新聞記事

2013年09月05日号から

カラマツ心持ち柱の現場公開 輸入集成柱より寸法変化小さい

北方建築総合研究所・林産試験場

20130905_02_01.jpg 道総研・北方建築総合研究所は8月18日、旭川市内でカラマツ小径木を柱材に使った住宅の構造見学会を開催した。ポイントは、輸入集成材ばかりになった在来軸組工法の柱材に、北海道産の木材を使うための木材乾燥技術。
 乾燥技術が上がれば、割れとねじれを抑えられる-というのが開発を進めている道総研・林産試験場の視点。実際に、今回採用した心持ちのカラマツ乾燥材「コアドライ」は寸法安定性の面で輸入の集成材を上回る良い数値を残しているという。
 ポイントは、芯まで均一に乾燥させる新技術。従来技術では表面の乾燥が進んでも芯は含水率20~25%程度までしか下げることができず、このため乾燥処理後にもねじれが進むという不具合が現れた。コアドライでは、最初に100℃以上の高温で表面の乾燥を一気に行って割れを防ぎ、その後温度を下げて芯を乾燥させる2段階の乾燥工程をふむ。これによって表面割れも芯のねじれも抑えられ、輸入の集成柱との比較でも寸法変化が少ない高精度が実現する。もちろん背割れを入れる必要もない。
20130905_02_02.jpg 実験に協力しコアドライを採用したのは、旭川市の㈲新濱建設・新濱寿男社長。柱がねじれることで石こうボードのあばれ・クロスの割れがでないか心配だったため、今回の物件は柱を表して真壁仕上げとし、築後の形状変化をチェックできるようにした。ただ、柱材が同社の工場に搬入され、加工から工事まで1ヵ月ほどの様子を見た限り、ねじれは起きておらず大丈夫そうだという。加工した大工によると、材が硬いもののほかの面での扱いにくさはないという。真壁仕上げにするため、気密層は外壁下地を利用する合板気密工法とし、付加断熱で断熱性能を高めた。
 今後、市販化を目指すなかでのクリアすべき課題は、確かな品質の柱材が一定の量供給可能であること。
 林産試験場では、開発当初から『新たな投資をせず製材工場が所有する既存の乾燥施設で行える』ことを条件とし、新技術の広い普及を目指している。価格を抑え、輸入集成材に代わる管柱として質も量も対抗するために、今後は製材工場への技術移転と品質管理を含む流通の研究も進めるという。


[写真]カラマツの心持ち柱「コアドライ材」。ミゾ加工は真壁仕上げのためのしゃくり
[グラフ]正角製品の冬季暖房室内のねじれ変化グラフ(林産試験場提供)


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