新聞記事

2014年05月30日

6月28日 リンナイフェア@札幌

東大前准教授の講演も

リンナイ(株)北海道支店は、『ガスの炎で灯そう!快適な暮らしと明るい未来を!』をテーマに、6月28日(土)アクセスサッポロ(札幌市白石区流通センター4丁目)で「2014リンナイフェア」を開催する。

10時から16時の展示会に加え、別会場では午前の部と午後の部の2回、東京大学前真之准教授を迎えて『H25年省エネ基準で見える住まいとエネルギーの将来』をテーマに講演会を開催する。
展示会は、主に建築会社が対象。講演会場はアクセスサッポロ2Fで、午前の部は10時30分~12時、午後の部は13時30分~15時。いずれも定員90名で、事前に申し込みが必要。

申し込みは、会社名・連絡先と人数を明記の上、同社北海道支店へFAXする(011-251-4489)。問い合わせ電話は011-281-2506。


2014年05月25日号から

PM2.5と室内換気 健康への影響も心配

微小の粒子状物質・PM2.5が問題視されるようになって約1年半。健康への影響が心配され、換気メーカーも対応を進めてめている。

花粉より小さく、呼吸器系・循環器系に影響も

20140525_1_1.jpg PM2.5とは大気中に浮遊している非常に小さな粒子のことで、主にボイラーや焼却炉などのばい煙発生施設が排出源。家庭内の喫煙や調理、ストーブなどからも発生する。大きさは2.5mmの千分の1で、髪の毛の太さの30分の1程度。肺の奥深くまで入りやすいことから、肺ガンや呼吸器系・循環器系への影響が心配されている。
 国ではPM2.5の環境基準値を、1年の平均値で15マイクログラム/m3以下、かつ1日の平均値で35マイクログラム/m3以下と定めており、さらに「注意喚起のための暫定的な指針」では、健康への影響が心配される濃度基準を1日平均値で70マイクログラム/m3としている。同指針は法律に基づくものではないため強制力はないが、1時間あたり80?85マイクログラム/m3を超えた場合に、都道府県等が一般市民に対して不要不急な外出や、長時間の激しい運動を控えるよう注意を促すよう勧めており、道内ではPM2.5の測定局がある札幌や旭川、函館など7市で、必要に応じ市民に注意を行うこととなっている。
 日本でPM2.5が問題視されるようになったのは、中国の大気汚染が原因と言われている。中国でPM2.5などによる大規模な大気汚染が断続的に発生した昨年1月に、西日本で環境基準を超えるPM2.5が観測されたからだ。この時は消費者の健康被害に対する不安が増したのを背景に、近畿以西で空気清浄機の販売台数が急増。(一社)日本電機工業会の統計によると、同年1?3月の空気清浄機出荷台数は前年同期比3割増を記録した。

大陸からの飛来だけが原因ではない

 ただ、PM2.5は以前から日本でも常に大気中で観測されており、濃度は工場の排煙や自動車の排気ガスなどの影響も考えられるほか、気象条件によっても変動する。今年3月には室蘭で85マイクログラム/m3を超えるPM2.5が観測され、市が注意喚起を行ったが、原因はPM2.5の濃度が高い大気のかたまりが遠くから運ばれてきて市内を覆ったことと、地域の工場や家庭などから発生したPM2.5が、ほぼ無風状態だったために滞留したことの2つが重なったためだった。
 もっとも、高濃度になる原因にかかわらずPM2.5が、空気汚染物質として広く認知されるようになったのは確か。住宅会社もアレルギーやぜんそくを患っていたり、化学物質に過敏反応を起こすユーザーに対し、今のうちから対応策を準備をしておいたほうが良さそうだ。

外気フィルターで給気を浄化

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20140525_1_3.jpg これまで室内空気汚染の主な原因物質だった、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)。これらの物質の多くは住宅に使われる建材や家具などから放散されるため、VOCを放散しない、あるいはほとんど放散しない建材を選択し、換気をしっかり行うなど、2003年に施行されたシックハウス新法に則った対策を行うことで、健康リスクを低減することができた。
 しかし、PM2.5は屋外で発生し、大気中に浮遊しているため、PM2.5の濃度が高かった場合、換気によって室内空気質を悪化させてしまうことが考えられる。そこで対策としては、室内に外気を給気する時に、PM2.5を除去することが基本となり、換気メーカーでも昨年から今年にかけて、PM2.5を捕集するフィルターを用意する動きが加速している。
 例えば日本住環境とジェイベックでは、今年に入りそれぞれ自社の第3種換気システム用給気口に装着することで、PM2.5などの有害物質を軽減する高性能フィルターを発売開始。いずれも静電気の力を利用して、空気中の微粒子や花粉などを捕集する。
 第1種換気のメーカーも、パナソニックが昨年9月から熱交換ユニット本体の給気側に微粒子用フィルターを搭載した製品を販売開始したほか、LIXILも対応フィルターをオプションで用意した新製品を今年4月に発売。また、健康住宅を追求する工務店グループの「いやし健康増進住宅研究会」では、全国の会員に対し、高性能フィルターと抗酸化コート剤、床下活用の全熱交換型換気システムなどを組み合わせることで、PM2.5を原因とする大気汚染問題に対応した室内空気環境改善システム「きれいな空気の家『四季風』」の技術提供を昨年から開始している。

1種換気組込み型の外気清浄機など新たな提案も

 このほか、喫煙室用の空気清浄機などを製造・販売するトルネックスでは、第1種熱交換換気システムの外壁給気口と熱交換ユニットとの間に取り付けることで、PM2.5や黄砂などの汚染物質を除去する、電子式集じんフィルター方式の外気清浄機を開発。昨年10月に東京で行われたジャパンホームショーに出展し、注目を集めた。化学工業メーカーの住友スリーエムも、PM2.5など微粒子物質の濃度を低減する丸形給気口用フィルターを昨年から販売しているが、今年からは角形給気口用のフィルターもラインナップに追加するなど、換気システムを扱っていないメーカーからPM2.5対策の提案製品が出てきていることにも注目したい。


2014年05月25日号から

自宅でつくり消費する 小規模オフグリッド太陽光発電

20140525_2_1.jpg札幌・トミタ ☎011-891-0013
 ㈲トミタ(札幌市、佐山廣和社長)は、電力会社に余剰電力を売電する系統連携を行わず、家庭に蓄電し、全て消費する「オフグリッド太陽光発電」を提案。エネルギー問題に関心のある新しい顧客層を開拓している。
 同社は灯油販売、住宅リフォーム工事などを行いながらエコ機器のソリューション販売も取り組み、灯油、LPガス型燃料電池や太陽光発電など幅広く取り扱っている。
 東日本大震災で非常用電源として太陽光発電が注目されるようになったことから、電力会社の送電網に接続して余剰電力を売電する系統連携を行わず、余剰電力を蓄電池に貯めることで家庭内電力の一部系統を太陽光発電でまかなう「オフグリッド太陽光発電」を提案し始めた。
 このシステムは、一部のコンセントに太陽光発電と蓄電池からの電力を供給する。用途は、照明やノートパソコン(デスクトップは非推奨)、外構用など。携帯電話の充電などにも使える。
 500~1000wクラスの太陽光発電パネル、独立架台、チャージャーコントローラー、DC/ACインバーター、2.76~5.52kWの国産メーカー蓄電池などで構成。オプションとして、供給電力が減って電圧が降下すると自動的に電力会社からの電力供給に切り替えるグリッド/オフグリッド切替機や、壁付け設置用の架台を用意。最近は、壁付け施工に力を入れている。
 壁付け施工は、屋根に負担がかからない以外に、積雪の影響をほとんど受けないので冬でも安定した発電が見込めるメリットがある。なお、パネルの設置角度を75度にすることで、90度設置に比べて発電量を増やせる。
 今後、太陽光発電の余剰電力の売電価格はさらに下がることが予想され、国の補助金も今年度からなくなるなど、「元が取れる」ことをあてにした客層が減っていくと予想される。一方で、災害に備えて最低限の電力を確保したいという客層もおり、佐山社長によると「元が取れないことが最初からわかって設置するのなら、50~70万円程度が上限ではないか」と見ている。そこでシステムのセット価格も49万8000円(税別・工事費別)~に設定した。
 オフグリッドの発電システムは、設計事務所で数棟、自社販売で数棟の施工実績があり、今後実績を増やしていきたい考え。
 「システムは、チャージャーコントローラーやインバーター、蓄電池の性能で使い勝手が大きく変わる。当社では信頼できる国内メーカー品を採用した」と佐山社長は話しており、今後も新しいシステムの開発を進めていく。

【写真】
外照明用にオフグリッドで使用する太陽光パネル
   


2014年05月15日号から

岩手・すまい環境プランニング 日本中に気密化技術を伝えたい

20140515_1_1.jpg 日本全国を対象に、断熱・気密のノウハウを伝える活動を続ける男たちがいる。岩手県滝沢市の「すまい環境プランニング」古川繁宏代表とアドバイザーの昆寛氏だ。
 外張り断熱工法や充てん断熱工法など、いろいろな断熱工法に20年以上も前から取り組み、それぞれの特徴やコストをわかった上で、結露発生で悩んだり断熱工法の導入に真剣な会社に対して技術指導し、最終的には会社ごとにオリジナルの断熱・気密施工マニュアルを提供する。
 熱計算で試算した断熱性能や暖房エネルギー消費を達成するためには、断熱・気密施工がしっかり行われている必要がある。北海道ではそのための工法改良が30年ほど前から実を結びはじめ、計算通りの断熱性能が実現するようになったが、施工技術の普及には20年ほどの時間を要した。
 本州では北海道と同時期に断熱工法に取り組んだビルダーや設計事務所もあるが、全体としてはこれから工法普及期に入ろうとしている。そういった中で、断熱・気密工法のディテールを伝えられる人材はまだまだ足りない。熱損失計算や暖房負荷計算ができても、それを実現する現場ディテールと職人の手腕が伴わなければ、断熱住宅は完成しない。

ノウハウを施工マニュアルで提供

20140515_1_2.jpg 取材を進めるうちに、古川氏はA4判のぶ厚い資料を抱えて戻って来た。ある会社に提供する予定の「高性能住宅施工マニュアル」だ。矩計やディテール、特に注意すべき点の添え書き、内部結露判定、熱計算など、マニュアルは全部で92ページにも及ぶ。
 ビルダーに対して、まず工程会議の開催を依頼する。工程会議ではマニュアルを説明したうえで、現場で大工さんと話し合いながら、やりにくい部分はマニュアルを書き直し、使いやすいマニュアルに仕上げていく。
 このやり方で最初の断熱・気密住宅を建てると、気密性能はC値でおよそ0.5程度になる。その後2~3棟建てると、説明しなくてもやれるようになる。新しい職人が入るたびにこれを繰り返せば、現場は常にミスなく進む。もちろん、断熱改修も重要な業務の1つだ。
 ここまでやるのは、2人の苦い過去の経験があるからだ。
 住宅会社勤めだったころ、現場が対応しきれずに気密性能が上がらず、夢のマイホームが欠陥で泣いているユーザーを見てきた。しかし、会社の指示がない限り、改修工事をすることができない。そのときの罪悪感が消えない。技術者として間違いない現場を提供したい、という思いをいまの仕事につなげている。
 古川代表は「ブログで無料相談を始めてから、全国から仕事の依頼が来るようになった。ボクたちの仕事は断熱・気密工法を覚えてもらうまで。気密化が難しいと思い込んでいる人が多いが、覚えた会社は何の抵抗もなくやれる場合がほとんど。素晴らしい住環境の家を提供することをクライアントとの共通目標に据え、いっしょにがんばっていきたい」と語っている。
 問い合わせは、メールなどで。
qqmz69c9@herb.ocn.ne.jp 携帯電話090-1498-1336(古川氏)

[写真]
現場で大工さんと監督に納めについて説明する古川代表(左)

[画像]
マニュアルの一部・土台回りのディテール


2014年05月05日号から

木造住宅の断熱性能を実測・評価 J建築システム「JJJ診断システム」試行販売開始

tel.011-573-7779

20140505_1_2.jpg J建築システム(株)(本社札幌市、手塚純一社長)では、サーモカメラや各種センサーを利用して、木造住宅の断熱性能を実測・評価可能な「JJJR診断システム」を開発。このほど試行販売を開始した。雨漏りや結露、筋交いの有無など耐久性・耐震性のチェックも実施でき、主に目視のみで行う国土交通省の既存住宅インスペクションガイドラインを補完する役目も果たす。
 長期優良住宅化リフォームや中古住宅の評価改善指針、既存住宅インスペクションガイドラインを相次いで打ち出すなど、国の住宅政策は既存ストックの性能・品質の向上にシフトしつつあるが、一方で快適性・省エネ性を高める断熱改修は、断熱性能を実測・把握する方法がなく、改修後にどれだけ性能が向上したのかもわかりにくいという課題がある。
 そこで同社では、サーモカメラの熱画像や各種センサーのデータをもとに、木造住宅の断熱性能を診断・評価する手法を検証。東京大学生産技術研究所・加藤研究室と4年半にわたる共同研究を行い、環境省をはじめ、国土交通省や経済産業省の補助事業を利用して実用化。試行販売によってシステムの最終的な検証を7月までに終え、完成度を高めたうえで正式な商品化を目指す。

熱画像などからUA値や一次エネ消費量を算出

20140505_1_1.jpg 「JJJR診断システム」はサーモカメラ、2種類の専用ソフト、環境温度計および各種センサーで構成。専用ソフトをインストールしたパソコンに、サーモカメラや環境温度計、熱伝達率センサーなどを接続すると、測定している各断熱部位の熱貫流率(U値)がリアルタイムで算出・表示される。さらに間取りや仕様などを入力することで、住宅全体の①外皮平均熱貫流率(UA値)②平均日射取得率(ηA値)③一次エネルギー消費量を総合的に算出可能。
 これらのデータをもとに効果的な断熱改修プランを作成でき、暖冷房費削減のシミュレーションも行うことができる。また、報告書の形にまとめてユーザーへの提案に利用できるなど、営業ツールとして使えるのも大きな特徴。
 実測にかかる時間・手間、診断結果の精度によって①断熱チェック②SS断熱診断③ISO断熱診断の3種類の診断コースを用意。このうち時間と手間はかかるが、診断結果の精度は高いISO断熱診断は、国際標準規格(ISO)として共同研究者が認可を申請中。
 なお、同社では「JJJR診断システム」を公平性・正確性の高いシステムとして運用・普及するにあたり、正しいインスペクションの普及や、診断結果のチェック、診断士の育成・登録、システムのバージョンアップなどを円滑に行う「JJJサポートセンター」という協会の設立も検討。大学や研究機関、行政関係者などに参加を呼びかけている。
 システムのうち、サーモカメラはFLIR社製で一定性能を満たす製品であれば市販品を使用でき、同社でも特別仕様で販売(約55万円)。2種類の専用ソフトは約35万円で、このうち1種類は改正省エネ基準(H25年基準)や住宅性能表示、認定低炭素基準などにも対応。環境温度計・センサー等のパッケージは、約40万円以下の価格設定だが、さらに低価格化を図るという。
 試行販売の申し込み・問い合わせは同社技術部・二川次長へ。


2014年05月05日号から

読者のつぶやき

組織に入らない理由
十勝 工務店 社長

 私は「○○研究会」など工務店が入るような組織にほとんど入っていません。1つは、研究成果をオープンにするべきだと考えているからです。また、こうした組織の中には、代表者や創始者はしっかりした人でも、回りを取り巻く人たちにうさんくさい人がいるために入りたくないところもあります。そういえば、工務店の会費が設計事務所の10倍もする組織がありました。何だと思っているんでしょうねぇ。

過疎の町のビジネス
北海道 工務店 社長

 うちの町から子どもたちの住む都会へ出て行く高齢者は、残す家の処分をボクに頼んでいきます。「いくらでもいいから」と言われます。もうちょっとすると「タダで引き取って」となるはずで、そうしたら譲り受けてリフォームし、移住者用の住宅として販売または賃貸したいと思っています。新しい住民となる高齢者や子育て世代が、住居費負担を少なくして暮らすことができます。

女性も対等に働く機会を作る
岩手県 工務店 社長

 私は、女性だって男性と同等に仕事ができる、と思ってやってきました。まして住宅は生活産業ですから、男性だけで仕事が進むほうが不自然です。これからは自分のやってきたことを次の世代にも伝えたいと思っています。子育て中は、忙しくても17時30分に退社できる仕組み、社会の厳しさの中でくじけない心、そして女性同士のネットワークもあればいいかなと思っています。そして何より働く場をつくること。まだ夢を追っています。


2014年05月05日号から

パッシブハウスの誕生と普及

生みの親・ファイスト博士招きシンポ

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 ドイツ・パッシブハウス生みの親であるヴォルフガング・ファイスト博士を日本に招いて4月18日東京でエネルギーシフト・シンポジウムが開かれ、住宅の断熱化に取り組む全国の300人を超す関係者が集まった。主催は(一社)パッシブハウス・ジャパン。

 4時間半にも及ぶ長いシンポジウムは、同社団理事で環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長、ファイスト博士、東京都市大学・宿谷昌則教授、同社団代表理事の森みわ氏が講演し、その後パネルディスカッションが行われた。ここではファイスト博士の講演から要旨を紹介する。

主役は断熱
 暖房をほとんど使わずに快適な室内を実現する「パッシブハウス」の最初のアイデアは、27年前(1987年)にスウェーデンで生まれ、中国で建てられた。これを参考に1991年、ドイツで3階建てのタウンハウスを建築したのが最初だ。アメリカの研究者のアドバイスもあり、パッシブハウスを研究に終わらせることなく、一般住宅に普及させることを目的に、省エネルギー・快適性・実現可能な価格を目指した。

2014_0505passive.jpg 研究によってわかったことは、1m2あたり10W/hの暖房負荷になると、暖かさの主役は断熱となり、暖房専用の設備は不要になることだ。暖房設備を削減することで大きなコストダウンが可能となり、省エネ・快適性・コストのバランスがもっとも良くなる。
 ただし、これを実現するためには極めて高い気密性能を前提にした高性能な熱交換換気と、断熱壁体並みの断熱性能を持つ開口部が必要だ。熱交換換気は、排気から回収した熱を効率よく給気に渡すと同時に、少しだけ給気を加温して暖房器を兼ねる。また開口部は日射取得と断熱のバランスを地域によって検討する必要があるが、ドイツや北海道では最低限、トリプルガラスと高断熱な枠材が必要だ。

 パッシブハウス実現のためには、これらの建材開発がひとつのポイントになってきた。そして、中小企業がじつにたくさんの断熱建材と熱交換換気などを開発し、商品化している。断熱材だけでも製造メーカーを100社を数える。これはパッシブハウスのもうひとつの効果でもある。パッシブハウスが普及する過程で、建材価格も下がってきた。

パッシブハウス基準の意味
 1m2あたり10W/hの暖房負荷とは、年間の暖房負荷で1m2あたり15kWhというレベルになる。これがパッシブハウスの基準となっており、設計者は、建設地においてどのようなプランと仕様にすれば基準をクリアできるかを検討しなければならない。そのとき、ツールとなるのがPHPPというソフトだ。日本では「建もの燃費ナビ」として設計アシストができるようになっている。

〈写真〉
講演するファイスト博士
パッシブハウスは公営住宅、学校、幼稚園、オフィスビル、プールにも採用されている(ファイスト博士のスライドより)


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