新聞記事

2014年05月05日号から

木造住宅の断熱性能を実測・評価 J建築システム「JJJ診断システム」試行販売開始

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20140505_1_2.jpg J建築システム(株)(本社札幌市、手塚純一社長)では、サーモカメラや各種センサーを利用して、木造住宅の断熱性能を実測・評価可能な「JJJR診断システム」を開発。このほど試行販売を開始した。雨漏りや結露、筋交いの有無など耐久性・耐震性のチェックも実施でき、主に目視のみで行う国土交通省の既存住宅インスペクションガイドラインを補完する役目も果たす。
 長期優良住宅化リフォームや中古住宅の評価改善指針、既存住宅インスペクションガイドラインを相次いで打ち出すなど、国の住宅政策は既存ストックの性能・品質の向上にシフトしつつあるが、一方で快適性・省エネ性を高める断熱改修は、断熱性能を実測・把握する方法がなく、改修後にどれだけ性能が向上したのかもわかりにくいという課題がある。
 そこで同社では、サーモカメラの熱画像や各種センサーのデータをもとに、木造住宅の断熱性能を診断・評価する手法を検証。東京大学生産技術研究所・加藤研究室と4年半にわたる共同研究を行い、環境省をはじめ、国土交通省や経済産業省の補助事業を利用して実用化。試行販売によってシステムの最終的な検証を7月までに終え、完成度を高めたうえで正式な商品化を目指す。

熱画像などからUA値や一次エネ消費量を算出

20140505_1_1.jpg 「JJJR診断システム」はサーモカメラ、2種類の専用ソフト、環境温度計および各種センサーで構成。専用ソフトをインストールしたパソコンに、サーモカメラや環境温度計、熱伝達率センサーなどを接続すると、測定している各断熱部位の熱貫流率(U値)がリアルタイムで算出・表示される。さらに間取りや仕様などを入力することで、住宅全体の①外皮平均熱貫流率(UA値)②平均日射取得率(ηA値)③一次エネルギー消費量を総合的に算出可能。
 これらのデータをもとに効果的な断熱改修プランを作成でき、暖冷房費削減のシミュレーションも行うことができる。また、報告書の形にまとめてユーザーへの提案に利用できるなど、営業ツールとして使えるのも大きな特徴。
 実測にかかる時間・手間、診断結果の精度によって①断熱チェック②SS断熱診断③ISO断熱診断の3種類の診断コースを用意。このうち時間と手間はかかるが、診断結果の精度は高いISO断熱診断は、国際標準規格(ISO)として共同研究者が認可を申請中。
 なお、同社では「JJJR診断システム」を公平性・正確性の高いシステムとして運用・普及するにあたり、正しいインスペクションの普及や、診断結果のチェック、診断士の育成・登録、システムのバージョンアップなどを円滑に行う「JJJサポートセンター」という協会の設立も検討。大学や研究機関、行政関係者などに参加を呼びかけている。
 システムのうち、サーモカメラはFLIR社製で一定性能を満たす製品であれば市販品を使用でき、同社でも特別仕様で販売(約55万円)。2種類の専用ソフトは約35万円で、このうち1種類は改正省エネ基準(H25年基準)や住宅性能表示、認定低炭素基準などにも対応。環境温度計・センサー等のパッケージは、約40万円以下の価格設定だが、さらに低価格化を図るという。
 試行販売の申し込み・問い合わせは同社技術部・二川次長へ。


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