の上に張る床板は45mm厚とし、梁上部の燃えしろを兼ねるようにすることで梁背を抑えている。
また、軒裏は野地板に杉パネル36mm厚、面戸板に杉材90mm厚を使って燃え抜け防止性能を高めたほか、屋根は登り梁に張った杉パネル36mm厚の上に断熱材90mm、捨て野地板、アスファルトルーフィングを施工してから瓦を葺いて、室内の火災時に30分以上屋根が壊れないようにした。
これらの工夫によって、軒裏から室内まで登り梁と野地板が連続する木造らしい意匠を表現している。
耐震と防火を同時に確保
設計上のもう一つのポイントが、耐震性能と防火性能を一つの部材で向上させるという考え方。
例えば、45mm厚の床板は梁にしっかり留め付け、野地板の杉パネル36mm厚は登り梁に川の字打ちで釘留め、面戸板の杉材90mm厚はボルトで柱・梁に緊結することで、燃え抜け防止とともに、高い剛性も確保。耐力壁には不燃材料認定の耐力面材を採用するなどの工夫によって、木造3階建てに求められる耐震性能を実現した。
なお、施工にあたっては、狭い敷地内で長尺の太い材料を取り回すことが大変で、土台敷き後3日間かかった上棟もクレーン車が毎日欠かせない状況だった。ただ、上棟後の施工は一般的な木造住宅とほとんど変わらなかったという。
設計を担当した桜設計集団一級建築士事務所の安井代表は「準防火地域で柱・梁などの木材が見える木造3階建てはできないと思っている設計者も多いが、工夫でここまでできる。準耐火構造に要求される防火性能を木材で確保できることを広く知ってほしい」と話している。
写真
燃えしろ分の45mmを含む150~165mm角の通し柱や150×330mmの梁などを使うことで、準防火地域でも木造らしい意匠の3階建て住宅を実現した(写真提供:桜設計集団一級建築士事務所)
2011年02月15日号から
2011年住宅着工予測
穏やかな拡大で3万戸
3万戸には到達しなかったものの、戸建ては9%伸びて明るさが見えた2010年。2011年は戸建てが引き続き成長、メインの貸家も伸びるが、累計では3万戸を超えて3万1千戸に達するかどうかという水準となりそうだ。
※道内着工記事は試読をご請求ください。(伝言欄に「2月15日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
2011年02月05日号から
札幌版パッシブハウス基準
新築・改修の素案決まる
札幌市が高断熱住宅の普及を目的として検討を進めている「札幌版次世代住宅基準」の素案が固まった。このほど行われた同基準の第4回技術検討会議(繪内正道座長、北海道大学名誉教授)で、これまでの議論を踏まえた見直し案を公表。新築・改修とも省エネ性能に応じて現在の北方型(次世代基準)住宅相当の"ミニマムレベル"からパッシブハウス相当の"トップランナーレベル"まで5つのレベルを設定した。補助金等による支援も予想され、残る2回の会議を経て3月には最終案が決定する。
2012年度開始へ
札幌版次世代住宅基準は、札幌市内の住宅が目標とすべき次世代の省エネルギー基準として、新築だけでなく既存住宅の断熱改修も対象に制度化を検討しているもの。地球温暖化対策の一環として、パッシブハウスを始めとする高断熱住宅の普及を図ることにより、家庭部門の暖房エネルギー消費量とCO2排出量の削減を進める考え。
同市では有識者や市の関係部局長で構成する技術検討会議を立ち上げ、昨年9月から制度内容・施策などの検討を開始。基準内容や費用対効果、各種技術の検証、課題の整理などを実施。3月に最終的な基準案をまとめ、2012年度から運用を開始する予定だ。
基準は「単純にQ値だけでなく、ドアの開け閉めやレンジフードの使用などで生じる換気量や、熱交換換気を採用した時の電力増加分なども細かく検証したうえで、現在の住宅の熱性能水準と住まい手の実際の生活をイメージして作成している」(繪内座長)といい、新築・改修とも1ミニマムレベル 2ベーシックレベル 3スタンダードレベル 4ハイレベル 5トップランナーレベル―の5つのレベルを設定している。
続きの記事については見本紙をご請求ください。
(伝言欄に「2月5日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
別表も参照ください。
2011年01月15日号から
バトンをつなぐ。会社DNAの承継
コストが厳しくギリギリの現場が増える一方で、「承継」をキーワードにした取材も増えている。厳しい現実の商売に向かい合いながらも、同時にバトンをつなぐことを考えている経営者が増えているからだ。ただ、昔のような「教えない、ワザを盗め」ではうまくいかないし、事業承継については主導権は現経営者側にある。2011年の事業計画として「承継」をテーマに掲げる会社も少なくないと思う。当社が取材を通じて感じたこと、心に残った言葉をまとめてみた。
営業承継
会社力+個人力の統合
常に新規の顧客を開拓し続ける住宅販売営業は、ルートセールスで行われる担当者交代→顧客引き継ぎはさほど発生しない。住宅営業はキツイとされ、最近はやり手の営業が少ない、ちょっときつくしかると翌日からこないなど、人事面で幹部の悩みは多い。
逆に、「スーパー営業マンをつくらないよう気をつけている」と語る社長も多く、個人の力に頼りすぎない営業の仕組みを構築して、営業をマニュアル化する志向が強まっている。
「何名集客できれば何組成約できるかの過去データがあり、集客数で受注が予測できる。営業はそれをフォローするのがメイン」(札幌市、ミニハウスメーカー社長)。
「お客さまへのアプローチづくり、すなわち仕込みですべてが決まる。しかし、社員は自分の接客が受注のカギだと誤解しがち。この点で経営側と社員は相互理解ができない」(札幌市、中堅ビルダー社長)。
看板や商品といった会社の力と社員個人の力。どちらかというと会社の力を重視する傾向にあるが、しかし、個人の力を高めることも当然必要。2つの力が合わさったとき、強い会社になるという点で異論はない。
事業承継
社長の最後の大仕事
事業承継こそは、社長以外誰もできない、社長の最後の仕事とも言える。取材していてわかるのは、10年程度の準備期間を費やしていることだ。
会社をたたむのも1つの方法だが、あえて事業を継続する道を選んだ経営者は共通して「使命」を口にする。これはきれいごとではなくホンネだと思う。
後継者が子どもでもそうでなくても、不透明なこの時代、社長を引き継ぐことは当たり前だがリスクも大きいし責任も重大だ。それでも事業を継続する道を選ぶのは、お客さまのために会社を存続させるという使命感、そして後継者が全力で経営にあたれば事業は継続できるという会社への自信と雇用維持の責任感だろう。
税理士で中小企業基盤整備機構北海道支部の事業承継コーディネータを務める吉川孝氏は、原稿や講話の結びに「事業承継は経営者個人とご家族の人生や財産に関する繊細で情緒的な問題でもあり、これを軽視しないこと」と指摘している。まさに人生の区切り。
中小企業の社長にとって、会社は事実上家業であり、家業である以上、家族もこの問題と無関係ではないという意味だ。
技術承継
後回ししがちだから・・・
コスト削減と忙しさに忙殺され、技術承継ができなくても家は建つ。後回しになりやすいからこそしっかりやらなければならないということも言える。
「なるべく研修に出すようにしている。ただし、研修内容を吸収できるかどうかは個人の心構え次第。その点の資質向上が、じつは一番重要かもしれない」(札幌中堅ビルダー社長)。
「『やりたい』と言ってきたら費用が許す限りやらせるようにしている。自発性こそが自己啓発のポイントだから」(札幌近郊住宅会社社長)。
研修にでかければ仕事にしわ寄せが来ることもあり、社員にとって研修に行かないことのほうが正しい選択になる場合もある。
それでも研修を実施するには、会社全体の向上心が重要になる。
2011年01月05日号から
春の工事確保は業界全体の課題
業界全体が後半メチャクチャに忙しかった2010年。しかし終盤にはやや暗い話も聞こえるようになり、2011年の展望が必ずしも開けていない。その原因の1つに「忙しすぎた」2010年の状況がある。忙しいことはいいことだが、仕事量の波が大きすぎるのはマイナスだ。2011年は、受注の波とどうつき合うか、この問題を考えてみたい。
本当のリスクは何か?
住宅会社の経営にとって大きなリスクは、利益率が低いことと受注に波があることではないだろうか。
2008年、2009年に住宅着工がどん底に落ち込み、多くの企業は売上が2009年より小さくてもバランスがとれるような予算を2010年に組んだ。ふたを開けてみると売上は伸びたが前半は着工のズレなどで工事が少なく、後半に集中。年間を通してバランス良くとれていればさほど問題にならない程度の受注でも、集中したことでパニックになった面があると思う。
受注の波は補助金とからんでいるため、根本的には補助金制度が改良されることが一番だが、現状を前提に考えれば、どう会社を適応させていけばよいか、ということが大きな経営課題になってきた。
本気で取り組む谷間対策
1つは谷間をどう埋めるかということ、もう1つはピーク時の現場管理の改善策だ。
谷間を埋めるというのは、『言うは易し、行うに難し』簡単ではない。それでも本気で対策に挑戦し、谷を少しでも浅くできれば、資金繰りや収益性が改善される。増員による忙しさ解消のメドも立ってくる。
しかし、谷が深いままだと、増員できないし秋までの資金がキツイ。受注が少ない心理的なつらさもバカにならないと語る経営者もいる。何より忙しさの対応だけに追われると、谷間対策が打てないまま次の年を迎えてしまう。
方法はさまざまだ。考え方として、次のような流れがあると思う。
▽規格商品→違う顧客層の開拓→社内活性化や外部とのコラボレーション。
▽工事確保を最優先→価格引き下げや建売。
規格商品を用意する、または建売という方法は、言葉を換えれば新しい顧客層をつかむために商品構成を増やすことだ。夏までに家を建ててもらうためには、ある程度、着工までの手離れがよいこと、顧客側に補助金を活用しにくい事情がある、または興味がないこと、が条件になる。
新しい顧客層を獲得するには、違った発想が必要になる。社内活性化によってタレントを発掘し育てるか、外部との連携によって企画を進めるか、いずれにしても従来と違った動きが必要になる。ただ、そのことはきっと従来の商品にも相乗効果を生むはずだ。
一方、価格引き下げは、補助金と同等の値下げを実施するという決断になる。大幅な値下げ(値引)になるが、谷間の時期に工事してくれるなら、それもアリではないか。想定範囲内の値引幅で、かつ期間限定なら他の顧客への影響もないだろう。
振り返れば以前は公庫が
この問題の背景を考えると、旧住宅金融公庫の回次別募集が使われなくなって以降、春先の着工遅れはずっと言われ続けてきたことに気がつく。北海道の場合、4月着工→6月引き渡しというサイクルは、現状として家を建てる側にとってあまり魅力がないのだろう。また春先から動き出したユーザーにとっては、4月着工はあまりに時間がない。
こういうことを考えると、4月着工のユーザーを増やす受注営業をすることは、業界全体の課題であり、実現すれば共通利益につながるとも言える。
2011年01月05日号から
温暖化防止を背景に第1種熱交換にも関心
換気システムの採用動向に、ここ数年変化が見られるようになってきた。長期的に安定した換気性能が得られる第3種換気が主流であることに変わりはないが、住宅の快適性や省エネ性の向上を目指す中で第1種熱交換を選択肢として検討する住宅会社が出てきている。ここで改めて換気システムを取り巻く状況を見ていきたい。
換気設備と省エネの関係
空気浄化が主目的
現在、換気システムの種類としては、第3種や第1種熱交換のセントラルシステム、ダクトレスの第3種および第1種、パッシブ換気、第2種換気などを挙げることができるが、その中で主流となっているのが自然給気・機械排気の第3種セントラル。換気の最大の目的である換気性能を長期にわたって安定的に確保することができ、良好な室内空気質を維持するという点で信頼性が高いからだ。
しかしその一方で、国内では地球温暖化の原因と言われるCO2の排出量削減へ向け、エネルギー消費量が少ない住宅を目指す動きが活発化。熱損失係数=Q値1・0Wを目標とするNPO新住協のQ1・0住宅や、道の北方型住宅ECOのほか、大手ハウスメーカーではゼロエネルギー住宅やCO2オフ住宅などと銘打った商品を開発・販売し、最近ではドイツ発の高省エネ住宅・パッシブハウスに取り組む住宅会社も目に付くようになってきた。
このように、環境問題への関心や身近な地球温暖化への危機感などを背景とした省エネ意識の高まりによって、時にはユーザーから、時には住宅会社から「熱回収できる第1種熱交換を使いたい」という声が出てくるようになっている。
住宅の省エネ化を進める手段としては、太陽光発電やヒートポンプなどの自然エネルギー利用・高効率設備の採用も有力な選択肢だが、世界の省エネ住宅の考え方は、住宅本体からの熱損失をできるだけ抑えたうえで、自然エネルギー利用やエネルギー効率の良い設備を導入するというのが基本。住宅全体の熱損失の3~4割は換気によるものだけに、第1種熱交換への期待は大きいと言える。
課題解決なら試験採用も
ただ、熱交換換気を採用するにあたっては、これまで認識されていた課題が解消されていることが必要だ。
その課題はと言うと、割高な設置コストや、2つのファンとヒーターを使うことによる消費電力の増加、フィルター清掃などメンテナンスを怠った時に引き起こされる窓の結露やシックハウスといった換気障害、そしてこれらを原因としたユーザーのクレーム感情だとされてきた。
これらの課題が解決できるのであれば第1種熱交換を採用してみようと考え、久しぶりに、あるいは初めて換気の選択肢に入れる動きが出てきており、これまで第3種しか採用したことがない札幌市内のある工務店は「第1種熱交換は、ヒーター使用による消費電力の増加がどの程度になるのか、メンテナンスは簡単にできるのかがはっきりすれば、お客様に選択肢の一つとして提案したい。第3種と比べてどれくらい省エネになり、コストアップ分をどれくらいで回収できるのかをキチンと説明できるようになるからだ。後はお客様にどちらがいいか選んでもらえればいい」と話す。
また、熱回収効果をQ値に反映できるので、小さい住宅などQ値計算に不利な住宅の場合、第1種熱交換換気の採用でQ値を小さくするといったことも考えられるほか、給気温度を上げることで厳寒期でも室内の快適性を維持できると考える住宅会社もあり、道内で換気システムを販売している各メーカーも来年中には概ね第1種熱交換を商品ラインアップに揃えると見られる
第1種熱交換のポイント
給気加温と省エネ
換気システムには第1種熱交換や第3種を始めいくつか種類があるが、第1種熱交換については意外と知らないこともあるのではないだろうか。そこでここでは、第1種熱交換の性能・機能の特徴や最近の製品のポイントなどについて各製品を通して改めて勉強してみたい。
まず第1種熱交換は、その最大の特徴は排気の熱を給気に受け渡す熱交換ができる点にある。それによって1.給気の冷たさによる不快感が解消できるし、2.暖房負荷の低減にもつながる。
熱交換効率については、メーカー公表値によると90~70%ほど。熱交換素子の仕様はメーカーによって様々で、一定以上の熱交換効率を確保するには、隙間からの給気をできるだけ減らすことが重要になってくるだけに、高い気密性能も求められ、0・5cm2/㎡以下が必要とする研究者もいる。
また、熱だけでなく水蒸気も交換する全熱交換タイプであれば、3.夏の冷房節約 4.冬期の課題となっている過乾燥を和らげる効果も期待でき、熱だけを交換する顕熱交換タイプであれば、トイレや浴室などからの排気も熱交換可能だ。
外気温が低くなってくると、熱交換素子のデフロスト(霜取り)のために熱交換を停止して専用ヒーターを作動させたりする製品もあるが、外気の取り込み経路をダンパーで閉じ、室内からの戻り空気を再循環させて、熱交換効率を維持する製品もある。
国ごとで異なるコンセプト
市販されている製品を見ると、国内メーカーは全熱交換タイプが中心、欧米メーカーは顕熱交換タイプが中心。ただ、欧米では同じ第1種熱交換でも法律や気候風土の違いが製品開発に反映される傾向にあるようだ。
例えば、冬期の気象条件が厳しいスウェーデンの製品は、室内環境の快適性向上を重視し、給気加温用のヒータ付きで本体は大型の金属製が主流。温度交換効率も誇示しない。一方、省エネが国策として進められているドイツの製品は、エネルギーロスをいかに抑えるかを重視し、ヒータがなく、本体内部パーツはエンジニアリングプラスチック製が主流となっている。
なお、最近ではダクトレスの製品も市販されている。一定時間おきに給気と排気が切り替わり、本体内の蓄熱材で排気時には熱回収、給気時には新鮮外気の加温を行う仕組み。ヨーロッパでは累計6万台を販売した製品もあるといい、日本でも市場に受け入れられるかどうか注目される。
Q値計算で換気回数有利に
第1種熱交換換気を採用する際に注意したいのは、性能評価や長期優良住宅の技術的審査、住宅エコポイント対象住宅証明などで、熱交換効率をQ値計算に反映させる時。
次世代省エネ基準では熱交換換気を採用した住宅の場合、熱回収効果を考慮して0・5回/時より少ない換気回数でQ値を計算できることになっているが、そのためにはメーカーが出す『換気用消費電力増分量』の数値が必要であることを覚えておきたい。パワーズトレーディング(株)が輸入販売しているカナダ製熱交換換気システム「ライフブレス」や国内メーカーの一部機種で数値を公表しているが、ライフブレスでは機種によるものの換気回数を約0・13~0・2回/時としてQ値を計算可能だ。
また、これまで第1種熱交換換気の課題と言われていた給気と排気の2つのファンによる電力消費や、熱交換素子とフィルターのメンテナンスなどはどうかというと、電力消費の点ではDCモーターの採用や、給排気を一つのファンで行う方式の採用、第3種・第2種換気への切り換えモード採用などによってシステムの省エネ化を図る製品が目に付く。
熱交換素子とフィルターのメンテナンスに関しては、多くの製品が給排気ファン・フィルター・熱交換素子のいずれも容易に取り外し可能として、メンテナンス性を高めているほか、製品によってはメンテナンス時期のお知らせ機能搭載や、水洗い可能なアルミ製熱交換素子の採用、点検しやすい本体の壁掛け設置なども行っている。
このほか、独自の機能・制御で室内の快適性向上を図る製品もあり、例えば(株)ウエスト札幌営業所が販売する顕熱交換タイプの「Temovex」では、夏の夜間など屋外が涼しく、室内が暑い時は、屋外の新鮮空気を熱交換せずに給気するオート・バイパス機能を搭載。1年を通して室内を快適に保つように考えられている。
第1種熱交換換気のイメージ(『北方型住宅の熱環境計画』より)
2010年12月15日号から
住宅エコポイント拡充
1月から設備も対象
国土交通省ではこのほど、平成22年度補正予算成立を受けて、住宅エコポイントの対象拡充に関する制度の詳細を発表した。それによると新たにポイント発行対象となる太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽の3つの省エネ設備については、来年1月1日以降に着工・工事着手した物件を対象とし、ポイント申請は1月11日から受け付けることとなっている。
今回の制度拡充では、実施期間を来年12月31日まで1年間延長するとともに、対象となるリフォーム工事とあわせて設置する省エネ設備の太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽にも2万ポイントを発行。このうち太陽熱利用システムだけは新築での設置も対象とする。いずれもJISに規定する性能と同等以上の性能があると確認され、エコポイント事務局に登録された製品であることが条件(登録製品は12月下旬公表予定)。
リフォームではこれら3つの省エネ設備を設置しても、これまで通り発行ポイントは最大30万ポイントで変わらないが、新築の場合、太陽熱利用システムを設置すれば32万ポイントがもらえる。
新たにポイント発行対象となる省エネ設備の設置は、来年1月1日以降に着工・工事着手する物件が対象となり、ポイント申請は戸別申請の場合、1月11日から、共同住宅で複数戸まとめて申請する一括申請は2月上旬に開始する予定。
詳しくは住宅エコポイント事務局(0570・064・717)へ。
2010年12月05日号から
茨城でパッシブハウス.外壁290mm
国内で2棟目、在来木造では初のパッシブハウス「茨城パッシブハウス」が茨城県石岡市で建設されている。設計・施工は地元のビルダー・(株)島田材木店(島田恵一社長)。国内初のパッシブハウスを設計したキーアーキテクツ・森みわさんをコンサルタントに迎え、完成後は地元ユーザーに高水準の快適な室内環境を体感してもらうモデルハウスとして公開する。
温暖地でも世界水準
パッシブハウスとは、ドイツ・パッシブハウス研究所が定義した省エネ住宅の基準で、年間の暖房負荷と冷房負荷がそれぞれ15kWh/m2以下、家電を含む年間一次エネ消費量が120kWh/m2以下、50パスカルの加圧および減圧時の平均漏気回数が0・6回以下(C値で0・2~0・3cm2/m2程度)であることが条件。同研究所が認定を行っており、日本では昨年神奈川県鎌倉市に建設された鎌倉パッシブハウスが認定1棟目となる。
島田材木店は、以前から快適性の高い住まいを提供するために、温暖なⅢ地域でも北海道レベルの断熱性能が必要と考え、Ⅰ地域の次世代省エネ基準をクリアする"ローエナジーハウス"を提案してきたが、取引先を通してパッシブハウスと出会い、「パッシブハウスは自分が考えている家づくりと方向性が一緒だったことに加え、そのレベルまで性能を高めた時にどのような室内環境になるのか、実際に体感したかった」(島田社長)と、パッシブハウスに取り組むことを決断。自社の技術力と同時に、世界レベルの高性能住宅に挑戦してみたいという気持ちも強かったという。
柱は240×120mmの杉材
建設中の茨城パッシブハウスは、オール電化で延床面積約38坪の在来木造2階建て。軸組材は国産材にこだわり、すべて合法性が証明できる茨城・栃木の無垢の杉材を使用している。
外壁は充てん断熱材の厚さを確保するために、柱や土台・胴差しなどのサイズを240×120mmとし、高性能グラスウール16K120mmを2層充てん。さらに軸組屋外側は9mm厚の耐力面材を張った後、グラスウールボード32K50mmを下地間に外張り付加し、合計290mmの断熱厚を確保。
また、軸組室内側は夏期の逆転結露を防ぐため、壁体内が湿度80%以上の高湿状態になると気孔を開いて湿気を逃がす調湿気密シート・ザバーンを張り、その上から胴縁材を柱・間柱に留めて30mmの配線スペースを取っている。さらに内装下地の石こうボードは蓄熱性をできるだけ持たせるために12・5mm厚品を2層張りしている。
< 床回りは、気積を抑えて暖冷房負荷を減らすために土間床工法を採用。基礎外側を押出スチレンフォームB3種50mm、土間下を同100mmで断熱しており、床組は土間の上に大引・たる木を土台と同面で施工。大引・たる木間にもグラスウールを入れている。
天井は桁上断熱で、高性能グラスウール16K140mmを4層施工し、桁下にもグラスウール80+50mmを施工した合計690mm断熱。窓は木製サッシ・トリプルガラスを採用した。
換気は冬期に第1種熱交換、夏期には第3種に切り替わるドイツ・パウル社の製品を設置。熱交換効率はカタログ値で91%、実際の設置状態で88%となっており、熱交換した給気にヒートポンプの熱を伝えて暖冷房も行う。給湯は太陽熱温水器とエコキュートを併用。
Q値0.8W、C値0.1cm2
パッシブハウス研究所が開発した熱損失計算ソフトのPHPPでの計算結果によると、年間の暖房負荷は4・81kWh/m2、冷房負荷は3・1kWh/m2と基準値をクリア。
Q値にして0・84Wとなり、給湯を加えた年間エネルギー消費量は18・6kWh/m2、家電を含む年間一次エネ消費量(照明除く)は約50・5kWh/m2となる。
調湿気密シートの施工が終了した段階で気密測定も行い、C値0・1cm2/m2を記録。基準の一つである50パスカル時で0・6回の換気回数もクリアし、パッシブハウス研究所から仮認定を取得した。
今月中には完成し、換気の給排気量や給湯負荷の算出結果などを同研究所に提出した後、正式に認定が下りる予定。同社では来年1月下旬頃からモデルハウスとして一般公開する考えだ。
なお、建設コストについては実行で坪あたり65万~70万円ほど、ユーザー引き渡し価格は同80万円を超える見込み。同社では今後、施工の簡略化を進めると同時に、設備機器の見直しなども行うことで、誰もが手の届く価格で提供できるようにしていきたいとしている。
2010年11月15日号から
2011年住宅着工予測 回復続き32,000戸
今年2010年の全道住宅着工は予測を上回る貸家の伸びによって3万戸の大台を回復し3万800戸前後、来年2011年は貸家のもうひと伸びと持家系の微増によって3万2000戸程度になりそうだ。ファミリー向け賃貸の供給が増えてきていること、融資差別のないローン商品など政府の後押しによって、住宅景気はほぼ維持される。
2010年 賃貸マンションが予想超える
2010年は9月までの累計で持家6%、分譲11%の成長。この持家系については予想通りの動きとなっている。予想を上回ったのが貸家の24%成長。2万戸台だった2年前の水準には戻らないが、1万6000戸程度のボリュームとなりそう。この結果、合計で14%の成長となった。
読みにくい貸家と分譲だが、貸家は木造アパートがやや弱含みを続ける一方、非木造の賃貸マンションが前年比1・5倍の回復。回復の理由は今ひとつ不透明だ。
分譲は当初の予測通りとは言え、マンションの動向については依然として読みにくい。デベロッパー側の新規開発はいまいちと言われ、用地も戸建て用に回ってきたと見られる物件がある。建売は、注文住宅が年の後半に集中してしまう現状を補完するために、この暮れから来年にかけてそれなりの数が建つのではないか。
2011年 持家が成長を持続
さて2011年だ。景気をどう見るかによって見通しが大きく変わってくる。
マスコミは景気の腰折れを伝えており、急激な円高が回復に水を差している、というのは輸出産業を中心とした全体の話。住宅(持家)については購入時のローン与信に対する不安がかなり解消されたこと、政府が住宅分野を支援していることもあり、悪くても今年程度を維持するだろう。ただし、景気全体が厳しく、特に北海道経済によい材料はない。大幅成長は見込めない。
着工全体では3万2000戸程度。このうち持家は微増で1万1000戸、貸家は予測が難しいが伸び率が低下して1万7000戸台、分譲は今年よりやや伸びが低下して3000戸台。
問題は市場変化だ。地方市場は過疎化などによって基本的に新築がどんどん減少している。そのなかで地方の中核都市では、従来の木造アパートに加えて戸建て賃貸なども計画されている。ファミリー賃貸というこれまでなかった需要に対応し、安定経営を目指す動きと言える。
札幌ではサラリーマン大家が消滅し、ファンドも撤退して市場は落ち着きを取り戻していると言われる。定住型の戸建て賃貸や、郊外の小さな戸建てなど、いままでにない動きも見られる。
全国 回復が遅れ、来年は91万戸
全国は当初の予測よりも回復が遅れた。今年前半は成長が続かず、後半に入って8月の20%増でようやく弾みがついた。今年は81~82万戸台、2011年に91万戸程度まで回復するが、それでも100万戸には及ばない。全国の回復の遅れは、新築物件に割安感が出てきたとは言え、大型の出費に慎重な消費者の動向、さらに賃貸経営の手控えなどが予想以上に長引いていることが影響しているだろう。
※道内着工の詳しい資料は試読をご請求ください。(伝言欄に「11月15日号から希望」とお書き添えください)
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
2010年11月05日号から
◆住宅にも影響ある?
札幌市 自動車ディーラー 整備
札幌圏に限定した話なのですが、融雪剤の影響で札幌市内を走る車は下回りがひどく錆びています。特に幹線道路と高速道路では大量の融雪剤を散布するので、サビは避けられません。潮風でやられる海岸地域よりも状況は過酷です。ところで最近耳にしたのですが、幹線道路沿いの住宅でもサビが発生しているというのです。融雪剤の影響なのか、そうでないのかはわかりませんが、大量の融雪剤ですから、影響があっても不思議ではないねと、社内で話しています。
◆小さい家で快適に
札幌市 設計事務所 所長
家族の人数が減って、しかも住宅ローンで無理はできない人が多い現代。団塊ジュニアは、実家で自分が使っていた子ども部屋が余っていたり、家の修繕コストがかかっている実態を見ている人も多いのでしょう。子ども用の個室は可動式間仕切りに、親戚づきあいなども少ないから居間や客間スペースも最小限でいい、その代わりできるだけ安く・・・。そんなニーズを強く感じます。小さくても広く使えるプランが今まで以上に求められるでしょうね。
◆大きな家はいらない、か・・・。
札幌市 住宅会社 専務
時代の影響もあると思いますが、「大きな家はいらない」という声をよく聞くようになりました。若い世代は主に「ローンの重荷はイヤ」という気持ち、40代以上は「子どもは巣立つから必要ない」という考えで、とても現実的です。自分も一方で賛成ですが、もう一方では大きな家がほしいという「欲」がないのは脂身のないステーキのようで、いまいちではないかという気もします。家が大きいことで解決できる問題も多いことを忘れている気もします。
2010年09月25日号から
基礎断熱した床下のカビ① 避けられない面も
Q・・・北海道も高温・多湿、そして夜間も気温が下がらなかった今年、施工住宅で基礎断熱した床下にカビを発見しました。ショックです。スノコを敷いた上にものを置いて収納にしていたお客さまの家で、スノコの裏がびっしりカビだったのです。
涼しい=カビが生えやすい
A・・・この問題を2006年と2007年に取り上げてから4年。そのとき、2つの問題があることを報告しました。
1つは住宅会社が知らないだけで(住み手も?)、じつはけっこうカビが発生している疑いがあるということ。もう1つは、住宅内に繁殖するカビについて調査・研究している専門家は、北海道にはいないということです。
残念なのは、道立北方建築総合研究所、林産試験場、衛生研究所など建築と木材、そして微生物の専門家が共同で調査をしてほしいのですが、それが進んだ気配がないことです。道民の居住環境改善にかかる重大なテーマであるだけに、ぜひ調査研究してほしいと思います。
まず、一般論としてはカビは相対湿度70%以上になると繁殖しやすくなります。カビは床下結露が発生しなくても十分に繁殖できるのです。しかし夏場に床下を湿度70%以下に抑えることは、湿度の低い北海道でも無理でしょう。温度、水分、酸素、栄養の4つのカビ生育条件を絶つことは、じつはかなり難しいのです。
そもそも、床下が涼しいのは地熱の影響を受けていることと、太陽熱の影響を受けないから。夏にエアコンなしで涼しいということは、相対湿度が高い状態にあるわけです。
呼吸器系シックハウス原因
カビによる被害ですが、木材への被害はほとんどありませんが、ヒバなど防腐性の高い木材にも付着します。
ヒトへの影響は、一般の人にはさほど有害ではありませんが、『呼吸器系の病気』を持っている方、例えば『ぜんそく』にはとてもよくないのです。『鼻炎』にもよくないと言われています。『肺炎』の心配もあります。これはまさにシックハウス症候群で、健康被害が起きる人と起きない人がいるので、注意が必要です。
カビ臭さの度合いにもよるのですが、住んでいる方も床下を何かの理由で開けない限りカビには気づきません。また暖房シーズンになるとカビ臭はほとんど収まります。北海道では夏だけの問題なのです(冬場の結露によるカビは高断熱・高気密住宅で起きることはありません)
2010年09月25日号から
日本の住宅をめぐる現状
住宅金融支援機構 島田 精一理事長
正味資産が低下
住宅資産について、従来にない視点から見たグラフが図1。
家計の資産は、直近の2008年で金融資産が1420兆円。この数字はよく言われるところだ。この膨大な金融資産が団塊世代の定年退職・年金生活入りで、目減りするだろうといわれている。
非金融資産を見ると、土地が765兆円、固定資産が221兆円で、固定資産の大部分は住宅(建物)と見られる。
そして、資産から負債を差し引いた正味資産はこのところ低下している。
償却年数が伸びたら
さて非金融資産の土地と建物を円グラフにすると、建物(住宅)が4分の1、土地が4分の3を占めている。土地神話が崩れたとは言え、建物の価値は20年で消滅するから、建物の資産価値は依然として上がらない。
アメリカはどうかというと、日本と正反対。住宅の価値は建物で決まるとも言える。
もし、建物の価値が今の1・5~2倍になったらどうか。22年で償却される建物がアメリカ並みの50年以上になったら、住宅の資産額はほぼ倍増する(図2)。
家計資産は減らない
このことを、見方を変えていえば、700兆円におよぶ住宅の投資額が現状では資産価値として250兆円しかなく、差し引き450兆円は償却されているが、建物の寿命が延びれば消えた450兆円のうち240兆円は資産に転化する(図2)。
その結果、金融資産の目減りを固定資産がおぎなって、家計の正味資産は構成が変化するだけでほとんど目減りしないという試算が成り立つ(図1参照)。
住宅金融支援機構はフラット35によって優良住宅の取得を支援している。住宅の寿命が延びればCO2削減にもつながり、省エネ・耐震性などに優れた住宅を建てれば金利も優遇される。
* *
北海道住宅都市開発協会と住宅金融支援機構北海道支店、札幌商工会議所が共催した研修会で9月6日、住宅金融支援機構理事長の島田精一氏が話した内容をまとめた。
図1 マクロベースで見た家計の資産と負債
図2 住宅の資産価値 日本は20年ほどでゼロだが・・・
2010年09月15日号から
「大工がいない」ぼやきも これから忙しくなるのに・・・
9月に入り「大工がいない」という声が聞かれるようになってきた。ここ数年、補助金絡みの物件の着工はお盆開け以降になるケースが多く、この時期から現場が混み合うのが常態化しつつあるが、今年は特に大工の手配が大変で、それにともなって大工賃金も上昇気味だという。本紙で道内各地の声を拾ってみたところ、まだら模様だが道東の一部などで大工不足が起こっているのは確実のようだ。
道東 十勝は賃金強気
話を聞いた中で、特に大工不足を強く感じたのが道東の十勝と北見・網走地域。
十勝では「大工が不足していて、賃金面もやや強気になっている。こういう話は不思議と大工同士で連絡が広がるらしく、一時的にせよ手配しにくい状況だ。地元の大手は賃金を少し上げて大工を集めているという話も大工から聞いた」(帯広・A社)、「確かに大工が足りないという話が周囲である。当社も大変だが、応援の大工にいつもよりも多めに仕事をこなしてもらっていて、それでなんとかしのげそうだ。労賃が上がるということはまずないと思うが、応援の大工は手当てを一時的に上げるということがあるかもしれない」(帯広・B社)など、大工不足だけでなく、賃金も上がる気配を見せている。
また、北見・網走では「今年前半こそどの業者も現場がないという話が多かったが、お盆前後からに北方型ECOプラスもそれ以外の住宅も一気に着工が集中したことで、大工がめちゃめちゃ足りない状況。これまで頼んでいた大工が別業者の現場に入ってしまい、あわてて他の大工に頼んだ」(北見・C社)、「もともとこの地域は大工の絶対数も足りないうえに、北方型ECOプラスとそれ以外の物件の着工が重なったため、大工の手が足りないのはどうしようもない。大工2組は確保しているが、そのうち1組は規模が小さい2棟を同時にやってもらうことになりそう」(網走・D社)と、大工の手が足りないのは着工の集中以外に地域の慢性的な大工不足も背景にあると話す。
道央
事前の手配が重要
北方型ECO以外は余剰感
道内着工の大部分を占める道央は、着工が本格化した北方型ECOプラスを手がけているかどうか、自社大工を抱えているかどうかなどで、状況が異なっている様子。
北方型ECOプラスを建てる住宅会社は、「自社で大工をかかえず、大工全員を外注している業者は手が足りずに苦労しているようだ。当社では北方型ECOプラスの着工時期を予測し、前々から自社大工のほかに外注の大工をあらかじめ頼んでいたため、特に困っていることはない。大工賃金が上がっているという話も聞いていない」(札幌・E社)、「大工の数はすごく足りない状況。北方型ECOレベルの性能を確保するには、技術力のある大工が必要なだけに、誰でもいいというわけにはいかず、今後1人の棟梁が複数の現場をかけもちすることも考えないといけない」(札幌・F社)など、早いうちから大工の手配を行っていたかどうかもポイントになっている。
なお、逆に北方型ECOプラスを建てない住宅会社からは「大工は足りている」「逆に余っている」という声もあった。
道北・道南
特に変わりなし
道北・道南では、それほど深刻な状況にはなっていないようだ。
話を聞いてみても、「当社ではこれから現場が集中するが、基本的には自社大工だけ対応できる見込み。旭川市内で大工が足りないという話や大工賃金が上がっているという話は聞いていないので、手が足りなくなったとしても何とかなると思う」(旭川・G社)、「特に大工が不足し、労賃アップしているということはない。仮に手が足りなくなっても、工務店同士で大工さんを融通しあっているので対処はしやすい」(函館・H社)、「今後もこれまで通り、自社大工で工事をする方針だが、人数は十分足りているので外注を頼む必要もない。同業者に聞いても、大工の手配についてそれほど大きな動きは感じていないようだ」(室蘭・I社)など、特にこれまでと変わりはないという声が多かった。
2010年09月15日号から
新住協の耐震・断熱改修 事前調査で腐れ確認
国の長期優良住宅先導事業に採択されたNPO新住協の断熱耐震同時改修プロジェクトの説明会が8月27日、札幌で開かれた。
耐震性と断熱性を同時に改良するという内容で、耐震性については「一般診断法評点1・0」とすること、断熱性は原則として次世代省エネルギー基準をクリアすることが基準となる。
改修手法については指定されていないが、北海道などⅠ地域は断熱層内の気流止め施工によって既存の充てん断熱材の性能を回復させる工法についても認められている。この場合のQ値は1・9Wでよく、付加断熱が必要ない簡易改修が対象になっている点が1つの特徴でもある。
補助率は3分の1で200万円以内。
当日は提案内容と申請手続きについて新住協福島支部の豊田善幸氏(豊田設計事務所)が解説。続いて提案内容の技術的ポイントについて代表理事の鎌田紀彦氏(室蘭工業大学教授)が解説した。
このうち豊田氏は耐震改修について、「建築基準法クリアではなく一般診断法の評点1なので、これをクリアする場合は耐震補強の必要はない」など、注意点を中心に説明した。
また鎌田教授の講演要旨は次の通り。
「施工前に腐れが予想される部位を破壊検査によって確認し、改修内容を見積もりに盛り込むこと。なお基礎については、昭和48年から50年にかけて、オイルショックによる鉄の値上げなどを背景に無筋の基礎があるようなので注意してほしい。
気流止めは、断熱性能を回復させるとともに内部結露抑制につながる。気流止めによる気密層の連続を確保するために、ポリ袋詰めの圧縮グラスウールを使う場合、間仕切壁の上部などでは天井面とポリ袋が連続した気密層を構成するように施工すること。
付加断熱しない改修(A工法)は図のように取り合い部をすべて気流止め施工する。ただ、付加断熱を行うと部分的に気流止めが不要となり、さらにケタ上断熱や屋根断熱を組み合わせると気流止めをまったく行わなくてよい場合もある」。
なお、14日には札幌で耐震診断法のセミナーも開かれた。
図
圧縮グラスウールによる気流止めの施工注意。ポリ袋と天井面が連続する。
気流止めだけで付加断熱しないA工法(左)はすべての取り合い部に気流止めが必要。ただし基礎断熱の場合は間仕切床面が不要になる
2010年09月05日号から
北海道労働局
8割近く改善指導
厚生労働省北海道労働局は7月12日に道内17の労働基準監督署と支署を通じ、木造家屋建築工事を行っている道内の86現場で一斉パトロールを実施した。その結果、労働安全衛生法令などに基づき76・7%の66現場で改善指導を行った。改善指導を行った割合は、一昨年の66・4%、昨年74・5%と比べてさらに上昇して8割近くに達しているが、昨年の労働安全衛生規則の改正に絡む足場関連の指導は減ってきている。
この一斉パトロールは毎年実施しており、法令に基づく安全な作業床の確保、手すりおよび中さん等の設置、安全な昇降設備の設置などの墜落防止対策、幅木などの設置による物体の落下防止対策ならびに木材加工用機械の安全点検が適正に行われているかなどの点検を行った。なお、足場が設置されていたのは86現場中79現場。
もっとも多かった指摘は今年も足場関係で49現場。足場を設置した現場の62%で、昨年より12ポイントダウンした。その次が躯体、電動丸のこ盤、その他の指摘の順。
足場の指摘では、「墜落防止のための手すりや中さんの設置が不適切」(28現場)、「物体の落下防止のための幅木などの設置が不適切」(20現場)、など昨年の労働安全規則の改正がらみの指摘が上位を占めたが、足場を設置した現場に占める割合は昨年に比べて大幅に減っている。一方で「安全な昇降設備が設置されていない」(17現場)、「足場の組立等作業主任者の職務・氏名の周知が不十分」(同)は昨年よりも現場に占める割合が増えている。
道内の木造家屋建築工事における労働災害は、昨年は死傷者124名と22%減少し、うち2名が死亡している。今年7月末時点での死傷者数は54名と昨年同期に比べてさらに11・5%減少、死者は幸いにもゼロだが、安心はできない。工事が本格化する時期を迎え、労働局では違反箇所の改善だけでなく、より一層の労働災害防止対策を講じるよう関係団体に要請する。
問い合わせは、同局労働基準部安全課(011・709・2311)。
2010年08月25日号から
北方型のQ値計算法、省エネ基準方式に統一
道では、北方型住宅の熱損失係数=Q値の計算方法を、来年度から国の省エネ基準と同じ計算方法に統一することを決めた。これにより、Q値計算で基礎断熱した床下空間や屋根断熱した小屋裏空間などを床面積に加算できるのは、来年3月31日の登録申請分までとなる。
来年4月から
屋根断熱・基礎断熱は不利に
Q値計算は各部位の熱損失係数の合計を実質床面積で割って算出するが、北方型住宅では一昨年に北方型住宅ECOが国の超長期住宅先導的モデル事業(現長期優良住宅先導事業)に採択された時、基礎断熱した床下空間を床面積に加算して算出したQ値が、性能評価機関で認められたり認められなかったりするなどの混乱があった。
そこで道では、北方建築総合研究所を通じ、換気経路に入っていることなどを条件に基礎断熱した床下と屋根断熱した小屋裏も気積に含め、その気積を2・6で割った数値をQ値計算の床面積とする考え方を北海道建築指導センターに示し、北方型住宅の認定に限り、この計算方法を使えるようになった。
ただ、国の省エネ基準では、Q値計算で床下空間や小屋裏空間が換気経路になった場合の扱いが示されていないことなどから、住宅性能表示制度の省エネルギー等級の判定でこの計算方法は使えない。そのため道ではこの計算方法を国に認めてもらえるよう働きかけていたが、今年早々に国レベルで基礎断熱した床下等は床面積に算入しないとの判断を出したことから、北方型住宅のQ値計算方法も国の省エネ基準に統一することにした。
2010年08月25日号から
札幌市 太陽光パネルの高さ除外
建物の高さへの算入は原則不要に
札幌市ではこのほど、太陽光発電パネルの建築基準法上の取り扱いと、雪止めと同等の効果があると判断した屋根材を発表した。
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太陽光発電パネルについては、水平投影面積(真上から見た時の面積)が建築面積の8分の1以内であれば12mまで建物の高さに原則算入しないという「建築基準法施行令第2条第1項第6号ロ」を適用する。今月20日の建築確認申請受付分から適用を開始した。
建築基準法上、太陽光発電パネルはその高さをどう取り扱うか明確になっていなかったが、札幌市ではこれまで屋根上に設置する太陽光発電パネルはすべて建物の高さに算入してきた。しかし、無落雪屋根の住宅や施設の屋上部分にパネルを設置するケースが増えてきたことを受け、建築基準法上の取り扱いを検討。階段室や昇降機塔、装飾塔などと同じ屋上部分として取り扱い、一定の条件を満たせばパネルの高さは建物の高さに算入不要とする基準法施行令の適用を決めた。
これによって、パネルの水平投影面積が建築面積の8分の1以内の場合、パネルの高さが12m以内であれば建物の高さに算入しないことになる。パネルの高さはパネルまたは架台のうち最も高い部分とし、水平投影面積はパネル部分のみ対象とする。
ただ、北側の前面道路または隣地との関係で建物の最高高さが定められている地域などは適用外となるほか、第一種または第二種低層住居専用地域内において都市計画による高さ制限がある場合などは、建物の高さに算入不要なパネルの高さが5mまでとなる。
戸建住宅で無落雪屋根にパネルを設置しても、2階建てであれば高さが10mを超えることはまずないが、3階建てであれば10mを超えるケースも考えられる。札幌市の場合、住居専用地域などで高さ10mを超える建物は中高層建築物となり、確認申請の前に建築を知らせる標識を設置したり、周辺住民に建築計画を説明する必要があっただけに、都市型3階建住宅などでは太陽光発電を導入しやすくなりそうだ。
落雪防止屋根材を公表
雪止めと同等の効果があると判断した屋根材の商品名は別表の通り。
同市では「氷雪の落下による危害を防止するための措置」として、①軒先から敷地境界線までの水平距離が十分に取れる場合②屋根面に雪止め金具を有効に設置する場合③落下防止の機能を備えた屋根材と同等とみなされる工法による場合―を示していた。
今回③について住宅会社や建て主の目安となるよう、各屋根材メーカーの資料を検討し、雪止めと同じ効果があると判断した9つの屋根材を公表。製品によって軒先から敷地境界線まで、どの程度の水平距離が必要かも明示した。
なお、同市建築確認課では、今回公表していない製品でも実験データなどの資料が揃っていて、雪止めと同等の効果があると判断できる場合は随時追加し公表していきたいとしている。
2010年08月05日号から
住宅エコポイントでアパマンの次世代対応加速中
リフォームでの利用が約8割以上を占める住宅エコポイントだが、新築では戸建てよりも賃貸アパート・分譲マンションの動向が関心が集まりつつある。実際にアパート・マンションでエコポイントの対象であることを打ち出す住宅会社やデベロッパーも目に付くようになり、業界関係者からは「高断熱化が遅れていたアパマン市場の次世代省エネ基準対応が進んでいる」という声も出てきている。
木造アパート 施工業者主導で進行
今年6月末時点での住宅エコポイント発行戸数を見ると、北海道は累計で2660戸。このうち新築15%、リフォーム85%と、リフォームでの発行が大多数。
新築のエコポイント発行戸数が少ないのは、1.鉄骨プレハブ系の大手ハウスメーカーは、エコポイントに対応するためトップランナー基準をクリアする必要がある 2.工務店は30万円相当のエコポイントより、長期優良住宅の100万円補助を優先する傾向にある―などといったことも背景にあるようだ。
ただ、共同住宅では少し事情が違ってくる。新築のエコポイントは1戸につき30万ポイントがもらえるため、4戸1棟のアパートなら120万ポイント、6戸1棟なら180万ポイントももらえることになる。これはオーナーにとって大きなメリット。
特に木造アパートであれば次世代省エネ基準をクリアすれば良いので、そのコストアップ分はエコポイントで十分カバーできる。次世代省エネ基準対応によって快適性・省エネ性が向上すれば、他の物件との差別化や入居率の向上につながるという声もある。
オーナー側デメリットなし
例えば、賃貸アパートの"エコポイントキャンペーン"を現在展開している札幌のアサヒ住宅㈱では、「次世代省エネ基準対応で1戸あたり25万円のコストアップになるものの、4戸1棟だと120万ポイントもらえるので損はない。性能アップ分のコストはエコポイントの即時交換で充当できるし、居住性が良くなって、入居率が上がることになれば、オーナーに十分メリットはある」と話す。
ただ、同社では「エコポイントを理解しているオーナーはそれほどいない」と話しており、エコポイント対応は今のところオーナーではなく、施工業者の提案で進んでいる状況だ。
※エコポイントを大々的に打ち出したアサヒ住宅の新聞折り込みチラシ
賃貸マンション
基準クリアは厳しいが都市ガス化で・・・
一方、賃貸でもRC造のマンションはどうか。
共同住宅でも木造であれば次世代省エネ基準をクリアすればいいが、RC造となるとトップランナー基準をクリアする必要がある。
暖房・給湯については電気熱源とする場合、ヒートポンプ機器が必須となり、ガス・灯油は潜熱回収タイプが有力な選択肢。これを好機と捉えて動いているエネルギー関連企業もある。
北海道ガス㈱リビング営業部リビング開発グループの齊藤勉マネージャーは「営業でRCの賃貸マンションのエコポイント対応は、潜熱回収型給湯器のエコジョーズが決め手と話しており、去年はゼロだった賃貸マンションでのエコジョーズ採用は、今年これまでのところ10棟で採用または採用の計画がある。30万ポイントでは通常のガス・灯油ボイラーとの価格差を埋められないが、入居者にとっては割安な家庭用セントラルの料金体系が適用になり、追い炊き・お湯張りもできるので、ランニングコストが安くなるうえに快適も高くなる。
オーナーにとっては資産価値が上がることにもなると説明し好評だ」と話しており、賃貸マンションでもエコポイントに対応する動きは出ているようだ。
※北海道ガスでは賃貸マンションのエコポイント対応にエコジョーズを勧めており、手応えが出てきているという
分譲マンション
次世代標準化へ
最後に分譲マンションの状況を見てみたい。
分譲マンションもエコポイント対応の条件は、RC造の賃貸マンションと同じトップランナー基準クリアだが、道内の分譲マンションの熱源はガスセントラル(FACT)が主流となっているので、後は断熱性能を省エネ等級4にするかどうかの判断をデベロッパーがするだけと言われている。
本紙編集部で調べたところ、現在エコポイント対応をうたっている分譲マンションは5棟。合計戸数は約310戸にのぼり、このうち2棟を施工中の日本グランデ(株)では「断熱仕様は窓を通常のペアガラスからアルゴンガス入りLow―Eペアガラスに変更して省エネ等級4に適合させ、暖房・給湯はガス高効率給湯器のエコジョーズを採用した。販売価格は若干上がっているものの、目に見えるほどではない。営業的にエコポイント対応は当然という考えで、今後エコポイントが終わったとしても、この性能・仕様を落とすことはないと思う」と言う。
住宅エコポイントの延長・拡充が予想されるほか、特に札幌市内の物件は環境に配慮することを求めた"CASBEE札幌"への対応もあり、分譲マンションは一気に次世代対応・次世代以上へと進みそうだ。
※日本グランデが現在施工中のエコポイント対応マンション。看板にもしっかり30万円相当のポイントがもらえることをうたっている
2010年08月05日号から
北洋銀行のエコボンド(私募債)
札幌の住宅会社2社が発行
札幌市の「さっぽろエコメンバー」など、環境配慮型企業として認証・登録された企業を対象にした銀行保証付きの私募債の発行が住宅業界でも相次いでいる。北洋銀行は、こうした私募債を「北洋エコボンド」としてPRし、発行した企業のイメージ向上にも役立てている。
三五工務店
(株)三五工務店(田中寿広社長)は、6月30日に第4回無担保社債5千万円を北洋エコボンドとして発行。年限は5年、担保の代わりに北洋銀行が保証し、受託・引受も同銀行が行う。
同社では、いち早く高断熱・高気密住宅に取組み、近年は道木連が認定する『北の木の家』の認証を受けるなど地材地消によるCO2排出量の削減や、パッシブ住宅の建設など、地球環境にやさしい家づくりに継続的に取り組んでいる。こうした取り組みが認められ「さっぽろエコメンバー」に認証・登録された。調達資金は事業資金に充当する予定。
イネスホーム
イネスホーム(株)(塚本誠社長)は、7月13日に第2回無担保社債5千万円を北洋エコボンドとして発行。年限は5年、担保の代わりに北洋銀行が保証し、受託・引受も同銀行が行う。
同社では、「ちょっとアイディアをプラスする家づくり」をコンセプトに自由設計の家づくりを行っている。土台は薬剤不要のヒバ材、構造体は環境にやさしい防腐防蟻材を使用し、環境と健康に優しい住宅づくりに取り組んでいる。今年6月に環境への取り組みが認められ、「さっぽろエコメンバー」に認証・登録された。調達資金は事業資金に充当する予定。
* *
北洋エコボンドの発行は、私募債として企業規模、財務、収益内容についての厳しい発行基準を満たしていることが必要。さらに国や地方公共団体が行っている環境配慮型企業の認定・登録をしていることで「環境保全に貢献している優良企業」と社会的評価がなされる。利用する企業にとっては、通常の私募債よりも発行条件が優遇されるほか、一括償還できるため資金繰りが円滑になり、社会的信用も高まるメリットがある。
2010年07月15日号から
人件費削減は進んでいるか
本紙ではこのほど、札幌圏の住宅会社のうち、社長を含む常勤の従業員が10名を超す企業について、社長に聞き取りで人件費を調査した。その結果、社長の年収は最大で4倍の差があるが、管理職は比較的平均していることがわかった。
札幌圏 工務店・ビルダーの実態
この調査は統計値をとるために行ったものではなく、指標として実施した。こういう趣旨から平均値を算出することは行っていない。調査はすべて面談し、決算書類を手に回答いただいた社長もいた。また調査に協力いただいた企業は情報をオープンにしているケースが多かった。
また、経営者は、創業社長、二代目のオーナー企業のほかに非オーナー社長もいる。
※記事内容は試読をご請求ください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
2010年07月15日号から
紋別市・認証材補助制度スタート 最大100万円
オホーツクに位置する流氷のまち・紋別市では、今年4月から地域産業の活性化を目的に、日本の森林認証システムであるSGEC(エスジェック)森林認証を受けた地域材を使って新築・増改築を行う住宅に最大100万円を補助する「紋別市認証材活用住宅助成制度」を開始。これまで4件の申し込みがあったほか、利用を前提とした問い合わせも出てきているなど、まずまずの出足を見せている。
同市ではかつて年間40~50戸あった戸建住宅の確認申請件数が、昨年度は13戸まで減少。住宅建設は幅広い経済波及効果が見込めるだけに、市ではこの状況を改善して地域産業の活性化を図ろうと、この補助制度を立ち上げた。今年度から3ヵ年実施する予定。
具体的には、紋別市を始め1市7町2村で構成する網走西部流域のSGEC認証森林約30万haから産出された木材を5以上使い、適切に認証材を管理・使用できる業者認証であるCoC認証を受けた市内の工務店14社(7月6日現在)で新築・増改築を行う場合、構造材で1あたり5万円、内装材で1㎡あたり5千円、合わせて最高100万円まで補助する。
構造材であれば、森林認証材のカラマツ集成材は輸入材と比べて1あたり3万円ほど割高になるが、その差額に加えてさらに2万円のインセンティブを乗せることで住宅需要を刺激する考え。
このほか、北海道木材産業協同組合連合会(どうもくれん)の「北の木の家」の認定取得や、住宅金融支援機構のフラット35の技術基準を満たすことなども必要条件となっている。
今年度13件の利用を見込む
予算枠は1100万円で、1件約84万円と想定して13件分に相当。これまで新築3件、増改築1件、合わせて4件の申し込みがあったといい、このほかにも問い合わせのあった4件で利用が見込まれるなど、制度開始から3ヵ月を過ぎてまずまずの利用状況だという。
同市産業部農政林務課森林認証担当の野呂田厚司参事は「現在、市内から出ている森林認証材は3千くらいだが、今回の補助制度などを通じて1万まで引き上げることができればいいと思う。今年度は13棟分の予算を計上しているが、利用件数が多くなればさらに予算を増やすことも検討していきたい」と話している。
2010年07月05日号から
日本VOC測定協会
測定料6万円に値下げ
室内VOC測定を通じて健康に過ごせる家づくりの普及活動を行っているNPO日本VOC測定協会(福井政義理事長)では、去る5月31日に網走市内で平成22年度総会を開催。今年度から、同協会登録事業者によるVOC測定料金を従来の10万円から6万円(税・諸費用別途)に改定することを決めた。これにより、住宅会社・ユーザーは今まで以上にVOC測定を利用しやすくなる。
同協会では、VOCに関する正確な知識を持ち、厚生労働省の測定ガイドラインに準じて室内空気のサンプリングを行うことができるVOC測定士を認定・登録するとともに、アクティブ法によるサンプリングや公的な第三者機関・北見工業大学による高精度の分析などによって、信頼性の高いVOC測定の普及を推進。3年前の創設以来、全国で約80件の測定を行ってきた。
これまでホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、トルエン、キシレンなど8物質のVOC測定を室内1ヵ所につき10万円で実施してきたが、より多くの住宅会社・ユーザーを対象にVOC測定の普及を図るためには測定料金の改定が必要と判断し、6万円に引き下げた。消費税や交通費、測定機材の送料など諸費用は、従来通り別途必要になる。
問い合わせは同協会事務局(本部0152・43・1588、東京03・5496・9710)へ。
http://www.jvma.jp/
2010年06月25日号から
大検証「地元新聞の住宅広告」
意外やエコポイント訴求

民間企業では売上の5%程度を販売促進・商品開発・広告宣伝コストとして投入するのが一般的と言われており、住宅会社も自社の宣伝などにある程度コストを投入する必要はある。今回は「地元新聞への広告」にテーマを絞り検証する(2回目・前回は平成20年8月25日号で実施)。
※検証記事と新聞掲載広告(全31作品)をご覧になるには試読をお申し込みください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
2010年06月15日号から
2010年新設住宅 北海道
このままなら3万戸超えだが・・・
北海道は今年、予想以上に賃貸市場が好調だ。専門家でさえも首をひねる回復で、このままのペースでいけば2010年計で3万戸を突破しそうな勢い。ただ、お盆以降の先行きに不透明感もただよっており、予断を許さない。
4月までは高い伸び率
4月までの住宅着工を見ると、持家と戸建て分譲(建売)は本紙が年初に予想した範囲で推移しており、累計で持家が6%増、建売が17%増。
共同住宅系でも木造アパートは予想通りの動き。昨年よりは増えているものの事業性の低下などから累計で6%増。
業界筋が一様に首をかしげるのが賃貸マンションの急回復。4月累計で71%増。このペースで行くと2年前の9千戸水準に戻る。3年連続で急降下した反動が原動力となっているほか、そもそもの需要量は貸家全体で1万7~8千戸程度あるということだろうか。
分譲はマンションが予想をさらに下回る66%減。このペースで行くと年計で500戸にも達しないかつてない低水準に終わる。鋼材の値上がりもあり、マンションは厳しい状況が続いている。
試算別で2万8千戸台
4月までの成長率を年間に当てはめると、2010年の住宅着工は3万1千戸台になる。
しかしこういう資料もある。北海道は例年4月の着工数が年平均値に近い。それを元に計算すると2万8千から9千戸。いずれにしても3万戸到達は微妙だ。
2010年06月15日号から
札幌市・木造耐震化補助始まる
今年から設計・工事も対象
札幌市では、これまで行っていた木造住宅の耐震診断に対する補助に加えて、新たに耐震設計・耐震改修工事にも必要な費用の一部を補助する「木造住宅の耐震化補助制度」を開始。16日から申し込みを受け付ける。
同市では平成18年から木造住宅の耐震診断に補助を行い、年平均35~50件の利用があったが、その結果を見るとほとんどの住宅は現在の新耐震基準と比べて耐震性が不足していたという。そこで診断だけにとどまらず、改修工事まで補助を行うことで市内の木造住宅ストックの安全性を高めようと、今年から耐震設計・耐震改修工事にも補助を行うことになった。予算枠は耐震診断が600万円、耐震設計と耐震改修工事が合わせて1千万円。
対象となるのは 1.戸建て・共同建て・長屋の木造住宅 2.昭和56年5月31日以前に着工・建築された在来軸組工法の住宅 3.地上3階建て以下かつ木造部分の階数が2以下 4.住宅部分の床面積が延床面積の2分の1以上―のすべてに当てはまる札幌市内の住宅。さらに耐震設計と耐震改修工事については、耐震診断の結果、上部構造の評点が1・0未満の住宅を、評点1・0以上に引き上げることが条件となる。
また、診断・設計を行う者と改修工事の工事管理者は、札幌市の講習を受けて登録済みの耐震診断員であること、改修工事の施工業者は建設業許可を受けていることがそれぞれ必要。
市で行う他の補助も併用可
補助額は、1戸あたり耐震診断が費用の3分の2以内で最大3万円、耐震設計が費用の3分の2以内で最大10万円、耐震改修工事が費用の23%以内で最大40万円。すべて申請すると最大53万円の補助を受けることができる。
申込受付期間は今月16日から12月10日までで、予算枠が埋まり次第締め切る。
なお、同市が省エネ改修・バリアフリー改修を対象とした住宅エコリフォーム補助制度や新エネ・省エネ設備を対象としたエネルギーecoプロジェクトなどとの併用も可能。
詳しくは同市都市局建築指導部建築安全推進課(011・211・2867、FAX011・211・2823)へ。
2010年06月05日号から
札幌市エコリフォームに最大50万円補助
7月1~14日に受付
札幌市では省エネ改修・バリアフリー改修に最大50万円を補助する「札幌市住宅エコリフォーム補助制度」の事業者向け説明会を、去る5月31日に札幌市民ホールで開催。それによると、補助申請は7月1日から14日まで受け付け、補助要望額が予算枠の1500万円を上回る場合は抽選によって補助対象者を決めることとなった。
この補助制度は札幌市が今年度新たに設立したもの。1.市内に住宅(賃貸除く)を所有している市民が行う改修工事 2.建設業の許可を受け、市内に主な営業所を持つ業者が施工―を条件とし、一定の省エネ改修・バリアフリー改修に対して、実際にかかる工事費または市で規定する標準工事費のうち、いずれか低い金額の10%、最大50万円を補助する。
省エネ改修やバリアフリー改修にかかわる国の減税措置は併用可能だが、同一の工事で住宅エコポイントや他の国の補助制度との併用はできない。ただし、バリアフリー改修は市のエコリフォーム補助、省エネ改修は住宅エコポイントを利用するなど、工事箇所が明確に区分できる場合は併用も可能だ。
居室の窓すべて次世代対応に
省エネ改修・バリアフリー改修は、いずれか一方でも両方でも可。省エネ改修の場合は、居室の窓すべての改修を必須とし、そのうえで行う床・壁・天井いずれかまたは2つ以上の部位の断熱改修も対象。改修部位はすべて次世代省エネ基準に適合することが必要になり、窓の場合はサッシとガラスの種類、床・壁・天井は断熱材の種類と厚さで適合の有無を判断する。住宅1棟の熱損失係数=Q値による性能規定では判断しない。
バリアフリー改修は、1.満55歳以上 2.要介護または要支援認定者 3.障がい者―のいずれかの該当者または同居者が行う改修工事で、1.通路等の拡幅 2.階段のこう配緩和 3.浴室改良 4.便所改良 5.手すりの取り付け 6.段差解消 7.ドアの改良 8.滑りにくい床材への取り換え―をそれぞれ対象とする。
契約 ・ 着工は交付決定後
補助申請の受付期間は7月1日から14日までの2週間。工事見積書や施工前・施工後の設計図書、工事箇所の写真、住民票の写しなどの必要書類を同市都市局市街地整備部住宅課に提出する。住宅のオーナーに代わって業者が代理申請することも可能。
申請された補助要望額の合計が補助枠の1500万円を上回った場合は、7月23日午後2時から市役所内で抽選会を行い、補助対象者を決定することになる。抽選に当たると7月30日までに補助金交付決定通知が送られてくる。
受付期間に補助枠に達しなかった場合は、10月29日まで順次申請を受け付け、補助枠に達した時点で締め切る。
なお、工事の契約・着工は補助金交付決定通知が送られてきた後に行うこととなっているので注意したい。
補助金は工事完了後に完了届と必要書類を提出した後、補助金確定通知書が送られてきてから、3月31日までに請求書を提出。その後約2週間程度で振り込まれる。
問い合わせは札幌市都市局市街地整備部住宅課(011・211・2807)へ。
2010年05月25日号から
北海道住宅新聞版 事業仕分け
昨年に続き、今年も事業仕分けが今日(25日)まで行われ、注目を集めている。住宅に関連する仕分けでは、住宅金融支援機構が4月23日に対象となった。もとより事業仕分けは国民の代表が中心となって行うものだが、本紙は業界都合だけにとどまらず消費者目線からも課題の多い点について、問題を整理した上で解決の方向を示してみたい。
●中央集権がなじまなくなっている
〈全国共通基準としての建築基準法〉
まず最初に検討しなければならないのは、建築の基本を規定する建築基準法だ。
同法が不要だなどとは誰も言うまい。問題は、狭い国土の中に亜寒帯から亜熱帯が分布し、人口密集地域と過疎地域が混在する日本で、東京ですべてが決められる(中央集権的)あり方が、徐々になじまなくなっているという点だ。
中央集権のメリットは、東京で一元管理ができること。全国ネットの住宅メーカーなどナショナルメーカーにとっては、仕様決めなどがきわめてスムーズに進む。
しかしこんな事実もある。分譲マンションでは東京で決まった仕様が北海道・札幌にも持ち込まれるが、それがあまりに寒冷気候に合わない場合、工事仕様の段階などで変更になる。ただ、東北などでは東京基準で建てられるため、温熱環境があまりにひどいマンションがどんどん増える。
温熱環境や断熱のほかにも、住宅密集地や狭い道路を前提として作られている基準が多いとされる。
地方の実情にあった基準は地方が作る。建築こそ地方分権がもっとも必要な分野の1つではないだろうか。都道府県レベルが地域基準の1つの目安となると思う。
●整理して住宅新法に一本化へ
〈相次ぎ制定された住宅新法の整理〉
建築基準法を補うために、住宅を対象とする新法がこのところたくさん登場した。品確法(通称)による瑕疵(かし)保証の10年義務化と性能評価制度、瑕疵保証を保険等によって担保することを義務化する瑕疵担保履行法、そして長期優良住宅法。また、告示という形を取った省エネルギー基準。さらに、これらの法規に補助金などがからんでいる。まぎらわしい上に事務の手間も多く、苦労して認定などを取得しても行政や公的機関は認定に対する結果責任を取らない仕組みになっている。
複雑になった関連法規はいちどリセットし、住宅の基準を定める新法に一本化するべきではないだろうか。新法は、耐震や採光、断熱などを定める実体基準と、申請行為などの手続き面、そしてそれらに伴う責任の所在を明確にすること、そして、地域基準は各地域にゆだねるとともに情報公開を徹底するべきだ。
●矛盾だらけ...
〈消費者保護と瑕疵保険〉
新築住宅を建てるとき、売り主側が瑕疵保証保険に入ることが義務化された。当初は耐震偽装で倒産した企業のマンションを購入した消費者の悲劇を繰り返さないため、ということだったが、実際の法律運用はだいぶ違うかたちとなった。保険の引き受け基準は横並び、重過失に保険金を出さないなど、制度趣旨が運用に反映されていない。
そもそもこの保険は、欠陥住宅を建てた業者のために欠陥なくできあがった家の保険掛け金が利用されるという矛盾をはらんでいる。また、耐震偽装を見逃した建築確認申請のあり方と責任を見直すことなく、保険というかたちでリスクをカバーしようとしたことに、逃げはなかったのだろうか。
消費者保護は、判断基準と判断材料(情報)を消費者に提供するかたちで行えば、義務保険より低コストで安全を担保することができるのではないか。そのためには、品質検査を行い、その結果が公開され、融資が連動し、消費者は業者選びを自身の責任で行える環境が整っていることが求められる。
行政刷新会議ホームページ
http://www.shiwake.go.jp/
2010年05月25日号から
太陽光発電2010 メーカーの戦略3 シャープ
低価格化を進める
1.製品のPRポイント
シャープ(株)は、1959年から太陽電池の開発を始め、1994年に住宅用太陽光発電システムを商品化。多結晶シリコン方式を採用し、国内生産・シェアともにトップメーカーだ。
同社は品質を維持しながらの低価格化が普及のカギと見ており、今年度の新製品は7%程度値下げ。たとえば今年度モデルND―160BWは7万200円(同)で前年度モデルよりも5400円の値下げ。定格出力1Wあたりの『W単価』は新製品が439円と、500~700円程度の他社に比べて安い。
切妻などの勾配屋根では、なるべく多くの太陽電池を設置するため基本モジュールをサイズ違いで2種類用意し、組み合わせることで屋根面に無駄なく設置できる『ルーフィット設計』を新たに採用した。
このほか、発電状況を室内の専用モニターだけでなくパソコンや同社のインターネット対応液晶テレビ、インターネット対応携帯電話などから確認できる『Webモニタリングサービス』が利用可能だ。
2.今年の生産・販売量
大阪府堺市に薄膜型太陽電池の生産工場が完成し、今年度は160MWの生産予定。従来の多結晶シリコン太陽電池と合わせ、710MWの規模となる。さらに来年は1GW(=1000MW)を超える生産体制を予定。薄膜型太陽電池は低コストで生産できる半面、面積あたりの発電量は多結晶シリコンタイプに及ばないため、現在は太陽光発電所など大規模施設向けだが、今後一般家庭への導入も期待されている。
3.システムの保証体制
同社では、機器本体、架台、工事にわたる総合保証制度を構築している。1.システム構成機器に不具合が生じた場合 2.太陽電池モジュールの出力が保証値を下回った場合 3.設置工事が原因でシステムに不具合が生じた場合―に10年間無料で修理・交換が行われるというもの。設置工事が原因の防水事故などに対しても同社が保証する。「業界唯一の10年システム」と謳っている。
4.施工品質の確保
経済産業省では、太陽光発電システム施工の際に品質を確保するガイドラインを今年度中に定め、来年度にも運用開始する方針だ。同社も業界代表として委員会に参加するなど協力している。
同社はこれまでも施工講習会を開催して施工IDを取得することや施工管理者の工事チェック導入による責任施工制度を構築して一定以上の品質を確保するほか、業界に先駆けて無落雪屋根対応架台を開発し、様々なタイプの屋根に対応できる工法の確立などを行ってきた。
5.普及に何が必要か
道内の太陽光発電システムへの認知度は、一般消費者の間ではまだまだ低く、「冬は雪が乗って発電しないから内地より損ではないか」など、間違った認識も多い。
帯広や北見など道東での日照時間の長さ、道内全般では夏の日照時間の長さや気温の低さによって、年間を通じた発電量では道外と比べて全くそん色ないことなどをアピールする啓蒙活動を続けていく。
販売の主力は既築住宅への採用だが、昨年来道内でも新築への導入例が目立って増えていると言い、価格を早期に普及価格と言える状態にしたいという。
2010年04月25日号から
フラット35が激増 2010年1~3月は前年比約4倍
証券化支援事業による長期固定金利住宅ローン「フラット35」の平成21年度道内申込受理数を住宅金融支援機構北海道支店が発表した。それによると、伸び率が前年比で約2倍となっており、特に今年1月~3月は前年同期比で約4倍と大幅に伸びていることがわかった。
新築戸建ての約1割が利用
申込実数では、平成20年度の925件に対し、1840件で約2倍。内訳は、戸建て持家が約3分の2、中古住宅が約4分の1、残りが分譲マンションや建売住宅。新築戸建住宅では少なくとも1割以上がフラット35を利用した計算になる。特に今年1~3月の道内申込数は658件。前年同期比で約4倍、年間申し込みの3分の1以上を占めた。全国の21年度を見ると、対前年比67%増の8万1726件で、北海道支店の勢いが上回っている。
平成19年4月に住宅金融公庫を独立行政法人化して発足したのが住宅金融支援機構。独法化以降は直接融資から民間の長期固定金利住宅ローン商品を支援する立場に変わった。しかし、不況による金利水準の低迷で、発足当初は目先の金利が安い「3年固定」や変動金利型住宅ローンが利用者に支持され、フラット35は伸び悩んでいた。
ところが昨年は世界同時不況の影響で民間金融機関の住宅ローンに「貸し渋り」が目立つようになり、職業差別のないフラット35に人気が出始めた。
また、政府も緊急経済対策の中でフラット35の条件緩和・強化を打ち出し、昨年6月に購入価格の100%融資が可能となった。これにより、それまで前年比横ばいだったフラット35申込者が大幅に増えた。
さらに今年からはフラット35S(優良住宅取得支援制度)の金利優遇幅を大幅に拡大し、当初10年間は1%も金利が低くなった。特に長期優良住宅の認定を受けたりトップランナー基準をクリアした住宅は金利の優遇期間が20年間に拡大。
たとえば2000万円の住宅を全額ローンで35年返済する場合、フラット35Sの20年金利優遇タイプで借りれば、通常のフラット35に比べて総返済額で約260万円も安くなる。これに、長期優良住宅の100万円補助金や、先導的モデル事業の200万円補助金を組み合わせれば、消費者に対して強力なアピールとなる。
道内が大きく伸びた要因として、同支店では「もともとフラット35Sの利用率が他地域よりも高い」ことを挙げている。全国では4割程度だが、道内は8割近く。さらに、他地域では地場工務店がフラット35Sの性能要件に対して消極的だが、道内では対応が早いことも大きいという。
同支店では、「フラット35はプロパーローンの1つ。住宅ローンに多くの選択肢があり、その中の1つとしてフラット35が選ばれれば良いと考えている」と話している。
問い合わせは、住宅金融支援機構北海道支店営業推進グループ(電話011・261・8306)。
2010年04月25日号から
思いのほか甘くない 道内企業の札幌進出
道内から札幌の住宅市場へ進出する建築会社が増えているようだ。今年は帯広本社の(株)ロゴスホームが札幌進出を表明しており、今後もまだ続きそうだ。札幌進出の目算と現状を探ってみた。
○手 法
道内唯一の巨大市場に参入する企業の背景には、地元市場の縮小がある。多くは地元で成功し、棟数も30~50棟規模まで達している。その成功のノウハウを札幌でも展開するというやり方が一般的だ。
しかし、手法は同じでも商品メニューを変えるケースもある。1つはフランチャイズ商品を扱っていて、札幌には商権がない場合。もう1つは札幌では別のニードを狙う場合。多くはアッパー層を狙う誘惑に駆られるが、実はローコスト市場でうまくいくケースも少なくない。
○見込み通り
札幌は辛うじてニッチな市場が成立する市場規模がある。反対にボリュームゾーンが広いので、その中で絞り込むこともできる。
数年前に進出し、昨年ころから医師などの層をつかんだというH社。札幌圏以外でこういう顧客層だけで1年間の仕事が回るということはほとんど考えられないが、札幌ではある程度成立する。
土地を仕入れながらローコストを武器に札幌で大きく伸ばしている会社もある。土地の仕入れは即決が必要とされ、札幌にトップが常駐するか同等の決裁権を持っている必要がある。
○見込み違い
商売だから、失敗はある意味つきもの。反省を次に生かす意味で見込み違いの例も見ていきたい。
「甘く見た」・・・他地域から札幌の市場を見ると、けっこう甘く見えるようだ。例えば実行価格のチェックが甘い、宣伝費をかけすぎ、競争が少ないなど。
しかし、それは表面的なことであって、例えばお客がコンタクトしてくる前に競争が始まっていることに気づかずに建売やモデルを見てもらう機会を失っているケースがある。
「大勝負をしすぎる」・・・退路を断って1からつくりあげるつもりでも、やはり断ち切れない。というより崖っぷちの気持ちでいきなり大勝負に出るより、小さく始めたほうが時流に合っているように見える。
「知名度」・・・知名度不足を大きな問題ととらえすぎるケースもある。札幌ではそもそも消費者は住宅会社など1社も知らないと言っていいくらい。大切なのは「建てよう」と思った瞬間のお客と知りあうことだけだ。
○今後の札幌
「エンドユーザーとの距離が遠い」という点が札幌とほかの地域を比べたときの大きな特徴だ。そこで、これまでは大量の宣伝や、住宅展示場といったマス宣伝が使われてきた。ところが昨年1年間で大きく変わった印象がある。マス宣伝が効かないし減らしていい。むしろネット上での戦略や地域密着の地道な活動に気持ちが向いている経営者が多い。土地支配力は相変わらずだが、絶対的とまでは言えず、多少ゆるんでいる。
2010年04月15日号から
トップランナー基準に、突然ちょっと注目
断熱と設備選択のポイント
年間150戸以上の建売住宅を建設する住宅会社に義務づけられているトップランナー基準(住宅事業建築主基準)が、少し注目を集めている。金利引き下げ効果が大きい長期固定金利ローン・フラット35S(20年金利引下げタイプ)で適用条件の一つになっているほか、今年から始まった住宅版エコポイントでは次世代省エネ基準とともに新築の適用条件になったからだ。ここでトップランナー基準をクリアする断熱・設備仕様について考えてみたい。

2010年04月05日号から
"新築を超える"
性能リフォームの打開策 シリーズ1
既に世帯数を超える住宅ストックがある現代。エコと住環境改善を目指すなら中古住宅の性能リフォームが急務ともいえる。未だ活況を呈していない「性能リフォーム」市場に打開策はあるのか?
今回はリフォーム会社・工務店の施工力・提案力向上のために始動した「北海道住宅高性能リフォーム普及支援協議会(あったかリフォーム倶楽部)」の設立記念講演会を取材した。
1980年代以降の住宅が主流
約60名のリフォーム会社・工務店、専門家などが集まる中、同会アドバイザーである道立北方建築総合研究所の福島明居住科学部長が性能リフォームに関して熱いトークを展開。性能リフォームで受注を拡大させようと熱心にメモをとったり頷く参加者が多かった。
発言の要旨は左表掲載のとおり。すでにリフォーム市場は、1980年以降に建築された住宅。「安価なリフォームで新築を超える性能を実現できる住宅ストック」が7割を占めている。
これらの住宅を性能リフォームすることで顧客にも喜ばれ、環境にもやさしく、住宅リフォーム会社・住宅会社にとっても収益性が高まると強調した。

施工力と提案力を支援
同協議会幹事の高杉昇氏(はるす工房代表)は「リフォームで壁の一部にポリフィルムを入れただけで気密工事をしたかのようなケースが少なくない。技術面を支援するので身につけてほしい」
「性能リフォームで安価に性能を高めることができる既存住宅でも、安易に建て替えを薦める傾向が目立つ。技術を身につけエンドユーザーに性能リフォームをお勧めできるようになってほしい」と強調。
「相当隙間面積(C値)1を切る気密リフォーム工事ができるようになるためには、理屈を知るだけでなく熟練の施工力、いわば"現場力"が必要になる。まずは熱損失係数(Q値)とC値が1・5を切り、耐震強度も現行法並みの性能に高めるリフォームができるノウハウを協議会が提供したり現場施工アドバイスを行う」と述べた上で「協議会が施工店の認定を行ったり、区民センターなどでの市民セミナーも実施し、営業支援も行っていく」と述べた。
参加したリフォーム会社・工務店などからは「性能リフォームには展望があると思うが、当社はまだ本格的なアプローチはしていない。冬季の受注減対策としても興味がある」「断熱改修のリクエストは多い。コストを抑える手法とともに興味を持っている」「ユーザーさんに対する説明不足を感じる。営業力を強化したい」「既存住宅の性能アップを上手に提案していきたい」「連携して集客強化を図れればうれしい」といったコメントが寄せられた。
同協議会は、住宅の性能リフォームによる住環境改善と温室効果ガスの削減を目指す環境省認定の協議会で、性能リフォームの基準とマニュアルづくり、その基準をクリアするための設計・施工力の支援、クリアできる会員の認定、エンドユーザーへの性能リフォームに対する啓蒙活動を行う。会長は北海道大学繪内正道名誉教授。
24日には札幌市手稲区民センターで市民セミナーを開催する。
2010年04月05日号から
2010年度着工2~5%増
道内建材各社、やや上方修正
建材メーカーに2010年度の着工予測をやや上方修正する動きが出てきている。
売上予算の前提となる住宅着工予測、とくに木造系、持家系の新設着工(北海道内分)が2009年度比で2%~6%程度アップするとの見方が、ここに来て増えている。
背景には2月までの好調な建材売上があるようだ。昨年の10月以降、売上が前年を上回っている企業が多く、3月決算の企業のなかには通年で売上が前期を上回ったという声も聞く。
今年の年初はまだ慎重な見方も強く、本紙が2月5日号で2010年着工予測を上方修正し、持家7%増とした時点では、冷めた声も強かった。
ただ、ここへ来て売上にブレーキがかかっているとするメーカーもある。そこで、2010年度通期では前年を上回るとしても、上期は昨年同様、低調なすべり出しとなるのではないかという声も出ている。
また、前年比を上回るとしてどのくらい上回るかも見方の分かれるところだ。2%程度の微増から5%程度の増加まで幅があり、2ケタ増という声は聞かれない。
各社とも"おそるおそる"上方修正している背景には、なぜ昨年後半から伸びたのか、その原因をはかりかねているという事情がある。
極端に冷え込んだ需要の単なる反動増か、一時は冷えたものの需要の底堅さなのか、住宅金融支援機構(支援機構)の職業差別なしの融資承認が押し上げているのか。今年になれば、エコポイントスタート、支援機構の金利優遇、子ども手当てなどにより、民間企業の賃下げや雇用流動化を補えるのか。いずれもあまり決め手には見えない。
賃貸市場も似た状況となっている。空室の増加や家賃引き下げの広がりなど、賃貸事業者側にはプラス材料が見あたらないにもかかわらず、着工が増加に転じている。その理由がつかめず、各社とも着工予測を強気に修正することをためらっている。
とは言え、慎重に見すぎても売上拡大のチャンスを逃すことになりかねず、そのあたりのバランスを探っている。
2010年04月05日号から
道経産局など主催 埼玉での技術フェアに100名
道産技術に高い関心
北海道経済産業局などが企画して3月6日に埼玉県さいたま市で開かれた「北海道発!高断熱・高気密住宅技術フェア」が大盛況だった。
当日はまず「高断熱・高気密住宅技術の温暖地への展開」と題して、室蘭工業大学鎌田紀彦教授が夏の涼しさとQ1・0住宅技術などについて講演。道建設部の大柳佳紀主幹は北方型住宅の取り組みなどを紹介。集まった関東地域のハウスメーカーや工務店約100名は、省エネ技術や道の政策展開に熱心に耳を傾けた。
その後、出展企業によるプレゼンとビジネスマッチング会となったが、企業ブースには多くの来場者が訪れ、早速商談が始まるなど来場者の関心も高かった。出展企業は道内の省エネ関連住宅建材を扱う11社。各社ともに大きな手応えとなったとしている。
この取り組みは、昨年の岐阜県東濃地域での開催に続き2回目で、関東圏では初。
2010年03月25日号から
平成22年度予算確定へ
長期優良や太陽光への補助金事業は継続
国の平成22年度予算案と税制関連法案が今月2日に衆議院で可決され、現時点(3月19日現在)ではまだ参議院で審議中だが、今年度中の成立が確定。各省庁来年度予算の住宅関連施策をまとめた。
国土交通省
既存住宅の質向上と地域材利用に新支援策
国土交通省では、リフォーム市場の活性化や住宅・建築物の長寿命化・省CO2化を目的に、330億円の予算を計上して「環境・リフォーム推進事業」を創設。
この事業では、過去2年間実施してきた補助金事業である長期優良住宅先導的モデル事業と住宅・建築物省CO2先導的モデル事業を、それぞれ長期優良住宅先導事業、住宅・建築物省CO2先導事業と名称変更し引き続き実施。
さらに建築士による建物検査を踏まえた質向上リフォームに補助を行う既存住宅流通活性化事業と、エネルギー消費量を1割以上削減する省エネ改修(住宅除く)に補助を行う建築物省エネ改修推進事業も新たに実施する。
長期優良住宅先導事業と住宅・建築物省CO2先導事業、建築物省エネ改修推進事業は今月5日から募集を開始。既存住宅流通活性化事業については現時点で募集時期は未定だ。
また、先導的技術による大規模木造建築物や中小住宅会社による地域材利用の長期優良住宅に対して補助を行う「木のまち・木のいえ整備促進事業」を創設。50億円の予算を計上した。
これは中小住宅会社が建てる長期優良住宅に100万円の補助を行う長期優良住宅普及促進事業の名称を変更して補助要件を拡充するとともに、構造材・内外装材に木材を一定以上使用した大規模な木造建築物や、木造住宅・建築物の技術基盤強化に関する事業にも補助を行う。
中小住宅会社が建てる長期優良住宅への補助については、昨年同様の条件を満たせば最大100万円の補助を受けられるほか、さらに柱・梁・桁・土台の51%以上に産地証明がある地域材を使用すれば20万円の上乗せとなり、最大120万円の補助を受けられる。
木造住宅・建築物の技術基盤強化への補助は今月15日から募集を開始したが、長期優良住宅への補助は現時点で募集時期は未定。
経済産業省
高効率給湯器への補助予算は半減
経済産業省では、2020年に太陽光発電システム導入量を現在の20倍にする目標を掲げ、住宅用太陽光発電については引き続きシステムの導入に対して補助を行う。補助額はこれまでと同様、kWあたり7万円になる見込み。
昨年の事業仕分けでは予算化見送りとなっていたが、再生可能エネルギー全量買取制度の検討とあわせて、システム価格の引き下げを誘導する補完的・暫定的な普及促進策として復活。予算規模は401億円で、補正予算を含む前年度予算より20億円ほどの減額となっている。
断熱部材と省エネ給湯・照明等で構成する先導的な高効率エネルギーシステムや、潜熱回収型の高効率給湯器など省エネ効果に優れた設備の導入に補助を行う住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業も継続実施となり、137億円を計上。昨年、世界に先駆けて本格販売となった家庭用燃料電池についても68億円の予算を計上し、引き続き導入に対して補助を実施する。
ただ、補正予算を含む前年度予算と比べると、ヒートポンプなど先導的システムへの割当分は40億円の増額だが、高効率給湯器等への割当分は87億円とほぼ半減。
税制改正
贈与税非課税枠を1,500万円に
税制改正では、65歳以上の親からの贈与資金を対象とする相続時精算課税制度で、65歳未満の親からの贈与も対象とする特例措置を平成23年12月31日まで延長するとともに、新築・増改築以外に省エネ・耐震・バリアフリー改修も適用対象とする。ただし、特別控除の1000万円上乗せ特例は昨年末で廃止。
また、新築・増改築のために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税枠を、平成23年12月31日まで現行の500万円から平成22年は1500万円、23年は1000万円に拡大。省エネ・耐震・バリアフリー改修も適用対象とする。
このほか、固定資産税が戸建ての場合、5年間2分の1に軽減され、不動産取得税や登録免許税も優遇される長期優良住宅普及促進税制や、一般の新築戸建住宅で固定資産税が3年間2分の1に減額される特例措置、30万円以上の省エネ改修・バリアフリー改修を行った場合、翌年度の固定資産税を3分の1減額する省エネ改修促進税制とバリアフリー改修促進税制などの適用期限も2~3年間延長となる。
2010年03月15日号から
このままでいいのか疑問も・・・
住宅補助金の功罪
家を建てる人のための補助金だけれど、住宅業界にも向けているように見える補助金制度。集客や受注獲得に使える半面、書類作成や工程管理に一般住宅以上の労力がかかる。また「補助金頼みでは営業力が弱くなる」という不安や、「家がほしい消費者にとって不平等だし、年金や社会保険の負担が増えているのに、1件に200万円も税金が投入されることに後ろめたさを感じる消費者も出てきた」という声も上がっている。補助金投入3年度目を前に、「補助金制度の現状と課題」をまとめた。
功績は大きい
住宅会社が補助金への注目度を高めていったのは、一昨年に始まった超長期住宅先導的モデル事業(現長期優良住宅先導事業)がきっかけ。
"200万円"という補助金のインパクトは大きく、受注に結びつくのはもちろん、地方を中心に集客でも効果があったという住宅会社は多い。
が膨大な手間と工程管理
他の仕事ができない
しかし、補助金をもらうための書類作成や申請などの手間は相当多く、営業やアフターなど本来やるべき仕事ができないといった声があがるようになってきた。
国では長期優良住宅の認定申請図書の簡素化を図ることを目的に、法律施行規則の一部改正を実施予定。申請図書の一部に確認申請などの書類を流用できるようにするとともに、2階建て以下の在来木造は壁量計算書などの計算過程を省略可能にする。
これにより、多少の負担軽減につながると歓迎の声がある一方、もう一歩踏み込んでほしいという声も強い。この2年間北方型住宅ECOに取り組んだ住宅会社は「認定申請に出す図面や計算書などは、ほとんど技術的審査で提出した書類と同じ。いくら認定申請の書類を減らしたとしても、技術的審査の書類を減らさないと意味はない」と言う。
また、年度内事業の場合、着工・完成時期が左右されることも、住宅会社が頭を悩ますところ。仕事量の平準化ができなかったり、資金繰りに影響が出たりするからだ
補助金で受注が取れたとしても、それに振り回されてしまう、仕事のある時期とない時期の差が大きいなどの状態はもっとも深い悩みになっている。
営業力低下が心配
補助金頼みに不安の声も
補助金はユーザーにとって大きな魅力で、受注・集客効果もある。しかし、問題は補助金がなくなった後。補助金に頼りすぎてしまい、知らず知らずのうちに自社の商品力・企画力・営業力を落としているのではないかという不安の声が出始めている。
「補助金がなくなった時に果たしてユーザーは当社を選んでくれるのか。実際に北方型ECOの割当分は決まったと話したら、他社に流れたユーザーもいる」と言う。
補助金の要件に縛られてしまうと希望通りのプランが実現できないために、補助金を断ったユーザーもいる。
有効な税金の使い方は?
地域水準クリア型も
住宅業界への支援、住宅取得者への支援が行われるべきである、という点については、家電や自動車と比較しても間違いないところだ。そうすると、もっと使いやすい制度に変えることはできないか、ということになる。
第1に提案採択型で、全国からの提案を一括して審査する形式を改め、要求水準を場合によっては地域ごとに定めてそのクリアを条件にする方法がある。
これはエコポイント型だ。ただしエコポイントより高いレベルのクリアを条件とする。
第2に住宅に対する補助ではなく、家を建てた人への補助とする。これはいわばローン減税型だ。こうすることで審査や申請などのやりとりを軽減することができる。
もちろんほかにも方法はあるはず。せっかくの補助を「有効に使う方法」を考えるべきではないか。
2010年03月15日号から
エコポイントを付加断熱に交換できるか?
「追加工事」なら可能だが線引き不明確
今月8日から住宅版エコポイントの発行・交換申請が始まったが、ポイントの即時交換は付加断熱工事も対象になるのかどうかで混乱が起こっている。本紙の取材に対し国土交通省住宅局住宅生産課では、最初から付加断熱で新築・リフォームを計画していたのであれば対象にならないが、当初の計画にはなく、追加工事として行うのであれば対象になるとしたが、線引きは不明確で、住宅会社は慎重に対応する必要がある。
エコポイントの発行は、戸建て新築であればトップランナー基準または次世代省エネ基準(木造のみ)をクリア、リフォームであれば床・外壁・天井・窓の各部位を次世代省エネ基準相当に改修することが条件。ポイントはあらかじめ登録された環境配慮型製品や商品券、プリペイドカードなどに交換できるほか、即時交換として追加的に行う工事の代金に充てることも可能だ。
即時交換可能な例としては、外構・造園工事やキッチン、浴室のグレードアップ・改修などが挙げられるが、付加断熱工事も対象になるかどうかで混乱が起こっている。国交省が設置した相談窓口では対象になると答えたケースもあれば、対象にならないと答えたケースもある、ことなどが原因のようだ。
最初から付加断熱で計画していたら対象外
即時交換はポイントの発行対象となった工事費用に充てることができないため、最初から付加断熱を前提に条件をクリアする仕様であれば、即時交換はできない。
また、付加断熱なしで条件をクリアする場合、得られるポイントを即時交換で付加断熱工事の代金に充てることができるのかどうかとなると、 国交省住宅局住宅生産課では「ポイントの即時交換は追加的に行う工事を対象としているので、例え付加断熱なしで条件をクリアしていたとしても、最初から付加断熱を行う計画だったのであれば対象にはならない。リフォームでは工事の途中で断熱性能をグレードアップしたくなって、付加断熱を追加工事として発注するのであれば即時交換の対象となる」としている。
つまり最初から付加断熱を計画していたのなら対象外、後から追加工事として施工することになったのであれば対象になる。
そうなると、新築で後から付加断熱を行うのは、現実的な話ではないし、追加的工事として認められるかどうかもわからない。リフォームではまったく考えられないとは言えないが、国交省住宅生産課では「即時交換で本当に後から追加した工事なのかどうかまでは細かく調べないが、実際にそんなケースが本当にあるのか」と言う。
このように付加断熱工事に対する即時交換の可否は、非常にわかりづらく、不透明な部分もある。慎重な対応が必要といえるだろう。
テラス窓でも混乱
付加断熱工事の即時交換以外にも混乱が起こっていたのが、テラス窓・掃き出し窓の扱い。
「引き戸はエコポイント対象外だが、人が出入りできるテラス窓や掃き出し窓はどうなるのかについて相談窓口に問い合わせたところ、引き戸とみなされるので対象にはならないとの回答だった。しかし、窓メーカーはエコポイント対象商品(予定)としてテラス窓や掃き出し窓の写真をホームページやパンフレットに載せている。どうなっているのか」とは、ある住宅会社の声。
この件についても国交省住宅生産課に取材したところ、「エコポイント対象商品として認められたものであれば、テラス窓や掃き出し窓も対象になる」との回答だった。
本紙でも相談窓口に何度か質問しているが、出るのはいつも若い女性。どこかのコールセンターの契約・派遣社員だと思うが、とても住宅関係の専門知識を持って対応しているようには感じられない。
無用な混乱を生まないために、窓口の教育などの改善を求めたい。
2010年03月05日号から
住宅コスト1/10に この夏にも実証住宅
赤平市・植松電機
宇宙開発の技術を使って住まいのコストを10分の1にするプロジェクトを北空知・赤平市の(株)植松電機が進めている。同社のARCプロジェクトの一環だ。基礎研究は終わり、次の段階として夏に実験住宅を建設、実用化に向けて大きな一歩を踏み出す。
宇宙技術を家づくりへ
同社は大学の研究者と共に宇宙開発に乗り出し、これまでの常識を覆す低予算でCAMUI(カムイ)ロケットの打ち上げに成功し、全国から注目を浴びている。今進めているARCプロジェクトは家だけでなく、街作りや人材づくりも同時並行で行って北海道や日本を良くしていこうという壮大な構想だ。プロジェクトの中心的存在である同社の植松努専務に取材した。
住宅については分野別の基礎研究がほぼ終わり、コストを10分の1にするメドがほぼついたという。今年夏に基礎研究内容をすべて盛り込んだ実験住宅の1モジュールを建設し、事務所として実際に使いながら検証する。来年中に実験住宅を完成させ、事業化のメドをつけたい考えだ。
「当社で住宅を施工する、販売するというところまで考えていない」と言い、事業化にあたっては住宅業界との共同開発を希望している。「北海道の多分野の企業が協力し、家電の領域まで踏み込んで開発することで、住宅に圧倒的な優位性が出てくる。新たな輸出産業にもなる」と植松氏は話している。
(写真:「住まいのコストを10分の1にするメドがほぼついた」と語る植松努専務)
50cmの断熱層。窓は新開発の真空
10分の1にするカギは、運べる大きさに分割したユニット化。製造・建築コストを低減し、維持管理が容易で建て直さなくても良い構造にすること。もう1点は、熱の最大有効利用。排熱回収などの手法を徹底することで住宅から排出されるエネルギーをゼロに近づけることにある。
ユニット化に関しては、構造躯体と内装を分離して工場で製造し、現地でビス止めして組み立てる。ヒントになったのは大型船のブロック建造法。内装を先に仕上げ、船体は小さなブロックに分けて後で組み立てている。
躯体と内装空間の間に50~60cmの空気層を設け、ライフラインの収納場所として活用、配管や配線の維持管理がしやすい構造にする。しかも分厚い空気層が断熱材として機能する。開口部は新開発の真空断熱ガラスで断熱性能をアップする。年に1回居住者が自分で真空度をメンテナンスする。ポンプなどで空気を抜けば真空のメンテナンスができる。これまでの宇宙開発研究から出てきたアイディアだ。
空気層断熱は昨年夏建設した研修室など3棟の鉄骨造建物にさっそく採用した。H形鋼の柱の間にできる空間は断熱材を入れていないが、取材に訪れた2月下旬、深夜電力で土間床に蓄熱する電気床暖房は最弱にセットされていたにもかかわらず、室温は17℃以上あった。現在は、室内の温度変化などデータを採取している。
(写真:ARCプロジェクトで研修スペースとして使用している建物は実際に空気層断熱を採用し、開口部が出窓のように見えている)
その次のステップとして考えているのが家電と住宅の融合だ。たとえば家電で一番電力を消費しているのは冷蔵庫だ。日本では住宅スペースが狭く、断熱厚を薄くすることが求められるからだ。そこで、分厚い空気層で包んだ冷蔵庫を造作し、建物と一体化する。故障する可能性のある冷却ユニットは、交換容易な構造とする。
さらに冷蔵庫の排熱で衣服を乾燥させたり、エアコンや換気の排熱を給湯に活用するなど、家から排出される熱をできるだけ回収できる仕組みを考えている。これは人工衛星で省エネルギー化のために実践している技術で、それを家庭用に応用しようとしている。
最後のステップとして、家庭で使う電気の直流化を挙げた。LED電球や液晶テレビも直流で動くし、最近の換気システムは省電力化のために直流モーターを採用している。一方で家庭用電源は交流のためこれらの機器を使うために交流から直流に変換する装置が機器内に必要で、それがエネルギーロスとなっている。また、太陽光パネルが発電するのは直流で、それをわざわざ交流に変換している。直流化によって変換の無駄がなくなり、トータルの消費電力が3割近く減り、エネルギー消費の少ないコンパクトな家が完成する。
(写真:同社敷地内には世界に数ヵ所しかない無重力実験装置などが並ぶ)
低コスト化で人材呼び込め
「決して奇跡的な新技術を使っているわけではないが、既にある技術を組み合わせて住宅コスト、食のコスト、学ぶコストが大幅に下がれば従業員の生活コストを引き下げることができる。また、これらによって産業が活性化すれば、普通の注文住宅の着工も増える。その結果、生活が豊かになる」と植松氏は言う。
同社はもともと建築物の解体などの際に金属を選り分ける特殊マグネットの開発・製造を行っており、市場で圧倒的なシェアを持つ。他社にはできない高付加価値な仕事をベースに、もっと大きなことをやってのけようとしている。
「田舎は土地が余っている。だから省スペース化の必要はない。田舎こそ、住のコストを引き下げて人材を都市から呼び込むべきだ」植松氏の挑戦はこれから正念場だ。
2010年03月05日号から
高水準の省エネ推進 パッシブハウス・ジャパン設立
ドイツ発祥の省エネ住宅・パッシブハウスの普及を日本・アジアで推進するパッシブハウス・ジャパン(森みわ代表理事、キーアーキテクツ代表)がこのほど設立され、本格的に活動を開始した。
パッシブハウスは1991年にドイツのパッシブハウス研究所で開発された省エネ住宅。年間の一次エネルギー消費量基準は120kWh/m2と、ドイツの省エネ義務基準より大幅な省エネを実現しながらも、快適性は決して犠牲にしないことから、ヨーロッパはもとより、アメリカや日本、韓国などでも注目され、昨年には神奈川県鎌倉市で日本初のパッシブハウスが建設された。
パッシブハウス・ジャパンでは、ドイツ・パッシブハウス研究所の日本における正式な窓口として世界各国の研究機関と連携し、省エネ住宅に関する最先端の技術情報の発信や、建物の熱損失などを計算するパッシブハウス用のソフト・PHPPの改良、日本の気候風土に適した省エネ基準の確立などを計画。
具体的には、パッシブハウスの認定、パッシブハウス入門セミナーやPHPPを用いた省エネ設計セミナー、設計コンサルタント、省エネ建築診断士資格試験、EUの第3者機関による住設建材の性能値取得の手伝いなど建材設備機器メーカーのサポートを行う。
現在、工務店や設計事務所、建材設備機器メーカーなどを対象とした賛助会員も募集中で、会員になると様々な特典が受けられる。
日本向け仕様を追求
森代表理事は「建物からの"熱損失"を厳しく制限するパッシブハウス基準は、"究極の高断熱高気密住宅"と位置づけられてしまいがち。それは決して間違いではありませんが、ひたすら省エネ性能のみを追求した概念ではなく、本来は省エネ住宅の居住性と経済性を同時に成立させることがパッシブハウス基準の目的。EUではパッシブハウスの性能値とその評価方法が、建築のカーボンニュートラル化のための重要な一歩として各国で採用される見通しです。パッシブハウス生みの親であるファイスト博士もパッシブハウスの日本への適用に大変意欲的であり、私達パッシブハウス・ジャパンの掲げる、日本の風土と文化に適したパッシブハウス基準の検証に心から賛同してくださいました」と話している。
入会や問い合わせはホームページを参照のこと。
2010年02月25日号から
性能リフォームで住宅改善
3月26日に講演・入会説明会
今年から本格的に活動を開始した北海道住宅高性能リフォーム普及支援協議会(繪内正道会長・北海道大学名誉教授)は3月26日、札幌市内で設立記念講演会・入会説明会を開催する。
同会は温室効果ガス排出削減のため、地方自治体や事業者らが構成員となり、連携して日常生活にかかわる具体的対策を実践する地域協議会の1つで、環境省登録団体。
ある程度断熱化の進んだ新築に比べ、ほとんどが建築当時から手つかずの低い断熱性能のまま使われている既存住宅を、快適で省エネな家に改修することで温室効果ガスの削減を実践していく団体として、札幌圏の研究者や技術者、リフォーム会社などによって設立。
消費者への啓もうと事業者に対する技術支援を活動テーマをかかげ、今回の講演会は事業者に対する技術習得への呼びかけとして実施する。
中古住宅で断熱性能が良い住宅はほとんどないが、外観や内装は一新されているケースが多く、中古で購入する消費者は「新築と変わらない」と思い込んでいる。
また、20年、30年と住み続けてきた住宅の寒さはあい変わらずで、シニア世代・子育て世代にとっては暖かい家が望みだ。
一方、業界側は、断熱・気密技術が確立し、新築はかなり普及しているものの、改修はまだ情報も不十分で、とくに水回りや外壁リフォームを得意とする会社は、こういった新しい分野へ進出したくてもノウハウがないケースもある。
同会は、リフォームの中でも断熱改修の技術に特化し、リフォーム会社に向けては住んだままのローコスト改修からフルリフォームまで、診断、改修手法、現場施工などトータルで支援する。
またエンドユーザーに向けては、地域ごとのミニセミナーを主催して、居住環境が変わる住宅改修について情報を発信する。
今回の講演会では、同会アドバイザーで道立北方建築総合研究所居住科学部長の福島明氏が「北海道の暮らしをより快適に・省エネに」と題して講演するほか、同会幹事のはるす工房高杉昇氏が「性能リフォーム事業化の実例」と題して、技術、商品化、施工改善などについて、同氏が支援した企業の取り組みのポイントを紹介する。
日時は、3月26日13時30分~15時30分まで。会場はかでる2・7、710会議室(札幌市中央区北2西7丁目)。無料。
問い合わせ・申し込みは事務局の北海道住宅新聞社まで(tel.011・736・9811)。
同協議会ホームページに申込書。(http://www.hsc.or.jp/rifoumu/)
2010年02月15日号から
エコポイント商戦スタート
住宅版エコポイント商戦の火ぶたが切って落とされた。すでに新聞の広告やチラシで積極的な対応をうたう住宅会社も出始め、ユーザーの関心も高まっている。ここでは全国大手や道内住宅会社、リフォーム会社のエコポイント対応状況をまとめた。
新築系
新築系で積極的な動きを見せている1社が土屋ホーム。エコポイント開始を機に、国の30万ポイントを30ポイントとみなし、さらに独自ポイントを70ポイント加算することで"100点満点のエコ住宅づくり"という趣旨のキャンペーンを今月から3月末までの期間限定で実施する。「お客様の関心がある時期に、受注へ向けたきっかけづくりを行う」とのことで、独自ポイントについてはあらかじめ用意する家電製品や住設機器、照明・カーテンなど16品目の中から交換してもらう。
同様に住まいのクワザワも3月末まで限定30棟に独自ポイントを発行。工事内容によって国の30万ポイントを含め最大190万ポイントをユーザーに還元し、値引きや提携している電器店・家具店での買い物に利用できるようにしている。
30万円では決まらないとの声も
特にキャンペーンなどは行っていないが、エコポイント標準対応を打ち出しているのが、ミサワホーム北海道、ホーム企画センター、コスモ建設、イワクラホームなど。
このうちミサワホーム北海道では「現段階で対応していないと申請が間に合わない恐れもあることから、ほぼ全商品標準で対応できる状態としている。ただ、新築で30万円は受注の決め手にはならない」。コスモ建設は「特にキャンペーンなどはやっていないが、お客様には"当社の住宅はエコポイントに標準仕様で対応しています"と話している。ただし、エコポイントの証明書取得に必要な事務経費はお客さま負担で、事務局への申請はお客様ご自身でやって頂く予定」と、両社とも標準で対応するのは当然としても、30万円で受注がどんどん決まるとは見ていないようだ。
また、ホーム企画センターは「12月8日以降に着工した住宅は注文も建売も全棟標準対応で、これから広告宣伝などでPRしていく。どちらかというと新築よりリフォームのほうがメリットが大きく、既存外装材の上から直接断熱材を施工する当社の改修方法なら、バリアフリー改修を含め300万円のリフォームで30万ポイントもらうことも可能だと思う」と、新築よりリフォームでの受注効果に期待を寄せている。
鉄骨系はハードル高い
一方、鉄骨系が主力のハウスメーカーは、トップランナー基準への適合がハードルとなっていることも。
例えば北海道セキスイハイムでは、木質系商品こそ標準対応だが、主力の鉄骨系商品は個別対応。「木質系商品は次世代省エネ基準に適合すればいいので対応のハードルは低いが、鉄骨系商品はトップランナー基準への適合が条件となるので標準対応は厳しく、暖房給湯設備などを、どのような仕様にすればトップランナー基準をクリアするのかを全社員に説明し、お客様の要望を踏まえたうえで個々に対応している」という。
リフォーム系
リフォーム系では、全国大手の住友不動産がフルリフォームの"新築そっくりさん"で全棟標準対応を今後新聞・テレビでの広告宣伝を展開する予定。「当社の"新築そっくりさん"は、特別な対応をする必要はなく、標準でエコポイントがついてくる。お客様が申請にかかる手数料を負担することもない。断熱改修はもちろん、バリアフリー改修も標準で行っているので、大体の物件は30万ポイント目一杯いくのではないか。お客様からの問い合わせもかなり増えてきているので、広告戦略としてエコポイント標準対応をこれから打ち出していく」と、エコポイント標準対応を営業戦略の柱とする考え。
一方、道内リフォーム大手の土屋ホームトピアは大きな動きを見せていない。「1月のイベントからエコポイントについて『こんな制度が始まります』という案内はしている。ただ、キャンペーンなどは特に行っていない。お客様は多少関心があるようだが、エコポイントがらみの受注はまだない」とのこと。
中小の対応はこれから
このほか、道内の中小リフォーム業者はどうかというと、まだ準備段階もしくは様子見のところが多いようだ。
札幌のほか旭川と帯広で営業展開しているトーリツは「エコポイント関係での顧客の反応は特になく、窓交換など一部詳細が不明なこともあり、キャンペーンを打ち出すにはまだ早いと判断している。メーカー主催の勉強会があるのでそれから対応を決めたい」。
外壁リフォームを専門とする札幌の藤井建業は「エコポイントを営業に生かしたいと思っているが、詳細がわからないのでイベントやキャンペーンはやっていない。来週建材メーカー主催の勉強会があるのでそれから方針を決める予定」と話している。
※写真はベスト電器の今月6日新聞折り込みチラシ。住宅版エコポイントで素早い動きを見せたのは、意外にも家電量販店だった。首都圏では内窓を展示するなど窓メーカーと提携して来店者にPRする店舗がある。
一方、道内では宣伝こそしているものの店舗には何も展示がないなど、対応は首都圏に比べ遅れている
2010年02月15日号から
エコポイントの手間
新築の証明書申請は大変か?
確認申請の書類程度
住宅版エコポイントのスタートにともない、多くの住宅性能評価機関でエコポイント対象の新築住宅であることを審査・証明する「エコポイント対象住宅証明書」発行業務が始まった。昨年、長期優良住宅の技術的審査が大混乱となっただけに、今回も証明書の申請に不安を抱く住宅会社は少なくない。北海道建築指導センターと札幌工業検査に聞いたところ、申請にかかる手間は確認申請と同等もしくは確認申請よりちょっとかかる程度という。
* *
エコポイントは新築でもリフォームでも戸建て・共同建てを問わないが、新築戸建てでエコポイントをもらうためには、次世代省エネ基準(平成11年基準)またはトップランナー基準(住宅事業主基準)に適合することが条件。ただし、鉄骨造やRC造など木造以外の構造はトップランナー基準に適合した住宅のみ対象となる。
エコポイントを申請する時には、これらの基準に適合することを証明する書類が必要で、その一つとして国が新たに用意したのがエコポイント対象住宅証明書。
「エコポイント対象住宅証明書は省エネ性能だけ審査するので、申請に必要な手間は確認申請並み。長期優良住宅の技術的審査と比べたら4分の1以下」(道建築指導センター)。証明書発行までの期間も次世代省エネ基準で申請するなら1週間程度で、料金は評価機関によって異なるが次世代省エネ基準での申請なら一番安いところで2万円となっている。
エコポイント対象住宅証明書を申請するタイミングについては、特に決まっていない。確認を行う前でも、着工した後でも申請可能だ。
ただ、「断熱施工が終わった後に所定の性能を満たさないことがわかったら、直すのは大変。着工前には証明書を取っておいたほうがいい」(札幌工業検査)という。
建築確認とエコポイント対象住宅証明書は申請書類がほぼ同じなので、申請も一緒に行う方法もある。道建築指導センターや札幌工業検査などでは、建築確認とエコポイント対象住宅証明書を一緒に申請すると、建築確認料金が割引になる。

申請書類は基本的な設計図書
申請に必要な書類は基本的な設計図書が中心だが、各性能評価機関によって多少異なる。ただ、特別手間がかかる書類はない。例えば道建築指導センターで木造戸建てを次世代省エネ基準で申請するなら1.依頼書2.住宅の所在地など概要等を記載する別紙3.配置図4.平面図5.立面図6.断面図または矩計図7.基礎伏図8.住宅の床面積等計算図9.仕様書10.Q値等計算書―などを2部ずつ用意する。
仕様規定で次世代省エネ基準に適合するなら、断面図または矩計図で断熱仕様がわかればQ値等計算書は不要だし、基礎断熱部分がまったくなければ基礎伏図も不要。
なお、トップランナー基準で申請するなら、基準達成率算定シートや設備機器等の性能・仕様がわかるカタログ・資料なども用意する。
書類作成上の注意点としては、「仕様規定で次世代省エネ基準をクリアする場合、断面図または矩計図に断熱材の種類や厚さを正確に記入してほしい」(道建築指導センター)という。例えば"グラスウール100mm"は"高性能グラスウール16K100mm"、"FP板50mm"は"FP板B3種50mm"など。
このほかにも「基礎回りのQ値を計算する時は、土の熱伝導率を0・7Wではなく1・0W以上として計算することに注意してほしい(2月5日付8面記事参照)。また、トップランナー基準で申請する時は設備機器の資料の添付を忘れずに」(札幌工業検査)。

リフォームの申請書類は?
断熱材の納品書など
リフォームでエコポイントをもらうには、申請書類として外壁等の断熱改修では断熱材の種類・使用量がわかる納品書や工事完了書が必要。窓を改修・交換した場合は交換・追加した窓の性能証明書が必要になる。
続きは本紙試読をお申し込みください。
http://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/
2010年02月05日号から
道内主要都市のリフォーム支援制度
新築戸建て市場の縮小と既存ストックの充足が進む中、これから住宅会社が生き残っていくためにはリフォームの比重を高めることが一つのポイント。特に環境問題や高齢化社会の進行、安全・安心な住環境の確保などは住宅業界はもちろん国にとっても重要な課題であり、省エネ・耐震改修やバリアフリー改修は、国や地方自治体による補助や無金利融資といった支援制度が充実してきている。
ここでは、道内各主要都市のリフォーム関連の支援制度を一覧にまとめるとともに、主要都市の来年度の動きについても紹介する。
一覧表については試読をご請求ください。
道央 札幌が断熱改修に補助
札幌市では、耐震改修・バリアフリー改修に無利子融資を行う「住宅資金融資」などに加え、来年度は新たに「エコ・リフォーム補助」と「耐震改修補助」を創設する計画だ。
「エコ・リフォーム補助」については、昨年11月下旬に制定された『札幌市環境負荷の低減等のための住宅リフォームの促進に関する条例』に基づいて実施する。
具体的な内容は現在検討中だが、一定の条件を満たす断熱改修・バリアフリー改修に補助を行う予定。設備機器による省エネ化については対象外となる。施工は市内業者に限定し、国の地域交付金を利用する関係上、国の住宅版エコポイントとの併用はできない。
また、この条例に基づき、市が実施するリフォーム関連支援制度の窓口をできる限り1本化。各支援制度の申し込みや資料の配付・閲覧などが1ヵ所でできるよう利便性の向上を図る。
「耐震改修補助」は耐震診断を受け、一定の条件を満たす木造住宅に対し、工事費の23%、最大50万円を補助する。
このほか、太陽光発電やエコキュートなどの省エネ設備機器の導入に補助・無利子融資を行う「エネルギーecoプロジェクト」は市民向けの補助枠を前年度比3500万円増で予算要求を行っている。
札幌以外では、千歳市が新たに「環境省の地域グリーン・ニューディール活用の事業」を計画。これは新築も含め太陽光発電の設置に最大10万円、省エネ給湯設備の設置に最大4万円の補助を行うもの。小樽市は「バリアフリー等住宅改造資金融資」の対象工事拡大を検討中。江別市と恵庭市は今のところリフォーム関連の支援を行う計画はない。
道南 便利な函館の融資
函館・室蘭・苫小牧の各市は、今年度実施した支援制度を継続するが、新たな制度を来年度に創設する予定はない。
函館市が高齢者・障がい者が行うバリアフリー改修などに低利融資を実施する「いきいき住まい改良資金融資」は、バリアフリー化を行っていれば、外壁・屋根の塗り替えや断熱改修、耐震改修などの費用も融資額の中に含めることが可能。室蘭市の「住まい・らくらくリフォーム資金融資」は、バリアフリー改修や雪対策工事などに加え、建物・宅地の倒壊・崩落等を防止する防災工事も対象としている。
また苫小牧の「住宅耐震・リフォーム支援事業」は一般的な増改築や修繕・模様替えから耐震改修、バリアフリー改修などまで、対象となる工事内容を幅広く設定しているのが特徴だ。
道東・道北 旭川は新省エネレベルでもOK
旭川・帯広・釧路・北見では、来年度新たに創設される支援制度はなく、今年度の支援事業が継続となる見通し。
各市とも耐震改修(耐震診断)、バリアフリー改修、太陽光発電設置補助が中心となっているが、旭川の「やさしさ住宅補助」はバリアフリー改修に加え、新省エネ基準(平成4年基準)に適合する断熱改修や融雪設備の設置も対象。
帯広市では木質ペレットストーブのほか、燃料の木質ペレットにも補助を行っているのが特徴となっており、ペレットストーブ導入初年度に一律4万2000円の補助が受けられる。
2010年01月15日号から
CO2削減とこれからの家づくり
昨年9月22日、鳩山首相は国連で2020年までにCO2などの温室効果ガスを1990年比で25%削減することを目指すと発表。様々な政策を総動員して実現する考えを示した。国がCO2排出量削減へ向けて大きく動き出す中、これからの家づくりにはどういう視点・考え方が必要になるのだろうか。道立北方住宅総合研究所居住科学部主任研究員・鈴木大隆氏に話をうかがいながら、これからの家づくりの方向性を探ってみた。
◆CO2排出量の現状
化石燃料の燃焼などエネルギーを作る時に排出されるCO2を示す"エネルギー起源"で日本のCO2排出量を見てみると、2008年度は速報値で11億3800万t。ここ10年間では最も少なく、前年度比では6・7%減で2年ぶりの減少、京都議定書の基準年である1990年比では7・4%増となっている。
7%近い減少に転じたことで、思っているほど事態は深刻ではないと思う見方もあるかもしれないが、暖冷房や給湯など住宅が直接関係する家庭部門の状況を見ると決して楽観できない。
家庭部門から排出されるCO2は全体の15%で、前年度比は4・6%のマイナスだが、1990年比では約35%もの増加と、依然大幅に増えていることに変わりはなく、鳩山首相の言葉通りに推移させるには、すでに増加している約35%分に加え、さらに25%ものCO2を減らさなければならない。
また、環境省によると2008年度の家庭部門の減少は「暖冬の影響」としており、省エネが進んだ結果ではない。平年並みの気象条件であれば再び増加に転じることも考えられる。
道内暖房は4割も減ったが・・・
一方、道内に目を向けてみると、家庭でのエネルギー消費量は昔と大きく変わってはいない。
道立北方建築総合研究所(北総研)がまとめた北海道の戸建住宅の年代別・用途別運用エネルギーを見ると、一次エネルギー換算で1970年代は年間120GJを超えていたが、1980年代以降は概ね110~120GJの間で推移し、暖房エネルギー消費量は4割程度も減っている。これは北海道の産学官が、高断熱・高気密を始めとする住宅の省エネに取り組んできた成果だ。
しかし、暖房以外のエネルギー消費量、特に照明・家電などで使用されるエネルギーが急増。さらにエアコンによる冷房やロードヒーティングなどの融雪設備を設置する住宅も増加。結果として住宅全体では省エネが進んでいないということになる。
住宅のエネルギー消費抑制は、世代分化による世帯数の増加や延床面積の増加などの要因もあり、必ずしも技術だけで解決できる問題ではないが、CO2排出量25%削減を考える時、北海道も含め住宅にこれまで以上の省エネ化が求められてくるのは確かなことだ。
◆省エネ政策の方向
それでは今後どのような省エネ政策が出てくると考えられるのか。
先に紹介したように家庭部門のCO2排出量はすでに1990年比約35%増。全体の7・4%増を大きく上回っており、住宅では25%を上回る削減努力が必要という声が出てくるかもしれない。
この点について、住宅省エネ基準の改定などに携わっている北総研・鈴木氏は「住宅全体のエネルギー消費量増加は、世帯数や延床面積の増加など、今の技術だけでは抑えられない要因がある。住宅でのエネルギー消費が増え続けているからといって、産業や運輸など他部門より高い削減率を課すべきと言うのは簡単だが、延床面積の増加など技術以外の要因が絡んでいるだけに、5~10年後に本当に25%を超える削減率を達成できるのかというと、かなり難しいのではないか。住宅のエネルギー消費量増加の問題は非常に複雑なだけに、慎重に考えないといけない」と話す。
鈴木氏は家庭部門も含めて全部門一律25%のCO2削減となった時に「財源や制度設計も含めて9割以上は既存の住宅ストックに力を向けないといけない」と、既存ストックの省エネ化が重要との見方を示している。
例えばドイツでは住宅を新築・売買・賃貸する時、オーナーは年間のエネルギー消費量が一目でわかる「エネルギーパス」の提示を今年7月から義務化した。日本でも既存ストック対策として最初に導入するとしたらそのような規制、もしくは省エネ法を強化して大規模修繕に一定の断熱改修を義務付けることが考えられるという。
エコポイントで誘導
ただ、問題はユーザーの反応。これは新築でもリフォーム・改修でも一緒だが、現実的にユーザーが省エネにどこまでお金を出してくれるかは非常に難しい話。そこでエコポイントなどを利用することにより、それぞれのユーザーの家の事情がある中でわずかでもいいから確かな省エネを誘導することが必要になってくる。
「目標とする省エネレベルに到達するため、階段をあと2、3段登らなければいけないとした場合、一気に2、3段駆け上がろうという政策を打ち出しても、現状では住宅会社にもユーザーにも受け入れられないだろう。まずは今年1段登ってみないことには次の1段が見えてこない。その最初の1段が住宅版エコポイントであり、住宅会社やユーザーにどう受け止められるかを見たうえで、次の政策も決まってくるのでは」と鈴木氏は語る。
◆家づくりの方向
CO2排出量25%削減を前提とすると、これからの住宅は、どの程度の性能レベルが目標となるのだろうか。
鈴木氏は「断熱・気密を進めなければいけないことは確か。そのために住宅版エコポイントも躯体断熱に的を絞ったものになっている。まず先に断熱・遮熱など建築的な省エネ対応を十分行ったうえで、省エネ設備機器の導入を考えるべき」と言い、具体的な例の一つとしてライフステージの変化に対応して必要な生活空間だけをしっかり断熱する方法もありではないかとしている。
簡単に説明すると、それは建物本体の熱損失係数(Q値)として1・2~1・3Wをベースとし、1階部分の断熱については天井ふところに防音対策を兼ねて断熱材を充てんしておくほか、外壁部分には室内側から20~30㎜程度の断熱付加を行っておくか、子供が独立する時に行う。
住宅の暖冷房負荷の7割は1階部分が占めているので、最初に1階の断熱性を高めておく。将来的に子供が独立して家を出て行くと、実質的に夫婦2人で1階に暮らすことになるが、その時には1階の床・壁・天井がしっかり断熱されているため、暖房負荷の3割を占める2階を暖房する必要もなくなり、暖房消費エネルギーは3割減となるという考えだ。
同じく断熱改修においても部分改修は有力な選択肢の一つになる。
ただ、このような省エネ手法を評価する方法が現状はない。キチンと比較・検証できるモノサシを作ることが必要になってくる。
太陽光発電やエコキュートなどの設備導入は確かに有効な省エネ手法になるが、機械に頼った省エネはイニシャルコストや交換・更新時のユーザーの負担も大きいほか、現状では誰もが導入できるものではない。逆に熱損失を抑えるため断熱強化にかかるコストは、それらの設備機器ほどかからないし、しっかり施工すればその効果は100年以上期待できる。
まずは断熱強化や日射遮へい、通風への配慮など住宅本体での省エネ対応をしっかり行い、そのうえで自然エネ利用・高効率設備を導入するという考え方をベースとした家づくりが、これから目指すべき方向となりそうだ。
2010年01月15日号から
北方型や基準法が改定へ
昨年は長期優良住宅や瑕疵担保履行確保法など、法制度関連の創設・改正が例年になく多い1年だった。今年もすでに発表された住宅版エコポイントのほかに、法制度関連で様々な動きが出てきそうだ。ここではその中から代表的なものをピックアップした。
◆北方型住宅基準・改正
北海道では北方型住宅基準等の改定を行い、今年4月から運用を開始する予定だ。
北方型住宅は昭和63年に誕生し、平成17年には基準改正によって性能を次世代省エネ基準レベルに引き上げるとともに、設計・施工記録を作成・保管する北方型住宅サポートシステムを開発。
ここ2年はさらに断熱性・気密性を引き上げた北方型住宅ECOが国の長期優良住宅先導的モデル事業に採択されたこともあり、普及が進んでいる。
改定内容は、現在北方型住宅会議で検討されている最中で、今月下旬に行われる第2回目の会議でほぼ決まる。長期優良住宅との整合性を図ることや、住宅性能を表示する「ラベリング制度」の創設などが検討されており、すでにサポートシステムについては昨年12月に長期優良住宅の要件の一つである住宅履歴情報の整備に対応するため、登録された住宅に共通IDの発行を開始している。
◆省エネ法・施行
平成20年5月に改正された省エネ法によって、今年4月1日以降に建設される300㎡以上2000㎡未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出が義務付けられる。これまでは床面積2000㎡以上の住宅・建築物のみ義務づけられていたが、300㎡となると戸建てや木造アパートなども対象となる場合がある。
省エネ措置は次世代省エネ基準などを目安に、所管行政庁が省エネ性をチェック。届け出にあたっては、1.年間暖冷房負荷による評価 2.熱損失係数(Q値)と夏期日射取得係数による性能規定での評価 3.各部位の断熱材の種類・厚さが省エネ基準に適合しているかどうかの仕様規定―以上のいずれかによって省エネ性を確認する。
省エネ措置が著しく不十分な場合の罰則はないが、行政庁から勧告が行われることがある。
◆リフォーム瑕疵(かし)保険・開始
国土交通省では、早ければ4月にもリフォームの瑕疵担保保険・事業者登録制度を開始する。
詳細は3月末までに明らかになる見込みだが、同省諮問機関が公表した具体案によると、1.加入は任意 2.利用にあたっては保険法人に業者登録を行う 3.工事中に現場検査を行い、合格した場合のみ保険証券を発行 4.オプションで保険法人による建物の現状調査と、工事費用が適正かどうかという簡易判断の実施―などが盛り込まれている。
保険のタイプは、戸建住宅では耐震改修を対象とした耐震改修工事タイプと、外装や水回りの改修などを対象とした個別改修タイプを予定。改修工事を行った部分に瑕疵が発生した場合、リフォーム業者に補修工事費用の8割が支払われる。保証期間は5年間で、保険料は検査料含め10~20万円程度になりそうだ。
◆確認4号物件特例・廃止
国では4号物件この特例廃止を平成20年12月までに行う考えだったが、同19年7月の改正建築基準法施行による混乱を受け、一定の周知期間を置いたうえで平成21年度以降に実施するとした。
平成21年度以降、いつ実施するのかについては、まだ国からの正式な発表はない。関連団体などからの見直し要望があることに加え、昨年末の緊急経済対策の中で建築確認の手続き等の改善が決まったことから、実施時期はもちろん、実施するのかどうかでさえ不透明な状態だ。
◆基準法、省エネ基準・見直し
民主党が昨年夏に発表したマニフェストには「従来の持家政策を転換し、多様化する国民の価値観にあった住宅の普及を促進する」と書かれており、「建築基準法など関係法令の抜本的見直し、住宅建設に係る資格・許認可の整理・簡素化等、必要な予算を地方自治体に一括交付する」と明記している。
また、昨年末に閣議決定された「明日の安心と成長のための緊急経済対策」では、建築基準法で建築確認の手続き等を改善し、迅速な審査と申請図書の簡素化を目指すことと、省エネ判断基準の見直しが盛り込まれた。
これらのことを考えると今年から来年にかけ建築基準法と次世代省エネ基準の改正が行われる可能性がある。
次世代省エネ基準については、一部でうわさされている義務化はなさそう。エコポイントによって事実上の義務化を誘導し、その上で来年以降に新たな省エネ基準の登場が予想される。


2010年01月05日号から
動き出すエコポイント
今年の住宅政策の目玉として緊急経済対策に盛り込まれた住宅版エコポイント制度の詳細が明らかになってきた。エコポイントの発行は、新築戸建てであればトップランナー基準(住宅事業建築主基準)、もしくは木造であれば次世代省エネ基準をクリア、リフォームであれば窓または外壁・屋根・天井・床いずれかの次世代省エネ基準対応断熱改修が対象となり、省エネ設備機器は対象外。断熱構造化に的を絞った制度として実施される。
高断熱構造の新築・リフォームが対象
エコポイントは、昨年度に地上デジタル放送対応テレビとエアコン、冷蔵庫を対象とした制度として創設。性能やサイズに応じてポイントが与えられ、1点1円相当として商品券やプリペイドカード、省エネ性の高い商品などと交換可能だ。
住宅版エコポイントは、省エネ性の高い新築住宅とリフォームにもこのポイントを与えるもので、家電版エコポイント同様に商品券などと交換できるが、家電版が最高3万9000ポイント(買替え・リサイクル含む)なのに対し、住宅版は新築で30万ポイント相当(予定)とケタが違う。そのため政府は家電版よりも交換対象を多様化する方向で検討中。
ポイント申請期限は今後発表されるが、あらかじめ発行数が決まっているため、申請期限前であっても発行ポイントが予定した数に達した場合は、その時点で発行を終了する。
ポイントの申請は今後都道府県ごとに設置される事務局で行うことになり、必要書類を窓口に提出または郵送する。
新築の場合
木造戸建ては次世代基準
エコポイントをもらえる戸建住宅は、新築であれば昨年12月8日から、リフォームであれば今年1月1日から今年12月31日までに着工し、今年度補正予算成立日以降に完成・引き渡しされた住宅が対象。
新築のポイントは30万相当となる予定で、次のいずれかの条件に適合することが必要だ。
①トップランナー基準に適合したすべての住宅(工法は問わない)
②次世代省エネ基準に適合した木造住宅
ポイントの申請にあたっては、これらの基準に適合することを証明する書類を添付しなければならない。②の木造住宅については、次のいずれかの書類が必要。
①住宅性能表示制度で省エネルギー対策等級4の設計または建設住宅性能評価書
②長期優良住宅の認定通知書または適合証
③第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(断熱性能基準)
④フラット35S(省エネルギー性基準に該当)の適合証明書
⑤性能評価機関によるエコポイント対象住宅証明書
木造以外の住宅については、第三者評価による住宅省エネラベルの適合証(総合省エネ基準)またはフラット35S(20年金利引下げタイプ・省エネルギー性基準に該当)のいずれかとなる。
これらの書類以外にも、工事施工者が社名・住所や工事期間・内容を記載し発行した工事証明書と領収書または契約書の写し、確認済証の写し、検査済証の写しまたは竣工写真などを提出する。

リフォームの場合
外壁や窓など次世代レベルに
一方、リフォームについては、1ヵ所の改修で1万5000ポイント相当を予定しており、例えば窓3ヵ所の改修で4万5000ポイントとなる。ただ、外壁・床・天井の断熱改修については、どのようにポイントを計算するのか現時点(12月25日現在)では未定だ。
ポイントを申請するためには、次のいずれかの条件に適合することが必要になる。
①窓の断熱改修(二重サッシにするか、ガラスを複層ガラスに変更)
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
このうち、窓の断熱改修は、複層ガラスへの交換や内窓の設置、窓そのものの交換によって次世代省エネ基準に適合すること。外壁、天井または床の断熱改修は、次世代省エネ基準に適合する厚さのノンフロン断熱材を用いる。使用する断熱材は所定のJIS規格の適合認証を受けていることなどが要件となる予定だ。
なお、手すりの設置や段差の解消、通路・出入口の拡幅などのバリアフリーリフォームもあわせて行う場合には、ポイントが加算される仕組み。
ポイント申請時には以下の書類が必要になる。
〈窓の断熱改修の場合〉...メーカーが発行する窓・ガラス等の性能証明書(製品型番・製造番号・サイズが記載されたもの)
〈外壁等の断熱改修の場合〉...断熱材の納品書または施工証明書(製品型番や使用量が記載されたもの)
これらの書類以外に工事証明書や領収書、工事現場写真なども提出することになる。
長期優良など対象の
補助金と併用は不可
住宅版エコポイントを利用するにあたっては、他に国から補助を受けている場合、例えば北方型住宅ECOなど最大200万円の補助が受けられる長期優良住宅先導的モデル事業と、最大100万円の補助金が受けられる長期優良住宅普及促進事業などとの併用はできないことに注意しておきたい。
厳密に言えばエコポイントは補助金と異なるが、国では同じ性格のものとして捉えており、補助金の2重取りになるとの考えだ。
間違って長期優良住宅の補助金とエコポイントを同時に申請した場合、事前にチェックされるというものの、チェックをすり抜けて補助金とエコポイントの両方を受けた場合、最悪両方とも返還を命じられる可能性もある。
ただし、太陽光発電や高効率給湯機(エコキュートなど)に対する補助はあわせて利用することが可能になっているほか、長期優良住宅促進税制や省エネ改修促進税制などの税制特例やフラット35など融資面での優遇措置も受けることができる。
今月から全国で講習会
国交省では、住宅版エコポイントの講習会を今月から全都道府県で開催する。北海道・東北の日程・会場は別表の通り。
参加希望者は電話(0120・003・605)またはFAX(0120・009・242)で開催日3日前までに申し込む。受講無料。
また、問い合わせ窓口も開設(03・5253・8111、内線39471~39473)。住宅リフォームセンターでも相談窓口を設置している(03・3261・9358)。

国交省住宅版エコポイントホームページ
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000017.html
2009年12月15日号から
住宅版エコポイント創設
政府はこのほど、経済・雇用の安定化を目的として住宅版エコポイント制度の創設などを盛り込んだ緊急経済対策を閣議決定した。国会での成立は来年になるが、エコポイント制度は来年1月1日以降に着工した住宅が対象になる見込みで、住宅関連では他に高効率な太陽熱利用システムの普及支援やフラット35Sの金利引き下げ、贈与税非課税枠の拡大、省エネ基準見直し、建築確認の改善、木造住宅振興などが予定されている。
木造戸建ては次世代基準クリアが条件
今回閣議決定された緊急経済対策は、雇用・環境・景気を3本柱とし、予算規模は国費ベースで7・2兆円。この中で政府は金融対策によって景気の下支えを行い、住宅投資の活性化によって本格的な景気回復を目指す考えだ。今年度2次補正予算に盛り込み、年明けの通常国会に提出する。
具体的な内容についてはまだ明らかになっていないが、大きな目玉はすでにマスコミ等で報道されている住宅版エコポイント制度の創設。これは地球温暖化対策と景気対策の両立を目指し、エコ住宅の新築やリフォームに、エコポイントを与えるというもので、1千億円の予算を計上。
エコポイントはすでに省エネ家電の購入を対象に実施されており、ポイントは様々な商品・サービスと交換可能。どのような住宅にいくらぐらいのエコポイントを与えるのかが大いに気になるが、現時点では新築の場合、1.平成22年1月1日以降に着工 2.原則として補正予算成立日以降に工事が完了して引き渡し 3.事前に住宅省エネ基準(次世代省エネ基準)または住宅事業建築主基準(トップランナー基準)への適合を性能評価機関が認定した住宅―という条件をすべて満たすこととし、住宅省エネ基準への適合は木造住宅のみ対象となる予定。ポイントは金額換算で30万円程度になりそう。
また、太陽エネルギーの変換効率が40~60%と高い住宅向け太陽熱利用システムの設置に補助を行い、リース方式によるビジネスモデルの普及拡大も図る。
システムとしては太陽熱給湯機を想定しており、設置からメンテナンスまで一貫したサービスを提供する事業者に対し、補助を行う考え。
贈与税非課税額を3倍以上へ
金融・税制関係では、住宅金融支援機構の長期固定金利ローン・フラット35S(優良住宅取得支援制度)における大幅な金利引き下げを実施。 予算4千億円を計上し、平成22年12月末までに優良住宅を取得した場合、金利引き下げ幅を現行の0・3%から1・0%に拡大。住宅融資保険の保険料率引き下げも行う。
フラット35Sは20年金利引き下げタイプであれば、現時点でフラット35の金利を2・6%(北海道銀行12月適用)とすると、借入額2千万円、返済期間30年の場合、総返済額は300万円以上少なくなる。
また、平成22年度税制改正で、新築やリフォームのために両親からもらった資金にかかる贈与税の非課税額を拡大。中高齢者の預貯金を若い世代の住宅取得に回し、景気を刺激する。非課税額は、現行の610万円から2000万円程度になると見込まれる。
省エネ基準の見直しも
法制度面では省エネ判断基準の見直しを行うとともに、建築基準法で建築確認の手続き等を改善する。このうち建築確認の手続き等の改善は、迅速な審査と申請図書の簡素化を目的に行われる。
このほか、環境対策の一つとして"木材利用の推進"を掲げており、この中で地域材を活用した展示住宅の整備等による木造住宅の振興や、ツーバイフォー住宅の部材開発などを計画。他には太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの全量買取制度の導入も検討するとしている。

2009年12月15日号から
ドイツの省エネ政策
NPO外断熱推進会議北海道支部では、去る11月27日、パッシブハウスコンサルタントであるクーラー・アンドレア氏を講師に招き、札幌市内で「エネルギーパスとパッシブハウス」をテーマとしたセミナーを開催。ヨーロッパで導入・義務化が進んでいるエネルギーパス制度と、ドイツ発祥のパッシブハウスについて紹介した。
エネルギーパス 燃費表示を義務化
クーラー氏はエネルギーパスについて「建物に必要なエネルギー量に関する情報を表示したもの。2003年1月にEUが施行した『建築物のエネルギー性能改善に関わる欧州指令(EPBD)』をきっかけに、EU全27カ国で制度化が進められ、ドイツでは昨年7月から義務化された。ドイツエネルギー庁の認定を受けた省エネコンサルタントが建物の調査を行い、1年間で必要なエネルギー量などを誰でもわかるように図で示した4枚つづりの書類で発行する。さらに窓を性能の高い製品に交換すればどのくらい省エネ効果があるかなど、経済効果の高い省エネ改修向けのアドバイスを記載した書類も添付する」と説明。
エネルギーパス導入後の効果については「ユーザーが建物の省エネ性を大ざっぱに判断できるのがメリット。特に既存の建物の省エネ改修は地球温暖化防止に一番効果があるので、省エネ改修向けのアドバイスは、例えば外壁の再塗装で足場をかけるついでに断熱材の補強や窓の交換なども一緒に行うなど、費用対効果の高い改修を普及させるきっかけになる」と話した。
パッシブハウス 無暖房に迫る断熱
パッシブハウスについては「快適・健康・高品質を兼ね備えた経済性の高い省エネ住宅で、1.必要となる年間暖冷房エネルギー量が15kWh/m2 2.気密性能が50Pa時の換気回数で0・6回/時(相当隙間面積で0・2cm2/m2程度) 3.年間一次エネルギー消費量が120kWh/m2というこれまでの基準に、今春から 4.暖房負荷が10W/m2以下 5.夏期の室温が25℃プラス10%以内という2つの基準が追加された。ドイツのパッシブハウス研究所とその認定機関が認定を行っている」と紹介。
また、「世界にはキャスビーやリードという住宅基準もあるが、それらの基準はサステナビリティを評価するのに対し、パッシブハウスでは省エネ性を評価する。いろんな建物・工法で建設可能だが、高断熱・高気密・熱交換換気・高性能開口部・熱橋対策が重要な要素となっており、特に断熱・気密層の連続や熱橋は厳密にチェックされる。
このような省エネ住宅を設計する際の優先順位は、1番目に断熱性能の向上、2番目に効率のよい設備の導入、3番目に新エネルギーの導入の検討となる。断熱性能が低い建物にいくら効率がよい設備や新エネ機器を付けても効果は薄いからだ」と、高断熱化を図ったうえで高効率設備や新エネ設備を導入することの必要性を強調した。
このほか、日本でのパッシブハウス普及に関しては「普及には経済性が不可欠だが、日本でも快適な暮らしに対するユーザーの要求が増えていること、長期優良住宅など耐久性に優れた住宅がテーマとなりつつあること、住宅でのエネルギー消費量が増え続けていること、省エネ設備機器の開発に対して高い開発力を持つ日本メーカーの技術貢献が期待できることなどを考えると、日本でもパッシブハウスを建設する意義は十分ある」と述べた。
2009年12月05日号から
エコキュートで容積率緩和 札幌市
札幌市では、自然冷媒ヒートポンプのエコキュートなど、省エネ・環境負荷低減設備機器を室内に設置する場合、一定条件を満たせば床面積1m2まで容積率を割増しできる措置の適用を開始。近々エコキュートを採用し適用第1号となる(株)じょうてつの分譲マンションが着工する。
今回の容積率緩和措置は、建築基準法第52条第14項1号「機械室に類する部分の床面積が著しく大きい建築物で、特定行政庁が許可したものの容積率はその限度を超えることができる」という規定を運用したもの。1.室内の設置スペースを壁等で囲う 2.設置スペースと建物のエントランスなどに容積率緩和対象物件と明示 3.契約書等に容積率緩和対象物件であることと、設置スペースを他の用途に転用できないことを明示―などが条件で、市との事前協議を経て許可申請を提出し、建築審査会の審査を通れば適用可能となる。
対象物件は戸建住宅なども含めたすべての建築物で、エコキュートのほか太陽光発電や燃料電池なども適用対象。ただ、許可申請料に16万円かかり、建築審査会の審査も2~3ヵ月かかるため、「戸建住宅での適用は現実的ではない」(札幌市建築指導部)という。
建築基準法第52条第14項1号については、平成14年に国が省エネ関連機器の設置に適用できるという技術的助言を各自治体に通知。これを機に、今年3月末まで全国で大都市圏を中心に90件以上の適用実績が出ている。
札幌市では地球温暖化など環境問題への対応として、機器の寒冷地対応や本州での事例などを検証した結果、札幌でも適用可能と判断。じょうてつのエコキュート採用分譲マンションもきっかけとなり、札幌市は今年9月から運用を開始した。
緩和措置の適用第1号となったじょうてつの分譲マンションは、札幌市北区に建設する全43戸のオール電化マンション「じょうてつアイム北29条」(仮称)で、給湯にエコキュートを採用するほか、リビングの暖冷房としてヒートポンプエアコンを導入する。2011年3月に竣工予定で、暖冷房・給湯ともにヒートポンプ機器を採用したオール電化マンションは道内初。
同社では環境配慮型のマンションを企画・開発する中でエコキュートの採用を検討。北海道電力(株)やメーカーの協力により、事前に寒冷地で使用するにあたっての疑問点などが解消されたほか、容積率の緩和で1戸あたりの専有面積が1m2増える分だけ販売面積も増加するため、設備のコストアップ分も吸収できると見込んで採用を決めた。
同社不動産事業部都市開発部では「エコキュートには以前から着目しており、容積率の緩和についても、今後の採用を進めるうえで、まず実績を1棟作ろうと考え札幌市に適用許可を申請した。エコキュートは戸建てで普及が先行しているが、分譲マンションでも考えていきたい」と話す。
なお、エコキュートに関しては、道内での導入台数が今年10月末現在で2088台。北海道電力でも電気料金とCO2排出量がともに電気温水器の2分の1になるなど省エネ性・環境性の高さをアピールして普及に力を入れており、札幌市の容積率緩和措置運用開始を機に、分譲マンションでの普及によりいっそう力を入れていく考え。
同社営業部住宅電化グループでは「去年、今年とエコキュートの寒冷地対応が進み、メーカーも道内での販売に力を入れてきている。環境の時代にマッチした設備機器として、給湯も暖冷房もヒートポンプを積極的に提案していきたい」と話している。
2009年11月25日号から
2008年度住宅相談件数
過去最高の1万3千件
住宅リフォーム・紛争処理支援センターでは、このほど2000年度から2008年度までの住宅相談を集計・分析した「相談統計年報2009」を公表。それによると、2008年度の相談件数は約1万3000件で前年度比5割増、過去最高となった。同財団ではこのような大幅増となった第一の要因として、瑕疵担保履行確保法や品確法などに関する相談が急増したこと、第二の要因として住宅会社等の倒産に関する相談も著しい増加になったことを挙げている。
「相談統計年報2009」によると、2008年度の相談件数は1万2956件で、前年度より4330件、50・2%増。3年ぶりの増加に転じ、これまで最も多かった2005年度の1万1223件も上回った。
相談件数の内訳を見ると、これまで同様に住宅の技術や法律等の一般的な相談である「知見相談」が25%で最も多いが、次いで瑕疵担保履行確保法や品確法など「制度に関する相談」が23%と、前年度比17ポイントも上昇。これまで2番目、3番目に多かった「住宅本体の相談」(21%)と「リフォームの相談」(17%)を上回ったのが目に付く。なお、「住宅本体の相談」も「リフォームの相談」も件数は前年度より増えている。
「制度に関する相談」は、前月から全面施行となった瑕疵担保履行確保法の保険や供託についての相談が増加し、相談者の約7割が住宅の施工・販売業者。特に同法の内容を説明したダイレクトメールを住宅会社や設計事務所などに出した前年7~8月や今年2~3月に相談件数が急増しており、住宅施工・販売会社からの相談・問い合わせ内容のうち、3分の1は瑕疵保険に関するものとなっている。
また、世界的な大不況の影響で住宅会社やデベロッパーなどの倒産が相次いだことを受け、「住宅会社の倒産等に関する相談」が前年度比2・8倍の1051件に増加。全体に占める割合も同比4ポイントアップの8%となった。
「住宅会社の倒産等に関する相談」は相談者の9割が住宅所有者で、戸建住宅の相談が95%を占めており、「住宅会社と契約したが、手付金を払ったところで倒産した。工事は始まっていないが、手付金は返してもらえるか」「住宅会社が倒産したが、完成保証に入っていたと聞いていたのに保証金を払ってくれない」などの相談事例が寄せられている。

2009年11月25日号から
全国から鶴岡に350名
健康住宅サミット盛会
山形県鶴岡市で11月5、6日の2日間、全国から工務店などおよそ350名を集めて「第11回全国健康住宅サミット」が開かれた。
安心・安全な住宅をユーザーに提供するために、工務店がお互いに研さんしながら次世代に引き継ぐ家づくりを進めようと毎年1回開かれているこの大会が山形県で開かれるのは今回が初めて。
鶴岡は庄内地方といわれる日本海側の古い城下町。2日間にわたって人口減少時代の地域工務店の進む道などを中心に分科会が開かれたほか、鶴岡の歴史と文化を学ぶ機会も設けられた。
分科会では、「断熱リフォームへの取り組み・実践」など新しいテーマのほか、昨年に引き続き「業界新聞社に聞く住宅の最新動向」も行われ、日本住宅新聞、新建ハウジング、そして本紙のそれぞれ社長・編集長が、着工減少が続く現状や政権交代による新しい政策の方向、断熱先進地であり不況の最先端でもある北海道から学ぶ工務店のこれからなどについて報告した。
最後には抽選会も行われ、佐藤渉実行委員長をはじめとする大会実行委員に大きな拍手が送られた。

2009年11月15日号から
木造3階建耐震実験で長期優良住宅が倒壊
「想定通り」と言うが・・・
長期優良住宅の構造安全性向上を目的に、去る10月27日に兵庫耐震工学研究センターで行われた実大震動台実験で、長期優良住宅で義務付けられた耐震等級2(倒壊等防止。以下略)相当の試験体が倒壊、別の試験体は軸組接合部の強度が倒壊した試験体より弱いにもかかわらず倒壊を免れたことが大きな波紋となって広がっている。住宅会社からは「本当に耐震等級2は安全なのか?」と心配する声も挙がっている。
実施したのは(独)防災科学技術研究所と木を活かす建築推進協議会。実験を行った2棟の試験体は、延床面積約38坪で、平面は4・55m×10・92mと、間口が狭い長方形。試験体1は性能表示の耐震等級2と同等の設計、試験体2は耐力壁こそ耐震等級2を満たすが、軸組接合部は試験体1より弱い設計となっていた。
実験ではこの2つの試験体を同時に震動台に並べ、建築基準法で想定している地震の約1・8倍の人工地震波で20秒間揺らしたところ、耐震等級2である試験体1は、柱頭柱脚の引き抜きはなかったが、先に耐力壁が破壊されて変形し倒壊、試験体2は実験開始後約10秒で柱脚部が引き抜けたが、最終的に倒壊には至らなかった。

「これで命を守れるのか」という疑問も
実験を行った関係者の1人は「試験体1の倒壊は想定していなかったが、軸組接合部より先に耐力壁が破壊されたのは想定通り。試験体2も倒壊こそしなかったが、実験開始後10秒で柱脚部が破壊されて引き抜きが起こるという、倒壊と同等の損傷を受けていた。試験体2の柱脚は土台から外れた後も鉄骨の架台の上に乗っていたために倒壊しなかっただけで、実際の住宅であれば基礎の高さの分だけ柱脚部が落下するので倒壊に至るだろう」と話す。
ただ、住宅会社にとっては"想定通り"では済まないようだ。
今年長期優良住宅を3棟建設している道東の住宅会社は「木構造のことを理解しないお役人が、基礎と土台・柱をガッチリつなぐよう基準で定めたことで、逆に地震の被害が甚大なものになりかねないという事実が、今回の実験で解明したのでは」と言い、道央の設計事務所は「倒壊しないほうがいいのは当たり前。住む人の命を守れるのはどちらの建物なのか、考えなくてもわかるはず」と話している。
長期優良住宅を手がけている住宅会社にとって耐震等級2の住宅が倒壊し、一般的な住宅は倒壊を免れたという事実が衝撃的であったことは間違いない。
2009年10月25日号から
「こう配1/50以上」に不安の声
今年7月に全保険法人統一となった瑕疵保険の設計施工基準で、フラットルーフ(陸屋根)は50分の1以上のこう配を設けることになったが、道東のある住宅会社は「50分の1こう配では凍った雪が軒先にせり出し、落下した際に外装材や窓を壊す危険性がある」と指摘。国土交通省では、こう配が50分の1未満でも雨漏りが防げる仕様であれば、同基準の第3条認定を取ることで保険が適用になるというが、その場合、住宅会社にとっては負担がまた一つ増えることになりそうだ。
道内の現状・道東など標準で1/100
瑕疵保険の設計・施工基準は、当初各保険法人ごとに定められていたが、今年7月に国交省が基準を統一。これにともない、北海道だけで認められていた木造のフラットルーフも全国で認められるようになり、こう配は50分の1以上、防水材は金属板(鋼板)ふきやアスファルト防水など6種類の中から採用することなどが規定された。
ただ、これまで道内では道立北方建築総合研究所監修、北海道建築指導センター発行のパンフレット『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』や、同じく同センターが発行している『北方型住宅技術解説書』の中で、こう配を100分の1~100分の5としたフラットルーフの仕様を掲載。気象条件や断熱・気密レベルにもよるが、道内では50分の1こう配のフラットルーフだと、屋根上の雪が軒先にせり出してくることがあるため、100分の1こう配を標準とする住宅会社もある。
今回、軒先のせり出しによる危険性を指摘した道東の住宅会社も、フラットルーフは100分の1こう配が標準。「3月頃の日射が強い日には、屋根に載った雪の表面が融け、融雪水が屋根面に流れるが、夜になって冷え込むとその融雪水が凍るため、50分の1こう配だと軒先のほうへ凍った雪が滑ってくる。なぜ100分の1こう配ではダメなのか」と話す。
せり出しを防ぐために雪止めを付けるという手もあるが、逆に氷堤を作る原因となり、スガモリのリスクが高くなる可能性もある。
国交省住宅局住宅生産課住宅瑕疵担保対策室では、設計施工基準で定めたフラットルーフのこう配について「小屋組木材の乾燥収縮が起こっても、屋根面が雨漏りの原因となる逆こう配にならないよう50分の1以上とした。ただ、絶対に50分の1未満では施工できないということではない。雨漏りのリスクが少ない仕様だと保険法人が認めれば、基準の第3条の適用により施工できる。その場合は、雨漏りを防ぐためにどんな工夫をするのかを示してもらうことになる」としている。
瑕疵保険の設計施工基準で屋根にかかわる部分は、雨漏りを防ぐことを目的としてるが、道内で問題となるのはスガモリ。国交省は基準に適合しない地域特有の仕様について、保険法人が設計施工基準と同等の性能があると認めれば保険適用を認める基準第3条を適用すればいいというスタンスだが、いちいち雨漏りのリスクがないことを示さなければならないのは住宅会社にとって新たな負担になる可能性もある。基準に載せないまでも、国はどのような仕様であれば50分の1未満のこう配で施工できるのか、例示仕様を示すことも検討すべきだろう。
(図2点...屋根たる木に寸法安定性や強度に優れるI型梁を採用した現場。基準の第3条認定申請にあたっては、このように屋根面がたわまない工夫をするか、たわんでもスガモリしない工夫をすることが必要)
基準第3条の適用申請・納まり図など提出
それでは50分の1未満のこう配のフラットルーフで施工するにはどうすればいいのか。
まずは、雨漏り・スガモリを防ぐため、一つは積雪荷重や小屋組木材の乾燥収縮の影響を受けても屋根面がたわまないようにすること。母屋・束・たる木のピッチや野地板の厚さなどを地域の積雪量に応じて適切に設定するとともに、小屋裏換気と天井面の断熱・気密をしっかり行う。もう一つは屋根面がたわんでも雨漏り・スガモリしないようにすること。例えば改質アスファルト系防水シートなど防水性の高い下葺き材を使い、板金部分と合わせて2重防水構造とする方法や、ハゼを防水性の高い部材で密閉するなど板金部分そのものの水密性を高める方法が考えられる。
このように雨漏り・スガモリ対策を十分行ったうえで、利用する保険法人に基準第3条の適用を保険加入時に申請することになるが、その際に必要になるものとして、瑕疵保険を扱う住宅保証機構では納まり図や、使用する屋根材・防水材の種類と葺き方を示した書類等を挙げている。これらを検討して個別に判断することになるという。
また、あらかじめ屋根板金業者等が50分の1未満のこう配で施工できるマニュアルを用意しているのであれば、そのマニュアルを申請時に添付すればいい。
なお、瑕疵保険の基準が統一される前に道内でフラットルーフや無落雪屋根の設計施工基準として用いられてきた道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』は、今後改訂される予定だ。
(写真...道建築指導センター発行の『戸建て住宅の屋根の雪処理計画』(上)と『北方型住宅技術解説書』(下)に掲載されているフラットルーフの仕様。いずれも1/100こう配での施工を認めている)
2009年10月15日号から
長期優良の構造計算で大混乱
思わぬ事態に頭抱える工務店
「長期優良住宅の構造計算を外注したら、基礎の半分程度はベース幅を1.3メートルにするように言われた」。これは先日聞いた住宅会社・A社の話。非現実的な仕様に疑問を抱き、当事者の住宅会社や構造計算の専門家への取材を進めたところ、構造計算ソフトに不慣れな構造設計事務所が入力ミスに気付かず計算を行っている問題が浮かび上がった。当事者のA社社長や専門家らは「そのような仕様でも"長期優良住宅だから"と間違いをそのまま受け入れるケースもあるのでは」と危惧する。
2009年09月25日号から
20年度道内着工
道内全市町村の平成20年度住宅着工戸数は、3万6050戸、前年度比15.0%減。3年連続の減少となり、4万戸を大幅に割り込んだ。昨年秋以降の世界的な大不況のあおりを受け、住宅市場は急速に悪化。給与以外は4割減の分譲を筆頭に揃って実績を減らしている。ここでは道内各地域ごとの状況を分析した。
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2009年09月05日号から
北海道住宅新聞版・住宅政策2010
8月30日に行われた衆議院議員選挙により、民主党が圧勝。政権交代とともに予算配分を根本から見直すとする民主党の考えから、出そろった来年度予算の概算要求が宙に浮いている。この機会をとらえて、「北海道住宅新聞版・住宅政策2010」を考えてみた。
将来像...持家政策の持続と少子化の改善
まず、住宅政策と市場環境の将来の姿を想像してみたい。
1.国民が持家を手に入れやすい環境が整備されている。
2.賃貸を含む住宅基準が地方の事情に即して定められている。
3.天下りを裏の目的とする諸制度が撤廃された。
住宅業界サイドとして現状の問題点は、住宅着工数の低下、事務手続き関係の手間の増加、瑕疵(かし)保険などの費用増加などが挙げられる。受注は減っているのに、家を1棟建てるための手間と費用がかかるようになっている。需要の大きな回復はムリだとしても、将来の展望が持てるような世の中になれば、新築以外にも自然と仕事は増えてくる。
一方、消費者サイドとしては、子供が生まれれば持家に移りたい。騒音への気遣い、充分な広さを確保できるのは、今のところマンションも含め持家しかないからだ。そのとき、安心して入手できることは当然だが、安心かやや不安かなどを、それぞれが判断するための材料が提供されていることが重要だ。
世界市場を相手とする輸出産業はともかく、100%内需型の住宅産業に関しては、生活実感としての景気が回復しない限り、景気が上向いたとは言えない。そもそも長期にわたって内需が活力を維持するためには、出生率が上がり、子供が増えないことにはどうにもならない。
そういった意味で、遅きに失したとは言え、子育て環境の充実が住宅政策の隠れ1番かもしれない。
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2009年09月05日号から
瑕疵保険の手続き/建築指導センター
北海道建築指導センターは、住宅瑕疵担保責任保険設計施工基準の第3条に基づき無落雪(M型)屋根設計施工基準の保険適用を住宅保証機構に申請、このほど同機構から瑕疵保険の取扱いができることを確認した。これにより北海道内でM型無落雪屋根の住宅で保険申込みする際は、北海道建築指導センターのホームページで公開した「設計施工基準第3条に係わる確認について」を添付する方法に変更された。今年7月1日以降の保険申込みに適用される。また、フラット屋根は設計施工基準第8条が適用となり、陸屋根として扱われる。
住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準が今年7月1日に改定されて住宅瑕疵担保責任保険法人の設計施工基準が統一された。基準外の設計・施工法に関しては同基準第3条により基準内容と同等の性能が確保されていることを保険法人に認定してもらい、その確認書を添付する方針に変わった。北海道建築指導センターでは、道内で一般的に利用されている無落雪屋根の保険申込みをスムーズに進めるため、第3条に基づいて申請した。
今回のM型無落雪屋根の設計施工基準では、平成16年に同センターが「性能保証住宅設計施工基準(無落雪屋根)」として発行した旧基準に比べていくつか変更箇所がある。たとえば、屋根勾配は従来の100分の5以上から100分の3以上に緩和された。また、シーリングの施工箇所を具体的に6箇所指示し、パラペットの立ち上がり部の納まり図を新たに示した。たる木や下張り合板の仕様は積雪荷重がかかった状態で適切な水勾配が確保できる仕様とした。横どいは、勾配を60分の1以上から100分の2以上に変更、ただし、市販の工業製品を使用する場合は100分の1以上とすることも可能。横どい周囲の断熱は不要となった。
問い合わせは、同センター住宅保証部(Tel.011・271・9980)。
まもりすまい保険における無落雪(M形)屋根設計施工基準の適用について...http://www.hokkaido-ksc.or.jp/06_warranty/warranty_03.html
(写真上...第3条に基づくM型無落雪屋根の確認書 下図...設計施工基準をわかりやすく図示した)
2009年08月25日号から
7割強を改善指導~新足場対策に課題
厚生労働省北海道労働局は7月14日に道内17の労働基準監督署と支署を通じ、木造家屋建築工事を行っている道内の98現場で一斉パトロールを実施した。その結果、労働安全衛生法令などに基づき全体の約4分の3にあたる73現場で改善指導を行った。改善指導を行った割合は、昨年の66・4%から8ポイントも上昇しており、今年6月の労働安全衛生規則の改正が影響しているようだ。
この一斉パトロールは毎年実施しており、法令に基づく安全な作業床の確保、手すりおよび中さん等の設置、安全な昇降設備の設置などの墜落防止対策、幅木などの設置による物体の落下防止対策ならびに木材加工用機械の安全点検が適正に行われているかなどの点検を行った。なお、足場が設置されていたのは98現場中94現場。
もっとも多かった指摘が足場関係で70現場。これは足場を設置していた現場の約4分の3を占める。その次が躯体にかかわる指摘、電動丸のこ盤にかかわる指摘、その他の順。
足場の指摘では、物体の落下防止のための幅木などの設置が不適切(50現場)、墜落防止のための手すりや中さんの設置が不適切(49現場)、足場の最大積載荷重の表示がされていない(31現場)などが多かった。上位2つは、6月の労働安全規則の改正がらみの指摘だ。
道内の木造家屋建築工事における労働災害は、昨年1年間で死傷者160名、うち3名が死亡している。今年6月末時点での死傷者数は42名と昨年同期に比べて33%減少しており、死者は1名と昨年と同じだが、現場数が減っている中の結果なので安心できる数値ではない。
今回の結果を踏まえ労働局では、工事が本格化する時期を迎えて違反箇所の改善だけでなく、より一層の労働災害防止対策を講じるよう関係団体に要請する。
問い合わせは、同局労働基準部安全課(Tel.011・709・2311(代))。
(グラフ...足場に係わる指導の上位5項目)
2009年08月15日号から
資料の提出漏れなくし書類は正確に作成1
技術的審査期間短縮のコツ
長期優良住宅の認定に必要な技術的審査の遅れが、徐々に深刻さを増している。審査に時間がかかっているため着工見通しが立たないのはもちろん、特に国の100万円補助事業の対象として予定している物件では、早く補助金交付申請をしないと先着5000戸の枠が埋まってしまう恐れもあるだけに、不安を感じている住宅会社は多い。そこで道内の性能評価機関である北海道指導センターと(株)札幌工業検査に、審査期間短縮のためのポイントを聞いた。
着工の遅れは死活問題
長期優良住宅は、性能評価機関の技術的審査を受け、認定基準に適合していることを証明する適合証を交付してもらってから、建設地市町村に認定申請と確認申請を行い、認定証と確認済証が下りた後に着工となる。
しかし、本紙調査によると技術的審査にかかる期間は、現時点で最大1ヵ月。それから認定申請や確認申請を行うとなると、技術的審査申請から1ヵ月半近くは着工できないことになり、「1ヵ月以上着工できないのは死活問題」と話す住宅会社もいる。
ましてや国から100万円の補助が出る長期優良住宅普及促進事業は先着5000戸で補助枠が締め切られるだけに1日でも早く認定証と確認済証を受けて補助金交付申請を出したいところ。7月末現在で交付申請受理戸数は128戸と、余裕があるように見えるが、すでにエントリーした住宅会社は4900社を超えており、これから交付申請受理戸数は雪だるま式に増えていくことが予想される。
(写真右...道建築指導センター・松崎部長 左...札幌工業検査・渡辺部長)
3つの要因重なり時間がかかる
それではなぜ技術的審査に時間がかかっているのか。道建築指導センターの松崎健児審査部長は、「1.申請件数が増加している 2.耐震等級2(倒壊等防止。以下略)の審査がスムーズにいかない 3.不明点の確認や修正・訂正に時間がかかっている。この3つが重なっているため、審査に時間がかかっている」と言う。
このうち申請件数の増加については、北方型住宅ECOと長期優良住宅普及促進事業にかかわる物件が目立ってきている。いずれも2月上旬には国に実績報告書を出さなければならないので、できれば年内には完成させたいところだが、工期3ヵ月とすると10月までに着工する必要がある。そうすると今の時期に審査や認定の申請を行っておかなければ、年内完成に間に合わない可能性がある。
審査を依頼する性能評価機関は、住宅会社各社ともこれまでの仕事関係や手数料などを総合的に判断して決めると思うが、事前にどれくらいの審査期間がかかるのかを確認し、予定している着工時期に間に合うかどうか見極めることも必要になる。
(図...提出する設計内容説明書の耐震性に関する部分(札幌工業検査仕様)。仕様規定でチェックを行う場合は、計算書などの資料はもれなく提出する)
構造計算のほうが早い
耐震等級2の審査は、特に仕様規定のチェックで申請する物件で時間がかかっている。札幌工業検査(札工検)の渡辺克夫住宅性能評価業務部長は、「構造計算している場合は審査もスムーズだが、仕様規定による場合は横架材や基礎の断面寸法をチェックしていなかったり、計算書などの資料が足りなかったりするケースが目立ち、見るのに時間がかかる」と話す。
また、道指導センターの松崎部長は「仕様規定の場合、日本住宅・木材技術センター発行の『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに記載してくれればいいが、一部変えて記載している物件もある。また、横架材や基礎の仕様がスパン表で確認できないプランもある」と言う。
資料不足・確認不足が審査時間を長引かせるのと同時に、住宅会社の訂正・修正に時間がかかっているのが原因になっているようだ。
構造計算のほうが審査が早いが、仕様規定による場合は、『木造住宅のための住宅性能表示』にあるチェックシート通りに仕様を確認するとともに、横架材や基礎のスパン表や計算書などの資料はすべて添付することが重要になってくる。
なお、道建築指導センター・松崎部長は「等級2の適合確認を構造計算で行うのか、仕様規定のチェックで行うのかは早めに決めておいたほうがいい。構造計算にかかる費用が負担になる場合は、仕様規定でチェックし、スパン表で判断できない横架材と基礎の仕様だけ、構造計算するという方法もある」とアドバイスする。
続き:資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2はこちら
2009年08月15日号から
資料の提出漏れなくし書類は正確に作成2
技術的審査期間短縮のコツ
土間床の仕様に注意
耐震等級2以外の基準に関しても、スムーズに審査してもらうために気をつける部分がある。
例えば省エネ等級4(道内はQ値1.6W)の確認でQ値計算に室蘭工大・鎌田研究室が開発したQpexを使う場合、基礎断熱の住宅ではバージョン2ではなくバージョン1を使うこと。その理由として札工検・渡辺部長は「バージョン1では実質熱貫流率×基礎の周長という一般的な方法で基礎部分のQ値を計算しているが、バージョン2はどのようにQ値を計算しているのかを把握できないため」と話している。
また、認定基準では劣化対策として床下空間の高さを330ミリ以上取ることとしている。一般的な床断熱や基礎断熱なら問題ないが、土間床仕様では注意が必要。土間スラブの上に根太を入れてから床を張る場合、根太間が床下空間と見なされてしまうからだ。土間スラブ上で330ミリ以上の高さを取るのは現実的ではないので、根太間に断熱材を入れるか、土間スラブに床下地合板を直張りすることになる。
(写真...熱損失係数(Q値)計算でQPexを使う場合はバージョン2ではなく、バージョン1を使う)
図面と計算書の食い違いなくす
不明点の確認や訂正・修正は、性能評価機関が"指摘事項"として連絡してくるが、それに対し翌日に対応できる住宅会社もあれば、1週間くらいかかる住宅会社もあるという。
これらの対応が早いほど、審査期間の短縮につながるが、最初から修正・訂正等を少なくするため、申請書類や添付する図面は正確に作成したい。
例えば記入間違いなどで注意するところとしては、1.荷重や耐力壁の配置、梁のスパンなどが図面と計算書で異なっていないか 2.間違った単位を使用していないかなどのほか、「依頼書で審査する項目にチェックを入れる際、各市町村が指定している審査項目をしっかり調べることも大切。多くの市町村は6項目の審査だが、札幌市は居住環境を除く9項目を審査するなど、全市町村が同じわけではない。また、住宅の専用面積は車庫やバルコニーを除いた数字を記入。階段部分の面積は書いていないケースも多いので、注意してほしい」(札工検・渡辺部長)としている。
(写真...技術審査依頼書でチェックを入れる審査依頼項目は、建設地市町村によって異なるので、事前によく確認する)
2009年08月05日号から
ここが変わった設計施工基準/陸屋根正式に認可
保険法人ごとに微妙に異なっていた瑕疵保険の設計施工基準が7月1日から統一された。どの保険法人で瑕疵保険を申し込んでも、同一の基準で審査されるため住宅会社も対応しやすくなる。また、これを機に屋根まわりの基準が変わり、これまで北海道でのみ認められていた陸屋根が設計施工基準に掲載された。一方で、道内特有のM形無落雪屋根はこれまで存在した北海道版の仕様書を廃止し、設計施工基準第3条に基づき保険取扱いの確認書を発行することで対応する。
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2009年08月05日号から
原因は給排気筒養生/経産省が注意促す
住宅の外壁塗装工事で、ガス設備機器の給排気筒などを養生シートで塞いだままにしたことで起こる不完全燃焼や異常着火の事故が増えている。去る7月7日に経済産業省が旭川市内で開催した「第29回製品安全点検日セミナー」で報告された。同省では施工業者・ユーザーに注意を呼びかけている。
問題になっているのは、ガス設備機器の給排気筒などが養生用のビニールシートで塞がれてしまうケース。給排気筒などが塞がれた状態でガス機器を使ってしまい、不完全燃焼による一酸化炭素中毒事故や異常着火による機器の破損事故が一昨年から今年にかけて死亡事故1件を含む13件にのぼっている
いずれも本州の事故だが、例えば今年6月に起こった一酸化炭素中毒事故では、中毒患者と思われる住民が病院に搬送されたと通報を受けたガス事業者が調べたところ、建物は外壁塗装工事中で、ベランダにある屋外式風呂釜の給気・換気口が養生シートで塞がれており、さらに居室の換気口も同じシートで覆われていたことが確認されている。
また、今年3月に起こった強制給排気式ガス瞬間湯沸器の変形事故では、「機器使用中に大きな音がした」という通報を受けたガス事業者が調べたところ、機器の前面カバーが変形していた。この建物は塗装工事中で、塗装業者が給排気トップの給気部分を養生シートで塞いでいたため給気不足となり、異常着火したと推測される。
経産省では、塗装工事業者などに対し、外壁塗装作業で養生、目張り、マスキングを行う際は、給排気部分を塞がないよう十分注意するとともに、やむを得ず給排気部分を塞ぐ場合は、その間のガス機器の使用禁止を住民に徹底してほしいと呼びかけている。
また、居住者に対しても、外壁塗装の工事中も工事終了後も、給排気部分が塞がれていないことを確認してから、ガス機器を使用するよう呼びかけている。
(図...外壁塗装工事などで、このようにガス設備機器の給排気部分を養生シート等で覆ってしまったままガス機器を使用すると、一酸化炭素中毒事故や異常燃焼事故につながる可能性が高い)
2009年08月05日号から
瑕疵保険対応を確認/ゼオン化成
ゼオン化成(株)が販売する樹脂サイディング「ゼオンサイディング」がこのほど、住宅保証機構の住宅瑕疵担保責任保険「まもりすまい保険」に通常通り申込み手続きできることが確認された。昨年6月2日の保険契約申込み受付分まで遡って適用され、今後も安心して使うことができる。また、他の保険法人も同様の扱いになる。
ゼオンサイディングは塩化ビニール樹脂製の外装材で、施工はサイディング同士を重ね合わせ、シーリングを使わないオープンジョイント工法が特徴。各保険法人の標準となっている乾式外装材の施工基準は、通気胴縁を下地としたシーリングによる目地止め工法のため、ゼオンサイディングの扱いがどうなるのか、ユーザーから問い合わせもあったという。
今後、ゼオンサイディングを同社の指定する施工方法で施工した場合は、設計施工基準第9条第2項二号(非通気構法の防水紙)、同第4項(シーリング)、第10条第1項(通気構法)、同第2項第一号(サイディング材)について適用が除外される。
ゼオンサイディングのオープンジョイント工法については、通気胴縁を施工しなくても十分な防水性と排湿性があることが道立北方建築総合研究所(北総研)との共同研究により証明されている。
保険申込みの際は同社が住宅保証機構から受けた「設計施工基準第3条に係る確認について」書類の写しを提出し、矩計図等にゼオンサイディングを用いることを明記すれば、通常の保険申込みと同様に扱われる。
設計施工基準第3条に係る確認書類の入手、詳しい問い合わせは、同社建築材料部(Tel.03・5208・5134)。
(写真上...住宅保証機構の設計施工基準第3条の確認書 写真下...今年春発売の「ウインドロック240」)
2009年07月25日号から
全道着工25,000戸台か
全国も90万戸割れの可能性
全国的に見ても最低の水準が続く09年の北海道の住宅着工はどうなるのか。
本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度"、と予測した。しかし、その水準すらも下回ることが確実な情勢だ。
1~5月の住宅着工と6月の札幌市の確認申請件数から判断して、2万7千戸台、最悪で2万5千戸割れも考えられる。
1~5月の道内着工は、対前年比41%減。この減少ペースで行くと年計では2万3千戸だ。
着工が急降下したのは昨年10月以降。つまり9月までは対前年比で大幅な減少が続く可能性が高い。
9月以降、政治の安定によって未来展望に明るさが感じられたとしても、年内の仕事には結びつきにくい。
長期優良住宅が始まった6月4日以降に確認申請が集中するという見方もあったが、札幌の6月戸建て実績を見ると、5月よりは回復したものの、対前年比では減少から抜け出していない。
ただ、消費者の住宅取得意欲は根強く、集客自体はさほど悪くないという声も多い。問題は消費者の希望する低価格帯に供給側が応えきれていない面があること、住宅ローンの審査が通りにくいこと、将来が不安で多額の借金を背負いたくないマインド面、とも言われている。
この結果、持家は9800戸台(2月予想と同じ)、問題は貸家と分譲、ということになる。
貸家については、1~5月累計で44%減。フルローンに融資がつかない、入居率が低下しており地主が投資を見合わせる、不動産バブルの崩壊、というマイナス要素が目立ち、新築市場の回復には時間がかかりそう。当初予想から下ブレし、1万2千戸から1万4千戸あたりか。
分譲もボロボロだ。現状はトータルで68%減、このうちマンションが8割減、建売が3割減。マンションは大手の破たんなどもあり、在庫の整理が進んでも新築が以前ほどの着工に戻るとは思えない。建売については、在庫のリスクから着工が減っているが、注文を補う意味もあり大幅な底割れはないと考えられる。当初予想を大幅に下回り、2500戸程度に落ちつくか。
全国ベースでも下ブレは大きい。2月時点では最悪90万戸割れも、と予想したが、このペースで行くと80万戸台前半、場合によってはさらに下回る可能性もある。
ただ、中部圏・関西圏・首都圏などを中心に長期優良住宅によって弾みがつくと見る向きも根強い。それによって秋から冬場の着工が伸びる可能性もある。ただしマンションの回復は思わしくない。
2009年07月05日号から
長期優良住宅 動き出す
6月4日に長期優良住宅の認定制度がスタートしてからちょうど1ヵ月。補助金や減税、ローン金利引き下げなどの優遇措置が用意され、冷え込んだ新築市場のカンフル剤として期待を寄せる住宅会社も多い。そこで長期優良住宅の認定や優遇措置などの現状についてまとめた。
おさらい・認定取れば補助や減税
長期優良住宅は、「いいものをつくり、きちんと手入れして長く大切に使う」ことをコンセプトとした住宅で、福田元首相が一昨年発表した200年住宅ビジョンをきっかけに法制化された。
最近のたび重なる法律の施行・改正などにより、別の基準や制度と混同しがちだが、年間150戸以上の建売住宅を建設・販売する住宅会社に義務付けられた住宅事業建築主基準(トップランナー基準)や瑕疵担保履行確保法とはまったく別のものだ。
関連するのは北方型住宅ECOなどが採択された長期優良住宅先導的モデル事業で、このモデル事業の対象となる新築住宅は長期優良住宅の認定を取ることが前提条件になる。
制度を利用するかどうかは自由だが、認定を取得することで、補助や減税、ローン金利引き下げ(フラット35S)などの優遇措置を受けることが可能になる。
これらの優遇措置は、当初最大600万円のローン減税など各種減税措置が柱となっていたが、認定制度開始と前後して住宅金融支援機構が長期固定金利ローン・フラット35Sの金利優遇期間を20年間に延長したほか、50年償還が可能なフラット50の創設も発表。
100万円補助に900社
さらに国土交通省が緊急経済対策として、年間新築戸数54戸以下の中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に最大100万円を補助する長期優良住宅普及促進事業(以下、普及促進事業)を実施。国交省では同事業実施支援室を開設し申請受付やサポートを行っている(03・6214・5909)。この補助事業は先着約5000戸が対象となるだけに、認定申請を急ぐ住宅会社も少なくない。
普及促進事業は1.事業へのエントリー(参加申請)2.建設する住宅の補助金交付申請3.完了実績報告書の提出という3段階の手続きが必要だが、国交省の同事業支援室によると、6月26日現在でエントリーした住宅会社は全国で900社強、補助金交付申請件数は約25戸となっている。
また、補助を受ける条件として、長期優良住宅の認定取得以外に施工中の現場公開と住宅履歴情報の保管が義務付けられているが、住宅履歴情報は国の指針にのっとって保管されていることが必要。この秋には住宅履歴情報の保管を行う情報サービス機関が立ち上がる予定なので、それまでは必要な書類・図面を自社で保管しておくことになる。
なお、道内では北方型住宅サポートシステムが利用できるかどうか気になるところだが、道建築指導課によると「現在国の指針に適合しているかどうかを国交省に確認中」とのこと。
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2009年06月25日号から
省エネ基準改正で家づくりはどうなる?
気密性能基準(相当隙間面積)の数値規定や気密層の施工方法の削除などによって、シンプルになった住宅省エネ基準の改正・施行から2ヵ月。これまでのところ現場で大きな混乱は起きていないが、今回の基準改正の目的は何だったのか、そしてこれからの家づくりにどう影響してくるのか。本紙では国土交通省の担当官と、これまで省エネ住宅をリードしてきた研究者および住宅会社による紙上座談会を実施した。
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2009年06月15日号から
足場に新たな規制3
規則改正の背景
なぜこのような規則改正が行われたのか。過去の足場墜落死亡事故を分析すると、全体の3割強が法律を遵守していた。わく組足場で交さ筋かいのすき間から墜落したケース、それ以外の足場で手すりの下から墜落したケースなどが含まれる。そこから今回の改正内容が考えられた。
それでは、木造建築工事現場で使われる一側足場が除外されたのはなぜだろうか? 中高層建築や造船所、大型建築物の足場は数十m以上の高さとなるため危険性が高い。それに対し木造建築は大半が高さ10m以下のため相対的に危険性が低い。また現場の数が膨大なため「そこまで規制をかけるのはどうか」という意見もあったという。しかし、コスト削減のために一側足場の現場が増える可能性も否定できない。
実際、道内の木造建築現場でも毎年死亡事故が発生している。今年も今月5日に札幌市内のアパート建設現場で作業者が釘箱を運ぼうとした時に足場階段から転落し、死亡事故が発生した。低層だから安全とは言えない。
北海道労働局では昨年6月、木造家屋建築工事を行っている107の現場で一斉パトロールを実施し、安全な作業床の確保や安全ネットの設置状況などを点検し、その結果改善指導を行った現場が約3分の2にあたる71現場もあり、これは平成19年とほぼ同じ割合の結果だ。このうちパトロールした現場の約半数、52現場で足場にかかわる指摘があった。躯体との間の墜落防止の手すりが未設置、安全ネットなどの設置が不適切、足場外側の墜落防止手すりや柵などの設置が不適切な現場が多数あった。
瑕疵担保保険の検査と違い、安全パトロールはごく一部の現場でしか行われないが、安全対策を軽視して死亡事故が発生すれば、多大な悪影響が出る。これを機会に、安全対策の見直しを行い、これ以上死亡事故が起きないことを望みたい。
2009年06月05日号から
長期優良に最大100万円
先着順に対象住宅を決定
国土交通省では、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し建設費の1割以内、最大100万円の補助を行う「長期優良住宅普及促進事業」の概要や申込方法などを発表し、4日から参加・交付申請の受け付けを開始した。補助金を受けるには8月7日まで同事業への参加申請(エントリー)、12月11日までに建設する住宅の補助金交付申請をそれぞれ行う。1社最大25戸まで補助を受けることが可能となっているが、補助金の交付決定は先着順となる。
この補助事業は、中小住宅業者の長期優良住宅に対する取り組みと木造住宅の振興を目的としたもの。予算枠は約50億円で、1戸100万円の補助とすると約5千戸分に相当する。
補助対象となる住宅は長期優良住宅の認定を受けることに加え、1.過去3年間の新築住宅供給戸数が平均54戸以下(木造以外の構造や共同住宅も含む)の住宅会社が建設 2.住宅履歴情報の整備・保管が行われている 3.棟上げが終わってから内装工事が始まるまでに現場を一般公開するなどが条件。北方型住宅ECOなど長期優良住宅先導的モデル事業の補助金を同じ住宅で受けることはできない。
住宅会社単独での応募のほか、団体・グループでの応募も可能となっている。団体・グループの場合は代表者がまとめて参加各社の申請手続き等を行うことになり、必要事務経費として住宅に対する補助額の合計の1%が補助される。団体・グループでの応募でも補助を受けられる住宅会社の条件等は単独応募の場合と同じ。
補助金交付は5月
補助を受けるにあたっては、1.8月7日まで同事業への参加申請(エントリー)を行う2.参加が認められたら12月11日までに建設する住宅の補助金交付申請を行う 3.補助金交付決定通知書交付後に着工する 4.施工中の現場の一般公開を行う 5.住宅完成後、引き渡しや住宅履歴情報の保管などがすべて終了した日から30日以内かつ来年2月10日までに実績報告書を提出 6.補助金交付額確定通知書の交付 7.来年5月上旬(予定)に補助金支払いという流れになる。
このうち1.の参加申請と2.の補助金交付申請は同時に行うことも可能。また、2.の補助金交付申請は先着順に受理・交付決定され、予算枠の約50億円を超えた日で申請受付は終了する。
申請書類や手続きに関するマニュアルなどはすでにホームページからダウンロード可能となっている。
詳しくは長期優良住宅普及促進事業実施支援室(Tel.03・6214・5909)へ。
ホームページ:http://www.cyj-shien.jp/
2009年05月25日号から
火災・地震保険料改定へ
1年以内、早ければ年明けにも
損保各社の火災保険と地震保険の料率改定が来年早々にも始まる見通しだ。損害保険の料率算出団体である損害保険料率算出機構(損保料率機構)が金融庁に届け出ていた火災・地震保険の構造区分等の変更が先月30日に告示されたことにより、ALCやレンガ外壁で準耐火・省令準耐火以外の木造住宅などは、火災・地震ともに一般の木造住宅と保険料は変わらなくなり、実質値上げとなる。
ALC木造の一部値上げ
今回、損保料率機構が変更を行ったのは、火災保険参考純率と地震保険の基準料率の構造区分。現在、火災保険はA~Dの4つの構造区分、地震保険はイまたはロの2つの構造区分に分かれており、各構造区分に応じて保険会社は保険料率を定めている。例えば火災保険の料率は、RC造などの耐火構造が該当するA構造が最も安く、D構造が最も高い。
現在の構造区分は外壁や主要構造材の材質・仕様によって定めているが、ここ数年、複雑な構造の増加や新建材の普及などに対応できず、適切に構造区分を判断できないケースが出ていた。そこでわかりやすいよう、変更後の構造区分は納税や不動産取引で用いられる「建物の種類」と建築基準法上の「建物の耐火性」により定めている。
具体的に火災保険は、A~Dの4構造区分からM・T・Hの3構造区分に変更となり、料率はA構造がM構造に、B構造がT構造に、C・D構造がH構造に該当することとなった。
ところがこれにともない、現在の構造区分で2番目に保険料が安いB構造に該当するALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければ最も保険料が高いH構造へと変更。これまでは「ALC外壁は火災保険料が安くなる」とユーザーにアピールできたが、今回変更された構造区分が保険会社の商品に反映されれば、準耐火・省令準耐火にしない限り、保険料は一般の木造住宅と変わらなくなることに注意したい。
(図...今回変更となった火災保険の構造区分)
省令準耐火は地震保険安く
地震保険は、現在の構造区分で保険料が高いロ構造に該当する省令準耐火の建物が、保険料の安いイ構造に変更となる。ツーバイフォー工法の場合、省令準耐火がほとんどなだけに、これはメリットがありそう。
一方、火災保険と同様に、ALC・レンガ外壁などの木造住宅は、準耐火・省令準耐火でなければイ構造からロ構造に変更となる。
現在、保険会社の火災保険の料率は、保険金部分のみにかかる純保険料率と自社の経費などにかかる付加料率を合わせて独自に設定しているが、地震保険は同機構会員の保険会社すべて同機構の算出した基準料率を適用。今回の構造区分変更も全社が適用すると、例えば省令準耐火の住宅は44~58%の保険料引き下げ、逆に準耐火・省令準耐火以外のALC外壁の木造住宅は29~30%の保険料引き上げとなる。
今回の構造区分等の変更を受けて、保険会社各社はいつから自社商品の改定を行うのか。同機構会員の保険会社に問い合わせたところ、「来年1月に今回の変更内容を反映させた新商品を発売する予定。地震保険については損保算出機構の基準料率を利用する」(A社)、「時期は公表できないが、損保算出機構で行った料率の変更等は基本的に1年以内に自社商品に反映している」(B社)、などと回答。
過去の例から見て、今回も今後1年以内に各社の対応商品が出揃うと予想される。
(図...今回変更となった地震保険の構造区分)
2009年05月15日号から
木造住宅に最大100万円/国交省
経済危機対策 長期優良を条件に新たな補助
国土交通省では経済危機対策の一環として、中小住宅会社が建設する木造の長期優良住宅に対し最大100万円を補助する「長期優良住宅普及促進事業」の実施を発表した。今年度補正予算の成立を前提としたもので、北方型住宅ECOなどが提案・応募している長期優良住宅先導的モデル事業とは別の補助事業。募集は今月下旬から6月上旬にも開始となる予定だ。
早ければ今月下旬から
この事業は、中小住宅業者の長期優良住宅に対する取り組みと木造住宅の振興を目的としたもので、年間50戸未満の住宅会社が建設する木造の長期優良住宅1戸あたり、最大100万円を限度に建設費の1割以内を補助する。長期優良住宅の認定を受けることに加え、1.住宅履歴情報の作成・保存 2.施工中の現場公開 3.今年度中の竣工などが条件。
補助を受けられるのは、個人、住宅関連事業者、建築主と住宅関連事業者等のグループ、住宅関連事業者等が組織するグループ・団体、地方公共団体が出資する法人などとなっており、住宅会社が直接補助を受けることも可能になっている。
詳しい募集条件や申し込み方法などについては今後同省ホームページで発表される。
長期優良住宅関連の補助事業については、すでに先導的な提案を行うモデル住宅等に最大200万円/戸を補助する「長期優良住宅先導的モデル事業」と、NPO・任意団体などが住み替えや2地域居住の推進を目的に行う住宅再生および流通促進等のモデル事業に一定の補助を行う「長期優良住宅等推進環境整備事業」があり、今回の事業が3つ目。このうち、先導的モデル事業については、採択された提案が近日中に発表される見込み。
問い合わせは国交省住宅局木造住宅振興室(Tel.03・5253・8111(代))へ。
(図...長期優良住宅普及促進事業のイメージ)
ホームページ:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mokuzou.top.html
2009年05月15日号から
道内3万1千台が現実味
2009年住宅着工見通し
2009年(平成21年)の道内新設住宅着工は、3万1千戸台が現実味を帯びてきた。
本紙は今年2月5日号で2009年の道内住宅着工を"3万1千戸台、良くても3万4千戸程度、全国は100万戸割れが確実、最悪で90万戸割れも"という予測を立てた。
道内着工3万1千戸という数値は、多くの予測の中でもっとも厳しい見方だったようだが、4月前後になるとこの記事について取材先で逆取材されるようになり、4月末には「現時点で2月の予想数値を上方・下方修正するつもりはあるか」という問い合わせが増えてきた。
道内1~3月の住宅着工は、対前年比42%減少。利用別では給与を除いてすべてがダウンしており、中でも分譲マンションが80%減と壊滅的、建売も45%減で分譲合計71%減。貸家は36%減、このうち木造アパートが52%の半減。持家も23%ダウンしている。
4月以降も仮にこの第1四半期と同じ下げ幅で推移するとしたら、年計では2万5千戸というとんでもない数字になってしまう。
この先についてだが、まず4月末までの動きは3月までと同様に良くないとする声が多い。ただ、ばらまき型の景気対策が6月以降に本格化して多少は効いてくるだろうし、10月以降は比較データである昨年もすでに減速しているため、8月以降になれば対前年比で多少は上向く。この結果、2万5千戸台という事態は何とか避けられるだろう。
5月の時点で3万1千戸台が現実味を帯びてきたことは確かだ。3万戸台から3万2千戸台が2009年の着工量となりそう。対前年では8千戸から9千戸の減少。ポイントとなるのは分譲マンションの動向だが、木造の戸建てやアパートも気になる。戸建ては建売が大きく減っており、木造のアパートについては非木造(賃貸マンション)と比べても落ち込みが大きい。入居率の低下などで計画の中止や延期が相次いでいるのだろう。
全国については、すでにさまざまな報道が100万戸割れを予想している。現時点では95万戸前後、立ち直りが遅れれば90万戸割れということになりそう。
2009年05月15日号から
瑕疵担保保険最新の情報
割引は?見積は?
住宅瑕疵担保履行法施行まで4ヵ月あまり。本紙は新年号で住宅瑕疵担保責任保険の選び方について特集したが、割引制度については「3~4割安くなる場合もある」といわれており、その点を中心に料金設定や商品内容をあらためて取材した。
5つの保険法人に取材した結果から言うと、割引制度は少し増えたものの大きな変更はない。しかし、公表しない割引制度はどの法人も持っており、それらを活用すると最大で4~5割引もあるということが実態のようだ。
保険料も横並び?
公表されている割引は、資本金3億円以下の会社に適用される中小企業割引、住宅性能評価の同時申込みによる割引など(表参照)。一方、特定の団体組織やフランチャイズ加入によって割引が受けられる場合もある。こうした割引を活用すると、最大5割安くなる場合があるようだ。延床面積120㎡の住宅で言えば4万円以上の差が出てくるわけで、この差は無視できない。
保険法人に取材すると、回答は大同小異。「事業者ごとに見積します」「公表していませんが、何段階かの割引率を設定しています」。
国土交通省が検査・補償体制について横並びを求めたとされる経緯もあることから、料金設定や割引設定についても非公式な指導があったのかもしれない。いずれにしても、主に営利法人が保険を引き受けるのに、表面上は競争原理が働かない仕組みになっている。
工務店から「見積書に保険料をそのまま載せていいのか(転嫁していいのか)」という問い合わせもきている。
国土交通省はホームページ上で「住宅価格に転嫁することも可能です」と明記しており、転嫁するのは一向に構わない。問題はむしろお客さまにどう説明するかだ。
素直に見積もりに入れる会社もあれば、「企業努力でサービスします」と説明する会社も出てくるだろう。こんなところでお客さまに減点されてはたまらない。そのことだけは注意しておく必要がありそうだ。
国土交通省の法律に関するQ&Aについて:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutaku-kentiku.files/kashitanpocorner/3-qa.html
各保険法人の保険商品比較(「表示」をクリックすると一覧表が出ます)表示
2009年05月05日号から
1ヵ月後に迫った長期優良住宅のポイント
最大600万円の住宅ローン減税など各種税制優遇が受けられる長期優良住宅(200年住宅)の認定が6月4日にスタートする。長期優良住宅の認定は国の先導的モデル事業に応募している北方型住宅ECO建設の必須要件となることもあり、特に北方型ECOの協議会に参加している住宅会社は万全の準備をしておきたい。今回は長期優良住宅認定基準への対応や建設するメリット、認定申請方法などについてまとめた。
(以下抜粋)
戸建ては実質7項目
認定基準は1.劣化対策 2.耐震性 3.維持管理・更新の容易性 4.可変性 5.バリアフリー性 6.省エネルギー性 7.居住環境 8.住戸面積 9.維持保全計画の9項目あるが、戸建住宅では4.可変性と5.バリアフリー性は適用外なので、実質7項目の基準をクリアすることになる。詳しい内容は右表の通り。なお、認定基準にはないが、住宅履歴の作成・保存も必要となる。
この中で特に問題となりそうなのが②耐震性の耐震等級2(倒壊等防止)。構造システムのサポートや構造計算で多くの実績があるJ建築システム(株)(札幌市、手塚純一社長)技術部の中居大祐係長は次のように話す。
「まず、長期優良住宅の認定基準で求められる耐震等級2(倒壊等防止)は、品確法による性能表示の『構造の安定に関すること』の基準に記載されている一項目であることに注意が必要。構造の項目には耐震等級(損傷防止)や耐風等級、耐積雪等級などもあり、これらの項目でも等級2を要求しているわけではない」という。
耐震等級2が難題
次にどうやって倒壊等防止の耐震等級2をクリアするかだが、これが難題。基準には「極めてまれに(数百年に一度)発生する地震の力の1・25倍の力に対して倒壊、崩壊しないこと」とあるが、周知のようにこれは単に壁量を1・25倍にすれば解決するというわけではない。
性能表示の評価基準で定める必要壁量を満たしたうえで、床倍率や接合部、横架材の断面寸法やスパンなどを決めていくことになり、性能表示の評価基準を把握していることが求められる。
例えば、木造2階建てでは建築基準法上、耐力壁の量・バランスのチェックで済むものが、耐震等級(倒壊等防止)では床についても剛性の計算をしなければならない。特に大きな吹抜けがある場合は要注意と言える。
性能表示の構造チェックは計算手法が面倒で、相当の知識も求められるため、構造専門のスタッフを社内・社外に置いておくことも考えたい。プレカット工場も、有料で構造計算サポートなどの準備をしているが、6月からの制度スタートには間に合わない見通し。
問題は設計上の制約が出てくること。大開口部や吹抜けを設けることが厳しくなると言われているが、ユーザーからそれらの要望があった場合、評価基準の内容が予備知識としてあれば、打ち合わせの場で対応できるかどうかをある程度判断できるが、予備知識としてない場合、そのつど会社に持ち帰り、対応可能かどうかを検討しなければならないということも出てくるだろう。そうなると、プラン決定に時間がかかり、最終的に要望に応えられないとなったらユーザーの信頼を損ねることにもなりかねないし、他社と競合した場合、不利になる可能性もある。やはり評価基準の内容は一通り把握しておきたい。
(上写真...自社に性能表示対応CADソフトなどを使いこなせる人材がいなければ、構造計算ができる設計事務所と組むのも1つの手(写真はJ建築システムで行っている構造計算の様子)、下図...耐震等級2(倒壊等防止)の適合判定の手順。これはひと言で言えば構造計算と同じものだという)
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2009年04月25日号から
住宅Q値計算/北方型の不利解消
道は、北方型住宅のQ値(熱損失係数)計算で基礎断熱した床下や屋根断熱した小屋裏も床面積に算入できることを、今年改訂した北方型住宅技術解説書に明示。これにより、基礎断熱・屋根断熱を行った住宅では、Q値が計算上不利になってしまうという現象が解消されそうだ。ただ、これは北方型住宅の認定に限ってのことで、住宅性能表示制度の性能評価を用いた長期優良住宅の技術審査などでは適用にならないことに注意する必要がある。
Q値計算は各部位の熱損失係数の合計(総熱損失係数)を実質床面積で割って算出するが、そうすると屋根断熱や基礎断熱によって気積の大きい住宅ほどQ値が大きくなる。昨年の北方型住宅ECOでは、基礎断熱した床下空間の床面積算入を巡って住宅会社の混乱を招く原因にもなっていた。
そこで道では道立北方建築総合研究所を通じて昨年11月に基礎断熱した床下と屋根断熱した小屋裏も含めた気積を2.6で割った数値をQ値計算の床面積とする考え方を北海道建築指導センターに示し、北方型住宅の認定にあたってはこの計算方法を使うことができるようになった。
(図...基礎断熱・屋根断熱で、床下と小屋裏を床面積に算入しない長期優良住宅(住宅性能表示制度)ではQ値が1.47W程度になるが、床下と小屋裏を床面積に算入できる北方型住宅では1.2Wを軽く切る)
換気経路に入ることなどが条件
今年改訂した北方型住宅技術解説書では、基礎断熱や屋根断熱を採用した住宅で、①床下空間・小屋裏空間が換気経路に入っている②床下空間に放熱器が設置されていて床ガラリなどを通じ居室と空気を循環させている③不規則な吹抜けがあるのいずれかに該当する場合で、床下や小屋裏への出入り口や改め口があれば、それぞれの空間の気積を2.6で割った数値を建築基準法上の床面積に加えることができるとしている。
長期優良住宅の認定では適用外
ただ、国の省エネ基準では、Q値計算で床下空間や小屋裏空間が換気経路になった場合の扱いが示されていないことなどから、住宅性能表示制度の省エネルギー等級の判定で、この計算方法は使えない。そのため、今年6月4日から認定申請が始まる長期優良住宅でも、総熱損失係数を建築基準法上の床面積で割った数値がQ値となる。
このように北方型住宅と国の性能表示制度でQ値計算の床面積算出方法が異なることに、「このままでは2つのQ値が存在することになり、混乱するばかりだ。どうして一本化できないのか」という声が住宅会社からあがっている。
道建設部建築指導課では「吹抜けや基礎断熱、屋根断熱などで気積が大きくなった時、Q値が不利になるのを解消するために、北方型住宅は気積を2.6で割った床面積の考え方で統一する。現時点で具体的な話はまだまとまっていないが、国に対してもこの床面積算出方法を認めてもらうための働きかけをしていく」と話している。
北方型住宅技術解説書ダウンロード先:http://www.kita-sumai.com/?page_id=7
2009年04月25日号から
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・1
住宅瑕疵担保履行法で定める資力確保義務化の施行が10月1日に迫っている。住宅会社は事前に対応しなければならないが、この法律は「国民が安心して住宅を取得できるように」というそもそもの趣旨とは裏腹に、エンドユーザーにとって有益とは思えない面が当初から指摘されていたが、ここへ来て業界内部から公然と政府に見直しを迫る声があがっている。
(写真...国交省ホームページにあるイメージ画像。本当に「住まいを守る」法律になるのか...)
消費者保護なのに悪質な欠陥に保険金を払わない
国土交通省は、いわゆる「姉歯事件」後に行った1万人の消費者アンケートで9割の人が「保険が必要・どちらかといえば必要」と回答したと公表。それを根拠に10年の瑕疵担保責任保険などの義務化を法律で定めた。これにより売主または請負人に「供託」か「保険への加入」が義務化された。
この法律は当初から、『悪質業者や技術レベルの低い業者のせいで、優良な住宅会社で家を建てた消費者も今までにない費用負担を強いられる』との指摘があったものの、『それによって欠陥住宅被害から救われるなら、やむなし』と受け入れる空気だった。
「瑕疵の確率が低い工務店なら保険料率が下がり、一方悪質な業者は高額な保険料を払わなければならなくなるので業界が健全化されるだろう」と前向きにとらえる会社も少なくなかった。
ところが法律の細かな点が決まり出すと、疑問の声があがり出す。
昨年1~3月に行われた住宅リフォーム・紛争処理支援センターによる事業者説明会で国交省は『故意または重過失による欠陥(瑕疵)には保険金を払わない。住宅事業者が倒産したら保険金は払われる』と判断を示したが、当初の趣旨はすべての欠陥修繕をカバーするために保険の義務化に踏み切ったはずだ。
うっかり欠陥住宅を建ててしまった場合(軽過失)は保険が面倒を見る。しかし、欠陥が出るかもしれないけどいいや、とか欠陥になると思うがそのままやれ、といった場合(重過失と故意)は保険が下りない。欠陥住宅の補修で問題になるのはどちらの事例なのだろうか。消費者保護が必要なのは、後者、すなわち重過失と故意で作られた欠陥住宅に住む人たちなのではないか。
保険法人にサービス横並びを強制? 検査は2回
もう1つの大きな問題は、こういった形で保険が義務化されると、『よりよい品質で差別化を図る』ことよりも、むしろ『保険検査にパスするギリギリの品質まで落とすことでコストダウンを図る』という品質低下の方向に向かってしまう心配が大きいことだ。このことによって損害を受けるのは、消費者だ。
そういった中でも、厳しい検査体制によって品質を維持していることが割安な保険料という形で消費者のメリットにつながればいい。住宅会社の訴求点にもなる。ところが、国土交通省は保険法人に横並びの検査・保証体制を求めたとされ、このため合計4回の検査を実施していた検査・保証会社は、横並びの2回、オプションで4回の検査を行うことも認められなかったという。
品質確認と向上のためのサービスを認めず、横並び。重過失や故意は保険金を払わない。これでは競争原理が働くはずもなく、何のために民間に保険法人を開放したのかわからない。
保険商品で差別化できないと、保険法人は保険金を払わないことで利益を確保する方向に進みかねない。2年前に話題になった「生命保険の不払い問題」では25万件以上の不払いが明らかになったように、保険会社はもともと保険料をなるべく払わないことが利益確保につながる。
「消費者保護というお題目を人質にとって、天下り先確保のためだけにできた法律か」そういう声さえ出ている。
(図...保険制度のフロー)
続き...
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・2はこちら
2009年04月25日号から
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・2
法廃止を訴えNPOが立ち上がる
こういった行政は世の中を悪くするばかりと、公然と立ち上がったグループがいる。
NPO法人家づくり援護会(イエンゴ)を中心としたグループは、新法に反対する署名運動を展開している。保険は中小零細の工務店つぶしだ、という怒りだ。
署名文には「中小零細工務店潰しの不公正・不平等な法律に反対」「消費者保護とは名ばかりの無責任制度に反対」「懸命に努力する中小零細工務店への国家暴力を許さない」とメッセージが書かれている。
また、札幌市内の民間確認検査機関A社は、「住宅に重大な瑕疵があって施工会社が倒産した時には補修できないといった不幸を避ける意味で、ユーザーは安心できるのでは。任意だったものがすべての住宅に付いてくるという意味でも、ユーザーに安心を提供することになると思う」とした上で、「保険の内容や検査が同じになるよう、国土交通省が保険法人各社に通達を出したと聞いているが、そうだとしたら保険法人を5社にする必要があったのかという話にもなってくる。また、性能表示に加え、瑕疵担保保険や長期優良住宅など、これだけいろんな制度ができてしまっては、ユーザーは何を選択したらいいのかわかりにくい。各制度の整合を図って、分かりやすい制度にしてほしい」と語る。
さらに別の民間確認検査機関B社は「瑕疵担保法の字面だけ見ると、保証対象は極論すると不同沈下と雨漏りだけなので、これで大丈夫かという疑問はある」と不安を指摘する。
続き...
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・3はこちら
2009年04月25日号から
瑕疵担保保険の義務化目前 業界から見直し請願の声・3
最後に、道内の工務店社長の声を紹介しよう。
A工務店社長
「瑕疵担保保険が義務化になった時は大賛成だった。第三者に検査してもらうことで自分では気付かなかったことを指摘されれば、改めて襟を正す部分も出てくるだろうし、一番検査が厳しい保険会社を選ぶことで当社の家づくりの正しさを証明できると考えていた。そしてそれが他社との差別化にもつながると思っていた。
ところが法律の施行直前で国土交通省が保険会社の検査回数などを横並びにしたと聞き、とても腹が立った。どの保険会社も配筋と躯体の検査しかやらないとはどういうことだと。それで本当にユーザーに安心してもらえる住宅を提供できると思っているのだろうか。消費者保護をうたっておきながら、このままでは誰のためにもならない法律になると思うのは私だけではないはず」。
B工務店社長
「これまでも利用していた保険法人の担当者が来た時に、保険法人各社検査2回で横並びはおかしいのではないかという話をすると、『オプションでさらに現場検査・現場確認をするということで国交省に申請したら却下されてしまった』と話していた。そこでこのような横並びはおかしいし、住宅会社としては2回の検査では不安があるということを国交省の書式を使って書き、同法人経由で国交省へ提出した。
今までは地盤、配筋、躯体、防水、完了時に検査があり、杭を打つ時は杭の検査もあったことで、現場の職人にも緊張感を与えることができたが、検査回数が2回になると減った分は社内検査となり、緊張感が薄らいでしまうのではないかという心配がある。
このままでは瑕疵担保履行確保法が手抜き工事をチェックできない骨抜きの法律になってしまうのでは」。
国土交通省は、こういった声に耳を傾け、施行前に問題を修正してほしい。
2009年04月15日号から
キーワードは即効性・若年層・接点増やす
集客・見込み・成約ともに大きく減少し、住宅不況が止まらない。道内住宅着工は今年に入っても大きく落ち込み、1~2月合計で前年比4割減。集客できる商品を求めてフランチャイズ(FC)やボランタリーチェーン(VC)への加入を考える住宅会社も出てきているが、数あるFC・VCの中で、自社に適しているのはどこなのかを判断するのは簡単ではない。今回はFC・VCを内容によってタイプ別に分類し、代表例をピックアップするとともに、独自の商品開発や営業戦略で厳しい市場に挑んでいる住宅会社を取り上げた。
求められるスピード感
昨年秋の世界的な金融恐慌に端を発した不況の波はユーザーの消費マインドを著しく低下させ、住宅や自動車、家電など国内の主要産業に大きな打撃を与えた。
そういう現状でユーザーが「買いたい」と思う商品と、その商品をユーザーに売り込むための効果的な宣伝戦略や経営体制を考えられるかが必要になっている。
しかし、新規商品開発、経営の見直し、営業強化など工務店が取り組む課題解決には、相応の人的資源や時間が必要。この際、割り切って外部からのサービスや商材購入を積極的に利用することで問題解決のスピードを速める必要があると考える経営トップが増えているのも、時代の変化が急激で速いからだろう。
第1・ノウハウ一式買う
「今までとは違う客層を開拓したい」と考えたとき、新商品ノウハウ一式を買えば、結果的に時間とカネの節約になる。
『風家(ふうや)システム』((株)オーパス)は、独自ルートの輸入建材などを使い、女性をターゲットとした企画住宅「風家」を建てるノウハウ一式が手に入る。建材を会員価格で買え、別の企画住宅ノウハウも割安に買え、継続的な情報提供も受けられる。
『ハグハウス』(ハウジング山地(株))は、子育て世代向けに自然素材を使ったデザイン住宅のノウハウや独自建材を提供する。さらに販促支援として本部で広告展開も行う。昨年始めたばかりだが、道内では既に6割のエリアで加盟店が決まるなど出足は好調だ。
『カーサキューブ』((株)ナック建築コンサルティング事業本部)は、開口部を極力少なくして立地に左右されずデザイン性を高めた若者向けモダンデザインの企画住宅のノウハウを提供する。道内も既に導入している会社が数社ある。
これらの商品はFCのような縛りが少なく、「魅力的な商品企画と独自建材さえ使えればそれで差別化できる」「工法はこれまでと変えたくない」という工務店の声にも応えられる。
第2・FC組織に加盟
「注文住宅だけでなく、新たに間口を広げる商品が欲しい」「棟数を増やしたいので商品ノウハウだけでなく売り方の指導もして欲しい」という場合は、営業・経営指導まで含めたFCに加盟する選択肢がある。テリトリー制を敷いてエリア内でFC同士の競合を避ける配慮や、経営指導、共同販促など工務店業務の広い範囲にわたってかかわりを持つ。
『インターデコハウス』(ハウジング山地)は、ヨーロッパデザインの輸入住宅FC。独自に輸入した豊富な建材が使え、北欧風から南欧風まで多彩なバリエーションが特徴。毎年新商品を発表するほか、オリジナル家具を使ったライフスタイル提案も行う。
『アイフルホーム』((株)トステム住宅研究所)は25年前からスタートしたFCの老舗。大規模FCのスケールメリットを生かした合理的経営手法の提供や、FC加盟店へのサポート体制の充実を売りにしている。
変わり種は、『頭のよい子が育つ家』(スペース・オブ・ファイブ(株))。FC方式だがエリア制を敷いていない。「大手ハウスメーカー1社に採用されるよりも、多くの地場工務店に採用される方が『頭のよい子が育つ家』をより多く供給できる」という考えだ。有名私立中学に入学した子どもの家を実際に調査した結果を元に、『頭のよい子が育つ家』を建てるノウハウを提供する。
第3・営業・経営コンサル
「営業が弱いがどうすれば強化できるか」「ムダなコストを見直して住宅価格を下げたい」など、悩み解決を外部の頭脳を借りて行いたい、という場合は住宅建築のコンサルティングサービスを受ける選択肢がある。
『7億セールスシステム』(ナック建築コンサルティング事業本部)は、社員5人で年間7億円の売上を上げるノウハウ一式を伝授する。人材の研修や経営コンサルティングなど総合的なサービスを受けられる。
『アキュラシステム』((株)アキュラホーム)は、木造住宅の合理化システムで、施工、資材購入時のムダを省いてコストダウンを図るノウハウのほか、新規商品開発も指導する。両社とも、資材の共同購買システムを持っており、一工務店で購入するよりも割安に建設資材が購入でき、コストダウンに役立つとPRしている。
『フォーセンスデザイン住宅開発マニュアル』((株)フォーセンス)は、工務店独自のデザイン住宅を開発するためのツール一式とサポートサービス一式を販売する。同社は年間施工数が30~50棟の中堅工務店経営者3名が役員を務めており、実践的なノウハウをまとめているとPRしている。
いずれのサービスも半年の無料サポート期間があり、その後もサポートを受ける際は月会費を払う。
第4・エコ設備・主婦目線
太陽光発電やヒートポンプなど時流に乗っているエコ設備機器で商品力を強化したい場合、それらの導入支援を行ってくれる企業もある。
平成11年に設立された『(株)PVソーラーハウス協会』は、全国約150社、道内約20社の工務店などが加盟する組織で、住宅設備面の強化に関する様々なサポートを実施。例えば国による補助金の情報や、ソーラーパネルやヒートポンプを安く買える共同購入、ソーラーパネルの施工研修などを行ってくれる。
同協会は茨城県の工務店が東京電力と連携してソーラーパネルやヒートポンプなどの普及拡大を図ったのが始まりで、現在は住宅の省エネ・創エネ提案力を強化したい住宅会社がメンバーとなっている。
入会金は道内企業であれば無料、会費は月1万円。カタログや広告宣伝の負担は免除している。
また、家づくりの主導権を握っている子育てママ目線で企画や集客を成功させるため、札幌圏の工務店が有力な連携先として見ている企業に、社員全員子育てママという『(株)マミープロ』がある。
同社は平成18年7月設立の北海道・札幌圏の子育て情報提供ウェブサイト「ママNavi」の運営会社。設立3年にして既に月間アクセス数35万件・ユーザー数2万人、会員数1700人。札幌圏の子育てママを中心にウェブサイトだけでなく、イベント運営・雑誌発行なども行っている。
工務店のモデルハウスを共同で企画したり、イベント開催と集客、モデルハウス内の催し、「ママNavi」へのバナー広告掲載などの実績がある。
独自路線で切り拓く
アシスト企画/社内の若い力活かす
道内の住宅会社の中には、外部の力に頼らず、独自の商品開発や技術によって需要を開拓しているところもある。
そのうちの1社が、FCなどを活用するのではなく、あえて社内の力を活かして商品開発に取り組む札幌の(株)アシスト企画(岡本勝社長)。
同社では若手社員の感性を商品企画に活かすことで若年層のニーズに沿った新商品開発を行うため、設計・施工・営業の各部門から若手3名を選出。2チームで健康住宅・和風住宅の商品企画化を目指し、自然素材採用を全面に打ち出した健幸家族の家『Pure(ピュア)』と、和のテイストや安らぎの空間を現代的にアレンジした現代和装の家『庵(いおり)』が具体化、4月末にはそれぞれモデルハウスが完成する予定だ。
(写真...若手社員の感性を活かしたアシスト企画の新商品「庵(いおり)」のイメージパース)
ジョイフル北海道/わかりやすい商品力が武器
コストパフォーマンスの高さと積極的な広告宣伝で若年層を中心に札幌圏で受注を伸ばしているのが(株)ジョイフル北海道(本社旭川市、落合博志社長)。
同社では『幻の家』シリーズで当初から1千万円を切る本体価格や金物工法、外張り断熱、オール電化などを武器に受注を伸ばし、受注の約8割を20代後半から30代半ばで占めている。
広告宣伝費は不況で多くの企業が削っている中でも昨年より多くかけており、特に1年前から始めたテレビCMはネームバリューの向上に成果を挙げているという。
これまでほぼ100%企画型住宅だったが、今年はデザイン性を高めた商品やフリープランの商品も計画。年間で旭川と札幌合わせて200棟、札幌単独では前年比20棟上積みとなる140棟の受注を目標としている。
(写真...外張り断熱・オール電化など時代のトレンドを先取りしつつ低価格としたジョイフル北海道の「幻の家」)
ダイアハウジング/真似できないセンスを提案
デザイン性を追求した自社ブランド『d-concept』(ディーコンセプト)を立ち上げ、安定して受注を確保している住宅会社が(株)ダイアハウジング(札幌市、松木直之社長)。
1.子供がいない 2.夫婦共働きで所得に余裕があるという競合が少ない若年層をターゲットに、単なるシンプルモダンではなく、誰にも真似のできない"デザインセンス"を活かした大開口や間接照明による光の演出を提案。数は多くないが、確実に存在する客層を取り込み安定受注につなげている。
(写真...大開口部と間接照明を活かしたデザインを提案するダイアハウジングの「d-concept」)
混迷の時代に活路探す工務店経営者たち
注文住宅のほかにFC、VCから企画商品などを購入して成功/T工務店 社長
「工務店経営者の役目は倒産しないこと。そのために自社オリジナルの注文住宅だけで不十分ならと、割り切ってFCなどを利用した。FCやVCの役割はさまざまだと思うが、導入の目的はお客さまとの接点を増やすということに尽きると思う。時代の変化が激しいので、独善に陥らないようにするためにも、外部商品は役に立つ」
これまでFCに入ったことがないが、いまはすべてを見直す/O工務店 社長
「これまで年間20棟以上の物件をやってきたが、ここ2~3年、10棟台に落ちている。このままではいけないと思っているが、正直なところどうしていいのかわからない。同業や取引先にも意見を求めている。これまでFCに加盟したことは一度もないが、いまはFC加盟も方法のひとつと思っている」
差別化商品をマスメディアに載せずに足で稼ぐ/K建設 社長
「当社のデザイン提案を、それを望んでいるユーザーに知ってもらう機会さえあれば、受注と受注単価は必ず上向くと確信している。ただし、雑誌広告は掲載料が高いしチラシは昨年失敗した。FCとかの商品による集客ではなく、エンドユーザーに直接お話しする機会、知ってもらう機会をマスメディアの宣伝以外で展開することに全力を投じている」
このまま徐々にやめるかもう一度本気で受注を目指すか.../S工務店 社長
「自分でもいまの20代、30代のユーザーとは共感できないことはわかっているし、営業する上ではマイナスになるので説教がましいことを言ってはいけないことも頭では理解している。このままでは工務店をやめるしかない。その前にもう一度本気になるかどうか、それを決めかねている状態だ」
工務店の悩み解決を支援する外部サービスや組織(「表示」をクリックすると一覧表が出ます)表示
2009年03月15日号から
夕張の病院改修で
NPO法人シックハウスを考える会(上原裕之代表)が主催する夕張医療センター改修プロジェクトに関するセミナーが7日に開かれ、設計事務所など建築関係者らが参加。断熱レベルの低い既存建築物の改修による省エネ効果や環境改善効果についての研究者らの話に、熱心に耳を傾けた。
夕張医療センター(旧夕張市立総合病院)は、築30~40年のRC造3階建てで、建築当時は豊富な石炭を暖房に使えたため、建物自体の断熱性が低く、開口部はアルミサッシのシングルガラス仕様。
病棟の温熱環境は劣悪で、入院患者はほかの病気まで背負い込むほど悪影響がある現状だという。
同センターを運営する医療法人財団夕張希望の杜理事長の村上智彦氏によると、2人部屋の病室は現在、窓際の強烈な冷気により1人部屋としてしか使えず、それでも寒いために風邪を引く入院患者がいる。入浴介助も浴室内にシャワーを大量に散布して温度を上げながらでないと介助者も震えるほど寒い。サッシメーカーの好意で樹脂内窓を一部に取り付けたところ、2人部屋が2人部屋として使えるようになり、入浴介助もスムーズにできるなど、環境が劇的に改善。光熱費の低減で経営面でもいい影響が出てきたという。
アルミシングルサッシに樹脂製内窓を後付けすることで環境改善と省エネ効果が上がることがわかり、室蘭工業大学鎌田紀彦教授や北海道大学の教授陣の協力を得て断熱改修プロジェクトを立ち上げ、改修前後で患者の健康状態にどのような変化が生じるのかなどを今後科学的に検証する。
講演した鎌田教授は断熱改修でどの程度の暖房費削減を狙っているかを説明。
同センターは、171床の総合病院だったが、最盛期の10分の1に人口が減ったため、現在はベッド数を10分の1の規模に縮小し、2階、3階を使わず運営している。1階の窓に樹脂製内窓を付けると、断熱性能は推定で熱損失係数(Q値)2・63Wから1・92Wに向上し、年間で重油が約3割、額にして約400万円削減できると見積もった。
鎌田教授は「RC建築は、木造ほどお金をかけなくても窓や換気の改修だけでそれなりに断熱改修の効果が出る。今回の改修プロジェクトでそれを実証したい」と話した。
北海道大学の羽山広文准教授は慢性疾患の死亡リスクと住宅との関係を発表。
慢性疾患による死亡者数は季節変動が大きく、65歳以上の高齢者が心疾患や脳血管疾患、家庭内溺死で死ぬ割合は冬に多いことを示した上で、浴室やトイレと居室との温度差が大きいと血圧変化も大きく、高齢者にとってリスクになるとした。全国の地域別のデータでは、冬は北海道よりも温暖な地域で心疾患・脳血管疾患による死亡リスクが高くなることから、住宅の断熱性能と何らかの関連があるのではないかと見解を示した。
最後に夕張希望の杜・村上理事長は「断熱改修の経済的効果について、燃料費削減だけでなく医療費の削減という面からも大きな期待が持てることを検証したい」と意義を説明した。
(写真上から...室蘭工業大学・鎌田紀彦教授、北海道大学・羽山広文准教授、シックハウスを考える会・上原裕之代表、夕張医療の杜・村上智彦理事長)
2009年03月15日号から
暖房・給湯機など点検義務化/改正消安法4月施行
経年劣化による設備機器の事故を防止するため、石油給湯機やガス瞬間湯沸器などの設備機器や家電製品を対象に、標準的な使用期間(寿命)の設定・表示や、点検時期の通知と点検の実施、既存製品も含む保守サポート体制の整備などを製造・輸入メーカーに義務付けた「長期使用製品安全点検制度」と「長期使用製品安全表示制度」が4月1日から施行される。住宅会社や不動産業者も物件引渡時にオーナーへの説明義務などが課されるが、同時にリフォームの提案などにつなげるきっかけにもなりそうだ。
住宅会社にも責任
「長期使用製品安全点検制度」(以下、点検制度)と「長期使用製品安全表示制度」(以下、表示制度)は、いずれも平成19年11月に改正された消費生活用製品安全法によって創設されたもの。
点検制度は経年変化によって特に重大な危害を及ぼす可能性が高いとされる設備機器7製品9品目を対象に、標準使用期間および点検時期の表示と点検の通知・実施、施行日以前の製品も対象とした保守サポート体制の整備などをメーカーに義務付けた。7製品9品目は1.屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用・LPガス用)2.屋内式ガスふろがま(同)3.石油給湯機 4.石油ふろがま 5.密閉燃焼式(FF式)石油温風暖房機⑥ビルトイン式電気食器洗浄機⑦浴室用電気乾燥機。
ここで言う標準使用期間とは、普通に使っていて安全上問題なく使うことができる期間を指し、点検時期はこの期間の終了時期をはさみ、1年から3年程度の期間が想定されている。簡単に言えば安全に使える期間が終わる前後に点検を受けなさいということ。点検については開始前6ヵ月以内にメーカーから点検の必要性や点検料金、連絡先を記載した通知がオーナーに送られてくる。
また、住宅会社や不動産業者、製品販売業者も、点検や製品登録はがき(所有者票)記載の法定説明事項などについて、オーナーに説明しなければならない。違反すれば勧告や社名の公表が行われることもある。さらにオーナーの要望によっては、代わりに登録情報をメーカーに提供することになる。
一方、表示制度では、製造・輸入メーカーに対し経年劣化による事故件数が多い5製品を対象として、標準使用期間と経年劣化に関する注意事項などの表示を製品に義務付けた。5品目は①扇風機②エアコン③換気扇④洗濯機⑤ブラウン管テレビとなっている。こちらの制度は住宅会社等が関わることはない。
使用期間は8~10年
対象製品を製造・販売するメーカーも目前に迫った法施行を前に対応を急いでいる。特に標準使用期間を何年に設定するかどうかは住宅会社にとっても大いに気になるところだ。
サンポット(株)は今月、全道主要都市で販売店・販売代理店説明会を開催。標準使用期間は石油温風暖房機8年、石油給湯器10年とする予定。ガス器具のリンナイ(株)も毎年2~3月に行っている販売代理店向けの方針発表会で周知を図っており、ガス瞬間湯沸器やガスバーナー付き風呂釜は標準使用期間が10年になるという。
一方、キッチンなど水回りメーカーを見ると、トステム(株)は住宅会社を回り、周知徹底を図っているとのこと。TOTO(株)は販売特約店向けの説明会をすでに開催済みで、ショールームでは住宅会社やユーザーにも説明を実施。浴室電気乾燥機の標準使用期間は10年としている。
こうしてみるとメーカー各社はまず先に販売店・販売代理店向けに説明会を行うところが多いようで、住宅会社向けはその後という雰囲気。標準使用期間は各メーカーが決定することになっているが、各社の動きを見る限り概ね8年から10年が一つの目安となりそうだ。
リフォーム提案も
この2つの制度のうち、点検制度は住宅会社も説明や情報提供について責任を負うだけに制度内容をしっかり理解しておくことが必要。
暖房給湯調理機器の主要メーカーや関連部品の製造・販売会社などで構成する日本石油ガス機器工業会が、先月下旬に札幌で説明会を行ったところ、200名以上の申し込みがあったが、住宅会社はほとんどいなかったそうで、まだまだ住宅会社の関心は低いのが現状だ。
新築時に限らず、リフォーム時も対象となるし、設備工事業者・修理業者も住宅会社と同様に点検やオーナー情報の登録・変更の必要性を説明する努力義務が課されるため、住宅会社としては自社の協力業者に対しても制度の周知・浸透を図ることが大切だ。
一方で住宅会社としては設置した設備機器の標準使用期間を把握しておくことにより、メーカーとは別にオーナーへ安全に使える期間が終わりに近づいてきたことを連絡し、設備の更新を含めたリフォームのきっかけにするということも考えられる。
なお、3月末までに製造・販売された設備機器は標準使用期間や点検時期の設定義務はないものの、メーカーが整備しなければならない保守サポート体制ではそれらの設備機器も対象としなければならない。OB客にこの制度を知らせる案内を出したり、これまでの施工物件で使用した設備機器について点検の案内を出すなど、アフターサービスの充実を図ることも可能になる。
なお、これらの制度について詳しくは経済産業省商務流通グループ製品安全課(Tel.03・3501・4707)または各地域経済産業局産業部消費経済課製品安全室(北海道Tel.011・709・1792、東北Tel.022・215・9887)などへ。
経済産業省ホームページ http://www.meti.go.jp/
(写真...経済産業省が配布している点検制度の告知リーフレット。対象製品や登録・点検などについてわかりやすく記載されている)
2009年03月05日号から
太陽光発電に熱視線
経済産業省ではこのほど、家庭用太陽光発電システムの普及を加速させるため、家庭や企業などが太陽光で発電した電気を、電力会社が現行の2倍ほどの価格で買い取る制度を来年度までに始めると発表。
これにより償却期間の短縮や光熱費の大幅な削減、さらには売電による収入の増加まで可能性が広がり、住宅会社もこれを機に太陽光発電と自社の住宅を組み合わせてユーザーに訴求するケースが増えそうだ。
今回の発表によると、これまで電力会社による太陽光発電の買取価格は24円/kWh前後だったが、これを50円弱に引き上げ、10年ほどにわたって続けるという。その一方で電力会社はこの制度にかかるコストアップ分を電気料金に転嫁することになるが、その金額は一般的な家庭でひと月数10円から100円程度に設定される見込み。
もともと太陽光発電の普及促進は、昨年の北海道洞爺湖サミット前に福田元首相が「2050年までに温室効果ガス排出量を現状より50%削減するという目標を掲げ、そのためにドイツに奪われた太陽光発電導入量世界一の座を奪還する」と発表したことを受けて一気にヒートアップ。
国では太陽光発電の国内導入量を2020年に現在の10倍、2030年には40倍に引き上げる考えで、そうなると新築の持家の7割以上が太陽光発電を採用することになるという。経済産業省も地球温暖化防止のための新エネルギー政策の中で、太陽光発電システムの設置価格を3~5年後には現在の半額程度まで引き下げると発表した。
これら一連の流れの中で今年から住宅用太陽光発電システムの設置に対し、1kWあたり7万円を補助する助成制度が復活。国ではさらに電力会社の買電金額を引き上げることにより、一般家庭への普及を加速させる考えだ。
(写真...設置枚数を増やすため南面の片流れ屋根とした住宅。これからは片流れ屋根が増えるかも)
利回り10%の投資
すでに大手ハウスメーカーの中にはエコや環境重視の姿勢をアピールするため、太陽光発電を標準化した商品をラインアップすることも珍しくはないが、今回の経産省の発表によってその動きはいっそう活発になりそうだ。
現状で太陽光発電の設置価格はkWあたり70万~100万円、発電コストは大体46~62円kWh程度と一般家庭用電力料金の倍以上。これが買取金額の引き上げによって、発電コストが一般家庭用電力料金と同じくらいになれば、設置するシステムの最大発電出力にもよるが減価償却は10年以内になる可能性もあり、10年目以降は何もしなくても売電した分だけもうかる計算になる。
(写真...一般の住宅では設置面積の関係で3.5kWが限度と言われている)
アピールポイント
実際には10年目以降に維持管理費がかかってくるものの、ユーザーにとってはお金を生み出すシステムと言えることになり、出口の見えない不況や社会不安、雇用不安などで購買意欲が減退している住宅取得予備軍を刺激するうえで「宣伝に使える」とはやくも動き出す住宅会社もいる。
例えば最大発電出力4kWのシステムを設置した場合、売電による収入は約24万円。設置コストが240万円だとすると10年で償却可能であり、利回り10%の投資商品になるとも言える。住宅取得に200万円余計に出せるユーザーであれば、貯金や投資信託よりずっと投資効果は高い、とも言える。
最大発電出力を増やせば副収入源として大きな魅力を持つことにもなる。「低金利時代の屋根上貯金住宅」とか「老後資金支援住宅」などと名付ければ、老後の資金を持っている団塊世代の心に響く広告になるかも。
太陽光発電を自社の住宅のアピールポイントとするのも一つの方法。今年のモデルハウスはぜひ採用しておくべきと考えるがどうか。"光熱費ゼロ"は言うに及ばず、目に見える、手が届く楽しさとエコ、節約効果。集客面ではアイデア次第の強力ツールになりそう。
2009年02月25日号から
仕様外は事前相談/建築指導センター
今年10月1日から「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」がスタートする。実質上の保険義務化と言える内容のため、現場審査をクリアできなければ大変なことになると、審査の内容について不安を感じている住宅会社や設計事務所がある。
現場審査を行う基準となっているのが各保険法人が公表している瑕疵担保保険の設計施工基準。この基準は全国共通なので、北海道特有の工法は考慮に入れられていない。そのため、防水工事で道内でよく使われる施工法について、「無落雪屋根はどう扱われるのか?」「木製サッシの納まり図などが仕様書を見ても記されてないがどうなるのか?」「スリーブ管が壁に貫通する部分の防水納まりはどうすればいいのか?」など、現場から疑問がいろいろ出てきている。
道内で登録事業者が最も多いと言われている住宅保証機構の「まもりすまい保険」代理店である北海道建築指導センター住宅保証部では現在、仕様書以外の納まりについては事前に相談してほしいと呼びかけている。
(写真...北総研が研究成果を元にまとめた屋根の雪処理パンフ)
フラットルーフも可
まもりすまい保険の設計施工基準では、第7条に「屋根は勾配屋根とする」としているだけで、その勾配度合いまでは指定していない。メートル型無落雪屋根やフラット屋根のような緩勾配屋根はどうなるのか。
同センターでは平成16年秋から「北海道版」無落雪屋根の設計施工基準を配布。さらに道立北方建築総合研究所の研究成果を元にメートル型無落雪屋根、フラットルーフ、勾配無落雪屋根それぞれについて設計施工上のポイントをまとめた『戸建住宅の屋根の雪処理計画』というパンフを作成し配布している。同パンフ記載の設計施工基準を守れば100分の1勾配のフラットルーフでOKだ。
それによると、メートル型無落雪屋根もフラットルーフも天井見付面積に対する小屋裏換気孔(軒天換気)の面積比を360分の1以上確保し、天井断熱部分の気密措置を講じることを求めている。
(図...戸建住宅の雪処理計画のパンフによるフラット屋根のモデル図。小屋裏換気は、軒天換気口の有効開口面積が天井見付面積の360分の1以上必要)
木製サッシ規定無し
まもりすまい保険では、サッシまわりの防水規定については、設計施工基準第9条2の四で「外壁開口部の周囲は、防水テープを用い防水紙を密着させること」とある。ツバ付きの樹脂サッシ、アルミサッシは参考図に示されているが、木製サッシの納まりがどうなるのか。建築指導センターでは「仕様書外の納まりの場合は、保険申込み前か着工前に相談してほしい」と話している。建築指導センターが認めれば仕様書外の納め方で保険を引き受けてくれる。
また、全国規模のメーカーの場合は住宅保証機構に直接相談する選択肢もある。
このほか、換気の給気あるいは排気ダクトが外壁を貫通する際の納まりについては、平成16年改訂版の性能保証住宅設計施工基準38ページに掲載された図を参考にするか、住宅金融支援機構が監修したフラット35の木造住宅工事仕様書を参考にしてほしいと話しており、それ以外の納まりは事前相談による対応となる。
(図...外壁開口部の防水処理は、平成16年秋に発行した旧・性能保証住宅設計施工基準が基準となる)
2009年02月25日号から
電気熱源はヒーポンが必須
1月末に改正省エネ基準とともに発表された住宅事業建築主の判断の基準、いわゆるトップランナー基準については、一定規模以上の建売住宅会社だけでなく、戸建注文住宅を含むすべての住宅会社を対象とした住宅版省エネ性能ラベリング制度にも用いることを、現在国が検討している。利用は任意だが、中小でも大手と同じ土俵に乗ることが求められる。これまで断熱・気密に熱心に取り組んできた住宅会社はむしろ追い風として活用することもできるはずだ。今回はトップランナー基準をクリアする仕様について検証してみた。
(表...トップランナー基準をクリアするための主な断熱・設備仕様 ※いずれも太陽光発電・太陽熱温水器・節湯型機器は使用せず、照明は新築時に設置しないものとし、第3種換気はDCモーター仕様とする)
一次エネ消費で評価
トップランナー基準について簡単に説明すると、暖冷房、給湯、照明、換気を含めた住宅トータルでの一次エネルギー消費量が、国で定めた基準値と比べてどれくらい下回っているかを達成率で評価するもの。一次エネルギーとは石油・石炭・天然ガスなど、家庭で使われる電気や灯油、都市ガスなどに変換される前のエネルギーを指し、単位は熱量を表すGJ(ギガジュール)。1GJ=23万8900となる。
基準値となる一次エネ消費量は、次世代省エネ基準相当の性能の躯体に一般的な設備を組み合わせた約36坪・2階建ての標準プランと比較して1割少ない値に設定。北海道は道北・道東中心のⅠa地域と道央・道南中心のⅠb地域に分けて設定しているが、いずれも標準プランの設備は、暖房が灯油温水セントラル(室温設定20℃)、給湯が石油瞬間式などとし、Ⅰa地域は124GJ、Ⅰb地域は113GJが基準値になっている。
この基準値を実際の住宅の一次エネ消費量で割って100をかけた数値が達成率(%)で、100%を超えれば基準をクリア。なお、換気動力は別に見ることとし、セントラル換気や同時給排型壁付けファンを設置する場合は、1.2GJまたは4.9GJを基準値に加算する。
住宅版省エネ性能ラベリング制度は、この評価方法によって基準をクリアしたことを、ラベルの貼付によって表示できるようにする仕組みだ。
ガス高効率型は有利
この一次エネ消費量は、一般の人が簡単に一から計算できるものではない。そこで国では各設備ごとの一次エネ消費量がわかる早見表を用意し、躯体の断熱性能(Q値)に応じて一次エネ消費量と基準達成率がどのくらいかを簡単に算出できるようにする考えだ。
まだ最終的なものは公表されていないが、年末に社会資本整備審議会省エネルギー判断基準小委員会が公表した案をもとに、どういう組み合わせならⅠa地域の基準値をクリアするのか見ていきたい。
まず、一般的な電気・ガス・灯油暖房給湯設備と第1種換気・第3種換気ごとに、躯体の断熱性能=Q値を平成4年省エネ基準レベルの1.8W、同11年基準レベルの1.6W、そしてさらにワンランク上の1.4Wとした時の基準達成率を試算してみた。
結論から言うと、ガス高効率ボイラー(エコジョーズ)による温水暖房・給湯なら、Q値が1.8Wでも換気方式にかかわらず基準値をクリアする。潜熱回収をしない一般的な灯油ボイラーによる温水暖房・給湯は第1種換気ならQ値1.6W以下、第3種換気なら同1.4W以下が必要。
電気暖房・給湯は電気の生焚きだと厳しく、電気蓄熱暖房器と電気温水器の組み合わせでは、Q値1.4W以下で第1種換気を使っても基準値をクリアできない。最低でもQ値1.4W、換気は第1種とした上で、給湯をヒートポンプとすることになる。
断熱性能は最低でも1.6W以下に
一方、道央・道南中心のⅠb地域はどうかというと、結果としてはⅠa地域と同じ。ただ、冬期の外気温がかなり低いⅠa地域とは異なり、暖房にはヒートポンプ温水暖房も早見表に追加されている。暖房・給湯ともにヒートポンプとすれば、第3種換気ならQ値1.6W以下、第1種換気なら同1.8W以下で基準値をクリアする。
ただ、住宅版省エネ性能ラベリング制度案では住宅トータルでの一次エネ消費量を評価するとともに、断熱性能については平成11年省エネ基準への適合状況も表示する方向で検討されていることから、最低でもQ値1.6W以下としたうえで、基準値をクリアする暖房・給湯・換気設備を検討する必要がある。
(写真上...写真上...潜熱回収型のガス高効率ボイラー・エコジョーズで暖房・給湯を行えば、Q値が新省エネ基準レベル(1.8W)でも換気方式に関係なく基準値をクリア可能、写真下...電気熱源の場合、道内では給湯または暖房・給湯両方にヒートポンプを採用しないと、基準値をクリアするのはかなり厳しい(写真はイメージです))
2009年02月15日号から
長期優良住宅/大手は対応を開始
最大600万円の住宅ローン減税や住宅金融支援機構が開発中の50年ローンの適用などが予定されている「長期優良住宅(200年住宅)の普及の促進に関する法律」(以下、長期優良住宅法)が今年6月4日に施行となる。昨年12月末に認定基準案などが公表され、今月中旬には公布される見込み。大手ハウスメーカーの中には早くも対応商品の販売を開始したところもあり、今後、長期優良住宅への対応が進みそうだ。ここでは認定基準(案)の具体的な内容と札幌戸建確認申請済棟数で上位を占める大手の動きについてまとめた。
ローン減税最大600万
長期優良住宅は昨年から国が実施している超長期住宅先導的モデル事業と同じ200年住宅政策の一つ。長期優良住宅法の成立にともない、先導的モデル事業は現在受け付けている平成21年度第1回募集から"長期優良住宅先導的モデル事業"と名称変更し、長期優良住宅認定基準に適合するとともに6月4日の法施行後は実際に認定を受けることが要件の一つとなった。
長期優良住宅の認定を受けるメリットとしては、戸建住宅の場合減税措置として1.住宅ローン減税の最大控除額を600万円に拡充(一般住宅は500万円)2.住宅ローン減税との選択で、性能強化にかかった費用の10%相当額(最大100万円)を所得税から控除 3.床面積120m2までの固定資産税を5年間2分の1に軽減(一般住宅は3年間2分の1)4.不動産取得税で課税標準からの控除額を1300万円に拡充(一般住宅は1200万円)5.登録免許税の税率を一般住宅特例より引き下げがある。
また、住宅金融支援機構が開発中と言われる50年住宅ローン・フラット50(仮称)が利用可能になる予定。
需要喚起の役割を期待
この制度に対し、大手ハウスメーカー各社は税制優遇のメリットをユーザーにアピールして需要を喚起しようと、対応に向けて積極的に動き出しているところもある。
例えば住友林業(株)は「お客様に対する税制優遇のメリットと優良な住宅ストックの形成を考え、全棟標準対応とする予定」(総務部広報グループ)で、今月6日には早くも長期優良住宅対応をうたった「My Forest[GS]」(マイフォレストGS)を発売開始。また、(株)ホーム企画センターは「住宅ローン減税の控除額は当社として最大限受けられるようにしておきたいし、それはお客様にとっても安心感につながる」(商品開発部)として全棟対応予定。このほか、詳細は検討中だが(株)土屋ホームは対応を準備中、北海道セキスイハイム(株)も対応を予定、スウェーデンハウス(株)道支社は個別に対応するとしている。
一方、ミサワホーム北海道(株)は「まだ社内でどう対応するか、取りまとめができていない。3月頃にまとまる予定」(営業推進部)とのこと。豊栄建設(株)も対応未定だ。
耐震等級2が必須
認定基準は大きく10項目に分類できる(左表参照)。新築木造戸建住宅について、昨年の超長期住宅先導的モデル事業基本性能基準と比べ大きく異なるのは、劣化対策と耐震性という構造に関する2項目。
劣化対策等級は性能表示制度の等級3への適合はそのままに、床下・小屋裏の点検口設置と、床下空間の有効高さを原則330ミリ以上確保することが追加された。ただ、これらの要件はすでに標準でクリアしているケースがほとんどだろう。
耐震性は、極めてまれに(数百年に一度程度)発生する地震による力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊等しない程度である性能表示制度の等級2、または免震建築物とするか限界耐力計算によって一定の安全性・耐久性を確認することが必要。等級2については、構造計算か仕様規定によってクリアする。
また、躯体天井高は2650ミリ以上と規定。これは各階床表面から上階床裏面までの高さのこと。床面積は75m2以上だが、所管行政庁が独自に定めることも可能で、その場合は55m2以上。
このほかの部分は昨年の先導的モデル事業基本性能基準と変わらず、省エネ性は省エネ基準に適合することとし、北海道であれば道南の一部を除き熱損失係数=Q値は1.6W以下。維持管理対策や住宅履歴書の作成・保存、維持保全計画の作成、景観への配慮なども必要となる。
2009年02月05日号から
本格的な構造塾-入門と実務向けに-
J建築システム(株)(札幌市・手塚純一社長、工・農博)では、大学や専門学校では専門的に学ぶことができない木造の構造計算実務を基礎から実践まで徹底指導する「jjJSchool」(トリプルJスクール)を開校。住宅会社や設計事務所はもちろん、一般消費者までオープンに門戸を広げ、住宅性能表示制度や近い将来の実施が検討されている四号物件の確認特例廃止にも対応できるよう、実務で構造計算(許容応力度計算など)あるいは構造チェックができる人材を育成する。
ユーザーは住宅を購入する時に構造計算が行われているものと思っているが、実際に木造2階建て以下の四号物件は確認申請時に構造計算書の添付は不要であり、仕様規定と呼ばれる簡単なルールの中で構造設計が行われ、その大部分は設計者の経験と判断に任されているのが現実。その一方でユーザーに対し建物の安全性・信頼性を証明しようと構造計算を行い、その結果をユーザーに示す住宅会社も徐々に目に付くようになってきた。
確認の四号特例廃止などに対応
構造計算は建物の安全を維持できるかを検証すること。計算により基礎と地盤を正しく評価したり、必要とされる壁の量やバランス、部材の大きさや耐力といった断面性能を定量的にチェックする。
しかし、構造計算の実務は、入社したゼネコンで覚える場合がほとんど。同社の手塚社長は「構造計算書の作成業務を行っている人たちの中には、手計算による設計を1回もしたことがない、現場での納まりを知らないなど、ただソフトを動かすだけの人が存在することも事実。"構造計算ソフトを使用し計算ができる=構造を理解し計算ができる"とはならない」と語る。
一方で法規は、瑕疵保証・保険の義務化や、住宅性能表示制度が関わってくる長期優良住宅法、実施時期が検討されている四号物件の確認特例廃止など、構造計算書偽装事件以降次々に改正・施行されており、これらの対応は急務。
トリプルJスクールは住宅・建築関連法に対応するとともに、構造計算実務を習得する場とし、構造計算のインストラクターもできる人材の育成も視野に入れて構造計算実務の徹底指導を行う考え。
段階的にスキル向上
具体的には、同社オリジナル構造計算プログラム・STRDESIGNJ(富士通FIPとの共同開発)を用い、構造計算未経験者やユーザーを対象に木質構造計算やプログラムの入力を学ぶ「基本編」、実践的な構造設計ができる能力が身に付き、建材・流通関係業者の社員のスキルアップにも役立つ「実践編」、構造計算の実務・指導と確認申請に必要な書類作成まで行えるよう指導する「インストラクター編」と、レベルに応じた3つの講座を用意。段階的なスキルアップが可能となっており、それぞれ4日間、山下部長を始め年間1000棟近くの構造計算実績を有する同社のスタッフが、札幌市南区の同社社屋で少数精鋭・マンツーマンで指導。各講座とも受講後には修了証を授与する。
昨年12月に第1回目として福井県、埼玉県、長野県より8名が受講。費用は最小限の負担で済むように考えているという。将来的には各都道府県に1~2社、良い建物を造って社会資産にしていこうという考えを持った賛同者が運営する分校を作ってネットワーク化し、同スクールを修了したインストラクターがビジネスとして構造計算実務や構造設計者の育成に携われるようにすることも考えているそうだ。
同社の手塚社長は「これから住宅会社が生き残っていくために、構造計算、構造力学、構造計画を勉強したいというニーズは多く、第1回目の開催以降、かなりの数の問い合わせが寄せられている。事前にプログラムの操作の予習があり、受講中も復習を目的に宿題が出るなど、かなり学習密度の濃い4日間になるが、それだけ高い能力を身に付けることができる」と話している。
問い合わせは同社本社(Tel.011・573・7779、FAX.011・573・7811、担当/門馬)へ。
(写真上...昨年12月に行われた第1回目のスクールの様子、写真下...スクールの受講者に授与される修了証)
2009年02月05日号から
09年着工予測 北海道:3万1千戸台も/全国:100万戸割れ
昨年の10月以降、景気が大きく落ち込む中、09年の幕は開けた。08年の住宅着工は、北海道が4万戸割れの3万9014戸、全国は109万3485戸。景気の急減速による影響が本格化する今年は、北海道が3万1千戸台、よくても3万4千戸程度になりそう。全国でも100万戸割れは確実、最悪で90万戸割れという事態も想定しておかなければなるまい。
数値以上に重苦しい空気
100年に一度と言われる未曾有の経済危機を受け、住宅受注もエンドユーザーの計画延期などの影響で大きく冷え込んでおり、それが今年から着工減少のかたちで本格化する。
所得減などによってマイホームに手が届かなくなっている北海道・東北に加え、首都圏から東海、関西地方では高額住宅の受注が止まったと言われており、数字以上に不況感がただよっている面もある。しかし、金融危機から始まった大不況からいつ抜け出せるのかのメドが見えない状態では、住宅や自動車といった高額商品の販売向上は年内は難しいとの見方が強く、そうすると一時的であれ、戸建てやマンションのマイホームはさらに冷え込み、賃貸も需給のミスマッチが解消するまでは調整局面に入ると見るべきだろう。
北海道:持家1万戸の大台を割る懸念も
北海道では持家が10から15%低下して9800戸台から1万500戸程度。貸家は15から20%低下して1万6000戸台から1万8000戸程度。分譲は15から25%後退して4400戸から5000戸程度。
このうち木造は戸建て(持家)とアパート(貸家)が中心だが、単純に市場が2割消えて前年の8割規模になると、淘汰は必死だ。
分譲マンションについては販売低調だった昨年をさらに下回る可能性が指摘されており、積み上がった在庫調整のために新規の供給はかなり減ると見られている。ハッキリしない部分もあるが、2割の減少は避けられないだろう。
全国:10万戸以上の大幅減か?
全国ベースでは、100万戸割れはほぼ確実。問題はどの程度で下げ止まるかという線だろう。平成19年は前年比で約23万戸減少した。平成9年は同じく前年比で25万戸あまり減少した。こういった階段を踏み外したような大幅減少は10年に一度だとしても、10万戸を上回る減少の可能性も高い。
仮に持家が10%、貸家と分譲が15%低下すると、前年比14万戸減の約95万戸となる。
アメリカの住宅着工の落ち込みはもっと激しい。もちろん不況の中心、金融恐慌の震源地がアメリカの住宅ローンだから、着工減、価格下落は当然だとしても、年率換算で50万戸台。この夏までは底打ちしないと見られている。
2009年01月25日号から
検査済証が未交付、融資受けられない現場も
(株)エクセルシャノン、三協立山アルミ(株)、新日軽(株)ら5社が防耐火認定を取得した仕様とは異なる仕様の樹脂サッシを製造・販売、あるいは認定仕様と異なる試験体で認定を取得するなどの不正を行っていたことが今月8日明らかになり、認定を取り消される事態となった。不正は、最も古い製品では平成8年まで遡るという。
防耐火認定を取り消された樹脂サッシを採用した住宅の現場がどうなるのか、まとめてみると、1.建築中の現場の場合、完了検査は通らない、2.場合によっては外壁や内壁を剥がしてでも交換作業を行う、3.費用は仮住まい費も含め全額メーカー側が負担、4.具体的対応内容については、現在メーカーとユーザーの間で交渉中、となる。改修に伴う費用などは各メーカーではこれから算定するとしており、業績への影響は計り知れない。
問題の樹脂サッシは、戸建住宅では準防火地域に用いられるもので、ガラスは網入り、枠内に防火用の遮炎材などを補強して通常商品よりも防耐火性能をアップさせている。認定試験を受ける際に、遮炎材を増強するなど認定仕様と異なる不正を行い、さらに販売時に認定仕様と異なる仕様で販売した製品もある。
道内戸建住宅では、エクセルシャノン、三協立山アルミが既に各サブユーザーへ訪問してお詫びと事後対応の相談を行っているが、道内はユーザー数が多いために対応に時間がかかりそうだ。道内ハウスメーカーでは、(株)土屋ホールディングスなど3社がホームページ上でエンドユーザー向けに告知を行っている。
怒りがおさまらないのは当該サッシを採用し完了検査直前だった現場の担当者。「完了検査が下りないだけでなく、銀行も融資が実行できないと断ってきた。引き渡し日も延期となり、結局お客さまから怒られるのは我々だ。何の落ち度もないのになぜこんな目に遭うのか」と話す。
別の住宅会社では、「完了検査の担当者からは、『御社には何の落ち度もないのにたいへんお気の毒ですが』と言って完了検査が通らないことを通知された。無償改修といっても、引渡日が大幅に伸ばせないお客さまの物件なので、どうしたらいいのか」と困惑を隠せない。
(写真...防耐火認定を取得した樹脂サッシのガラスは、すべて網入り(三協立山アルミのカタログから))
緊急の対応策
緊急の対応として、外付けの防火シャッターを付けて完了検査をクリアし融資実行ができる体制をまず作り、その後についてはメーカーと住宅会社でじっくり話しあうという案も浮上している。
エクセルシャノンの親会社、(株)トクヤマの広報は「無償改修とは、改修工事の間仮住まいが必要ならばその費用も含めて負担するという意味ととらえている」と話している。これまで樹脂サッシ普及のトップリーダーとして市場をけん引してきた会社を含めたおよそ8万窓に及ぶ不正だけに、その衝撃は大きい。
(写真...防火試験で『スペシャル仕様』の試験体が使われたことが発覚した(エクセルシャノンのカタログから))
2009年01月25日号から
4月に住宅展示場/1/13に地元連携の決起大会
函館地区の工務店グループ「イーハウジング函館」が4月に、函館市美原に住宅展示場をオープンさせる。
展示場は1年間公開しその後売却する。このほど専門工事業者100名以上を招き決起大会を開催した。
(写真...総合展示場の計画パース)
函館の一等地で共同集客
イーハウジング函館は、平成15年に函館地区の地元工務店、メーカーなどで結成した住まいの研究グループ。
一昨年は北斗市追分で土地を共同購入・21区画造成し、デザインコードや全棟北方型住宅、全棟オール電化住宅などのルールを決めて販売。数区画を残すだけというところまで売るなど、大きな成果をあげている。
今回の住宅展示場は、地域に根差した住宅会社が、質の高い住宅を提供するというメッセージをエンドユーザーに強く伝え、各社の受注に結びつくように、連携して営業活動を行うための拠点として企画された。
建設地は函館市の美原2丁目で、産業道路から赤川通り(道道347号)を北に向かって1キロほどの場所にあり、周辺にはツルハドラッグやビッグハウス、ニトリ、長崎屋、イトーヨーカドー、渡島支庁などがあるエリア。
函館市内でも有数の交通量を誇る道路沿いの約1800m2の敷地の一部を利用。バス停留所もある土地価格の高い場所だが認知度を高めるためにあえて立地にこだわった。
5社5棟をオープン!
モデルハウスを出展するのは渋谷建設(株)、(株)マルサ佐藤建設、(株)ハウザー、(株)葛西建設、(有)ノースランドホーム(山野内建設)の5社。
プランニングにあたっては、各社各様のモデルハウスを出展する一方、建築位置指定線・壁面線や植栽、屋根は5寸勾配で切妻とするなどデザインコードの統一や全棟オール電化住宅、北方型住宅認定を受けることなどの条件を設定し、「サスティナブル」「街並み」「高性能」など統一メッセージを発信する。
工務店グループが「競合」を覚悟で協力しあうため、各社の担当者が自社以外のモデルハウスをエンドユーザーに案内しながら営業することをお互いに認める方針。また各社が共同で宣伝・イベント開催などを行い、地域への発信力・信頼感を高める計画だ。
決起大会に約100名
1月13日、北斗市総合文化センター「かなでーる」で、このプロジェクトに関する構想発表会が開催された。当日はイーハウジングのメンバーに加え、取引関係のある専門工事業者から約100名が出席した。
基調講演では当社編集長白井康永が、道南の主要2市での5年間の持家着工戸数が5割近く減少していると述べたうえで「近年は性能訴求型のメッセージがエンドユーザーに届かない状況だ。パターン化した工法・デザインを訴求するタイプの住宅会社の倒産も目立っている。非現実的な暖房費の削減量をうたった信頼性の低い効能訴求型メッセージもあふれている中で集客手法の見直しが不可欠」と述べたうえで、協力業者も含めた今回の取り組みにエールを送った。
同会会長の渋谷旭氏(渋谷建設社長)は「地場工務店は今こそ生き残りをかけたチャレンジが必要。力を合わせて展示場で集客しメッセージを発信する。協力業者の皆さんとも一緒に生き残れるようにお互いに力を合わせたい」と述べた。
副会長の川村伸之氏(ハウザー社長)は「追分サスティナブルビレッジは650組が来場し22棟の受注に結びついている。我々は5年間で114回の正式な会議を開催した団結力の強いグループ。各社の年間受注の半分以上がグループの活動経由で実現でき、グループ全体では、函館ナンバーワンの住宅受注ができる日も近いと思う。そのためには消費者に知っていただくこと、そして地元工務店ならではの圧倒的な商品力が必要だ。コストダウンの手法を見出した協力会社との間で、建材・工事の一括発注を行い、大手ハウスメーカーに負けない価格競争力も付けていきたい」と強調した。
なお、詳細に関しては今後も本紙およびイーハウジング函館のホームページで紹介の予定。
(写真上...約100名が参加した決起大会の会場 写真下...「工務店と協力会社が連携した生き残りを実現する」と強調する渋谷会長)
2009年01月15日号から
暖房費のジェットコースター
08年は急激なエネルギー価格の高騰のあと、反転して急激な下落があり、灯油はピークで8月にリッター135円を記録したあと、暮れには60円台に下落した。北海道や東北といった寒冷地では、住宅で使うエネルギーの半分以上を暖房が占める。こういったエネルギー価格の乱高下になるべく影響されない安定した家計を実現するために、どのような手法が必要になるだろうか。
石油製品乱高下の果てに
灯油価格は06年からリッター80円前後で推移し、07年の年末に一気に100円前後に上昇。その後さらにピークまで駆け上る。
灯油がリッター80円になると電気熱源のほうが割安感が出て、オール電化が進んだ。さらに100円になると、「もう灯油暖房の時代は来ない」と考える関係者が多くなっていた。
住宅のセールストークには「光熱費を○○万円削減」などの文字が躍り、省エネ性能がウリの1つになった。
ところが昨年8月後半から価格は急落する。12月には60円台まで下がり、今年1月以降、電気料金の値上げが決まっていたこともあり「やっぱり灯油が割安」という話も出てきた。灯油ピーク時期がいわゆる非需要期だったこともあり、サイフはさほど痛まなかったともいわれている。
高騰と急落を経験して09年以降、良識的な住宅会社はどのような提案をするといいのだろうか。
円高と世界的な需要後退で原油は急落したものの、エネルギー価格は長期的に高値が続くといわれている。しかし現状はむしろ安い。今は灯油が安くても、また高騰する可能性を含んでいる。
目標水準は1.3~1.0W
現状では『安いから灯油(電気)』という勧め方はできない。家計の安定を第一に考えれば、価格が乱高下しにくいのは電気と都市ガス、灯油は多少なりとも買いだめができる市況製品であり、住宅の省エネ化によって高騰時の出費増大を抑えた上で採用する方法がある。
次に、暖房費を抑えるためには家を小さくする、断熱性能を上げる、高効率機器を採用する―といった手法があるが、高効率機器の省エネ性が温暖地ほど上がらない寒冷地では、まずは断熱強化が必要になる。
グラフのように140m2の札幌の住宅で、灯油価格が82円台からピークまで上昇すると、約10万円の出費増になる。
こういった不安定さを抑えるのが断熱強化だ。断熱を強化しておけば、エネルギー価格が高騰しても出費を抑えることができるほか、快適性や環境親和を優先してやや割高なエネルギーを選んだときも、ランニングコストを抑えることができる。
北海道では現在、北方型住宅ECOレベルのQ値1.3W~1.0Wがひとつの目標水準となっている。この程度であれば大幅な工法改良やコストアップなしに達成できることを、北方型住宅ECOモデル事業で多くの住宅会社が実感した意味は大きい。
今後はこのレベルが北海道の標準になる日が来るだろう。そのときまではエンドユーザーに推奨高断熱レベルとして提案し、その効果を説明して理解を得る必要がある。
2008年12月05日号から
省エネ政策まとまる
09年度以降 全体の水準底上げ
住宅省エネ基準と住宅性能表示制度評価方法基準の改正案、そして年間150戸以上の建売住宅を建設する業者を対象とした住宅事業建築主の判断の基準案(トップランナー基準案)が相次いで国土交通省から発表された。今後のシナリオとして、トップランナー基準案を元にした省エネラベリング制度の導入などが考えられそうだ。

気密省き断熱に特化
このほど国交省から発表されたのは、1.住宅省エネ基準の「建築主の判断基準」と「設計・施工の指針」の改正案、2.品確法に基づく「住宅性能表示制度評価方法基準」の改正案、3.新設された建売住宅業者対象の「住宅事業建築主の判断の基準案」の3つ。いずれも政府案であり、パブリックコメントを募集中で、内容が変わる可能性もある。
1.の住宅省エネ基準改正案については、一般に次世代省エネ基準と呼ばれている平成11年基準から各地域ともQ値に変更はなく、気密性能(相当隙間面積)、気密層施工、暖冷房、換気量などの基準が削除され、断熱性能と省エネ性能(暖冷房負荷)だけを規定する案となっている。
もちろん、断熱材本来の性能を発揮させるためには壁内結露を防ぐ防湿・気密層の施工や気流止めが欠かせない。壁体内結露対策に関しては2.の性能表示評価方法基準案の中の省エネルギー対策等級で新たな項目が追加・拡充されており、決して気密化はやらなくていいという話ではない。
3.は年間150戸以上の建売住宅を建設する業者を対象としたトップランナー基準案で、断熱性能と設備機器の効率を総合的に評価する。2013年を目標年度に、平成11年基準を満たす躯体に現時点での一般的な設備機器を設置した住宅と比べ、一次エネルギーで10%削減できる省エネ性能の達成状況を報告するよう定めている。もし、この水準に満たない場合、省エネ性能向上の勧告や業者名公表、罰則といった措置が取られることもある。
まず11年基準クリア
単にこれらの基準案を見ただけでは、住宅省エネ基準はむしろ後退、性能表示は任意、トップランナー基準は一定規模の建売業者対象ということで、多くの住宅会社には「関係ない」と思える。
ただ、道立北方建築総合研究所環境科学部主任研究員の鈴木大隆氏は「地球環境のためには、まずすべての住宅の断熱水準をボトムアップすることが急務。その時に達成してほしい最低水準は平成11年の住宅省エネ基準であり、今回はその普及を図るための改定。そして事業主基準(トップランナー基準)は将来の住宅省エネ基準の一つのひな形になっていくだろう」と話している。
住宅分野での省エネ化・CO2削減を進めて行くためには、注文住宅など業界の一部だけでなく、全体の断熱水準を上げることが必要。そのためにはボトム対策として断熱化が遅れていると言われる建売住宅や賃貸アパートなど小規模な集合住宅の断熱性能をいかに上げるかがカギになる。
そこで国交省ではボトム対策として、トップランナー基準を含む改正省エネ法によって、建売住宅と小規模な集合住宅を、それぞれ省エネ規制のアミにかけると同時に、トップランナー基準と省エネラベリング制度の連動などを考えているようだ。
具体的には、改正省エネ法で新たに平成22年4月から300m2以上2000m2未満の住宅・建築物にも省エネ措置の届出を義務付けることによって、等級 3(平成4年基準相当)にも及ばないと言われている多くの小規模集合住宅の省エネ性能引き上げを図る。そしてさらに改正省エネ法に追加されたトップランナー基準により、2013年度までアパートと同様に高断熱化が遅れている建売住宅の省エネ水準を高める考えだ。
ラベリング制度は中小に追い風
一方、省エネラベリング制度は、家電製品でおなじみのもので、国が定めた省エネ目標値=トップランナー基準を達成しているかどうか、達成率はどのくらいかなどを表示したラベルを製品に貼付する仕組み。
住宅版の省エネラベリング制度は、建売だけでなく注文住宅なども対象にしてトップランナー基準を運用することが考えられる。このかたちで始まると、今まで省エネに熱心に取り組んできた中小の住宅会社にとっても追い風となりそうだ。
TR(トップランナー)基準は高水準
今回発表されたトップランナー基準案を見ると、達成するのはそう簡単ではない。基準で使われる一次エネルギー消費量は地域ごとに躯体の断熱性能と、暖冷房、給湯、照明、換気との組み合わせで計算するようになっており、仮に高効率設備を使わない場合、Q値は熱交換換気を含まずにⅠ・Ⅱ地域で1.4W、Ⅲ~Ⅴ地域で1.9Wなどとする必要がある。
なお、同基準では北海道を道北・道東中心のⅠa地域と、道央・道南中心のⅠb地域に分けているが、国交省のホームページに掲載されている断熱と高効率設備の組み合わせから判断すると、例えばⅠa地域では標準プランをもとに一定の条件で算出した一次エネルギー消費量の基準値に対し、断熱性能が平成11年の住宅省エネ基準以上であれば熱交換換気との組み合わせで基準相当の性能レベルになる。
一次エネ消費量は熱源・設備で一変
ただしこれらの例は石油を暖房・給湯熱源に使った場合。Ⅰa地域で給湯の一次エネ消費量は、石油・ガス熱源の従来型給湯機に対し、電気熱源のヒートポンプ式電気温水器だと若干少なくなるが、ヒーター式電気温水器では2倍以上に増加する(いずれも節湯機器、太陽熱温水器ともに無い場合)。これは暖房も同じ傾向で、生だきのオール電化住宅にとっては厳しい条件となる。
北総研・鈴木氏は「一次エネルギーで10%削減は決して低い目標ではなく、例えば断熱と設備の組み合わせなら平成11年の住宅省エネ基準(等級4)レベルの断熱とし、高効率給湯・節湯機器の導入、または地域によるが熱交換換気の導入など。断熱だけでクリアしようとすれば北海道ではQ値1・4W、本州なら同 1・9Wの断熱を行う必要がある。いずれにしても相当高いハードルだが、住宅の省エネ化を本当に実現していくためには、今後こういう考え方をトップランナー基準適用対象外の住宅会社にも認識してもらうことが重要になる」と話している。
2008年11月15日号から
ドイツの環境政策 フライブルク・村上氏が講演
7割省エネを達成
ドイツ・フライブルク市に住む環境ジャーナリストの村上敦氏を招いて7日夜、札幌市立大学サテライトキャンパスで環境を考えるセミナーが開かれた。
環境政策で世界をけん引するドイツにあって「環境首都」と呼ばれる同市は、早くから環境政策を推進。1995年から計画が始まり昨年に工事が完了したヴォーヴァン地区は既存住宅地に比べ使用エネルギーを7割削減した省エネで快適な団地として有名だ。
村上氏は同市とヴォーヴァン地区について、環境政策の概要を2時間あまりにわたって説明、集まった60名近くの市民、建築家、学生らは最後まで熱心に耳を傾けた。
同市は1992年比で2010年に交通や電気・熱などエネルギー使用を25%削減する目標を立てたが、2006年現在で7%しか減っておらず目標を修正。達成年度を2030年とした上で目標を40%削減に上積みした。
この目標を達成するためには、『節電・節約』の取り組みではとうてい足りない。エネルギーを7割削減したヴォーヴァン地区はそのためのリーディングケースであり、窮屈な生活を強いることなく目標を達成するための方法として国内外から視察が相次いでいる。
CO2削減のための費用対効果を見ると、最も割安なのが省エネルギー、次いで高効率化。ソーラー発電などの自然エネルギーは費用が高い。コストの安い方法から取り組もうとすると、既存住宅の断熱改修(省エネ)のほか、発電の効率改善のためにコージェネの導入、バイオマス燃料の利用、これらによって排出される熱を地域暖房に利用する方法が効果的だ。
また、交通の面では、チョイノリや通勤に自家用車より電車や自転車を使いたくなる仕組みを作り、無理なく輸送エネルギーを削減している。
財政難だからこそ実現した
住宅単体としては、地区内すべてが集合住宅で、技術としては、エクステンシブ屋上緑化と呼ばれる軽量・ローコストの屋根緑化、フジ(南側)やツタ(北側)を活用した壁面緑化、パッシブソーラー技術と高断熱化など、ローテクの集合体だ。
質疑応答の中で村上氏は、「フライブルクは夕張市一歩手前の貧乏市であり、コストの制約は大きい。その中でどう合理的で環境に優しいまちづくりを進めるかということを考えてきた歴史がある」と説明した。



