新聞記事

2014年07月29日

9月2日札幌, 4日帯広 断熱化と設備の選択セミナー

seminar_omote_ol.jpg 北海道住宅新聞社は、9月2日(火)札幌、4日(木)帯広で「省エネ住宅・設備セミナー 断熱化と設備の選択」を開催する。

 住宅に使う熱エネルギーをどうしたら良いか、多くのビルダーが迷っている。全エネルギーの6割を暖房に消費する北海道で、断熱のレベルとエネルギーの選択をどうしていけばいいのか。この大きなテーマについて、建築家・山本亜耕氏が『北海道のこれからの断熱』と題し、これまでの設計例を紹介しながら、住宅省エネと断熱のチカラを会場といっしょに考える。

 また、各種エネルギーコストのこれまでの推移や、昨年発売されてこの冬測定を行った暖房用エコフィールの性能評価の結果も紹介する。

 講師は、山本亜耕建築設計事務所山本亜耕氏、(一社)日本ガス石油機器工業会鈴木亨氏、藤原環境科学研究所藤原陽三氏。
 エコフィール取扱いメーカーの最新型主力機器も展示される。
 セミナーは、石油連盟北海道石油システムセンターとの共催。長府製作所、サンポット、コロナ、ノーリツの協賛。

 会場は、札幌(9月2日)がかでる2.7・820会議室(札幌市中央区北2条西7丁目)、定員100名。帯広(9月4日)がホテル日航ノースランド帯広・ノースランドホール(帯広市西2条南13丁目1)、定員50名。
 時間は、両会場とも13時~15時30分。参加無料。

申し込みは、以下の申込書をダウンロードしてお申し込みください。
0902-04seminar.pdf

 問い合わせは電話011-736-9811、担当・本紙白井。


2014年07月27日

7月29日札幌 サーモカメラを使った雨もり、断熱診断など

日本住環境など3社コラボセミナー

日本住環境(株)札幌支店は、7月29日(火)午後1時~5時まで、赤外線カメラを使った建物診断や防水・気密事故を防ぐ施工法についてのセミナーを開催する。
テーマは「赤外線サーモグラフィによる建物・外壁診断・雨もり診断」(街と暮らし環境再生機構中島俊一常務理事)、「現場生産性と施工品質が向上する目視録」(エーエスディ内山岳彦社長)、「気密性能相当隙間面積0.3cm2/m2以下の安定化に向けて」(日本住環境北村忠男常務)。
断熱改修や雨もり診断でのサーモカメラの活用や、スマホ・タブレットを活用した現場報告で生産効率を上げた事例を紹介するほか、気密・防水工法と資材を紹介する。
会場は、TKP札幌ビジネスセンター赤レンガ前(札幌市中央区北4条西6丁目1 毎日札幌会館5F)。

申し込みは、社名、出席者名、電話番号を明記の上、同社札幌支店へ。
fax:011-222-6386。


2014年07月25日号から

欠陥住宅訴訟から学ぶ トラブルを避ける3つのポイント

 建物が傾いたなどの被害がないのに賠償命令、築後10年を経過しても欠陥に対して責任を負うなど、最近の住宅関連訴訟の傾向は大きな変化を見せている。一方で、建築側が被害者となるモンスタークレーマーも増えている。トラブルを避けるために必要な3つのポイントを探った。

瑕疵に対する責任は10年で終わらない

140725-1men.jpg 住宅の欠陥・瑕疵を争点とする住宅関連訴訟は、医療訴訟と並んで勝訴が難しい専門訴訟と言われてきた。構造や設計、積算などに関する専門的知見が必要になる一方、請負などの契約で交わされた性能レベルがいわばあいまいであるため、、原告側が住宅会社の過失や損害を立証することが非常に困難だからだ。しかもかつては判決まで平均10年程度かかるなど、長期化が避けられなかった。ユーザーの精神的・経済的な負担は大きく、訴訟を起こすこと自体、相当な覚悟が必要だった。
 その流れが変わったのは、(一社)日本建築学会による2000年の司法支援建築会議設立からだと言われている。同会議は最高裁判所の要請によって設立したもので、建築の専門家が建築紛争の調停・鑑定に協力。紛争解決の早期化に貢献してきた。
 国は消費者保護の観点から、2000年には秋田の第3セクターが千葉で分譲した欠陥住宅の問題、いわゆる秋住事件をきっかけとして、10年間の瑕疵保証を義務付けた品確法を施行。2009年には姉歯事件をきっかけに瑕疵保険加入を義務付けた。欠陥住宅訴訟でも、業者側の瑕疵担保責任で建替費用相当額の賠償を認めた2002年の判例や、建築士の名義貸しを行った建築士の賠償責任を認めた2003年の判例など、消費者に有利となる先例的な判決も目に付くようになったと言われ、最近では札幌で建物の揺れなどを理由に建替費用を設計事務所に請求した裁判で、建て主が全面勝訴する例も出てきている。
 ただ、それでも瑕疵保証が10年間義務化された対象は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分のみで、スガモリは雨漏りとして保証対象に含まれると判断されているが、道内の住宅トラブルで多いとされる落雪や結露などは対象外。万が一、構造・防水に瑕疵があっても、引き渡し後10年を過ぎれば、住宅会社の補修責任はなくなると考えられていた。

損害なしでも不法行為が問われる

 ところが、ここにきて状況はさらに大きく変わってきている。
続きは、以下のページから伝言欄に「7月25日号の見本も希望」とご記入の上、試読紙をお申し込みください
https://www.iesu.co.jp/publication/newspaper/


2014年07月25日号から

長野県 「見える化」で省エネ推進 住宅購入時に省エネ性能の説明義務化

20140725_2_1.jpg 長野県は、住宅の省エネルギー化を誘導する画期的な制度を開始した。
住宅・建築物の新築や増改築を行う場合、施工業者にCASBEEやQPexなどで評価した環境性能の説明を義務付けた「建築物環境エネルギー性能検討制度」と、同じく施工業者に自然エネルギー利用設備の導入効果について説明を義務付けた「自然エネルギー導入検討制度」を、同県の地球温暖化対策条例に盛り込み、今年4月から施行。現在は床面積300m2以上の建物が対象で、戸建住宅など同300m2未満の建物も来年4月から対象になる。

 同県では、2006年3月に制定した地球温暖化対策条例を昨年3月に大幅改正。県民が住宅・建築物を新築・増改築する時に、より省エネルギー性の高い建物を選択できるようにするためには、省エネ性能の「見える化」が必要と判断し、新たな2つの制度を導入した。一次エネルギー消費量や、灯油や電気といった二次エネルギーの消費量などを設計が終わった段階でユーザーに示すことで、省エネについて考える機会を着工前にユーザーに与え、省エネ化を誘導しようという狙いだ。

 「建築物環境エネルギー性能検討制度」は、住宅の設計・施工の請負や販売を行う事業者が、建物のエネルギー消費量やCO2排出量、環境配慮措置などについて評価した結果を、ユーザーやオーナーなどの建築主にわかりやすく説明することを義務付けている。評価にあたっては、国の環境性能評価システム・CASBEE、NPO新住協のQPex、(一社)エネルギーパス協会の燃費表示・エネルギーパス、改正省エネ基準(H25基準)の一次エネルギー消費量計算プログラムのいずれかを利用。クリアしなければならない性能水準等は特に設けていない。
 「自然エネルギー導入検討制度」は、建設地の気候風土や建物の規模に応じて、どのような自然エネルギー設備を採用すると効果的か、採用による費用対効果はどのくらいなのかを、建築主に説明することを義務付けている。最終的に自然エネルギー利用設備を採用するかどうかは、建築主の判断となる。

 この2つの制度について、長野の住宅関連業者の反応は「余計なことをしてくれる」と後ろ向きな設計事務所がある一方、「条例によって各社の住宅の性能を同じ土俵で比較できるようになるのは、お客様にとってメリットのあることだと思う。特に省エネ化を進めるうえで最も大切な断熱性能に関心を持ってもらえれば」(北信商建・相澤英晴社長)と、前向きに捉える住宅会社もある。「見える化」が義務になるだけに、300m2未満の物件でも制度が始まる来年4月へ向けて、これから関心が高まりそうだ。

 同県建設部建築住宅課は「この2つの制度は、施工業者側からより高い省エネ性能を持つ住宅・建築物の建設を、県民に促すことが狙いの一つ。これらの制度について、施工業者向けには昨年度18回の講習を行い、延べ900名を超える受講者を数えたが、今後は一般県民への制度周知にも力を入れていきたい」と話している。

[画像] 長野県が目指す住宅のイメージ(長野県環境エネルギー戦略の資料)


2014年07月25日号から

その場で燃費計算できる 営業マンを育成

高性能を燃費保証で見える化2 室蘭・住まいのウチイケ

 
「今後は絶対必要」と社長が即断
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内池秀光社長

 住まいのウチイケでは、14 年前に建てたモデルハウス兼事務所に、付加断熱や木製トリプルサッシを採用。「いろんな面で差別化を図っているが、重要視しているのは断熱と暖房」という性能志向の強いビルダーだ。現在の外壁断熱性能は高性能グラスウール230㎜相当で、窓はエクセルシャノンのトリプルガラス入り樹脂サッシ、そして低炭素住宅が標準仕様だ。「ウチイケさんで家を建てたら、暖房費が半分に減った」とOB 客に感謝されるなど、性能には自信があった。
 ところが、外壁200㎜断熱など高性能をうたう住宅が他社でも建てられるようになり、圧倒的な差をつけるのが難しくなってきた。また、見込み客に「暖かくて暖房費も安い」とアピールしても、北海道では高断熱・高気密住宅は当たり前と思っている客層も多い。「地元ビルダーが『我が社が一番』とアピールし合う中、どう差別化するか悩んでいましたが、わかりやすいのは数字で見える化すること。その時知ったのが栃木・島野工務店さんの燃費保証でした」と内池社長。
 この考え方を知ってすぐに、燃費保証住宅に取り組むことを決め、さっそく地元フリーペーパーに「暖房費負担します」と大きく書いた広告を掲載した。

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今年1月に掲載したフリーペーパーの広告

 
 反響は大きく、手応えを感じた。一方で突っ走る社長の姿に、社員は戸惑った。営業担当の成田智明さんは、「自分たちで燃費計算できるのか」と不安に思ったという。
 内池社長は、「お客さまと打ち合わせの時にその場で燃費計算ができる営業マンなら差別化できる。これからは絶対必要になる。まずは宣言してしまおうと始めました」と苦笑する。ちょうど、新しい燃費計算ソフトを入手し、その使い方をマスターしようかと言っていた矢先だった。成田さんは「最初は2時間かかったが、今は10 分もあれば燃費計算できる」と胸を張る。
 
 
年間の暖房費相当分を前渡し
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暖房費負担サービス第1号の住宅外観

 
 同社では、引き渡し後1年目は燃費計算ソフトで計算した年間の暖房費相当分を引き渡し時に「当社が負担する暖房費です」と、お客さまに渡す。今年2月から試験的に開始し、今後建築する住宅は全て保証する。
 暖房費負担第1号のお客さまとなったのは室蘭市内の佐藤邸。昨年暮れに契約しており、契約後に住まいのウチイケから暖房費負担の話をした。2階建で延床面積は約32 坪。断熱性能は同社の標準仕様で、暖房と換気は、日本スティーベルの熱交換換気に空気熱ヒートポンプを組み合わせ、各部屋の給気ダクトからヒーポンで暖められた新鮮空気が供給される換気暖房システムにグレードアップしている。同社が計算した暖房費は、年間約7万5000 円。
 佐藤さんは「暖房費が高いために暖房を我慢して厚着で過ごすような生活はしたくない」と言い、冬が来るのを楽しみにしている。
 今回の取り組みは、北海道新聞からも取材を受け、「暖房費『1年分負担』」と大きな見出しで全道版に掲載された。反響も大きく、問い合わせがかなりあったという。
 
 
「省エネ行動につながる可能性も」 北大 羽山教授
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佐藤邸で測定機器を置く羽山教授

 北海道大学大学院羽山広文教授は、栃木県の島野工務店が4年前から実施している「1年目は光熱費全額負担、2、3年目は光熱費の試算値から超過しても節約してもその差額を払う」という独自のインセンティブ(報酬)を付与した高断熱・高気密住宅に注目し、それが住まい手の省エネ行動やエネルギー消費の抑制にどう役立っているかを実証研究している。道内の住宅も研究対象に入れることで、栃木県と北海道の消費者の行動の差異も比較する。
 同社もこの研究に協力しており、羽山教授の研究成果を見ながら2年目、3年目の保証についても今後検討する。佐藤邸も測定を開始した。
 
 


2014年07月15日号から

木造3階や長期優良に対応 ビス止めホールダウンに新製品

 ビス止めタイプのホールダウン金物は、従来のZ金物に比べてコンパクトで施工性が良いため普及した。
 一方で、木造3階建ての隅柱や、2階建てでも長期優良住宅に対応する耐震等級2や3の住宅では、強い引き抜き耐力が求められる。
 今回、タナカとカネシンから40kNを超える柱の引き抜き力に対応した新製品が発売され、ホールダウン金物の2枚使いなどで対応していた現場も、1枚の金物で済むため、施工性が向上し、納まりも良くなる。

25kN並み寸法で43kNも タナカ

20140715_1_2.jpg タナカは、このほど「ビスどめホールダウンHi28」と「同Hi43」を発売した。(一財)建材試験センターによる性能適合品で、短期基準接合引張耐力はHi28が28.2kN、Hi43が43.7kN。
 同社のこれまでのラインナップでは最高35kNだったため、HD金物の2枚使いで対応してきたが、納まりや施工性の改良を望む声が出ていた。
 ビスどめホールダウンHiシリーズは高耐力鋼板を採用し、幅45㎜、高さ249㎜(Hi43)、同149㎜(Hi28)と小型で強い引き抜き耐力を実現。Hi43の寸法は、同社の「ビスどめホールダウンU 25kN」とほぼ同等。
 ボルト用ホールはクリアランスを設け、アンカーボルト取り付け位置の微調整が可能。従来品よりもビス本数を減らし、施工性を向上させた。平ワッシャーは使わず、専用角ビットビスのみで施工可能。環境面では、クロムフリー対応商品となっている。
 価格は、Hi43が1000円(税別、専用ビス付)、Hi28が600円(同)。

2サイズで40kNまで対応 カネシン

20140715_1_1.jpg カネシンは、「プルースホールダウン25/同40」を今月から発売した。ハウスプラス確認検査による短期基準接合引張耐力は25.3kN(プルースホールダウン25)、40.3kN(同40)。
 同社はこれまで「ハイパーホールダウン23/同33」を発売していたが、2種類のホールダウン金物でなるべく幅広い耐力をカバーするためプルースホールダウンを開発した。
 同製品は、専用ビスYPR-85で施工する。同社が発売する10kN以上のL型金物用ビスと同じため、現場で同社金物を混在して使用する場合、ビスの取付間違いを防げる。本体、ビス、専用座金とも、クロムフリーの高耐食表面処理「プロイス」を採用。
 寸法は、幅13.2㎜×高さ150㎜(プルースホールダウン25)、幅41.6㎜×高さ237㎜(同40)。価格は、プルースホールダウン25が600円(税別、専用ビス、専用座金同梱)、同40が900円(同)。

[写真]
上:タナカのビスどめホールダウンHi43
下:カネシンのプルースホールダウン


2014年07月15日号から

新連載・東北走り描き 1

 サインペンと画用紙を手に、日々東北・北海道を走る中島信哉さん。建材販売のかたわら、画家や音楽家としても異彩を放つ同氏が、月1回の連載で東北のユニークな人・会社を描く。
 初回は、自己紹介を兼ねて6月の2日間を描いた。

仕事づくり、フラワーショップとともに

20140715_2_2.jpg 6月7日?、岩手県盛岡市の左官材料販売店・合資会社小原商店さんの展示即売会がありました。年に1回、40年ほど前から続いているそう。社長は3代目です。自分は初参加でしたが、10年以上続けて出展している常連担当者も。
 即売会とはいうものの、ガツガツと売ってやろうという雰囲気ではなく、盛岡の老舗そば屋さんの仕出しや、焼き鳥(うまかったなぁ)コーナーもあり、終始なごやかムード。朝からにぎわう場内には、もう引退されたかというご年配の方もいれば、熱心にコテなどを品定めする若い職人さんも大勢いました。
 なじみの職人さんたちとのつながりを大切にする小原社長は、地元の異業種と組んで左官の仕事づくりにも取り組んでいます。展示会にも、盛岡の人気フラワーショップで外構工事も手がける「time flow」さんが出展。左官に「花」を添えながら、エクステリアからインテリアまでトータルで提案するビジネスを模索しています。

経営もマラソンもリラックス!?

20140715_2_1.jpg 翌8日は「岩手銀河チャレンジマラソン100㎞の部に出場。友人から誘われ震災があった2011年から走り始め、以来3回のフルマラソン経験はあるものの、ウルトラマラソンは初めてでした。記録13時間54分でなんとか完走。長い距離を走り終えて感じたのは、「リラックス」が大切だということ。余計な力を入れずスピードも気にせず淡々と走るとゴールが見えてくる。長い上り坂もだらだら歩かず、ときどきピッチを上げて小走りしたり、給水所ではボランティアの人たちとたくさんしゃべったり、心も体もうまくチェンジオブペースができたのがよかったかもしれません。
 走り終わった後は、両足はパンパンに疲れましたが、上半身は不思議と走る前より軽く柔らかく、気分も爽快になっていました。
 長く続く会社は、心地よくリラックスした雰囲気があるものです。ゆったりとかまえながら、少しずつ新しいことを取り入れる小原商店さんの展示会は、ウルトラマラソンとも印象が重なりました。
 リボス自然塗料、天然スイス漆喰カルクウォールなどを扱う㈱イケダコーポレーションの営業として15年。仕事のかたわら始めたサインペン画やマラソンは、話題づくりにも役立っています。営業マンとして「健康」と「センスを磨くこと」は必須だと思うので(を言い訳に)、仕事も趣味も楽しんでいきたいと思います。次回は仙台から。

[写真]
小原商店の展示会と小原社長
中島信哉 100㎞マラソンにて


2014年07月15日号から

読者のつぶやき

空き家を利用できないか
オホーツク 住宅会社 社長

 このところ当社の営業地域では空き家がだんだん目立つようになってきました。空き家が増えるとその地域が活力を失ったように見えるので、何とかしたいと思うのですが、所有者がどこにいるのかわからないことも多く、役場でも悩みのタネのようです。空き家をリフォームしてU・Iターンの受け皿になる戸建て賃貸や、移住希望者向けの生活体験ハウスにするなど、使い道はいろいろあると思うのですが...。

難しい現場ほどやりがいがある
道央 工務店 部長

 先日まで施工していた民間企業の社屋は、形状が複雑で、内外装には自然素材を多用するという、現場管理者にとってはとても手がかかる物件。「こんな物件を手がけるチャンスはめったにない」と思い、毎日率先して現場に出て、大工や協力業者と一緒に汗を流しました。同業他社の知人からは「よくそんな物件受けたもんだ」と言われましたが、難しい現場ほどなぜかチャレンジしたくなる性分なんです。


2014年07月05日号から

全村避難の飯舘村、200mm断熱で復興住宅

 東京電力福島第1原発の事故によって全域が避難指示地域となっている福島県飯舘(いいたて)村は、福島市内に子育て世帯向けの復興村営住宅「飯野(いいの)町団地」を計画、9月入居に向けて工事を進めている。被災者向け住宅の先行事例であるとともに、これまでも断熱住宅を整備してきた飯舘村にとっても初めての200mm断熱の仕様が注目を集めている。

子育て世代の不便解消

 復興村営住宅「飯野(いいの)町団地」は、多くの村民が避難している福島県福島市の飯野町に計画された。飯舘村の全住民およそ5900人は、福島市など近隣市町に分散して避難し、中でも幼稚園児と小・中学生およそ370名は、スクールバスを使っても通園・通学に1時間以上もかかるなど、負担が大きかった。村は昨年まとめた復興計画の中で、これらの不便を解消する子育て拠点として、集会所と戸建て9戸、2戸1棟式14戸、合計23戸の飯野町団地の整備を盛り込んだ。

20140705_1_1.jpg 敷地は約8500㎡。プロポーザルによって採択された案は、中央の集会所とそれを囲むように住戸を配置し、ループ状の団地内道路から車を直接住戸に乗り入れられるよう駐車スペースを配置しながら、道路に走行速度を抑える工夫をした子育て世代に優しい配置計画。
 もうひとつの大きな特徴は、外壁200mmの超高断熱仕様だ。
 飯舘村では1998年の定住促進住宅から、快適で省エネな高断熱・高気密工法を採用してきた。今回はその延長線上にある。村は、年平均気温が10℃、冬の最低気温はマイナス10℃以下と北海道並みに寒く、旧省エネ地域区分ではⅡ地域。一方、建設地はそこまでの寒さではない3地域だが、やはり寒い。村の考え方として、快適で省エネな住環境を提供したいという思いと同時に、村外に整備する住宅なので、将来的にどこかに譲渡することになったときにも価値のある建築を造りたいという思いが重なった。

施工者研修会も開く

 主な断熱仕様は、外壁と屋根が高性能グラスウール16K200mm、基礎が外部押出スチレンフォームB3種100mm、土間下同30mm。開口部は樹脂サッシLow-Eペア、断熱ブラインドつきなど。熱損失係数は1.2W程度となる。
 設計・監理は(株)邑建築事務所(福島県いわき市)、施工は(株)英工務店(福島県飯舘村)で、気密工事を経験している大工が少なかったため、邑建築事務所が加盟するNPO新住協が主催して施工者向けの研修会を開くなど、支援も得られた。現在、大工工事が終盤を迎え、外構が始まっている。被災者向け住宅としては他地域に先行しており、超高断熱仕様という技術面からも注目が集まっている。
 設計・監理する邑建築事務所陽田秀夫所長は「これまでもずっと高断熱・高気密でやってきた飯舘村にとって、今回の提案はさらに省エネを目指すための自然な流れだった。人手不足の中、現場指導はたいへんだったが、『何のために気密シートを張るのか』を理解してもらってからでないと工事はうまく進まない。研修会などがとても効果的だった」と振り返る。
 また、村建設管理係高橋係長は「飯野町団地ができると、車利用で幼稚園の通園が5分、中学は3分、小学校でも20分となり、負担が大幅に軽減される。快適で省エネな住宅で子育て環境も改善されるはず」と語る。同村は今後、村内でも木造2階建て程度の村営住宅を計画している。
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2014年07月05日号から

木製床ガラリに300サイズ 根太工法や狭いスペースに対応

日本住環境 ☎011-222-6330
20140705_2_1.jpg 日本住環境㈱は、木製床ガラリ「フロアスリッター」にこれまでの長さ600㎜サイズに加えて300㎜サイズを追加、それぞれ「フロアスリッター600」「フロアスリッター300」として発売した。
 フロアスリッターは、基礎断熱住宅で室内と床下空間との通気を確保し、床下放熱器からの暖気を室内に導入する木製床ガラリ。パッシブ換気では、2階の床にも使用する。
 無垢オーク材を使用しており、他素材の製品と比べて足触りが良く、現場塗装することで木質系床材とデザイン・色味を合わせやすい。コストも製作するよりも手軽と好評を得ている。
 これまで長さ600㎜サイズ1種類だったが、根太工法や、ユーティリティー、トイレなど狭いスペースでバランスの取れる大きさで使用したいという要望があり、今回300㎜サイズを商品化した。303㎜ピッチの根太工法でぴったり収まるサイズ。
 寸法は長さ316×幅100×厚さ15㎜。対応する床材は12㎜厚。オープン価格。無塗装で出荷する。有効開口面積は、最大58.8㎠。風量調整用パンチングメタル板と、がたつき調整用のパッキン材が付属する。
 今後も、ユーザーの意見を採り入れながら製品バリエーションの拡充を検討している。


【写真】
フロアスリッター300
 


2014年07月05日号から

読者のつぶやき

学習しない木材店
札幌市 木材店 営業課長

 半年前までは、資材がない、人手もない、現場が進まないとたいへんな状態でしたが、今現在、木材・合板ともだぶついています。こういう景気の節目が来ることはわかっていても、それまでがとにかく良かったもので、ついつい買い占めてしまって。気がついたら木材店はみんな同じことをやっていました。だから、だぶついています。ボクたち、学習しないですね(笑)。


ソーラー発電所を断念した理由
札幌市 工務店 社長

 太陽光発電の全量買取、自社もやりたくて事業計画を立てたのですが、収益に結びつかないという結論になりました。利益分が税金として持って行かれる計算になるのです。何度条件を変えて計算しても、やっぱりダメだったので、見送りました。認可件数のわりに稼働件数が少ないのは、収益性が低いからでしょう。もちろん、自分の試算以外の計算も成り立つと思いますが、収益性が低いことは間違いありません。

人手がやっぱり足りない
道央 工務店 社長

 春先には「思ったほどモノが動いていない」という話も聞いたことがありますが、当社の場合は人手が足りないために現場が進まなくて困っています。特にモデルハウスの建設は、お客さまの家が優先なので後回し。モデルは当社での施工経験がある外部大工に頼んでいたのですが、需要期になって別の現場に行ってしまい、工事が止まりました。どうにかならないものかと思います。


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