新聞記事

2014年09月15日号から

札幌・奥野工務店 減築とフルリフォームを同時提案 広すぎる3階建て2世帯

 (株)奥野工務店(札幌市、奥野智史社長)では、オーナーのライフスタイルの変化に対応し、減築を行いつつ新築並みの断熱・気密施工で築25年程度の住宅をフルリフォーム。経済産業省の補助事業を利用することで断熱施工にかかるコストも抑えた。
 物件は札幌市内の1階RC、2・3階木造の3階建てで、施工前の延床面積は約52坪。当初はキッチンと浴室が2つある2世帯住宅として建設され、その後オーナー夫婦と子供1人の3人暮らしとなったが、子供が近い将来に独立するため、一部の部屋が必要なくなること、室内の寒さが気になること、高齢の夫婦2人暮らしになった時に備えて、敷居など段差を解消したかったことなどを理由にリフォームを検討。オーナーから相談を受けた同社では、躯体は基礎を含めてしっかりしていたことから、使わない部屋を減築してフルリフォームする提案を行った。
20140915_1_1.jpg 同社はオーナーの経済的負担を抑えるため、当初は最大50万円の補助を受けられる札幌市のエコリフォーム補助へ申請を検討していたが、補助額が最大150万円で、申請もやりやすいことから、経済産業省の「既築住宅・建築物における高性能建材導入促進事業」を利用。断熱材と窓の材料・工事費のうち、70万円を補助でまかなっている。
 躯体は約6坪の減築を行うにあたって、1階のRC壁や2・3階の柱を新設したり、小屋組みを新たに造り直したほかは、既存のRC壁と軸組をそのまま流用。
 断熱仕様を見ると、リフォーム前より一次エネルギー消費量を15%以上削減という経産省補助事業の要件を満たすため、外壁は軸間に充てんされていたグラスウール10K100mmと、付加断熱の押出スチレンフォーム20mmを、それぞれ高性能16K品とB3種品に交換。床は土台間にグラスウール10K100mmのみ施工されていたが、高性能品16K100mmに入れ換えると同時に、根太間にはグラスウールボード32K45mmを納めた。天井はブローイング300mmを吹込み、窓は樹脂サッシ・アルゴンガス入りLow-Eペアガラスに交換している。
 気密施工は新築と同様に行ったが、胴差し回りは先張りシートと同じサイズにカットしたポリフィルムを胴差回りにタッカーで留め、梁が当たる部分はY字に切込みを入れて落とし込んでから、梁回りをテープ処理する"先張りシートの後張り"を行った。
 同社の奥野社長は「仮に建て替えるとなると、混構造なので解体にもコストがかかり、フルリフォームより1千万円は多くかかったと思う。経産省の補助は申請手続き・要件ともに取り組みやすく、断熱にかかるコストが浮いた分、設備などのグレードアップが可能になったので、お客様の満足度も高めることができた。来年度も物件に応じて利用していきたい」と話している。


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