新聞記事

2013年09月25日号から

手形10年で激減、住宅業界も

 手形が常識だった建設業界で、住宅業界は現金決済が主流になってきた。このほど札幌で15社に聞き取りした結果、2社をのぞき13社が現金決済だった。手形交換所の扱い数量推移を見ても、この10年で交換高は約1/3に激減している。

翌月現金払いが主流〈札幌圏聞きこみ調査〉

 現金決済を行っている13社のうち、1社が10数年前に手形から変更したほかは、創業以来、あるいはここ20年現金決済を続けている。末締め翌末払いが多く、なかに翌末50%、翌々末50%や、翌々月一括払いという会社もあった。
 住宅ローンの主力が住宅金融公庫から民間金融機関に変わり、売上金の回収が早くなったことも現金決済が増えた背景にありそうだ。施主から中間資金を受け取るかどうかは、各社によって考え方が異なっていた。契約時、中間、決済の3段階で代金を受け取ることを契約前に施主に話している会社もあれば、中間資金は受け取らず、要請もしない会社もある。
 3段階で建築費を回収する会社は、基本的に銀行につなぎ融資を申し込まないことを前提にしている。逆に契約金以外は完成時に一括で受け取るという会社は、施主にとっても会社にとっても、忙しいなか中間資金の交付申請で銀行との交渉に時間を割くのは得策でないという考えがある。裏を返せば業者に資金力が付いてきたとも言える。
 一方、手形決済の会社は、1社は120日サイトの約束手形、もう1社は住宅会社に代わって銀行が支払う一括決済システムを採用していた。
 一括決済システムは、サイトは60日以上でも支払日の短縮を要請すれば30日で入金になり、手形割引と違って手数料負担は資金受領者側ではなく振り出し側が負担するのが一般的のようだ。納入業者にとっては現金決済と同じ、建築業者にとっては手形と同様のサイトを確保できる仕組みとして、地場有力会社を中心に徐々に増えているという。

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2013年09月25日号から

暖房専用エコフィールを初施工 運転音の静かさも特徴

20130925_02_01.jpg 北海道セキスイハイム(株)は、暖房専用エコフィールを採用した戸建住宅を札幌市内でこのほど施工し、引き渡した。暖房専用エコフィールは(株)長府製作所とサンポット(株)が9月10日に発売開始したばかりで、これが取り付け第1号の住宅となる。
 取り付けた住宅は、石油販売会社・北海道エネルギー(株)の社員宅で、給湯もエコフィールを採用。暖房は当初通常の灯油ボイラーだったが、暖房専用エコフィールが発表されたことから急きょ仕様変更した。
 暖房専用エコフィールは、灯油暖房ボイラーの排気熱を2次熱交換器で回収して利用し、熱効率を91%まで高めた省エネ型暖房ボイラー。灯油消費量が従来のボイラーに比べて年間で130~160リットルほど減ることと、運転音が静かなことが特徴。
 設置場所はキッチン横のユーティリティーで、給湯用エコフィールを壁掛け、その下方に暖房用エコフィールを床置きし、循環ポンプは床下に置いた。このことでさほどスペースをとらずに設置できた。
 引き渡し前の試運転では、エコフィールのスイッチをオンにしても運転音はほとんど聞こえず、本体に手を当てて燃焼しているのがわかる程度だった。
 道セキスイハイムでは、「今回、施主様のご依頼で初施工したが、今後は暖房熱源の新しい選択肢になるかもしれない」と注目している。

キッチン横のユーティリティに設置した給湯用エコフィール(上)と暖房用エコフィール(下)


2013年09月25日号から

読者のつぶやき

サラリーマンから経営者に
札幌市 住設販売会社 社長

 本州メーカーの営業所として今まで住設機器の販売とサポート業務をしてきました。北海道の住宅事情が本州とは異なるため、道内の事情にあった営業活動をやらせてほしいという話し合いを本社としたところ、「半分出すからお前も出資しろ」と道内販売子会社を設立する羽目に。それまでの自社商品以外も扱えるようになりましたが、何せ社長になっちゃったのでプレッシャーきついです。

最初からそう言ってほしかった
札幌市 工務店 社長

 つきあいのある設計事務所から、"特命だ"と仕事が来たのですが、なぜか施工は相見積もり。当社は最安値より少し高かったのですが、「あなたに頼みたいから、もう少し安く」と言われて価格を下げました。施主と知り合いらしく、価格をがんばりたい気持ちはわかるのですが、最初から正直に「予算はこれだけしかないけどなんとかならない?」と言われたら気持ちよく価格下げられたのに、残念な気持ち。


2013年09月15日号から

大手3社に見る道内市場のいま

20130915_01_01.jpgキューブデザイン9割、ガス暖房5割、企画型住宅3割!
ハウスメーカーの多彩な商品ラインナップの中で、売れる商品・注力している商品は住宅市場の動きを読み解く重要な手がかりになる。そこで営業戦略と販売動向について、道内市場の約1割を占めるハウスメーカー3社に話を聞いた。
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2013年09月15日号から

建築紛争フォーラム 道内の建築関連訴訟の事例報告 結露・凍害・寒さ、説明不足も

 (一社)日本建築学会・司法支援建築会議運営委員会では、今月1日に「第5回建築紛争フォーラム?積雪寒冷地における建築紛争の現状と課題?」を札幌市内で開催。札幌地方裁判所民事第3部総括裁判官・長谷川恭弘氏が「札幌地裁における建築事件への取り組み」をテーマに基調講演を行ったほか、司法支援建築会議北海道支部会員が道内での建築紛争事例を報告・議論した。
 ここでは佐藤民佳氏が凍上・凍害、山本明惠氏(恵和建築設計事務所)が落雪、天崎正博氏((株)アトリエブンク)が断熱・結露、駒木根洋一氏(コムプロ企画)が室内環境について、それぞれ関わった建築訴訟の概要を紹介する(長谷川氏の基調講演は次号に掲載)。

凍上・凍害
地盤凍結で擁壁押し出される

 【ケース1】札幌市郊外の木造住宅を中古で購入したオーナーが、ブロック塀とコンクリート擁壁に瑕疵があるとして、売り主と仲介業者を訴えた。請求金額は約600万円。
 現地調査したところ、ブロック塀は瑕疵が認められなかったが、コンクリート擁壁は3㎝ほど隣地側に傾いており、土壌の凍結によって擁壁が横に押し出されたものと推測された。
 調停では擁壁裏側に断熱材を施工する補修方法と概算費用を算出。約130万円で調停が成立した。

20130915_02_03.jpg 【ケース2】札幌市郊外の新築木造住宅で布基礎の根入り深さが凍結深度の60cmに満たず、フーチングも屋外側にしか造られていなかった。
 訴訟でオーナーは造り直しを求めたが、布基礎を造り直すとなると時間・費用とも莫大になるため、調停ではスカート断熱を採用して凍結深度を浅くし、地盤面に土間コンを新設することで室内側のフーチングなしでも建物重量を支える補修方法を提案。550万円の補修費用で調停が成立した。


落雪
屋根回りの断熱・気密欠損が原因に

20130915_02_01.jpg 【ケース1】札幌市内の木造2階建て住宅で、三角屋根に設けた小屋根(ドーマ)回りの雪がスムーズに落ちず、軒先につららができて外壁を傷めたほか、2階天井からの漏水も発生。オーナーはハウスメーカーに賠償を求めた。
 雪が本体屋根と小屋根との谷部分に溜まって凍り付き、断熱・気密施工が不十分だった小屋裏2階からの暖気で凍結・融解を繰り返していたのが原因。断熱・気密施工のやり直しや軒先・外装材の補修を行うことで調停成立した。

 【ケース2】築30年を超える石狩市内の木造2階建て店舗併用住宅で、片流れ屋根から落ちた雪により隣地の木製の塀と樹木が破損。隣地の住人が損害賠償と落雪防止策を求めて訴訟した。
 2階部分の増築で屋根が隣地方向へ伸びたことが原因で、雪止め金物を屋根全面に均等に付け、塀と樹木を賠償することで調停成立となった。


断熱・結露
断熱・気密不足で押入や壁内結露

 【ケース1】札幌市内の木造2階建て住宅で、北西角の部屋の押入内で結露が起こり、寝具が水浸しになったため、その賠償を施工したハウスメーカーに求めた。
 調査の結果、北西の部屋は断熱が不十分で、押入内の空気を動かす通気措置もなかったため、結露が起こったと判断。寝具代金10万円の支払いで調停が成立した。


20130915_02_02.jpg 【ケース2】道東の木造2階建て店舗併用住宅で、施工中に屋根の笠木回りから屋内への漏水があったため、その部分の納まりを変更して建物を完成させた。しかし、引き渡し後も室内の床が濡れるため、オーナーは笠木下地の隙間や外壁のクラックから雨水が浸入しているとして工事のやり直しを住宅会社に求めた。
 笠木回りは雨水が浸入する状態ではなかったが、外壁を解体したところ、断熱材のグラスウールの中心部まで湿潤した状態だった。これは耐力面材の構造用合板の上にアスファルトルーフィングを張り、通気層を取らないままモルタル・しっくいで仕上げたため、壁体内に入った水蒸気が屋外に放出されずに結露したものと判断。
 壁体内のウレタン吹付けによる断熱改修と、防湿・気密施工のやり直しにかかる費用等150万円の支払いで調停成立した。


室内環境
言葉足らずで招いた不信感

 【ケース1】"高断熱・高気密"ということで建て替えしたが、期待したほど暖かくなかったため、建築士に調査を依頼したところ、気密施工に関する不良箇所を発見。オーナーは外壁部分の施工やり直しを求めて800万円規模の損害賠償請求を行った。
 調査の結果、天井のトップライト回りに断熱・気密施工が施されてなく、吹抜けのリビング天井部分で断熱不足だったほか、「暖房費が半分になる」という説明によって、灯油消費量が半分になるよう暖房設備を運転していたことが判明。調停で、暖房費が半分になるというのは、相当隙間面積=C値が一般的な住宅の半分という住宅会社の表現が誤解につながったと見なされたが、トップライトの断熱施工やリビング天井部分の断熱補強など18万円相当の補修を住宅会社は行うこととなった。

 【ケース2】坪100万円程度の注文住宅で、冬期に仕上げ材に割れやひずみ、破損が発生。オーナーが構造・暖房・換気の補修・改善費用を損害賠償として住宅会社に要求した。
 当初は構造の不具合が疑われたが、調べたところ、暖房・換気などの設備設計に問題があることが判明。オーナーの要望に住宅会社が忠実に対応するあまり、建物の性能限界を超えた設計や不都合が数多く存在していた。
 例えばリビングの大開口付近に暖房器を置かないでほしいなどという要望も、それによって室内温熱環境が悪化する可能性があるにもかかわらず、説明不足のまま言う通りに施工。そのような設計・施工上の配慮不足や不備が原因となっており、目に付く欠損や不備、破損については住宅会社が全面的に保守・保全負担することになった。


2013年09月15日号から

外観もスマートな玄関ドア スリム枠とセットバック納まり

YKKAP ☎011-662-4161
20130915_03_01.jpg YKKAP㈱は、防犯性も兼ね備えたハンドル一体型電気錠「スマートコントロールキー」を標準搭載した戸建住宅用「スマートドア」の新機種「ヴェナートS」をこのほど発売した。
 ヴェナートSは、通常のヒンジ(丁番)の代わりに「センターピポットヒンジ」構造を採用。カギ穴だけでなく丁番も見えないスッキリとした意匠を実現した。さらに、ドア枠の先端部を7㎜まで細く薄くした「スリム枠」や、扉の取付位置を枠の先端から室内側にセットバックさせることで奥行きや陰影感のある立体的な意匠を実現する「セットバック納まり」を業界で初めて採用するなど、デザイン性にこだわった。
 また、標準装備したハンドル一体型電気錠「スマートコントロールキー」は、ICチップ内蔵カードなどで施解錠できる「ピタットkey」と、ポケットや鞄に入れたままでハンドルのボタンを押すだけで施解錠できる「ポケットkey」の2つの鍵を選べる。このほか、センターピポットヒンジにより、枠と扉のすき間を最小限に抑えられるため、指はさみ事故も軽減できる。
 デザインはベーシックなものからモダンなものまで全8種類。色は、ヴェナートシリーズで人気の木目柄5色にアルミ系2色を加えた全7色をラインナップ。断熱仕様は次世代省エネ基準Ⅰ地域まで対応したD2仕様とⅢ地域まで対応のD3仕様を用意。
 価格は、片開きドアで36万6450円(税込)から。


【写真】
ヴェナートSの施工例
 


2013年09月15日号から

防耐火・性能試験を工場内で評価 新製品を送り出す栗山工場 エクセルシャノン

 (株)エクセルシャノンでは今年春に樹脂サッシのラインナップを一新、ペアガラスサッシ「シャノンウインドⅡ」、トリプルガラスサッシ「トリプルシャノンⅡ」、防耐火サッシ「シャノンウインドTypeEB/TypeEC」をそれぞれ発売した。これらの新しい樹脂サッシがどのように生産され、品質を担保しているのか。年間10万窓以上を生産し道内に出荷しているという空知・栗山工場を取材した。

20130915_04_01.jpg 工場では、従業員がそれぞれ機械を使いこなして工程ごとに組み立て作業を行っている。作る窓の種類が多いこともあり、自動化よりも人の力が重要視されている。
 樹脂サッシのおおよその製造方法はこうだ。塩ビ樹脂に可塑剤などを混ぜて押出成型した形材(プロファイル)を切断加工し、熱と圧力を加えて溶着してサッシの枠材を作る。それに気密材などパーツを取り付け、ガラスをはめ込んで完成させる。
 ポイントは、溶着だ。形材を窓の寸法に合わせて斜め45度にカットして窓枠の四辺部を作る。切断面の端部に圧力と熱を加えて四辺を溶着し、四角い窓枠ができあがる。熱を加えるというと、素材にストレスをかけるようなイメージがあるが、熱溶着の強度は強力接着剤を使った時と比べて数十倍も強いという。
 さらに、同社の樹脂サッシは製造開始以来肉厚を変えていない。熱溶着と合わせ、頑丈な構造でトリプルガラスの重量にも耐える。

最新の試験設備を完備
20130915_04_02.jpg 工場内には、最新鋭のサッシ試験設備がある。JIS規格に準じた水密試験や耐風圧試験などを行えるほか、防耐火試験、金物の開閉耐久試験などもできる。道内の公的機関と同等の設備だ。
 公的機関で本試験を行うと数百万円単位で費用がかかるので「試験したけど基準をクリアしなかった」では済まされない。工場内の試験設備で事前評価しておくことで製品改良を低コストで進められるほか、製品の基礎開発等でも活躍している。特に昨年は防耐火サッシの試験体をいくつもテストするなど、フル稼働した。この大がかりな設備は、他社からも試験依頼が来るほどだ。
 栗山工場は1980年に製造開始し、樹脂サッシのパイオニア工場として今年で操業34年目。同工場では、「今後、防耐火樹脂サッシのコストダウンと、トリプルシャノンⅡの出荷比率をさらに高めていきたい」と話している。


【写真】
[上]工場内で防耐火試験をしている
[下]開き窓の開閉試験機や照度試験機が並ぶ


2013年09月15日号から

読者のつぶやき

職人も連れてこい...
札幌市 建材メーカー 営業

 当社の商品は対前年で10数%伸びており、新築だけでなくリフォームも多いので、正直、駆け込みを実感しています。ただ、最近「買ってやってもいいけど職人も連れてこい」みたいな話も多く、「それ、脅しですか('-'*)」とお返ししていますが、正直、年末に向けてちょっと気が重いです。欠品も出てくるでしょうから、もう少しすると「この商品なら即納できます」みたいなトークになるはず。

お盆休みもなかった忙しさ
十勝 工務店 社長

 おかげさまで今年はとても忙しい毎日を過ごしています。気がついたらお盆休みも取ってませんでした。とにかくここ数ヶ月ほど丸1日の休みすら取ったことがありません。午前中家でゆっくり休んでも、お昼前にはお客様との打ち合わせに出かける・・という感じです。今年はこれ以上仕事を受けられないので、来年に仕事を回していますが、再来年はどうなるのか見通しは不透明です。

土地取引が活況
札幌市 工務店 社長

 ひと頃は土地の引き合いが全般的に鈍く、価格の低落傾向も続いていましたが、不動産屋さんに最近話を聞くと売りに出してからの動きが速く、一部では値上がり傾向にあるとか。「売上が去年より何割も増えている」という会社もあるそうで、かなり景気が良さそうです。なんでも「地上げ」という言葉を口にした不動産屋さんもいるとか。町中で新たな開発が計画されているのかもしれません。


2013年09月05日号から

消費税アップ後のビジョン 1持家並み賃貸、2既存客ケア、3新築の再見直し

20130905_01_01.jpg 消費税率が上がったあとの住宅市場はどうなるか。そこでどう仕事をしていくか。営業地域によっても各社の得意分野によっても答えは違ってくるが、政府の住宅政策に目を配りながら、今後の展望を探っていきたい。

高齢・過疎化背景に住宅再整備が大きな仕事に

 政府はこれからの住宅政策の柱として①長期優良住宅と省エネ・低炭素化の推進②耐震改修の促進③中古住宅流通・リフォーム市場の整備④高齢者の居住安定⑤空き家問題への対応を掲げている(3面参照)。
 家づくりに熱心な多くのビルダーは①の省エネ化の対応はすでに終了している。問題は②~⑤の既存住宅・リフォーム・高齢者居住-というテーマにどのような答えを出していくかだ。
 その答えは、①戸建て並み広さと装備の賃貸住宅②既存客ケアから始めるリフォーム③新築の再見直しにありそうだ。

・購買力が低下し家を買える人が減る。
・融資額が減らされ購入可能額が低下する。
・過疎化の進行とコンパクトシティ化が同時に加速しハコモノ再整備が始まる。
・階級格差がさらに拡大し"おしん"の時代が再来する。
・国土再整備を目的に土木工事が再び増加する。
・後継者不足などが原因で中小企業が激減する-の6つに集約することができる。

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2013年09月05日号から

カラマツ心持ち柱の現場公開 輸入集成柱より寸法変化小さい

北方建築総合研究所・林産試験場

20130905_02_01.jpg 道総研・北方建築総合研究所は8月18日、旭川市内でカラマツ小径木を柱材に使った住宅の構造見学会を開催した。ポイントは、輸入集成材ばかりになった在来軸組工法の柱材に、北海道産の木材を使うための木材乾燥技術。
 乾燥技術が上がれば、割れとねじれを抑えられる-というのが開発を進めている道総研・林産試験場の視点。実際に、今回採用した心持ちのカラマツ乾燥材「コアドライ」は寸法安定性の面で輸入の集成材を上回る良い数値を残しているという。
 ポイントは、芯まで均一に乾燥させる新技術。従来技術では表面の乾燥が進んでも芯は含水率20~25%程度までしか下げることができず、このため乾燥処理後にもねじれが進むという不具合が現れた。コアドライでは、最初に100℃以上の高温で表面の乾燥を一気に行って割れを防ぎ、その後温度を下げて芯を乾燥させる2段階の乾燥工程をふむ。これによって表面割れも芯のねじれも抑えられ、輸入の集成柱との比較でも寸法変化が少ない高精度が実現する。もちろん背割れを入れる必要もない。
20130905_02_02.jpg 実験に協力しコアドライを採用したのは、旭川市の㈲新濱建設・新濱寿男社長。柱がねじれることで石こうボードのあばれ・クロスの割れがでないか心配だったため、今回の物件は柱を表して真壁仕上げとし、築後の形状変化をチェックできるようにした。ただ、柱材が同社の工場に搬入され、加工から工事まで1ヵ月ほどの様子を見た限り、ねじれは起きておらず大丈夫そうだという。加工した大工によると、材が硬いもののほかの面での扱いにくさはないという。真壁仕上げにするため、気密層は外壁下地を利用する合板気密工法とし、付加断熱で断熱性能を高めた。
 今後、市販化を目指すなかでのクリアすべき課題は、確かな品質の柱材が一定の量供給可能であること。
 林産試験場では、開発当初から『新たな投資をせず製材工場が所有する既存の乾燥施設で行える』ことを条件とし、新技術の広い普及を目指している。価格を抑え、輸入集成材に代わる管柱として質も量も対抗するために、今後は製材工場への技術移転と品質管理を含む流通の研究も進めるという。


[写真]カラマツの心持ち柱「コアドライ材」。ミゾ加工は真壁仕上げのためのしゃくり
[グラフ]正角製品の冬季暖房室内のねじれ変化グラフ(林産試験場提供)


2013年09月05日号から

読者のつぶやき

20年遅れてる?
釧路市 工務店 社長

 何年か前に、0.2㎜厚の防湿シートを建材店に発注したら、「そんな高いもの発注するんですか?」と聞かれてびっくりしたことがあります。聞くと、その建材店はそれまで0.1㎜厚品しか扱ったことがなかったとか。建材店には「防湿シートの品番変えないでね」と念を押されています。ほとんど当社しか買うところがないからです。他地域に比べると20年遅れてるのでは...と思ってしまいます。

アパートも贅沢な造りに
帯広市 工務店 社長

 アパート・マンションは余り気味と言われていますが、来年以降のことを考えて自社物件としてアパートを建てています。断熱性能を上げても見た目は変わらないので、もっぱら設備をよくすることで長く住んでもらえるように考えています。キッチンは間口2100㎜ではなく2550㎜の戸建用を使っていますし、浴室も1坪タイプを使っています。当社だけでなく、他社でも同様の工夫をしているようです。

道産材活用=建築材にこだわらないで
帯広市 設計事務所 所長

 道産材の用途開発というと、真っ先に出てくるのが柱梁などの建築材です。しかし、安い外材が大量に入ってくる現状を考えると、こだわるのは得策ではないと思います。I型梁や断熱材など、道産材の活用範囲が広がっていることに目をつけるべきです。欧米では、柱梁だけでなく、OSBやバイオマスチップなど、幅広い製品を作る工場が1つにまとまっています。だから小径木や端材も効率よく活用でき、1つの産業になるのです。


2013年09月05日

フラット35や住宅ローンの疑問・悩みを解消!

 住宅金融支援機構では9月18日(水)午前10時から午後4時まで、札幌総合行政相談所(さっぽろ東急百貨店9階)で住宅融資相談を行う。予約不要で費用も無料。

 札幌行政相談所は、総務省の出先機関として行政機関への国民の要望・苦情を受け付けているが、それとは別に不動産取引、マンション管理、住宅融資、相続・遺言、教育、年金、福祉など専門性の必要な相談ごと全般について、日替わりで担当者が無料相談を受けている。

 住宅融資相談は、住宅金融支援機構が担当しており、フラット35や住宅ローン全般に関する疑問・相談について、同機構職員が対応している。今月は18日が相談日となっている。
 
 
費 用   無料
 
予 約   不要

130918JHFkokuti.jpg場 所   さっぽろ東急百貨店9階(札幌市中央区北4条西2丁目)
 
問い合わせ 住宅金融支援機構北海道支店営業推進グループ Tel011-261-8306 ※9:00~17:00(土日祝除く)
 
 
※公共交通機関でお越しください 


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